説明

ディスク再生装置、ディスク再生システム、制御方法及びプログラム

【課題】ディスク再生装置に振動が無い時と有る時とにおいて、音飛びを防止すること。
【解決手段】光ディスク11の記録層に形成された信号面上の記録情報を示すRF信号を生成する信号生成回路14Cと、自装置の振動値を検出する振動検出部23と、振動検出部23により検出された振動値に応じて、光ディスク11の傷を検出するための傷検出レベル値を信号生成回路14Cにより生成されたRF信号に設定する制御部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生装置、ディスク再生システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光情報記憶媒体(以下、光ディスク)であるDVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、BD(Blu-ray Disc)などにデータを再生するディスク再生装置が知られている。
【0003】
ディスク再生装置は、光源から射出された光束を光ディスクの記録面に集光させ、光ディスクの記録面から反射された反射光束を集光(検出)する対物レンズが備えられている。当該対物レンズには、通常、反射光束を検出するための制御がかかった状態で、光ディスクのトラックの追従(光ディスクのトラッキング方向にレーザー光を照射させて光ディスクのトラックからの反射光束の集光)が行われる。このため、例えば、光ディスクに傷が存在する場合、レーザー光が傷を通過する際、対物レンズが反射光束を検出しようと動いてしまう。そうすると、レーザー光が傷を通過し終わったときにトラックを検出できなくなってしまうことがある(以下、トラックを検出できなくなることをトラック外れと記す)。
【0004】
このトラック外れを避けるために、対物レンズをホールドすること(対物レンズを光ディスクの半径方向の所定位置に固定するための制御)が行われる。対物レンズをホールドすることにより、トラック外れを避けることができるので、傷通過後のトラックを捉えることができる(傷通過後のトラックからの反射光が対物レンズから外れることはなく、反射光束を検出することができる)。
【0005】
ここで、図4を参照して、光ディスクに存在する傷の種類に対する音飛びのしやすさについて説明する。図4は、RF信号と傷検出との関係を示したものであり、各傷(RFが欠落する傷、RFが残る傷(1)、RFが残る傷(2))において、傷検出レベルが高い場合と、傷検出レベルが低い場合における振動の有無に対する音飛びのしやすさとを示した表である。音飛びは、データの記録又は再生データが得られなくなることを示す。また、音飛びのしやすさは、データが取得しにくいか又は取得しやすいかを示す情報である。
【0006】
たとえば、RFが欠落する傷は、光ディスク上に存在する長さが0.4mm以上の傷などであって、光ディスクに照射されたレーザー光をほとんど反射しない傷である。このため、RFが欠落する傷に対してレーザー光が照射されても、RF信号(光ディスクの記録層に形成された信号面上のアドレス情報やデータ信号等の記録情報を示す信号)を検出することができない。また、RFが残る傷(1)は、たとえば、光ディスク上に存在する長さが0.2mm以下の傷であって、光ディスに照射されたレーザー光の反射光量が少ない状態になる傷である。RFが残る傷(1)に対してレーザー光が照射された場合、RF信号を検出し、ピット情報を読み出すことは可能である。RFが残る傷(2)は、RFが残る傷(1)よりも長さが小さい傷であって、たとえばRFが残る傷(1)よりもレーザー光の反射光量が大きい状態になる傷である。
【0007】
傷検出レベルは、傷を検出するためのRF信号の閾値を示す。RF信号が傷検出レベル以上の場合は、傷は検出されない。傷が検出されない場合、対物レンズはホールドされない。一方、RF信号が傷検出レベルよりも小さい場合は、傷と見なされ、傷が検出された場合、トラック外れを避けるために、対物レンズがホールドされる。
【0008】
図5は、ディスク再生装置に振動が無い時とある時とにおいて、音飛びのしやすさを比較した結果をまとめた表である。図5に示すように、ディスク再生装置に振動がないときは、傷検出レベルが高い方が音飛びがしにくい。また、ディスク再生装置に振動があるときは、傷検出レベルが低い方が音飛びしにくい。
【0009】
ここで、ディスク再生装置に振動があるときに、傷検出レベルが低い方が音飛びしにくいことについて説明する。以下、RFが残る傷(1)において、ディスク再生装置に振動があるときにおける各状態(状態B、状態E)を用いて説明する。
【0010】
先ず、状態Bでは、傷検出レベルが高いため、対物レンズがホールドされる。このとき、ディスク再生装置に外乱(例えば、車からの振動)が与えられると、外乱により対物レンズのレンズ位置が移動してしまう。そうすると、傷通過後のトラックを捉えることができなくなり、音飛びがしやすくなる。
【0011】
一方、状態Eでは、傷検出レベルが低いため、対物レンズはホールドされない。この場合、ディスク再生装置に外乱が与えられても、トラックを追従させるサーボ制御動作が働き続けるため、対物レンズに振動が与えられても、光ディスクのピット情報を読むことができ、トラックを追従させ続けられる(光ディスクのトラッキング方向にレーザー光を照射させて、光ディスクのトラックからの反射光を検出し続けることができる)。このとき、トラックを追従している間は、対物レンズをサーボ制御動作させているため、ディスク再生装置の振動により対物レンズが振られる(振動する)ことは少ない。このため、音飛びしにくい。すなわち、ディスク再生装置に振動があるときは、傷検出レベルが低い方が音飛びしにくい。
