説明

ディスクドライブ装置

【課題】 本発明は、振動によるディスクの脱落を防ぐことができるディスクドライブ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明のディスクドライブ装置1は、ディスクを、ディスクドライブ装置1に出し入れする時の取出位置とディスクドライブ装置1内においてディスクの読出・記録を行う位置との間を移動させるローディング部2と、ローディング部2の動作環境状態を検知する各種環境センサと、環境センサの検知情報に基づきローディング部2を制御してディスクを、取出位置から読出位置に移動させる制御マイコン3とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データが記録されたディスクを出力するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versati
le Disc),MD(Mini Disc)等の記録媒体が普及し、それに伴い、こ
れらの記録媒体に記録された情報(音や画像等)を読み出したり、記録媒体に情報を記録したりするディスクドライブ装置も普及している。
【0003】
ディスクドライブ装置には、ユーザによる取り出し指示(例えば、ディスクを取り出すためのイジェクトボタンを押すイジェクト操作)を受けて、再生位置(ローディング位置)から取り出し可能な位置(イジェクト位置)にディスクを排出するタイプのものがある。
【0004】
また、従来のディスクドライブ装置には、ユーザがイジェクト操作を行わない限り取出位置に保持されたディスクはイジェクト位置に保持されたままとなるものがあった。このようにディスクがイジェクト位置にあると、ディスクがドライブ装置の外側に突出した状態となっているため、例えば車載オーディオ機器等のように振動が加わるような使用環境においては、振動によりディスクが脱落してしまう虞があった。
【0005】
また、この他にもトレイ方式のディスクドライブ装置がある(特許文献1参照)。このようなディスクドライブ装置は、ディスクをトレイに載置し、ディスクを出力又は記録すうるローディング位置へトレイごと移動する。さらに、このディスクドライブ装置は、トレイが一定時間以上開かれていることを受けて自動的にトレイを引き込む制御が行われている。
【特許文献1】実開平6−84588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したトレイ式のディスクドライブ装置も、一定時間はトレイが開いた状態となるため、この時間中に振動が加わった場合は、やはりディスクが脱落してしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、振動によるディスクの脱落を防ぐことができるディスクドライブ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、すなわち、本発明は、記記録媒体ディスクに記録された情報の読出、或いは記録媒体ディスクへの情報の記録をおこなうディスクドライブ装置であって、記録媒体ディスクについて、記録媒体ディスクの取出位置と記録媒体ディスクの読出・記録位置との間を移動させるローディング手段と、ローディング手段の動作環境状態を検知する環境検知手段と、環境検知手段の検知情報に基づきローディング手段を制御して記録媒体ディスクを、取出位置から読出・記録位置に移動させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ディスクドライブ装置の動作環境に合わせて、記録媒体ディスクのローディングの制御を実行するため、記録媒体ディスクの破損や落下を防ぐことができる。
【0010】
また本発明に係るローディング手段は、記録媒体ディスクが取出位置にあるか読出・記録位置にあるかを検知するディスク位置検知手段をさらに備えている。そして、本発明の制御手段は、ディスク位置検知手段の検知情報に基づいて記録媒体ディスクが取出位置にあることを判定し、且つ環境検知手段の検知情報を受信したときにローディング手段を制御して記録媒体を、取出位置から読出・記録位置に移動させる制御を実行すると好ましい。
【0011】
これにより、本発明によれば、記録媒体ディスクが取出位置に残存している状態、言い換えれば、記録媒体ディスクがディスクドライブ装置の外側に飛び出したままの状態となることがなくなる。例えば、環境検知手段が振動を検知する振動センサである場合、振動センサがディスクドライブ装置に加わる振動や衝撃を検知すると、取出位置にあったディスクが読取・書込位置に移動する制御が実行される。
【0012】
