説明

ディスク再生装置

【課題】 HDMVモードとBD−Jモードを区別することなく、ユーザーがポップアップメニューとグラフィックスメニューを同じように操作できるようにすること。
【解決手段】 モニタ43と一体となったタッチパネル46へのユーザー操作を受け付ける信号処理手段15を有し、信号処理手段15は、タッチパネル46へのユーザー操作をマウスイベントとして、BD−Jアプリケーションへ通知した後、BD−Jアプリケーションからマウスイベントエラーを受け取ると、VK_POPUP_MENUをBD−Jアプリケーションに発行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BD−ROMなどの記録媒体に記録されたデータを再生するディスク再生装置に関し、特にBD−Jモードのグラフィックスメニューを表示するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高画質、高音質で高度なインタラクティブ機能を有する情報を記録した大容量のディスクを再生するディスク再生装置が一般家庭にも普及している。
【0003】
その中の代表的なディスク再生装置が、ブルーレイディスク(BD:Blu−ray Disc、以下「BD」と言う。)である。BDは、単層で25GB(GB:Giga Byte)、2層で50GBの膨大なデータ容量を備えており、ハイビジョン画質の映画コンテンツを蓄積できる。このBDを用いた市販やレンタル用のパッケージソフトは、製造過程でデータが書込まれ、追記や書換えができない読み出し専用メディアであるBD−ROM(Blu−ray−Read−Only−Memory)により提供されている。
【0004】
このBD−ROMは、HDMVモードとBD−Jモードの二つの仕様が策定されている。HDMVモードは、従来のDVD−ROMに対して、映像および音声のコーデック仕様が拡張されたもので、高精細映像、高品質オーディオが利用できる。なお、コンテンツ仕様はDVD−ROMと同様である。BD−Jモードは、HDMVモードに加え、Java(登録商標)アプリケーションによって、映像を重ね合わせるなどビジュアル的な表現を追加することができる。
【0005】
ここで、従来のDVDは、本編再生中にメニューを呼びだすと、再生を中断して画面全体にメニュー画面を表示する。Blu−ray Discで採用された「ポップアップメニュー」は、本編再生を中断することなく、再生画面に重ねて半透明なメニュー画面を「ポップアップ式」に展開することができる。
【0006】
HDMVモードのタイトルの多くには、このポップアップメニューが備えられている。ポップアップメニューには、トップメニューへ移動、再生位置の遷移や音声および字幕ストリームの変更などの機能が用意されている。
【0007】
また、BD−Jモードのタイトルでは、Java(登録商標)アプリケーションであるBD−Jアプリケーションによって、HDMVタイトルのポップアップメニューと画面に表示される形態がほぼ同じグラフィックスメニューを実現している。
【0008】
なお、ディスク再生装置の機能として、再生ボタンや停止ボタンなどのユーザーインターフェースが存在するが、前述のポップアップメニューとは異なるものである。ポップアップメニューとは、BD−ROMのHDMVモードおよびBD−Jモードのタイトルが固有に保有するもの、つまりポップアップメニューに関する情報はBD−ROMなどのディスクに保持され、各タイトル独自の機能を有するものである。
【0009】
また、ユーザーインターフェースおよびポップアップメニューの機能を実現する専用ボタンがリモコンなどに備えられ、ユーザーは、当該ボタンを押すことによってメニューを表示させることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−304767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
車載環境で使用するカーナビゲーションシステムなどでは、タッチパネルを使って操作することが主流である。HDMVモードでは、ユーザーがタッチパネルによってボタンを押すと、ボタンの座標情報と押された場所から、当該ボタンのユーザー操作を実行することができる。
【0012】
しかしながら、BD−Jモードのグラフィックスメニューは、BD−Jアプリケーションによって実現されているため、HDMVモードのようにボタンに位置情報が存在せず、タッチパネル操作に対応していない。
