説明

ディスク・ライブラリ装置

【課題】ディスク・ライブラリ装置においてマガジンからパレットを正確に取り出す。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る光ディスク・ライブラリ装置は、複数の光ディスクを収容するマガジン12を有する。マガジンは複数のパレット31、32を収容し、複数のパレットは異なる係合爪形状を有する異なる種類のパレットを含む。マガジン内において、異なる種類のパレットが隣り合うように配列される。ピッカは、一つもしくは複数のアームを使用して、選択されたパレットを取り出す。一つもしくは複数のアームのそれぞれは、選択されたパレットの取り出しにおいて、その選択されたパレットの係合爪と係合しかつ選択されたパレットの隣のパレットの係合爪との係合位置から外れた位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶するディスクのライブラリ装置に関し、特に、ディスク・ライブラリ装置におけるマガジンからのディスクの取り出し構成に関する。
【背景技術】
【0002】
データを記憶する媒体として、光ディスク、磁気ディスク、そして光磁気ディスクなど、いくつかの種類のデータ記憶ディスクが知られている。その中で、光ディスクは、リムーバブルメディアとして広く使用されている。データを記憶する光ディスクの種類として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはBD(Blue-ray Disc)などが知られている。
【0003】
金融業界、放送業界及び医療業界などの業界において、大量のデータを長期に保存する要求がある。この用途のデータ・ストレージ装置は、データ長期保存に高い信頼性を有する光ディスクを使用することが好ましい。光ディスクの記憶容量は技術の進歩と共に増加しているが、1枚の光ディスクが格納することができるデータ量は限られている。
【0004】
データの長期保存に適した大容量のストレージ装置として、光ディスク・ライブラリ装置が知られている。光ディスク・ライブラリ装置は複数枚の光ディスクを収容可能であり、実装されている光ディスク・ドライブにより、各光ディスクのデータ書き込み/読み出しを行う。
【0005】
光ディスク・ライブラリ装置は複数の光ディスクを収容するマガジンを有しており、その収容可能数は光ディスク・ドライブの実装数よりも多い。光ディスク・ライブラリ装置は、マガジンと光ディスク・ドライブとの間で光ディスクを搬送することで、収納している全ての光ディスクのアクセスを可能とする。
【0006】
光ディスク・ライブラリ装置は、その筺体内に多くの光ディスクを収容することが要求されている。また、その筺体サイズは小さいことが好ましい。そのため、光ディスク・ライブラリ装置に実装されるマガジンは、限られたサイズにおいてより多くの光ディスクを収容可能であることが望まれる。
【0007】
マガジン内において、光ディスクはパレットの上に載っている。光ディスク・ライブラリ装置は、光ディスクの搬送においては、光ディスクを載せたパレットをマガジンと光ディスク装置との間において搬送する。光ディスクの収容数を増やすため(光ディスクの収容空間を小さくするため)、パレットの厚みが薄く、パレット間の間隔は小さいことが好ましい。
【0008】
しかし、パレット間隔が小さいと、取り出し対象パレットの正確な取り出しが難しくなる。そこで、特許文献1に開示されている光ディスク・ライブラリ装置は、異なる位置に把手を有する2種類のパレットを収容しており、それらはマガジン内において交互に並べられている。パレットを取り出し機構から見たとき、一方の把手は中央より右側にあり、もう一方の把手は左側にある。光ディスク・ライブラリ装置は、2つの把手に対応する2つの取り出しレバーを有しており、それらが対応する把手を引っ掛けてパレットを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−133814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に開示されている光ディスク・ライブラリ装置において、パレットの配列方向(以下において上下方向)において1つの把手に隣接する把手は、隣接するパレットの把手ではなく、さらにその隣のパレットの把手である。そのため、上下方向における把手間隔が広がる。これにより、引き出しレバーの形状、構造に寸法的な余裕を与えることができ、掛け合い動作の信頼性を向上することができる。
【0011】
しかし、上記光ディスク・ライブラリ装置は、異なる位置にある把手を、それぞれ専用の取り出しレバーで引っ掛ける。一方の取り出しレバーが対応する把手を引っ掛けるとき、他方のレバーは、同一パレットにおいて仮想的に他方の把手がある位置で動作する。通常はその位置に把手が存在しないため、他方のレバーは空振りする。
【0012】
取り出しレバーは一方の種類の把手のみを引っ掛けるため、パレットの取り出しに他方の取り出しレバーは寄与することがない。また、一方の取り出しレバーの上下方向における位置が対象の把手からずれると、他方の取り出しレバーが隣接パレットの把手と接触してしまう。このように、上記構成において、上下方向においてターゲットの位置からずれている2つの取り出しレバーは、取り出し対象のパレットと共に隣接パレットも取り出してしまう。
【0013】
従って、ディスク・ライブラリ装置において、より正確に対象のパレットのみをマガジンから取り出すことができる、よりシンプルな構成が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的な一例であるディスク・ライブラリ装置は、記憶ディスクへのアクセスを行う一つもしくは複数のディスク・ドライブと、前記一つもしくは複数のディスク・ドライブに挿入される複数の記憶ディスクを収容するマガジンと、それぞれが記憶ディスクを載せるディスク載置面を有する複数のパレットであって、異なる係合爪形状を有するパレットが隣り合うように前記マガジン内で配列される複数のパレットと、前記複数のパレットから選択されたパレットを前記マガジンから取り出すピッカと、を有し、前記ピッカは、前記選択されたパレットの取り出しにおいて、前記マガジンから前記選択されたパレットを取り出す一つ又は複数のアームを有し、前記一つ又は複数のアームのそれぞれは、前記選択されたパレットの取り出しにおいて、前記選択されたパレットの係合爪と係合しかつパレット配列方向において見て前記選択されたパレットの隣のパレットの係合爪との係合位置から外れた位置にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施の形態によると、ディスク・ライブラリ装置において、マガジンからパレットをより正確に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態において、ディスク・ライブラリの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態において、マガジンの構成を模式的に示す斜視図である。
【図3A】本発明の一実施形態において、第1の係合爪形状を有するパレットの構成を模式的に示す平面図である。
【図3B】本発明の一実施形態において、第2の係合爪形状を有するパレットの構成を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態において、マガジン内に収容されているパレットを模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態において、ピッカの構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態において、マガジンからのパレットを取り出しにおける、アームの動作を模式的に示す図である。
【図7A】本発明の一実施形態において、一方の形状種類のパレットを引き出しているアームを模式的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態において、他方の形状種類のパレットを引き出しているアームを模式的に示す図である。
【図8A】本発明の一実施形態において、アームの形状を説明するための図である。
【図8B】本発明の一実施形態において、第1の種類のパレットの係合爪形状を説明するための図である。
【図8C】本発明の一実施形態において、第2の種類のパレットの係合爪形状を説明するための図である。
【図9A】本発明の一実施形態において、パレット配列方向において見たときの、アーム・ヘッドの寸法及びパレット係合爪の寸法を模式的に示している。
【図9B】本発明の一実施形態において、パレット挿入方向において見た場合のアーム・ヘッドの寸法とパレット係合爪の寸法を示している。
【図10】他の実施形態において、1本のアームでパレットを取り出す構成を模式的に示す図である。
【図11】他の実施形態において、1本のアームでパレットを取り出す他の構成を模式的に示す図である。
【図12】他の実施形態において、係合爪を側面に有するパレット及びそのパレットを引き出すアームを模式的に示す図である。
【図13】他の実施形態において、回動することでアーム・ヘッドを移動するアームを模式的に示す図である。
【図14】他の実施形態において、バネにより付勢され回動するアーム・ヘッドを模式的に示す図である。
【図15】他の実施形態において、前後両面にアームとの係合爪を有するパレットの形状を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0018】
本実施形態は、ディスク・ライブラリ装置において、マガジンからパレットを取り出すための構成に特徴を有している。ディスク・ライブラリ装置は、アームを有するピッカにより、マガジンからパレットを取り出す。ピッカは、アームの係合爪をパレットの係合爪と係合させ、マガジンからパレットを取り出す。
【0019】
本実施形態のディスク・ライブラリ装置は少なくとも2種類のパレットを有している。アームは、いずれの種類のパレットの取り出しにおいても使用される。異なる種類のパレットは、マガジン内に配置されているとき、異なる位置に取り出し用の係合爪を有している。マガジン内で隣接するパレットは異なる形状を有しており、それらの係合爪はパレット配列方向において見た場合に異なる位置にある。アームがパレットを取り出すとき、パレット配列方向において見た場合、アームの係合爪は、隣接パレットの係合爪との係合しない位置にある。このため、パレットの取り出しにおいてアームが対象のパレットと異なるパレットを取り出す可能性と小さくすることができる。
【0020】
図1は、本実施形態における光ディスク・ライブラリ装置の全体構成を模式的に示す図である。光ディスク・ライブラリ装置1は、筺体10内に、コントローラ11、マガジン12、メール・スロット13、そして光ディスク・ドライブ14a、14bを有している。さらに、ピッカ16が、筺体10内に実装されている。図1において、ピッカ16は昇降軸17に支持されており、昇降軸17に沿って上下方向に移動する。
【0021】
マガジン12は、複数の光ディスクを収容することができる。マガジン12は、ピッカ16に向かう開口121を有する。マガジン12は複数のパレットを収容することができ、各パレットの上に光ディスクが載せられる。マガジン12及びそこに収容されるパレットの構成については後述する。
【0022】
ユーザは、マガジン12を、筺体10に設けられている開口(不図示)を介して、筺体10から取り出し、また、筺体10内に装着することができる。ユーザは、マガジン12に収容されている光ディスクをそのマガジン12と共に又は光ディスクのみを交換することができる。マガジン12は、筺体10内に固定されていてもよい。
【0023】
メール・スロット13は、光ディスク・ライブラリ装置1に光ディスクを挿入し、また、そこから光ディスクを取り出すためのスロットである。一般に、メール・スロット13のトレイはユーザ操作に従って開閉する。ユーザは、筺体10から出てきたトレイ上の光ディスクを取り、また、その上に光ディスクを置く。光ディスクを載せたトレイは、筺体10内に入り、ピッカ16が、その光ディスクをマガジン12内に配置する。
【0024】
ピッカ16は、筺体10内において、光ディスクを搬送する。光ディスクの搬送において、光ディスクはパレット上に配置される。ピッカ16は光ディスクが載せられたパレットあるいは光ディスクが載っていないパレットを支持し、搬送する。本構成例において、光ディスクがパレット上に載っているとき、パレットには固定されていない。ピッカ16は、光ディスクをパレット上で保持する機構を有していていも良い。