このような制御により、ディスクドライブ装置から記録媒体ディスクが落下することを防止することができる。勿論、このような制御により、ローディング手段自体の故障を防止することも可能である。
【0013】
さらに、本発明に係る環境検知手段は、温度を検知する温度センサとすると好ましい。日中の密閉された空間や車輌内は高温状態となることがある。本発明のディスクドライブ装置は、このような温度変化の激しい環境に置かれた場合でも、温度センサにより検知された温度が所定の温度よりも高い(低い)場合、自動的に記録媒体ディスクを読取・記録位置に移動させる制御を実行する。これによって、記録媒体ディスクが高温(低温)にさらされることを未然に防止することができ、記録媒体ディスクの変形を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明のディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、環境検知手段は、車輌の加速度を検知する加速度センサとすることもできる。
【0015】
これにより、車輌が急発進し加速度が急激に大きくなった場合においてディスクが脱落することを防止することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る環境検知手段は、車輌の速度を検知する速度センサ、或いは、車輌の速度や加速度の変化に密接に関係する車輌のアクセル開度に対応した電気信号を検知するアクセル開度センサとすることもできる。
【0017】
速度センサ及びアクセル開度センサは、車輌に予め取り付けられている。そのため、本発明は、これらの既存のセンサを用いて、ディスクドライブ装置の制御を実現することもできる。これにより、本発明の汎用性が向上する。
【0018】
また、本発明のディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、環境検知手段は、少なくとも、車輌の施錠状態を検知する施錠センサと、車輌のシートの着座状態を検知する着座センサとの何れか一つを含むことを特徴とする。
【0019】
近年においては、無人の車輌内で、記録媒体ディスクがディスクドライブ装置本体の外側(すなわち、載置位置)に出ていると車上荒らし等により記録媒体ディスクが盗難されてしまう懸念があった。
【0020】
しかしながら、本発明に係る施錠センサにより車輌が施錠されていること、及び着座センサにより車輌のシートに人が着座していないことを検知すると、車輌内には人がいない
ものとして制御手段は取出位置にあった記録媒体ディスクを読取・記録位置に移動させる制御を実行する。尚、記録媒体ディスクの移動制御は、施錠センサの検知情報と着座センサの検知情報とを合わせて実行されることが好ましいが、少なくとも片方の検知情報があればよい。
【0021】
このように、本発明によれば、無人の車輌内における記録媒体ディスクの盗難を防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明のディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、環境検知手段は、ETC(Electronic Toll Collection)車載器に設けられたETCカードの挿入を検知するETCカード挿入センサを含み、制御手段は、ETCカード挿入センサからの信号によりETCカードの挿入を検知したときには、車輌の運転が開始されるものとして、ローディング手段を制御して記録媒体ディスクを前記取出位置から読出・記録位置に移動させる制御を実行するようにすると好ましい。
【0023】
これにより、記録媒体ディスクが取出位置にあるままで車輌の運転を開始してしまったとしても、車輌の走行に伴う揺れや振動などにより記録媒体ディスクが落下したり、破損したりすることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、振動によるディスクの脱落を防ぐことができるディスクドライブ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本実施形態のディスクドライブ装置について図面を参照し説明する。尚、本実施形態の記録媒体ディスクには、CD(Compact Disc),DVD(Digit
al Versatile Disc),MD(Mini Disc)等が含まれるが、
本実施形態中では総称してディスクと称することとする。
【0026】