【0012】
次に、ディスク再生装置に振動がないときに、傷検出レベルが高い方が音飛びしにくいことについて説明する。以下、RFが欠落する傷において、ディスク再生装置に振動がないときにおける各状態(状態A、状態D)を用いて説明する。
【0013】
先ず、状態Aでは、ディスク再生装置に振動が与えられないので、音飛びしにくい。
一方、状態Dでは、傷検出レベルが低いため、RFが欠落する傷の場合、光ディスクのピット情報を読めなくなる。そうすると、ディスク再生装置に振動がない状態でも、トラック外れが生じ、反射光を検出することができなくなってしまい、音飛びしやすくなる。
【0014】
また、RFが欠落する傷におけるRF信号の波形は、傷検出時において斜めになっている(図4中状態Dにおける「A1」参照)。このとき、状態D(状態Aよりも傷検出レベルの低い場合)では、対物レンズをホールドする時間を要する。この場合、対物レンズをホールドできない間、光ディスクのピット情報を検知できない状態が続く。そうすると、対物レンズがトラックを外れてしまい、反射光を検出することができなくなる可能性が高まる。このため、状態Dは、状態Aと比較して音飛びがしやすくなる。すなわち、ディスク再生装置に振動がないときは、傷検出レベルが高い方が音飛びしにくいこととなる。
【0015】
また、光ディスクの傷や外部振動等により発生する誤ったトラッキングエラー信号によって、対物レンズの振動やトラッキングジャンプが引き起こされることを防止する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平7−296398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここで、上述の図4に示すと、状態(A〜C又はD〜Fのように)においては、傷検出レベルは固定されている(現在の機器では、傷検出レベルは固定されている)。このため、対物レンズの振動の状況に応じて傷検出レベルを変化させて設定することはできない。
【0018】
例えば、図4に示すRFが残る傷(1)における状態Bにおいて、ディスク再生装置に振動が与えられると音飛びしやすくなる。このとき、傷検出レベルを低く設定することができれば(状態Bの傷検出レベルから状態Eの傷検出レベルに変化させることができれば)、音飛びを防止することができる。しかし、上述の技術では、傷検出レベルは固定されているため、傷検出レベルを変化させることはできず、音飛びを防止することはできなかった。
このため、ディスク再生装置の振動の状況(振動が有る時又は無い時)に応じて傷検出レベルを設定することで、ディスク再生装置に振動が無い時と有る時において、音飛びを防止する技術を実現する要請があった。
【0019】
本発明の課題は、ディスク再生装置に振動が無い時と有る時とにおいて、音飛びを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のディスク再生装置は、
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報からRF信号を生成する生成手段と、
装置の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に応じて、光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成手段により生成されたRF信号に設定する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスク再生装置において、
前記制御手段は、
前記振動の大きさが予め定められた閾値より低い場合は、前記傷検出レベル値を第1の傷検出レベル値として前記RF信号に設定し、前記振動値が予め定められた閾値以上の場合は、前記傷検出レベル値を前記第1の傷検出レベル値よりもレベル値が低い第2の傷検出レベル値として前記RF信号に設定することを特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。
【0022】
請求項3に記載の発明のディスク再生システムは、
光ピックアップと、前記光ピックアップの再生動作に伴う制御を行う制御手段と、を有するディスク再生装置を備えたディスク再生システムにおいて、
振動を検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記検出手段が所定以上の振動を検出した場合にはトラッキングホールド制御を行わないことを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明の制御方法は、
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報からRF信号を生成する生成工程と、
自装置の振動値を検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された振動値に基づいて、前記光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成工程により生成された前記RF信号に設定する制御工程と、
を含むことを特徴とする。
