説明

ディスクドライブ及びトレイ制御システム

ディスクドライブ100におけるトレイ閉塞を自動的に検出し矯正する方法1000が開示される。本方法は、所定の時間間隔でトレイ108が中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブ100におけるトレイ閉塞の発生を検出するステップを含み、トレイが、第2位置にあるときに記憶媒体110を受けるように構成され、且つ、第1位置と第2位置の間の移動可能に支持されている。検出されたトレイ閉塞は、第1位置と第2位置の間でトレイ108を移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって矯正される。本技術は、トレイ開/閉機構の設計を有するCD,DVD,BDレコーダに対して有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題は、ディスクドライブに関し、より詳細には、ディスクドライブのトレイ制御機能に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ディスクを受けるトレイを含むディスクドライブを開示し、トレイは、ディスクドライブのケーシング内の第1位置と、ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間での移動可能に支持され、ディスクドライブは、第1位置と第2位置の間での移動のための電気モータと、電気モータの回転を調整するための電気モータを流れる電流を調整する調整手段とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2005/001827
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるディスクドライブではトレイの開動作中若しくはトレイの閉動作中、トレイは、ときどき、閉塞される。トレイ閉塞という用語は、トレイが閉位置でも開位置でもないことを意味する。トレイは、中間位置で閉塞される。この種のトレイ閉塞は、特にオーディオ/ビデオディスクドライブにおいて、望ましくない。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する改善された方法を提供することである。本発明の更なる目的は、トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する方法を提供することにより実現される。本方法は、所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出し、前記中間位置が、前記ディスクドライブのケーシング内の第1位置と前記ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、前記トレイが、前記第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、前記第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている。前記検出の結果に基づいて、前記トレイ閉塞は、前記第1位置と第2位置の間で前記トレイ(108)を移動させるように構成されたトレイモータ(102)のブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、矯正される。
【0007】
一実施例では、前記トレイ閉塞を矯正するステップは、所定の時間間隔で脈動電圧を用いて前記トレイモータを脈動化させることを含む。ここで脈動は、ある種の振動を指し、第1位置及び第2位置の間のトレイの1回の早い往復動が1回の脈動を決定する。これは、矯正方法が迅速で自動的であるという利点を有する。
【0008】
更なる実施例では、前記脈動電圧は、前記トレイモータの動作電圧よりも高い。トレイモータをより高い駆動電圧で動作させることは、トレイモータの異物が除去されてトレイ閉塞が矯正されることを可能とする。
【0009】
更なる他の実施例では、前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドは、前記トレイモータの脈動の完了時に前記トレイモータの正規の動作電圧を用いて開始される。これは、トレイモータの異物が除去されたことを確認するため、及び、トレイが通常の動作電圧で動作できるかをチェックするために実行される。これは、トレイ閉塞清浄プロセスの完了を保証する。
【0010】
更なる他の実施例では、トレイモータ駆動電圧は、前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するときに前記トレイが中間位置にある間に決定される。前記トレイモータを脈動させるための脈動電圧は、前記ディスクドライブにより許容可能な最大トレイモータ駆動電圧に基づいて選択される。これは、トレイモータが閉塞されるときの増加した電気モータ抵抗に起因してトレイモータを駆動するために必要とされる増加した始動トルクを、上回るのに十分であるという利点がある。
【0011】
更なる他の実施例では、前記トレイ閉塞を矯正するために必要とされるパルスの数がカウントされる。トレイモータは、前記パルスのカウントした数に応じた前記脈動電圧を用いて脈動される。本方法は、トレイモータ清浄プロセスがトリガされるべき回数を自動的に決定し、トレイ閉塞を矯正し、これにより、ディスクドライブの性能を改善する。
【0012】
トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する装置が開示される。本装置は、所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出するよう構成された検出ユニットであって、前記中間位置が、前記ディスクドライブのケーシング内の第1位置と前記ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、前記トレイが、前記第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、前記第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている、検出ユニットを含む。本装置は、前記検出ユニットの結果に基づいて、前記第1位置と第2位置の間で前記トレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、前記トレイ閉塞を矯正するように構成された矯正ユニットを更に含む。
【0013】
更に、トレイ閉塞を検出し矯正する方法は、コンピュータープログラムで実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】例の光ディスクドライブの概略ブロック図の一例を示す図。
【図2】例の光ディスクドライブで使用されるモータの一例を示す図。
【図3】例の光ディスクドライブで使用されるモータの一例を示す図。
【図4】例の光ディスクドライブの一例を示す図。
【図5】ブラシ−整流子間の異物の例を示す図。
【図6A】例の光ディスクドライブにおけるトレイ閉塞を検出する方法を図示したフローチャートの一例。
【図6B】例の光ディスクドライブにおけるトレイ閉塞を検出する方法を図示したフローチャートの一例。
【図7】例の光ディスクドライブにおけるトレイ閉塞を清掃するための脈動周波数及びトレイモータ駆動電圧の概略例を示す図。
【図8】例の光ディスクドライブにおけるトレイ閉塞を矯正する方法を図示したフローチャートの一例。
【図9】例の光ディスクドライブにおけるトレイ閉塞を検出し矯正するために使用される装置の概略ブロック図の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述の局面、特徴及び効果は、同一の参照符号が同一若しくは類似の部品に付されている添付図面を参照して、例のみにより更に説明されるだろう。
【0016】
図1を参照するに、光ディスクドライブ100は、外側のケーシングCS内に実現される。ディスク110を受け入れ搬送するトレイ108は、ケーシングCS内にある第1位置(即ち閉位置)から、ケーシングCSから完全に外側に突出する第2位置(即ち開位置)まで移動する。トレイ108は、電気モータ102により制御される。尚、光ディスクドライブ100は、ここでは、CD,DVD及びブルーレイディスクドライブのような光ディスクドライブを指し、ディスクは、ここでは、CDディスク,DVDディスク及びブルーレイディスクのような光記録媒体を指す。更に、本主題は、ドライブ内に記憶媒体をロードするためのトレイ機構を有する一般的なドライブに関連する。
【0017】
光ディスクドライブでは、記憶媒体(例えば、CDディスク,DVDディスク若しくはブルーレイディスク)は、ローダ機構により、一般的にトレイを含む光ディスクドライブ(例えばCDドライブ,DVDドライブ若しくはブルーレイディスクドライブ)内にロードされる。ディスク上に記録し若しくはディスクを再生するため、ユーザは、トレイ108上にディスク110を載置し、トレイ108は、ユーザがボタン若しくはトレイ自体を押した後、光ディスクドライブ100内にディスク110を搬送する。トレイが光ディスクドライブ内にあるとき、傾動機構は、ディスクがトレイから離れて上昇するように上方に回転テーブルを傾斜させる。光ディスクドライブからディスクを出すため、ローダ機構は、逆方向に駆動される。実質的には、トレイは、ドライブのケーシング内の第1位置(即ち閉位置)と、ケーシングCSから完全に外側に突出する第2位置(即ち開位置)の間の移動のために支持されている。
【0018】
ローダ機構は、ギアトランスミッションを介して電気モータ102により駆動される。図2及び図3は、光ディスクドライブにおいて使用されるブラシモータ(図1参照)の一例を示す。一般的に、ハードウェアスイッチ(通常、機械式若しくは光学式)は、トレイ若しくはローダ機構が開動作/閉動作を完了したか否かを検出するために光ディスクドライブ100に含められる。かかるハードウェアスイッチは、一般的に、トレイスイッチと称され、図4に示すようなものである。トレイスイッチは、トレイが実際に閉じたか否かについての完全な確実性を与える。即ち、トレイスイッチが閉じている場合は、トレイは、その端部位置の一方(即ち、開位置若しくは閉位置)になければならない。2つのトレイスイッチ、即ちa)トレイスイッチオープン及びb)トレイスイッチクローズがある。トレイの開閉動作は、次のように、トレイスイッチ及びトレイスイッチクローズにより制御される。1)トレイスイッチオープンが真であり、トレイスイッチクローズが偽であるとき、トレイは移動している。2)トレイスイッチ及びトレイスイッチクローズの双方が真であるとき、トレイは移動の準備ができている。トレイアウト動作の場合、これは、トレイアウト動作が完了し準備できていることが通知されていることを意味する。
【0019】
電気モータ102(図1参照)のブラシ−整流子間の境界(インターフェース)が汚れ、高いモータ抵抗を生む場合がある。かかる状態が生じるとき、光ディスクドライブ100の電気モータ102は、機能せず、トレイ閉塞をもたらしうる。ここで、トレイ閉塞は、トレイが閉位置でも開位置でもないことを意味する。トレイは、閉位置と開位置の間の任意の位置である中間位置で閉塞される。この種のトレイ閉塞は、特にオーディオ/ビデオディスクドライブにおいて、望ましくない。更に、電気モータ102が長い時間周期に亘って低電流で稼働する場合、ブラシは、汚れ、整流子との接触が信頼性の無いものとなる。図5は、ブラシ−整流子間の異物の例を示す。尚、電気モータ102は、第1位置(閉位置)及び第2位置(開位置)の間でトレイを移動させるように構成されたトレイモータを指す。
