説明

ディスク装置、ディスク装置の情報記録再生方法及びディスクの回転速度制御方法

【課題】
ディスク装置において、交替処理時のディスクの回転速度変化量を抑え、即応性を確保する。
【解決手段】
交替処理時、欠陥ブロックのディスク半径位置におけるディスクの回転速度が、基準速度範囲内にあるか否かを判別し、該判別の結果に基づき、交替領域における上記ディスクの回転速度を少なくとも上記基準速度範囲の速度に設定し、ユーザデータ記録領域と交替領域におけるディスクの回転速度の差を抑える。このようにユーザデータ領域のディスク回転速度制御と交替処理領域のディスク回転速度制御を別々に行い、ディスクの回転速度の差を抑えて即応性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置等のディスク装置に係り、特に、交替処理時のディスクの回転速度制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連した従来技術としては、例えば、特許第2900387号明細書(特許文献1)に記載されたものがある。該明細書には、ディスク状情報記録媒体を回転半径方向に、それぞれが複数のトラックを含む複数のゾーンに分割し、各ゾーン毎に、交替領域と、該交替領域を管理する交替管理領域とを設け、該各ゾーン毎に該ディスク状情報記録媒体の回転速度を異ならせ、各ゾーン内では該回転速度を一定にして記録または再生を行い、交替処理時は、上記ディスク状情報記録媒体の回転速度を変更しないとする技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特許第2900387号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、分割した複数のゾーン毎に交替領域を備えたディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという)にのみ適用される技術であって、交替領域をディスクの最内周位置と最外周位置とに備える構成のディスクに対しては適用が困難である。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、ディスク装置において、交替領域をディスクの最内周位置と最外周位置とに備えるディスクに対しても有効に適用できるのみならず、交替領域を分割した複数のゾーン毎に交替領域を備えたディスクにおいて異なるゾーンの交替領域に移動して交替処理する場合にも有効な技術を用いて、交替処理のとき、ディスクの回転速度の変化量を抑え、交替動作の即応性を確保できるようにすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、迅速な記録または再生が可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題点を解決するために、本発明では、ディスク装置において、交替処理時、ユーザデータ記録領域の欠陥ブロックのディスク半径位置におけるディスクの回転速度が交替領域のディスク半径位置における基準速度範囲内にあるか否かを判別し、該判別結果に基づき上記交替領域における上記ディスクの回転速度を上記基準速度範囲内の速度に設定し、交替領域におけるディスクの回転速度とユーザデータ記録領域におけるディスクの回転速度との差を抑える。
具体的には、上記手段を基本要件とするディスク装置と、同じくディスク装置の情報記録再生方法と、同じくディスクの回転速度制御方法とをそれぞれ、本発明として提案する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ディスク装置において、交替処理時のディスクの回転速度変化量を抑えることができ、その結果、交替動作の即応性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態につき、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態の説明図である。図1は、本発明の実施形態としての光ディスク装置の構成例図、図2は、図1のディスク装置における交替処理時の光ディスク回転制御の説明図、図3は、図1の光ディスク装置における交替処理時の動作手順の説明図である。
【0008】