【0013】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、ユーザーがタッチパネルで操作する際にも、HDMVモードのポップアップメニューとBD−Jモードのグラフィックスメニューを同じように操作することができるディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、モニタと一体となったタッチパネルへのユーザー操作を受け付ける信号処理手段を有し、信号処理手段は、タッチパネルへのユーザー操作をマウスイベントとして、BD−Jアプリケーションへ通知した後、BD−Jアプリケーションからマウスイベントエラーを受け取ると、VK_POPUP_MENUをBD−Jアプリケーションに発行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、BD−Jモードのグラフィックスメニューの操作にBD−Jアプリケーションのマウスイベントを利用するので、タッチパネルで操作する際にもポップアップメニューとグラフィックスメニューを同じように操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係るディスク再生装置のブロック図
【図2】本実施の形態に係るBD−ROMの構成を示した図
【図3】本実施の形態に係るindex.bdmvファイルとタイトルの関係を示す図
【図4】本実施の形態に係るディスク再生装置を用いたシステム構成を示す図
【図5】(a)本実施の形態に係るタイトル再生画面の一例を示す図(b)本実施の形態に係るポップアップメニューの表示例を示す図
【図6】本実施の形態に係るリモコンを使って操作した場合の処理フローを示す図
【図7】本実施の形態に係るタッチパネルを使って操作した場合の処理フローを示す図
【図8】本実施の形態に係るBD−Jモードのグラフィックスメニューをタッチパネルを使って操作した場合の処理フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施の形態に係るディスク再生装置100のブロック図である図1を用いて説明する。
【0018】
ディスク再生装置100は、BD−ROM10からデータを取得するピックアップ11、ピックアップ11を制御するサーボ12、ローカルストレージ13、ネットワークインターフェース14、信号処理手段15、再生手段16、メモリ19から構成される。また
、信号処理手段15は、メニュー検知手段17、ユーザー操作手段18を含む。
【0019】
次に各構成について説明する。
【0020】
BD−ROM10は、映画作品やライブ映像などのAVコンテンツが記録された記録媒体である。BD−ROM10は、市販やレンタル用のパッケージソフトに使用されることが多く、製造過程でデータが書込まれ、追記や書換えができない読み出し専用メディアである。
【0021】
サーボ12は、ピックアップ11を記録媒体の半径方向へ移動(シーク)させたり、記録媒体の軸方向への移動(フォーカス)を調整する装置である。
【0022】
ピックアップ11は、所望のデータをBD−ROM10から取得し、そのデータを信号処理手段15に送る。
【0023】
信号処理手段15が処理するデータは、BD−ROM10のものだけではなく、ローカルストレージ13に保存されているデータや、ネットワークインターフェース14を経由してネットワーク上からダウンロードされたデータも含まれる。
【0024】
信号処理手段15は、これらのデータを処理をして、再生手段16がAVコンテンツなどを再生できるようにするための手段である。また、信号処理手段15は、ユーザー操作の内容を受け、その操作が受け付け可能かどうかを判断したり、受付可能な場合はユーザー操作手段18にその操作を実行させる。また、ディスク再生装置100のメモリ19に最初から組み込まれているユーザーインターフェースを図4に示すモニタ43などへ表示する機能も有する。
【0025】
ユーザーインターフェースとは、メモリ19にプログラムが保持され、ディスク再生装置100の機能としての再生ボタンや停止ボタンなどを、モニタ43などへ表示するものである。そして、ユーザーが図4に示すリモコン45やタッチパネル46を操作すると、信号処理手段15がユーザーの操作を各ボタンの機能と結びつけ、操作されたボタンの動作をユーザー操作手段18に実行させる。
【0026】
メニュー検知手段17は、信号処理手段15に含まれ、ポップアップメニューおよびグラフィックスメニューが表示されているか否かを検知する機能を有する。
【0027】
次に、BD−ROM10のファイル構成について図2を用いて説明する。
【0028】
図2は、BD−ROM10の構成を示した図である。BD−ROM10は、他の光ディスク、例えばDVD(Degital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などと同様にその内周から外周に向けて螺旋状に記録領域を持ち、内周のリード・インと外周のリード・アウトの間に論理データを記録できる論理アドレス空間を有している。また、リード・インの内側にはBCA(Burst Cutting
