説明

ディスクグラインダーおよびこれに装着されるカバー

【課題】携帯型のディスクグラインダーを用いた平面研削作業の作業性を高めることである。
【解決手段】集塵カバー31のカバー本体32に取付部33を設け、この取付部33をギヤケース15のボス部15aに固定して集塵カバー31をディスクグラインダー11に装着する。カバー本体32の天壁32bにハンドルスタンド41を一体に設ける。ハンドルスタンド41を天壁32bからカバー本体32の開口とは反対側に突出する半円筒状のスタンド41aとスタンド41aの上端に設けられる円形のハンドル41bとで構成し、集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されたときに、ハンドル41bの軸心がスピンドル16の軸心に一致するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被削材の平面研削作業に用いられる携帯型のディスクグラインダーおよびこれに装着されてディスク形の先端工具を覆うカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートや石材等の被削材の表面を平らに研削する平面研削作業には、ディスク形(ホイール形)の先端工具を備えた携帯型のディスクグラインダーが多く用いられる。
【0003】
ディスクグラインダーは内部に電動モータやエアモータ等の駆動源を収容する円筒状のケースを備えており、このケースの先端側にはケースの軸方向に直交して円筒状のボス部が設けられている。このボス部からはディスクグラインダーの出力軸となるスピンドルが突出しており、このスピンドルの先端に先端工具が取り付けられている。スピンドルはギヤ機構を介して駆動源に接続されており、駆動源が作動すると、スピンドルとともに先端工具が駆動源により回転駆動されるようになっている。
【0004】
ディスクグラインダーには、研削作業時に発生する粉塵等の飛散を防止するために、集塵アダプタとも呼ばれる集塵カバーが装着される。この集塵カバーは先端工具の全周を覆う周壁と背面側を覆う天壁とを備えたカップ状に形成されており、その天壁に設けられた取付部がボス部に固定されることによりディスクグラインダーに装着される。
【0005】
このようなディスクグラインダーを用いた平面研削作業は、先端工具の表面全体を被削材の表面に均一に押し当て、これを前後左右に動かすことにより行われる。そのため、ディスクグラインダーのケース部分のみを握って先端工具の全面を被削材に均一に押し付けることは困難であった。
【0006】
そこで、従来のディスクグラインダーでは、ケースの側部に設けたねじ孔に棒状のハンドルを取り付け、ケース部分に加えて、このハンドルを握って研削作業を行えるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−249428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ディスクグラインダーの側部に設けたねじ孔にハンドルを取り付ける構造では、ハンドルはスピンドルの軸心に対して径方向にずれて配置されることになる。そのため、このハンドルを握って先端工具の表面全体を被削材の表面に均一に押し付けるように力を加えることは困難であった。
【0009】
これに対して、ケースのねじ孔にステーを固定し、このステーを用いてハンドルをスピンドルの軸上に配置することで、先端工具に真上から力を加えることができるようにした構造が考えられる。
【0010】
しかしながら、この構造では、ケースのねじ孔がスピンドルの軸心からずれているので、ステーが複雑な形状となり、複雑な形状のステーではハンドルを精度よくスピンドルの軸上に位置決めすることが困難であるという問題が生じることになる。
【0011】
また、ディスクグラインダーの種類によってケースに設けられるねじ孔の位置や大きさが様々であるので、それぞれのディスクグラインダーに対して専用のステーを用意する必要があるという問題も生じることになる。
【0012】
本発明の目的は、携帯型のディスクグラインダーを用いた平面研削作業の作業性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のディスクグラインダーは、スピンドルにディスク形の先端工具が取り付けられた携帯型のディスクグラインダーであって、前記先端工具の全周を覆う周壁と背面側を覆う天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のディスクグラインダーは、前記ハンドルが前記スタンドに角度調整可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明のディスクグラインダーは、前記ハンドルが前記スタンドに着脱自在に設けられ、形状が異なる複数種類の前記ハンドルに交換可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明のディスクグラインダーは、前記スタンドが前記天壁に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明のカバーは、スピンドルにディスク形の先端工具が取り付けられた携帯型のディスクグラインダーに装着され、前記先端工具を覆うカバーであって、周壁と天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とする。
