説明

ディスク装置

【課題】埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復し、製品寿命を延ばしたディスク装置を提供する。
【解決手段】回復モードスイッチ33が押下されると、又は、オープンスイッチ31が押下されると、制御部20は、モータ4に駆動電圧を印加し、トレイ3の開閉動作を開始する。制御部20は、一定時間以内にスイッチ21がオフしたか否かを判定する。ここで、一定時間以内にスイッチ21がオフされなかったということは、トレイ3の開閉動作が鈍くなっているか、トレイ3の開閉動作が止まっていることを意味する。一定時間以内にスイッチ21がオフしなかったと判定すると、制御部20は、モータ4に印加する駆動電圧を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを載置するためのトレイを開閉するトレイ開閉機構を有するディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)には、ディスクに対しデータの記録又は読取を行うディスク装置が設けられている。ディスク装置は、ディスクを載置するためのトレイを開閉するトレイ開閉機構を有する。ディスク装置は、例えば光ディスクドライブ装置である。
【0003】
従来の光ディスクドライブ装置におけるトレイ開閉機構の一例を以下説明する。
図8は、トレイが閉じた状態における従来の光ディスクドライブ装置の正面図である。また、図9は、トレイが開いた状態における従来の光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図である。
【0004】
図8に示すように、従来の光ディスクドライブ装置90は、前面に開口部が形成された筐体1と、ディスクを載置するためのトレイ3と、を備える。
そして、その開口部を通して筐体1の前後方向にトレイ3を移動させて、トレイ3を開閉するために、光ディスクドライブ装置90は、ラック3a、2個のギア8、9、ベルト6、及び2個のプーリー5、7を移動手段として用いている(図9参照)。詳述すると、光ディスクドライブ装置90は、シャーシ2に取り付けられたモータ4と、モータ4の回転軸に圧入等によって直接取り付けられ、モータ4の軸回転と共に回転するプーリー5と、プーリー5からの回転動力を伝達するベルト6と、ベルト6からの回転動力を伝達するプーリー7と、プーリー7からの回転動力を伝達するギア8と、ギア8からの回転動力を伝達するギア9と、ギア9の回転動力から水平動力を得るラック3aと、ラック3aの水平動力により筐体1内外に水平駆動されるトレイ3と、を備える。
【0005】
プーリー7、ギア8、及びギア9は、それぞれ、ネジ10、ネジ11、及びネジ12によってシャーシ2上のボスに取り付けられている。また、ラック3aは、トレイ3の一部である。そして、トレイ3を移動しやすくするために、ラック3aにはグリスが塗布される。
一方、特許文献1に示すようなドライブ装置が提案されている。
【特許文献1】特開2003−123366公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、長期間トレイ3が開閉されなかった場合等、埃などが移動手段(特にラック3a)に付着し、トレイ3の開閉動作が鈍くなったり、最悪、トレイ3が開閉しなくなったりすることがあった。
そのため、埃などが移動手段に付着することが、光ディスクドライブ装置90の製品寿命を縮める原因となっていた。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復し、製品寿命を延ばしたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のディスク装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0009】
(1)前面に開口部が形成された筐体と、
ディスクを載置するためのトレイと、
前記開口部を通して前記筐体の前後方向に、前記トレイをモータによって移動させる移動手段と、
前記移動手段の前記モータに駆動電圧を印加し、前記トレイを開閉する電源制御手段と、を備えるディスク装置において、
前記トレイが開閉している間の開閉速度が予め定められた限界速度より遅いかどうかを検知する検知手段を備え、
前記電源制御手段は、
前記トレイを開くことが指示されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの開き動作を開始し、又は、前記トレイを閉じることが指示されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの閉じ動作を開始し、
前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、前記移動手段の前記モータに印加する駆動電圧を高くする。
【0010】
この構成において、トレイの開閉とは、トレイを開けること、トレイを閉めること、トレイを開けて閉めること、を含む。
トレイの開閉速度が限界速度より遅いことを検知手段が検知しなかった場合、トレイの開閉動作が正常であったとみなす。逆に、トレイの開閉速度が限界速度より遅いことを検知手段が検知した場合、埃などが移動手段に付着し、トレイの開閉動作が異常であるとみなす。