Area)と呼ばれる、ドライブでしか読み出せない特別な領域がある。この領域はアプリケーションから読み出せないため、例えば著作権保護技術などに利用されている。
【0029】
論理アドレス空間は、ファイルシステム情報(ボリューム)を先頭に映像データなどのアプリケーションデータが記録されている。ファイルシステムとは、UDFやISO9660などのことであり、通常のPCと同じように記録されている論理データをディレクトリ、ファイル構造を使って読み出しする事が可能になっており、255文字のファイル名、ディレクトリ名を読み出すことが可能である。
【0030】
BD−ROM10のディスク上のディレクトリおよびファイル構造は、ルートディレクトリ(ROOT)直下にBDMVディレクトリとbd.certファイルが置かれている。BDMVディレクトリはBD−ROM10で扱うAVコンテンツや管理情報などのデータが記録されているディレクトリである。bd.cert(ファイル名固定)は仮想パッケージのために追加されたコンテンツをBD−ROM10上のデータとマージする際に、署名検証に用いられる証明書である。
【0031】
BDMVディレクトリの配下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ、BDJOディレクトリ、JARディレクトリ、AUXDATAディレクトリと呼ばれる6つのサブディレクトリが存在し、BDMVディレクトリには、index.bdmv、MovieObject.bdmvの2種類のファイルが配置されている。
【0032】
ここで、さらに詳しくindex.bdmv(ファイル名固定)について説明する。index.bdmvは、BD−ROM10全体に関する管理情報であり、映画作品のプロバイダを特定する識別子であるorganizationID(32bit)や、プロバイダが提供するBD−ROM10のそれぞれに割り当てられた識別子であるdiscID(128bit)等の情報を持ち、ディスク再生装置100へのディスク挿入後に、index.bdmvが最初に読み出されることで、ディスク再生装置100においてディスクが一意に認識される。加えて、index.bdmvにはBD−ROM10において再生可能となる複数のタイトルと、個々のタイトルを規定するBD−Jオブジェクトとを対応付けて示すテーブルが含まれる。
【0033】
次に、拡張子“bdjo”が付与されたファイルについて説明する。
【0034】
拡張子“bdjo”が付与されたファイルは、BD−Jオブジェクトを格納したファイルである。BD−Jオブジェクトは、PlayList情報により示されるAVストリームと、アプリケーションとの関連付けにより、タイトルを定義する情報である。BD−Jオブジェクトは、“アプリケーション管理テーブル”と、そのタイトルにおいて再生可能なPlayList一覧を示す。アプリケーション管理テーブル(AMT)とは、“アプリケーションシグナリング”を実現するテーブルである。“アプリケーションシグナリング”とは、BD−ROM10におけるタイトルをアプリケーションの生存区間として管理し、アプリケーションの起動及び終了を司る制御をいう。ここで生存区間とは、BD−ROM10に記録されたコンテンツ全体の時間軸において、仮想マシンのヒープメモリ上でアプリケーションが生存し得る区間を示す。“生存”とは、そのアプリケーションが、ヒープメモリに読み出され、仮想マシンによる実行が可能になっている状態をいう。アプリケーション管理テーブルは、アプリケーションの識別子(アプリケーションID)とそのアプリケーションに属するJava(登録商標)アーカイブファイルのIDを羅列することでこのタイトルを生存区間とするアプリケーションを示す。つまり、一つのアプリケーションは一つ以上のJava(登録商標)アーカイブファイルで構成される。
【0035】
このようにBD−Jオブジェクト内のアプリケーション管理テーブルによって、セクタが管理されるJava(登録商標)アプリケーションを、“BD−Jアプリケーション”と呼ぶ。
【0036】
図3はindex.bdmvファイルとタイトルの関係を示す図である。
【0037】
タイトルとは、アプリケーションとAVストリームを組にした再生単位であり、index.bdmvファイルにはディスク上のタイトル構成が記載されており、ディスク上の
各タイトルと、対応するアプリケーション(BD−JモードのタイトルであればBD−Jアプリケーション、HDMVモードのタイトルであればシナリオプログラム)の参照関係を管理している。また、特殊なタイトルとして「First Playback」と「Top Menu」が存在する。「First Playback」は、BD起動時に最初に自動的に再生されるタイトルである。主に、BDの利用規約表示などに用いられる。「Top Menu」はリモコンのメニューキーを押したときやタイトル再生が終了したときに再生され、主にタイトルの選択や、字幕/音声の言語選択を行うことに用いられる。
