説明

ディスク装置

【課題】 ディスクを着脱する際には、ディスクを装着しやすく、トラバース部を保護でき、外観の良いディスク装置を提供するものである。
【解決手段】 ディスク載置面3aに重ならない第1の位置と開口部3bに重なる第2の位置との間を移動可能に構成されるとともに、ディスク4をターンテーブル1に保持させるクランパを備えたクランプベース5と、開口部3bを開閉可能な開閉部材9とを備え、
ディスク4をクランプさせる際は、クランプベース5を第1の位置から第2の位置へ移動させ、開閉部材9を移動させて開口部3bを開き、トラバースベース5を待機位置から記録再生位置へ移動させ、ターンテーブル1とクランパ11とでディスク4をクランプさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の記録用または再生用のディスク、あるいはケースに収納されているディスクを装着可能し、ディスクに対して各種情報信号を記録または再生させるためのディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD等の情報媒体に対して、映像信号等の情報信号を記録または再生可能なDVDレコーダーが急速に普及し始めているが、今後の更なる普及拡大のために、従来とは形態を変えた装置の開発が求められている。
【0003】
従来のディスク装置において、ユーザーがディスクを装置に装着可能な構成には、トレイ方式やスロットイン方式といった形態が主流となっている。また、他の構成としては、特許1に記載されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載のディスク装置は、ターンテーブルが配された本体に、ターンテーブルを含む本体前面を覆う蓋体が、開閉自在に配されている。蓋体には、ディスクをクランプさせるためのクランパが備えられている。
【0005】
ディスク装置にディスクを装着するには、ディスクを本体と蓋体との間に入れ、蓋体を閉じる。これにより、ディスクがターンテーブルとクランパとによってクランプされる。
【特許文献1】実開平1−151453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の構成では、ターンテーブルが、本体におけるディスク装着面から突出して配されているため、ユーザーがディスクを装置に装着する際、ディスクがターンテーブルに当たり、ディスクやターンテーブルに傷を付けてしまう可能性があるという問題がある。また、ディスク着脱のために蓋体を開いた際、ターンテーブルが外部から見えてしまうため、外観上良くないという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、ディスクを着脱する際には、ディスクを装着しやすく、トラバース部を保護でき、外観の良いディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明のディスク装置は、ディスクに情報信号を記録/再生可能なディスク装置であって、前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録/再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能なトラバースベースと、前記トラバースベースが記録再生位置にある時の前記ターンテーブルのディスク保持部の位置と、前記トラバースベースが待機位置にある時の前記ターンテーブルのディスク保持部の位置との間に固定配置され、かつ、前記ディスクを載置可能なディスク載置面と、前記トラバースベースを待機位置と記録再生位置との間で移動可能なように前記ディスク載置面に形成されている開口部とを備えたフロントカバーと、前記ディスク載置面に平行でかつ前記ディスク載置面に重ならない第1の位置と前記開口部に重なる第2の位置との間を移動可能に構成されるとともに、前記第2の位置にある時に前記開口部を覆うことが可能な大きさを有し、前記ディスクを前記ターンテーブルに保持させるクランパを備えたクランプベースと、前記フロントカバーの裏側に移動自在に配され、移動されることで前記開口部を開閉可能な開閉部材とを備え、前記ディスクをクランプさせる際は、前記クランプベースを待機位置から前記開口部と重なる位置へ移動させ、次に前記開閉部材を前記開口部を閉じる位置から開く位置へ移動させ、次に前記トラバースベースを前記待機位置から前記記録再生位置へ移動させ、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記ディスクをクランプさせるものである。
【0009】
