説明

ディスク再生装置

【課題】異物の挿入を防止するディスク再生装置を提供する。
【解決手段】挿入時、ディスクの縁部が当接すると一対のレバー6a,6bが回動し、連動してストッパ8a,8bがシャッタ4の開閉軌跡上から退避してシャッタ4が開閉可能になるので、ディスクが挿入口3から挿入できる。ディスクとは形状または大きさが異なる異物は、レバー6a,6b両方に当接できないので、ストッパ8a,8bのいずれか一方は開閉軌跡上に残り、シャッタ4が開かず挿入できない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク以外の異物が装置内に挿入されることを防止するディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生装置への異物の挿入を防止する従来例として、例えば特許文献1に係るディスクプレーヤがある。このディスクプレーヤは、ディスク装填口から挿入されたディスクに接触する接触ガイド部と、この接触ガイド部よりも奥側に位置するストッパ部とがシャーシ上板の下面に設けられており、これら接触ガイド部とストッパ部の間に搬送ローラが移動可能に支持されている。そして、ディスク装填口と接触ガイド部とに接しながら進むディスクの進行方向上に搬送ローラの周面が位置し、ストッパ部はディスクの進行方向外の箇所で周面の接線のうち接触ガイド部を通る接線の方向に対応する箇所に位置する。
そのため、ディスクは、ディスク装填口と接触ガイド部とに接しながら進み、挿入途中で搬送ローラの周面に接し、この搬送ローラを押圧して幾分場所を移動させた状態で搬送される。一方、ディスクに比べて柔らかくたわみやすいテレフォンカード等の異物は、搬送ローラの周面に接するとたわむので、搬送ローラが移動しない。よって、異物はストッパ部に向かって進み、ストッパ部に当たって搬送が阻止されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−178723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に係るディスクプレーヤは以上のように構成されているので、クレジットカードのようなたわみにくい材質のカード、または硬貨等の異物が挿入された場合、ストッパ部に当たらずに装置内に搬送される。この異物が搬送ローラから脱落して装置内に落下すると排出できなくなるという課題があった。また、装置内に落下した異物が動作不良を引き起こすという課題もあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、異物の挿入を防止するディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスク再生装置は、シャーシの内側に回転自在に保持され、当該シャーシに形成したディスクの挿入口を開閉するシャッタと、シャッタより外側の挿入口に配置され、互いに接近する方向に付勢された状態でディスクの縁部に当接して回動し、さらに当該縁部に押圧されて互いに離間する方向へ移動する一対のレバーと、シャッタの開閉軌跡上に配置され、レバーの回動に連動して当該開閉軌跡の外へ退避する一対のストッパとを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、シャッタの開閉軌跡上に配置された一対のストッパがシャッタに当接して開き量を規制し、一対のレバーがディスクの縁部に当接して回動するとその回動に連動して一対のストッパが開閉軌跡上から退避してシャッタを開くようにしたので、一対のレバーに当接しない形状の異物は、ストッパを開閉軌跡上から退避させてシャッタを開くことができない。よって、異物の挿入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置を示す外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るディスク再生装置のシャッタとレバーの構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るディスク再生装置のレバーの構成を示す外観斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るディスク再生装置の内部構造を示す平面図である。
【図5】実施の形態1に係るディスク再生装置の内部構造を示す側面図である。
【図6】実施の形態1に係るディスク再生装置のシャッタの構成を示し、図6(a)は外観斜視図、図6(b)は矢印方向から見た平面図である。