【0025】
ピッカ16は、マガジン12と光ディスク・ドライブ14a、14bとの間及びマガジン12とメール・スロット13との間において、パレット(光ディスク)を搬送する。また、メール・スロット13と光ディスク・ドライブ14a14bとの間及び光ディスク・ドライブ14a、14b間においてパレット(光ディスク)を搬送する。
【0026】
いずれのデバイスの間で光ディスク及びパレットを搬送するかは、光ディスク・ライブラリ装置1の設計に依存する。メール・スロット13あるいは光ディスク・ドライブ14a、14bには、パレットとその上の光ディスクの双方が、あるいは、光ディスクのみが挿入される構成とすることができる。
【0027】
コントローラ11は光ディスク・ライブラリ装置1の動作を制御すると共に、外部ホストと光ディスク・ライブラリ装置1との間のインターフェースとして機能する。コントローラ11は、外部電源から供給されるパワーを、ピッカ16や光ディスク・ドライブ14a、14bなどの他のデバイスに供給する。
【0028】
コントローラ11はホストからコマンドを受け、そのコマンドに応じて他のデバイスを制御する。例えば、ホストから光ディスクへのアクセス・コマンド(アクセスは書き込みと読み出しの上位概念)を受けると、ピッカ16を使用してコマンドが指定する光ディスクをマガジン12から取り出し、その光ディスクを光ディスク・ドライブ14a、14bの一方(例えば、光ディスク・ドライブ14a)に挿入する。
【0029】
コントローラ11は、さらに、選択した光ディスク・ドライブ14aにコマンドを送り、指定したアドレスにおけるデータの書き込みあるいは読み出しを指示する。光ディスク・ドライブ14aは、コントローラ11から受け取ったユーザ・データを光ディスクの指定アドレスに書き込み、あるいは、指定アドレスからユーザ・データを読み出してコントローラ11に転送する。
【0030】
ピッカ16はピッカ・コントローラ161を有している。ピッカ・コントローラ161は、コントローラ11からの指示に応じて、ピッカ16の動きを制御する。ピッカ・コントローラ161の制御下において、ピッカ16はスクリューである昇降軸17に沿って上下方向に移動し、また、アーム・アセンブリ162をスクリューである移動軸164に沿って移動する。
【0031】
図2は、マガジン12の構成を模式的に示す斜視図である。マガジン12は、その前面に開口121を有している。アーム・アセンブリ162は、この開口121を通って、マガジン12からパレット(光ディスク)を取り出し、また、マガジン12に挿入する。マガジン12は、収容空間内に、複数のレールを有している。マガジン12は、典型的には、樹脂で形成されている。
【0032】
図2は、2つのレールを、例示的に、符号122、123で示している。マガジン前面(開口121)から見て、レール122は左内側面に形成され、レール123は右内側面に形成されている。レール122、123はペアを構成し、パレットはペアを構成する2つのレールの上に配置される。ペアのレールは同一形状を有しており、また、パレットが載る面は同一高さ位置において平行である。レール122、123は、開口121から奥に向かって延びている。
【0033】
左内側面には、レール122を含む複数のレールが上下方向に配列されている。典型的には、これらは同一形状を有し、その間隔も同一である。同様に、右内側面には、レール123を含む複数のレールが形成されている。これらは同一形状を有し、その間隔も同一である。
【0034】
ペアを構成するレールは、レール122、123と同様の関係を有する。図に示すマガジン12の構成は一例であって、他の形状を有するマガジン12を使用することができる。例えば、レールのパレット載置面はいずれかの方向において傾斜していてもよく、両側のレールがつながって1枚の棚板を形成してもよい。
【0035】
図3A及び図3Bは、本実施形態のパレット31、32の構成を模式的に示す平面図である。パレット31、32は異なる形状を有している。本実施形態の光ディスク・ライブラリ装置1は、異なる形状を有する2種類のパレットを使用する。パレット31、32は、薄い板状の部品である。パレット31、32は、典型的には樹脂で形成されている。
【0036】
パレット31、32の光ディスク載置面311、321の上に、光ディスクが載る。光ディスクは、光ディスク載置面311、321における破線円で囲まれた位置に置かれる。図3A及び図3Bにおいて、上から下に向かう方向が、パレット31、32のマガジン12からの取り出し方向である。その反対方向が、マガジン12への挿入方向である。孔316、326は、光ディスク・ライブラリ装置1がパレット31、32上の光ディスクの有無をチェックするための孔である。
【0037】
図2に戻って、マガジン12内において、パレット31、32の光ディスク載置面311、321は上を向く。光ディスク載置面311、321の反対面が、レール・ペアと接触する。図2において、パレット31、32は、マガジン12内において上下方向に配列される。
【0038】
本構成例において、パレット31、32は、それらの取り出し/挿入において、レール・ペア上を摺動する。その取り出し/挿入方向は、パレット配列方向と垂直であって、レールに沿った方向である。取り出し/挿入方向とパレット配列方向との間の角度は、光ディスク・ライブラリ装置の設計により、上記関係と異なる関係を有してもよい。本実施形態において、パレット配列方向を上下方向、パレット取り出し/挿入方向を前後方向、光ディスク載置面311、321内で前後方向に垂直な方向を左右方向と呼ぶ。
【0039】
上述のように、本実施形態の光ディスク・ライブラリ装置1は、マガジン12からのパレット31、32の取り出しに特徴を有している。以下において、マガジン12からのパレット31、32を取り出すための構成について、具体的に説明を行う。マガジン12へのパレット31、32の挿入は、取り出しと反対の動作である。
【0040】