この構成においては、トレイの開閉速度が限界速度より遅い場合、電源制御手段は駆動電圧を高くする。駆動電圧を高くした場合、トレイの開閉動作は、駆動電圧を高くする前のトレイの開閉動作と比べ、力強くなる。
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置の製品寿命を延ばすことができる。
【0011】
(2)前記検知手段は、前記トレイの開き動作の開始から一定時間以内に前記トレイが開いたどうか、又は前記トレイの閉じ動作の開始から一定時間以内に前記トレイが閉じたどうか、を検知することにより、前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いかどうかを検知する。
【0012】
(3)前記トレイの開閉動作を回復する回復モードを指定するための操作手段を備え、
前記電源制御手段は、
前記操作手段によって前記回復モードが指定されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの開閉動作を開始し、
前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、前記移動手段の前記モータに印加する駆動電圧を高くする。
【0013】
この構成では、ユーザに回復モードを指定させる。電源制御手段は、この回復モードにおいて開閉動作を行う。そして、トレイの開閉速度が限界速度より遅い場合、電源制御手段は駆動電圧を高くする。
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置の製品寿命を延ばすことができる。
【0014】
(4)前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が所定回数に達するまで、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの前記開閉動作を繰り返す。
【0015】
上記(1)〜(3)において、トレイを強い力で開閉しているが、その開閉回数は1回である。しかし、1回でトレイの開閉動作が正常に回復しなくとも、複数回行えば正常に回復する場合も有り得る。
そこで、ここでは、トレイの開閉が所定回数に達するまで、開閉動作を繰り返す。
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、その開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置の製品寿命を一層延ばすことができる。
【0016】
(5)メッセージを表示する表示手段を備え、
前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、装置本体の修理が必要である旨を前記表示手段に表示する。
【0017】
回復モードが指定されて回復モードを実行しても、トレイの開閉動作が回復しない場合がある。この場合、光ディスクドライブ装置の修理(分解清掃を含む)が必要である。
この構成においては、光ディスクドライブ装置の修理が必要である旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、光ディスクドライブ装置の修理が必要であることを把握する。
以上より、光ディスクドライブ装置の修理が必要であることをユーザに把握させることができる。
【0018】
(6)前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知しない場合、前記トレイの開閉動作が回復した旨を前記表示手段に表示する。
【0019】
回復モードが指定されて回復モードを実行しても、トレイの開閉動作が回復したのかどうかが分かり難い。
この構成においては、トレイの開閉動作が回復した旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、トレイの開閉動作が回復したことを把握する。
これにより、光ディスクドライブ装置が故障したのではないかとユーザに誤解させてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、埃などが移動手段に付着してトレイの開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置の製品寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の正面図である。図2は、本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図である。図1は、トレイが閉じた状態であり、図2は、トレイが開いた状態である。
【0023】
図1に示すように、光ディスクドライブ装置100は、前面に開口部が形成された筐体1と、ディスクを載置するためのトレイ3と、トレイ3を開くことを指定するためのオープンスイッチ31と、トレイ3を閉めることを指定するためのクローズスイッチ32と、を備える。ディスクは、例えばDVDなどの光ディスクである。
これら各スイッチに対応する操作信号は、制御部20に伝送される。
【0024】
