説明

ディスクローディング機構

【課題】排出時に中心孔を指で持てる位置までディスクを排出して確実に停止させる。
【解決手段】ベースに昇降可能に、かつ、ベースに近づく方向に付勢して支持されたホルダ(40)と、ホルダを上昇位置に保持する保持部材(80)と、ディスク搬入時にディスクをホルダ内部に引き込む左右一対の引き込みアーム(50a,50b)と、ディスク搬出時にホルダからディスクを外部に排出する排出アーム(60)と、付勢方向にスライドすることで引き込みアームにディスク引き込み方向の回動力を付与するスライド部材(70)と、ホルダからディスクの排出方向外方へ移動可能に、かつ、反対方向への付勢力が付与されて取り付けられたトレイ(45)とを備える。ディスク搬出時に排出アームが回動してホルダからディスクを外部に排出する際、ディスクによりトレイ(45)がホルダ(40)からディスクの排出方向外方へ所定位置まで押し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録または再生を行う光ディスク記録再生装置に光ディスクをローディングし、光ディスク装着部に装着するディスクローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のディスクローディング機構には、光ディスク記録再生装置内の光ディスク挿入・排出口に隣接してブレーキ部材を配置し、光ディスクの排出時にこのブレーキ部材が光ディスクの両側を挟み込んでブレーキをかけることで、光ディスクが光ディスク記録再生装置から飛び出すことを防止するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−167208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来のディスクローディング機構には、次のような課題があった。
【0004】
すなわち、ブレーキ部材が光ディスクの両側を挟み込んでブレーキをかける力にはバラツキがあるため、光ディスクの停止位置がバラツク可能性があり、場合によっては光ディスクが停止できずに飛び出してしまう危険性がある。
【0005】
また、ブレーキ部材は、光ディスク挿入・排出口に隣接しているとはいえ光ディスク記録再生装置の内部に配置してある。
【0006】
そのため、このブレーキ部材で光ディスクの排出にブレーキをかけるとすると、ブレーキをかけられた光ディスクの中心は完全に光ディスク記録再生装置の内側にあり、光ディスクの中心孔を指で持てる位置まで排出することはできない。
【0007】
その結果、光ディスクを取り出す際に光ディスクの記録面を手で触る虞があり、光ディスクの取り扱いに不便である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、光ディスクを排出時に所定位置で確実に停止させ、また、ディスクの中心孔を指で持てる位置までディスクを排出することのできるディスクローディング機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るディスクローディング機構は、ベースに、ディスクの搬入・搬出を行う上昇位置と、ディスクの記録または再生を行う下降位置とを昇降可能に、かつ、前記ベースに近づく方向に付勢して支持されたホルダと、ベースに移動可能に取り付けられ、前記ホルダと係合してホルダを上昇位置に保持する保持部材と、前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬入時にディスクをホルダ内部に引き込む左右一対の引き込みアームと、前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬出時にホルダからディスクを外部に排出する排出アームと、前記ホルダに一方向に付勢して取り付けられ、付勢方向にスライドすることで前記引き込みアームにディスク引き込み方向の回動力を付与するスライド部材と、前記ホルダからディスクの排出方向外方へ移動可能に、かつ、反対方向への付勢力が付与されて取り付けられたトレイとを備え、ディスク搬入時に前記引き込みアームが前記回動力によりディスクを所定の搬入位置まで搬入終了後、前記スライド部材が前記付勢方向にさらにスライドして前記保持部材の係合を離脱させることで、前記ホルダが下降してディスクを所定のディスク装填部に装填させ、ディスク搬出時に前記排出アームが回動して前記ホルダからディスクを外部に排出する際、当該ディスクにより前記トレイが前記ホルダからディスクの排出方向外方へ所定位置まで押し出されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2に係るディスクローディング機構は、請求項1記載のディスクローディング機構において、前記トレイは、左右にディスクの直径よりやや狭い間隔を隔てて配置され、かつ、ディスクが通過可能な間隔まで拡開可能なバネ部を備え、ディスク搬出時に前記排出アームによりディスクが前記ホルダから外部に排出されるとき、前記バネ部が当該ディスクを挟持することで前記トレイが前記付勢力に抗してディスクとともに排出方向外方へ所定位置まで押し出され、前記所定位置でディスクが取り出されると、前記トレイが前記付勢力により前記ホルダ内に収納されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のように、ベースに、ディスクの搬入・搬出を行う上昇位置と、ディスクの記録または再生を行う下降位置とを昇降可能に、かつ、前記ベースに近づく方向に付勢して支持されたホルダと、ベースに移動可能に取り付けられ、前記ホルダと係合してホルダを上昇位置に保持する保持部材と、前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬入時にディスクをホルダ内部に引き込む左右一対の引き込みアームと、前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬出時にホルダからディスクを外部に排出する排出アームと、前記ホルダに一方向に付勢して取り付けられ、付勢方向にスライドすることで前記引き込みアームにディスク引き込み方向の回動力を付与するスライド部材と、前記ホルダからディスクの排出方向外方へ移動可能に、かつ、反対方向への付勢力が付与されて取り付けられたトレイとを備え、ディスク搬入時に前記引き込みアームが前記回動力によりディスクを所定の搬入位置まで搬入終了後、前記スライド部材が前記付勢方向にさらにスライドして前記保持部材の係合を離脱させることで、前記ホルダが下降してディスクを所定のディスク装填部に装填させ、ディスク搬出時に前記排出アームが回動して前記ホルダからディスクを外部に排出する際、当該ディスクにより前記トレイが前記ホルダからディスクの排出方向外方へ所定位置まで押し出されるように構成したので、ディスクを排出時に所定位置で確実に停止させ、また、ディスクの中心孔を指で持てる位置までディスクを排出することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図29を参照して説明する。
図1〜図4は、本発明によるディスクローディング機構を備えた光ディスク記録再生装置の一実施形態を示し、図1は光ディスクの挿入を待つ位置にある状態を示す斜視図、図2は光ディスクの搬入方向終端位置にある状態を示す斜視図、図3は光ディスクの記録再生が行われる位置にある状態を示す斜視図、図4は光ディスクが排出された状態を示す斜視図である。
【0013】
このディスクローディング機構10は、ベース11に昇降可能に支持されたホルダ40と、光ディスクをホルダ40内部に引き込む左右一対の引き込みアーム50a,50bと、ホルダ40から光ディスクを外部に排出する排出アーム60と、引き込みアーム50a,50bをディスク引き込み方向に回動付勢するスライド部材70とを備えたものである。
【0014】
ベース11には、前後2個のアーム部材20,30が設けてあり、アーム部材20,30は、左右各一対のアーム部21a,21bおよび31a,31bを連結部22,32で連結してそれぞれ一体に構成したものである。
【0015】
アーム部材20,30は、左右のアーム部21a,21b,31a,31bが、ベース11の左右フランジ部に前後2箇所ずつ設けた支軸23a,23b,33a,33bに枢着されることで、支軸23a,23b,33a,33bのまわりに揺動可能に取り付けられている。
【0016】
アーム部材20,30の左右のアーム部21a,21b,31a,31bには、支軸23a,23b,33a,33bからベース11奥側へ等距離の位置に支持軸24a,24b,34a,34bが設けられ、この支持軸24a,24b,34a,34bによりホルダ40を支持している。