図1において、100は、DVD−RAMなどの光ディスク、300は、光ディスク100を回転駆動するディスクモータ、310は、ディスクモータ300を駆動するディスクモータ駆動手段としてのディスクモータ駆動回路、200は、光ディスク100にレーザ光を照射するとともに反射レーザ光を受光する光ピックアップ、210は、光ピックアップ200で反射レーザ光から再生した信号に基づきフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を形成するフォーカス・トラッキング誤差信号形成回路、220は、フォーカス・トラッキング誤差信号形成回路210の出力に基づき、光ピックアップ200中の対物レンズ(図示なし)を制御する制御信号を形成するフォーカス・トラッキング制御回路、430は、光ピックアップ200中のレーザダイオードを記録信号に基づき駆動するレーザ駆動回路、420は、記録信号を生成する記録信号生成回路、230は、光ピックアップ200で反射レーザ光から再生したRF信号を増幅処理するRF信号増幅回路、250は、増幅したRF信号を復調処理するデータ復調回路、320は、光ピックアップ200を光ディスク100の半径方向に移動させるスライドモータ、330は、スライドモータ320を制御駆動するスライドモータ駆動回路、500は、ディスクモータ駆動回路310や、記録信号生成回路420や、フォーカス・トラッキング制御回路220や、スライドモータ駆動回路330などを制御する制御手段としてのマイコンである。光ディスク100は、その最内周位置と最外周位置とに交替領域を備え、該2つの交替領域間にユーザデータ記録領域を備える。
【0009】
上記構成において、例えば、ユーザデータ(情報)の記録は、光ディスク100の内周側から外周側に光ピックアップ200を移動させ、倍速状態で行う。このとき、光ディスク100の記録面への情報の記録速度が一定となるように、光ディスク100は、ディスクモータ300により線速度一定で回転される。マイコン500は、ディスクモータ駆動回路310を介し、ディスクモータ300を所定速度で回転させる。
【0010】
上記光ディスク100のユーザデータ記録領域において、倍速状態で記録動作を行っているときに、適宜ユーザデータを記録しながら逐一、1個または複数個のブロックを読み出しては元データと同一かどうか検査し、同一でないと判断されると該ブロックは欠陥ブロックとして認識され、マイコン500は該検出結果に基づき交替処理のための制御を行う。すなわち、マイコン500は、上記検出した欠陥ブロックのディスク半径位置における上記光ディスクの回転速度が、交替領域のディスク半径位置における予め設定してある基準速度範囲内の速度であるか否かを判別するとともに、上記スライドモータ駆動回路330及びスライドモータ320を介して上記光ピックアップ200を、ディスク最外周側または最内周側いずれかの該当する交替領域側に移動させ、上記欠陥ブロックを該交替領域に割付けるために、上記欠陥ブロックのデータ内容を交替領域に記録し、必要なシステム管理情報を管理領域に記録させる。
【0011】
マイコン500は、上記判別結果に基づき、上記交替領域における光ディスク100の回転速度を、少なくとも上記基準速度範囲内の速度に設定する。すなわち、マイコン500は、上記判別の結果、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における光ディスク100の回転速度が上記基準速度範囲内の速度である場合には、例えば、該欠陥ブロックのディスク半径位置における光ディスク100の回転速度を、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定し、一方、上記判別の結果、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における光ディスク100の回転速度が上記基準速度範囲内の速度でない場合には、例えば、該基準速度範囲の上限側の速度または下限側の速度のうち、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における光ディスク100の回転速度に近い速度を、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定する。マイコン500は、ディスクモータ駆動回路310を制御し、ディスクモータ300を介して光ディスク100を、上記設定された回転速度で回転させる。上記交替領域における光ディスク100の回転速度を、上記のように、少なくとも上記基準速度範囲内の速度に設定することで、交替領域における光ディスク100の回転速度と、上記ユーザデータ記録領域における光ディスク100の回転速度との差を抑え、光ディスク100の回転速度の変化量を抑えることができる。その結果、交替動作の即応性が確保される。マイコン500は、光ディスク100が上記設定された回転速度で回転している状態で、交替領域内の上記割付けたアドレスに対しユーザデータを記録するように制御動作を行う。
【0012】
上記交替領域内のアドレスに対するユーザデータの記録が終了すると、マイコン500は、光ピックアップ200を、交替領域から、ユーザデータ記録領域内の上記欠陥ブロックの次のブロックのディスク半径位置に移動させるとともに、ディスク100を該ディスク半径位置に対応した回転速度に設定し回転させる。かかる回転状態で、マイコン500は、光ピックアップ200を介して上記次のブロックに対しユーザデータを記録するように制御動作を行う。本ディスク装置では、かかる場合にも、光ディスク100の回転速度の変化量を少なく抑えることができる、すなわち、上記交替領域における光ディスク100の回転速度と上記ユーザデータ記録領域における光ディスク100の回転速度との差を小さくすることができる。このため、交替領域での記録動作から、ユーザデータ記録領域での記録動作への移行が迅速に行われる。