図3A及び図3Bに示すように、パレット31、32は、それらの前面において、異なる形状を有している。本実施形態において、ピッカ16から正面に見える面を前面と呼ぶ。ピッカ16は、パレット31、32の前面に形成されている爪と係合し、マガジン12内の収容空間からパレット31、32を引き出す。パレット31、32の間において、前面形状以外の形状は同一である。
【0041】
図3Aに示すパレット31は、2つの係合爪314、315を有している。係合爪314、315はパレット31の前面において、その前面及び光ディスク載置面311に沿った方向に並んでいる。本構成例において、マガジン12内のパレット配列方向は載置面311と垂直であるので、係合爪314、315は左右方向に並んでいる。係合爪314、315は、左右方向において突出している。これらは、左右方向において反対方向に突出している。係合爪314、315は、パレット31前面の中央近傍に形成されている。
【0042】
図3Bに示すパレット32は、係合爪324、325を有する。係合爪324、325はパレット32の前面において、その前面及び光ディスク載置面311に沿った方向に並んでいる。本構成例において、係合爪324、325は左右方向に並んでいる。係合爪324、325は、左右方向において突出する。これらの突出方向も反対である。係合爪324、325は、パレット32前面の左右端近傍に形成されている。
【0043】
ピッカ16は、これらの係合爪314、315と係合してパレット31をマガジン12から引き出す。同様に、ピッカ16は、係合爪324、325と係合してパレット32をマガジン12から引き出す。
【0044】
図4は、マガジン12内に収容されているパレットを模式的に示す図であり、ピッカ16からマガジン前面を見た図である。図4の例において、マガジン12は、8つのパレットを収容可能であり、全ての収容空間内のそれぞれに、パレット31a〜31d、32a〜32dが収容されている。
【0045】
パレット31a〜31dは同一形状を有し、図3Aに示す第1の種類の係合爪形状を有する。パレット32a〜32dは同一形状を有しており、図3Bに示す第2の種類の係合爪形状を有する。本実施形態において、異なる形状のパレットが交互に配列されている。例えば、図4において、パレット31aは、上側の隣のパレット32a及び下側の隣のパレット32bの間に挟まれている。ここで、2つのパレットの係合爪部分の外形が同一であっても、それらの係合爪部分が異なる位置に形成されている場合、2つのパレットの係合爪形状は異なる。
【0046】
図4に示すように、パレット配列方向(図4における上下方向)において見たとき、パレットの係合爪は隣のパレットの係合爪と重なっておらず、離れている。一つのパレットの係合爪のパレット配列方向における隣の係合爪は、一つ離れた同一形状のパレットの係合爪である。
【0047】
図4は、パレット31aの係合爪314a、315a、パレット32aの係合爪324a、325a、そしてパレット32bの係合爪324b、325bを、例示的に符号で指示している。パレット配列方向において見た場合、パレット31aの係合爪314a、315aは、一方の隣のパレット32aの係合爪324a、325aの間に位置し、また、他方の隣のパレット32bの係合爪324b、325bの間に位置している。
【0048】
パレット31aの係合爪314a、315aは、隣のパレット32a、32bのいずれの係合爪とも重なることなく、それらから離れている。また、パレット配列方向において、パレット32aの係合爪324a、325aの隣の係合爪(パレットではなく)は、パレット32bの係合爪324b、325bである。
【0049】
一般に、マガジン12において一つのパレットを収容する収容空間は、パレットサイズに対してマージンを有する。このため、収容空間内におけるパレットの位置は一定ではないが、マガジン12内のパレットがいずれの位置に収容されていても、上記関係が満たされる。
【0050】
次に、図5を参照して、ピッカ16の構成を説明する。図5は、ピッカ16の構成例を模式的に示す図であり、ピッカ16を上下方向において(上側からもしくは下側から)見た図である。ピッカ16のアーム・アセンブリ162は、2本のアーム623、624と、アーム623、624を移動するアーム駆動機構621とを有している。アーム移動機構621は、アーム623、624をパレット前面及び光ディスク載置面に沿った方向に移動する。本構成例においては、パレット配列方向に垂直な左右方向において、それらを移動する。
【0051】
アーム駆動機構621は、アーム623、624を逆方向に移動させる。つまり、アーム623、624は、面内において、互いに離れるあるいは近づく方向に平行に移動する。アーム駆動機構621は、モータ、ギアー及びラックなどの部品で構成されている。本実施形態において、アーム駆動機構621はどのような構成を有しても良く、シンプルで小型の構成が好ましい。
【0052】
アーム623、624及びアーム駆動機構621は、アーム支持板622上に配置されている。アーム・アセンブリ162の構成要素であるアーム支持板622は、164に沿って前後方向に移動することができる。移動軸164はスクリューであり、モータ165によって移動軸164が回転することでアーム支持板622(アーム・アセンブリ162)が移動する。アーム支持板622の駆動機構は、どのような構成であってもよい。
【0053】
ピッカ16の主な部品は、ベース・プレート163上に固定されている。ベース・プレート163は、昇降軸17に沿って、上下方向に移動することができる。支持バー18は、昇降軸17と共に、ベース・プレート163を支持する。上述のように、コントローラ11の制御下において、ピッカ・コントローラ161(図1を参照)がピッカ16の動作を制御する。
【0054】
パレット31、32の取り出しにおいて、アーム623、624がパレット31、32の係合爪と係合し、パレット31、32をマガジン12から取り出す。図6は、マガジン12からのパレット31を取り出しにおける、アーム623、624の動作を模式的に示す図である。アーム623、624による取り出し動作は、図6における最上段図から最下段図への順序と一致する。
【0055】
図6の最上段図に示すように、ピッカ16は上下方向に移動して、アーム623、624を対象のパレット31に対して位置決めする。アーム623、624は、パレット31の前面と対向する位置に位置決めされている。コントローラ11又はピッカ・コントローラ161は、予め設定されている位置にピッカ16を位置決めする又はマガジン12やパレット31上の位置決めマークを使用して位置決めを行ってもよい。この点は、アーム動作制御における他の動きについて同様である。
