説明

ディスク装置

【課題】 カートリッジのシャッタを自動的に開閉動作できると共に奥行き寸法の小型化に好適な「ディスク装置」を提供すること。
【解決手段】 トレイ10を移動可能に支持するトレイガイド9と、このトレイガイド9を本体装置3に対して前後方向へ移動させる第1の駆動手段と、トレイガイド9の移動に伴ってトレイ10をトレイガイド9に対して相対的に移動させる第2の駆動手段と、カートリッジ11のシャッタ板を開閉動作するシャッタ開閉部材18とを備え、このシャッタ開閉部材18をトレイガイド9にスライド可能に支持すると共に、本体装置3の構成部材であるトップシャーシ2の側面に規定孔2aを形成し、この規定孔2a内にシャッタ開閉部材18の側面に形成した突起18a,18bを移動可能に挿入することにより、トレイ10に載置されたカートリッジ11とシャッタ開閉部材18との相対的な移動量を規定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状記録媒体をケース内に収納したカートリッジをトレイによって記録再生位置へ搬送するディスク装置に係り、特に、カートリッジのケースに形成された開口を塞ぐシャッタの開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置に装填されるディスク状記録媒体が大容量DVDのように高密度記録を行う光ディスクである場合、光ディスクが塵埃等によって汚損されるのを防止するために、光ディスクをケース内に収納したカートリッジが使用されるようになっている。通常、カートリッジのケースには開口が形成されると共に、この開口を開閉可能なシャッタが付設されており、不使用時は開口をシャッタで閉じて内部の光ディスクを塵埃等から保護し、使用時はシャッタを開放して開口から光ディスクを露出させることにより、開口を介して内部の光ディスクに情報を記録および/または再生するようになっている。
【0003】
従来より、かかるカートリッジをトレイによって記録再生位置へ引き込み可能となし、トレイの引き込み動作中に本体装置側に配設されたシャッタ開閉機構を相対的に移動させることにより、カートリッジのシャッタを開放して開口から光ディスクを露出させるようにしたディスク装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このトレイの後端部にはモータを含む駆動機構が搭載されており、トレイは駆動機構によって引き出し位置と引き込み位置との間を往復移動するようになっている。本体装置の内部にはトレイの移動に伴って相対的に前後進するスライダが配設されており、このスライダに取り付けられたシャッタ開閉機構には開閉ベースやラックが設けられている。また、トレイにはカムと突当てが設けられており、カムはシャッタ開閉機構をカートリッジから離間させるように作用し、それとは逆に突当てはシャッタ開閉機構をカートリッジに近接させるように作用している。
【0004】
このように概略構成されたディスク装置では、引き出し位置にあるトレイにカートリッジを搭載してトレイを本体装置の内部に引き込むと、スライダに取り付けられたシャッタ開閉機構がトレイに対して相対的に前進するため、シャッタ開閉機構のラックがトレイに搭載されたカートリッジの外側を摺動する。その際、トレイに設けられた突当てがシャッタ開閉機構の開閉ベースを背面側から押圧し、ラックがカートリッジに収納された内側シェルに噛合してこれを回動するため、内側シェルの回動に伴ってシャッタが開口を開放動作する。そして、シャッタの開放動作後にトレイがさらに本体装置内に引き込まれると、トレイに設けられたカムによってシャッタ開閉機構がカートリッジから離間され、カートリッジはこの状態のままトレイと共に記録再生位置まで移動し、この記録再生位置で開口から露出する光ディスクに光ピックアップによって情報が記録および/または再生される。
【特許文献1】特開2003−109282号公報(第7−9頁、図36)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来のディスク装置では、本体装置内に配設されたシャッタ開閉機構がトレイに対して相対的に移動するため、トレイの引き込み動作時にカートリッジのシャッタを自動的に開放することができ、また、トレイを移動する駆動機構がトレイの後端部に搭載されており、この駆動機構を含むトレイの後端部が引き出し位置で本体装置の内部に支持されているため、引き出し位置で本体装置の前面から突出するトレイを安定的に支持することができる。
【0006】