また、本発明のディスクドライブ装置としては、家庭用のオーディオデッキやDVDプレーヤーやパーソナルコンピュータ、或いは車輌に搭載されるカーオーディオやカーナビゲーションシステム等の再生・記録装置として様々あるが、本実施形態のディスクドライブ装置は、車輌(自動車)に搭載されるカーオーディオ或いはナビゲーションシステムを想定したディスクドライブ装置として説明する。
【0027】
<ハードウェア構成>
図1に示すように、本実施形態のディスクドライブ装置1は、ディスク(記録媒体ディスク)を、ディスクドライブ装置1に出し入れする時の取出位置とディスクドライブ装置1内においてディスクの読出・記録を行う位置(読出・記録位置)との間を移動させるローディング部(ローディング手段)2と、ローディング部2の動作環境状態を検知する各種環境センサ(環境検知手段)と、環境センサの検知情報に基づきローディング部2を制御してディスクを、取出位置から読出位置に移動させる制御マイコン(制御手段)3とを備えている。
【0028】
本実施形態に係るローディング部2は、スロットローディング方式を採用しており、ディスク入り口付近にディスクの位置を検知するディスク位置検知センサ4が設けられている。このディスク位置検知センサ(ディスク位置検知手段)4により、ディスクが取出位置にあるか読出・記録位置にあるかを検知する。
【0029】
また、ローディング部2は、モータ5からの駆動力を駆動源として駆動する。尚、勿論
、本実施形態に係るローディング部2は、スロットローディング方式に限らず、トレイにディスクを載置するトレーローディング方式とすることもできる。
【0030】
さらに、ディスクドライブ装置1は、ディスクの出し入れを指示するイジェクトスイッチSWと、ディスクに記録された信号を読取、それを電気信号に変換して出力するピックアップ6と、ピックアップ6から受けた信号を高速で変調/復調処理を行うDSP(Digital Signal Processor)7とを有している。DSP7では、モータ5及びピックアップ6から受信した信号が変調/復調処理され、その処理情報は制御マイコン3に送信される。
【0031】
また、本実施形態における環境センサには、車輌の走行に伴い発生する振動を検知する振動センサ8と、車内の温度を検知する温度センサ9とがある。本実施形態では、これらのセンサはディスクドライブ装置1の本体に設けられている。勿論、これらのセンサは、ディスクドライブ装置1本体の外に設けられていてもよい。
【0032】
さらに、本実施形態における環境センサには、車輌の加速度を検知する加速度センサ10と、車輌のアクセル開度に対応した電気信号を検知するアクセル開度センサ11と、車輌の速度を検知する速度センサ12と、車輌の施錠状態を検知する施錠センサ13と、車輌のシートの着座状態を検知する着座センサ14とがある。
【0033】
また、その他にも、本実施の形態の環境センサとして、ETC(Electronic Toll Collection)車載器(不図示)に設けられたETCカード挿入センサ15がある。
【0034】
これらの環境センサ(加速度センサ10,アクセル開度センサ11,速度センサ12,施錠センサ13,着座センサ14,ETCカード挿入センサ15)は、ディスクドライブ装置の制御マイコン3とは別の制御系統であるコントローラ16に検知情報を送信する。このコントローラ16は、カーオーディオ又はナビゲーションシステムの主制御を司る制御装置である。各種環境センサから送信された検知情報は、コントローラ16から制御マイコン3に送信され、制御マイコン3にてディスクを取出位置から読出・記録位置に移動させる制御(以下、ローディング制御と称す)が行われる。
以上が、本実施形態のディスクドライブ装置1のハードウェア構成である。
【0035】
<検知方法及び検知情報に基づく制御パターン>
次に、各環境センサの検知方法と、検知情報に基づくローディング制御パターンについて詳説する。
【0036】
(振動センサ)
図2に振動センサ8からの検知情報によるローディング制御のフローチャートを示す。尚、この処理はディスクドライブ装置の制御マイコン3が動作中(ディスクドライブ装置が本来の動作をしていない時も)に繰り返し実行される。
【0037】
まず、制御マイコン3は、ディスクが取出位置にあるか否かをディスク位置検知センサ4からの検知情報により判断する(S01)。ここでディスクの位置が読出・記録位置にあると判断された場合は、本処理は終了する。
【0038】
一方、ステップ01で制御マイコン3によりディスクが取出位置にあると判断されると、次に振動センサ8により振動が検知されたか否かを判断する(S02)。ここで振動がないと判断された場合は、本処理は終了する。
【0039】
一方、ステップ02で制御マイコン3が振動を検知したと判断した場合、その振動がロ
