説明

ディスク装置

【課題】 前進途中のトレイが障害物に接触したときに直ちにそのトレイを後進させる。
【解決手段】 ケーシング2内に前後進a,b可能に配置したディスクD載置用トレイ1
の前面パネル1Aがトレイ本体1Bから分離されると共に、該前面パネル1Aがトレイ本
体1Bの前板部1aに前後進a,b方向に沿って一定範囲内移動可能に係止され、その前
面パネル1Aを前進a側に付勢するコイルばね6が設けられ、前面パネル1Aの後退bを
検知する前面スイッチ7がトレイ本体1Bと前面パネル1Aとの間に設けられており、ト
レイ1の前進a途中で前面パネル1Aを介して前面スイッチ7がオン状態にされたときに
、モータを逆転駆動してトレイ1を後進bさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVDレコーダやDVDプレーヤなどのディスク装置に関し、特に、
前進途中のトレイが障害物に接触したときに直ちにそのトレイを後進させるようにしたも
のである。
【背景技術】
【0002】
従来、DVDレコーダの一例として図7及び図8に示すものがある。図7(a)はDV
Dレコーダの斜視図、図7(b)は同平面図、図8はエジェクトモードにおける制御部の
制御を説明する流れ図である。
【0003】
図7(a)(b)に示すように、ディスクDを載置するための合成樹脂製トレイ1がケ
ーシング2内に前後進a,b可能に配置され、該トレイ1の前面パネル1Aとトレイ本体
1Bとが一体成形され、そのトレイ1をケーシング2の前面開口部2aを通って前後進a
,bさせるためのモータ(図示せず)が該ケーシング2内に設けられ、前面開口部2aの
下部にエジェクトスイッチ3が設けられており、ケーシング2内の各機器はマイクロコン
ピュータからなる制御部(図示せず)により制御されている。
【0004】
プレイモードでは、ディスクDを載置したトレイ1をケーシング2内に収納している状
態で、該ディスクDをターンテーブル(図示せず)により高速回転させ、光ピックアップ
(図示せず)によりディスクDに記録されている情報を読み取って再生したり記録や消去
を行う。
【0005】
図8に基づいてエジェクトモードにおける制御部の制御を説明すると、トレイ1をケー
シング2内に収納している状態で、ステップS1に示すように、エジェクトスイッチ3を
押してオン状態にすると、ステップS2に移行し、モータを正転駆動させてトレイ1を前
進aさせ(ステップS3)、そのトレイ1の前進a途中で、図7(b)に示すように、ト
レイ1の前面パネル1Aが例えば障害物G1〜G3に接触して、該トレイ1の前進aが阻
害されると、モータに過負荷がかかり、その過負荷の発生を逆起電圧(またはエンコーダ
、スイッチなど)によって確認することができる。そこで、ステップS4において、逆起
電圧から過負荷がかかっていないと判断した場合には、トレイ1が正常に前進aしている
ので、ステップS5に移行し、トレイ1が最前進aしたか否かを判断し、最前進aしてい
ない場合には、ステップS2に戻って前記動作を繰り返し、トレイ1が最前進aされたと
判断したときには、ステップS6に移行して、モータの正転駆動を停止させる。その後、
トレイ1上のディスクDを取り出したり新たなディスクDをトレイ1上に載置し、エジェ
クトスイッチ3を押すと、上記とは逆の手順でトレイ1が後進bしてケーシング2内に収
納される。
【0006】
ステップS4において、モータに過負荷がかかっていると判断した場合、即ち、トレイ
1が障害物G1〜G3に接触して前進aを阻害されている場合には、ステップS7に移行
し、モータを逆転駆動してトレイ1を後進bさせ、ステップS8に移行し、トレイ1が最
後進bしたか否かを判断し、最後進bしていない場合には、ステップS7に戻って前記動
作を繰り返し、トレイ1が最後進bしてケーシング2内に収納されたと判断したときには
、ステップS6に移行して、モータの正転駆動を停止させる。なお、本発明に関連する技
術として特許文献1に記載したものがある。
【特許文献1】特許第3675784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成では、図7(b)に示すように、トレイ1を前進aさせている途中で、
該トレイ1の前面パネル1Aが障害物G1〜G3に接触して、そのトレイ1の前進aが阻
害された場合、モータに過負荷がかかっているか否かを判断し、その判断に基づいてモー
タを逆転駆動してトレイ1を後進bさせることにより、そのトレイ1を障害物G1〜G3
から離間させ、モータの焼損を防ぐようになっているが、これでは、障害物G1〜G3に
トレイ1が接触してから離間するまでに比較的時間がかかり、その間はモータに過負荷が
かかり続けるから、その過負荷によりモータの寿命が短くなったり該モータに接続した連
動機構に故障が生じやすい。
【0008】
また、トレイ1を最前進aさせた状態では、該トレイ1の下側にエジェクトスイッチ3
が隠れるため、そのエジェクトスイッチ3の押圧操作が面倒であるという欠点もある。
【0009】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、操作が容易で前進途中のトレイが障害物に接触した
ときに直ちにそのトレイを後進させるようにしたディスク装置を提供すること目的として
いる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ディスク載置用トレイがケーシン