【0017】
また、アーム部材30のアーム部31bとベース11との間には、アーム部31bをベース11に対して斜め下方へ引っ張るバネ35が取り付けられている。
【0018】
これによりホルダ40は、アーム部材20,30を介してベース11に昇降可能に支持され、しかも、アーム部材20,30を揺動させることで水平を保って上下に昇降可能で、かつ、バネ35により下向きに(ベース11側に)付勢した状態で支持されている。
【0019】
そして、ホルダ40が上昇位置にあるとき、光ディスクの搬入・搬出が行われ、ホルダ40が下降位置にあるとき、光ディスクの記録または再生が行われるようになっている。
【0020】
また、図3に示すように、ホルダ40が下降位置にあるとき、前側のアーム部材20の連結部22は、光ディスクが搬入された状態で挿入口を塞ぐことにより、さらに光ディスクが挿入されることを防止している。
【0021】
図5に示すように、ホルダ40には、左右一対の引き込みアーム50a,50bが、支軸51a,51bのまわりに回動可能に取り付けられている。
【0022】
引き込みアーム50a,50bは、光ディスク搬入時に光ディスクをホルダ40内部に引き込むものであり、そのため、先端に光ディスクが当接するピン52a,52bを備えている。
【0023】
また、引き込みアーム50a,50bには、支軸51a,51bを中心とする円弧上にギヤ53a,53bが形成してあり、このギヤ53a,53bが、ホルダ40に取り付けられた2個の中継ギヤ54a,54bを介して伝動連結されることで、引き込みアーム50a,50bは連動して、左右のピン52a,52bを開閉するように構成してある。
【0024】
また、ホルダ40には、排出アーム60が、支軸61のまわりに回動可能に取り付けられている。
【0025】
排出アーム60は、光ディスク搬出時にホルダ40から光ディスクを外部に排出するものであり、そのため、先端に光ディスクが当接するピン62を備えている。
【0026】
また、排出アーム60には、プレート65の一端部が支軸66により枢着され、プレート65の他端部は、ホルダ40に対してプレート65を所定方向に引っ張るバネ67を介してホルダ40に取り付けられている。
【0027】
プレート65とバネ67は、排出アーム60に作用するトグル機構を構成している。すなわち、プレート65の支軸66とバネ67を結ぶ仮想線が排出アーム60の支軸61より手前に位置するとき、排出アーム60は手前に向けて付勢され、また、プレート65の支軸66とバネ67を結ぶ仮想線が排出アーム60の支軸61より後方に位置するとき、排出アーム60は後方に向けて付勢される。
【0028】
これにより排出アーム60は、先端のピン62が回動領域中の所定位置より手前側にあるときは、バネ67の付勢力(トグル機構)によりピン62を手前側に回動させ、また、先端のピン62が回動領域中の所定位置より奥側(後方)にあるときは、バネ67の付勢力(トグル機構)によりピン62を奥側(後方)に回動させるようになっている。
【0029】
また、ホルダ40の右側部には、スライド部材70が、そのガイド孔71,71がホルダ40のガイドピン41,41に係合することで前後にスライド可能に、しかも、ホルダ40に対してスライド部材70を手前側に引っ張るバネ72により手前方向に付勢して取り付けられている。
【0030】
スライド部材70に形成した長孔73に、引き込みアーム50bのピン55が係合し、これにより、スライド部材70と引き込みアーム50bとが連結されている。そのため、スライド部材70は、バネ72の付勢力により手前方向にスライドすることで、引き込みアーム50a,50bに光ディスク引き込み方向の回動力を付与するようになっている。
【0031】
すなわち、スライド部材70がバネ72の付勢力により手前方向にスライドすると、それに連動して、引き込みアーム50a,50bを先端のピン52a,52bが閉じる方向に回動させるようになっている。
【0032】
さらに、ホルダ40には、光ディスクを載置可能なトレイ45が、ホルダ40内の収納位置から光ディスクの排出方向外方へ移動可能に取り付けられている。
【0033】