ーディングの制御を実行するための判断基準(閾値)をクリアしているか否かの判断を実行する(S03)。
【0040】
制御マイコン3による制御の判断基準として、例えば、図3に示すように、振動の振れ幅の閾値(w)と、その閾値(w)を所定時間(t:例えば5秒間)中に超えた回数の閾値とを予め設定しておき、それらの閾値の少なくとも何れか一方を超えた場合に、取出位置にあるローディング部2を読出・記録位置に移動させるというパターンを挙げることができる。
【0041】
また、その他には、振動の振れ幅の閾値(w)を予め設定しておき、この閾値(w)を超えた時間(t)が予め決めた設定時間(例えば3秒間)よりも長い場合、制御マイコン3は、取出位置にあるローディング部2を読出・記録位置に移動させるパターンを例示できる。
【0042】
制御マイコン3は、振動センサ8からの検知情報がこのような判断パターンに基づき閾値をクリアしていると判断した場合、ローディング制御を実行する(S04)。
【0043】
このように、一定の振動以上の振動が起こった場合には、取出位置にあったディスクを読出・記録位置に移動させるローディング制御が行われるため、振動によりディスクが落下し、ディスクが破損したり損傷したりすることを未然に防止することができる。
【0044】
(温度センサ)
図4に温度センサ9からの検知情報によるローディング制御のフローチャートを示す。
まず、制御マイコン3は、ディスクが取出位置にあるか否かをディスク位置検知センサ4からの検知情報により判断する(S10)。ここでディスクの位置が読出・記録位置にあると判断された場合は、本処理は終了する。
【0045】
一方、ステップ10で制御マイコン3によりディスクが取出位置にあると判断されると、次に温度センサ9により温度が検知されたか否かを判断する(S11)。ここで温度検知がされていないと判断された場合は、本処理は終了する。
【0046】
一方、ステップ11で制御マイコン3が温度が検知したと判断した場合、その温度がローディングの制御を実行するための判断基準(閾値)をクリアしているか否かの判断を実行する(S12)。
【0047】
制御マイコン3による制御パターンとして、例えば、図5に示すように、予め温度の閾値(K)を設定しておき、この閾値(K)を超えた時(t)に取出位置にあるローディング部2を読出・記録位置に移動させるという制御パターンを挙げることができる。
【0048】
ここでの温度の閾値(K)は、ディスクの種類に応じて設定する。例えば、CD−RWの耐熱温度は約40度であるためCD−RWの閾値は35度としたり、CD−R,CD−ROM,MOの耐熱温度は約52度であるためこれらの閾値は47度としたりする場合が考えられる。
【0049】
制御マイコン3は、温度センサ9からの検知情報がこのような判断パターンに基づき閾値を超えていると判断した場合、ローディング制御を実行する(S13)。
【0050】
このように、温度センサ9を設けることにより、ディスクドライブ装置1が、温度変化の激しい環境に置かれた場合でも、検知した温度が閾値を超えている場合、ローディング部2のローディング制御を実行するため、温度変化によるディスクの変形や損傷を防ぐこ
とができる。
【0051】
(加速度センサ,アクセル開度センサ,速度センサ)
本実施形態では、上記同様に、加速度センサ10,アクセル開度センサ11,速度センサ12も上記同様に予め加速度の閾値(例えば、4km/h/s),アクセル開度の閾値(例えば、50%),速度の閾値(例えば、40km/h)を決めておき、それらの閾値を超えたときに、制御マイコン3がローディング制御を実行する。
【0052】
このように加速度センサ10を設けることにより、車輌が急発進し加速度が急激に大きくなった場合においてディスクが脱落することを防止することができる。
【0053】
さらに、アクセル開度センサ11及び速度センサ12は、車輌に予め取り付けられている。そのため、本実施形態のディスクドライブ装置1は、これらの既存のセンサを用いて、ディスクの出し入れの制御を実現することができ、ディスクドライブ装置1の汎用性を高めることが可能となる。
【0054】
(施錠センサ,着座センサ)
本実施形態に係る施錠センサ13は、ドアロックからイグニッションキーまでを連結するドアロック用のロッドに設けられているとする。そして、施錠センサ13は、車輌のドアにロックされた時又はイグニッションキーから鍵が抜き取られた時に信号を発する。これにより車輌が無人になったと予想されることになる。
【0055】
また、本実施形態の着座センサ14は運転席に設けられており、運転席に人が着座していないことを検知したことを受けて信号を発する。これにより車輌が無人になったものと想定される。
