説明

ディスクカートリッジ

本発明のディスクカートリッジは、ケース本体10と、シャッタ11と、弾性部材7とを備える。ケース本体10には、側面に達するヘッド開口部12と、保持凹部26を底部に有するシャッタ開放溝24を設ける。シャッタ部11は弾性部材7によってヘッド開口部12が閉じるように付勢されている。これにより、記録再生ヘッドが、ケース本体10と干渉することを防止し、ディスクカートリッジの幅を小さくすることができる。また、弾性部材7の反力でディスクカートリッジが飛び出すのを防止するために、ディスク駆動装置に設けられる捕捉体が、保持凹部26から脱落しにくくなり、また、捕捉体がヘッドと干渉するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気ディスク、光ディスク等のディスク状情報媒体を収納するディスクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
音声や映像、コンピュータ用データなどを記録するために、ディスク状情報記録媒体(以下ディスクと称する場合がある)が近年広く用いられている。また、このようなディスクに情報を記録したり、ディスクに記録されている情報を再生したりするために、光や磁気などを用いて記録・再生を行うディスク駆動装置が開発されている。
【0003】
ディスクの記録密度を高める技術も開発されており、これにともなって、ディスクムービーカメラのようなモバイル機器に搭載可能なより大容量でかつ小型のディスク装置が望まれている。このためにはディスクカートリッジを小型化することも必要である。
【0004】
一般に、記録可能なディスクは、ディスクカートリッジに収納され、ディスクに埃や指紋の付着するのを防いでいる。特に、記録密度の高いディスクほど埃や指紋に敏感になるため、防塵性の良いディスクカートリッジが必要である。
【0005】
この分野の従来例としては、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に開示されている技術は、MD(ミニディスク)に採用されている。具体的には、ディスクカートリッジは、ディスクの一部を露出して記録再生ヘッドを挿入するヘッド開口部と、ヘッド開口部を閉塞するシャッタとを備える。シャッタは、ディスクカートリッジをディスク駆動装置に挿入する方向と同じ方向にスライドするように構成されており、シャッタを閉じた状態でロックするロック部材が設けられている。
【0006】
このシャッタは、およそ矩形の底部を有するU字状の断面を有し、ディスクカートリッジ本体を挟み込んでいる。ディスクカートリッジ本体には挿入方向に延びる係合溝が設けられており、シャッタに設けられた抜け止め突起が係合溝と係合することによって、シャッタが本体から脱落することなく、挿入方向にスライドする。
【0007】
ロック部材はヘッド開口部よりも挿入方向の先端側に設けられている。また、ディスク駆動装置には、ロック部材のロックを解除するためにカートリッジホルダの内側面に固定されたオープナ爪が設けられている。ディスクカートリッジをディスク駆動装置に装填する場合、ホルダにディスクカートリッジを挿入する。このとき、ディスクカートリッジの側面に設けられた溝内をオープナ爪が移動し、ロック部材を押しつけてロックの解除を行う。その後、オープナ爪がシャッタと係合し、シャッタを開放させながらディスクカートリッジが挿入される。挿入の完了によって、ヘッド開口部も開放される。
【0008】
ディスクカートリッジをディスク駆動装置から抜き取る際には、オープナ爪はシャッタを閉じることはできない。このため、カートリッジホルダの内側面に板バネを設けて、シャッタ側面の穴に板バネを係合させる。板バネがシャッタを保持した状態でディスクカートリッジをカートリッジホルダから排出させることにより、シャッタがヘッド開口部を閉じる。
【0009】
このように、特許文献1に開示されたディスクカートリッジのシャッタ駆動機構は簡単な構造を備えるため、特に小型のディスクを実現するのに適している。
【0010】
また、特許文献2は、シャッタを閉じる方向に付勢する構造を備え、落下衝撃等でシャッタが開いてしまうのを防ぐことのできるディスクカートリッジを開示している。このディスクカートリッジはシャッタを閉じる方向に付勢するばねと、ディスク駆動装置に設けられた捕捉体に係合するための保持凹部とを備える。ディスクカートリッジの装填や排出時には、ディスク駆動装置の捕捉体がディスクカートリッジの保持凹部と係合してディスクカートリッジを保持することにより、ばねの反力によってディスクカートリッジがディスク駆動装置から飛び出すのを防いでいる。
【特許文献1】特許第3030894号明細書
【特許文献2】特開2000−173223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のディスクカートリッジには以下のような問題があった。
【0012】
特許文献1のディスクカートリッジでは、ヘッド開口部の外側にシャッタをガイドする係合溝を設ける必要があり、係合溝を越えて側面側にヘッド開口部を広げることができない。このため、記録・再生ヘッドがディスクの最外周をアクセスしているときでもディスクカートリッジの係合溝を構成する構造と干渉しないように記録・再生ヘッドの大きさを制限する必要が生じる。記録・再生ヘッドの大きさを制約しないようにするためには、ディスクの最外周から係合溝までの距離を大きくする必要があり、このことはディスクカートリッジの外形が大きくなってしまうという別の問題を生じさせる。
【0013】