しかし、このようなトレイ方式によって外形寸法の大きなカートリッジを搬送する場合、トレイを引き出し位置で少なくともカートリッジの外形よりも大きく突出させる必要があるため、それに伴ってトレイの移動量(開閉ストローク)が必然的に大きくなる。したがって、前述した従来技術においては、カートリッジの使用によってトレイの開閉ストロークが長くなった分、トレイの奥行き寸法を長くしてトレイを安定的に支持するようにしているが、奥行き寸法の長いトレイを引き込み位置で本体装置の内部に収納しなければならないため、ディスク装置の奥行き寸法が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、カートリッジのシャッタを自動的に開閉動作できると共に奥行き寸法の小型化に好適なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレイをトレイガイドによって移動可能に支持するという2重スライド機構を採用し、このトレイガイドにシャッタ開閉部材をスライド可能に支持すると共に、本体装置にトレイ上のカートリッジとシャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定する規定部を設けることとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスク装置は、トレイをトレイガイドによって移動可能に支持するという2重スライド機構を採用したので、トレイを安定的に支持しつつ装置全体の奥行き寸法を小型化することができ、しかも、このトレイガイドにシャッタ開閉部材をスライド可能に支持し、本体装置にトレイ上のカートリッジとシャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定する規定部を設けたので、シャッタ開閉部材の少ない移動量でカートリッジのシャッタを確実に開閉動作することができ、奥行き寸法の小型化を図りつつシャッタの開閉機構の構造を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、カートリッジを載置したトレイが本体装置に対して出入可能であり、前記カートリッジがディスク状記録媒体を収納するケースと該ケースに形成された開口を開閉可能なシャッタとを有し、前記トレイの引き出し位置で前記シャッタが閉じられると共に、前記トレイの引き込み位置で前記シャッタが開放されるようになっているディスク装置において、前記トレイを移動可能に支持するトレイガイドと、このトレイガイドを前記本体装置に対して前後方向へ移動させる第1の駆動手段と、前記トレイガイドの移動に伴って前記トレイを該トレイガイドに対して相対的に移動させる第2の駆動手段と、前記シャッタを開閉するシャッタ開閉部材とを備え、前記シャッタ開閉部材を前記トレイガイドにスライド可能に支持すると共に、前記本体装置に前記トレイに載置された前記カートリッジと前記シャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定する規定部を設けた。
【0011】
このように構成されたディスク装置では、トレイをトレイガイドによって移動可能に支持するという2重スライド機構を採用したので、トレイを安定的に支持しつつ装置全体の奥行き寸法を小型化することができ、また、このトレイガイドにシャッタ開閉部材をスライド可能に支持すると共に、本体装置にトレイ上のカートリッジとシャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定する規定部を設けたので、シャッタ開閉部材の少ない移動量でカートリッジのシャッタを確実に開閉動作することができ、奥行き寸法の小型化を図りつつシャッタの開閉機構の構造を簡略化することができる。
【0012】
上記の構成において、前記規定部は前記カートリッジと前記シャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定するものであればその形状等は限定されないが、前記規定部が前記本体装置の側面に形成された前後方向へ延びる切り欠きであると共に、前記トレイガイドの側面に前記切り欠きと重なるガイド孔が形成されており、前記シャッタ開閉部材に設けた突部が前記ガイド孔を挿通して前記切り欠き内に達していることが好ましい。
【実施例】