【0038】
ここで、本実施の形態に係るディスク再生装置100のシステムとしての使用形態の一例を図4に示し説明する。例えば、ディスク再生装置100は、BD−ROM10、リムーバブルメディア42、モニタ43、WWWサーバー44、リモコン45とシステム構成される。
【0039】
モニタ43は、再生映像を表示する装置である。また、ユーザーに対してポップアップメニューおよびユーザーインターフェースなどの操作メニューを表示する。よって、ユーザーは、リモコン45を利用して視覚的にディスク再生装置100を操作することができる。なお、モニタ43の表示画面上にタッチパネル46を取り付けて、ユーザーが操作できるようにしてもよい。この時、信号処理手段15は、ユーザーが指などでタッチパネル46に触れた画面上の位置を検出し、当該画面上の位置に表示されるポップアップメニューおよびユーザーインターフェースのボタンに対応する各種ユーザー操作をユーザー操作手段18に実行させるようにすることもできる。
【0040】
リモコン45は、ディスク再生装置100に対する遠隔的にユーザー操作を実施するための装置である。ユーザーは、リモコン45やディスク再生装置100上のボタンを操作すれば、BD−ROM10に記録されたコンテンツを再生することができる。
【0041】
図5はポップアップメニューの表示例である。図5(a)の円形の物体が複数描かれている再生画面で、ユーザーがリモコンなどでポップアップメニューキーを操作する。そうすると、図5(b)のように再生中の画面の上にポップアップメニュー例50がモニタ43に表示される。ポップアップメニュー例50は、ユーザー操作を行うためのボタンが用意され、選択中のボタンはハイライト51により強調表示する。
【0042】
ポップアップメニュー例50により、ユーザー操作可能な主な機能は、再生しているタイトルの変更、音声および字幕の言語切換やチャプターの変更などがあり、再生中にユーザーが操作したい機能を盛り込むことが可能である。
【0043】
次に、HDMVモードでポップアップメニューを表示させるために、ユーザーがリモコン45を使って操作した場合の処理を図6を用いて説明する。
【0044】
ステップ60で、ユーザーがリモコン45のポップアップメニューボタンを操作する。
【0045】
ステップ61では、信号処理手段15は、再生手段16が再生中のタイトルにおいてポップアップメニューが表示可能と判断すると、ステップ62へ進む。一方、信号処理手段15は、再生手段16が再生中のタイトルにおいてポップアップメニューが表示不可と判断すると、ポップアップメニュー操作ができないことをモニタ43などに表示し、ユーザーに伝える(ステップ65)。なお、ステップ65では、ユーザー操作を信号処理手段15が無視し、何も動作しないことも可能である。
【0046】
ステップ62では、信号処理手段15は、ユーザーインタフェースがモニタ43に表示されていることを確認すると、ユーザーインタフェースの表示を消去する(ステップ64
)。その後、ステップ63へ進む。一方、信号処理手段15は、ユーザーインタフェースがモニタ43に表示されていないことを確認すると、そのままステップ63へ進む。
【0047】
ステップ63では、信号処理手段15は、再生手段16が再生中のタイトルのポップアップメニューをモニタ43に表示し、処理を終了する。
【0048】
以上、ユーザーがリモコン45を使ってポップアップメニューを表示させる手順を説明した。ユーザーインターフェースを表示させる場合は、上記の手順において、ポップアップメニューとユーザーインターフェースを入れ替えた処理を行えばよい。
【0049】
このように、ポップアップメニューとユーザーインターフェースのいずれかをモニタ43に表示するので、操作の誤りを少なくすることができる。
【0050】
次に、HDMVモードでポップアップメニューを表示させるために、ユーザーがタッチパネル46に触れたときの動作について図7を用いて説明する。
【0051】
ユーザーがタッチパネル46に触れると(ステップ70)、信号処理手段15は、ユーザーが操作した画面位置にボタンが存在しているかどうかを判断する。信号処理手段15は、ボタンが存在していると判断すると(ステップ71)、ステップ72へ進む。なお、当該ボタンは、ポップアップメニューおよびユーザーインターフェースを含むユーザー操作をするためのボタンであればよい。
【0052】
ステップ72では、信号処理手段15は、ユーザーにより押された箇所のボタンのユーザー操作をユーザー操作手段18に実行させる。なお、ユーザーがタッチパネル46を押した箇所にボタンが存在しない場合、ユーザーが誤って触れてしまったか、押す場所を間違えた事が想定される。この場合、そのユーザー操作を無視する、あるいはユーザーインターフェースを表示することが望ましい。