【0018】
本発明のカバーは、前記ハンドルが前記スタンドに角度調整可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明のカバーは、前記ハンドルが前記スタンドに着脱自在に設けられ、形状が異なる複数種類の前記ハンドルに交換可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明のカバーは、前記スタンドが前記天壁に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カバーをディスクグラインダーに装着するとハンドルがスピンドルの軸上に配置されるので、このハンドルを用いて先端工具に真上から押し付け力を加えることができる。これにより、先端工具の表面全体を被削材の表面に均一に押し付ける作業を容易にして、ディスクグラインダーを用いた平面研削作業の作業性を高めることができる。また、ハンドルをカバーに設けられたスタンドの上端に設けるようにしたので、カバーをディスクグラインダーに装着することにより、簡単な形状のスタンドでハンドルをスピンドルの軸上に容易且つ正確に位置決めすることができる。さらに、ハンドルをカバーに設けられたスタンドの上端に設けるようにしたので、ケース等の形状が異なる複数種類のディスクグラインダーに対しても、これにカバーを装着することでハンドルを容易且つ確実にスピンドルの軸上に位置決めすることができる。
【0022】
本発明によれば、ハンドルをスタンドに角度調節可能に取り付けるようにしたので、ハンドルの角度を作業者が握り易い角度に調節することにより、ディスクグラインダーを用いた平面研削作業の作業性をさらに高めることができる。
【0023】
本発明によれば、ハンドルをスタンドに対して着脱自在として、形状が異なる複数種類のハンドルに交換できるようにしたので、ハンドルを作業者の好みに応じた握り易い形状のものに交換することにより、ディスクグラインダーを用いた平面研削作業の作業性をさらに高めることができる。
【0024】
本発明によれば、スタンドをカバーの天壁に着脱自在に取り付けるようにしたので、狭い場所での作業時など、スタンドやハンドルが作業の妨げになる場合には、ハンドルをスタンドごとカバーから取り外すことができる。これにより、作業内容に応じてカバーの形態を変更可能として、ディスクグラインダーの作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態であるディスクグラインダーの斜視図である。
【図2】図1に示す集塵カバーの構造を示す断面図である。
【図3】図2に示すスタンドの形状を示す断面図である。
【図4】図2に示す集塵カバーの変形例であって、ハンドルをスタンドの上端に角度調整可能に取り付けた場合を示す断面図である。
【図5】図2に示す集塵カバーの変形例であって、ハンドルをスタンドの上端に着脱自在に設けて複数種類のハンドルに交換可能とした場合を示す断面図である。
【図6】図2に示す集塵カバーの変形例であって、スタンドをカバーの天壁に着脱自在に取り付けた場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1〜図3に示す携帯型(手持ち式)のディスクグラインダー11はディスクサンダーとも呼ばれるものであり、コンクリートや石材等の被削材12の表面を平らに研削する平面研削作業に用いられる。
【0028】
このディスクグラインダー11は円筒形に形成された本体ケース13を備えており、この本体ケース13の内部には図示しない電動モータが収容されている。電動モータは本体ケース13の後端部から引き出された電源コード14を介して図示しない商用電源に接続され、この商用電源から供給される電力により作動する。
【0029】
本体ケース13の先端部分にはギヤケース15が取り付けられている。このギヤケース15は本体ケース13の軸方向に直交する円筒状のボス部15aを備えており、このボス部15aに回転自在に支持されてギヤケース15にはスピンドル16が設けられている。スピンドル16はボス部15aと同軸に配置されており、その先端部分はボス部15aからギヤケース15の外部に向けて突出している。ギヤケース15の内部には一対のベベルギヤ(不図示)が収容されており、これらのベベルギヤにより電動モータの回転が90度方向を変えてスピンドル16に伝達されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、スピンドル16の先端には、ディスク形(ホイール形)の先端工具としてのダイヤモンド砥石ホイール17が取り付けられている。このダイヤモンド砥石ホイール17は鋼板によりカップ形に形成された基板17aを備えており、この基板17aの表面にはそれぞれ平面状に並べられた複数のダイヤモンド砥石17bが接着等の手段により固定されている。ダイヤモンド砥石ホイール17は、その基板17aの軸心においてスピンドル16の先端に装着され、このスピンドル16に装着されたワッシャ18とスピンドル16の先端にねじ結合されたナット19との間に挟み込まれて固定されている。