【0013】
また再生動作については、上記管理情報に基づき交替処理された欠陥ブロックについてのみ交替領域の該ブロックを再生し、それ以外ではユーザデータ領域の該ブロックを読み出すので、ディスクモータの速度制御については上記記録時の処理と同一である。
【0014】
上記ユーザデータ記録領域及び上記交替領域での記録動作は、マイコン500で制御された記録信号生成回路420とレーザ駆動回路430による記録信号に基づき、光ピックアップ200中のレーザダイオード(図示なし)を駆動して行い、また、それぞれの領域での再生動作は、光ピックアップ200で反射レーザ光から再生したRF信号を、RF信号増幅回路230とデータ復調回路250で処理することにより行う。上記両領域での記録または再生動作時、光ピックアップ200は、フォーカス・トラッキング誤差信号形成回路210とフォーカス・トラッキング制御回路220とによりフォーカス制御及びトラッキング制御をされた状態となる。
【0015】
また、図示していないが、上記従来技術である、ユーザデータ記録領域を分割した複数のゾーン毎に交替領域を備えたディスクにおいても、欠陥ブロックが存在するゾーンとは異なるゾーンの交替領域に移動して記録または再生する場合にも有効である。
【0016】
以下、図2、図3の説明において用いる図1の構成要素には、図1の場合と同じ符号を付す。
図2は、図1のディスク装置における交替処理時のディスク回転制御の説明図である。本図2では、情報(ユーザデータ)の記録を行う場合につき述べるものとし、2倍速と5倍速とを含む両倍速の間の倍速記録が、ユーザデータ記録領域と交替領域とにおいて可能であるとする。(a)は、光ディスク100の半径方向断面図、(b)は、記録を行うディスク半径位置と光ディスク100の回転速度(ディスク回転速度)の関係を示す図である。
【0017】
図2において、Aは、線速度一定で5倍速記録を行う場合の光ディスク100の回転速度特性、Bは、同じく線速度一定で2倍速記録を行う場合の光ディスク100の回転速度特性、rは、光ディスク100の最内周側の交替領域(以下、ディスク最内周側の交替領域という)のディスク半径位置、rはディスク100の最外周側の交替領域(以下、ディスク最外周側の交替領域という)のディスク半径位置、ri1は、ディスク最内周側の交替領域のディスク半径位置rにおいて半径小側のディスク半径位置、ri2は、ディスク最内周側の交替領域のディスク半径位置rにおいて半径大側のディスク半径位置、ro1は、ディスク最外周側の交替領域のディスク半径位置rにおいて半径小側のディスク半径位置、ro2は、ディスク最外周側の交替領域のディスク半径位置rにおいて半径大側のディスク半径位置、P、P'はそれぞれ欠陥ブロックの検出位置、rは、ユーザデータ記録領域内における欠陥ブロック検出位置Pのディスク半径位置、rは、同じくユーザデータ記録領域内における欠陥ブロック検出位置P'のディスク半径位置、rは、ディスク最内周側の交替領域内において、ユーザデータが交替記録されるブロック領域のディスク半径位置、ωは、ディスク半径位置rにおける5倍速記録の光ディスク100の回転速度(ディスク回転速度)、ωは、ディスク半径位置rにおける5倍速記録の光ディスク100の回転速度(ディスク回転速度)、ωは、ディスク半径位置rにおける2倍速記録の光ディスク100の回転速度(ディスク回転速度)、ωは、ディスク半径位置rにおける5倍速記録の光ディスク100の回転速度(ディスク回転速度)である。
【0018】
上記図2において、ディスク装置が、ユーザデータ記録領域においてユーザデータの記録を5倍速で行っているとき、位置Pで、正常記録が困難な欠陥ブロックを検出した場合、マイコン500は該検出結果に基づき交替処理のための制御を開始する。すなわち、マイコン500は、上記欠陥ブロック検出位置Pのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωを検知し、該回転速度ωが、該当する交替領域(この場合はディスク最内周側の交替領域)内の所定のディスク半径位置すなわち該欠陥ブロックのアドレスが割付けられる領域のディスク半径位置rにおける基準速度範囲(ω〜ω)内の速度であるか否かを判別するとともに、上記欠陥ブロックを該交替領域内の所定領域部分(ディスク半径位置rの領域部分)に割付けるため、このとき、マイコン500は、上記欠陥ブロックに替えて上記交替領域に、ユーザデータを記録する旨のシステム管理情報を管理領域に記録させる。次に、マイコン500は、上記判別結果に基づき、上記交替領域における光ディスク100の回転速度を、少なくとも上記基準速度範囲内の速度に設定する。すなわち、マイコン500は、上記判別の結果、上記欠陥ブロック検出位置Pのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωは、交替領域内の、該欠陥ブロックのアドレスが割付けられた領域のディスク半径位置rにおける基準速度範囲(ω〜ω)内の速度であることすなわちω<ω<ωであることを認識し、該判別結果に基づき、該欠陥ブロックのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωをそのまま、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定する。