説明

ディスク再生機

【課題】クランパをターンテーブルから離反させた際のクランパ支持部材の高さ位置を低く抑えて、ディスク再生機の薄型化(小型化)を図る。
【解決手段】
ディスク再生機において、可動部材の近傍においてクランパ支持部材の一部を再生基板に向けて突出させてその突出部の先端を当接部とし、再生基板の当接部に対向する部位を被当接部とし、クランパをディスク挟持位置に位置させた際に前記当接部を被当接部に当接させてクランパ支持部材と可動部材との接触を防止して、クランパ支持部材を可動部材に限界まで接近させることを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクをターンテーブルとクランパとで挟持して再生を行なうディスク再生機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−257109号には、図7および図8に示すディスク再生機が開示されている。これは、ディスクD1をターンテーブル100とクランパ101とで挟持してディスクD1の再生を行なうもので、クランパ101はクランパ支持部材102に回転自在に取付けられ、クランパ支持部材102を再生基板103に対して接近させてターンテーブル100上のディスクD1にクランパ101を押付けるようにしている。
クランパ支持部材102は、制御板104の進退移動によって回動され、制御板104は図示しないモータによって駆動される。
【0003】
また、このディスク再生機には、挿入されたディスクD1を検出するディスクセンサ105が設けられており、このディスクセンサ105に移動板106の一端が連結されている。前記移動板106の他端は、トリガレバー107に連結されている。
ディスクD1が挿入されるとディスクセンサ105がディスクに押されて回動し、この回動により移動板106がディスク挿入方向に移動する。ディスクD1はさらに移動してトリガレバー107を押し、トリガレバー107を回動させる。このトリガレバー107の回動により、制御板104がディスク挿入方向とは反対の方向に移動する。そして、制御板104の移動により、クランパ支持部材102を下方へ回動させ、クランパ101とターンテーブル100とでディスクD1を挟持する。
【特許文献1】特開2003−257109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるディスク再生機では、クランパ支持部材102が移動板106(可動部材)と重ねて配置されているので、クランパ支持部材102が下方へ回動してクランパ101をディスク挟持位置に位置させたとき、クランパ支持部材102と移動板106との接触を回避するために、クランパ支持部材102は余裕をもって移動板106から離反させておかねばならない。クランパ支持部材102が移動板106に接触すると、移動板106に損傷を与えたり、移動板106の動きを阻害するおそれがあるからである。そのためクランパ101をターンテーブル100から離反させた際のクランパ支持部材102の高さ位置を低く抑えることができず、ディスク再生機の薄型化(小型化)が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
再生基板にはターンテーブルが装備され、その再生基板上には可動部材が移動自在に配置されている。クランパ支持部材はクランパを回転自在に支持して再生基板上の前記可動部材と重なる位置に配置され、クランパを前記ターンテーブルとの間でディスクを挟持する位置をターンテーブルから離反する位置として選択的に位置させる。可動部材の近傍においてクランパ支持部材には当接部、再生基板には被当接部をそれぞれ設け、これら当接部および被当接部はその少なくとも一方を相手方に向けて突出した突出部の先端とし、クランパとターンテーブルとでディスクを挟持したとき当接部を被当接部に当接させてクランパ支持部材と可動部材との接触を防止した。
また、前記クランパ支持部材には、前記可動部材と重なる部位を局部的に該可動部材から離れる向きに押出し形成してなる逃げ部を設けてもよい。