グ内に前後進可能に配置されており、該ケーシング内のモータを正逆回転駆動することに
よりトレイをケーシングの前面開口部を通って前後進させるようにしたディスク装置にお
いて、前記トレイの前面パネルがトレイ本体から分離され、該前面パネルの後面両端近傍
に左右一対のアームが突設されると共に、該各アームの端面に切れ目を入れることにより
該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片が切り残され、該両アーム片を互い
に接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の前板部の挿通孔に前後進方向に沿っ
て移動可能に挿通され、その各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設さ
れ、前記各アームと支持板との間にコイルばねが介在され、そのコイルばねに抗して各ア
ームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが各アーム片の外周面に一体突設され、
前記トレイ本体と前面パネルとの間に該前面パネルの後退を検知する前面スイッチが設け
られており、前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネルをコイルばねに
抗して押すことにより前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいてモータを正
転駆動することによりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して前面スイッ
チがオン状態にされたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるようにしたこと
を特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置さ
れており、該ケーシング内のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの
前面開口部を通って前後進させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パ
ネルがトレイ本体から分離され、該前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設
されると共に、該各アームの端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対
の弾性変位可能なアーム片が切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各
アームが前記トレイ本体の前板部の挿通孔に前後進方向に沿って移動可能に挿通され、そ
の各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームの一方の
アーム片に一体突設され先端を前記支持板に当接させた弾性変位可能な弾性片が設けられ
、各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが各アーム片の外周面に一体突設
され、前記トレイ本体と前面パネルとの間に該前面パネルの後退を検知する前面スイッチ
が設けられており、前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネルを弾性片
に抗して押すことにより前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいてモータを
正転駆動することによりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して前面スイ
ッチがオン状態にされたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるようにしたこ
とを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置さ
れており、該ケーシング内のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの
前面開口部を通って前後進させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パ
ネルがトレイ本体から分離され、該前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設
されると共に、該各アームの端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対
の弾性変位可能なアーム片が切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各
アームが前記トレイ本体の前板部の挿通孔に前後進方向に沿って移動可能に挿通され、そ
の各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームの一方の
アーム片に一体突設され先端を前記支持板に当接させた弾性変位可能な弾性片が設けられ
、各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが各アーム片の外周面に一体突設
され、前記トレイ本体と前面パネルとの間に設けられて該前面パネルの後退を検知する前