【0031】
ギヤケース15にはスピンドルロックボタン21が設けられ、このスピンドルロックボタン21を押すことによりスピンドル16を回転しないロック状態にすることができるようになっている。ダイヤモンド砥石ホイール17を固定するためにスピンドル16にナット19をねじ結合させるときには、スピンドルロックボタン21を押すことにより、ナット19とともにスピンドル16が回転することを防止することができる。
【0032】
本体ケース13に設けられた図示しない電源スイッチがオンされると、電動モータに電力が供給され、スピンドル16とともにダイヤモンド砥石ホイール17が電動モータに駆動されて回転する。回転したダイヤモンド砥石ホイール17の表面全体を被削材12の表面に均一に押し当てて前後左右に動かすことにより、被削材12の表面を平らに研削する平面研削作業を行うことができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、ディスク形の先端工具としてダイヤモンド砥石ホイール17を用いるようにしているが、これに限らず、その表面全体を被削材12の表面に押し当てることにより被削材12の表面を平らに研削することができる工具であれば、例えばサンディングディスクなど、他の先端工具を用いるようにしてもよい。
【0034】
このディスクグラインダー11には、研削作業により発生する研削粉等の粉塵の飛散を防止するために、カバーとしての集塵カバー31が装着されている。
【0035】
集塵カバー31は集塵アダプタとも呼ばれるものであり、ポリカーボネート等の樹脂材料により形成されたカバー本体32を備えている。このカバー本体32は、ダイヤモンド砥石ホイール17よりも大径の円筒状に形成された周壁32aと、スピンドル16の軸方向に垂直な円板状に形成されて周壁32aの軸方向端部を閉塞する天壁32bとを備えた形状に形成されている。つまり、カバー本体32は、ダイヤモンド砥石ホイール17の研削面側となる一端側のみが開口したカップ状(底付き円筒状)に形成されている。
【0036】
カバー本体32の天壁32bには、ディスクグラインダー11のボス部15aに固定される取付部33が設けられている。この取付部33はボス部15aの外径寸法と同一の内径寸法を有する半円筒形の第1アダプタ33aと、ボス部15aの外径寸法と同一の内径寸法を有する半円筒形に形成されて第1アダプタ33aと組み合わされる第2アダプタ33bとを備えている。第1アダプタ33aはカバー本体32の天壁32bと一体に形成されており、第2アダプタ33bは第1アダプタ33aとは別体に樹脂材料により形成されている。第1アダプタ33aの内周面をボス部15aの外周面に当接させ、反対側から第2アダプタ33bの内周面をボス部15aの外周面に当接させて各アダプタ33a,33bの両端部をボルト等の締結部材33cで締結することにより、2つのアダプタ33a,33bの間にボス部15aが挟み込まれて取付部33がボス部15aに固定される。そして、取付部33がボス部15aに固定されることにより、カバー本体32がディスクグラインダー11に固定されることになる。
【0037】
ここで、ボス部15aの外周面と各アダプタ33a,33bの内周面は、それぞれ、その先端側(スピンドル16が突出する側)の外径寸法が基端側の外径寸法よりも僅かに大きいテーパ状に形成されている。これにより、各アダプタ33a,33bがボス部15aから容易に抜けないようにして、カバー本体32を確実にボス部15aに固定することができる。
【0038】
取付部33がボス部15aに固定されると、集塵カバー31はボス部15aにより位置決めされた状態でディスクグラインダー11に装着される。集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されると、ダイヤモンド砥石ホイール17の全周がカバー本体32の周壁32aにより覆われるとともに、ダイヤモンド砥石ホイール17の研削面とは反対側となる背面側がカバー本体32の天壁32bにより覆われる。
【0039】
ダイヤモンド砥石ホイール17が被削材12の表面に当接したときに周壁32aと被削材12の表面との間に生じる隙間を閉塞するために、周壁32aの先端にはスカート(シール部材)34が設けられている。このスカート34は周壁32aよりも僅かに小径の円筒状に形成されており、図示する場合では、その材質はフェルトとされている。