この構成によって、ディスク着脱状態から記録再生状態まで、ターンテーブルを常にカバーで隠して、装置正面からは見えない状態にすることで、ディスクを装着しやすく、トラバース部を保護し、外観を良くすることができるという優れた効果が得られる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、ディスク載置面に設けたターンテーブル挿通用の開口部に開閉部材を備え、開閉部材及びディスクをターンテーブルにクランプするクランプ部材により、ディスク着脱状態から記録再生状態まで常にトラバース部を隠して、装置正面から見えないようにすることで、ディスクを装着しやすく、トラバース部を保護し、外観を良くすることができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のディスク装置は、前記ディスクの着脱状態から記録再生状態へ移行させる際は、前記クランプベースを、前記開閉部材が開くことによって生じる開口部を覆う位置に移動させ、記録再生状態から前記ディスクの着脱状態へ移行させる際には、前記クランプ部材を、前記開閉部材が閉じて前記開口部が無くなるまで前記開口部を覆う位置に留め、その後、待機位置へ移動させるように構成することができる。
【0012】
また、前記開閉部材は、前記ターンテーブルと対向する部分に凹部が設けられている構成とすることができる。
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
まず、本発明のディスク装置が搭載されたディスクシステムの構成について説明する。
【0015】
図1及び図2は、ディスクシステムの外観を示す斜視図であり、図1は記録再生状態で、図2はディスク装着状態を示す。「記録再生状態」とは、ターンテーブルとクランパ(いずれも図示せず)によってディスク4がクランプされ、ディスク4に対して情報信号の記録再生が可能な状態を指す。また、「ディスク装着状態」とは、クランプベース10(後述)が外部から目視できない位置に退避され、ユーザーが、装置に対してディスク4を着脱可能な状態を指す。
【0016】
図1及び図2において、ディスクシステム50は、据え置き型のディスクプレーヤーまたはディスクレコーダーであり、正面部に開口部52が形成されている。開口部52内には、ディスクをクランプし情報信号を記録または再生可能なディスク装置(後述)が、縦置きで内蔵されている。ユーザーは開口部52を通してディスク4をディスク装置へ装着させることができる。また、ディスクシステム50において、開口部52は、接地面である底面に対して略垂直な正面部に形成されており、ユーザーは、ディスク4を立てた状態でディスク装置に対して着脱させることができる。
【0017】
また、ディスクシステム50における開口部52の近傍には、ディスクシステム50の各種操作を行うことができる操作部51が配されている。操作部51で行える操作は、例えば、ディスク4に記録された情報信号を再生する再生操作、ディスク4に情報信号を記録させる記録操作、ディスク4を記録再生状態からディスク装着状態へ移行させるイジェクト操作などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
フロントカバー3は、ユーザーによって、ディスク装置にディスク4が装着された際にディスク4を支持するものである。フロントカバー3は、ディスク載置面3aと、ディスク載置面3qの下部に配されたターンテーブルや光ピックアップを露出させる開口部3bと、ディスク4の下方向への位置規制を行うリブ3cとを備えている。ディスク装置へ装着されたディスク4は、記録面の一部がディスク載置面3aで支持され、ディスク4の外周縁部の一部(下端)がリブ3cで支持される。
【0019】
開閉部材9は、略板状の部材で構成され、主面は開口部3bを覆うことが可能な大きさを有している。また、開閉部材9は、ディスク載置面3aの裏面側に配され、矢印PあるいはQに示す方向へ移動自在に配されている。
【0020】
クランプベース10は、ディスクシステム50内におけるディスク載置面3a上を、矢印PあるいはQに示す方向へ移動自在に配されている。また、クランプベース10の裏面には、ディスク4をクランプするクランパ11が配されている。
【0021】
以下、ディスクシステム50の動作について説明する。
【0022】
まず、ディスクシステム50の電源がオフの時は、図2に示す状態となっている。すなわち、クランプベース10は外部に露出しない待機位置にあり、開閉部材9は開口部3bを覆う位置にある。
【0023】