面スイッチが押釦スイッチからなり、その押釦部が同心状に一体形成した大径部と小径部
とを有し、該小径部に対向して前面パネルにその小径部よりも若干大径の釦孔が貫設され
、スイッチ本体をトレイ本体に固定すると共に、小径部を前面パネルの釦孔に挿通してそ
の前面パネルの後面に大径部の端面を当接または接近させ、小径部の先端を前面パネルよ
りも前方に突出させており、前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネル
を弾性片に抗して押すことにより前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいて
モータを正転駆動することによりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して
前面スイッチがオン状態にされたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるよう
にしたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置さ
れており、該ケーシング内のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの
前面開口部を通って前後進させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パ
ネルがトレイ本体から分離されると共に、該前面パネルがトレイ本体の前板部に前後進方
向に沿って一定範囲内移動可能に係止され、その前面パネルを前進側に付勢する付勢手段
が設けられ、前記トレイ本体と前面パネルとの間に該前面パネルの後退を検知する前面ス
イッチが設けられており、前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネルを
付勢手段に抗して押すことにより前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいて
モータを正転駆動することによりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して
前面スイッチがオン状態にされたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるよう
にしたことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記前面パネルの後面両端
近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アームの端面に切れ目を入れることに
より該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片が切り残され、該両アーム片を
互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の前板部の挿通孔に挿通され、そ
の各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームと支持板
との間に前記付勢手段としてコイルばねが介在され、そのコイルばねに抗して各アームが
各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが前記各アーム片の外周面に一体突設されてい
ることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記前面パネルの後面両端
近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アームの端面に切れ目を入れることに
より該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片が切り残され、該両アーム片を
互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の前板部の挿通孔に挿通され、そ
の各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設され、前記付勢手段が前記各
アームの一方のアーム片に一体突設され先端を前記支持板に当接させた弾性変位可能な弾
性片からなり、前記各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが前記各アーム
片の外周面に一体突設されていることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の発明において、前記前面ス
イッチが押釦スイッチからなり、その押釦部が同心状に一体形成した大径部と小径部とを
有し、該小径部に対向して前面パネルにその小径部よりも若干大径の釦孔が貫設されてお
り、スイッチ本体をトレイ本体に固定すると共に、小径部を前面パネルの釦孔に挿通して
その前面パネルの後面に大径部の端面を当接または接近させ、小径部の先端を前面パネル
よりも前方に突出させていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は第1の実施の形態(図1〜図4参照)に対応するものであって
、これによれば、前面パネルから後方に突出する左右一対のストッパ付きアームを縮径さ
せた状態でトレイ本体の前板部の各挿通孔に挿通し、その縮径状態を解消するだけで、各
アームを介して前面パネルをトレイ本体の前板部に前後進方向に沿って一定範囲内移動可