さらに、クランパ支持部材を再生基板に回動自在に装着し、当接部または被当接部の一方を相手方に向けて突出した突出部の円弧状先端面とし、その先端面の曲率中心をクランパ支持部材の回動軸線とほぼ一致させ、該先端面を相手方に対してほぼ接触させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のディスク再生機によれば、クランパをディスク挟持位置に位置させた際にクランパ支持部材が可動部材に接触しそうになっても、その前に当接部が被当接部に当接して、クランパ支持部材と可動部材との接触を防止できる。したがって、クランパ支持部材を可動部材に限界まで接近させることができる。そのためクランパをターンテーブルから離反させた際のクランパ支持部材の高さ位置を低く抑えることができ、ディスク再生機の薄型化(小型化)が容易となる。
また、クランパ支持部材に逃げ部を設けると、クランパ支持部材を可動部材との接触を防止しながら一層再生基板に接近させることができ、その分、クランパをターンテーブルから離反した際のクランパ高さ位置をより低く抑えることができ、ディスク再生機の薄型化(小型化)が一層容易になる。
さらに、クランパ支持部材を再生基板に回動自在に装着し、当接部または被当接部の一方を相手方に向けて突出させ、かつ、その突出部の先端を円弧状先端面とし、その円弧状先端面の曲率中心をクランパ支持部材の回動軸線とほぼ一致させるようにすると、クランパ支持部材の回動を妨げることなく、突出部を相手方に常時ほぼ当接させることができ、可動部材近傍におけるクランパに対するたわみ等の変形を防止でき、クランパ支持部材と可動部材との接触を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のディスク再生機を図1〜図6を参照して説明する。図1はディスク再生機のメカニズム部分を示す斜視図で、ディスク再生機1には、仮想線で示す外シャーシ2の内部に図示しないダンパを介して再生基板3が組み込まれている。この再生基板3にはディスクDを挿入する挿入口4が前端に設けられ、再生基板3の中央部にはターンテーブル5が装着されている。また再生基板3の一側面3aには合成樹脂製の制御板6が進退自在に取付けられ、この制御板6にはクランク状の第一カム溝7及び第二カム溝6aが形成されている。ターンテーブル5の上方には、ディスクDをターンテーブル5との間で挟持するクランパ8が配置されている。このクランパ8は、クランパ支持部材9に回転自在に軸支され、クランパ支持部材9は再生基板3の後面3b側に上下回動自在に支持されている。クランパ支持部材9には第一溝カム7に嵌合する係合突起9aが形成され、制御板6が進退移動するとクランパ支持部材9が上下に回動して、クランパ8をターンテーブル5に対し離接させる。ディスク再生機1には、挿入口4とターンテーブル5との間にディスクDを搬送する送りローラ10(破線で示す)が取付けられている。
【0008】
前記送りローラ10は、挿入口4より挿入されたディスクDをガイド11に押付けるとともに、モータの回転によりディスクDをターンテーブル5上に搬送する。ガイド11は再生基板3の上面側に位置する支持板12に取付けられている。この支持板12には、ターンテーブル5の左右位置に上面方向に突出するカム12aと、舌片12bとが形成されている。さらに支持板12には、左右一対のディスクセンサ14、15が水平回動自在に取付けられている。これらのディスクセンサ14、15はディスクDの外周を当接させる検出片14a、15aを有している。両ディスクセンサ14、15は、互いに連動して逆方向に回動するように連結板16で連結されている。また、連結板16と支持板12との間にトーションバネ17が掛け渡され、挿入口4の近傍に位置する両ディスクセンサ14、15の検出片14a、15aを互いに接近させる方向に付勢している。
【0009】
さらにディスクセンサ14の隣接位置には係止レバー18が、支持板12に中間部を回動自在に取付けられている。この係止レバー18には、一端に一方のディスクセンサ14のU字溝14bに嵌合するピン18a、他端にディスク搬送経路内に位置して搬送途中の大径ディスクの外周に摺接する図示しない摺接ピンが、それぞれ形成されている。そして係止レバー18は、ピン18aをU字溝14bから離脱される方向に極めて弱いばねで回動付勢されている。この係止レバー18は、U字溝14bにピン18aを嵌合させることにより、両ディスクセンサ14、15を回動した位置に係止する。一対のディスクセンサ14、15には、小径ディスクの中心がターンテーブル5の中心を僅かに越えて搬送されたとき、小径ディスクの外周を当接させるストッパ部21が形成されている。小径ディスクは、このストッパ部21に外周を当接させてセンタリングが行われる。
【0010】