【0013】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係る車載用ディスク装置のトレイ引き出し状態を示す平面図、図2は該車載用ディスク装置のカートリッジ載置状態を示す斜視図、図3は該車載用ディスク装置に備えられる2重スライド機構のトレイ引き出し状態を示す裏面図、図4は該2重スライド機構のトレイ引き込み状態を示す裏面図、図5は該車載用ディスク装置のトレイ引き出し状態を示す斜視図、図6は該車載用ディスク装置のトレイ引き込み途中状態を示す斜視図、図7は該車載用ディスク装置のトレイ引き込み完了状態を示す斜視図、図8は該車載用ディスク装置に使用されるカートリッジの分解斜視図である。
【0014】
本実施例に係る車載用ディスク装置は金属板製のボトムシャーシ1とトップシャーシ2を備えており、これらボトムシャーシ1とトップシャーシ2はねじ止め等により一体化されて本体装置3を形成している。ボトムシャーシ1の後端側にはピックアップシャーシ4が配設されており(図5参照)、このピックアップシャーシ4にはターンテーブル5や光ピックアップ6等が搭載されている。また、トップシャーシ2の後端側にはクランプアーム7が支持されており、このクランプアーム7の前端部にはターンテーブル5に対向するクランパ8が回転可能に支持されている(図1参照)。
【0015】
本体装置3の内部には金属板製のトレイガイド9が配置されており、このトレイガイド9の上面に突設された一対の9b,9bがトップシャーシ2に形成された長孔2b,2b内に摺動自在に挿入されるなどして、トレイガイド9は本体装置3の前後方向(矢印X1−X2方向)へ移動自在に支持されている。トレイガイド9には合成樹脂製のトレイ10が矢印X1−X2方向へ移動可能に支持されており、これらトレイガイド9とトレイ10は後述する2重スライド機構によって本体装置3に支持されている。このトレイ10には中央から後端面にかけて切り欠き部10aが形成されると共に、切り欠き部10aを横切るように3つの載置面10b,10c,10dが形成されている。これら載置面10b,10c,10dは外側から内側に向かって順次低くなる段付形状となっており、各載置面10b,10c,10dに対応する3種類のディスク状記録媒体がトレイ10に搭載されるようになっている。すなわち、最も内側の載置面10bに直径8cmmの小径ディスクが搭載され、その外側の載置面10cに直径12cmmの大径ディスクが搭載され、最も外側の載置面10dにはカートリッジ11が搭載されるようになっている。
【0016】
前述した2重スライド機構について説明すると、図3と図4に示すように、ボトムシャーシ1の前端側にはローディングモータ12と減速ギア列13が配設されており、このローディングモータ12の回転軸に取り付けられたギア12aは減速ギア列13の最初段のギア13aに噛合し、減速ギア列13の最終段のギア13bはトレイガイド9に固定された第1のラック14に噛合している。これによりトレイガイド9はローディングモータ12を駆動源として本体装置3の前後方向へ移動し、これらローディングモータ12と減速ギア列13および第1のラック14によって第1の駆動手段が構成されている。また、トレイガイド9には伝達ギア列15が配設されており、伝達ギア列15の奥側のギア15aはボトムシャーシ1の内側面に固定された第2のラック16に噛合し、伝達ギア列15の手前側のギア15bはトレイ10の底面に固定された第3のラック17に噛合している。これら伝達ギア列15と第2および第3のラック16,17は第2の駆動手段を構成するものであり、前述した第1の駆動手段によってトレイガイド9が矢印X1−X2方向へ移動すると、その移動力が第2の駆動手段を介してトレイ10に伝達される。
【0017】
すなわち、図3に示すようにトレイ10が引き出し位置にあるとき、減速ギア列13の最終段のギア13bは第1のラック14の後端側に噛合しており、また、伝達ギア列15の奥側のギア15aは第2のラック16の前端側に噛合すると共に、伝達ギア列15の手前側のギア15bは第3のラック17の後端側に噛合している。この状態でローディングモータ12が同図の時計回り方向へ回転駆動すると、その回転が減速ギア列13で減速されて最終段のギア13bに伝達されるため、このギア13bに噛合する第1のラック14と共にトレイガイド9全体が矢印X2方向へ移動し始める。これに伴って伝達ギア列15の奥側のギア15aがボトムシャーシ1に固定された第2のラック16に噛合しながら回転し、その回転が伝達ギア列15の手前側のギア15bに伝達されるため、このギア15bに噛合する第3のラック17と共にトレイ10全体が矢印X2方向へ移動する。このようにトレイガイド9の移動に伴ってトレイ10がトレイガイド9に対して相対的に移動し、最終的には、図4に示すようにトレイ10が引き込み位置まで移動する。この間、伝達ギア列15の奥側のギア15aと手前側のギア15bは等速で回転するため、トレイ10はトレイガイド9がX2方向へ移動した分だけ同方向へ移動することになり、結果的にトレイ10はトレイガイド9の2倍移動する。なお、トレイ10を引き込み位置から引き出し位置へ移動する場合は上記と逆の動作が行われ、この場合もトレイ10はトレイガイド9の2倍移動することになる。