能に係止することができる。
【0018】
また、コイルばねで各アームを介して前面パネルを前方に押し出すことにより、該前面
パネルとトレイ本体との間に設けた前面スイッチが不測にオン状態にならないようにする
ことができると共に、そのコイルばねに抗して前面パネルを押すだけで、前面スイッチを
確実にオン状態にすることができる。
【0019】
更に、従来のエジェクトスイッチを省略することができると共に、その前面パネルの横
幅が広くて大きいから、その押圧操作を従来のエジェクトスイッチに比べて容易に行うこ
とができる。
【0020】
しかも、トレイを前進させている途中で、該トレイの前面パネルが障害物に接触して、
そのトレイの前進が阻害された場合、前面パネルを介して前面スイッチがオン状態にされ
、そのオン信号に基づいてモータを逆転駆動することにより、トレイを障害物から直ちに
離間させることができ、この場合、モータに従来のように過負荷がかからないから、該モ
ータの寿命を大幅に延ばすことができると共に、そのモータに接続した連動機構に過負荷
に伴う故障が生じないようにすることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は第2の実施の形態(図5参照)に対応するものであって、これ
によれば、請求項1に記載の発明とほぼ同じ効果を得ることができ、特に、前面パネルを
前方に押し出した状態を保持するための付勢手段として用いた弾性片が各アームの一方の
アーム片に一体突設されており、その付勢手段として部品点数が増加していないから、製
作費が安くつく。
【0022】
請求項3に記載の発明は第3の実施の形態(図6参照)に対応するものであって、これ
によれば、請求項1及び2に記載の発明とほぼ同じ効果を得ることができ、特に、前面パ
ネルを押すことにより大径部を介して前面スイッチをオン状態にすることができると共に
、前面パネルより前方に突出する小径部を押すことにより,前面パネルを介さずに従来の
エジェクトスイッチと同じように前面スイッチを直接的にオン状態にすることができ、二
通りに使い分けできるので、使い勝手がよい。
【0023】
請求項4に記載の発明は基本形態に対応するものであって、これによれば、トレイの前
面パネルを押して前面スイッチをオン状態にすることにより、該トレイを前後進させるよ
うになっているから、従来のエジェクトスイッチを省略することができると共に、その前
面パネルの横幅が広くて大きいから、その押圧操作を従来のエジェクトスイッチに比べて
容易に行うことができる。
【0024】
また、トレイを前進させている途中で、該トレイの前面パネルが障害物に接触して、そ
のトレイの前進が阻害された場合、前面パネルを介して前面スイッチがオン状態にされ、
そのオン信号に基づいてモータを逆転駆動することにより、トレイを障害物から直ちに離
間させることができ、この場合、モータに従来のように過負荷がかからないから、該モー
タの寿命を大幅に延ばすことができると共に、そのモータに接続した連動機構に過負荷に
伴う故障が生じないようにすることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、前面パネルから後方に突出する左右一対のストッパ付
きアームを縮径させた状態でトレイ本体の前板部の各挿通孔に挿通し、その縮径状態を解
消するだけで、各アームを介して前面パネルをトレイ本体の前板部に前後進方向に沿って
一定範囲内移動可能に係止することができる。
【0026】
また、コイルばねで各アームを介して前面パネルを前方に押し出すことにより、該前面
パネルとトレイ本体との間に設けた前面スイッチが不測にオン状態にならないようにする
ことができると共に、そのコイルばねに抗して前面パネルを押すだけで、前面スイッチを
確実にオン状態にすることができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明とほぼ同じ効果を得ることがで
き、特に、前面パネルを前方に押し出した状態を保持するための付勢手段として用いた弾
性片が各アームの一方のアーム片に一体突設されており、その付勢手段として部品点数が
増加していないから、製作費が安くつく。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、前面スイッチが押釦スイッチからなり、その押釦部の
小径部を前面パネルの釦孔に挿通してその前面パネルの後面に押釦部の大径部の端面を当
接または接近させているから、前面パネルを押すことにより大径部を介して前面スイッチ
をオン状態にすることができると共に、前面パネルより前方に突出する小径部を押すこと
により,前面パネルを介さずに前面スイッチを直接的にオン状態にすることができ、二通
りに使い分けることができるので、使い勝手がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態であるDVDレコーダを示すものであって、図
1(a)はDVDレコーダの斜視図、図1(b)は同平面図、図2(a)は要部の拡大水
平断面図、図2(b)はA−A矢視図、図2(c)はC−C矢視図、図2(d)はB−B
矢視図、図2(e)はD−D矢視図、図3は要部の分解斜視図、図4は同エジェクトモー
ドにおける制御部の制御を説明する流れ図である。
【0030】
図1に示すように、トレイ1の前面パネル1Aがトレイ本体1Bから分離され、アーム
機構5を介して前面パネル1Aがトレイ本体1Bの前板部1aに前後進a,b方向に沿っ