【0053】
ステップ71において、信号処理手段15がボタンがないと判断した場合、ステップ73へ進む。
【0054】
ステップ73では、信号処理手段15が、再生手段16が再生中のタイトルにおいてポップアップメニューが表示可能かどうかを判断する。信号処理手段15が、再生中のタイトルにおいてポップアップメニューが存在しないなど、ポップアップメニューを表示不可と判断した場合、ステップ74へ進む。ポップアップメニューの有無は、図2の****.clpiファイルの管理情報に保持されているので、信号処理手段15は、この情報を確認すればよい。
【0055】
ステップ74では、ポップアップメニューが表示不可の場合であっても、ユーザーは何らかの操作を行うためにタッチパネル46に触れたことが予想されるため、信号処理手段15は、ユーザーインターフェースをモニタ43に表示させてもよい。なお、ユーザーが誤って触れてしまったことも考えられるので、そのユーザー操作を無視することも可能である。
【0056】
ステップ73において、信号処理手段15は、再生手段16が再生中のタイトルにおいてポップアップメニューを表示可能と判断した場合、ポップアップメニューをモニタ43に表示させる(ステップ75)。
【0057】
このように、図7のシーケンスに従えば、ユーザーが、仮にポップアップメニューに存在していない動作を実行させたいと考えたとき、ボタンの存在していない箇所をタッチす
る事によってユーザーインターフェースを表示させることが可能なため、ユーザーは操作を継続する事ができるとの効果も有する。
【0058】
また、図7のシーケンスを用いれば、ユーザーのタッチパネル操作に対して、ボタン操作、ポップアップメニュー、ユーザーインターフェース、という優先順で操作する事ができ、非常に使いやすいものとなる。
【0059】
次に、BD−Jモードでグラフィックスメニューを表示させるために、ユーザーがタッチパネル46に触れたときの動作について図8を用いて説明する。
【0060】
BD−Jモードのグラフィックスメニューは、ユーザーのPOPUP_ONというオペレーションをBD−JアプリケーションにVK_POPUP_MENUとして通知すると、BD−Jアプリケーションはグラフィックスメニューを表示する。この機能は、ユーザーから見るとHDMVモードのポップアップメニューと同じように表示され、大部分のコンテンツに備わっている。
【0061】
このグラフィックスメニューを表示するために、コンテンツがサポートするマウスイベントを利用する。マウスイベントとは、マウスクリックやマウスプレスを検知し、BD−Jアプリケーションに登録された動作を行うものである。
【0062】
この機能を利用して、図8のシーケンスでグラフィックスメニューを表示する。ここでは、コンテンツにマウスイベントとVK_POPUP_MENUをサポートするBD−Jアプリケーションが備わっているとして説明する。
【0063】
信号処理手段15は、ユーザーのタッチパネル操作を検知すると(ステップ80)、マウスプレスをBD−Jアプリケーションに発行する(ステップ81)。
【0064】
ステップ82では、マウスプレスイベントがBD−Jアプリケーションに登録されていないとき、BD−Jアプリケーションはエラーを信号処理手段15に通知する。そうすると、信号処理手段15は、マウスプレスイベントが登録されていないと判断し、ステップ83へ進む。
【0065】
ステップ83では、信号処理手段15がVK_POPUP_MENUをBD−Jアプリケーションに発行する。
【0066】
一方、ステップ82で、マウスプレスイベントがBD−Jアプリケーションに登録されている場合、エラーは信号処理手段15に通知されない。この場合は、BD−Jアプリケーションが登録されたイベントを実行するので、処理を終了する。なお、何も実行しないイベントである場合も想定されるため、ユーザーインターフェースを表示させるボタンを設けたり、タッチパネル領域内で特定の箇所を押したらユーザーインターフェースを表示するようにしてもよい。
【0067】
ステップ84では、メニュー検知手段17は、グラフィックスメニューが表示されたか判断する。
【0068】
次の(1)〜(3)の動作変化のいずれかをメニュー検知手段17が検知するとBD−Jアプリケーションにより、グラフィックスメニューが表示されたと判断する。
【0069】
(1)何らかのグラフィックが表示される。
【0070】
(2)インタラクティブオーディオが再生される。
【0071】
(3)再生中のビデオのスケーリングが変化する。
【0072】
これらの変化をメニュー検知手段17が検知しない場合、グラフィックスメニューは表示されなかったものとし、ステップ85へ進む。
【0073】
(1)から(3)について詳しく説明する。
【0074】