そして、上記の開口部を通して筐体1の前後方向にトレイ3を移動させて、トレイ3を開閉するために、光ディスクドライブ装置100は、ラック3a、2個のギア8、9、ベルト6、及び2個のプーリー5、7を移動手段として用いている(図2参照)。詳述すると、光ディスクドライブ装置100は、シャーシ2に取り付けられたモータ4と、モータ4の回転軸に圧入等によって直接取り付けられ、モータ4の軸回転と共に回転するプーリー5と、プーリー5からの回転動力を伝達するベルト6と、ベルト6からの回転動力を伝達するプーリー7と、プーリー7からの回転動力を伝達するギア8と、ギア8からの回転動力を伝達するギア9と、ギア9の回転動力から水平動力を得るラック3aと、ラック3aの水平動力により筐体1内外に水平駆動されるトレイ3と、装置本体各部を制御する制御部20と、を備える。
【0025】
プーリー7、ギア8、及びギア9は、それぞれ、ネジ10、ネジ11、及びネジ12によってシャーシ2上のボスに取り付けられている。また、ラック3aは、トレイ3の一部である。
【0026】
制御部20は、例えばマイクロコンピュータで構成される。制御部20は、制御プログラムを記憶するROMと、制御プログラムにより処理されるデータを展開するためのワークフィールドとしてのRAMと、時間を計測するタイマー回路と、を内蔵する。
なお、トレイ3が閉じた場合、制御部20は、筐体1とトレイ3との間に位置する。即ち、トレイ3は、制御部20の上方に来る。
【0027】
制御部20は、商用電源から光ディスクドライブ装置100各部の駆動電源を取り出して、光ディスクドライブ装置100の各部に供給する。制御部20は、モータ4に駆動電圧を印加する。これにより、制御部20は、開口部を通して筐体1の前後方向にトレイ3を移動させて、トレイ3を開閉する。
【0028】
しかしながら、従来の光ディスクドライブ装置において、長期間トレイ3が開閉されなかった場合等、埃などが移動手段(特にラック3a)に付着し、トレイ3の開閉動作が鈍くなったり、最悪、トレイ3が開閉しなくなったりすることがあった。
そのため、埃などが移動手段に付着することが、光ディスクドライブ装置90の製品寿命を縮める原因となっていた。
そこで、この実施形態では、以下のように構成している。
【0029】
図1に示すように、光ディスクドライブ装置100は、回復モードを指定するための回復モードスイッチ33を備える。表示部30は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。回復モードは、トレイ3の開閉動作を回復するモードである。そして、回復モードスイッチ33に対応する操作信号は、制御部20に伝送される。
図2に示すように、光ディスクドライブ装置100は、トレイ3が開いたこと、又はトレイ3が閉じたこと、を検知するスイッチ21、22を備える。
【0030】
スイッチ21は、トレイ3が開いて押下されなくなると、制御信号を制御部20に伝送する。スイッチ22は、トレイ3が閉まって押下されると、制御信号を制御部20に伝送する。
【0031】
制御部20は、スイッチ21、22からの制御信号により、トレイ3の開き動作の開始とトレイ3が開いたこととを検知する。また、制御部20は、スイッチ21、22からの制御信号により、トレイ3の閉じ動作の開始とトレイ3が閉じたこととを検知する。
【0032】
そして、内蔵するタイマー回路で時間を測定することにより、制御部20は、トレイ3の閉じ動作の開始から一定時間以内にトレイ3が閉じたことを検知する。また、内蔵するタイマー回路で時間を測定することにより、制御部20は、トレイ3の開き動作の開始から一定時間以内にトレイ3が開いたことを検知する。
【0033】
ここで、スイッチ21、22と制御部20が、本発明の「検知手段」に相当する。また、制御部20が、本発明の「電源制御手段」に相当する。また、モータ4、ラック3a、2個のギア8、9、ベルト6、及び2個のプーリー5、7が、本発明の「移動手段」に相当する。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、回復モードスイッチ33が押下された時、又は、オープンスイッチ31が押下された時の動作である。ここで、回復モードスイッチ33が押下された場合、制御部20は、回復モードを実行し、以下の処理を行う。
【0035】
回復モードスイッチ33が押下されると、又は、オープンスイッチ31が押下されると、制御部20は、モータ4に駆動電圧を印加し、トレイ3の開き動作(開閉動作)を開始する(S1)。併せて、制御部20は、内蔵するタイマー回路において、時間の計測を開始する(S2)。S2では、制御部20は、トレイ3の開き動作の開始から、時間を計測している。
なお、S2において、制御部20は、スイッチ22がオフした時に、時間の計測を開始しても構わない。
【0036】
次に、制御部20は、スイッチ21がオフしたか否かを判定する(S3、図2参照)。制御部20は、S2において時間の計測を開始してから、一定時間が経過したか否かを判定する(S4)。つまり、S3及びS4では、制御部20は、トレイ3の開閉速度が予め定められた限界速度より遅いかどうかを検知している。一定時間は、トレイ3の開閉動作が正常である場合に要する、トレイ3の開き動作の開始からトレイ3が開くまでの時間である。一定時間は、予め定められた時間であり、例えば3秒である。
【0037】