【0018】
図2に示すように、トップシャーシ2の一側面には矢印X1−X2方向へ延びる規定孔2aが形成されており、この規定孔2aと対向するトレイガイド9の一側面には同じく矢印X1−X2方向へ延びるガイド孔9aが形成されている。トレイガイド9の一側面の内側には合成樹脂製のシャッタ開閉部材18が配置されており、このシャッタ開閉部材18の外側面には一対の突起18a,18bが形成されている。これら突起18a,18bはガイド孔9aを挿通して規定孔2aに達しており、両突起18a,18bはガイド孔9aと規定孔2a内を移動可能である。図5〜図7に示すように、シャッタ開閉部材18には中央のラック部18cを挟んだ両端部に係合突起18d,18eが形成されており、前端側の係合突起18dは二股状に形成されて弾性変形しやすくなっている。後述するように、トレイ10にカートリッジ11を載置して記録再生位置まで搬送するとき、シャッタ開閉部材18はトレイ10の引き込み動作に伴ってカートリッジ11のシャッタ板を自動的に開放するようになっている。
【0019】
このカートリッジ11の構成について説明すると、図8に示すように、カートリッジ11は互いに接合・一体化された上ケースC1と下ケースC2を備えており、これら上ケースC1と下ケースC2の内部に直径12cmmの光ディスク20と一対のシャッタ板21と回転リング22およびロックレバー23が収納されている。下ケースC2には光ディスク20の一部を露出可能な開口19aが形成されており、この開口19aは一対のシャッタ板21によって開閉されるようになっている。これらシャッタ板21には軸孔21aとカム孔21bが形成されており、各軸孔21aは下ケースC2の内底面に設けられたピン19bに挿入されている。回転リング22の内周面にはシャッタ板21のカム孔21bに係合する一対のピン22aが設けられており、回転リング22の回転に伴ってピン22aがカム孔21b内を移動することにより、両シャッタ板21が軸孔21aを中心として互いに接離する方向へ回転する。また、回転リング22の外周面には円周方向に沿って歯部22bが形成されると共に、この歯部22bを挟んだ位置にロック溝22cと係合溝22dが形成されている。ロックレバー23は下ケースC2の後端側の隅部に回転可能に支持されており、その両端に係合突部23aと駆動部23bが形成されている。ロックレバー23は図示せぬばねによって一方向へ回転付勢されており、この付勢力によって係合突部23aがロック溝22cに係止されることにより、回転リング22の回転動作がロックされるようになっている。なお、下ケースC2の一側面には内部に連通する凹部19cが形成されており、この凹部19c内に回転リング22の係合溝22dやロックレバー23の駆動部23bが臨出している。
【0020】
次に、このように構成された車載用ディスク装置において、カートリッジ11をトレイ10によって搬送する際のシャッタ開閉動作について主に図5〜図7を参照しつつ説明する。なお、これら図5〜図7ではトレイガイド9の一部やトップシャーシ2を図示省略してあり、また、カートリッジ11は上ケースC1を取り除いて示してある。
【0021】
まず、図示せぬイジェクト釦を操作すると、図1に示すようにトレイ10が本体装置3の前方の引き出し位置まで突出するため、図5に示すように、引き出し位置にあるトレイ10の載置面10dにカートリッジ11を載置することができる。この場合、カートリッジ11の内部でロックレバー23の係合突部23aがロック溝22cに係止されているため、回転リング22の回転動作はロックされており、下ケースC2に形成された開口19aは両シャッタ板21によって閉じられている。また、このようにトレイ10が引き出し位置にあるとき、トレイガイド9は本体装置3に対して最も前方位置まで移動しているため(図2と図3参照)、シャッタ開閉部材18の奥側の突起18bがガイド孔9aの後端面に押圧されることにより、手前側の突起18aがトップシャーシ2に形成された規定孔2aの前端面に当接する。したがって、トレイ10の引き出し位置で両突起18a,18bが規定孔2aの前端面とガイド孔9aの後端面とに挟まれた状態となるため、シャッタ開閉部材18はトップシャーシ2とトレイガイド9に対して動くことはない。また、トレイ10が引き出し位置にあるとき、このトレイ10の後端側は前後方向に所定の長さで延びるトレイガイド9に支持されているため、トレイ10が本体装置3から全体的に突出しても、トレイガイド9を介してトレイ10は本体装置3に安定して支持された状態となっている。