ストッパ部21は、ターンテーブル5より再生基板3の後面3b側に向かって延びる細長い薄板14c、15cの先端に形成され、ターンテーブル5と再生基板3の後面3bとのほぼ中間に位置付けられている。前記ディスクセンサ14、15の回動により薄板14c、15cの側面がカム12aの根元に接し、ディスクセンサ14、15がさらに回動すると、薄板14c、15cが弾性変形しながらカム12aに乗り上げて行く。このときストッパ部21の先端は、上方へ移動してディスク搬送経路から外れる。一方、ディスクセンサ14、15が回動しないときには、舌片12bが薄板14c、15cの上面に被さるようになる。舌片12bは、小径ディスクがストッパ部21に当接したとき、薄板14c、15cの弾性変形を禁止する。これらのストッパ部21はクランパ支持部材9の左右に対向配置されている。
【0011】
一方のディスクセンサ14には可動部材19の一端が連結され、可動部材19の他端はトリガレバー20に連結されている。可動部材19は、再生基板3上のクランパ支持部材9と重なる位置にあり、トリガレバー20には、ディスク搬送経路内に位置する当接ピン20aと制御板6に係合する図示しない押圧ピンとが設けられる。この当接ピン20aがディスクDの外周に押されると、トリガレバー20が可動部材19との連結部19aを中心に回動する。この回動でトリガレバー20の押圧ピンは、制御板6を介して図示しない送りローラ解除機構を起動させる。
【0012】
図1および図2に示すようにクランパ支持部材9は、ストッパ部21との当接を避けるため、クランパ8を取付けた部分の両側を切欠いた略三角形の形状をしている。クランパ支持部材9はクランパ8を略三角形の頂点部分で支持し、一方の側面9bに再生基板3の支持片3cの軸孔に嵌合する第一支軸9dを有し、他方の側面9cに係合突起9aを有している。そして、一方の側面9bと他方の側面9cとの間に、再生基板3の支持片3dの軸孔に嵌合する第二支軸9fを有している。さらに、クランパ支持部材9は、第二支軸9fと他方の側面9cとの間で、かつ、可動部材19の近傍位置に、下方に折り曲げ形成された突出部9gを有し、この突出部9gの下端面を、再生基板3に向けて突出する当接部9hとしている。当接部9hの先端は円弧状先端面とし、その円弧状先端面の曲率中心をクランパ支持部材9の回動軸線Aとほぼ一致させている。
一方、再生基板3の、当接部9hに対向する部位を被当接部9iとし、クランパ支持部材9の回動位置いかんに関わらずクランパ支持部材9の当接部9hは再生基板3の被当接部9iに常時接触している。
図2の如く、前記突出部9gは、第一支軸9dと第二支軸9fとを結ぶ回動軸線A上で、かつ、折曲部9kと他方の側面9cとの間の略中央に位置している。このように、突出部9gを配置すると、折曲部9kと他方の側面9cとの間に発生するたわみ等の変形を効果的に防止でき、クランパ支持部材9と可動部材19との接触を確実に防止できる。また、突出部9gがクランパ支持部材9の駆動側に近い位置に配置されるので、たわみ等の変形を防止できることによって、ディスクを挟持するディスククランプ圧の低減を防止することができる。
クランパ支持部材9には、図1ないし図3に示すように、可動部材19と重なる部位を局部的に該可動部材19から離れる向きに押出し形成してなる逃げ部9jが設けられている。
【0013】
図4は、ディスクDがターンテーブル5上に搬送される初期の状態を示すもので、係合突起9aが第一カム溝7の中にあり第一溝7aの位置に位置し、クランパ8をターンテーブル5から離反させている。このときクランパ8の外周は外シャーシ2の接片2eに当接して水平状態を保たれている。
ディスクDの搬送が進みディスクDの中心がターンテーブル5の中心位置を僅かに過ぎると、ディスクDの外周が図1で示した当接ピン20aに当接し、図4の如く、制御板6がディスクDの挿入方向とは反対の方向に移動する。すると係合突起9aが傾斜溝7cに移動して、クランパ支持部材9が回動しクランパ8をターンテーブル5に接近させるようになる。
図5はディスクDがクランパ8によりターンテーブル5に押付けられた状態を示している。係合突起9aは第一カム溝7の第一溝7aから傾斜溝7cを通り、第二溝7bに嵌合している。よって、クランパ支持部材9は下方に回動してクランパ5をディスク挟持位置に保持している。
【0014】