そして、ディスク搬出時に排出アーム60が回動してホルダ40から光ディスクを外部に排出する際、この光ディスクによりトレイ45がホルダ40から光ディスクの排出方向外方へ所定位置まで押し出されるようになっている。
【0034】
このようなトレイ45の動作を図6、図7に示す。図6は、ディスク搬出時にホルダ40内の収納位置にあるトレイ45の前端側の所定の位置まで光ディスク1が移動した状態を示し、図7は、図6の状態からトレイ45が光ディスク1により所定位置まで押し出された状態を示す。トレイ45と光ディスク1が図7に示す状態にあるときの全体図が図4である。
【0035】
トレイ45は、左右にバネ部46a,46bを備え、このバネ部46a,46bは、光ディスク1の直径よりやや狭い間隔を隔てて配置され、かつ、光ディスク1が通過可能な間隔まで拡開可能に形成されている。
【0036】
また、トレイ45とホルダ40との間には、トレイ45をホルダ40内の収納位置に向けて引き込む方向に付勢するバネ47が取り付けられている。
【0037】
そのため、ディスク搬出時に排出アーム60により光ディスク1がホルダ40から外部に排出されるとき、バネ部46a,46bが光ディスク1を挟持することでトレイ45がバネ47による付勢力に抗して光ディスク1とともに排出方向外方へ所定位置まで押し出される。
【0038】
そして、この所定位置で光ディスク1が取り出されると、トレイ45がバネ47による付勢力によって、ホルダ40内に収納されるようになっている。
【0039】
このように、光ディスク1はバネ部46a,46bに挟持された状態でトレイ45に案内されて所定位置まで排出されるため、光ディスク1の停止位置がバラツク可能性や、停止位置で停止できずに光ディスク1が飛び出してしまう危険性がなく、光ディスク1を排出時に所定位置で確実に停止させることができる。
【0040】
また、光ディスク1の排出位置は図6に示す位置ではなく、これからさらにトレイ45に案内されて図7に示す所定位置まで排出されるため、光ディスク1の中心孔2を指で持てる位置まで光ディスク1を排出することができる。
【0041】
これにより、光ディスク1を取り出す際にその中心孔2を指で持って取り出せるため、光ディスク1の記録面を手で触る虞を未然に防止することができ、光ディスク1の取り扱いが簡単で便利になる。
【0042】
図8、図9に示すように、ベース11の右フランジ部には、ロックアーム80が、支軸81のまわりに回動可能に取り付けられている。
【0043】
ロックアーム80は、ホルダ40と係合してホルダ40を上昇位置に保持(ロック)するものである。そのため、ロックアーム80には、ホルダ40の曲げ部42と係合する切欠き部82が形成され、切欠き部82が曲げ部42と係合することで、ホルダ40を上昇位置に保持するようになっている(図8参照)。
【0044】
そして、ロックアーム80を所定の保持位置に保つため、ロックアーム80とベース11との間には、ロックアーム80をベース11に対して起立した姿勢から、ロック解除方向(反時計方向)へ回動(傾倒)することを抑制するバネ83が取り付けられている。
【0045】
ロックアーム80のロックを解除する場合は、スライド部材70がバネ72の付勢力により手前方向にスライドすることで、スライド部材70に設けた凸部74がロックアーム80に当接し、ロックアーム80を起立した姿勢からロック解除方向(反時計方向)へ回動(傾倒)させる。
【0046】
これにより、ロックアーム80の切欠き部82が曲げ部42から抜けてロックが外れたホルダ40は、それまでロックされていた上昇位置から、バネ35の付勢力により、所定の下降位置へ下降する(図9参照)。
【0047】
また、ベース11の右フランジ部には、イジェクト部材85が、ベース11の右フランジ部に形成した長孔86,86(図1〜図4参照)に沿って前後にスライド可能に取り付けられている。
【0048】
イジェクト部材85は、スライド部材70と連動してホルダ40を上昇させるものである。そのため、イジェクト部材85には、スライド部材70の曲げ部75と係合する切欠き部87が形成され、また、アーム部材30のアーム部31bに設けた凸部36に当接するカム部88が形成されている。
【0049】
すなわち、ホルダ40が下降位置にある状態(図9参照)において、スライド部材70がバネ72の付勢力に抗して奥向き方向にスライドすると、スライド部材70の曲げ部75に切欠き部87が係合しているイジェクト部材85も同様にスライドする。