(1)描画領域として、ビデオ再生画面である映像プレーン、字幕などに使われるプレゼンテーションプレーン、インタラクティブプレーンの3つが用意されている。したがって、メニュー検知手段17は、BD−Jアプリケーションからインタラクティブプレーンに何らかのグラフィックを描画する指示を受けた際、ポップアップメニューが表示されたものとして判別すればよい。
【0075】
(2)インタラクティブオーディオは、図2に示すAUXDATAフォルダのsound.bdmvファイルに登録されているオーディオ情報で、ポップアップメニューが表示されるときに効果音として音声とは別に再生されるオーディオである。したがって、メニュー検知手段17は、BD−Jアプリケーションからsound.bdmvファイルに登録されているオーディオ情報を再生するよう指示された際、ポップアップメニューが表示されたものとして判別すればよい。
【0076】
(3)画面全体にポップアップメニューを表示し、再生中の映像が縮小されたものが、ポップアップメニューに埋め込まれた形で表示される形態がある。メニュー検知手段17は、BD−Jアプリケーションから再生している映像のスケーリングを変化するよう指示を受けた際、ポップアップメニューが表示されたものとして判別すればよい。
【0077】
ステップ85では、ユーザーが何らかの操作ができるように、信号処理手段15は、ユーザーインターフェースを表示する。
【0078】
このようにすることにより、BD−Jタイトルにおいてもボタンの操作、グラフィックスメニューの表示、ユーザーインターフェースの優先順位でタッチパネル操作を行うことができる。したがって、HDMVモードとBD−Jモードを区別することなく、ユーザーはポップアップメニューとグラフィックスメニューを同じように操作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかるディスク再生装置は、BD−ROMディスク等の記録媒体に記録されたデータを再生するディスク再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0080】
10 BD−ROM
11 ピックアップ
12 サーボ
13 ローカルストレージ
14 ネットワークインターフェース
15 信号処理手段
16 再生手段
17 メニュー検知手段
18 ユーザー操作手段
19 メモリ
42 リームバブルメディア
43 モニタ
44 WWWサーバ
45 リモコン
46 タッチパネル
100 ディスク再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BD−Jモードのタイトルが保持されたディスクを再生するディスク再生装置であって、
前記タイトルは、マウスイベントとVK_POPUP_MENUをサポートするBD−Jアプリケーションを備え、
前記タイトルを再生する再生手段と、
前記再生手段が再生する前記タイトルの再生画面を表示するモニタが接続され、
前記モニタと一体となったタッチパネルへのユーザー操作を受け付ける信号処理手段と、を有し、
前記信号処理手段は、前記タッチパネルへのユーザー操作を前記マウスイベントとして、前記BD−Jアプリケーションへ通知した後、前記BD−Jアプリケーションからマウスイベントエラーを受け取ると、前記VK_POPUP_MENUを前記BD−Jアプリケーションに発行するディスク再生装置。
【請求項2】
前記VK_POPUP_MENUにより実行するグラフィックスメニューが前記モニタに表示されたかどうかを検知するメニュー検知手段をさらに有し、
前記メニュー検知手段が、前記モニタに前記グラフィックスメニューが表示されていないと判断すると、前記信号処理手段は、前記ディスク再生装置が備えるユーザーインターフェースを表示することを特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記メニュー検知手段は、前記BD−Jアプリケーションから以下の(1)から(3)のいずれかの指示を受けることにより、前記グラフィックスメニューが表示されたと判断することを特徴とする請求項2に記載のディスク再生装置。
(1)インタラクティブプレーンへのグラフィックの描画。
(2)前記ディスクに保持されたsound.bdmvファイルに登録されているインタラクティブオーディオの再生。
(3)再生している映像のスケーリング変更。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−187132(P2011−187132A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52703(P2010−52703)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】