ディスクシステム50を動作させる際は、図2に示す状態において操作部51を操作して、ディスクシステム50の電源をオンにする。次に、ディスク4をディスク載置面3a及びリブ3c上に載せる。次に、操作部51における例えば再生ボタンを操作すると、クランプベース10が矢印Qに示す方向へ移動を開始し、クランプベース10がディスク4の中心と重なる位置まで移動された後、開閉部材9が矢印Qに示す方向へ移動が開始される。開閉部材9が待機位置まで移動された状態が図1である。図1に示す状態では、クランプベース10は開口部3d(図2参照)を覆う位置にあり、開閉部材9は開口部3dを開放する位置にある。
【0024】
次に、ターンテーブルや光ピックアップが搭載されたトラバース(図示せず)が、ディスク4に対してアクセス可能な位置まで移動されることにより、ターンテーブルとクランパ11とでディスク4をクランプさせることができる。このとき、ディスク4は、ディスク4の中心孔がターンテーブルに設けられたテーパ部に当接しながら、テーパ部に案内されて上方に移動して、ディスク4の外周縁部が、リブ3cに接しない位置に移動される。
【0025】
次に、ターンテーブルがディスク4を回転させ、光ピックアップでディスク4の情報層へ光ビームを照射させることにより、ディスク4に記録された情報信号を再生させることができる。なお、上記の説明では、ディスク4の再生動作について説明したが、ディスク4に情報信号を記録させる記録動作であっても、同様に動作を行うことができる。また、上記説明では、電源をオンにした後、再生ボタンを操作する構成としたが、電源がオフの状態で再生ボタンのみを操作することで、ディスクシステム50の電源がオンになり、再生状態へ移行させるよう制御してもよい。
【0026】
次に、ディスク4をディスクシステム50から取り出す際は、図1に示す状態において、操作部51におけるイジェクトボタンを操作することで、光ピックアップからの光ビームの照射動作が停止され、ターンテーブルの回転動作が停止される。次に、トラバースが待機位置(ディスク4の中心方向の奥側)へ移動されることで、クランパ11とターンテーブルとによるクランプ状態が解除される。次に、クランプベース10と開閉部材9とが、矢印Pに示す方向へ移動を開始し、図2に示す位置へ移動される。これにより、ユーザーが、ディスク載置面3a及びリブ3c上に載置されているディスク4を取り出すことができる。
【0027】
次に、実施の形態1におけるディスク装置の具体的な構成について説明する。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態1におけるディスク装置のディスク装着状態の平面図である。図4はディスク装置のディスク装着状態の側面断面図で、図3におけるZ−Z部の断面である。図7は図3のディスク装着状態からクランプベースが開口部と投影上重なる位置(クランプ位置)まで移動が完了した状態を示す平面図である。図8はディスク装置のディスククランプ完了状態の平面図である。図9はディスク装置のディスククランプ完了状態の側面断面図で、図8におけるY−Y部の断面である。なお、図1及び図2における構成と同様の構成については、同一番号を付与してさらに詳しく説明する。
【0029】
図3から図9において、ターンテーブル1は、ディスク4の記録または再生時にディスク4が載置され、モータによって回転駆動されることで、ディスク4を回転させることができる。また、ターンテーブル1のディスク載置面の近傍には、テーパ部(図4参照)が形成されている。テーパ部は、ディスク4をクランプさせた時にディスク4の中心孔に挿入され、ディスク4をターンテーブル1の回転中心にアライメントして保持することができる。また、テーパ部は、ディスク4をリブ3c(後述)に載置してクランプさせる際に、ディスク4の中心孔に挿入可能な位置及び形状で構成されている。
【0030】
光ピックアップ2は、ディスク4の情報層に対して、情報信号を記録または再生する。光ピックアップ2によって記録または再生可能な情報信号は、例えば、デジタル化され信号圧縮された映像信号や音声信号や、コンピュータで取り扱うことが可能な各種情報信号である。
【0031】
フロントカバー3は、略板状でディスク装置の前面を覆うように配され、ディスク載置面3aと開口部3bとリブ3cとガイド部3dと壁部3eとガイド溝3f〜3iとを備えている。
【0032】
ディスク載置面3aは、光ピックアップ2の光軸方向に対し直交するように配されている。また、ディスク載置面3aは、ディスク4をディスク装置へ装着させる際に、ディスク4がフロントカバー3上に置かれた時、ディスク4の記録面を支持する面である。
【0033】
開口部3bは、ディスク載置面3aの略中央に形成されている。また、開口部3bは、図4及び図9に示すようにディスク装着状態と記録再生状態との切換時に、ターンテープル1のディスク載置面が挿通移動できるように設けられている。また、開口部3bは、光ピックアップ2と光ディスク4の情報層との間を、光ビームが照射可能なように設けられている。