【図7】実施の形態1に係るディスク再生装置に異物を挿入しようとする場合を示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。
【図8】実施の形態1に係るディスク再生装置においてディスクが一対のレバーに当接した状態を示し、図8(a)は平面図、図8(b)は側面図である。
【図9】実施の形態1に係るディスク再生装置においてディスクが一対のレバーを押圧した状態を示し、図9(a)は平面図、図9(b)は側面図である。
【図10】実施の形態1に係るディスク再生装置においてディスクがターンテーブルに搬送された状態を示し、図10(a)は平面図、図10(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1および図2の斜視図に示すように、ディスク再生装置1は、シャーシ2の前面に、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)などのディスクを挿脱する挿入口3が形成されている。そして、この挿入口3を開閉するシャッタ4が、シャーシ2の内側に回転自在に保持され、さらに、挿入口3の方向へトーションバネ5等の付勢部材により付勢されている。また、このシャッタ4の開閉を規制する一対のレバー6a,6bが設けられている。
【0010】
図3はレバー6aの拡大図である。図4はディスク再生装置1の平面図であり、シャーシ2の天面の図示を省略して内部構造を示す。
シャッタ4の外側に配置されるレバー6aは、別体の回動軸10aに遊嵌されて回転自在な状態になっており、さらに、バネ等の付勢部材(不図示)によって矢印Aの方向へ付勢されている。このレバー6aから延びた連結部7aがシャッタ4の下を通って裏側へ続き、ストッパ8aが形成されている。シャッタ4の内側に配置されるストッパ8aには、シャーシ2の底面に設けられたカム溝13aと係合するためのカムピン9aが形成されている。スライド部材11aには、レバー6aとこれに一体化した連結部7a、ストッパ8aおよびカムピン9aを回転自在に保持するための回動軸10aが突設されている。また、コイルバネ12aの一端がスライド部材11aに、コイルバネ12aの他端がシャーシ2に取り付けられて、スライド部材11aを矢印Bの方向へ付勢している。
【0011】
レバー6bもレバー6aと同様に、連結部7b、ストッパ8bおよびカムピン9bが一体的に形成され、別体のスライド部材11bの回動軸10bに回転自在に遊嵌されて付勢部材(不図示)によって矢印Aの方向へ付勢されている。また、スライド部材11bはコイルバネ12bによって矢印Bの方向へ付勢されている。
なお、図4ではスライド部材11a,11b、およびコイルバネ12a,12bの図示を省略している。同様に、図5以降でもスライド部材11a,11bおよびコイルバネ12a,12bの図示を適宜省略する。
【0012】
図5は、ディスク再生装置1の側面図であり、シャーシ2を切断して内部構造を示す。
図4および図5に示すように、シャーシ2の底面には、カムピン9a,9bと係合する一対のカム溝13a,13bが設けられている。これらカム溝13a,13bは、ストッパ8a,8bをシャーシ2の奥側へ退避させるための退避用溝14a,14bと、スライド部材11a,11bをスライド移動させるための、挿入口3の長手方向と平行に伸びたスライド用溝15a,15bとから構成されている。
また、シャーシ2の内部には搬送ローラ16が回転自在に保持されており、搬送ローラ16がディスク100を載せて回転することにより、ディスク挿入動作時にディスク100を挿入口3からシャーシ2内のターンテーブル(不図示)へ搬送し、ディスク排出動作時にターンテーブルから挿入口3へ搬送する。このとき、シャーシ2の天面内側に設けられたディスクガイド部品17が、搬送ローラ16との間にディスク100を挟むようにしてガイドする。
【0013】
図6(a)はシャッタ4の外観斜視図であり、図中の矢印方向から見た状態を図6(b)に示す。シャッタ4の外側を向いた面、即ち挿入口3から挿入されたディスク100が当接するディスク当接面18は、図6(b)に示すように中央部が凹んだテーパ形状(またはお椀形状)になっている。また、シャッタ4が挿入口3を閉じた状態のときにレバー6a,6bが当たらないよう、ディスク当接面18に凹部19a,19bが形成されている。
【0014】
次に、ディスク再生装置1の動作を説明する。
ディスク100が挿入される前の初期状態では、図4および図5に示すように、トーションバネ5の付勢によりシャッタ4が挿入口3を閉じている。また、コイルバネ12a,12bがスライド部材11a,11bを互いに接近する方向(矢印B)に付勢しているので、カムピン9a,9bがカム溝13a,13bの中央側端部に位置し、レバー6a,6bが挿入口3の中央付近に位置している。
