説明

ディスククランプ装置及びディスク装置

【課題】ターンテーブルに対してクランパをセンタリングするディスククランプ装置及びディスク装置を提供する。
【解決手段】クランパ支持部5、6は、ターンテーブル32の回転軸L32よりもクランパ4の回転面方向にΔL変位した初期位置にクランパ4の外周縁を支持する。ディスクがディスク装置に挿入された場合、ターンテーブル32がモータにより回転駆動された状態でクランパ4に向かって接近する。ターンテーブル32がクランパ4に接近するにつれ、ターンテーブル32の磁石32b及びクランパ4の磁性体4a間で生じる引力が大きくなり、クランパ4は偏心回転し始める。互いに接近方向に付勢されたクランパ支持部5、6によりクランパ4は、ターンテーブル32の回転軸L32に向けて押圧されながら回転し、ターンテーブル32に対してセンタリングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタリング機構を設けることなくクランパがセンタリングされるディスククランプ装置及びディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BD(Blu-ray Disk、登録商標)及びDVD( Digital Versatile Disk )等の記録ディスクにデータの記録又は再生を行うディスク装置が広く使われている。ディスク装置には、モータにより回転駆動されるターンテーブルと、クランパとの間で記録ディスクを挟持するディスククランプ装置が設けられている。ターンテーブルが回転する場合、記録ディスクと共にクランパが回転する。クランパの中心がターンテーブルの回転中心に一致しない状態で記録ディスクを挟持して回転させた場合、振動が生じて記録ディスクに対する正常な記録又は再生が困難となることがある。そこで、ディスククランプ装置は、クランパをターンテーブルに対してセンタリングするセンタリング機構を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−206945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年のディスク装置の薄型化に伴い、センタリング機構をディスククランプ装置に設けることができない場合があった。
【0005】
本願は、斯かる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、ターンテーブルの回転中心から偏心した位置にクランパを支持する第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部を備えることにより、センタリング機構を設けることなくクランパのセンタリングが可能となるディスククランプ装置及びディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係るディスククランプ装置は、ディスクを回転させるターンテーブルと、該ターンテーブルに離間して配置してある円板状のクランパと、前記ターンテーブル及び前記クランパ相互間の引力を発生する引力発生機構とを備え、前記引力により前記ターンテーブル及び前記クランパ間で前記ディスクを挟持するディスククランプ装置において、互いに接近方向及び離間方向に移動自在にしてあり、前記ターンテーブルの回転中心から前記ターンテーブルの外周縁方向へ前記クランパの円中心が所定距離を離れて位置するよう前記クランパの対向する外周縁の一部夫々を支持する第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部と、前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部夫々を接近方向に付勢する付勢部と、前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部により支持された前記クランパに対して前記ターンテーブルを回転させながら接近させる接近機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願にあっては、互いに接近方向に付勢された第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部により、ターンテーブルの回転軸に対して偏心した偏心位置にクランパが支持される。ターンテーブルが回転しながら偏心位置のクランパに対して接近し、ターンテーブル及びクランパ相互間に生じる引力によりクランパが偏心回転する。第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部に与えられた付勢力により、偏心回転するクランパの円中心がターンテーブルの回転中心に向かうようクランパが押圧されてターンテーブルに対してセンタリングされる。
【0008】