【0034】
リブ3cは、図3に示すようにフロントカバー3の下端近傍に設けられ、ディスク4がフロントカバー3に載置された時に、ディスク4の下側縁部を支持するものである。また、リブ3cの長手方向の略中央には、ディスク4の縁部に沿って支持可能であるとともにディスク4の左右方向のセンタリングが可能なように、略円弧形状の凹部8が形成されている。また、図4に示すように、リブ3cのディスク載置面3aに対する略垂直方向の突出量は、本装置を縦置き(ディスク載置面3aが、本装置の設置面に対して略垂直になるような設置方法)に設置した際に、ディスクを載置できるような寸法に設定されている。
【0035】
ガイド部3dは、図7に示すように、フロントカバー3の裏面における、開口部3bの上端及び下端近傍に形成されている。また、ガイド部3dには、図4に示すように開閉部材9がスライド可能に支持されている。
【0036】
壁部3eは、図3に示すように、ディスク載置面3aの周囲に形成され、ディスク載置面3aにディスク4が載置された際に、ディスク4の横方向への大まかな位置規制を行う。
【0037】
ガイド溝3f及び3gは、フロントカバー3の上端に形成され、クランプベース10の上端がスライド可能に支持されている。図5に示すように、ガイド溝3fにクランプベース10の突起10bが係合されていることにより、図5における左右方向の位置規制を行っているとともに、クランプベース10がフロントカバー3から離脱するのを防止している。また、ガイド溝3gに突起10cが係合されていることにより、図5における上下方向の位置規制を行っている。
【0038】
ガイド溝3h及び3iは、フロントカバー3の下端に形成され、クランプベース10の下端がスライド可能に支持されている。図6に示すように、ガイド溝3hにクランプベース10の突起10d(後述)が係合されていることにより、図6における左右方向の位置規制を行っているとともに、クランプベース10がフロントカバー3から離脱するのを防止している。また、ガイド溝3iに突起10e(後述)が係合されていることにより、図6における上下方向の位置規制を行っている。
【0039】
シャーシ16は、ディスク載置面3aに対する背面側を覆っており、フロントカバー3に固定されている。
【0040】
トラバースベース5は、ターンテーブル1と光ピックアップ2が搭載されている。また、トラバースベース5は、支軸5aを中心に待機位置と記録再生位置との間で回動可能なように、シャーシ16に支持されている。なお、「待機位置」とは、ターンテーブル1のディスク載置面及び光ピックアップ2が、フロントカバー3のディスク載置面3aより突出しない位置(つまり、ディスク載置面3aより下部に位置した状態)である。、また、「記録再生位置」とは、ターンテーブル1のディスク載置面をフロントカバー3のディスク載置面3aより突出させて、ターンテーブル1のディスク載置面にディスク4を載置させる位置である。トラバースベース5の回動機構については図示しないが、例えば、モーターと歯車で構成される。
【0041】
ガイド軸6には、光ピックアップ6が移動自在に支持されている。駆動モータ7は、回転駆動力を出力可能なシャフト7aが配されている。シャフト7aには、光ピックアップ2が螺合され、シャフト7aを回転させることで、光ピックアップ2をガイド軸6に支持させながらディスク4の半径方向へ移動させることができる。
【0042】
開閉部材9は、フロントカバー3の内部にスライド可能に配され、図3及び図7に示すように開口部3bを覆う第1の位置と、図8に示すように開口部3bを開放しトラバースベース5の回動動作を妨げない第2の位置との間をスライド可能としている。開閉部材9のスライド方向は、第1の位置から第2の位置へスライドする際は、図7における矢印Eに示す方向で、第2の位置から第1の位置へスライドする際は矢印Fに示す方向である。また、開閉部材9は、第1の位置にある時、開口部3bを介して装置内部を目視できないように覆うことが可能な形状及び大きさを有している。つまり、開閉部材9は、第1の位置にある時、開口部3bの鉛直方向への投影面よりも大きなサイズを有している。また、開閉部材9の裏面には、ピン9bが形成されている。
【0043】
凹部9aは、図4に示すように開閉部材9の裏面側に設けられ、開閉部材9が第1の位置にある時、ターンテーブル1の一部が、凹部9a内に位置するように構成されている。これにより、開閉部材9とターンテーブル1とが当接するのを防ぐことができる。なお、凹部9a内に位置させるものはターンテーブル1に限るものではなく、他の部材であってもよい。また、本実施の形態では凹部9aは、開閉部材9の裏面において1カ所のみ設けているが、複数箇所設けてもよい。このように凹部9aを設け、凹部9a内にターンテーブル1などの他部材を配することで、開閉部材9のスライド動作を妨げず、かつ装置全体の小型化をすることができる。