て一定範囲内移動可能に係止され、その前面パネル1Aを前進a側に付勢する左右一対の
コイルばね(付勢手段)6が設けられ、その各コイルばね6に抗して前面パネル1Aの後
退を検知する前面スイッチ7がトレイ本体1Bと前面パネル1Aとの間に設けられている
。上記以外の構成は図7に示す構成とほぼ同じであるから、同じ部分に同一符号を付して
その説明を省略する。
【0031】
図2(a)〜(c)及び図3に示すように、前記アーム機構5は、前面パネル1Aの後
面両端近傍に突設した左右一対のアーム5Aを有し、該各アーム5Aの端面に切れ目8を
入れることにより該切れ目8を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片5a,5bが切
り残され、該各アーム片5a,5bの外周面にストッパ9が一体突設され、その各アーム
5Aに対向してトレイ本体1Bの前板部1aに挿通孔10が貫設されており、前記両アー
ム片5a,5bを互いに接近させて各アーム5Aを縮径させ、その縮径状態の各アーム5
Aを各挿通孔10に挿通することにより、各ストッパ9も各挿通孔10に挿通し、その縮
径状態を解消することにより、各ストッパ9を前板部1aの後面に係合させ、これによっ
て、前面パネル1Aがトレイ本体1Bの前板部1aに前後進a,b方向に沿って一定範囲
内移動可能に係止されている。
【0032】
図2(a)〜(c)及び図3に示すように、各アーム5Aの端面に対向してトレイ本体
1Bに支持板11が一体突設され、該支持板11の前面に各アーム5Aに対向して該各ア
ーム5Aとほぼ同径の位置決め突起部11aが一体突設されており、各アーム5Aの先端
部と各位置決め突起部11aとにコイルばね6を係合させことにより、各アーム5Aを介
して前面パネル1Aを前進a側に付勢し、その前面パネル1Aとトレイ本体1Bとの間に
例えば1〜2mm程度の隙間αが形成されている。なお、図3中、12はトレイ本体1B
の上面に貫設した開口部、13はトレイ本体1Bの下面に一体突設されてコイルばね6を
支持するばね支持片である。
【0033】
図2(a)(d)(e)及び図3に示すように、前記前面スイッチ7は、マイクロスイ
ッチからなり、スイッチ本体7Aをトレイ本体1Bの前板部1aの中央に貫設した収納凹
部15に嵌め込むと共に、感知レバー7Bを前面パネル1Aの後面に接触させており、前
面パネル1Aを押ことにより、感知レバー7Bが押されて前面スイッチ7がオン状態にさ
れる。
【0034】
図4に基づいてエジェクトモードにおける制御部の制御を説明すると、トレイ1をケー
シング2内に収納している状態で、ステップS1に示すように、前面パネル1Aを押すこ
とにより前面スイッチ7をオン状態にすると、ステップS2に移行し、モータを正転駆動
させてトレイ1を前進aさせ(ステップS3)、そのトレイ1の前進a途中で、図1(b
)に示すように、トレイ1の前面パネル1Aが例えば障害物G1〜G3に接触して、該ト
レイ1の前進aが阻害されると、前面パネル1Aを介して前面スイッチ7がオン状態にさ
れる。そこで、ステップS4において、前面スイッチ7がオンされたか否かを判断し、オ
ンにされていない場合には、トレイ1が正常に前進aしているので、ステップS5に移行
し、トレイ1が最前進aしたか否かを判断し、最前進aしていない場合には、ステップS
2に戻って前記動作を繰り返し、トレイ1が最前進aされたと判断した場合には、ステッ
プS6に移行して、モータの正転駆動を停止させる。その後、トレイ1上のディスクDを
取り出したり新たなディスクDをトレイ1上に載置し、エジェクトスイッチ3を押すと、
上記とは逆の手順でトレイ1が後進bしてケーシング2内に収納される。
【0035】
ステップS4において、前面スイッチ7がオンされた場合、即ち、トレイ1が障害物G
1〜G3に接触して前進aを阻害されている場合には、ステップS7に移行し、モータを
逆転駆動してトレイ1を後進bさせ、ステップS8に移行し、トレイ1が最後進bしたか
否かを判断し、最後進bしていない場合には、ステップS7に戻って前記動作を繰り返し
、トレイ1が最後進bしてケーシング2内に収納されたと判断したときには、ステップS
6に移行して、モータの正転駆動を停止させる。
【0036】
上記構成によれば、前面パネル1Aから後方に突出する左右一対のストッパ9付きアー
ム5Aを縮径させた状態でトレイ本体1Bの各挿通孔10に挿通し、その縮径状態を解消
するだけで、各アーム5Aを介して前面パネル1Aをトレイ本体1Bの前板部1aに前後
進a,b方向に沿って一定範囲内移動可能に係止することができる。
【0037】
また、コイルばね6で各アーム5Aを介して前面パネル1Aを前方aに押し出すことに
より、該前面パネル1Aとトレイ本体1Bとの間に設けた前面スイッチ7が不測にオン状
態にならないようにすることができると共に、そのコイルばね6に抗して前面パネル1A
を押すだけで、前面スイッチ7を確実にオン状態にすることができる。
【0038】
更に、従来のエジェクトスイッチ3〔図7(a)参照〕を省略することができると共に
、前面パネル1Aの横幅が広くて大きいから、その押圧操作を従来のエジェクトスイッチ
3に比べて容易に行うことができる。
【0039】
しかも、トレイ1を前進aさせている途中で、該トレイ1の前面パネル1Aが障害物G
1〜G3に接触して、そのトレイ1の前進aが阻害された場合、前面パネル1Aを介して
前面スイッチ7がオン状態にされ、そのオン信号に基づいてモータを逆転駆動することに