【0040】
なお、スカート34としては、フェルト製のものに限らず、ブラシやスポンジ等の他の部材を用いるようにしてもよい。
【0041】
スカート34の上端には樹脂製の保持片35が固定されており、この保持片35が周壁32aの内周に形成された保持溝32cに係合することにより、スカート34は周壁32aに軸方向に移動自在に保持されるようになっている。また、周壁32aの内周面には、径方向内側の突出する区画片32dが設けられており、この区画片32dと保持片35との間にはスプリング等のばね部材36が配置されている。スカート34は、このばね部材36により周壁32aの開口の側に向けた軸方向に付勢されている。
【0042】
研削作業時にダイヤモンド砥石ホイール17の表面が被削材12の表面に押し付けられると、スカート34の先端部が被削材12の表面に摺接する。これにより、周壁32aと被削材12の表面との間の隙間がスカート34により閉塞される。また、研削作業時に集塵カバー31が被削材12の表面に対して傾斜した状態となっても、この傾斜に合わせてばね部材36が弾性変形することにより、スカート34は被削材12の表面に追従することができる。これにより、研削作業により生じる粉塵が周壁32aと被削材12の表面との間からカバー本体32の外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0043】
集塵カバー31の内部の区画片32dと天壁32bとにより区画された部分はファン収容部32eとなっており、このファン収容部32eには遠心ファンである集塵ファン37が収容されている。集塵ファン37はスピンドル16の根本部分に固定されてスピンドル16とともに回転するようになっており、この集塵ファン37が回転することにより、カバー本体32の内部の粉塵が吸引されて集塵ダクト38に送られるようになっている。集塵ダクト38はカバー本体32に一体に設けられており、カバー本体32から外部に向けて突出している。集塵ダクト38の先端には集塵ホース39が接続され、集塵ダクト38に送られた粉塵はこの集塵ホース39を介して図示しない集塵装置に集められるようになっている。このように、この集塵カバー31は、集塵ファン37により粉塵を強制的に集塵装置に集塵する自己集塵型となっている。
【0044】
集塵カバー31には、ディスクグラインダー11の作業性を高めるために、ハンドルスタンド41が設けられている。このハンドルスタンド41は、天壁32bに立設されるスタンド41aとスタンド41aの上端に設けられるハンドル41bとを有している。
【0045】
スタンド41aは天壁32bと一体に形成された樹脂製となっており、天壁32bの上面からカバー本体32の開口とは反対側に向けてスピンドル16の軸方向と平行に突出している。図3に示すように、スタンド41aはスピンドル16やボス部15aと同軸の半円筒状に形成された円筒部41a1を備えている。スタンド41aを半円筒形の円筒部41a1を備えた構成とすることにより、スタンド41aを小型且つ高強度に構成することができる。また、円筒部41a1の根本部分は取付部33の第1アダプタ33aと一体に形成されており、これによっても、スタンド41aの強度が高められている。
【0046】
集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されると、スタンド41aの円筒部41a1はディスクグラインダー11のギヤケース15の先端部分を囲うように配置される。円筒部41a1の内周面には、ギヤケース15の先端部との干渉を避けるために、当該先端部に沿った凹部41a2が形成されている。これにより、円筒部41a1を小径化して、スタンド41aを小型化することができる。
【0047】
また、円筒部41a1には、ギヤケース15に設けられたスピンドルロックボタン21に隣接して切欠部41a3が設けられている。この切欠部41a3は、円筒部41a1の側部を周方向に向けて切り欠いた形状に形成されている。この切欠部41a3を設けることにより、集塵カバー31が装着された状態でも、円筒部41a1を避けてスピンドルロックボタン21を容易に操作することができる。
【0048】
なお、図示する場合では、切欠部41a3を、円筒部41a1の側部を周方向に向けて切り欠いた形状に形成するようにしているが、これに限らず、円筒部41a1に設けた孔として形成するようにしてもよい。
【0049】
図2に示すように、円筒部41a1はギヤケース15の上端を超える高さにまで延びており、この円筒部41a1の先端つまり上端には、軸方向に垂直な上端壁部41a4が設けられている。この上端壁部41a4は円筒部41a1と一体に形成されており、集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されると、この上端壁部41a4によりギヤケース15のボス部15aとは反対側となる上側部分が覆われるようになっている。