【0015】
このとき、レバー6a,6bと一体に形成されたストッパ8a,8bは、シャッタ4の開閉軌跡(図5の矢印C)上に位置している。よって、挿入口3を開く方向へシャッタ4が回転しようとしても、ストッパ8a,8bに当接して開動作が規制される。シャッタ4がストッパ8a,8bに当接した状態を、図7(a)の平面図および図7(b)の側面図に示す。
例えば、図7(a)に示すように、ディスク100より外径の小さい硬貨101を挿入しようとした場合、この硬貨101はレバー6a,6bのいずれか一方にしか当接できないので、ストッパ8a,8bのいずれか一方がシャッタ4の開閉軌跡上に存在する。よって、図7(b)に示すように、シャッタ4がストッパ8a,8bのいずれか一方に当接して開かず、硬貨101の挿入が阻止される。
また例えば、ディスク100のような円形でなく方形のカード102をその角部から挿入しようとした場合、角部先端がレバー6a,6bに接触せずにその間を通過して、先ずシャッタ4に当接する。よって、レバー6a,6bが回動せずストッパ8a,8bがシャッタ4の開閉軌跡上に存在するので、シャッタ4が開かずカード102の挿入が阻止される。
さらに、トーションバネ5の付勢力によってシャッタ4が挿入口3を閉じる方向へ回転して、硬貨101およびカード102などの異物をシャーシ2外へ押し出す。
【0016】
図8(a),(b)は、ディスク100がレバー6a,6bに当接した状態を示す平面図と側面図である。
挿入口3にディスク100を挿入しようとすると、ディスク100の縁部が先ずレバー6a,6bに当接して、レバー6a,6bが回動軸10a,10bを中心に矢印A’の方向へ回動する。そして、レバー6a,6bの回動に連動して、カムピン9a,9bが初期位置から退避用溝14a,14bへ移動し、ストッパ8a,8bがシャッタ4の開閉軌跡の外へ退避する。これにより、シャッタ4が開閉可能な状態となる。
【0017】
図9(a),(b)は、ディスク100がレバー6a,6bを押圧した状態を示す平面図と側面図である。
シャッタ4が開閉可能な状態になると、ディスク100がシャッタ4を押し開きながら、挿入口3からシャーシ2の内部へ進入する。このとき、ディスク100の縁部が、コイルバネ12a,12bの付勢力に抗して矢印B’の方向へレバー6a,6bを押圧するので、レバー6a,6bと一体のカムピン9a,9bがスライド用溝15a,15bに沿ってスライド移動し、レバー6a,6bが互いに離間する方向へ移動する。レバー6a,6bを押し広げながらシャーシ2の内部へ進入したディスク100は、搬送ローラ16に載り、搬送ローラ16の回転によりターンテーブルへと搬送される。
搬送中、ディスク100がシャッタ4のディスク当接面18に接触した状態になるが、ディスク当接面18をテーパ形状またはお椀形状にしてディスク100のエッジと接触させることにより、ディスク100の傷付きを防止できる。
【0018】
一方、円形のディスク100ではなく方形のカード102をその辺部から挿入しようとした場合、図8(a)に示すように、辺部がレバー6a,6bの両方に当接してストッパ8a,8bがシャッタ4の開閉軌跡の外へ退避したとしても、レバー6a,6bを押し広げることができないので挿入できない。
【0019】
図10(a),(b)は、ディスク100がシャーシ2内のターンテーブル(不図示)へ搬送された状態を示す平面図と側面図である。
ディスク100全体がシャーシ2内に搬送されてターンテーブルに載置されると、レバー6a,6bはコイルバネ12a,12bの付勢力により互いに接近する方向に移動して初期位置に戻る。また、ディスク再生装置1がディスク100の再生動作を行っている間、保持部材20がシャッタ4の姿勢を保持して、挿入口3を開いた状態に保持する。
【0020】
この保持部材20は、ディスク100が未挿入の状態のときシャーシ2内の奥側へ後退した位置にあり、ディスク100の搬送が完了するとシャーシ2内の奥側から手前側へ前進して、図10に示すように挿入口3の周辺でシャッタ4を押し開いた状態に保持する。また、保持部材20は、ディスク100の排出時にシャーシ2内の手前側から奥側へ後退して、シャッタ4の保持を解除する。
保持部材20の駆動機構としては周知の技術を用いればよく、例えば、特開2007−257795号公報のようにシャーシ2内の奥側にディスク100の搬送完了を検知する回動レバー(不図示)と、ギアユニット(不図示)とを設ける。ターンテーブルまで搬送されたディスク100の縁部が回動レバーの一端を押動すると、この回動レバーの他端が保持部材20を押し込んでギアユニットに噛合させ、ギアユニットの回転により保持部材20が前進する。