【0056】
施錠センサ13により、施錠がされている状態である、或いはイグニッションキーに鍵が挿入されていない状態であると検知されると、これらの検知情報に基づき制御マイコン3は、ローディング制御を実行する。
【0057】
同様に、着座センサ14により、運転席に人が着座したことが検知されると、この検知情報に基づき制御マイコン3は、取出位置にあるローディング部2を読出・記録位置に移動させる制御を実行する。
【0058】
このように、施錠センサ13が、ドアロックが施錠されていること又はイグニッションキーに鍵が挿入されて無いことを検知し、それに基づきローディング制御を行うことにより、無人車内においてディスクが取出位置に放置されるということがなくなる。これにより、車上荒らしなどによるディスクの盗難からディスクを守ることができる。尚、その他にも、施錠センサ13が、ドアロックが施錠されていないこと又はイグニッションキーに鍵が挿入されていることを検知するようにしてもよい。これにより、制御マイコン3は人が車内にいると判定し、ローディング制御を行わないよう制御してもよい。
【0059】
また、施錠センサ13による検知情報と着座センサ14による検知情報は、いずれか一つでよいが、好ましくは双方の検知情報を合わせてディスクのローディング制御を行うとよい。なぜなら、例えば、施錠センサ13により、車輌の鍵が施錠されたとしても車内に人がいないとは限らず、また、着座センサ14により運転席や助手席に人の着座が無い場合でも、後部座席に着座するなどして車内に人がいたり、ほんの少しの間車輌の外に出ており車輌の側に人がいるだけという可能性があるからである。そのため、極力精密な検知情報を得るために、双方の検知情報を合わせて検知情報とすると好ましい。
【0060】
(ETCカード挿入センサ)
ETCカード挿入センサ15はETC車載器に設けられ、ETCカードがETC車載器に挿入されたことを検知する。ETCカード挿入センサ15からコントローラ16に信号が伝達され、さらにその信号を制御マイコン3が受信する。すると、制御マイコン3は車輌の運転が開始されたと想定し、車輌の走行に伴い発生する揺れや振動によるディスクの落下や損傷を防ぐためにローディング制御を実行する。
【0061】
これにより、車輌の走行中にディスクが取出位置に放置されることがなくなるため、ディスクドライブ装置からディスクが落下することを防ぎ、ディスクの破損や損傷を極力少なくすることができる。
【0062】
(イジェクトスイッチ)
本実施形態のディスクドライブ装置1は、各種の環境センサからの検知情報に基づくローディング制御だけでなく、イジェクトスイッチSWからの信号に基づきローディング制御を行うことができる。つまり、ディスクが取出位置にあるときに、イジェクトSWを操作すると、ローディング制御が実行される。
【0063】
このように、手動でローディング制御を行うことができることにより、車内に人がいる場合には、自由にディスクの出し入れを行うことができる。尚、イジェクトスイッチSWは、ディスクドライブ装置1に設けても良いし、ディスクドライブ装置1とは別体で設けてもよい。
【0064】
また、多くのETC車載器には、ETCカードの取り忘れを防止するために、運転終了時に、音声や光等によりETCカードの取り忘れを報知する機能が搭載されている。これにより、環境センサにETCカード挿入センサ15を用いると、ETCカードの取り忘れの減少に伴い、ローディング制御の実行率を高めることができる。
【0065】
<その他の実施の態様1>
図6に示すように、本実施の態様におけるディスクドライブ装置1は、環境センサとしてタイマー20を付加した態様のものである。尚、第1の実施の形態のディスクドライブ装置1の構成と重複する箇所についての説明は省略し、図面中同じ構成部分には同様の符号を付すこととする。
【0066】
本態様のディスクドライブ装置1は、ディスクが取出位置に放置されている時間をタイマー20により所定時間(例えば1分間)をカウントし、所定時間を経過すると動的にローディング制御を行う。タイマー20は、ディスクドライブ装置1の制御マイコン3内に設けられていると好ましい。
【0067】
ここで、振動センサ8による検知情報とタイマー20による検知情報とに基づくローディング制御について図7に示すフローチャートに基づき詳説する。尚、この処理はディスクドライブ装置の制御マイコン3が動作中(ディスクドライブ装置が本来の動作をしていない時も)に繰り返し実行される。
【0068】
まず、制御マイコン3は、ディスクが取出位置にあるか否かをディスク位置検知センサ4からの検知情報により判断する(S20)。ここでディスクの位置が読出・記録位置にあると判断された場合は、本処理は終了する。