【0050】
ハンドル41bは、スタンド41aの上端である上端壁部41a4に一体に設けられている。このハンドル41bは取付部33の軸と交差して形成された平坦部を有している。平坦部は中央部がやや盛り上がった肉厚の円板状に形成されており、その面積は掌程度の大きさとされている。また、このハンドル41bは円筒部41a1と同軸に配置されており、取付部33がボス部15aに固定されて集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されたときに、ギヤケース15の上側においてスピンドル16と同軸に配置されるようになっている。つまり、ハンドル41bは、集塵カバー31がディスクグラインダー11に装着されたときに、その軸心がスピンドル16の軸心と一致するように配置される。
【0051】
このディスクグラインダー11を用いて被削材12の表面の平面研削作業を行う際には、ディスクグラインダー11の本体ケース13を一方の手で握るとともに、ハンドル41bを他方の手で握って作業をすることができる。このとき、ハンドル41bは、ダイヤモンド砥石ホイール17が取り付けられたスピンドル16と同軸に配置されているので、このハンドル41bを手で下方に押すことにより、ダイヤモンド砥石ホイール17の軸心に力を加えることができる。つまり、このハンドル41bを用いることにより、ダイヤモンド砥石ホイール17の表面全体を被削材12の表面に均一に押し付ける作業が容易になる。したがって、このハンドル41bを用いることにより、ディスクグラインダー11の平面研削作業を容易にして、その作業性を高めることができる。
【0052】
このように、本発明では、集塵カバー31にハンドルスタンド41を設け、集塵カバー31をディスクグラインダー11に装着したときに、ハンドル41bがスピンドル16と同軸に配置されるようにしたので、このハンドル41bを用いることにより、ダイヤモンド砥石ホイール17の表面全体を被削材12の表面に均一に押し付ける作業を容易にして、このディスクグラインダー11を用いた平面研削作業の作業性を高めることができる。
【0053】
また、本発明では、ハンドル41bが取付部33の軸と交差して形成された平坦部を有するようにしたので、掌を用いてハンドル41bにより均一に力を加えることができるため、平面研削作業の作業性をより高めることが可能となる。
【0054】
さらに、ハンドルスタンド41が取付部33の軸を内周側に有する略円筒状に形成されるようにしたので、小型且つ高強度に構成することができ、ハンドル41bに力を加えた際の安定性を向上させることができると共に、破損等を抑制することが可能となる。
【0055】
さらに、本発明では、ハンドル41bをカバー本体32に立設されたスタンド41aの上端に設けるようにしたので、半円筒形という簡単な形状を有するスタンド41aでハンドル41bをスピンドル16の軸上に容易且つ正確に位置決めすることができる。
【0056】
さらに、本発明では、ハンドル41bをカバー本体32に設けられたスタンド41aの上端に設けるようにしたので、ボス部15aの外径寸法が同一のディスクグラインダー11であれば、そのギヤケース等の形状が異なるものであっても、この集塵カバー31を装着することにより、ハンドル41bを容易且つ確実にスピンドル16の軸上に位置決めすることができる。
【0057】
図4は図2に示す集塵カバーの変形例であって、ハンドルをスタンドの上端に角度調整可能に取り付けた場合を示す断面図である。
【0058】
図2に示す場合では、ハンドル41bをスタンド41aの上端壁部41a4に一体に設けるようにしている。これに対して、図4に示す変形例では、ハンドル41bをスタンド41aつまり上端壁部41a4とは別体に形成して、上端壁部41a4に角度調整可能に取り付けるようにしている。ハンドル41bの一端側にはヒンジ51が設けられ、このヒンジ51によりハンドル41bは上端壁部41a4に回動自在に支持されている。ヒンジ51の軸方向は本体ケース13の幅方向つまりスピンドル16と本体ケース13の両方の軸方向に垂直な方向に向けられており、ハンドル41bはヒンジ51を中心として前端側を上下方向に動かす方向に角度調整可能とされている。
【0059】
一方、ハンドル41bの他方側にはヒンジ51を中心とした円弧状の脚部52が一体に設けられ、この脚部52に設けられた調整溝52aに挿通されたボルト等のねじ部材53により脚部52を上端壁部41a4に締結することにより、ハンドル41bの角度を固定することができるようになっている。
【0060】
このように、本発明では、ハンドル41bをスタンド41aに角度調節可能に取り付けるようにしたので、ハンドル41bの角度を作業者が握り易い角度にして、このディスクグラインダー11を用いた平面研削作業の作業性をさらに高めることができる。
【0061】
図5は図2に示す集塵カバーの変形例であって、ハンドルをスタンドの上端に着脱自在に設けて複数種類のハンドルに交換可能とした場合を示す断面図である。