また、特許文献2のディスクカートリッジでは、保持凹部はカートリッジ底面に設けられている。このため、シャッタがばねの力によって閉塞する際、捕捉体が保持凹部から外れやすく、確実にディスクカートリッジを保持することが困難な場合があった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の少なくとも1つを解決し、小型で防塵性の良いディスクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のディスクカートリッジは、ディスク状の情報記録媒体を回転自在に収納するケース本体であって、情報の記録および/または再生を行うディスク駆動装置へ挿入する方向に対して平行であり、かつ、互いに対向している第1および第2の側面、前記第1および第2の側面に挟まれた底面、前記底面の一部に設けられ、前記情報記録媒体の一部を露出させるヘッド開口部、前記挿入方向に沿って伸びるように前記第1の側面に設けられ、前記ディスク駆動装置のシャッタオープナが移動するためのシャッタ開放溝、および、前記シャッタ開放溝の底部に設けられた保持凹部を有するケース本体と、前記シャッタ開放溝内に突出した操作部を有し、前記挿入方向と平行に摺動することによって前記ヘッド開口部を開放または閉塞するシャッタと、前記ヘッド開口部を閉塞するように前記シャッタを付勢する弾性部材とを備える。
【0016】
ある好ましい実施形態において、前記ヘッド開口部は、前記第1の側面に達するように前記第1の側面および前記底面に設けられている。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記シャッタ開放溝および前記保持凹部と干渉しないように前記ヘッド開口部は前記第1の側面に設けられている。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記ヘッド開口部は、前記第1の側面に設けられた側面開口を有し、前記側面開口は前記シャッタ開放溝よりも前記底面側に位置している。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記ケース本体は、上ハーフおよび下ハーフを含み、前記保持凹部は、前記下ハーフに形成されたリブによって前記下ハーフと一体に形成されている。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記ケース本体は、前記第1の側面および前記底面、ならびに、前記第2の側面および前記底面にそれぞれ設けられた保持切り欠きを有する。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記ケース本体は、前記シャッタ開放溝と平行に延びており、前記弾性部材が摺動するための弾性部材摺動溝と、弾性部材摺動溝の一端に設けられた凹部とを前記第1の側面に有し、前記弾性部材は、前記シャッタ部が前記ヘッド開口部を閉塞した状態において、前記凹部と係合して、前記シャッタ部が移動しないように前記シャッタ部をロックする。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記シャッタは、前記ヘッド開口部を覆うシールドと前記操作部を有するロック解除部材とを含み、前記シャッタオープナが前記操作部と当接することによって、前記ロック解除部材が前記弾性部材と前記凹部との係合を解除し、前記シャッタオープナが前記弾性部材の付勢力に抗して前記シャッタ部を移動させる。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記ケース本体は、前記ディスク駆動装置へ挿入する際、前記ディスク駆動装置と対向する位置にある第3の側面および前記第3の側面と対向する第4の側面を有し、前記第3の側面に開口が形成されるように前記シャッタ開放溝は前記第3の側面に達している。
【0024】
ある好ましい実施形態において、ディスクカートリッジは、情報記録面を有する前記ディスク状の情報記録媒体をさらに備え、シャッタの開放時において前記情報記録面の一部が前記ヘッド開口部から露出するように前記情報記録媒体が前記ケース本体に収納されている。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記ケース本体は前記第1および第2の側面に挟まれており、前記底面と対向する上面を有し、前記情報記録媒体がディスク駆動装置内において、情報の記録および/または再生を行うことが可能なように保持された状態において、前記情報記録媒体の情報記録面より上面側に前記保持凹部が位置するよう、前記保持凹部がシャッタ開放溝の底部に設けられている。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記保持凹部は、前記ケース本体の上面と底面との間の上半分に位置するよう前記保持凹部がシャッタ開放溝の底部に設けられている。
【0027】
本発明のディスク駆動装置は、シャーシと、前記シャーシに支持されており、ターンテーブルを有するモータと、前記シャーシに支持されており、情報の記録および/または再生を行うヘッドと、請求項1から12のいずれかに規定されるディスクカートリッジを挿入する挿入口、および、前記ディスクカートリッジを保持する空間を有するホルダであって、前記ターンテーブルと干渉することなく、前記ディスクカートリッジを前記挿入口から出し入れすることが可能な第1の位置、および、前記空間に保持されたディスクカートリッジの情報記録媒体を前記ターンテーブルに載置する第2の位置をとり得るように前記シャーシに対して回動可能に取り付けられたホルダと、前記ホルダにスライド可能なように設けられており、前記ホルダに挿入されたディスクカートリッジを前記挿入口から排出するように前記ディスクを付勢するスライダと、前記スライダに接続されており、前記ディスクカートリッジの保持凹部と係合する捕捉体と、を備え、前記ディスクカートリッジが保持されていない状態で前記ホルダが第2の位置にあるように前記ホルダを回転させたとき、前記捕捉体が前記ヘッドと干渉しないように前記捕捉体が前記ホルダに設けられている。
【発明の効果】
【0028】