【0024】
コンピュータを、
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報を示すRF信号を生成する生成手段、
自装置の振動値を検出する検出手段、
前記検出部により検出された振動値に基づいて、前記光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成部により生成された前記RF信号に設定する制御手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ディスク再生装置の振動が無い時と有る時とにおいて、音飛びを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るディスク再生装置の内部構成を示す図である。
【図2】傷検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】(A)は、振動検出レベルがAに設定されることを示した図である。(B)は、振動検出レベルがBに設定されることを示した図である。
【図4】各傷のそれぞれにおいて、傷検出レベルが高い場合における振動の有無に対する音飛びのしやすさと、傷検出レベルが低い場合における振動の有無に対する音飛びのしやすさとを表した表を示す図である。
【図5】ディスク再生装置に振動が無い時とある時とにおいて、音飛びのしやすさを比較した結果をまとめた表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0028】
図1〜図4を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本発明に係るディスク再生装置1の装置構成について説明する。ディスク再生装置1は、光ディスク11に記録された映像データや音声データ等を順次読み出して再生するものである。具体的には、商用電源や電池電源などで駆動して映像データや音楽データの再生又は記録を行う装置であり、据え置いての設置、携行、車載等が可能なものである。
【0029】
図1に示すように、ディスク再生装置1は、スピンドルモータ12、スピンドルドライバ13、光ピックアップ14、送りモータ15、RFアンプ16、トラッキングドライバ17、フォーカスドライバ18、デジタル信号処理回路19、制御手段としての制御部20、操作部21、表示部22、検出手段としての振動検出部23、記憶部24及びディスク搬送部25を備えて構成される。
【0030】
光ディスク11は、CD、CD−R/RW(Recordable/ReWriteable)、DVD、D
VD−R/RW等である。
【0031】
スピンドルモータ12は、デジタル信号処理回路19に制御されて、特に図示しないターンテーブルやクランプ機構にて保持する光ディスク11を、所定の回転速度で回転駆動する。
【0032】
スピンドルドライバ13は、制御部20内のCPUによる指示に基づく制御信号に応じた駆動信号を、スピンドルモータ12に出力し、当該スピンドルモータ12を駆動させる。
【0033】
光ピックアップ14は、光ディスク11の記録面の対向位置に設けられている。光ピックアップ14は、対物レンズ14A、光検出器14B、生成部としての信号生成回路14C、光源14D及びアクチュエータ14Eを備えて構成される。
【0034】
対物レンズ14Aは、光源14Dから射出された光束を光ディスク11の記録面に集光させると共に光ディスク11の記録面から反射された反射光束を集光する。
【0035】
光検出器14Bは、対物レンズ14Aが集光した反射光束を受光して、反射光束に応じた電気信号に変換する。
【0036】
信号生成回路14Cは、光検出器14Bにより検出された検出信号に基づいて、トラッキングエラー信号(TE信号)、フォーカスエラー信号(FE信号)、光ディスク11の記録層に形成された信号面上のアドレス情報やデータ信号等の記録情報を示すRF信号を生成する。
【0037】
光源14Dは、レーザー光を発生する半導体レーザーダイオードである。当該半導体レーザーダイオードは、波長の異なるCDレーザーダイオード及びDVDレーザーダイオードを有する。
【0038】
アクチュエータ14Eは、対物レンズ14Aを光ディスク11の記録面と垂直な方向(以下、フォーカス方向)に移動させて光ディスク11の記録面に集光される光束の焦点を調整する。また、アクチュエータ14Eは、トラッキングドライバ17から出力された駆動信号に応じて、対物レンズ14Aを光ディスク11の半径方向に移動させる。
【0039】
送りモータ15は、デジタル信号処理回路19の制御により、光ディスク11の半径方向に光ピックアップ14を移動させる。
【0040】
RFアンプ16は、RF信号、TE信号、FE信号等を増幅する。また、RFアンプ16は、増幅した各種信号をデジタル信号処理回路19に出力する。
【0041】
トラッキングドライバ17は、制御部20内のCPUによる指示に基づく制御信号に応じた駆動信号を、アクチュエータ14Eに出力し、当該アクチュエータ14Eを駆動させる。
【0042】
フォーカスドライバ18は、制御部20内のCPUによる指示に基づく制御信号に応じた駆動信号を、アクチュエータ14Eに出力し、当該アクチュエータ14Eを駆動させる。
【0043】