【0020】
[実施例の詳細な説明]
従って、トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する方法が開示される。本方法は、所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出し、中間位置が、ディスクドライブのケーシング内の第1位置とケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、トレイが、第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている。検出の結果に基づいて、トレイ閉塞は、第1位置と第2位置の間でトレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、矯正される。
【0021】
トレイが開位置(図1のトレイ開参照)にあり、且つ、トレイが閉められるとき、トレイインコマンドが始動される。トレイインコマンドは、トレイ上に配置されたディスクをセンシングするときにユーザがボタンを押した後若しくはトレイ自体を押した後に始動されることができる。他方、トレイが閉じ位置にあり、且つ、トレイが開けられるとき、トレイアウトコマンドが始動される。トレイアウトコマンドは、ユーザがボタンを押した後に始動されることができる。トレイアウトコマンドは、トレイを閉位置から開位置に移動させる。
【0022】
トランスデューサの検出の詳細な機能が図6に付与される例のフローチャートに示される。図6を参照するに、2種類のスイッチが、トレイの移動を検出し制御するために使用される。一方は物理的なスイッチ(図4参照)であり、他方は、仮想的なスイッチ(図6参照)である。
【0023】
物理的なスイッチは、トレイの状態を指示するために使用される。トレイが完全な閉位置にある場合、それは、第1位置と称される。即ち、トレイは、光ディスクドライブ(図1参照)のケーシング内である。トレイが完全に開位置にある場合、それは、第2位置と称される。即ち、トレイは、光ディスクドライブ(図1参照)のケーシングから完全に外側に突出している。
【0024】
トレイが完全な開位置若しくは完全な閉位置にあるとき、TRAYSWフラグはハイにセットされる。トレイが中間位置にあるとき(図1参照、第1位置と第2位置の間)、TRAYSWフラグはローにセットされる。更に、トレイが所定の時間間隔に亘って中間位置にある場合、トレイは閉塞されている。所定の時間間隔は、約30ミリ秒であってよい。それ故に、TRAYSWフラグの状態を検出することによって、トレイが開位置にあるか閉位置にあるか中間位置にあるかを判断することが可能である。
【0025】
2つのスイッチの状態は、次のように、TRAYSWフラグ及びトレイコマンドにより検出される。
トレイが完全に閉状態であるとき、Tray_swich_close=1, Tray_swich_open=0、
トレイが完全に開状態であるとき、Tray_swich_close=0, Tray_swich_open=1
TRAYSW=1のとき、仮想トレイスイッチは、完全な閉状態若しくは完全な開状態のいずれかである。TRAYSW=0のとき、仮想トレイスイッチは、トレイアウト状態/移動状態であり、Tray_swich_close=0且つTray_swich_open=0である。
【0026】
トレイ閉塞は、電気モータ102(図1参照)が閉塞されたときに生ずる。異物は、大気中の汚染、梱包材料からのガス発生に起因し、若しくは、電気モータの生産品質に起因する。これらの異物は、電気モータの抵抗の増加をもたらす。増加した電気モータの抵抗は、モータ始動トルクを低減する。モータ始動トルクは、次のとおりである。
Ts=KIs
Is=Vs/(Rm+Rcon)
ここで、記号の意味は次のとおりである。
Ts=始動トルク
K=モータトルク係数
Is=始動電流
Vs=始動電圧
Rm=モータ抵抗
Rcon=異物に起因した抵抗
ある一定の始動トルクは、トレイ閉塞を検出した後にトレイを開ける及び/又は閉じるために必要とされる。モータ始動トルクTsを回復するためには、Rconは、低減若しくは最小化される必要がある。トレイイン位置中のブラシと整流子の間の幾らかの機械的な動きにより、異物に起因した抵抗Rconを低減することができる。これは、一種の洗浄プロセスと看做すことができる。
【0027】
一実施例では、本方法は、検出の結果に基づいて、第1位置と第2位置の間でトレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、トレイ閉塞を矯正する。これは、本方法がドライブを解体することなく及び/又は環境に優しくなく望ましくない洗浄要素を用いることなくトレイ閉塞の問題を矯正するという利点を有する。
【0028】
更なる実施例では、トレイ閉塞を矯正することは、所定の時間間隔に亘って脈動電圧を用いてトレイモータを脈動させることを含む。ここで、脈動は、ある種の振動を指し、第1位置及び第2位置の間のトレイの1回の早い往復動が1回の脈動を決定する。これは、矯正方法が迅速で自動的であるという利点を有する。所定の時間間隔は、短い時間間隔(約50ミリ秒)であってよい。脈動周波数は、約20Hzであってよく、トレイモータを洗浄するための全体としての脈動時間は、約250ミリ秒(即ち、トレイモータ脈動の5倍)であってよい。脈動は、約5回の短くて早いトレイ往復動であってよい。全体の脈動時間間隔は250ミリ秒であり、脈動周波数は約20Hz(1/50ミリ秒)である。脈動周波数は、トレイモータの特性に基づいて可変されてもよい。
【0029】
更なる他の実施例では、脈動電圧は、トレイモータの動作電圧よりも高い。トレイモータ(図1参照)は、時計/反時計方向により高い電圧パルスで作動される。これは、より高い駆動電圧(例えば、+5ボルト)でトレイモータを駆動することによって実現される。より高い駆動電圧でトレイモータを動作させることは、トレイモータの異物が除去されてトレイ閉塞が矯正されることを保証する。これは、本方法が光ディスクドライブ100(図1参照)が使用される分野で実行でき、トレイ閉塞を強制するための如何なる追加の構成要素を必要としないという利点を有する。