S3においてスイッチ21がオフしたと判定すると、つまり、一定時間以内にトレイ3が開いたと判定すると、制御部20は、クローズスイッチ32が押下されるのを待つ(S10)。ここで、制御部20が後述のS5を行うことなく一定時間以内にスイッチ21がオフした場合、トレイ3の開閉動作が正常であったことを意味する。
なお、回復モードスイッチ33が押下されて回復モードを開始した場合、制御部20は、S10をスルーし、トレイ3の閉じ動作(開閉動作)を開始する(S11)。
【0038】
一方、S4において一定時間以内にスイッチ21がオフしなかったと判定すると、制御部20は、モータ4に印加する駆動電圧を今回のみ高くする(S5)。例えば、制御部20は、現在印加している電圧の1,25倍の駆動電圧をモータ4に印加する。駆動電圧を高くした場合、トレイ3の開閉動作は、駆動電圧を高くする前のトレイ3の開閉動作と比べ、力強くなる。ここで、一定時間以内にスイッチ21がオフされなかったということは、トレイ3の開き動作(開閉動作)が鈍くなっているか、トレイ3の開き動作(開閉動作)が止まっていることを意味する。
なお、S5では、安全性を考慮し、高くする電圧のレベルには限界(例えば2倍まで)を定めておく。
【0039】
そして、制御部20は、S2において時間の計測を開始してから、所定時間が経過したか否かを判定する(S6)。所定時間は、予め定められた時間であり、例えば10秒である。所定時間は、これ以上トレイ3の開閉動作を行っても無駄であるとみなすことができる時間に定める。
【0040】
S6において所定時間が経過していなければ、制御部20は、S3に戻り処理を継続する。そして、制御部20は、S3においてスイッチ21がオフしたと判定すると、つまり、一定時間は経過したもののトレイ3が開いたと判定すると、制御部20は、S10又はS11に進み処理を継続する。
【0041】
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイ3の開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置100の製品寿命を延ばすことができる。
【0042】
逆に、S6において所定時間が経過していれば、制御部20は、トレイ3の開き動作を断念し、S10又はS11に進み処理を継続する。
【0043】
一方、S10においてクローズスイッチ32が押下されると、又はS10をスルーすると、制御部20は、モータ4に駆動電圧を印加し、トレイ3を閉める動作(開閉動作)を開始する(S11)。併せて、制御部20は、内蔵するタイマー回路において、時間の計測を開始する(S12)。S12では、制御部20は、トレイ3を閉める動作の開始から、時間を計測している。
なお、S12において制御部20は、スイッチ21がオンした時に、時間の計測を開始しても構わない。
【0044】
次に、制御部20は、スイッチ22がオンしたか否かを判定する(S13、図2参照)。制御部20は、S12において時間の計測を開始してから、一定時間が経過したか否かを判定する(S14)。S13及びS14は、S3及びS4と同様の判定である。この一定時間は、S4と同じ時間である。
【0045】
S13においてスイッチ22がオンしたと判定すると、つまり、一定時間以内にトレイ3が閉じたと判定すると、制御部20は、本処理を終了する。ここで、制御部20が後述のS15を行うことなく一定時間以内にスイッチ22がオンした場合、トレイ3の開閉動作が正常であったことを意味する。
【0046】
一方、S14において一定時間以内にスイッチ22がオンしなかったと判定すると、制御部20は、モータ4に印加する駆動電圧を今回のみ高くする(S15)。例えば、制御部20は、S5と同様に、現在印加している電圧の1,25倍の駆動電圧をモータ4に印加する。駆動電圧を高くした場合、トレイ3の開閉動作は、駆動電圧を高くする前のトレイ3の開閉動作と比べ、力強くなる。ここで、一定時間以内にスイッチ22がオンされなかったということは、トレイ3の閉じ動作(開閉動作)が鈍くなっているか、閉じ動作(開閉動作)が止まっていることを意味する。
なお、S15においても、安全性を考慮し、高くする電圧のレベルには限界を定めておく。
【0047】
そして、制御部20は、S12において時間の計測を開始してから、所定時間が経過したか否かを判定する(S16)。この所定時間は、S6と同じ時間である。
【0048】
S16において所定時間が経過していなければ、制御部20は、S13に戻り処理を継続する。そして、制御部20は、S13においてスイッチ22がオンしたと判定すると、つまり、一定時間は経過したもののトレイ3が閉じたと判定すると、制御部20は、本処理を終了する。
【0049】
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイ3の開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、軽微な場合はその開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置100の製品寿命を延ばすことができる。
【0050】
逆に、S16において所定時間が経過していれば、制御部20は、トレイ3の閉じ動作を断念し、本処理を終了する。
【0051】