【0044】
クランプベース10は、図3に示すディスク装着状態において、フロントカバー3のディスク載置面3aにディスク4を装着させる際に、ディスク4がクランプベース10に当接しないように、ディスク載置面3aの光ピックアップ2の光軸方向への投影面に重ならない位置に待機している。本実施の形態では、クランプベース10は、図3に示すようにディスク載置面3aの右側の位置に待機させているが、ディスク載置面3aの左側の位置に待機させてもよい。また、クランプベース10は、図3に示す待機位置から、図7に示すクランプ位置まで移動できるように構成されている。なお、「クランプ位置」とは、クランプベース10がターンテーブル1のディスク載置面の真上に移動してクランプ動作が可能な位置のことである。また、クランプベース10は、スライド動作の際、ディスク載置面3aに載置されたディスク4に当接しないように、ディスク載置面3aとの間にクリアランスを有している。また、クランプベース10の下端には、クランプベース10の下端を支持してガイドするラック部材10gが設けられている。ラック部材10gには、図6に示すようにフロントカバー3の凹部3hに係合される突起10dと、フロントカバー3の凹部3iに係合される10eと、移動機構21(後述)から駆動力が伝達されるラック10fとが形成されている。ラック部材10gは、クランプベース10の移動方向に沿って設けられている。
【0045】
移動機構21は、クランプベース10をスライド動作可能な機構であり、二段ギヤ17とモータギヤ18とモータ19とを備えている。モータ19の出力シャフトには、モータギヤ18が配されている。また、モータギヤ18とラック10fに噛み合うように二段ギヤ17が配されている。これにより、モータ19から出力される回転駆動力は、モータギヤ18及び二段ギヤ17を介して、ラック10fに伝達され、クランプベース10をスライド動作させることができる。
【0046】
クランパ11は、ターンテーブル1のディスク載置面にディスク4をクランプさせるものであり、ターンテーブル1のディスク載置面の鉛直方向に移動可能にクランプベース10に備えられている。クランパ11には磁性体が内蔵されており、ターンテーブル1のディスク搭載面に配されている被磁性体に、磁力で吸着される構成になっている。
【0047】
カムレバー13は、フロントカバー3に形成された回動軸13bに、回動自在に軸支されている。また、カムレバー13には長孔13aが形成され、長孔13a内を開閉部材9のピン9bが移動自在に挿入されている。また、カムレバー13の端部には、歯部13cが形成されている。
【0048】
モータギヤ15は、開閉部材9をスライドさせるためのモータ(図示せず)の出力シャフトに配されており、二段ギヤ14(後述)に噛み合っている。
【0049】
二段ギヤ14は、カムレバー13の歯部13cとモータギヤ15とに噛み合っており、モータギヤ15からの駆動力をカムレバー13へ伝達させている。
【0050】
以上のように構成されたディスク装置について、動作を説明する。
【0051】
まず、図3に示すディスク装着状態では、開閉部材9は第1の位置(開口部3bを覆う位置)にあり、クランプベースは待機位置(ディスク載置面3aに投影面上重ならない位置)にある。また、トラバース5は、図4に示すようにターンテーブル1がフロントカバー3の表面側に突出しないように、退避されている。この時、開閉部材9の凹部9a内に、ターンテーブル1の一部が位置している。
【0052】
次に、ユーザーによってディスク4がリブ3cに載置され、記録または再生開始のスイッチ(図示せず)が操作されると、クランプベース10が移動機構21(図6参照)によって、図3に示す待機位置から矢印B方向(光ピックアップ2の移動方向に対して直交方向)へ移動し、図7に示すクランプ位置まで移動される。ここで、クランプベース10におけるディスク載置面3aに対向している面は、開口部3bの投影面より大きく構成されているので、クランプベース10がクランプ位置へ移動した時、開口部3bを覆うことができ、ユーザー側から開口部3b内を目視できないようにすることができる。
【0053】
なお、クランプベース10の移動は、移動機構21によって行われる。すなわち、図6において、モータ19に電流が印加されて出力シャフトが回転されると、回転駆動力がモータギヤ18及び二段ギヤ17を介して、ラック10fに伝達される。ラック10fに伝達された駆動力によって、クランプベース10を矢印B(図3参照)へスライドさせることができる。クランプベース10の移動時は、ラック部材10gによって支持及び案内される。