【0056】
アーム623、624間の間隔は、パレット係合爪314、315の両端間隔よりも広い。アーム623、624間の間隔は、上下方向におけるアーム623、624の位置決め前あるいは後に調整される。
【0057】
アーム623、624は、パレット31に向かって移動する(パレット挿入方向における移動)。位置決めされた後のアーム駆動機構621によるアーム623、624の動作は、面内における平行移動である。アーム623、624間の間隔は、パレット31に向かって動かす間に調整してもよい。
【0058】
図6の2段目の図に示すように、アーム623、624がパレット31に向かって所定距離進むと、アーム623、624は停止する。コントローラ11その後、アーム623、624は、それらの距離を縮めるように、左右方向において移動する。典型的には、ピッカ・コントローラ161は、予め設定された規定の距離だけアーム623、624を移動する。
【0059】
図6の3段目の図に示すように、アーム623、624は、所定距離だけ左右方向に移動すると停止し、パレット31から離れる方向(パレット取り出し方向)に移動する。図6の最下段図に示すように、パレット取り出し方向の移動において、アーム623、624は、パレット係合爪314、315と接触する。アーム623、624は、さらに、パレット取り出し方向に平行移動し、それらに係合しているパレット31が、アーム623、624によってマガジン12の収容空間から取り出される。
【0060】
アーム623、624によりマガジン12から引き出されたパレット31は、ピッカ16のベース・プレート163(図5を参照)の上に載さられて、光ディスク・ドライブ14a、14bあるいはメール・スロット13などの他の部品に搬送される。
【0061】
図6は、パレット31の取り出しにおけるアーム動作を示しているが、パレット32の取り出しにおけるアーム動作も略同様である。パレット32の取り出しにおいて、図6の2段目及び3段目の動作に相当するアーム動作における左右方向における移動方向が、パレット31における動作と逆である。
【0062】
図7A及び図7Bは、それぞれ、パレット31を引き出しているアーム623、624及びパレット32を引き出しているアーム623、624を模式的に示している。図7Aにおいて、アーム623、624は、それぞれ、パレット係合爪314、315と係合している。また、図7Bにおいて、アーム623、624は、パレット係合爪324、325と係合している。図7Aは、パレット31に加え、パレット32の係合爪を破線で示している。また、図7Bは、パレット32に加え、パレット31の係合爪を破線で示している。
【0063】
図7A及び図7Bは、マガジン12内におけるパレット配列方向から見たときの、パレット31、32を図示している。図7A及び図7Bに示すように、マガジン12内において、アーム623、624が一方の形状種類のパレット(例えばパレット31)と係合しているとき、パレット配列方向においてアーム623、624がずれても、他方の形状種類のパレット(例えばパレット32)と係合することはない。
【0064】
このように、パレット配列方向において見たとき、アーム623、624が一方の形状種類のパレットの係合爪との係合位置にあるとき、他方の形状種類のパレットの係合爪との係合位置とは異なる位置にある。本実施形態において、アーム623、624が、マガジン12内にあるパレットの係合爪と係合する位置を、係合位置と呼ぶ。アーム623、624は所定の広さを有する領域内のいずれかの位置にあるときに、パレット31、32の係合爪と係合する。係合位置は、上下方向及び左右方向において所定の寸法を有する領域内の任意の位置である。
【0065】
図6を参照して説明したように、アーム623、624は、パレット配列方向において取り出し対象のパレットに位置決めされた後、位置決めされた面内において移動することによって、対象パレットをマガジン12内の収容空間から引き出す。図7A及び図7Bに示すように、パレット配列方向において見たとき、この一連の動作において、アーム623、624は、対象とするパレットと異なる形状を有するパレット係合爪との係合位置の外側にある。そのため、パレットの取り出しにおいてアーム623、624がパレット配列方向においてずれても、アーム623、624が異なる係合爪形状のパレットを取り出すことを効果的に避けることができる。
【0066】
さらに、図4を参照して説明したように、マガジン12内において、異なる形状のパレットが交互に配列されている。パレット配列方向において隣り合う係合爪間の間隔は、隣り合うパレットが同一位置に係合爪を有する構成よりも大きい。上述のように、アーム623、624が一方の形状種類のパレット(例えば、パレット31)の取り出すとき、アーム623、624が一方の形状種類のパレット(例えば、パレット32)の係合爪と係合することはない。パレットに隣り合うパレットは、異なる係合爪形状を有することから、パレット取り出しにおいて同一形状パレットを誤って取り出す可能性を大きく低減することができる。
【0067】
図8A〜図8Cを参照して、アーム623、624の形状及び係合爪314、315、324、325の形状についてより詳細に説明する。図6、図7A及び図7Bを参照して説明したように、アーム623、624は、いずれのパレットの取り出しにおいても、その対象のパレットと係合してマガジン12から引き出す。パレット取り出しにおいて遊んでいるアームが存在しない。このため、アーム・アセンブリ162の構成がよりシンプルである。
【0068】
図8Aに示すように、アーム623、624は、それぞれ、アーム・シャフト81、82及びアーム・ヘッド83、84を有している。アーム・シャフト81、82の先端に、アーム・ヘッド83、84が固定されている。アームの先端部であるアーム・ヘッド83、84は、それぞれ、2つの係合爪を有している。具体的には、アーム・ヘッド83は、左右それぞれに、係合爪831、832を有する。また、アーム・ヘッド84は、左右両側に、係合爪841、842を有する。アーム623、624構成部品の材料として何を使用してもよいが、典型的には、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属あるいは樹脂材料を使用する。アーム・ヘッドとアーム・シャフトとは同一材料で一体的に形成してもよい。