以下、本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置について説明する。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図である。ここで、この実施形態の光ディスクドライブ装置の正面図は、本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置と同じである(図1参照)。
【0053】
図4の光ディスクドライブ装置200が図2の光ディスクドライブ装置100と構成において相違する点は、モータ4の軸回転をコード化するロータリーエンコーダ14を検知手段として用いている点である。
【0054】
ロータリーエンコーダ14は、モータ4の軸が回転する毎にパルスを制御部20に出力する。制御部20は、入力されたパルスを見て、トレイ3の開閉や開閉速度を検知する。詳述すると、制御部20は、予め定められたパルス数(規定数)がロータリーエンコーダ14から入力されると、トレイ3が閉じた、又はトレイ3が開いたと検知する。また、制御部20は、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの間隔を見て、トレイ3の開閉速度を測定する。
ここで、ロータリーエンコーダ14と制御部20が、本発明の「検知手段」に相当する。
【0055】
図5は、本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、図3におけるS2〜S4をS103及びS104に置き換え、さらに、図3におけるS12〜S14をS113及びS114に置き換えた動作であり、その他の処理(S1、S5、S6、S10、S11、S15、S16)については同じである。
【0056】
S1の後、制御部20は、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの数が、予め定められたパルス数(以下、規定数という)に達したか否かを判定する(S103)。
【0057】
規定数に達したと判定すると、つまり、トレイ3が開いたと検知すると、制御部20は、S10又はS11に進み処理を継続する。
【0058】
一方、規定数に達していないと判定すると、制御部20は、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの間隔が、予め定められた間隔より広いか否かを判定する(S104)。ここでは、トレイ3の開閉速度が予め定められた限界速度より遅くなっていることを検知している。
なお、トレイ3の開閉動作の開始直後と終了直前は、上記限界速度より遅くなる。そのため、S104では、トレイ3の開閉動作の開始直後と終了直前は、判定否定と扱う。
【0059】
S104において、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの間隔が、予め定められた間隔より狭いと判定すると、制御部20は、S103に戻り処理を継続する。
【0060】
逆に、S104において、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの間隔が、予め定められた間隔より広いと判定すると、制御部20は、S5に進み処理を継続する。
【0061】
一方、S11の後も同様に、制御部20は、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの数が、規定数に達したか否かを判定する(S113)。S113は、S103と同様の判定である。
【0062】
規定数に達したと判定すると、つまり、トレイ3が閉じたと検知すると、制御部20は、本処理を終了する。
【0063】
そして、規定数に達していないと判定すると、制御部20は、ロータリーエンコーダ14から入力されるパルスの間隔が、予め定められた間隔より広いか否かを判定する(S114)。S114も、S104と同様の判定である。
【0064】
また、上記本発明の第1の実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0065】
(第1変形例)
図6は、本発明の第1の実施形態の第1変形例である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、図3における処理にS200及びS201を追加した動作であり、その他の処理(S1〜S6、S11〜S16)については同じである。また、この動作は、回復モードスイッチ33が押下された時の動作である。そのため、S10の処理を削除している。
【0066】
図3において、一定時間以内にトレイ3が開閉しない場合、トレイ3を強い力で開閉しているが、その開閉回数は1回である。1回でトレイ3の開閉動作が正常に回復しなくとも、複数回行えば正常に回復する場合も有り得る。
そこで、この変形例では、制御部20にカウンタを設け、S200及びS201を追加している。
【0067】
制御部20は、カウンタのカウント数を1増やす(S200)。そして、制御部20は、カウント数が所定回数に達したか否かを判定する(S201)。所定回数は、例えば10回である。
【0068】
カウント数が所定回数に達したと判定すると、制御部20は、本処理を終了する。
【0069】