【0069】
一方、ステップ20で制御マイコン3によりディスクが取出位置にあると判断されると、次にタイマー20により所定時間のカウントを開始する。そして、制御マイコン3はタイマー20によるカウントが所定時間を経過したか否かを判断する(S21)。ここでま
だ所定時間を経過していないと判断すると、振動センサ8が振動を検知したか否かを判断する(S22)。ここで振動が検知されていないと判断した場合は、本処理は終了する。
【0070】
一方、ステップ22で、制御マイコン3が振動センサ8により振動が検知されたと判断した場合、ローディング制御を実行(S23)し、本処理は終了する。
【0071】
また、ステップ21で、制御マイコン3が、タイマー20により所定時間を経過したと判断した場合、ステップ23に進み、振動センサ8による検知を要することなく、ローディング制御を実行する。
【0072】
このように、タイマー20と振動センサ8との環境センサを組み合わせて、ローディング制御を実行することにより、例えば、片方の環境センサが故障した場合又は感度が悪い場合においても、安定し且つ精度の高い制御を実行することができる。
【0073】
<その他の実施の態様2>
本実施の態様は、図6に示す、上述したその他の実施の態様1の振動センサ8を速度センサ12に変えた形態のものです。すなわち、本実施態様のディスクドライブ装置1は、タイマー20と速度センサ12とを組み合わせてローディング制御を行う。
【0074】
ここで、速度センサ12によるローディング制御とタイマー20によるローディング制御とを組み合わせた制御パターンについて図8に示すフローチャートに基づき詳説する。尚、この処理はディスクドライブ装置の制御マイコン3が動作中(ディスクドライブ装置が本来の動作をしていない時も)に繰り返し実行される。
【0075】
まず、制御マイコン3は、ディスクが取出位置にあるか否かをディスク位置検知センサ4からの検知情報により判断する(S30)。ここでディスクの位置が読出・記録位置にあると判断された場合は、本処理は終了する。
【0076】
一方、ステップ30で制御マイコン3によりディスクが取出位置にあると判断されると、次に速度センサ12が速度を検知しているか否かを判断する(S31)。つまり、制御マイコン3は、車輌が走行しているか否かの判断を行う。ここで、制御マイコン3が、速度センサ12が速度を検知していないと判断した場合は、本処理は終了する。
【0077】
一方、ステップ31で、制御マイコン3が、速度センサ12が速度を検知している、つまり車輌が走行していると判断した場合、タイマー20により一定時間が経過したか否かを判断する(S32)。ここで一定時間が経過していないと判断された場合は本処理を終了する。
【0078】
一方、ステップ32で、制御マイコン3が、一定時間が経過したと判断した場合、ローディング制御を実行する(S33)。
【0079】
このように、タイマー20と速度センサ12との環境センサを組み合わせて、ローディング制御を実行することにより、安定し且つ精度の高い制御を実行することができる。
【0080】
尚、本発明のディスクドライブ装置は、各種の環境センサがあるが、これらを全て備えている必要はなく、その他の実施の形態1や2で説明したように、いくつかの環境センサを組み合わせてローディング制御を実行することができる。また、環境センサの組み合わせは、上述した振動センサとタイマー,速度センサとタイマーという組み合わせに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態におけるディスクドライブ装置のシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係る振動センサに基づくローディング制御のフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る振動の判断基準を示す図である。
【図4】本実施形態に係る温度センサに基づくローディング制御のフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る温度の判断基準を示す図である。
【図6】その他の実施の態様1及び2におけるディスクドライブ装置のシステム構成図である。
【図7】その他の実施の態様1におけるローディング制御のフローチャートである。
【図8】その他の実施の態様2におけるローディング制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 ディスクドライブ装置
2 ローディング部(ローディング手段)