デジタル信号処理回路19は、制御部20により制御される信号処理回路である。デジタル信号処理回路19は、RFアンプ16から入力される信号に基づいて、スピンドルドライバ13、RFアンプ16、トラッキングドライバ17及びフォーカスドライバ18に駆動用の制御信号を出力する。また、デジタル信号処理回路19は、RFアンプ16から入力されるRF信号を検出し、検出したRF信号を制御部20に出力する。
【0044】
制御部20は、マイクロプロセッサ等から構成され、デジタル信号処理回路19、操作部21、表示部22、検出手段としての振動検出部23、記憶部24及びディスク搬送部25を制御することで、ディスク再生装置1の動作を中央制御する。制御部20は、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
【0045】
制御部20は、ROMに格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムや記憶部24に格納されたデータを読み出してRAMに展開し、そのRAMに展開されたプログラムやデータとCPUとの協働で、各種処理を実行する。特にROMには、後述する傷検出レベル設定プログラムが記憶される。
【0046】
また、制御部20は、後述する傷検出レベル設定プログラムとの協働により、振動検出部29により検出された振動値に応じて、光ディスク11の傷を検出するための傷検出レベル値を信号生成回路14Cにより生成されたRF信号に設定する。
【0047】
操作部21は、停止キー、再生キー、早戻しキー、早送りキー、ディスク取り出しキー等の各種キーを有する操作パネル等から構成され、利用者の操作入力によって指示された音声データの再生/記録の開始又は停止、光ディスク11の排出、などの指示情報を制御部20に出力する。
【0048】
表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルや有機EL(Electro
Luminescence)素子を用いたFPD(Flat Panel Display)、LED(Light Emitting Diode)等から構成され、制御部20の制御により、再生・記録時間、トラック番号、ボリューム等の動作状況や各種設定状況に関する情報を表示する。
【0049】
振動検出部23は、例えば、振動検出センサ等により構成され、ディスク再生装置1に与えられた振動(例えば、車からの振動)を検出する。
振動センサは車に取り付けられているカーナビゲーションの加速度センサやまた再生装置自体に取り付けられている振動センサなどがある。
【0050】
記憶部24は、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、各種情報を格納する。
【0051】
ディスク搬送部25は、制御部20からの制御により、ターンテーブルやクランプ機構などで装置内に保持された光ディスク11をスピンドルモータなどの駆動機構により搬送する可動トレイなどであり、当該装置から光ディスク11を容易に取り外すことができるようにするものである。なお、ディスク搬送部25は、光ディスク11を取り外し自在にするものであれば上述した構成に限定するものでは無く、例えば、蓋部とそれを開閉する機構であり、装置内に保持されたままの光ディスク11を取り外し自在にするものであってもよい。
【0052】
次に、図2を参照して、ディスク再生装置1で実行される傷検出レベル設定処理について説明する。傷検出レベル設定処理は、振動検出部29により検出された振動値に応じて、傷検出レベルを設定する処理である。
【0053】
例えば、ディスク再生装置1において、操作部21を介して傷検出レベル設定処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、ROMから読み出されて適宜RAMに展開された傷検出レベル設定プログラムと、CPUとの協働により傷検出レベル設定処理が実行される。
【0054】
予め、第1の傷検出レベル値としての傷検出レベル値A、第2の傷検出レベル値としての傷検出レベル値Bが記憶部24に記憶されているものとする。傷検出レベル値A、Bはそれぞれ所定のレベル値を示すものとする。具体的には、図4で説明した傷検出レベルが高いときの値を傷検出レベルAとし、傷検出レベルが低いときの値を傷検出レベルBとする。また、振動ありなしを識別するための振動基準値が記憶部24に記憶されているものとする。また、信号生成回路14CによりRF信号が生成され、生成されたRF信号がRFアンプ16及びデジタル信号処理回路19を介して制御部20に出力されているものとする。
【0055】
先ず、振動検出部23によりディスク再生装置1の振動値が測定される(ステップS11)。振動検出部23により測定された振動値は制御部20に出力される。
【0056】
そして、振動ありか否かが判別される(ステップS12)。具体的には、先ず、制御部20により、記憶部24に記憶されている基準振動値が読み出される。そして、読み出された基準振動値と測定された振動値とが比較され、測定された振動値が基準振動値以上であるか否かが判別される。測定された振動値が基準振動値以上である場合は、本ステップにおいて、振動ありと判別される。また、測定された振動値が基準振動値より低い場合は、本ステップにおいて、振動なしと判別される。
【0057】
ステップS12において、振動なしと判別された場合(ステップS12;NO)、傷検出レベルがAに設定される(ステップS13)。具体的には、図3(A)に示すように、振動検出レベルがAに設定される。ここで、図3(A)は図4の状態Bと同様の図である。また、図3(B)は、図4の状態Eと同様の図である。図3(A)(B)の説明については、図4の説明を援用するものとする。