本発明のディスクカートリッジによれば、シャッタを閉じる方向に付勢する弾性部材を備えているため、ヘッド開口部を開放すべきとき以外は確実にヘッド開口部を閉塞することによって、防塵性を高めることができる。また、保持凹部をシャッタ開放溝の中に設けているので、弾性部材の反力を防ぐためにディスク駆動装置に設けた捕捉体が、保持凹部から脱落しにくく、かつ、捕捉体と記録再生ヘッドのレンズアクチュエータとの干渉を避けることができる。これにより、小型で防塵性の良いディスクカートリッジが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるディスクカートリッジの実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すディスクカートリッジの外観斜視図であって、シャッタが閉じた状態を示している。
【図3】図1に示すディスクカートリッジの外観斜視図であって、シャッタが開いた状態を示している。
【図4】図1に示すディスクカートリッジに対応したディスク駆動装置の構造を示す斜視図である。
【図5A】図4に示すディスク駆動装置に図1に示すディスクカートリッジを装填する途中の状態を示す平面図である。
【図5B】図4に示すディスク駆動装置に図1に示すディスクカートリッジを装填する途中の状態を示す平面図である。
【図5C】図4に示すディスク駆動装置に図1に示すディスクカートリッジが装填された状態を示す平面図である。
【図5D】図4に示すディスク駆動装置から図1に示すディスクカートリッジを排出した状態を示す平面図である。
【図6】図1に示すディスクカートリッジがディスク駆動装置内に装填された場における下ハーフの配置を示す平面図である。
【図7】図6に示すB−B位置におけるディスクカートリッジ全体の断面を示している。
【図8】図6に示すC方向からディスクカートリッジ全体を見た側面図を示している。
【符号の説明】
【0030】
1 上ハーフ
2 下ハーフ
3 情報記録媒体
4 クランピングプレート
5 シールド
6 押さえ
7 弾性部材
8 ロック解除部材
10 ケース本体
11 シャッタ
21 底面開口
22 側面開口
23 側面リブ
24 シャッタ開放溝
25 保持切欠き
26 保持凹部
90 シャッタオープナ
100 ヘッド
101 レンズアクチュエータ
102 対物レンズ
110 捕捉体
111 待機位置の捕捉体
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明のディスクカートリッジの実施形態を説明する。図1は、ディスクカートリッジ51を分解して示す斜視図であり、図2および図3は、それぞれシャッタが閉じた状態およびシャッタが開いた状態におけるディスクカートリッジ51の外観を示す斜視図である。
【0032】
ディスクカートリッジ51は、ディスク状の情報記録媒体3と、ケース本体10と、シャッタ11と、弾性部材7とを備えている。
【0033】
情報記録媒体3は、光や磁気などによって情報を記録したり記録された情報を光や磁気などによって再生することが可能な記録層を備えている。記録層は、一度だけ書き込みが可能なタイプであってもよいし、複数回書き換えが可能なタイプであってもよい。また、記録層は、既にデータが記録されており、書き込みのできないタイプであってもよい。情報記録媒体3の大きさにも特に制限はない。しかし、本発明は、小さい直径の情報記録媒体を収納し、外形の小さいディスクカートリッジを実現するのに特に適している。好適な情報記録媒体3の直径は、80mm以下程度である。
【0034】
ケース本体10は上ハーフ1および下ハーフ2を含み、情報記録媒体3を回転自在に収納する。情報記録媒体3がターンテーブルに安定して載置されるように、情報記録媒体3のセンターホール近傍に配置され、磁気によって吸着されるクランピングプレート4をケース本体10は、一緒に含んでいてもよい。図に示すように、ケース本体10は、情報の記録および/または再生を行うディスク駆動装置へ挿入される挿入方向Aに対して平行であり、かつ、互いに対向している第1の側面2aおよび第2の側面2bと、第1および第2の側面に挟まれ、互いに対向している上面1aおよび底面2cとを有する。また、ディスク駆動装置へ挿入する際、ディスク駆動装置と対向する位置にある第3の側面2dは、本実施形態では緩やかな凸状の曲面で構成し、第3の側面2dと対向する第4の側面2eは平面で構成している。このように第3の側面2dのみを異なる形状とし、かつ、凸状の曲面で構成することによって、ディスクカートリッジ51の挿入方向を容易に判断することが可能となる。
【0035】
ケース本体10には、収納された情報記録媒体3の一部を露出するヘッド開口部12が設けられており、ヘッド開口部12を介して情報の記録および/または再生を行うヘッドが情報記録媒体3へアクセスする。ヘッド開口部12は、底面2cに設けられた底面開口21を含む。好ましくは、第1の側面2aに設けられた側面開口22をさらに含み、底面開口21および側面開口22は連続している。つまり、ヘッド開口部12は底面2cから第1の側面2aにかけて設けられている。第1の側面2aには、挿入方向Aに対して平行に延びるように設けられたシャッタ開放溝24が形成されている。シャッタ開放溝24は、第3の側面2dに開口が形成されるよう、第3の側面2dに達している。シャッタ開放溝24の底部であって、第3の側面2dに近接した位置には保持凹部26が設けられている。
【0036】
ケース本体10を上ハーフ1および下ハーフ2によって構成する場合、第1の側面2aおよび第2の側面2bのどの部分を上ハーフ1および下ハーフ2によって構成するかを任意に決定することができる。本実施形態では、第1の側面2aに設けられたシャッタ開放溝24の底部は、下ハーフ2の側面リブ23によって構成する。したがって、シャッタ開放溝24の底部に設けられた保持凹部26も側面リブ23に連続して下ハーフ2に形成している。保持凹部26をもうけることにより、リブ23の上ハーフ1との接合面積が増える。このため、上ハーフ1と下ハーフ2との接合強度が増す。
【0037】