一方、カウント数が所定回数に達していないと判定すると、制御部20は、処理(S1〜S6、S11〜S16)を繰り返す。即ち、制御部20は、モータ4に電圧を印加してトレイ3の開閉動作を繰り返す。このように、1回でトレイ3の開閉動作が正常に回復しなくとも、複数回行えば正常に回復することも有る。
【0070】
以上より、埃などが移動手段に付着してトレイ3の開閉動作が鈍くなっても、又は止まっていても、その開閉動作を回復することができる。従って、光ディスクドライブ装置100の製品寿命を一層延ばすことができる。
【0071】
なお、図6におけるS2〜S4をS103及びS104に置き換え、さらに、図6におけるS12〜S14をS113及びS114に置き換えて、本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置に適用することも可能である。
【0072】
(第2変形例)
図7は、本発明の第1の実施形態の第2変形例である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャートである。この動作は、図6における処理にS300〜S305を追加した動作であり、その他の処理(S1〜S6、S11〜S16、S200、S201)については同じである。また、この動作も、回復モードスイッチ33が押下された時の動作である。
【0073】
回復モードが指定されて回復モードを実行しても、トレイ3の開閉動作が回復しない場合がある。この場合、光ディスクドライブ装置100の修理(分解清掃を含む)が必要である。
そこで、この変形例では、メッセージを表示する表示部30を光ディスクドライブ装置100に設け(図1参照)、S300〜S305を追加している(図7参照)。
【0074】
制御部20は、S5又はS15において印加電圧を高くする都度、内蔵するカウンタにおいてNGカウント数を1増やす(S300、S301)。
【0075】
また、制御部20は、そのNGカウント数をリセットし(S302)、所定回数に達するまで(S201)、処理(S1〜S6、S11〜S16、S200)を繰り返す。即ち、制御部20は、所定回数に達するまで(S201)、モータ4に電圧を印加してトレイ3の開閉動作を繰り返す。S302を設けた理由は、トレイ3の開閉が所定回数に達する時のNGカウント数を、後述のS303で判定するためである。
【0076】
そして、S201においてカウント数が所定回数に達したと判定すると、制御部20は、NGカウント数=0であるか否かを判定する(S303)。
【0077】
NGカウント数=0であると判定すると、制御部20は、トレイ3の開閉動作が回復した旨を表示部30に表示し(S304)、本処理を終了する。ユーザは、この表示を見て、トレイ3の開閉動作が回復したことを把握する。
【0078】
これにより、光ディスクドライブ装置100が故障したのではないかとユーザに誤解させてしまうことを防止できる。
【0079】
一方、NGカウント数=0でないと判定すると、制御部20は、光ディスクドライブ装置100の修理が必要である旨を表示部30に表示し(S305)、本処理を終了する。S305では、トレイ3を強い力で開閉することを複数回行ってもNGカウント数が=0でない場合、光ディスクドライブ装置100の修理が必要であると判断している。光ディスクドライブ装置100の修理が必要である旨の表示は、例えば「回復モードではトレイ3の開閉動作が回復しませんでした。光ディスクドライブ装置100の修理が必要です。」である。ユーザは、この表示を見て、光ディスクドライブ装置100の修理が必要であることを把握する。
【0080】
以上より、光ディスクドライブ装置100の修理が必要であることをユーザに把握させることができる。
【0081】
なお、図7におけるS2〜S4をS103及びS104に置き換え、さらに、図7におけるS12〜S14をS113及びS114に置き換えて、本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の正面図
【図2】本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図
【図3】本発明の第1の実施形態である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図
【図5】本発明の第2の実施形態である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【図6】本発明の第1の実施形態の第1変形例である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【図7】本発明の第1の実施形態の第2変形例である光ディスクドライブ装置の制御部が行う動作を示すフローチャート
【図8】トレイが閉じた状態における従来の光ディスクドライブ装置の正面図
【図9】トレイが開いた状態における従来の光ディスクドライブ装置の概略の構成を示す平面透視図
【符号の説明】
【0083】
1−筐体
2−シャーシ
3−トレイ
3a−ラック
4−モータ
5−プーリー
6−ベルト
7−プーリー
8−ギア
9−ギア
10−ネジ
11−ネジ
12−ネジ
14−ロータリーエンコーダ
20−制御部
21−スイッチ
22−スイッチ
30−表示部
31−オープンスイッチ
32−クローズスイッチ
33−回復モードスイッチ
90−光ディスクドライブ装置