【0058】
図2に戻り、ステップS12において、振動ありと判別された場合(ステップS12;YES)、傷検出レベルがBに設定される(ステップS14)。具体的には、図3(B)に示すように、傷検出レベルがBに設定される。
【0059】
ステップS13又はステップS14の実行後、傷検出レベル設定処理は終了される。
【0060】
以上、本実施の形態によれば、振動検出部29により検出された振動値に応じて傷検出レベル値を設定する。このため、ディスク再生装置1の振動の状況に応じて傷検出レベルを設定することができるので、ディスク再生装置に振動が無いときと有るときにおいて、音飛びを防止することができる。
【0061】
また、振動値が予め定められた閾値より低い場合は、傷検出レベルを傷検出レベルAに設定し、振動値が予め定められた閾値以上の場合は、傷検出レベルを傷検出レベルBに設定する。これにより、振動値に応じた傷検出レベルの設定を正確に行うことができる。
【0062】
なお、上記実施の形態では、閾値を2つ設けたが、たとえば振動の状態によって3段階の閾値を設けさらに複雑な状況に対応できるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、振動検出部23は、ディスク再生装置1に備えられる構成としたがこれに限定されるものではない。例えば、ディスク再生装置1は振動検出23を備えず、かつ、ディスク再生装置1は車に備えられており、車に取り付けられている加速度センサを振動検出部とする構成としてもよい。この場合、本発明は、加速度センサとディスク再生装置1とを備えたディスク再生システムとして実現される。また、この場合、ディスク再生装置1の制御部20は、加速度センサが所定以上の振動を検出した場合にはトラッキングホールド制御を行わないものとする。
【0064】
その他、本実施の形態における、ディスク再生装置1の細部構造及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ディスク再生装置
11 光ディスク
12 スピンドルモータ
13 スピンドルドライバ
14 光ピックアップ
14A 対物レンズ
14B 光検出器
14C 信号生成回路
14D 光源
14E アクチュエータ
15 送りモータ
16 RFアンプ
17 トラッキングドライバ
18 フォーカスドライバ
19 デジタル信号処理回路
20 制御部
21 操作部
22 表示部
23 振動検出部
24 記憶部
25 ディスク搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報からRF信号を生成する生成手段と、
装置の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に応じて、光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成手段により生成されたRF信号に設定する制御手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記振動の大きさが予め定められた閾値より低い場合は、前記傷検出レベル値を第1の傷検出レベル値として前記RF信号に設定し、前記振動値が予め定められた閾値以上の場合は、前記傷検出レベル値を前記第1の傷検出レベル値よりもレベル値が低い第2の傷検出レベル値として前記RF信号に設定することを特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
光ピックアップと、前記光ピックアップの再生動作に伴う制御を行う制御手段と、を有するディスク再生装置を備えたディスク再生システムにおいて、
振動を検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記検出手段が所定以上の振動を検出した場合にはトラッキングホールド制御を行わないことを特徴とするディスク再生システム。
【請求項4】
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報からRF信号を生成する生成工程と、
自装置の振動値を検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された振動値に基づいて、前記光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成工程により生成された前記RF信号に設定する制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、
光ディスクの記録層に形成された信号面上の記録情報を示すRF信号を生成する生成手段、
自装置の振動値を検出する検出手段、
前記検出部により検出された振動値に基づいて、前記光ディスクの傷を検出するための傷検出レベルを前記生成部により生成された前記RF信号に設定する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−48875(P2011−48875A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196169(P2009−196169)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】