【0062】
図2に示す場合では、ハンドル41bをスタンド41aの上端壁部41a4に一体に設けるようにしている。これに対して、図5に示す変形例では、ハンドル41bをスタンド41aとは別体に形成し、これをボルト等のねじ部材54により上端壁部41a4に固定するようにしている。これにより、ハンドル41bはスタンド41aから着脱できる構成とされている。ハンドル41bとして、その形状や材質等が相違する複数種類のものを設けることにより、作業者が好みに応じて選択したハンドル41bをスタンド41aに装着することができる。つまり、スタンド41aはそのままに、ハンドル41bのみを作業者の好みに応じたものに容易に交換することができる。
【0063】
この場合、上端壁部41a4の表面には、円筒部41a1と同軸に円形の位置決めボス55が設けられ、ハンドル41bの底面の軸心には、位置決めボス55に対応した円形の位置決め凹部56が設けられている。ハンドル41bの位置決め凹部56を位置決めボス55に係合させることにより、ハンドル41bをスピンドル16の軸上に正確に位置決めすることができる。
【0064】
なお、ねじ部材54は、ハンドル41bの軸心に設けられた貫通孔57に挿通され、上端壁部41a4の位置決めボス55の軸心に設けられたねじ孔58にねじ結合される。
【0065】
このように、本発明では、ハンドル41bをスタンド41aに着脱自在の構成とし、形状が異なる複数種類のハンドル41bに交換できるようにしたので、ハンドル41bを作業者の好みに応じた握り易い形状のものに交換することを可能として、ディスクグラインダー11を用いた平面研削作業の作業性をさらに高めることができる。
【0066】
図6は図2に示す集塵カバーの変形例であって、スタンドをカバーの天壁に着脱自在に取り付けた場合を示す断面図である。
【0067】
図2に示す場合では、スタンド41aをカバー本体32の天壁32bに一体に設けるようにしている。これに対して、図6に示す変形例では、スタンド41aを天壁32bとは別体に形成し、ねじ部材61で天壁32bに着脱できる構成としている。
【0068】
このように、本発明では、スタンド41aをカバー本体32の天壁32bにねじ部材61を用いて着脱自在に取り付けることができる構成としたので、高さが低い場所や狭い場所での作業時など、ハンドルスタンド41が作業の妨げになる場合には、ハンドルスタンド41を集塵カバー31から取り外して、作業を行うことができる。これにより、作業内容に応じて集塵カバー31の形態を変更可能として、ディスクグラインダー11の作業性を高めることができる。
【0069】
スタンド41aの円筒部41a1の根本部分には径方向外側に突出するフランジ62が一体に設けられ、このフランジ62に挿通されたねじ部材61によりスタンド41aが天壁32bに固定される。円筒部41a1の根本部の内周面には、その内径を拡大した段差部63が形成されており、この段差部63の内周面を第1アダプタ33aの外周部分に当接させることにより、ハンドルスタンド41を天壁32bに精度よく位置決めすることができるようになっている。これにより、ハンドル41bを精度よくスピンドル16と同軸に位置決めすることができる。
【0070】
なお、図4〜図6においては、前述した部材に対応する部材には、同一の符号が付されている。
【0071】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、前記実施の形態においては、本発明のディスクグラインダー11として、電動モータを駆動源としたものを例示しているが、これに限らず、例えばエアモータなど、他の駆動源を備えたディスクグラインダーに本発明を適用するようにしてもよい。
【0072】
また、前記実施の形態においては、ハンドル41bをスピンドル16と同軸に配置するようにしているが、これに限らず、ハンドル41bは、その一部がスピンドル16の軸上に重なるように配置されていればよい。
【0073】
さらに、前記実施の形態においては、集塵ファン37や集塵ダクト38を備えた自己集塵型の集塵カバー31に本発明を適用した場合を示しているが、これに限らず、例えば、集塵機能を持たない保護カバー等の他のカバーに本発明を適用してもよい。
【0074】
さらに、前記実施の形態においては、取付部33をカバー本体32の天壁32bに一体に設けるとともに、周壁32aに被削材12に追従するスカート34を設けるようにしているが、これに限らず、天壁32bを取付部33が設けられる部分と周壁32aに連なる部分とに分離して構成し、分離部分をスプリング等の弾性体で連結することにより、カバー本体32を被削材12の表面に追従させる構成としてもよい。この場合、ハンドルスタンド41は、天壁32bの取付部33が設けられる側の部分に設けられる。
【0075】
さらに、前記実施の形態においては、スタンド41aはスピンドル16やボス部15aと同軸の半円筒状に形成される構成としたが、軸がずれていてもよく、また円筒ではなく棒状に構成されていてもよい。