保持凹部26を形成する4つの側面のうち、底面2cと垂直であり、第3の側面2dに近接した側面26dは、以下において説明する捕捉体が確実に係合するよう、シャッタ開放溝24の底部に対して垂直であることが好ましい。一方、底面2cと垂直であり、第4の側面2eに近接した側面26eは、たとえば、シャッタ開放溝24の底部と鈍角をなすよう傾斜していてもよい。このような傾斜した斜面26eにすることによってカートリッジ本体10の内部の空間を広げることができる。
【0038】
ケース本体10の底面2cには一対の位置決め穴29が設けられている。位置決め穴29の1つは、ケース本体10の第3の側面2dに隣接し、第3の側面2dにも開口が設けられている。位置決め穴29はディスク駆動装置に設けられた位置決めピンと係合し、ディスク駆動装置内におけるディスクカートリッジ51の位置決めをするために用いられる。ディスク駆動装置へ挿入する際、ディスク駆動装置と対向する位置にある第3の側面2dにも位置決め穴29の開口が設けられているため、第3の側面2dに隣接した位置決め穴29へは、側面2dの開口から位置決めピンを挿入することが可能となる。このため、一端に設けられた回転軸を中心に回動するホルダを有し、ホルダを上下させることにより、ホルダに挿入されたディスクカートリッジをディスク駆動装置へ装填する構造をディスク駆動装置が採用する場合でも、ディスクカートリッジ51の装填および排出のためにホルダを回転させる角度が小さくてすみ、ディスク駆動装置を小型化することができる。
【0039】
なお、ケース本体10の底面2cおよび第1の側面2aの両方に凹部を有する保持切り欠き25を設けてもよい。また、同様に底面2cおよび第2の側面2bの両方に凹部を有する保持切り欠き25を設けてもよい。これらの保持切り欠き25は、たとえば、複数のディスクカートリッジを収納する連装型のラックを備えたディスク駆動装置において、ディスクカートリッジをラックと記録再生が可能な位置との間で自動的に移動させるチェンジャと係合するために用いることができる。さらに、第2の側面2b切り欠きあるいは凹部30を設けてもよい。
【0040】
第1の側面2aにおいて、ヘッド開口部12の側面開口22は底面2c側に位置している。シャッタ開放溝24および保持凹部26は側面開口22と干渉しないよう、シャッタ開放溝24を構成する側壁を介して側面開口22の上側、つまり上面1a側に形成されている。
【0041】
第1の側面2aには、また、弾性部材摺動溝31が設けられている。弾性部材摺動溝31はシャッタ開放溝24と平行に設けられており、かつ連通している。以下において詳細に説明するように、弾性部材7の端部が弾性部材摺動溝31において摺動し、シャッタ11の一部を付勢する。弾性部材摺動溝31の両端には凹部27、28が設けられている。凹部28は弾性部材7の一端を固定する。凹部27は、弾性部材7の他端と係合する場合には、弾性部材7の伸縮を妨げ、以下で詳細に説明するようにシャッタ11が移動しないようにシャッタ11をロックする。弾性部材7の他端が凹部27から脱離し、弾性部材摺動溝31の底部にあるときは、弾性部材摺動溝31内で弾性部材7の他端が移動する。
【0042】
シャッタ11は、シールド5およびロック解除部材8を含む。シールド5はヘッド開口部12の底面開口21を覆うための底面部5bおよび側面開口22を覆うための側面部5aと、側面部5aの端部に設けられ、シャッタ開放溝24に挿入される係合部5eとを有する。係合部5eの両端にはロック解除部材8を保持するために、矩形底部を有するU字形の保持部5dが設けられている。また、シールド5は、矩形の切り欠きを有し、シャッタ開放溝24に挿入される当接部5cを有する。
【0043】
ロック解除部材8は弾性部材7によるシャッタ11のロックを解除する。このために、ロック解除部材8は、ディスク駆動装置のシャッタオープナ90が当接する操作部81と傾斜部を有する切り欠きが設けられた当接部82aとを両端に備える。ロック解除部材8はシールド5の係合部5eの両端の保持部5dに挿入され、ロック解除部材8および係合部5eがシャッタ開放溝24に挿入される。係合部5eの長さL1はロック解除部材8の操作部81と当接部82aとの間隔L2よりも短くなっている。シールド5の底面部5bの端部は押さえ6によって、ケース本体の底面2cから浮きが生じないように押さえつけられる。
【0044】
シャッタ開放溝24内に挿入されたロック解除部材8および係合部5eと、押さえ6とによって案内され、シャッタ11は、挿入方向Aと平行に摺動する。これにより、シャッタ11は、ヘッド開口部12を閉塞した状態および開放した状態をとることができる。
【0045】
弾性部材7は、シャッタ11の当接部82aと当接し、シャッタ11がヘッド開口部12を閉塞するように、挿入方向Aに向かってシャッタ11を付勢する。本実施形態では弾性部材7はねじりばねによって構成されているが、他の形状のばねや樹脂などによって成形した弾性部材を用いてもよい。弾性部材7は、端部71および端部72を有し、弾性変形するが、端部71および端部72とが所定の距離を維持するように復元する。端部72は弾性部材摺動溝31の凹部28に挿入される。一方、端部71は、シャッタ11がヘッド開口部12を閉塞した状態にあるときには凹部27に係合しており、挿入方向Aと平行ないずれの方向へも移動できない。シャッタ11が開放動作を行っているときには、端部71は弾性部材摺動溝31の底部を摺動する。図2に示すように、シャッタ11が閉塞した状態では、シャッタ開放溝24内において、ロック解除部材8の操作部81は、保持凹部26よりも第4の側面2eに位置している。言い換えれば、保持凹部26は、ロック解除部材8の操作部81よりも第3の側面2dに近接している。
【0046】