本願に係るディスククランプ装置は、前記接近機構により前記ターンテーブルが前記クランパに接近した場合、前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部を相互離間させて前記クランパを非支持とする離間機構を備えることを特徴とする。
【0009】
本願にあっては、ターンテーブルがクランパに接近してクランパのセンタリングが完了した場合、又はクランパとの間でディスクを挟持した場合、第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部が相互に離間してクランパから離れる。
【0010】
本願に係るディスククランプ装置は、前記ターンテーブルと対向する位置に孔が穿設されており、該孔周縁に前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部が設けられてある支持板を備え、前記クランパは、前記孔に遊嵌してあることを特徴とする。
【0011】
本願にあっては、ターンテーブルに対向する位置に孔が設けられた支持板を備える。支持板の孔にクランパが遊嵌すると共に、孔周縁に設けられた第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部がクランパを支持する。
【0012】
本願に係るディスククランプ装置は、前記ターンテーブルは、前記ディスクの中心孔に嵌合されて該中心孔から前記クランパ側に突出する凸部を備え、前記クランパは、前記凸部に嵌合する凹部を備えることを特徴とする。
【0013】
本願にあっては、ターンテーブルの凸部にディスクの中心孔が嵌合してクランパ側に突出し、突出した当該凸部に更にクランパの凹部が嵌合する。
【0014】
本願に係るディスククランプ装置は、前記引力発生機構は、前記ターンテーブル及び前記クランパに設けられた磁石(又は磁性体)及び磁性体(又は磁石)であることを特徴とする。
【0015】
本願にあっては、ターンテーブル及びクランパに設けられた磁石及び磁性体相互間で引力が生じ、ターンテーブル及びクランパが相互に引き付けられる。
【0016】
本願に係るディスククランプ装置は、前記付勢部により前記第1クランパ支持部及び前記第2クランパ支持部夫々を接近方向に付勢する付勢力は、前記ターンテーブルが前記クランパに最接近した位置で前記引力発生機構により発生する引力よりも小なることを特徴とする。
【0017】
本願にあっては、ターンテーブルがクランパから離れた位置にある場合、ターンテーブル及びクランパ相互間に生じる引力は、付勢力により第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部がクランパを偏心位置に支持する押圧力よりも小さい。ターンテーブルがクランパに近接した場合、ターンテーブル及びクランパ相互間に生じる引力は、第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部がクランパを偏心位置に支持する押圧力よりも大きくなり、偏心位置にあったクランパがターンテーブルに対してセンタリングされる。
【0018】
本願に係るディスク装置は、前述のディスククランプ装置を備えることを特徴とする。
【0019】
本願にあっては、第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部により、偏心位置にクランパが支持される。ターンテーブルが回転しながら偏心位置のクランパに対して接近し、クランパが偏心回転する。第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部に与えられた付勢力により、偏心回転するクランパがターンテーブルに対してセンタリングされる。ターンテーブル及びセンタリングされたクランパ間で挟持されたディスクが回転され、当該ディスクに対して記録又は再生が行われる。
【発明の効果】
【0020】
当該装置の一観点によれば、ターンテーブルの回転中心から偏心した位置にクランパを支持する第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部を備えることにより、センタリング機構を設けることなくクランパのセンタリングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ディスク装置の外観を示す模式的斜視図である。
【図2】天板を取り外した状態のディスク装置を示す模式的斜視図である。
【図3】天板の裏面を示す模式的平面図である。
【図4】ディスク収納部の底面を示す模式的平面図である。
【図5】ディスク収納部の底面裏側を示す模式的平面図である。
【図6】クランパ支持部が接近した状態であり、クランパを取り外した支持板を示す模式的平面図である。
【図7】クランパ支持部が離間した状態であり、クランパを取り外した支持板を示す模式的平面図である。
【図8】ディスクが未挿入状態にあるディスク装置を示す図2のVIII−VIII線における模式的断面図である。