また、マイコン500は、上記光ピックアップ200を、ディスク最内周側の交替領域に移動させ、該交替領域においても、光ディスク100を該設定した回転速度ωで回転させ、交替領域内のディスク半径位置rの領域にユーザデータを記録させる。すなわち、光ディスク100の回転速度は変化させない状態で、交替領域内の記録動作に移行する。上記交替領域内でのユーザデータの記録が終了すると、マイコン500は、光ピックアップ200を、交替領域から、ユーザデータ記録領域内の上記欠陥ブロックの次のブロックのディスク半径位置に移動させるとともに、光ディスク100を該ディスク半径位置に対応した回転速度に設定し回転させる。かかる回転状態で、マイコン500は、光ピックアップ200を介して上記次のブロックにユーザデータを記録させる。
【0019】
一方、上記図2において、光ディスク装置が、ユーザデータ記録領域においてユーザデータの記録を5倍速で行っているとき、位置P'で、正常記録が困難な欠陥ブロックを検出した場合、マイコン500は該検出結果に基づき交替処理のための制御を開始する。すなわち、マイコン500は、上記欠陥ブロック検出位置P'のディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωを検知し、該回転速度ωが、該当する交替領域(この場合もディスク最内周側の交替領域)内の所定のディスク半径位置すなわち該欠陥ブロックのアドレスが割付けられる領域のディスク半径位置rにおける基準速度範囲(ω〜ω)内の速度であるか否かを判別するとともに、上記欠陥ブロックのアドレスを該交替領域内の所定領域部分(ディスク半径位置rの領域部分)に割付けるために、マイコン500は、上記欠陥ブロックに替えて上記交替領域に、ユーザデータを記録する旨のシステム管理情報を管理領域に記録させる。
【0020】
次に、マイコン500は、上記判別結果に基づき、上記交替領域における光ディスク100の回転速度を、少なくとも上記基準速度範囲内の速度に設定する。すなわち、マイコン500は、上記欠陥ブロック検出位置P'のディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωは、交替領域内の、該欠陥ブロックのアドレスが割付けられた領域のディスク半径位置rにおける基準速度範囲(ω〜ω)内の速度ではないことすなわちω<ω<ωであることを判別し、該判別結果に基づき、該欠陥ブロックのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωから増大させた回転速度ωを、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定する。回転速度ωは、基準速度範囲(ω〜ω)内の速度のうちで最も回転速度ωに近い回転速度である。マイコン500は、また、光ピックアップ200を、ディスク最内周側の交替領域に移動させ、該交替領域において、光ディスク100を上記設定した回転速度ωで回転させ、交替領域内のディスク半径位置rの領域にユーザデータを記録させる。すなわち、光ディスク100の回転速度をωからωに増大させた状態で交替領域内の記録に移行する。交替領域内でユーザデータの該当ブロックの記録が終了すると、マイコン500は、光ピックアップ200を、交替領域から、ユーザデータ記録領域内の上記欠陥ブロックの次のブロックのディスク半径位置に移動させるとともに、光ディスク100を該ディスク半径位置に対応した回転速度に設定し回転させる。かかるディスク100の回転状態で、マイコン500は、光ピックアップ200を介して上記次のブロックにユーザデータを記録させる制御を行う。
【0021】
上記は、ディスク最内周側の交替領域にユーザデータを交替記録する場合であるが、ディスク最外周側の交替領域にユーザデータを交替記録する場合には、欠陥ブロックのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωや、欠陥ブロックのディスク半径位置rにおける光ディスク100の回転速度ωから減少させた回転速度ωを、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定する。回転速度ωは、基準速度範囲(ω〜ω)内の速度のうちで最も回転速度ω、ωに近い回転速度である。マイコン500は、上記交替領域において、光ディスク100を該設定した回転速度ωで回転させ、交替領域内のディスク半径位置rの領域にユーザデータを記録させる。すなわち、光ディスク100の回転速度ω、ωを回転速度ωに減少させた状態で交替領域内の記録を行う。
なお、上記図2では、情報(ユーザデータ)の記録を行う場合につき説明したが、記録された情報の再生を行う場合も、ディスクの回転制御に関して基本的には上記記録を行う場合と同じである。