【0022】
この状態で2重スライド機構の駆動源であるローディングモータ12が回転駆動されると、前述したように、第1の駆動手段の減速ギア列13と第1のラック14によってトレイガイド9が本体装置3の後方(矢印X2方向)へ移動し始め、それに伴って第2の駆動手段の伝達ギア列15と第2および第3のラック16,17によりトレイ10も矢印X2方向へ移動し始める。この間、本体装置3に対してトレイ10はトレイガイド9の2倍の距離で矢印X2方向へ移動し、かかるトレイガイド9とトレイ10の移動量の差がシャッタ開閉部材18とカートリッジ11の動きの差となるため、シャッタ開閉部材18の前端側の係合突起18dがカートリッジ11の後端隅部から凹部19c内へ入り込み、係合突起18dが凹部19c内に臨出するロックレバー23の駆動部23bに当接すると、トレイガイド9に支持されたシャッタ開閉部材18がカートリッジ11に押されるため、シャッタ開閉部材18の両突起18a,18bが規定孔2a内を矢印X2方向へ移動する。
【0023】
そして、図6に示すように、奥側の突起18bが規定孔2aの後端面に当接すると、シャッタ開閉部材18はそれ以上矢印X2方向へ動かなくなるため、この時点からトレイガイド9とトレイ10およびカートリッジ11のみが矢印X2方向へ移動し、トレイ10が図7に示す引き込み位置まで搬送される間に、シャッタ開閉部材18がカートリッジ11の凹部19c内へ徐々に入り込んでいく。これにより、まずシャッタ開閉部材18の係合突起18dがロックレバー23の駆動部23bを押圧し、係合突部23aがロック溝22cから外れて回転リング22のロック状態が解除され、次いで係合突起18dが係合溝22dに係合して回転リング22を矢印A方向へ回転させるため、シャッタ開閉部材18のラック部18cが回転リング22の歯部22bに噛合する。さらにシャッタ開閉部材18が凹部19c内へ入り込むと、ラック部18cと歯部22bの噛合によって回転リング22が矢印A方向へ大きく回転し、それに伴って両シャッタ板21が互いに離れる方向へ回転して開口19aを開放するため、カートリッジ11内に収納された光ディスク20がこの開口19aから露出する。
【0024】
このように2重スライド機構によってトレイ10が引き込み位置まで搬送されると、図7に示すようにトレイ10は本体装置3の内部に完全に没入した状態となり、トレイ10上に載置されたカートリッジ11は記録再生位置に保持される。詳細な機構説明は省略するが、この記録再生位置において、ピックアップシャーシ4によってターンテーブル5を上昇動作させることにより、カートリッジ11内の光ディスク20が開口19aとトレイ10の切り欠き部10aを通って上昇したターンテーブル5に吸着される。そして、この状態でターンテーブル5によって光ディスク20を回転駆動すると共に、光ピックアップ6を光ディスク20の半径方向へ移送することにより、光ディスク20に情報を記録および/または再生することができる。
【0025】
また、再生等が完了したカートリッジ11を本体装置3の外部へ排出する場合は、ローディングモータ12が逆方向へ回転して上記と逆のトレイ10の引き出し動作が行われ、このトレイ10の引き出し動作に伴ってシャッタ開閉部材18がカートリッジ11の両シャッタ板21を自動的に閉塞動作する。
【0026】
なお、カートリッジ11以外の小径ディスクや大径ディスクを使用する場合は、本体装置3の前方へ引き出されたトレイ10の載置面10b,10cに小径ディスクや大径ディスクを選択的に載置した後、前述した2重スライド機構によってトレイ11の引き込み動作を行えば良い。この場合もシャッタ開閉部材18はトレイガイド9とトレイ10に対してカートリッジ11の使用時と同様に動作するが、トレイ10上にカートリッジ11が載置されていないため、シャッタの開閉動作には関与しない。
【0027】
以上説明したように、本実施例に係る車載用ディスク装置では、トレイ10をトレイガイド9によって本体装置3に移動可能に支持するという2重スライド機構を採用したので、トレイ10を安定的に支持しつつ装置全体の奥行き寸法を小型化することができる。また、このトレイガイド9のガイド孔9aにシャッタ開閉部材18の突起18a,18bをスライド可能に挿入すると共に、これら突起18a,18bをトップシャーシ2の側面に形成した規定孔2a内に移動可能に配置することにより、トップシャーシ2上のカートリッジ11とシャッタ開閉部材18との相対的な移動量を規定するようにしたので、シャッタ開閉部材18の少ない移動量でカートリッジ11のシャッタ板21を確実に開閉動作することができ、奥行き寸法の小型化を図りつつシャッタの開閉機構の構造を簡略化することができる。