より、トレイ1を障害物G1〜G3から直ちに離間させることができ、この場合、モータ
に従来のように過負荷がかからないから、該モータの寿命を大幅に延ばすことができると
共に、そのモータに接続した連動機構に過負荷に伴う故障が生じないようにすることがで
きる。
【0040】
図5は本発明の第2の実施の形態であるDVDレコーダを示すものであって、図5(a
)はDVDレコーダの要部の拡大水平断面図、図5(b)は要部の斜視図であり、付勢手
段として、各アーム5Aの一方のアーム片5aに一体突設され先端を支持板11に当接さ
せた弾性変位可能な平面視略J字状弾性片5Bが用いられている、上記以外の構成は図1
〜図4に示す第1の実施の形態とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその
説明を省略する。
【0041】
上記構成によれば、図1〜図4に示す第1の実施の形態とほぼ同じ効果を得ることがで
き、特に、前面パネル1Aを前方aに押し出した状態を保持するための付勢手段として、
コイルばね6〔図2(a)参照〕に代えて、弾性片5Bが各アーム5Aの一方のアーム片
5aに一体突設されており、その付勢手段として部品点数が増加していないから、製作費
が安くつく。
【0042】
図6は本発明の第3の実施の形態であるDVDレコーダを示すものであって、図6(a
)はDVDレコーダの要部の拡大水平断面図、図6(b)はE−E矢視図であって、前面
スイッチ7が押釦スイッチからなり、その押釦部7Dが同心状に一体形成した大径部7a
と小径部7bとを有し、該小径部7bに対向して前面パネル1Aにその小径部7bよりも
若干大径の釦孔16が貫設されており、スイッチ本体7Cをトレイ本体1Bの収納凹部1
5に嵌め込み、小径部7bを釦孔16に挿通すると共に、大径部7aの端面を前面パネル
1Aの後面に当接または接近させ、小径部7bの先端を前面パネル1Aよりも例えば1〜
2mm程度の間隔β分だけ前方に突出させている。上記以外の構成は図5に示す第2の実
施の形態とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
上記構成によれば、第1の実施の形態(図1〜図4参照)及び第2の実施の形態(図5
参照)とほぼ同じ効果を得ることができ、特に、前面パネル1Aを押すことにより大径部
7aを介して前面スイッチ7をオン状態にすることができ、また、前面パネル1Aより前
方に突出する小径部7bを押すことにより,前面パネル1Aを介さずにエジェクトスイッ
チ3〔図7(a)参照〕)と同じように前面スイッチ7を直接的にオン状態にすることが
でき、二通りに使い分けることができるので、使い勝手がよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上記の各実施の形態では、DVDレコーダを例にあげて説明したが、これに限定される
わけではなく、例えばDVDプレーヤなどの各種のディスク装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態であるDVDレコーダの斜視図、(b)は同平面図である。
【図2】(a)は要部の拡大水平断面図、(b)はA−A矢視図、(c)はC−C矢視図、(d)はB−B矢視図、(e)はD−D矢視図である。
【図3】要部の分解斜視図である。
【図4】同エジェクトモードにおける制御部の制御を説明する流れ図である。
【図5】(a)は本発明の第2の実施の形態であるDVDレコーダの要部の拡大水平断面図、(b)は要部の斜視図である。
【図6】(a)は本発明の第3の実施の形態であるDVDレコーダの要部の拡大水平断面図、図6(b)はE−E矢視図である。
【図7】(a)は従来例の斜視図、(b)は同平面図である。
【図8】同エジェクトモードにおける制御部の制御を説明する流れ図である。
【符号の説明】
【0046】
1 トレイ
1A トレイの前面パネル
1B トレイ本体
1a トレイ本体の前板部
2 ケーシング
2a ケーシングの前面開口部
5A アーム
5a,5b アーム片
5B 弾性片(付勢手段)
6 コイルばね(付勢手段)
7 前面スイッチ
7A,7C スイッチ本体
7D 押釦部
7a 大径部
7b 小径部
8 切れ目
9 ストッパ
10 挿通孔
11 支持板
16 釦孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置されており、該ケーシング内
のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの前面開口部を通って前後進
させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パネルがトレイ本体から分離
され、該前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アーム
の端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片
が切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の
前板部の挿通孔に前後進方向に沿って移動可能に挿通され、その各アームの端面に対向し
てトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームと支持板との間にコイルばねが介在
され、そのコイルばねに抗して各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが各