100−光ディスクドライブ装置
200−光ディスクドライブ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部が形成された筐体と、
光ディスクを載置するためのトレイと、
前記開口部を通して前記筐体の前後方向に、前記トレイをモータによって移動させる移動手段と、
前記移動手段の前記モータに駆動電圧を印加し、前記トレイを開閉する電源制御手段と、を備える光ディスクドライブ装置において、
前記トレイが開閉している間の開閉速度が予め定められた限界速度より遅いかどうかを検知する検知手段と、
前記トレイの開閉動作を回復する回復モードを指定するための操作手段と、
メッセージを表示する表示手段と、を備え、
前記電源制御手段は、
(1)前記操作手段によって前記回復モードが指定されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの開閉動作を開始し、前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、前記移動手段の前記モータに印加する駆動電圧を高くし、
(2)前記トレイの開閉が所定回数に達するまで、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの前記開閉動作を繰り返し、
(3)前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、装置本体の修理が必要である旨を前記表示手段に表示し、
(4)前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知しない場合、前記トレイの開閉動作が回復した旨を前記表示手段に表示する光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
前面に開口部が形成された筐体と、
ディスクを載置するためのトレイと、
前記開口部を通して前記筐体の前後方向に、前記トレイをモータによって移動させる移動手段と、
前記移動手段の前記モータに駆動電圧を印加し、前記トレイを開閉する電源制御手段と、を備えるディスク装置において、
前記トレイが開閉している間の開閉速度が予め定められた限界速度より遅いかどうかを検知する検知手段を備え、
前記電源制御手段は、
前記トレイを開くことが指示されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの開き動作を開始し、又は、前記トレイを閉じることが指示されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの閉じ動作を開始し、
前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、前記移動手段の前記モータに印加する駆動電圧を高くするディスク装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記トレイの開き動作の開始から一定時間以内に前記トレイが開いたどうか、又は前記トレイの閉じ動作の開始から一定時間以内に前記トレイが閉じたどうか、を検知することにより、前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いかどうかを検知する請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記トレイの開閉動作を回復する回復モードを指定するための操作手段を備え、
前記電源制御手段は、
前記操作手段によって前記回復モードが指定されると、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの開閉動作を開始し、
前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、前記移動手段の前記モータに印加する駆動電圧を高くする請求項2又は3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が所定回数に達するまで、前記モータに前記駆動電圧を印加して前記トレイの前記開閉動作を繰り返す請求項4に記載のディスク装置。
【請求項6】
メッセージを表示する表示手段を備え、
前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知すると、装置本体の修理が必要である旨を前記表示手段に表示する請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記電源制御手段は、前記トレイの開閉が前記所定回数に達する時に前記トレイの開閉速度が前記限界速度より遅いことを前記検知手段が検知しない場合、前記トレイの開閉動作が回復した旨を前記表示手段に表示する請求項6に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−34030(P2008−34030A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206509(P2006−206509)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】