【0050】
イジェクト部材85のこのスライドにともない、カム部88がアーム部31bの凸部36に当接して上向きに作用させることで、アーム部材30がホルダ40を上昇させながら図8に示す姿勢となる。
【0051】
これにより、ホルダ40の曲げ部42がロックアーム80の切欠き部82に入り込んで、ホルダ40は、ロックアーム80により上昇位置に保持される(図8参照)。
【0052】
また、ベース11には、スライド部材70に設けたラック76と係合可能で、係合状態でスライド部材70をバネ72による付勢方向(手前方向)とは反対方向(奥向き方向)にスライド可能なモータ駆動機構90が設けてある。
【0053】
図10、図11に示すように、モータ駆動機構90は、モータ91、モータ91の出力軸に取り付けられた第1のウォーム92、第1のウォーム92と噛み合う第2のウォーム93、第2のウォーム93と噛み合うウォームホイール94、ウォームホイール94と噛み合う減速ギヤ95、減速ギヤ95と噛み合うアイドラギヤ96を備え、アイドラギヤ96はアイドラアーム97により、減速ギヤ95との軸間距離を保って揺動可能に取り付けられている。
【0054】
アイドラアーム97とモータ駆動機構90のフレームとは、板バネ98を介して連結され、図10に示すモータ91不作動時(正規の駆動方向に回転しないとき)は、板バネ98の付勢力により、アイドラアーム97は矢印C方向に揺動した図示の位置にあり、このとき、アイドラギヤ96とスライド部材70のラック76との噛み合いは外れた状態にある。
【0055】
また、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間には、スラスト方向に作用する図示しないバネが設けてあり、このスラストバネのバネ力により、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間に摩擦力が生じた状態にある。
【0056】
そして、図11に示すモータ91作動時(正規の駆動方向に回転するとき)は、減速ギヤ95が矢印D方向に回転する。このとき、アイドラギヤ96とアイドラアーム97の軸99との間に生じている摩擦力により、アイドラアーム97には、減速ギヤ95の回転方向と同一方向(矢印B方向)にモーメントが発生する。
【0057】
これにより、アイドラアーム97は板バネ98の付勢力に抗して矢印B方向に揺動し、アイドラギヤ96がスライド部材70のラック76と噛み合い、さらにモータ91が作動(正規の駆動方向に回転)することで、モータ駆動機構90は、スライド部材70を矢印E方向(バネ72の付勢力によるスライド方向とは反対方向)にスライドさせるようになっている。
【0058】
モータ91の作動(正規の駆動方向の回転)を停止し、わずかに逆回転させると、減速ギヤ95が矢印Dと逆方向に回転することで、アイドラアーム97は図10に示す矢印C方向に揺動し、これにより、アイドラギヤ96が再びスライド部材70のラック76との噛み合いが外れた状態に戻る。
【0059】
図12〜図29は、ディスクローディング機構10のローディング動作およびイジェクト動作について説明する動作説明図である。
【0060】
まず、図12〜図23を参照して、ディスクローディング機構10のローディング動作について説明する。
【0061】
図12、図13は光ディスク1の挿入を開始する状態の図であり、光ディスク1が左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52b,52bに対して当接した状態を示す。
【0062】
このとき、ホルダ40は上昇位置にあってロックアーム80により保持されている。また、左右一対の引き込みアーム50a,50bは、スライド部材70のバネ72により先端が閉じる方向に付勢されているが、左側の引き込みアーム50aの凸部56と排出アーム60の先端63とが当接することで、左右一対の引き込みアーム50a,50b、排出アーム60およびスライド部材70のすべての位置決め(初期位置)が行われている。
【0063】
図14、図15は光ディスク1の挿入過程の図であり、光ディスク1により左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52b,52bがスライド部材70のバネ72の付勢力に抗して押し開かれ、引き込みアーム50a,50bが外側へ開いていく途中の状態を示す。