【0028】
また、シャッタ開閉部材を例えば本体装置3に固定して設けた場合、このシャッタ開閉部材をカートリッジ11の凹部19c内に入り込ませるためには、トレイガイド9のガイド孔9aを前後方向に延長させてシャッタ開閉部材をトレイガイド9に対して相対的に長い区間で移動させる必要があり、トレイガイド9の強度低下が懸念されるが、本実施例のようにトレイガイド9にシャッタ開閉部材18を前後方向に移動可能に設けることでガイド孔9aの範囲を短くすることができ、トレイガイド9の強度低下を防ぐことが可能となる。
【0029】
なお、上記実施例では、ボトムシャーシ1とトップシャーシ2によって本体装置3を構成し、このトップシャーシ2の一側面に規定孔2aを形成した場合について説明したが、このような規定孔をトップシャーシ2の代わりにボトムシャーシ1あるいはトップシャーシ2やボトムシャーシ1に固定された固定部材等に形成することも可能であり、要は、本体装置3を構成する部材にカートリッジ11とシャッタ開閉部材18との相対的な移動量を規定する規定部が設けられていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例に係る車載用ディスク装置のトレイ引き出し状態を示す平面図である。
【図2】該車載用ディスク装置のカートリッジ載置状態を示す斜視図である。
【図3】該車載用ディスク装置に備えられる2重スライド機構のトレイ引き出し状態を示す裏面図である。
【図4】該2重スライド機構のトレイ引き込み状態を示す裏面図である。
【図5】該車載用ディスク装置のトレイ引き出し状態を示す斜視図である。
【図6】該車載用ディスク装置のトレイ引き込み途中状態を示す斜視図である。
【図7】該車載用ディスク装置のトレイ引き込み完了状態を示す斜視図である。
【図8】該車載用ディスク装置に使用されるカートリッジの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ボトムシャーシ
2 トップシャーシ
2a 規定孔(規定部)
3 本体装置
9 トレイガイド
9a ガイド孔
10 トレイ
10a 切り欠き部
10b,10c,10d 載置面
11 カートリッジ
12 ローディングモータ
13 減速ギア列
14 第1のラック
15 伝達ギア列
16 第2のラック
17 第3のラック
18 シャッタ開閉部材
18a,18b 突起
18c ラック部
18d,18e 係合突起
20 光ディスク
21 シャッタ板
22 回転リング
23 ロックレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジを載置したトレイが本体装置に対して出入可能であり、前記カートリッジがディスク状記録媒体を収納するケースと該ケースに形成された開口を開閉可能なシャッタとを有し、前記トレイの引き出し位置で前記シャッタが閉じられると共に、前記トレイの引き込み位置で前記シャッタが開放されるようになっているディスク装置において、
前記トレイを移動可能に支持するトレイガイドと、このトレイガイドを前記本体装置に対して前後方向へ移動させる第1の駆動手段と、前記トレイガイドの移動に伴って前記トレイを該トレイガイドに対して相対的に移動させる第2の駆動手段と、前記シャッタを開閉するシャッタ開閉部材とを備え、前記シャッタ開閉部材を前記トレイガイドにスライド可能に支持すると共に、前記本体装置に前記トレイに載置された前記カートリッジと前記シャッタ開閉部材との相対的な移動量を規定する規定部を設けたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項2の記載において、前記規定部が前記本体装置の側面に形成された前後方向へ延びる切り欠きであると共に、前記トレイガイドの側面に前記切り欠きと重なるガイド孔が形成されており、前記シャッタ開閉部材に設けた突部が前記ガイド孔を挿通して前記切り欠き内に達していることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−302469(P2006−302469A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126504(P2005−126504)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】