次にシャッタ11の動作を説明する。図2に示すように、ディスクカートリッジ51を挿入方向Aで示すようにディスク駆動装置に挿入すると、シャッタオープナ90が、第3の側面2dに設けられた開口からシャッタ開放溝24内へ挿入される。シャッタオープナ90はディスク駆動装置内で固定されているので、ディスクカートリッジ51の挿入にともなって、シャッタオープナ90が相対的にシャッタ開放溝24内を挿入方向Aと逆の方向Dに進む。そして、ロック解除部材8の操作部81と当接し、ロック解除部材8を方向Dへ押す。上述したように、ロック解除部材8の操作部81と当接部82aとの間隔L2は、シールド5の係合部5eの長さL1より長いので、シールド5を伴わずにロック解除部材8のみが、まず、方向Dへ移動する。これにより、当接部82aの切り欠きに弾性部材7の端部71が挿入される。
【0047】
シャッタオープナ90の相対的な移動により、ロック解除部材8がさらに方向Dへ移動すると、切り欠きの傾斜部に弾性部材7の端部71が当接し、凹部27から端部71が持ち上げられ、弾性部材摺動溝31の底部へ移動する。これにより、ロックが解除される。ロック解除部材8がさらに方向Dへ移動すると、当接部81がシールド5の係合部5eの保持部5dと当接し、シャッタオープナ90の相対的な移動により、ロック解除部材8およびシールド5が一体的に方向Dへ移動する。このとき、弾性部材8の端部71は弾性部材摺動溝31の底部上を移動する。つまり、シャッタ部11がヘッド開口部12を開放し始める。
【0048】
その後、ディスクカートリッジ51の挿入動作にともなって、シャッタオープナ90がさらにシャッタ開放溝24内を相対的に移動し、シールド5が方向Dへ移動する。これにより、ヘッド開口部12が完全に開放され、情報記録媒体3がヘッド開口部12から露出する。
【0049】
ディスクカートリッジ51がディスク駆動装置内に完全に挿入されると、情報記録媒体3がディスク駆動装置のターンテーブルに載置される。このとき、シャッタオープナ90はシャッタ開放溝24内の所定の位置にあり、弾性部材8によってシャッタ11がヘッド開口部12を閉塞する方向に移動するのを防止する。したがって、ディスク駆動装置内にディスクカートリッジ51が装填されている間は、シャッタ11がヘッド開口部12を開放した状態を保っている。
【0050】
イジェクトボタンなどを押して、ディスクカートリッジ51をディスク駆動装置から排出する場合、図示しない排出機構が、ディスクカートリッジ51を挿入方向Aと反対の方向に排出する。シャッタオープナ90が、シャッタ開放溝24内で相対的に挿入方向Aへ移動するため、弾性部材7の端部71が当接部82aを挿入方向Aへ付勢し、シャッタ11を挿入方向Aへ付勢する。つまり、弾性部材7は、ヘッド開口部12が閉塞するようにシャッタ11を付勢する。ヘッド開口部12が完全に閉塞する位置にシャッタ11が移動すると、弾性部材7の端部71が弾性部材摺動溝31の凹部27に挿入される。これにより、シャッタ11がヘッド開口部12を完全に閉塞する。また、シャッタ11が移動して、ヘッド開口部12を開放しないよう、ロックする。
【0051】
シャッタ11のシールド5のみを手などによって方向Dへ移動させようとする場合、ロック解除部材8の操作部81と当接部82aとの間隔L2は、シールド5の係合部5eの長さL1より長いため、シールド5のみが方向Dへ移動し、シールド5の係合部5eの一端に設けられた当接部5cが弾性部材7の端部71と当接する。しかし、当接部5cの切り欠きは矩形であるため、凹部27から端部71を持ち上げることはできず、端部71はシールド5の方向Dへ移動することができない。つまりシャッタ11は弾性部材の端部71によってロックされたままとなり、ロックは解除されない。また、ロック解除部材8の操作部81はシャッタ開放溝24内に位置しているため、ユーザが指などによって操作部81を押圧してシャッタ11を開放させることも困難である。
【0052】
本実施形態によれば、弾性部材7によって、シャッタ11がヘッド開口部12を閉塞するように付勢している。このため、ヘッド開口部12を開放すべき時以外は、確実にヘッド開口部12を閉塞し、防塵性を高めることができる。たとえば、ディスクカートリッジ51を落下させた場合でも落下による衝撃でヘッド開口部12が開放するのを防止することができる。また、ロック解除部材8を用い、ロック解除部材8の当接部81を操作したときのみシャッタを開放させることができるようにすることによって、シャッタを誤って、あるいは、意図的に操作してヘッド開口部を開放させてしまうことを防止することができる。
【0053】
次にディスク駆動装置へのディスクカートリッジ51の装填を詳細に説明する。図4はディスクカートリッジ51に適合したディスク駆動装置の一例を示している。このディスク駆動装置は、シャーシ201、カートリッジホルダ202、およびスピンドルモータ205を備える。
【0054】
シャーシ201には、ターンテーブルを有するスピンドルモータ205が支持されている。図4では示していないが、ディスク駆動装置は記録、再生のためのヘッドを備え、ヘッドがシャーシ201に支持されている。シャーシ201には、ディスクカートリッジ51内の情報記録媒体3がスピンドルモータ205のターンテーブル5に正しく載置されるよう、ディスクカートリッジ51の位置を定める位置決めピン201aが設けられている。シャーシ201はダンパ208によってディスク駆動装置の筐体などに固定されている。
【0055】
ホルダ202は、ディスクカートリッジ51を挿入するための挿入口202bおよびディスクカートリッジを保持するための空間202cを有する。ホルダ202の側面には、スライダ203が設けられており、ばね204によって矢印Aと逆の方向、つまり、挿入口2bからディスクカートリッジ51を排出する方向に付勢されている。スライダ203には、ホルダ2に挿入されたディスクカートリッジ51の第3の側面2dと当接する当接部を有する。また、ディスクカートリッジ51の保持凹部26と係合する捕捉体110が接続されている。
【0056】
挿入口202bから矢印Aで示すようにディスクカートリッジ51をホルダ202の空間202c内へ挿入すると、ディスクカートリッジ51がスライダ203と当接する。ばね204に抗してディスクカートリッジ51を押し込むことによって、ディスクカートリッジ51がさらに挿入され、ホルダ202に保持される。この際、以下で説明するように捕捉体110がディスクカートリッジ51と係合する。ディスクカートリッジの挿入が完了すると、スライダ203はホルダ202に対して図示しないロック機構によりロックされる。挿入に伴って、ディスクカートリッジのシャッタが開放される。