【0064】
引き込みアーム50a,50bにはギヤ53a,53bが形成してあり、2個の中継ギヤ54a,54bで連結され、左右の引き込みアーム50a,50bの回動角度が同一になるようにしてある。
【0065】
このとき、スライド部材70はバネ72に逆らって矢印A方向にスライドするが、排出アーム60は、先端63が引き込みアーム50aに当接しているためその位置を変えない。
【0066】
図16、図17も光ディスク1の挿入過程の図であり、左右一対の引き込みアーム50a,50bの先端のピン52b,52bの間隔が光ディスク1の外径(直径)と同一となった状態を示す。
【0067】
この状態以前では、引き込みアーム50a,50bは光ディスク1に対してホルダ40内部に搬入させる引き込み作用を及ぼすことはない。
【0068】
これに対し、この状態を越えて光ディスク1がさらに挿入されると、引き込みアーム50a,50bはスライド部材70のバネ72により先端が閉じる方向に付勢されているため、先端のピン52b,52bが光ディスク1に対してホルダ40内部に搬入させる引き込み作用を及ぼすことになる。
【0069】
また、排出アーム60は、先端のピン62が光ディスク1に押されることで、プレート65のバネ67の付勢力に抗して支軸61のまわりに時計方向に回動する。
【0070】
図18、図19も光ディスク1の挿入過程の図であり、スライド部材70のバネ72により先端が閉じる方向に付勢されている引き込みアーム50a,50bの作用によって、先端のピン52b,52bが光ディスク1をホルダ40の内部に搬入させる。
【0071】
また、排出アーム60に取り付けられたプレート65のバネ67はトグル機構になっているため、プレート65のバネ67の力は排出アーム60の回動にともなって弱くなり、この状態ではプレート65のバネ67の力が排出アーム60に回動力を生じさせない状態となる。すなわち、トグル機構が中立位置となる。
【0072】
この状態からさらに光ディスク1により排出アーム60が支軸61のまわりに時計方向に回動すると、プレート65のバネ67の力は排出アーム60を時計方向に回動する力に切り替わり、排出アーム60のピン62は光ディスク1から離れることになる。
【0073】
図20、図21は光ディスク1の挿入が終了する状態の図であり、図12、図13に示す挿入開始からこの状態まで、ホルダ40は上昇位置にあってロックアーム80により保持されている。
【0074】
この挿入終了状態において、引き込みアーム50a,50bの先端はスライド部材70のバネ72の力により実質的に閉じた状態となる。
【0075】
また、排出アーム60は、プレート65のバネ67のトグル機構により、ピン62が光ディスク1から離れて最も奥側に位置している。
【0076】
図22、図23は、図20、図21の状態からスライド部材70がバネ72の力により最終端までスライドすることで、凸部74がロックアーム80に当接してロックを解除し、ホルダ40がバネ35の力で所定の下降位置まで下降し、光ディスク1がスピンドルモータ(ディスク装填部)12に装着された状態を示す。
【0077】
次に、図22〜図29を参照して、ディスクローディング機構10のイジェクト動作について説明する。
【0078】
図22、図23に示す光ディスク1がスピンドルモータ(ディスク装填部)12に装着された状態から、図24、図25に示すように、モータ91を作動させてモータ駆動機構90により、スライド部材70をバネ72の付勢力に抗して矢印A方向に駆動させると、イジェクト部材85がホルダ40を上昇位置にもたらす。
【0079】
すなわち、スライド部材70がバネ72の付勢力に抗してスライドすると、イジェクト部材85も同様にスライドし、カム部88がアーム部31bの凸部36に当接して上向きに作用させることで、アーム部材30がホルダ40を上昇させ、ホルダ40の曲げ部42がロックアーム80の切欠き部82に入り込んで、ホルダ40は、ロックアーム80により上昇位置に保持される(図8参照)。
【0080】
スライド部材70のこのスライドにより、引き込みアーム50a,50bの先端はわずかに開いた状態となる。
【0081】