【0022】
図3は、図1の光ディスク装置における交替処理時の動作手順の説明図である。
図3において、
(1)先ず、ユーザデータを記録する最小単位であるブロック毎にユーザデータ記録領域内に記録する。(ステップS301)。その直後、今記録した該ブロックをマイコン500が読み出し(ステップS302)、元データと同一の値か判別する(ステップS303)。判別した結果、元データと該ブロックを読み出したデータが同一でない場合、マイコン500は該ブロックを欠陥ブロックとして判断して、該検出結果に基づく指示信号によりディスク装置に交替処理の動作を開始させる。
(2)マイコン500は、検出された欠陥ブロックの現在のディスク半径位置における光ディスク100の回転速度を認識(検出)する(ステップS304)。
(3)マイコン500は、上記認識(検出)したディスク回転速度が、該当する交替領域内の所定のディスク半径位置すなわち上記欠陥ブロックのアドレスが割付けられる領域のディスク半径位置における基準速度範囲内の速度であるか否かを判別する(ステップS305)。
(4)マイコン500は、上記認識したディスク回転速度が、上記基準速度範囲内の速度である場合は、該認識したディスク回転速度すなわち上記欠陥ブロックのディスク半径位置における光ディスク100の回転速度を変更しないでそのまま、上記交替領域における光ディスク100の回転速度として設定する(ステップS306)。
【0023】
一方、上記判別の結果、上記認識(検出)したディスク回転速度が、上記基準速度範囲内の速度でない場合は、マイコン500は、該認識したディスク回転速度すなわち上記欠陥ブロックのディスク半径位置におけるディスク100の回転速度からさらに増大させた該光ディスク100の回転速度を、上記交替領域における該光ディスク100の回転速度として設定する(ステップS307)。該設定されるディスク回転速度としては、回転速度変化量を小さく抑えるべく、基準速度範囲内速度のうちで最も、上記認識したディスク回転速度に近いディスク回転速度値を選ぶものとする。
(5)マイコン500は、スライドモータ駆動回路330を制御し、スライドモータ320により、光ピックアップ200を上記交替領域に移動させる(ステップS308)。
【0024】
(6)マイコン500は、フォーカス・トラッキング制御回路220を制御し、光ピックアップ200内のアクチュエータ(図示なし)により、対物レンズのフォーカス制御及びトラッキング制御を行わせる(ステップS309)。
(7)マイコン500は、記録信号生成回路420を制御し、レーザ駆動回路430により光ピックアップ200内のレーザダイオードを駆動させて、上記交替領域に対しユーザデータの記録を行わせる(ステップS310)。
(8)上記交替領域内でのユーザデータ(該ブロック)の記録が終了すると、交替領域の該ブロックのデータを読み出し(S311)、上記同様に元データと比較して(S312)、同一でなければ、交替領域内の次のブロックにて、上記(2)ステップS304に戻って、欠陥ブロックを認識しなくなるまで繰り返す。
(9)上記交替領域内でのユーザデータの該ブロック記録が無事終了すると、マイコン500は、スライドモータ駆動回路330を制御して光ピックアップ200を、交替領域から、ユーザデータ記録領域内の上記欠陥ブロックの次のブロックのディスク半径位置に移動させるとともに、光ディスク100を該ディスク半径位置に対応した回転速度に設定し回転させる(ステップS313)。
(10)マイコン500は、ユーザデータ記録領域において、フォーカス制御及びトラッキング制御を行わせる(ステップS314)。
(11)マイコン500は、上記欠陥ブロックの次のブロックにユーザデータの記録を行わせる(ステップS315)。また上記(1)ステップS303においてユーザデータを記録した該ブロックを読み出して、元データと比較して同一データと認識されればステップS303から直接ステップS315に移行してユーザデータの該ブロックの次のブロックを検知し(ステップS315)、またステップS301に戻って、上記ステップを繰り返す。
【0025】
上記本発明の実施形態によれば、光ディスク装置において、交替処理時のディスクの回転速度の変化量を小さく抑えることができ、その結果、交替動作の即応性が確保される。
【0026】
上記実施形態では、光ディスク装置の場合につき説明したが、本発明はこれに限定されず、他のディスク装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態としてのディスク装置の構成例図である。
【図2】図1のディスク装置における交替処理時のディスク回転制御の説明図である。
【図3】図1のディスク装置における交替処理時の動作手順の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
100…光ディスク、
200…光ピックアップ、
210…フォーカス・トラッキング誤差信号形成回路、
220…フォーカス・トラッキング制御回路、
230…RF信号増幅回路、
250…データ復調回路、