【0057】
ホルダ202は、回動軸202a周りに回転可能なようにシャーシ201に取り付けられている。図4は、挿入口202bからホルダ202にディスクカートリッジ51を出し入れすることのできる位置にホルダ202がある状態を示している。この位置を第1の位置と呼ぶ。
【0058】
ディスクカートリッジ51をホルダ202に挿入した状態でホルダ202をシャーシ201に接近させてゆくと、ディスクカートリッジ内の情報記録媒体3がスピンドルモータ5のターンテーブルに載置される位置にホルダ202が移動する。この位置を第2の位置と呼ぶ。第2の位置において、情報記録媒体3はスピンドルモータ5の駆動力を受けて回転し、ヘッドを用いて、記録ディスクへのデータの書き込みおよび/または記録ディスクからのデータの読み出しをおこなうことができる。
【0059】
ホルダ202を回転させて第2の位置から再び第1の位置へ戻すと、スライダ203のロックが外れて、ばね204の弾性によりスライダ203が所定の位置まで戻る。これにより、挿入口2bから所定の距離だけディスクカートリッジが排出され、ディスクカートリッジの取り出しが可能となる。
【0060】
図5Aから図5Dを参照して、ホルダ202へのディスクカートリッジ51の挿入および排出動作をさらに詳細に説明する。図5Aから図5Dでは、捕捉体110、スライダ203、ばね204およびシャッタオープナ90は模式的に示されている。上述したように、捕捉体110およびスライダ203はホルダ202に対して移動可能に支持されており、ばね204によって、矢印Aと反対の方向に付勢されている。一方、シャッタオープナ90はホルダ202に対して固定されている。
【0061】
図5Aに示すように、ディスクカートリッジ51を矢印Aのようにホルダ202内へ挿入してゆくと、シャッタオープナ90が、シャッタ11のロック解除部材8の操作部81と当接しする。さらにディスクカートリッジ51の挿入すると、上述したようにシャッタオープナ90と当接したロック解除部材8がばね7によるロックを解除する。
【0062】
図5Bに示すように、ディスクカートリッジ51をさらに矢印Aで示すようにホルダ202内へ挿入してゆくと、シャッタオープナ90と当接したロック解除部材8およびシールド5がその位置にとどまるのに対して、ディスクカートリッジ51の本体10がホルダ202内へ挿入されるため、相対的にシャッタ11が矢印Aと反対の方向へ移動する。そして、カートリッジ本体10の保持凹部26が捕捉体110と係合する。このとき、スライダ203もカートリッジ本体10の第3の側面2dと当接する。このため、ディスクカートリッジ51をさらに矢印Aで示すようにホルダ202内へ挿入するにはスライダ203と接続されたばね204の付勢力に抗してディスクカートリッジ51を押す必要がある。
【0063】
図5Cに示すように、ディスクカートリッジ51がホルダ202内へ完全に挿入されると、スライダ203はホルダ202に対してロックされる。挿入に伴って、ディスクカートリッジ51のシャッタ11が開放される。この状態でホルダ202をシャーシ201側へ回転させ、第2の位置へ移動させることによってディスクカートリッジ51内の情報記録媒体3がターンテーブルに載置される。
【0064】
ホルダ202を回転させて、第2の位置から再び第1の位置へ戻すと、スライダ203のロックが解除される。このため、図5Dに示すように、スライダ203がばね204の付勢力によって矢印Dの方向へ移動する。これにともない、ディスクカートリッジ501がホルダ202から押し出される。このとき、ディスクカートリッジ51の弾性部材7はシャッタ11のロック解除部材8を押す。このため、シャッタ11は、ディスクカートリッジ51のカートリッジ本体10と一緒には矢印Dの方向へ移動せず、ロック解除部材8がシャッタオープナ90と当接した状態を保つ。つまり、シャッタ11が閉じるように相対的にカートリッジ本体10に対して移動する。スライダ203に接続されたばね204がもとの状態に戻ると、スライダ203の移動は停止する。このとき、ディスクカートリッジ51の先端は、ホルダ202の先端から距離Sだけとび出している。これにより排出動作が完了する。このように、ディスクカートリッジ51の装填および排出動作中、スライダ203の移動にともなって捕捉体110も移動する。
【0065】
次に、ディスク駆動装置内におけるディスクカートリッジ51の配置を詳細に説明する。図6はディスク駆動装置内におけるディスクカートリッジ51の下ハーフの配置を示す平面図であり、図7はそのB−Bの位置におけるディスクカートリッジ51全体の断面図である。図6および図7において、ディスクカートリッジ51はディスク駆動装置に装填されシールド5は完全に開いた位置にある。ヘッド100は情報記録媒体3の最外周位置にあり、対物レンズ102を駆動してフォーカスおよびトラッキング動作をするレンズアクチュエータ101がヘッド開口部12に挿入されている。ヘッド開口部12が側面開口22を含んでいるため、レンズアクチュエータ101の外形が大きくても、側面開口22内にレンズアクチュエータ101が嵌入し、ケース本体10とレンズアクチュエータ101が接触あるいは干渉することがない。このため、レンズアクチュエータの大きさに制限はなく、大きなレンズアクチュエータを搭載したディスク駆動装置であっても本発明のディスクカートリッジ51を装填することができる。
【0066】
また、ディスクカートリッジ51の側面と、情報記録媒体との間にレンズアクチュエータが接近することのできるような空間を設ける必要がなくなるため、ディスクカートリッジ51のケース本体10の幅(挿入方向Aと直行する方向)を小さくすることができる。
【0067】