【図9】クランパ及びターンテーブルの位置関係を示す模式的平面図である。
【図10】ディスク装置の制御部を示すブロック図である。
【図11】クランパがセンタリングされた状態のディスク装置を示す図2のVIII−VIII線における模式的断面図である。
【図12】ディスクのクランプ完了状態のディスク装置を示す図2のVIII−VIII線における模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1
以下、実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。本願に係るディスククランプ装置は、録画機器、パーソナルコンピュータ及び音楽再生機器等の電子機器に内蔵又は接続されるディスク装置に備えられる。ディスク装置は、例えばBD及びDVD等の挿入されたディスクをディスククランプ装置により挟持(クランプ)して記録又は再生を行う。本願は、ディスククランプ装置を有するディスク装置を例に挙げて説明する。
【0023】
図1及び図2夫々は、ディスク装置の外観及び天板1を取り外した状態のディスク装置を示す模式的斜視図である。ディスク装置は、上面及び周面(前面、両側面、背面)を有する天板1と、天板1が覆設されるディスク収納部3と、ディスク収納部3の底面の反対側に取着される支持板2とを備える。天板1及びディスク収納部3の前面夫々は、ディスク9が挿入される挿入口10、300を備える。支持板2には、後述の孔部に遊嵌しており、鉄等の磁性体4aが略中央に嵌合された円板状のクランパ4と、クランパ4の外周縁を支持するクランパ支持部(第1クランパ支持部、第2クランパ支持部)5、6とを備える。クランパ4は、ディスク収納部3の内部に備えられた後述のターンテーブルとの間でディスク9を挟持する。
【0024】
図3は、天板1の裏面を示す模式的平面図である。天板1の裏面には、クランパ4が対向する位置に円弧状に延びる凸部からなる3つの天板規制部11が略同一円上に離間して配置されている。各天板規制部11は、クランパ4の外周側面から所定距離を離間した位置に向けて天板1の裏面から突出する。3つの天板規制部11は、天板1に向かう方向及び支持板2の面内方向へのクランパ4の移動を規制する。これにより、クランパ4が支持板2に設けられた後述の孔部から離脱することを防止する。
【0025】
図4及び図5夫々は、ディスク収納部3の底面及び底面裏側を示す模式的平面図である。図4及び図5中の白抜矢印は、ディスク9をクランプする場合に後述のシフタ34が摺動する方向を示し、ディスク9の挿入方向反対に対応する。以下、ディスク9の挿入方向を単に挿入方向と呼ぶ。ディスク収納部3は、支持板2に対して昇降する略矩形板状のローディングプレート30と、降下したローディングプレート30を収納すべく底面に設けられた凹部(図示せず)と、ローディングプレート30を昇降させるシフタ33、34とを備える。
【0026】
ローディングプレート30は、挿入方向反対側の側面の一部からディスク収納部3の底面の凹部の側面夫々に設けられた図示しない孔部に向かって軸30a、30bが突出し、軸30a、30bを基部として傾斜することで挿入方向反対側部分が昇降するようにしてある。ローディングプレート30は、クランパ4との間でディスク9を挟持するターンテーブル32と、トラバース移動する光ピックアップ31と、シフタ33、34夫々により案内される案内軸30c、30dとを備える。ターンテーブル32は、略中央にディスク9の中央開口部に嵌合する円錐台状の中央突起部(凸部)32aを備える。
【0027】
中央突起部32aは、略中央にクランパ4の磁性体4aとの間で磁気力による引力を生じさせる磁石32bを備える。シフタ33、34夫々は、ディスク収納部3の底面の挿入方向に沿って延びる図示しない溝部に摺動可能に嵌合してある。案内軸30c、30d夫々は、ローディングプレート30の挿入方向反対側部分の側面の一部からシフタ33、34の側面に設けられた図示しない案内溝に向かって突出し、遊嵌する。シフタ33、34の案内溝に遊嵌した案内軸30c、30d夫々は、シフタ33、34の摺動に伴って、昇降方向に案内される。
【0028】
また、シフタ34は、クランパ支持部6を摺動させるための後述の突起部が遊嵌する案内溝34aと、挿入方向に延設されたラック歯34bとを備える。ディスク収納部3は、ラック歯34bに内周側のギヤ歯が歯合するギヤG3と、当該ギヤG3の外周側のギヤ歯が歯合するギヤG2と、ギヤG2と歯合するピニオンG1を有するモータM1とを備える。モータM1は、シフタ33、34を摺動させるための駆動力を発生する。シフタ33、34夫々には、ディスク収納部3の底面裏側に設けられた接続棒35の両端が軸35c、35bを介して結合している。
【0029】