【0069】
アーム・ヘッド83、84は、パレット31の取り出しとパレット32の取り出しとにおいて異なる係合爪を使用する。具体的には、図8Bに示すように、アーム・ヘッド83、84は、それぞれ、パレット31の取り出しにおいて、アーム係合爪832、841を使用する。一方、図8Cに示すように、アーム・ヘッド83、84は、それぞれ、パレット32の取り出しにおいて、アーム係合爪831、842を使用する。このように、アーム・ヘッド83、84が左右に係合爪を有し、それらを異なる種類のパレットに使用することで、アーム623、624の移動範囲を小さくすることができる。
【0070】
図8Bに示すように、アーム係合爪832、841とパレット係合爪314、315との係合において、アームの係合面834、843が、パレットの係合面317、318と当接している。また、図8Cに示すように、アーム係合爪831、842とパレット係合爪324、325との係合において、アームの係合面833、844が、パレットの係合面327、328と当接している。このように、アームとパレットとの係合において、それの接触は面接触あるいは点接触でもよい。
【0071】
上記アーム形状及び上記パレット係合爪形状は、これらの形状の好ましい例を示し、アーム及びパレットがこれと異なる形状を有していてもよい。例えば、アーム・ヘッドの先端は曲面でもよく、また、アーム係合爪の左右端が平面あるいは局面であってもよい。アーム・ヘッドのパレット係合爪との接触部は、局面であってもよい。左右のアーム係合爪が異なる形状を有していてもよく、アーム・ヘッドの厚みは一定でなくてもよい。左右のパレット係合爪は異なる形状を有してもよく、パレット形状爪のコーナあるいはアーム係合爪との係合面が曲面であってもよい。
【0072】
図9A及び図9Bを参照して、アーム623、624とパレット31、32の好ましい寸法関係を説明する。図9Aは、パレット配列方向において見たときの、アーム・ヘッド83、84の幅と、パレット係合爪314、324間の間隔及びパレット係合爪315、325間の間隔を模式的に示している。本構成例において、アーム・ヘッド83、84は、同一の幅L1を有する。幅L1は、アーム・ヘッド83、84の左右方向における最大寸法である。上記2つのパレット係合爪間の間隔は、同一の値L2を有している。
【0073】
図9Bはパレット挿入方向において見た場合のアーム・ヘッド83、84とパレット31、32における寸法を示している。本構成例において、アーム・ヘッド83、84は同一の厚み(パレット配列方向における寸法)を有し、それはT1で指示されている。また、パレット係合爪314、324、315、325(パレット31、32)は、共に、同一の厚みT2を有する。なお、典型的に、パレット31、32は、本体中央において、光ディスクを載せるために、薄くなっている。マガジン12内において、パレット31、32の配列方向における隣接パレット間距離(配列ピッチ)はPで示されている。
【0074】
好ましい構成において、アーム・ヘッド厚みT1は、パレット係合爪厚みT2以上である。これにより、パレットの取り出しにおいて、パレット配列方向におけるアーム623、624の位置決めマージンを大きくすることができる。アーム・ヘッド83、84が対象パレットの取り出しにおいて、他のパレットの係合爪との係合の可能性を適切に小さくするため、アーム・ヘッド厚みT1は2P以下であることが好ましく、より好ましくは(2P−T2)以下である。
【0075】
好ましい構成において、パレット係合爪間の間隔L2はアーム・ヘッド幅L1よりも大きい。これにより、パレット取り出しにおいて、アーム623、624をパレット挿入方向に直線状に移動することができ、アーム623、624動作をシンプルなものとすることができる。また、アーム・ヘッド83、84が隣のパレットの係合爪と接触することがないため、アーム・ヘッド厚みT1を大きくすることができる。
【0076】
パレット係合爪間の間隔が一定でない構成においては、その最小値が間隔L2である。左右のパレット係合爪間隔の値は異なっていてもよい。アーム・ヘッド83、84の幅は同一でなくともよい。幅パレット係合爪間隔と対応するアーム・ヘッドの幅との間において上記関係が満たされる。
【0077】
上記構成例において、パレット前面の厚みは本体部及び係合爪において同一である。パレット係合爪314、324、315、325は、本体部と異なる厚みを有してもよい。上記厚みT1、T2及びパレット間距離Pの関係は、パレット係合爪314、324、315、325とアーム・ヘッド83、84とに適用される。より具体的には、パレット係合爪とアーム係合爪のそれぞれの係合面833、834、843、844、317、318、327、328(図8A〜図8Cを参照)の厚みに適用される。好ましくは、アーム・ヘッドの厚みの最大値が2P又は(2P−T2)以下である。
【0078】
上記好ましい構成において、ピッカ16は、2本のアーム623、624を使用してパレット31、32を引き出す。このため、1本アームのみでパレットを引き出す構成と比較して、より安定した引き出しが可能である。さらに、上記好ましい構成において、パレット31、32の係合爪形状は、左右対称である。つまり、パレット31、32の左右方向の中心について、線対称である。このため、2本のアーム623、624が、より安定してパレット31、32を引き出すことができる。
【0079】
上記好ましい構成において、パレット配列方向において見た場合、パレット32の係合爪324、325の間にパレット31の係合爪314、315が位置している。アーム623、624は、左右両側に係合爪831、832、841、842を有している。このため、アーム623、624を回転することなく、左右方向へ移動することによって、パレット31、32と係合させることができる。また、アーム623、624を左右方向において大きく動かすことなく、2種類のパレット31、32と係合することができる。
【0080】
その他の実施形態.