このように、ディスクカートリッジ51がディスク駆動装置内に装填された状態において、ヘッド100とディスクカートリッジ51との干渉や接触を確実に回避するためには、図7に示すように、情報記録媒体3が、情報の記録および/または再生を行うことが可能なように保持された状態において、底面2aから情報記録媒体の情報記録面3aと同じ高さの位置H1にまでヘッド開口部12の側面開口22が形成されていることが好ましい。
【0068】
上述したようにディスクカートリッジ51を駆動装置に装填する場合、ホルダ202が上昇した第1の位置においてホルダ202内にディスクカートリッジ51を挿入し、捕捉体110をシャッタ開放溝24内の保持凹部26に係合させて保持する。その後、ホルダ202を回転させることにより、ディスクカートリッジ51全体を捕捉体110とともに降下させ、位置決めピンを用いて所定の位置にディスクカートリッジ51を装填する。
【0069】
この時、上述したようにシャッタ11が開放されるので、情報記録媒体がターンテーブルに載置され、記録または再生ヘッドのレンズアクチュエータがヘッド開口部に挿入される。ディスクカートリッジ51の降下中は捕捉体110によって位置決めされており、降下中にターンテーブルや記録再生ヘッドがディスクカートリッジ51と接触しないよう正確に保持する必要がある。一般に下ハーフ2と上ハーフ1との接合には多少ずれが生じるため、保持凹部26を本実施例のように下ハーフ2と一体に形成する方がより正確な保持が可能となる。
【0070】
一方、この状態からディスクカートリッジ51を排出する場合、ホルダ202を回転させてディスクカートリッジ51を持ち上げる。これによりスライダ203のロックが解除され、スライダ203がディスクカートリッジ51の一部を排出させる。この時、弾性部材7の反力でディスクカートリッジ51がディスク駆動装置から飛び出さないよう捕捉体110は保持凹部26に係合したままイジェクト位置までディスクカートリッジ51を移動させる。
【0071】
図8は図6に示す方向Cからディスクカートリッジ51全体を見た側面図である。図8において、保持凹部26に係合してディスクカートリッジ51を保持している捕捉体110は、イジェクト時には、いったんディスクカートリッジ51を持ち上げ、距離Sだけ挿入口側へ移動した待機位置111に移動する。ディスクカートリッジ51を取り出した後、捕捉体110はその位置で待機する。次にディスクカートリッジ51が挿入されると、捕捉体110がディスクカートリッジを保持し、実線で示す元の位置に戻る。
【0072】
ディスクカートリッジ51をホルダ202に挿入しない空の状態では捕捉体110が待機位置111にあるまま降下することになる。しかし、保持凹部26は側面開口22より高い位置にあるため、待機位置111がヘッド開口部12の側面開口22の上方に位置していても、捕捉体110がヘッド100のレンズアクチュエータ101に干渉することはない。
【0073】
このような捕捉体110の動作を、保持凹部26に換えて保持切欠き25を用い、保持切欠き25と係合する捕捉体120で行うと、保持切欠き25が側面開口22と同じ高さにあるので、捕捉体120の待機位置121は側面開口22に入り込んでしまう。このため、記録再生ヘッド100が最外周近辺にある場合、ディスクカートリッジ51を挿入しない空の状態でレンズアクチュエータ101と干渉する恐れがある。本発明によればこのような可能性を排除することができる。
【0074】
なお、捕捉体110とヘッド100との干渉を防止するためには、図7に示すように、情報記録媒体3がディスク駆動装置内において、情報の記録および/または再生を行うことが可能なように保持された状態において、情報記録媒体3の情報記録面3aの位置H1より上面1a側に保持凹部26が位置するよう、シャッタ開放溝24も情報記録媒体3の情報記録面3aの位置H1より上面1a側に設けることが好ましい。特に、保持凹部26が、ケース本体の上面1aと底面2aとの中間の位置H2よりも上方、つまり、上面1aと底面2aとの間の上半分に位置するよう設定することによって、このように、ホルダ202を空のまま降下させても、保持後部26と係合する捕捉体110がヘッド100と干渉することを確実に防止することができる。
【0075】
このように、本実施形態によれば、弾性部材による反力よってディスクカートリッジが飛び出すのを防止する捕捉体は、シャッタ開放溝内に設けられた保持凹部と係合する。このため、捕捉体が、保持凹部から多少浮き上がっても、捕捉体はなおシャッタ開放溝内にあり、シャッタ開放溝が捕捉体の位置を規制する。このため、捕捉体が保持凹部から脱落しにくく、確実にディスクカートリッジの移動を防止することができる。また、保持凹部を設ける領域をシャッタ開放溝以外に確保しなくてもよく、小型のディスクカートリッジの側面に効率的に保持凹部を設けることができる。さらに、ヘッド開口部はシャッタ開放溝よりも底面側にもうけられており、シャッタ開放溝とヘッド開口部と連通していないため、ディスクカートリッジの挿入あるいは排出時に捕捉体がヘッド開口部内に入りこむことがない。
【0076】
なお、本実施形態では、ヘッド開口部12はケース本体の裏面にのみ設けられていたが、ケース本体の上面にもヘッド開口部を備えていてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、弾性部材がシャッタのロックする構造を採用していたが、弾性部材以外の別なロック機構をディスクカートリッジに設けてもよいし、ロック機構を備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、小型で防塵性の高いディスクカートリッジが提供される。このディスクカートリッジは、光あるいは光磁気、磁気などを用いて記録を行う種々のディスク状情報記録媒体に適用することが可能である。特に、小型で高記録密度の情報記録媒体に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の情報記録媒体を回転自在に収納するケース本体であって、情報の記録および/または再生を行うディスク駆動装置へ挿入する方向に対して平行であり、かつ、互いに対向している第1および第2の側面、前記第1および第2の側面に挟まれた底面、前記底面の一部に設けられ、前記情報記録媒体の一部を露出させるヘッド開口部、前記挿入方向に沿って伸びるように前記第1の側面に設けられ、前記ディスク駆動装置のシャッタオープナが移動するためのシャッタ開放溝、および、前記シャッタ開放溝の底部に設けられた保持凹部を有するケース本体と、