300…ディスクモータ、
310…ディスクモータ駆動回路、
320…スライドモータ、
330…スライドモータ駆動回路、
420…記録信号生成回路、
430…レーザ駆動回路、
500…マイコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交替処理を用いてディスクに対し情報の記録または再生を行うディスク装置であって、
上記ディスクを回転駆動するディスクモータと、
上記ディスクモータを駆動するディスクモータ駆動手段と、
交替処理時、ユーザデータ記録領域の欠陥ブロック(ブロックはユーザデータを読み書きする最小単位)のディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が交替領域のディスク半径位置における基準速度範囲内にあるか否かを判別し、該判別結果に基づき上記交替領域における上記ディスクの回転速度を上記基準速度範囲内の速度に設定し、該設定結果に基づき上記ディスクモータ駆動手段を制御する制御手段と、
を備え、上記交替領域における上記ディスクの回転速度と、上記ユーザデータ記録領域における回転速度との差を抑えた状態で交替処理を行う構成としたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記判別の結果、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が上記基準速度範囲内の速度である場合は、該欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度を、上記交替領域におけるディスクの回転速度として設定する構成である請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記判別の結果、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が上記基準速度範囲内の速度でない場合は、該基準速度範囲の上下限いずれかの側の速度を、上記交替領域におけるディスクの回転速度として設定する構成である請求項1または請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
交替処理を用いて情報の記録または再生を行うディスク装置の情報記録再生方法であって、
上記ディスクのユーザデータ記録領域に欠陥ブロックがあることを検出する第1のステップと、
上記検出した欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が、交替領域のディスク半径位置における予め設定してある基準速度範囲内の速度であるか否かを判別するとともに、該欠陥ブロックのアドレスを交替領域に割付ける第2のステップと、
上記判別結果に基づき、交替領域における上記ディスクの回転速度を少なくとも上記基準速度範囲の速度に設定する第3のステップと、
上記設定した回転速度で上記ディスクを回転させ、交替領域に割付けた上記アドレスに対しユーザデータを記録または再生する第4のステップと、
上記欠陥ブロックの次のブロックに対しユーザデータを記録または再生する第5のステップと、
を経て、ユーザデータの記録または再生を行うことを特徴とするディスク装置の情報記録再生方法。
【請求項5】
交替処理を用いて情報の記録または再生を行うディスク装置におけるディスクの回転速度制御方法であって、
上記ディスクのユーザデータ記録領域に欠陥ブロックがあることを検出する第1のステップと、
上記欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が、交替領域のディスク半径位置における予め設定された基準速度範囲内の速度であるか否かを判別する第2のステップと、
上記判別結果に基づき、上記交替領域におけるディスクの回転速度を少なくとも上記基準速度範囲内の速度に設定する第3のステップと、
を経て、交替処理時、上記ディスクの回転速度を制御することを特徴とするディスクの回転速度制御方法。
【請求項6】
上記第3のステップでは、上記判別の結果、上記欠陥ブロックのディスク半径位置における上記ディスクの回転速度が上記基準速度範囲内の速度である場合は、該欠陥ブロックのディスク半径位置におけるディスクの回転速度をそのまま、上記交替領域におけるディスクの回転速度として設定し、また、上記欠陥ブロックのディスク半径位置におけるディスクの回転速度が上記基準速度範囲内の速度でない場合は、該基準速度範囲の上下限いずれかの側の速度を、上記交替領域における上記ディスクの回転速度として設定する請求項5に記載のディスクの回転速度制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−12321(P2006−12321A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189585(P2004−189585)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】