3 制御マイコン(制御手段)
4 ディスク位置検知センサ(ディスク位置検知手段)
5 モータ
6 ピックアップ
7 DSP
8 振動センサ(環境検知手段)
9 温度センサ(環境検知手段)
10 加速度センサ(環境検知手段)
11 アクセル開度センサ(環境検知手段)
12 速度センサ(環境検知手段)
13 施錠センサ(環境検知手段)
14 着座センサ(環境検知手段)
15 カード挿入センサ(環境検知手段)
16 コントローラ
20 タイマー
SW イジェクトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体ディスクに記録された情報の読出、或いは記録媒体ディスクへの情報の記録をおこなうディスクドライブ装置であって、
前記記録媒体ディスクについて、当該記録媒体ディスクの取出位置と前記記録媒体ディスクの読出・記録位置との間を移動させるローディング手段と、
前記ローディング手段の動作環境状態を検知する環境検知手段と、
前記環境検知手段の検知情報に基づき前記ローディング手段を制御して前記記録媒体ディスクを、前記取出位置から前記読出位置に移動させる制御手段と、
を備えるディスクドライブ装置。
【請求項2】
前記ローディング手段は、記録媒体ディスクが取出位置にあるか読出・記録位置にあるかを検知するディスク位置検知手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記ディスク位置検知手段の検知情報に基づいて前記記録媒体ディスクが取出位置にあることを判定し、且つ前記環境検知手段の検知情報を受信したときに前記ローディング手段を制御して前記記録媒体を、前記取出位置から前記読出・記録位置に移動させる請求項1記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
前記環境検知手段は、
振動を検知する振動センサを含む請求項1又は2に記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
前記環境検知手段は、
温度を検知する温度センサを含む請求項1〜3の何れかに記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
前記ディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、
前記環境検知手段は、
前記車輌の加速度を検知する加速度センサを含む請求項1〜4の何れかに記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
前記ディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、
前記環境検知手段は、
前記車輌のアクセル開度に対応した電気信号を検知するアクセル開度センサを含む請求項1〜5の何れかに記載のディスクドライブ装置。
【請求項7】
前記ディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、
前記環境検知手段は、前記車輌の速度を検知する速度検知手段を含む請求項1〜6の何れかに記載のディスクドライブ装置。
【請求項8】
前記ディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、
前記環境検知手段は、少なくとも、前記車輌の施錠状態を検知する施錠センサと、
前記車輌のシートの着座状態を検知する着座センサとの何れか一つを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のディスクドライブ装置。
【請求項9】
前記ディスクドライブ装置は車輌に搭載されており、
前記環境検知手段は、
ETC(Electronic Toll Collection)車載器に設けられたETCカード挿入センサを含み、
前記制御手段は、前記ETCカード挿入センサからの信号によりETCカードの挿入を検知したときには、車輌の運転が開始されるものとして、前記ローディング手段を制御し
て前記記録媒体ディスクを、前記取出位置から前記読出・記録位置に移動させる請求項1〜8の何れかに記載のディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−196032(P2006−196032A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3321(P2005−3321)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】