【0076】
さらに、前記実施の形態においては、ハンドル41bは円板状に形成される構成としたが、円板状には限らない。また、このような略棒状のハンドルがスピンドル16の軸と略垂直方向に延びている構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
11 ディスクグラインダー
12 被削材
13 本体ケース
14 電源コード
15 ギヤケース
15a ボス部
16 スピンドル
17 ダイヤモンド砥石ホイール(先端工具)
17a 基板
17b ダイヤモンド砥石
18 ワッシャ
19 ナット
21 スピンドルロックボタン
31 集塵カバー
32 カバー本体
32a 周壁
32b 天壁
32c 保持溝
32d 区画片
32e ファン収容部
33 取付部
33a 第1アダプタ
33b 第2アダプタ
33c 締結部材
34 スカート
35 保持片
36 ばね部材
37 集塵ファン
38 集塵ダクト
39 集塵ホース
41 ハンドルスタンド
41a スタンド
41a1 円筒部
41a2 凹部
41a3 切欠部
41a4 上端壁部
41b ハンドル
51 ヒンジ
52 脚部
52a 調整溝
53 ねじ部材
54 ねじ部材
55 位置決めボス
56 位置決め凹部
57 貫通孔
58 ねじ孔
61 ねじ部材
62 フランジ
63 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルにディスク形の先端工具が取り付け可能な携帯型のディスクグラインダーであって、
前記先端工具の全周を覆う周壁と背面側を覆う天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、
前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、
前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、
前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とするディスクグラインダー。
【請求項2】
前記ハンドルが前記取付部の軸に略直交する方向に延びる平坦部を有することを特徴とする請求項1記載のディスクグラインダー。
【請求項3】
前記スタンドが前記取付部の軸を内周側に有する略筒状に形成されることを特徴とする請求項1または2記載のディスクグラインダー。
【請求項4】
前記ハンドルが前記スタンドに角度調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスクグラインダー。
【請求項5】
前記ハンドルが前記スタンドに着脱自在に設けられ、形状が異なる複数種類の前記ハンドルに交換可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスクグラインダー。
【請求項6】
前記スタンドが前記天壁に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスクグラインダー。
【請求項7】
スピンドルにディスク形の先端工具が取り付け可能な携帯型のディスクグラインダーに装着され、前記先端工具を覆うカバーであって、
周壁と天壁とを備え、一端が開口したカップ状に形成されたカバー本体と、
前記天壁に設けられ、前記スピンドルが突出する前記ディスクグラインダーのボス部に固定される取付部と、
前記天壁に該天壁から前記開口とは反対側に向けて突出して設けられたスタンドと、
前記スタンドの上端に設けられ、前記取付部が前記ボス部に固定されたときに前記スピンドルの軸上に配置されるハンドルとを有することを特徴とするカバー。
【請求項8】
前記ハンドルが前記取付部の軸に略直交する方向に延びる平坦部を有することを特徴とする請求項7記載のカバー。
【請求項9】
前記スタンドが前記取付部の軸を内周側に有する略筒状に形成されることを特徴とする請求項7または8記載のカバー。
【請求項10】
前記ハンドルが前記スタンドに角度調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項11】
前記ハンドルが前記スタンドに着脱自在に設けられ、形状が異なる複数種類の前記ハンドルに交換可能であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項12】
前記スタンドが前記天壁に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176474(P2012−176474A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41629(P2011−41629)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】