【0030】
更なる他の実施例では、トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドは、トレイモータの脈動の完了時にトレイモータの正規の動作電圧を用いて開始される。これは、トレイモータ102(図1参照)の異物が除去されたことを確認するため、及び、トレイ(図1参照)が通常の動作電圧で動作できることをチェックするために実行される。更に、このチェックは、トレイ閉塞清浄プロセスの完了を保証する。
【0031】
更なる他の実施例では、トレイモータ駆動電圧は、トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するときにトレイが中間位置にある間に決定される。トレイモータを脈動させるための脈動電圧は、ディスクドライブにより許容可能な最大トレイモータ駆動電圧に基づいて選択される。これは、トレイモータが閉塞されるときの増加した電気モータ抵抗に起因してトレイモータを駆動するために必要とされる増加した始動トルクを、上回るのに十分であるという利点がある。トレイ閉塞が検出されたとき、トレイモータ脈動を実行するために光ディスクドライブにより提供される最大の可能な駆動電圧(例えば、+5ボルト)を使用するトレイモータ清浄プロセスがトリガされる。
【0032】
更なる他の実施例では、トレイ閉塞を矯正するために必要とされるパルスの数がカウントされる。トレイモータは、パルスのカウントした数を関数とする脈動電圧を用いて脈動される。トレイモータの異物の厳しさは、パルスの数を決める。本方法は、トレイモータ清浄プロセスがトリガされるべき回数を自動的に決定し、トレイ閉塞を矯正し、これにより、ディスクドライブの性能を改善する。
【0033】
脈動電圧及び脈動周波数を選択する1つの可能なシナリオが図7に示される。トレイモータ洗浄プロセスがトリガされる毎に、光ディスクドライブ100(図1参照)は、25Hzの周波数及び5ボルトの脈動電圧で5回、トレイモータ102(図1参照)を脈動させるだろう。トレイモータ脈動が終了したとき、完全なトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドが、正規のトレイの動きが回復された(即ち、トレイ閉塞が矯正され、トレイの動きが正常である)か否かをチェックするために始動される。トレイ閉塞が矯正されておらず、通常のトレイの動きが回復されていない場合、トレイモータ清浄動作の第2回目が、トレイ閉塞が矯正されるまで繰り返されるだろう。トレイモータ清浄動作は、通常のトレイの動きが回復されるまで繰り返される。ある一定回数だけトレイモータ清浄プロセスを繰り返した後、トレイモータ102(図1参照)が異常を有していると宣言される。トレイモータ清浄プロセスが繰り返されるべき回数は、トレイモータ102の特性に依存する。トレイモータ清浄プロセスの回数は、約10であってよい。
【0034】
実施例で開示されるトレイ閉塞矯正方法の詳細な動作は、図8の例のフローチャートに示される。尚、図8のフローチャートは、1回のトレイモータ清浄動作のために実行されるべき各ステップを示す。トレイモータの異物の厳しさに基づいて、トレイモータ清浄動作は幾つかの回数繰り返される。本方法は、CD,DVD及びブルーレイディスクレコーダ及びプレーヤのような、トレイ開閉機構を有する全てのディスクレコーダ及びプレーヤで使用することができる。本方法は、自動的にトレイ閉塞を検出して矯正し、これにより、全体としてのディスクドライブの性能を改善する。
【0035】
図9は、トレイ閉塞を自動的に検出し矯正する装置900を開示し、当該装置900は、所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出するよう構成された検出ユニット902を含む。装置900は、更に、検出ユニットの結果に基づいて、トレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、トレイ閉塞を矯正するように構成された矯正ユニット904を含む。矯正ユニット904は、更に、所定の時間間隔に亘って脈動電圧を用いてトレイモータ102を脈動化させるように構成された脈動化ユニット906を含む。動作時、光ディスクドライブ100は、上述の実施例で説明したようにトレイ閉塞状態を自動的に検出して矯正する装置900を含む。全体としての駆動性能を増加させることができる。
【0036】
上記の主題は、例の光ディスクドライブを用いた実施例により説明されているが、当業者は、トレイ閉塞の発生を検出しトレイ閉塞を矯正する方法の上述の実施例をソフトウェア若しくはハードウェア及びソフトウェアの双方で実現することができる。開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付クレームの研究から、クレームされた主題を実現する当業者により理解され実行されることができるだろう。動詞“comprise(含む)”及びその変形は、請求項や明細書全体に言及された以外の要素の存在を除外するものでない。要素やステップの前に付される単数表現の冠詞は、かかる要素やステップの複数の存在を除外するものでない。図及び説明は、例示的にのみ解釈されるべきであり、主題を限定するものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出するステップであって、前記中間位置が、前記ディスクドライブのケーシング内の第1位置と前記ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、前記トレイが、前記第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、前記第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている、ステップと、