また、スライド部材70の凸部78が排出アーム60の凸部64に当接してスライドすることで、排出アーム60は、プレート65のバネ67の付勢力に抗して、反時計方向に回動を始める。
【0082】
図26、図27は、モータ駆動機構90により、スライド部材70が矢印A方向にさらにスライドした状態の図である。スライド部材70は引き込みアーム50a,50bと連動しており、スライド部材70により引き込みアーム50a,50bが開き、光ディスク1が排出可能な状態となる。
【0083】
また、スライド部材70の凸部78が凸部64を押して排出アーム60をさらに回動させることで、この状態ではプレート65のバネ67のトグル機構が反転し、バネ67の力は光ディスク1を排出する方向に切り替わり、光ディスク1は排出アーム60の先端のピン62により排出される。
【0084】
図28、図29は、排出アーム60により光ディスク1が排出された状態の図であり、図4、図7と同様の状態である。
【0085】
この状態では、モータ駆動機構90のアイドラギヤ96とスライド部材70のラック76はまだ噛み合っているが、モータ91をわずかに逆転することにより、アイドラギヤ96とスライド部材70のラック76との噛み合いは外れて初期状態に戻る。
【0086】
また、前述したように、光ディスク1はバネ部46a,46bに挟持された状態でトレイ45に案内されて所定位置まで排出されるため、光ディスク1の停止位置がバラツク可能性や、停止位置で停止できずに光ディスク1が飛び出してしまう危険性がなく、光ディスク1を排出時に所定位置で確実に停止させることができる。
【0087】
また、光ディスク1の排出時にはトレイ45が案内するため、光ディスク1の所定排出位置を、中心孔2を指で持てる位置まで光ディスク1が外方へ出た位置に設定することができる。これにより、光ディスク1を取り出す際にその中心孔2を指で持って取り出せるため、光ディスク1の記録面を手で触る虞を未然に防止することができ。
【0088】
なお、上記の実施形態では、ディスクローディング機構10のイジェクト動作を、モータ駆動機構90による駆動動作により行ったが、これに限定することなく、例えば、適宜の手動操作によりイジェクト動作を行うようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明によるディスクローディング機構を備えた光ディスク記録再生装置の一実施形態を示し、光ディスクの挿入を待つ位置にある状態を示す斜視図である。
【図2】光ディスクの搬入方向終端位置にある状態を示す斜視図である。
【図3】光ディスクの記録再生が行われる位置にある状態を示す斜視図である。
【図4】光ディスクが排出された状態を示す斜視図である。
【図5】ホルダとホルダに取り付けられた各部材を示す斜視図である。
【図6】ディスク搬出時にトレイが収納位置にある状態を示す斜視図である。
【図7】トレイが所定位置まで押し出された状態を示す斜視図である。
【図8】ホルダが上昇位置にあるときのロック機構およびイジェクト機構を示す斜視図である。
【図9】ホルダが下降位置にあるときのロック機構およびイジェクト機構を示す斜視図である。
【図10】スライド部材のラックと係合していない状態のモータ駆動機構を示す平面図である。
【図11】スライド部材のラックと係合している状態のモータ駆動機構を示す平面図である。
【図12】ディスクローディング機構のローディング動作(その1)を示す平面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】ディスクローディング機構のローディング動作(その2)を示す平面図である。
【図15】図14の側面図である。
【図16】ディスクローディング機構のローディング動作(その3)を示す平面図である。
【図17】図16の側面図である。
【図18】ディスクローディング機構のローディング動作(その4)を示す平面図である。
【図19】図18の側面図である。
【図20】ディスクローディング機構のローディング動作(その5)を示す平面図である。
【図21】図20の側面図である。
【図22】ディスクローディング機構のローディング動作(その6)を示す平面図である。
【図23】図22の側面図である。
【図24】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その1)を示す平面図である。