このように、ピッカは、2本アームによって、左右対称の係合位置においてパレットを支持しながら、パレットをマガジンの収容空間から引き出すことが好ましい。しかし、本発明が適用されるピッカ及びパレットの形状は、他の構造を有することができる。例えばピッカは、1本アームでパレットを引き出してもよい。2本アームのアーム・ヘッドは、それぞれ、左右非対称の形状を有してもよく、また、これらが異なる形状を有していてもよい。図9Aを参照して説明した、パレット係合爪間の左右のギャップは異なる値であってもよい。
【0081】
図10は、1本のアームでパレットを取り出す構成を模式的に示している。1本アームによるパレットの取り出しは、2本アームと比較して安定性は低い。本構成例において、異なる2種類の係合爪形状のパレット91、92が交互に配列される。アーム93は、左右両側に係合爪931、932を有している。
【0082】
パレット91、92は、それぞれ、前面に係合爪911、921を有する。係合爪911と係合爪921とは、パレット配列方向において見た場合に、重ならない。アーム93の係合爪911との係合位置は、係合爪921との係合位置と異なる位置である。このため、アーム93が対象のパレットを取り出すとき、係合爪形状が異なる隣のパレットの係合爪と接触することなく、対象のパレットを引き出すことができる。
【0083】
アーム93が両側に係合爪931、932を有し、それぞれの係合爪931、932でパレット91、92を取り出すので、シンプルな構成で、係合爪911、912間の距離を基準として、アーム93の移動範囲を小さくすることができる。
【0084】
図11は、1本のアームでパレットを取り出す他の構成を模式的に示している。本構成例において、異なる2種類の係合爪形状のパレット95、96が交互に配列される。パレット95、96は、それぞれ、前面に係合爪951、961を有する。アーム97は、片側のみに係合爪971を有する。このため、パレット係合爪951、961の突出方向は同一である。
【0085】
係合爪951と係合爪961とは、パレット配列方向において見た場合に、重ならない。アーム97の係合爪951との係合位置は、係合爪961との係合位置と異なる位置である。このため、アーム97が対象のパレットを取り出すとき、係合爪形状が異なる隣のパレットの係合爪と接触することなく、対象のパレットを引き出すことができる。
【0086】
図12は、係合爪を側面に有するパレット及びそのパレットを引き出すアームを模式的に示している。パレット71及びパレット72は、それぞれ、左右の側面に係合爪711、712及び係合爪721、722を有している。2本のアーム73、74が、パレット71、72をマガジンから取り出す。マガジン内においては、異なる形状種類のパレットが交互に配列される。
【0087】
アーム73、74のパレット71との係合位置は、パレット配列方向において見たとき、パレット72との係合位置から外れている。具体的には、パレット挿入/取り出し方向において、それらの係合位置がずれている。そのため、アーム73、74がパレットを取り出すとき、隣のパレットの係合爪と係合することはない。
【0088】
図12の構成においては、2本のアーム73、74がパレット71、72のそれぞれと係合して、それをマガジンから引き出すので、安定してパレットを引き出すことができる。パレット71、72はその側面に係合部を有するので、マガジン内にアーム73、74を挿入する空間あるいはパレット71、72の係合部がマガジン外に位置していることが必要である。この点で上記他の構成のように、パレットは前面に係合部を有することが好ましい。
【0089】
アーム73、74は、先端部と異なる位置に係合爪を有していても良い。パレットが前面に係合爪を有する構成においては、上述のように、アームはその先端部(アーム・ヘッド)に係合爪を有することが好ましい。これにより、アームとの係合のためにパレットに必要とされる領域を小さくすることができる。
【0090】
これまでに説明した構成は、パレットを取り出すためのアームを位置決めした面内において平行移動する。これにより、アームの係合爪とパレットの係合爪とを安定して確実に係合させることができる。これと異なり、ピッカは、図13に例示するように、パレット取り出しにおいて、アームを回動することでその位置を変更してもよい。アーム77、78は、回動軸771、781において回動することで、面内において左右方向にアーム・ヘッド772、782(係合爪)を移動することができる。
【0091】
また、他の構成において、図14に例示するように、アーム・ヘッド751、752がアーム・シャフト753、754上の軸において回動してもよい。例えば、アーム・ヘッド751、752はバネにより支持されている。アーム・ヘッド751、752がパレットとの係合位置に挿入されるとき、アーム・ヘッド751、752はパレットの一部に押圧されて破線で示す初期位置から回動し、その後、バネの弾性力によって初期位置に戻る。バネは、パレット引き出しにおいてアーム・ヘッド751、752が回動しない程度の強さの弾性力を有している。この構成によって、位置決めされた面内におけるアームの移動範囲を小さくすることができる。
【0092】
図15は、他の構成のパレット35を模式的に示す平面図である。パレット35は、前後両側に係合爪を有している。一方の側の係合爪形状はパレット31の係合爪の形状と同一であり、他方の側の係合爪形状はパレット32の係合爪の形状と同一である。マガジン内に配列される2種類のパレットの係合爪を前後面に有することで、マガジン内の任意位置にパレット35を配置することができる。
【0093】
光ディスク・ライブラリ装置1は、パレット35と同一形状を有するパレットのみを使用する、あるいは、パレット31と同一形状を有するパレット及び/又はパレット32と同一形状を有するパレットと共に使用する。好ましい構成において、ピッカ16は、筺体10内においてパレットの前後の向きを変える動作が可能である。これにより、マガジン12内の任意の空き空間にパレット35を挿入することができる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0095】
例えば、光ディスク・ライブラリ装置は、3種類以上の係合爪形状のパレットを使用してもよい。この構成においても、アームとパレットとの係合位置は、パレット配列方向において見たとき、隣り合うパレット間において異なることが重要である。つまり、パレットと係合しているアームは、隣接パレットとの係合位置から外れた位置にあることが重要である。全ての形状種類のパレットとの係合位置が異なることが好ましいが、1つのパレットとの係合位置にあるアームは、隣接位置とは異なる位置にあり異なる係合爪形状を有するパレットとの係合位置にあってもよい。