ディスク収納部3の底面裏側には、凹部36が設けられている。接続棒35は、凹部36の略中央に設けられた軸35aに対して回転自在に結合されて、凹部36に設けられている。シフタ34の摺動に伴って接続棒35が軸35aを中心に回転することにより、シフタ34の摺動方向反対側にシフタ33を摺動させる。次に、モータM1によるローディングプレート30の昇降動作を説明する。
【0030】
モータM1が正回転した場合、モータM1の駆動力がピニオンG1、ギヤG2を介してギヤG3に伝達され、ギヤG3に歯合したラック歯34bが挿入方向反対側に移動して、シフタ34が挿入方向反対側に摺動する。また、シフタ34の摺動に伴って、接続棒35により結合されたシフタ33が挿入方向に摺動する。摺動するシフタ34、33の案内溝に遊嵌してある案内軸30d、30c夫々が、案内溝に沿って上昇することでローディングプレート30が上昇する。これにより、ターンテーブル32がクランパ4に接近する。
【0031】
また、モータM1が逆回転した場合、シフタ34及びシフタ33夫々が挿入方向及び挿入方向反対側に摺動し、案内軸30d、30cがシフタ34、33の案内溝に沿って移動することで、ローディングプレート30が降下する。これにより、ターンテーブル32がクランパ4から離間する。ローディングプレート30が降下した場合、ローディングプレート30は、ディスク9をターンテーブル32及びクランパ4間で挟持しないクランプ解除位置となり、ディスク9を挿入又は排出可能となる。ローディングプレート30が上昇した場合、ローディングプレート30は、ディスク9をターンテーブル32及びクランパ4間で挟持するクランプ位置となる。クランプ位置でモータM2により回転駆動されるターンテーブル32がディスク9を回転し、ディスク9に対する記録又は再生が可能となる。この場合、クランパ4は、ディスク9と共に回転する。
【0032】
図6は、クランパ支持部5、6が接近した状態であり、クランパ4を取り外した支持板2を示す模式的平面図である。支持板2には、ターンテーブル32と対向する位置に略円形の孔部20が穿設され、孔部20には、周縁に沿って略円環状の段部21が設けられている。クランパ支持部6は、挿入方向の略垂直方向に延設された案内開口部61、66と、支持板2へ突出するリベット64及び案内突起部62とを備える。リベット64は、案内開口部61に沿って摺動可能に貫通して支持板2に取着され、クランパ支持部6が支持板2から脱落しないよう頭部が案内開口部61の溝幅よりも大なる径を有する。突起部63は、支持板2の案内溝26に遊嵌し、案内溝26から脱落しないよう先端が案内溝26よりも広がった略T字状をなす。
【0033】
案内開口部66には、支持板2に突設された突起部25が遊嵌している。また、支持板2には、案内開口部66の周縁部及びクランパ支持部5の周縁部夫々を摺動可能に支持する案内爪24、22が取着されている。これらにより、第2クランパ支持部6は、孔部20に対して接近方向及び離間方向に摺動可能に支持板2に設けられている。クランパ支持部5、6夫々は、支持板2の裏側に向かって傾斜し、クランパ4の外周縁を支持する傾斜支持部50、60を備える。案内突起部62は、挿入方向に対して略垂直方向に支持板2に延設された開口部27を貫通し、シフタ34の案内溝34aに遊嵌するようクランパ支持部6に設けられている。
【0034】
クランパ支持部5は、クランパ支持部6に設けられた案内開口部65に遊嵌する案内突起部54を備え、クランパ支持部6の摺動に伴って案内突起部54が案内開口部65に沿って移動することにより回転軸51を中心に回転する。例えば、クランパ支持部6が孔部20に対して接近方向に摺動する場合、クランパ支持部5は右回転し、クランパ支持部5、6夫々の傾斜支持部50、60は、孔部20に接近する。クランパ支持部5は、回転軸51よりも軸54側にバネ取付部52を備え、バネ取付部52がバネ53を介して支持板2に設けられたバネ固定部23に結合されている。
【0035】
バネ53は、クランパ支持部5の傾斜支持部50が後述の初期位置に位置するよう孔部20に対して接近方向に付勢する。また、バネ53による付勢力は、クランパ支持部5の案内突起部54を介してクランパ支持部6に伝達されて、傾斜支持部60も孔部20に対して接近方向に付勢される。バネ53は、ターンテーブル32がクランパ4に最接近した場合、磁石32b及び磁性体4a間で生じる引力よりも小さい付勢力を有するバネが選択される。
【0036】
図7は、クランパ支持部5、6が離間した状態であり、クランパ4を取り外した支持板2を示す模式的平面図である。モータM1が正回転してシフタ34が挿入方向反対側に摺動した場合、シフタ34の案内溝34aにより案内突起部62が案内され、クランパ支持部6が孔部20に対して離間方向に摺動する。図7に示す如く、クランパ支持部6が孔部20に対して離間方向に摺動する場合、クランパ支持部5は左回転し、クランパ支持部5、6夫々の傾斜支持部50、60は、孔部20から離間する。
【0037】