【0054】
次に、開閉部材9が、図7に示す状態から、ガイド部3dに支持されながら矢印E方向へ移動が開始され、図8に示すように少なくともトラバースベース5の回動動作を妨げない第2の位置まで移動される。これにより、トラバースベース5が、開口部3bを挿通移動可能な状態になる。
【0055】
なお、開閉部材9は、モータ(図示せず)から出力される回転駆動力を、モータギヤ15及び二段ギヤ14を介して、カムレバー13の歯部13cへ伝達させることで移動動作させることができる。二段ギヤ14から駆動力が伝達されたカムレバー13は、回動軸13bを軸に、図7に示す位置から反時計方向へ回動される。なお、カムレバー13の長孔13aには、開閉部材9の裏面に設けられたピン9bが移動自在に挿入されているため、カムレバー13が回動することによって長孔13aの内壁でピン9bが押され、開閉部材9を矢印E方向へ移動させることができる。
【0056】
次に、トラバースベース5が、図4に示す位置から支軸5aを中心に矢印C方向へ回動され、図9に示すようにターンテーブル1が開口部3bを挿通して記録再生位置まで移動される。この時、ディスク4は、ディスク4の中心孔がターンテーブル1に設けられたテーパ部に当接しながら、テーパ部に案内されて上方に移動して、ディスク4の外周縁部が、リブ3cに接しない位置に持ち上げられる。
【0057】
また、この時、クランパ11内に配された磁性体とターンテーブル1に配された被磁性体との間で生じる吸引力よって、クランパ11がターンテーブル1のディスク載置面に吸引される。これにより、ディスク4はターンテーブル1とクランパ11によってクランプされ、図9に示すような記録再生可能状態になる。ディスク4は、クランプされた際、図9に示すようにディスク載置面3a及び、リブ3cから離間された状態になるとともに、記録面が光ピックアップ2の移動方向に対して平行な状態になる。
【0058】
次に、モータ(図示せず)によってターンテーブル1が回転されることにより、ディスク4を回転させることができる。次に、光ピックアップ2を動作させて、ディスク4に対して情報信号を記録したり、ディスク4に記録されている情報信号を再生させることができる。
【0059】
次に、ディスク装置からディスク4を取り出す動作について説明する。
【0060】
図8に示すように、ディスク4が記録再生位置にある状態において、イジェクトスイッチ(図示せず)が操作されると、ターンテーブル1を回転させているモータの動作が停止され、ターンテーブル1の回転が停止し、ディスク4の回転が停止する。
【0061】
次に、図9に示すように、トラバースベース5は、支軸5aを中心に矢印G方向へ回動され、記録再生状態から図4に示す待機状態に移動される。この時、ターンテーブル1とクランパ11とが離間されるため、ディスク4のクランプ状態が解除され、ディスク4はターンテーブル1のディスク載置面から外れる。ターンテーブル1から外れたディスク4は、リブ3c上に載置される。
【0062】
次に、開閉部材9を駆動させるモータ(図示せず)を動作させることで、図8におけるモータギヤ15、二段ギヤ14を介して、カムレバー13に回転駆動力が伝達される。カムレバー13は、回動軸13bを軸に時計方向へ回動される。カムレバー13が回動されると、長孔13aに移動自在にピン9bが挿入されているので、長孔13aの内壁でピン9bが押される。ピン9bが押されることにより、開閉部材9は図8に示す第2の位置から矢印F方向へ移動が開始され、図7に示す第1の位置まで移動される。開閉部材9は、第1の位置において、開口部3bを覆い、トラバースベース5を含む装置内部のメカニズムなどが、外部から目視できないようにしている。
【0063】
次に、図6に示すモータ19を動作させることで、モータギヤ18及び二段ギヤ17を介して、ラック10fに回転駆動力が伝達される。ラック10fに伝達された駆動力によって、クランプベース10が、図7に示すクランプ位置から矢印F方向へ移動され、図3に示す待機位置まで移動される。これにより、ディスク4が取り出し可能な状態になる。
【0064】
以上のように本実施の形態によれば、フロントカバー3の一部にターンテーブル1が挿通移動できるような開口部3bを設け、さらにフロントカバー3の一部にリブ3cを設けることにより、ユーザーは、ディスク4をリブ3cに載置し、再生あるいは記録開始操作を行うだけで、ディスク4の中心がターンテーブル1の中心に合うように自動的に移送され、ディスク4の装着が容易に行うことができる。
【0065】