図6は、クランパ支持部材9が仮想線位置から実線位置に回動してクランパ5をディスク挟持位置に位置させた状態を示す。このとき、当接部9hが被当接部9iに当接し、クランパ支持部材9の逃げ部9jと可動部材19との間には僅かな隙間が存在する。クランパ支持部材9と可動部材19との接触を防止することができる。
【0015】
ここに示した実施の形態ではクランパ支持部材9側の当接部9hを、再生基板3側の被当接部9iに向けて突出させるものとしたが、逆に被当接部9iを当接部9hに向けて突出させても良いし、当接部9hと被当接部9iの双方を相手方に向けて突出させるようにしても良い。
【0016】
また、当接部9hと被当接部9iとは常に当接していなくても良い。この当接部9hと被当接部9iとが当接した際に、クランパ支持部材9と可動部材19との間に僅かな隙間があればよい。
さらに、クランパ支持部材9を再生基板3に対して上下回動自在とした例を示したが、クランパ支持部材9を再生基板3に対して平行状態を維持しながら離接させるようにしても良い。また、ディスクセンサ14とトリガレバー20とを連結する部材を可動部材19として例示したが、可動部材19としては、要は再生基板3上に移動自在に配置された部材であって、クランパ支持部材9と重なる位置にあるものであればよい。
そして、当接部9hの円弧状先端面の曲率中心をクランパ支持部材9の回動軸線Aと一致させるものとして説明したが、回動軸線Aと完全に一致していなくても、ほぼ一致していればよい。また、円弧状先端面として形成された当接部9hを被当接部9iに対して接触させるものとして説明したが、被当接面9iに完全に接触していなくても、ほぼ接触していればよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ディスク再生機のメカニズム部分を示す斜視図
【図2】前記メカニズムの背面図
【図3】クランパ支持部材と可動部材との位置関係を示す平面図
【図4】ディスク搬送初期の状態を示す側面図
【図5】ディスク搬送終了時の状態を示す側面図
【図6】クランパ支持部材と可動部材との関係を一部を断面にして示す側面図
【図7】従来のディスク再生機のメカニズム部分を示す斜視図
【図8】同メカニズムの一部を示す平面図
【符号の説明】
【0018】
3 再生基板
5 ターンテーブル
8 クランパ
9 クランパ支持部材
9g 突出部
9h 当接部
9i 被当接部
9j 逃げ部
19 可動部材
A 回動軸線
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブル(5)を装備した再生基板(3)と、再生基板上に移動自在に配置された可動部材(19)と、クランパ(8)を回転自在に支持して再生基板上の前記可動部材と重なる位置にあってクランパを前記ターンテーブルとの間でディスク(D)を挟持する位置とターンテーブルから離反する位置とに選択的に位置させるクランパ支持部材(9)とを具備したディスク再生機において、
前記可動部材の近傍においてクランパ支持部材には当接部(9h)、再生基板には被当接部(9i)をそれぞれ設け、これら当接部および被当接部の少なくとも一方を相手方に向けて突出した突出部(9g)の先端とし、クランパとターンテーブルとでディスクを挟持したとき当接部を被当接部に当接させてクランパ支持部材と可動部材との接触を防止することを特徴とするディスク再生機。
【請求項2】
前記クランパ支持部材には、前記可動部材と重なる部位を局部的に該可動部材から離れる向きに押出し形成してなる逃げ部(9j)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のディスク再生機。
【請求項3】
クランパ支持部材を再生基板に回動自在に装着し、これら当接部および被当接部の一方を相手方に向けて突出した突出部の円弧状先端面とし、その先端面の曲率中心をクランパ支持部材の回動軸線(A)とほぼ一致させ、該先端面を相手方に対してほぼ接触させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスク再生機。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−92674(P2006−92674A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277936(P2004−277936)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】