図8及び図9夫々は、ディスク9が未挿入状態にあるディスク装置を示す図2のVIII−VIII線における模式的断面図と、クランパ4及びターンテーブル32の位置関係を示す模式的平面図とである。図9は、クランパ4が備える磁性体4aを省略して図示している。図9中の白抜矢印は、クランパ4の回転方向を示す。ディスク9が未挿入である場合、ローディングプレート30は、クランプ解除位置にあり、ターンテーブル32がクランパ4から離間してディスク9を挿入可能となる。クランパ4は、中央突起部32aを除くターンテーブル32の上面との間でディスク9を挟持する底面を有する挟持部4bを備え、挟持部4bが孔部20に遊嵌している。挟持部4bは、略中央に中央突起部32aが嵌合する凹部4cを備える。
【0038】
クランパ4は、ローディングプレート30がクランプ解除位置にある場合の初期位置として、クランパ4の中心軸L4がターンテーブル32の回転中心軸L32からターンテーブル32の外周縁方向に所定距離ΔL変位した偏心位置に配するようクランパ支持部5、6により外周縁が支持される。クランパ支持部6の摺動方向におけるクランパ支持部6の傾斜支持部60の長さ、又はクランパ支持部6の摺動方向における案内開口部61、66の長さは、クランパ4がΔL変位した偏心位置となるよう決定するとよい。孔部20の内周縁の一部により、クランパ4の挟持部4bの側面のクランパ支持部5側への移動が規制される。
【0039】
図10は、ディスク装置の制御部7を示すブロック図である。制御部7は、バス70aを介して接続されたハードウェア各部を制御するMPU( Micro Processing Unit )70と、ディスク9の挿入により機械的に押圧されるスイッチ等によりディスク9の挿入を検出するディスク検出部71とを備える。また、制御部7は、モータM1及びモータM2夫々に駆動信号を与えて、ローディングプレート30をクランプ位置又はクランプ解除位置へ移動させ、ターンテーブル32を回転させる駆動信号出力部72を備える。
【0040】
図11及び図12夫々は、クランパ4がセンタリングされた状態及びディスク9のクランプ完了状態のディスク装置を示す図2のVIII−VIII線における模式的断面図である。MPU70は、ディスク9がディスク収納部3に挿入された場合、ディスク検出部71によりディスク9の挿入を検出する。MPU70は、駆動信号出力部72から回転及び正回転夫々を指示する駆動信号をモータM2及びモータM1に出力し、ターンテーブル32の回転を開始すると共にローディングプレート30をクランプ位置に向けて上昇させる。これにより、シフタ33、34及びモータM1、M2は、ターンテーブル32を回転させながらクランパ4に接近させる接近機構として機能する。
【0041】
ローディングプレート30の上昇に伴ってターンテーブル32がクランパ4に接近し、磁石32b及び磁性体4a間で生じる引力により、ターンテーブル32の回転に伴ってクランパ4が回転し始める。クランパ4は、中心軸L4よりもΔL変位したターンテーブル32の回転軸L32を回転軸として偏心回転する。例えば、図9の白抜矢印で示す方向にクランパ4が回転する場合、クランパ4の中心C4からΔL変位しており、回転軸L32及びクランパ4との交点C32を回転中心として偏心回転する。クランパ4の偏心回転に伴って、クランパ4のクランパ支持部6側の外周縁の一部がクランパ支持部6に向けて移動する。
【0042】
クランパ4の中心軸L4が回転軸L32よりもクランパ支持部6側へ移動した場合、バネ53の付勢力によりクランパ支持部6は、孔部20、すなわち回転軸L32に向けてクランパ4を押し戻す。クランパ4の中心軸L4が回転軸L32よりもクランパ支持部5側へ移動した場合、付勢力によりクランパ支持部5が回転軸L32に向けてクランパ4を押し戻す。これにより、クランパ4は、中心軸L4が回転軸L32に向かうよう押されながら偏心回転する。ターンテーブル32がクランパ4に接近するにつれ、磁石32b及び磁性体4a間で生じる引力はバネ53による付勢力よりも大きくなるため、偏心回転しているクランパ4の中心軸L4が回転軸L32に向かって徐々に移動する。
【0043】
そして、クランパ4は、図11に示す如くターンテーブル32に対してセンタリングされる。シフタ34の挿入方向の摺動に伴って、クランパ支持部5、6夫々の傾斜支持部50、60は、孔部20から離間し、クランパ4の外周縁から外れる。そして、センタリングされたクランパ4の凹部4cが、上昇してきたターンテーブル32の中央突起部32aに嵌合することで、図12に示す如くディスク9が挟持される。案内溝34aに遊嵌した案内突起部61がシフタ34の摺動に伴って孔部20から更に離間方向に案内されることにより、クランパ支持部5、6は、クランパ4から離れてディスク9のクランプが完了する。これにより、シフタ33、34及びモータM1、M2は、クランパ支持部5、6をクランパ4から離間させる離間機構としても機能する。
【0044】