また、ディスク着脱時に、クランプベース10をフロントカバー3のディスク載置面3aの鉛直方向への投影面上に重ならない位置に退避させることで、クランプベース10が障害物にならずに容易にディスクを装置に着脱することができる。
【0066】
また、クランプベース10を光ピックアップ2の移動方向に対して直交方向から移動させる方式にすることで、ディスク装置における光ピックアップの移動方向の外形寸法を小さくできる。
【0067】
また、ディスク装着時、クランプベース10を図7に示すクランプ位置まで移動させてから、開閉部材9を図8に示す位置へ移動させて開口部3bを開く構成とし、またディスク取り出し時、開閉部材9で開口部3bを閉じてから、クランプベース10を待機位置へ移動させる構成としたので、ディスク着脱状態、記録再生状態、およびディスク着脱状態と記録再生状態との間の動作中において、ターンテーブル1などの内部メカニズムを常に覆うことができる。これにより、ディスク4をディスク装置へ着脱させる際、障害物がないので、容易に着脱させることができる。また、ディスク4の着脱の際、ディスク4がターンテーブル1や光ピックアップ2に接触するのを防ぐことができ、ターンテーブル1や光ピックアップ2やディスク4を保護することができる。また、装置正面(ユーザー側)からは見えない状態にすることができ、外観を良くすることができる。
【0068】
すなわち、開閉部材9を設けることで、ディスク装着前の状態においてフロントカバー3内に配されたトラバースベース5などのメカニズムが外部から目視できないようにすることができ、美観・品格を向上させることができる。また、図3に示す状態の時、開閉部材9によって、トラバースベース5を覆い隠すことができるので、トラバースベース5に配されている部品を外的要因から保護することができる。特に、光ピックアップ2が埃などに弱いことを考えると、開閉部材9を設けることで装置内部への埃などの侵入を防ぎ、光ピックアップ2などへの埃の付着を防止あるいは低減することができる。
【0069】
また、開閉部材9およびクランプベース10の表面(ディスク載置面側)は、ディスク載置面3aと同色、同材料、同処理などを施してもよく、これにより開閉部材9が第1の位置にある時、ディスク載置面3aとの一体感を強調することができ、品格を向上させることができる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、クランプベース10がクランプ位置まで移動が完了してから、開閉部材9を開く動作を開始させる構成としたが、クランプペース10がクランプ位置に到達する前に、開閉部材9を開く動作を開始させる構成としてもよい。
【0071】
例えば、図3に示す状態からクランプベース10を矢印B方向へ移動を開始させ、図10に示すようにクランプベース10の一部が、投影面上、開閉部材9の一部と重なる位置までクランプベース10が移動された時に、開閉部材9の移動(矢印E方向)を開始させる。開閉部材9とクランプベース10は、ほぼ同速度で矢印E方向へスライドされる。クランプベース10がクランプ位置へ到達した時、クランプベース10はスライド動作が停止されるが、開閉部材9はそのままスライド動作を継続し、図8に示す第2の位置まで移動される。
【0072】
また、上記と逆手順にて動作させることで、ディスク4を取り出し可能な状態へ移行させることができる。すなわち、図8に示す状態から、開閉部材9を矢印F方向へスライドを開始させ、開閉部材9の一部がクランプベース10の一部と、投影面上、重なる位置まで移動された時、クランプベース10の移動(矢印F方向)を開始させる。そして、開閉部材9とクランプベース10を、ほぼ同じ速度で矢印F方向へスライドさせ、開閉部材9が開口部3bを閉じる位置(図3の位置)へ到達した時に、開閉部材9のスライド動作を停止させる。クランプベース10は、さらにスライド動作を継続し、待機位置(図3の位置)へ到達した時にスライド動作を停止させる。
【0073】
このように動作させることで、ディスク4の着脱に要する時間を短縮させることができる。また、開閉部材9及びクランプベース10の移動の途中において、図10に示すようにクランプベース10の一部と開閉部材9の一部とをオーバーラップさせているので、開口部3b内を外部から目視できないようにできる。
【0074】
また、本実施の形態は、ケースに収納されているディスク(以降カートリッジと呼ぶ)を装着する場合についても適用できる。カートリッジを装着した場合の動作で、ディスクを装着した場合と異なる点は、図示しないが、トラバースが記録再生位置に移動される前に、カートリッジのシャッターを開け、また、トラバースが待機位置に移動された後に、シャッターを閉じるシャッターの開閉機構が必要である点である。
【0075】