前記検出の結果に基づいて、前記第1位置と第2位置の間で前記トレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、前記トレイ閉塞を矯正するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記トレイ閉塞を矯正するステップは、所定の時間間隔で脈動電圧を用いて前記トレイモータを脈動化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脈動電圧は、前記トレイモータの動作電圧よりも高い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トレイモータの脈動の完了時に前記トレイモータの動作電圧を用いて前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するときに前記トレイが中間位置にある間にトレイモータ駆動電圧を決定するステップと、
前記ディスクドライブにより許容可能な最大トレイモータ駆動電圧に基づいて前記トレイモータを脈動させるための前記脈動電圧を選択するステップとを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記トレイ閉塞を矯正するために必要とされるパルスの数をカウントするステップと、
前記パルスのカウントした数に応じた前記脈動電圧を用いて前記トレイモータを脈動させるステップとを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出するよう構成された検出ユニットであって、前記中間位置が、前記ディスクドライブのケーシング内の第1位置と前記ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、前記トレイが、前記第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、前記第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている、検出ユニットと、
前記検出ユニットの結果に基づいて、前記第1位置と第2位置の間で前記トレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、前記トレイ閉塞を矯正するように構成された矯正ユニットとを含む、装置。
【請求項8】
前記矯正ユニットは、
所定の時間間隔で脈動電圧を用いて前記トレイモータを脈動化させるように構成された脈動化ユニットを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記脈動化ユニットは、更に、前記トレイモータの動作電圧よりも高い脈動電圧を用いるように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記トレイモータの脈動の完了時に前記トレイモータの動作電圧を用いて前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するように構成された始動ユニットを更に含む、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記トレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドを開始するときに前記トレイが中間位置にある間にトレイモータ駆動電圧を決定するように構成されたトレイモータ電圧決定ユニットを更に備え、
前記脈動化ユニットは、更に、前記ディスクドライブにより許容可能な最大トレイモータ駆動電圧に基づいて前記トレイモータを脈動させるための前記脈動電圧を選択するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記トレイ閉塞を矯正するために必要とされるパルスの数をカウントするように構成されたカウンタを更に備え、
前記脈動化ユニットは、更に、前記パルスのカウントされた数に応じた前記脈動電圧を用いて前記トレイモータを脈動させるように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
所定の時間間隔でトレイが中間位置にあるか否かを判断することによってトレイアウトコマンド若しくはトレイインコマンドの受信時にディスクドライブにおけるトレイ閉塞の発生を検出するステップであって、前記中間位置が、前記ディスクドライブのケーシング内の第1位置と前記ケーシングから完全に外側に突出した第2位置の間の位置であり、前記トレイが、前記第2位置にあるときに記憶媒体を受けるように構成され、且つ、前記第1位置と第2位置の間で移動可能に支持されている、ステップと、
前記検出の結果に基づいて、前記第1位置と第2位置の間で前記トレイを移動させるように構成されたトレイモータのブラシ−整流子間の境界を清掃することによって、前記トレイ閉塞を矯正するステップとを含む方法、を実行させるプログラムコード手段を含むコンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−514077(P2010−514077A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540960(P2009−540960)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055100
【国際公開番号】WO2008/072208
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】