本発明では、引力発生機構がクランパ4及びターンテーブル32夫々に備えられた磁性体4a及び磁石32bからなる場合を示したが、これに限るものではない。例えば、ターンテーブル32の略中央に周縁の空気を吸い込む吸入口を設けて、クランパ4を吸い付けてもよい。また、バネ53による付勢力を用いる場合を示したが、これに限るものではなくゴム等の弾性体の伸縮方向の一端をバネ取付部52に取り付け、他端をバネ固定部23に結合してもよい。
【0045】
本発明では、クランパ4の偏心回転によりクランパ4の中心軸L4がターンテーブル32の回転軸L32に向かって移動するため、センタリング機構を設けることなくクランパ4をターンテーブル32に対してセンタリングすることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 ディスク装置
2 支持板
3 ディスク収納部
4 クランパ
4a 磁性体
4b 挟持部
4c 凹部
5 クランパ支持部(第1クランパ支持部)
6 クランパ支持部(第2クランパ支持部)
7 制御部(ターンテーブル移動部)
9 ディスク
10、300 挿入口
11 天板規制部
20 孔(孔部)
23 バネ固定部
32 ターンテーブル
32a 中央突起部(凸部)
32b 磁石
33、34 シフタ(離間機構、接近機構)
52 バネ取付部
53 バネ(付勢部)
61、66 案内開口部
M1、M2 モータ(接近機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させるターンテーブルと、該ターンテーブルに離間して配置してある円板状のクランパと、前記ターンテーブル及び前記クランパ相互間の引力を発生する引力発生機構とを備え、前記引力により前記ターンテーブル及び前記クランパ間で前記ディスクを挟持するディスククランプ装置において、
互いに接近方向及び離間方向に移動自在にしてあり、前記ターンテーブルの回転中心から前記ターンテーブルの外周縁方向へ前記クランパの円中心が所定距離を離れて位置するよう前記クランパの対向する外周縁の一部夫々を支持する第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部と、
前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部夫々を接近方向に付勢する付勢部と、
前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部により支持された前記クランパに対して前記ターンテーブルを回転させながら接近させる接近機構と
を備えることを特徴とするディスククランプ装置。
【請求項2】
前記接近機構により前記ターンテーブルが前記クランパに接近した場合、前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部を相互離間させて前記クランパを非支持とする離間機構を備えることを特徴とするディスククランプ装置。
【請求項3】
前記ターンテーブルと対向する位置に孔が穿設されており、該孔周縁に前記第1クランパ支持部及び第2クランパ支持部が設けられてある支持板を備え、
前記クランパは、前記孔に遊嵌してある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスククランプ装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルは、前記ディスクの中心孔に嵌合されて該中心孔から前記クランパ側に突出する凸部を備え、
前記クランパは、前記凸部に嵌合する凹部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のディスククランプ装置。
【請求項5】
前記引力発生機構は、前記ターンテーブル及び前記クランパに設けられた磁石(又は磁性体)及び磁性体(又は磁石)であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のディスククランプ装置。
【請求項6】
前記付勢部により前記第1クランパ支持部及び前記第2クランパ支持部夫々を接近方向に付勢する付勢力は、前記ターンテーブルが前記クランパに最接近した位置で前記引力発生機構により発生する引力よりも小なることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のディスククランプ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のディスククランプ装置を備えることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−108333(P2011−108333A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263279(P2009−263279)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】