【0096】
本発明は、光ディスクとは異なる記憶ディスクを使用するディスク・ライブラリ装置に適用することができる。ディスク・ライブラリ装置は、記録及び再生の一方の機能のみを有するディスク・ドライブを使用してもよい。本発明は、いずれの用途に使用されるディスク・ライブラリ装置にも適用することができる。
【0097】
マガジン、メール・スロット、光ディスク・ドライブ、ピッカなどの構成部品の数及び材料は特に限定されない。例えば、メール・スロットを省略してもよい。ピッカ及びアーム・アセンブリの移動機構は、図を参照して説明した構成とは異なる構成を有しても良い。典型的には、移動機構は、モータ、ソレノイド、歯車などの部品を有している。一般に、パレット配列方向は、ディスク・ライブラリ装置の設置環境における上下方向(鉛直方向)に略一致する。しかし、パレット上でディスクを固定することができるのであれば、パレット配列方向が鉛直方向から大きくずれていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 光ディスク・ライブラリ装置、10 筺体、11 コントローラ、12 マガジン
13 メール・スロット、14a、14b 光ディスク・ドライブ、16 ピッカ
17 昇降軸、18 支持バー、31、32 パレット、81、82 アーム・シャフト
83、84アーム・ヘッド、121 開口、122、123 レール
161 ピッカ・コントローラ、162 アーム・アセンブリ
163 ベース・プレート、164 移動軸、165 モータ
311、321 光ディスク載置面、314、315、324、325 パレット係合爪
317、318、327、328 係合面、621 アーム駆動機構
622 アーム支持板、623、624 アーム
831、832、841、842 アーム係合爪
833、834、843、844 係合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶ディスクへのアクセスを行う一つもしくは複数のディスク・ドライブと、
前記一つもしくは複数のディスク・ドライブに挿入される複数の記憶ディスクを収容するマガジンと、
それぞれが記憶ディスクを載せるディスク載置面を有する複数のパレットであって、異なる係合爪形状を有するパレットが隣り合うように前記マガジン内で配列される複数のパレットと、
前記複数のパレットから選択されたパレットを前記マガジンから取り出すピッカと、を有し、
前記ピッカは、前記選択されたパレットの取り出しにおいて、前記マガジンから前記選択されたパレットを取り出す一つ又は複数のアームを有し、
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは、前記選択されたパレットの取り出しにおいて、前記選択されたパレットの係合爪と係合しかつパレット配列方向において見て前記選択されたパレットの隣のパレットの係合爪との係合位置から外れた位置にある、
ディスク・ライブラリ装置。
【請求項2】
前記複数のパレットのそれぞれは、前面に前記一つ又は複数のアームと係合する一つ又は複数の係合爪を有している、
請求項1に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項3】
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは、前記選択されたパレットの係合爪との係合のために、前記選択されたパレットのディスク載置面及び前面に沿った方向において移動し、
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは、前記移動の方向の両側に係合爪を有し、前記両側の係合爪はそれぞれ異なる係合爪形状のパレットと係合する、
請求項2に記載のディスク・ライブラリ装置
【請求項4】
前記一つ又は複数のアームは、前記選択されたパレットの係合爪との係合のために、前記選択されたパレットのディスク載置面及び前面に沿った方向において平行移動する、
請求項2に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項5】
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは先端部に係合爪を有し、
前記アームの係合爪の係合面の前記パレット配列方向における寸法は、前記パレットの係合爪の係合面の前記パレット配列方向における寸法以上である、
請求項2に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項6】
前記アームの係合爪の係合面の前記パレット配列方向における寸法は、隣接パレット間距離の2倍以下である、
請求項5に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項7】
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは先端部に係合爪を有し、
前記一つ又は複数のアームのそれぞれは、前記選択されたパレットとの係合のために、前記選択されたパレットのディスク載置面及び前面に沿った方向において移動し、
前記アームの先端部の前記移動の方向における寸法は、隣接するパレットの前記移動の方向における係合爪間の間隔よりも小さい、
請求項2に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項8】
前記ピッカは、2本のアームを使用して前記選択されたパレットを取り出す、
請求項1に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項9】
前記複数のパレットのそれぞれは、前面に前記2本のアームと係合する2つの係合爪を有しており、
前記複数のパレットのそれぞれの前記2本のアームとの係合位置は、前面の中心線について線対称である、
請求項8に記載のディスク・ライブラリ装置。
【請求項10】
前記複数のパレットの少なくとも一部は、前後の両側に係合爪を有しており、
前記一部のパレットは、前後において異なる係合爪形状を有する、
請求項1に記載のディスク・ライブラリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−38392(P2012−38392A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179412(P2010−179412)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】