【図25】図24の側面図である。
【図26】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その2)を示す平面図である。
【図27】図26の側面図である。
【図28】ディスクローディング機構のイジェクト動作(その3)を示す平面図である。
【図29】図28の側面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 ディスク(光ディスク)
2 中心孔
10 ディスクローディング機構
11 ベース
12 スピンドルモータ(ディスク装填部)
20,30 アーム部材
21a,21b,31a,31b アーム部
22,32 連結部
23a,23b,33a,33b 支軸
24a,24b,34a,34b 支持軸
35 バネ
36 凸部
40 ホルダ
41 ガイドピン
42 曲げ部
45 トレイ
46a,46b バネ部
47 バネ
50a,50b 引き込みアーム
51a,51b 支軸
52a,52b ピン
53a,53b ギヤ
54a,54b 中継ギヤ
55 ピン
56 凸部
60 排出アーム
61 支軸
62 ピン
63 先端
64 凸部
65 プレート
66 支軸
67 バネ
70 スライド部材
71 ガイド孔
72 バネ
73 長孔
74 凸部
75 曲げ部
76 ラック
78 凸部
80 ロックアーム(保持部材)
81 支軸
82 切欠き部
83 バネ
85 イジェクト部材
86 長孔
87 切欠き部
88 カム部
90 モータ駆動機構
91 モータ
92 第1のウォーム
93 第2のウォーム
94 ウォームホイール
95 減速ギヤ
96 アイドラギヤ
97 アイドラアーム
98 板バネ
99 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに、ディスクの搬入・搬出を行う上昇位置と、ディスクの記録または再生を行う下降位置とを昇降可能に、かつ、前記ベースに近づく方向に付勢して支持されたホルダと、
ベースに移動可能に取り付けられ、前記ホルダと係合してホルダを上昇位置に保持する保持部材と、
前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬入時にディスクをホルダ内部に引き込む左右一対の引き込みアームと、
前記ホルダに回動可能に取り付けられ、ディスク搬出時にホルダからディスクを外部に排出する排出アームと、
前記ホルダに一方向に付勢して取り付けられ、付勢方向にスライドすることで前記引き込みアームにディスク引き込み方向の回動力を付与するスライド部材と、
前記ホルダからディスクの排出方向外方へ移動可能に、かつ、反対方向への付勢力が付与されて取り付けられたトレイとを備え、
ディスク搬入時に前記引き込みアームが前記回動力によりディスクを所定の搬入位置まで搬入終了後、前記スライド部材が前記付勢方向にさらにスライドして前記保持部材の係合を離脱させることで、前記ホルダが下降してディスクを所定のディスク装填部に装填させ、
ディスク搬出時に前記排出アームが回動して前記ホルダからディスクを外部に排出する際、当該ディスクにより前記トレイが前記ホルダからディスクの排出方向外方へ所定位置まで押し出される
ことを特徴とするディスクローディング機構。
【請求項2】
前記トレイは、左右にディスクの直径よりやや狭い間隔を隔てて配置され、かつ、ディスクが通過可能な間隔まで拡開可能なバネ部を備え、
ディスク搬出時に前記排出アームによりディスクが前記ホルダから外部に排出されるとき、前記バネ部が当該ディスクを挟持することで前記トレイが前記付勢力に抗してディスクとともに排出方向外方へ所定位置まで押し出され、
前記所定位置でディスクが取り出されると、前記トレイが前記付勢力により前記ホルダ内に収納されることを特徴とする請求項1記載のディスクローディング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−302449(P2006−302449A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125386(P2005−125386)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】