【0021】
他方、ディスク100を排出する場合、搬送ローラ16が逆回転してディスク100を挿入口3の方向へ搬送すると共に、保持部材20がシャーシ2内の手前側から奥側へ後退する。保持部材20から外れたシャッタ4は、トーションバネ5の付勢力によって挿入口3を閉じる方向へ回転して、排出中のディスク100に載った状態となる。
また、ディスク100の縁部がレバー6a,6bを押し開くので、連動してカムピン9a,9bがスライド用溝15a,15bに沿ってスライド移動し、レバー6a,6bが互いに離間する方向へ移動して、ディスク100が挿入口3から排出可能となる。
そして、ディスク100が先ずシャッタ4から離れ、次いでレバー6a,6bから離れるので、カムピン9a,9bが退避用溝14a,14bから初期位置に戻るより前に、即ちストッパ8a,8bがシャッタ4の開閉軌跡上に移動するより前に、シャッタ4が閉じる。
【0022】
なお、上記説明ではディスク再生装置1の再生動作中にシャッタ4を開いた状態にしたが、これに限定されるものではなく、再生動作中はシャッタ4を閉じ、排出動作時にシャッタ4を開けてもよい。また、シャッタ4の姿勢を保持する手段は保持部材20に限定されるものではなく、少なくともディスク排出時にシャッタ4を開いた状態にすることができればよい。
【0023】
以上より、実施の形態1によれば、ディスク再生装置1は、シャーシ2の内側に回転自在に保持されて挿入口3を開閉するシャッタ4と、シャッタ4より外側の挿入口3に配置され、互いに接近する方向(矢印B)に付勢された状態でディスク100の縁部に当接して回動し、さらに押圧されて互いに離間する方向(矢印B’)へ移動する一対のレバー6a,6bと、シャッタ4の開閉軌跡上(矢印C)に配置され、レバー6a,6bの回動に連動してこの開閉軌跡の外へ退避する一対のストッパ8a,8bとを備えるように構成した。このため、ディスク100と同じ円形であるが大きさの小さい硬貨101等の異物はレバー6a,6b両方に当接することができず、ストッパ8a,8bを開閉軌跡上から退避させることができないので、シャッタ4を開けることができない。また、ディスク100とは形状の異なるカード102等の異物は、レバー6a,6b両方に当接することができたとしても離間方向へスライドさせることができないので、レバー6a,6bに挿入を阻止される。よって、異物の挿入を防止したディスク再生装置1を提供することができる。
【0024】
また、実施の形態1によれば、ディスク再生装置1は、ディスク100の挿入口3に対向するシャッタ4のディスク当接面18を、中央部に向かうにつれて凹んだ形状に形成したので、搬送時にディスク100とディスク当接面18がエッジ接触するようになる。よって、シャッタ4を押し開いた状態でディスク100を搬送しても、ディスク100が傷付かない。
【0025】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ディスク再生装置、2 シャーシ、3 挿入口、4 シャッタ、5 トーションバネ、6a,6b レバー、7a,7b 連結部、8a,8b ストッパ、9a,9b カムピン、10a,10b 回動軸、11a,11b スライド部材、12a,12b コイルバネ、13a,13b カム溝、14a,14b 退避用溝、15a,15b スライド用溝、16 搬送ローラ、17 ディスクガイド部品、18 ディスク当接面、19a,19b 凹部、20 保持部材、100 ディスク、101 硬貨、102 カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシの内側に回転自在に保持され、当該シャーシに形成したディスクの挿入口を開閉するシャッタと、
前記シャッタより外側の前記挿入口に配置され、互いに接近する方向に付勢された状態で前記ディスクの縁部に当接して回動し、さらに当該縁部に押圧されて互いに離間する方向へ移動する一対のレバーと、
前記シャッタの開閉軌跡上に配置され、前記レバーの回動に連動して当該開閉軌跡の外へ退避する一対のストッパとを備えるディスク再生装置。
【請求項2】
ディスクの挿入口に対向するシャッタ面が中央部へ向かうにつれて凹んだ形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65383(P2013−65383A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204769(P2011−204769)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】