前記シャッタ開放溝内に突出した操作部を有し、前記挿入方向と平行に摺動することによって前記ヘッド開口部を開放または閉塞するシャッタと、
前記ヘッド開口部を閉塞するように前記シャッタを付勢する弾性部材と、
を備えたディスクカートリッジ。
【請求項2】
前記ヘッド開口部は、前記第1の側面に達するように前記第1の側面および前記底面に設けられている請求項1に記載のディスクカートリッジ。
【請求項3】
前記シャッタ開放溝および前記保持凹部と干渉しないように前記ヘッド開口部は前記第1の側面に設けられている請求項2に記載のディスクカートリッジ。
【請求項4】
前記ヘッド開口部は、前記第1の側面に設けられた側面開口を有し、前記側面開口は前記シャッタ開放溝よりも前記底面側に位置している請求項3に記載のディスクカートリッジ。
【請求項5】
前記ケース本体は、上ハーフおよび下ハーフを含み、前記保持凹部は、前記下ハーフに形成されたリブによって前記下ハーフと一体に形成されている請求項1から4のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
【請求項6】
前記ケース本体は、前記第1の側面および前記底面、ならびに、前記第2の側面および前記底面にそれぞれ設けられた保持切り欠きを有する請求項1から5のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
【請求項7】
前記ケース本体は、前記シャッタ開放溝と平行に延びており、前記弾性部材が摺動するための弾性部材摺動溝と、弾性部材摺動溝の一端に設けられた凹部とを前記第1の側面に有し、前記弾性部材は、前記シャッタ部が前記ヘッド開口部を閉塞した状態において、前記凹部と係合して、前記シャッタ部が移動しないように前記シャッタ部をロックする請求項1から6のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
【請求項8】
前記シャッタは、前記ヘッド開口部を覆うシールドと前記操作部を有するロック解除部材とを含み、前記シャッタオープナが前記操作部と当接することによって、前記ロック解除部材が前記弾性部材と前記凹部との係合を解除し、前記シャッタオープナが前記弾性部材の付勢力に抗して前記シャッタ部を移動させる請求項7に記載のディスクカートリッジ。
【請求項9】
前記ケース本体は、前記ディスク駆動装置へ挿入する際、前記ディスク駆動装置と対向する位置にある第3の側面および前記第3の側面と対向する第4の側面を有し、
前記第3の側面に開口が形成されるように前記シャッタ開放溝は前記第3の側面に達している請求項1から7のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
【請求項10】
情報記録面を有する前記ディスク状の情報記録媒体をさらに備え、シャッタの開放時において前記情報記録面の一部が前記ヘッド開口部から露出するように前記情報記録媒体が前記ケース本体に収納されている請求項1から9のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
【請求項11】
前記ケース本体は前記第1および第2の側面に挟まれており、前記底面と対向する上面を有し、
前記情報記録媒体がディスク駆動装置内において、情報の記録および/または再生を行うことが可能なように保持された状態において、前記情報記録媒体の情報記録面より上面側に前記保持凹部が位置するよう、前記保持凹部がシャッタ開放溝の底部に設けられている請求項10に記載のディスクカートリッジ。
【請求項12】
前記保持凹部は、前記ケース本体の上面と底面との間の上半分に位置するよう前記保持凹部がシャッタ開放溝の底部に設けられている請求項10に記載のディスクカートリッジ。
【請求項13】
シャーシと、
前記シャーシに支持されており、ターンテーブルを有するモータと、
前記シャーシに支持されており、情報の記録および/または再生を行うヘッドと、
請求項1から12のいずれかに規定されるディスクカートリッジを挿入する挿入口、および、前記ディスクカートリッジを保持する空間を有するホルダであって、前記ターンテーブルと干渉することなく、前記ディスクカートリッジを前記挿入口から出し入れすることが可能な第1の位置、および、前記空間に保持されたディスクカートリッジの情報記録媒体を前記ターンテーブルに載置する第2の位置をとり得るように前記シャーシに対して回動可能に取り付けられたホルダと、
前記ホルダにスライド可能なように設けられており、前記ホルダに挿入されたディスクカートリッジを前記挿入口から排出するように前記ディスクを付勢するスライダと、
前記スライダに接続されており、前記ディスクカートリッジの保持凹部と係合する捕捉体と、
を備え、
前記ディスクカートリッジが保持されていない状態で前記ホルダが第2の位置にあるように前記ホルダを回転させたとき、前記捕捉体が前記ヘッドと干渉しないように前記捕捉体が前記ホルダに設けられているディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/055235
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515914(P2005−515914)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017610
【国際出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】