また、本実施の形態は、ディスクのみを記録再生できるディスク専用のディスク装置にも、カートリッジのみを記録再生できるディスク装置にも、ディスクとカートリッジの両方を記録再生できるディスク装置にも適用することが可能である。
【0076】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかるディスク装置は、ディスクを装着しやすく、トラバース部を保護し、外観を良くすることが可能であり、DVDプレーヤーやDVDレコーダーなどの据え置き型ディスク装置や、CDプレーヤー、ディスクドライブを備えたコンピュータなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1におけるディスク装置を適用したディスクシステムの外観を示す斜視図
【図2】実施の形態1におけるディスクシステムの外観を示す斜視図
【図3】実施の形態1におけるディスク装置のディスク装着状態の平面図
【図4】実施の形態1におけるディスク装置のディスク装着状態の側面断面図
【図5】実施の形態1におけるクランプベースの上側の支持部を示す拡大断面図
【図6】実施の形態1におけるクランプベースの下側の支持部を示す拡大断面図
【図7】実施の形態1におけるディスク装置のクランプベースのクランプ位置移動完了状態の平面図
【図8】実施の形態1におけるディスク装置のディスクのディスククランプ状態の平面図
【図9】実施の形態1におけるディスク装置のディスクのディスククランプ状態の側面断面図
【図10】実施の形態1におけるディスク装置の他の動作例を示す平面図
【符号の説明】
【0079】
1 ターンテーブル
2 光ピックアップ
3 フロントカバー
3a ディスク載置面
3b 開口部
4 ディスク
5 トラバースベース
9 開閉部材
10 クランプベース
11 クランパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに情報信号を記録/再生可能なディスク装置であって、
前記ディスクに対して情報信号を記録/再生させる光ピックアップと、前記光ピックアップが前記ディスクに対して情報信号を記録/再生可能な位置で前記ディスクを回転させるターンテーブルとが搭載され、記録再生位置と待機位置との間を移動可能なトラバースベースと、
前記トラバースベースが記録再生位置にある時の前記ターンテーブルのディスク保持部の位置と、前記トラバースベースが待機位置にある時の前記ターンテーブルのディスク保持部の位置との間に固定配置され、かつ、前記ディスクを載置可能なディスク載置面と、前記トラバースベースを待機位置と記録再生位置との間で移動可能なように前記ディスク載置面に形成されている開口部とを備えたフロントカバーと、
前記ディスク載置面に平行でかつ前記ディスク載置面に重ならない第1の位置と前記開口部に重なる第2の位置との間を移動可能に構成されるとともに、前記第2の位置にある時に前記開口部を覆うことが可能な大きさを有し、前記ディスクを前記ターンテーブルに保持させるクランパを備えたクランプベースと、
前記フロントカバーの裏側に移動自在に配され、移動されることで前記開口部を開閉可能な開閉部材とを備え、
前記ディスクをクランプさせる際は、前記クランプベースを待機位置から前記開口部と重なる位置へ移動させ、次に前記開閉部材を前記開口部を閉じる位置から開く位置へ移動させ、次に前記トラバースベースを前記待機位置から前記記録再生位置へ移動させ、前記ターンテーブルと前記クランパとで前記ディスクをクランプさせることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記ディスクの着脱状態から記録再生状態へ移行させる際は、前記クランプベースを、前記開閉部材が開くことによって生じる開口部を覆う位置に移動させ、
記録再生状態から前記ディスクの着脱状態へ移行させる際には、前記クランプ部材を、前記開閉部材が閉じて前記開口部が無くなるまで前記開口部を覆う位置に留め、その後、待機位置へ移動させるように構成されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記開閉部材は、前記ターンテーブルと対向する部分に凹部が設けられている請求項1記載のディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−114204(P2006−114204A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268826(P2005−268826)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】