アーム片の外周面に一体突設され、前記トレイ本体と前面パネルとの間に該前面パネルの
後退を検知する前面スイッチが設けられており、前記トレイをケーシング内に収納してい
る状態で前面パネルをコイルばねに抗して押すことにより前面スイッチをオン状態とし、
そのオン信号に基づいてモータを正転駆動することによりトレイを前進させ、その前進途
中で前面パネルを介して前面スイッチがオン状態にされたときに、モータを逆転駆動して
トレイを後進させるようにしたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置されており、該ケーシング内
のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの前面開口部を通って前後進
させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パネルがトレイ本体から分離
され、該前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アーム
の端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片
が切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の
前板部の挿通孔に前後進方向に沿って移動可能に挿通され、その各アームの端面に対向し
てトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームの一方のアーム片に一体突設され先
端を前記支持板に当接させた弾性変位可能な弾性片が設けられ、各アームが各挿通孔から
抜けるのを阻止するストッパが各アーム片の外周面に一体突設され、前記トレイ本体と前
面パネルとの間に該前面パネルの後退を検知する前面スイッチが設けられており、前記ト
レイをケーシング内に収納している状態で前面パネルを弾性片に抗して押すことにより前
面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいてモータを正転駆動することによりト
レイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して前面スイッチがオン状態にされたと
きに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるようにしたことを特徴とするディスク装
置。
【請求項3】
ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置されており、該ケーシング内
のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの前面開口部を通って前後進
させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パネルがトレイ本体から分離
され、該前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アーム
の端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片
が切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の
前板部の挿通孔に前後進方向に沿って移動可能に挿通され、その各アームの端面に対向し
てトレイ本体に支持板が一体突設され、前記各アームの一方のアーム片に一体突設され先
端を前記支持板に当接させた弾性変位可能な弾性片が設けられ、各アームが各挿通孔から
抜けるのを阻止するストッパが各アーム片の外周面に一体突設され、前記トレイ本体と前
面パネルとの間に設けられて該前面パネルの後退を検知する前面スイッチが押釦スイッチ
からなり、その押釦部が同心状に一体形成した大径部と小径部とを有し、該小径部に対向
して前面パネルにその小径部よりも若干大径の釦孔が貫設され、スイッチ本体をトレイ本
体に固定すると共に、小径部を前面パネルの釦孔に挿通してその前面パネルの後面に大径
部の端面を当接または接近させ、小径部の先端を前面パネルよりも前方に突出させており
、前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネルを弾性片に抗して押すこと
により前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいてモータを正転駆動すること
によりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して前面スイッチがオン状態に
されたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるようにしたことを特徴とするデ
ィスク装置。
【請求項4】
ディスク載置用トレイがケーシング内に前後進可能に配置されており、該ケーシング内
のモータを正逆回転駆動することによりトレイをケーシングの前面開口部を通って前後進
させるようにしたディスク装置において、前記トレイの前面パネルがトレイ本体から分離
されると共に、該前面パネルがトレイ本体の前板部に前後進方向に沿って一定範囲内移動
可能に係止され、その前面パネルを前進側に付勢する付勢手段が設けられ、前記トレイ本
体と前面パネルとの間に該前面パネルの後退を検知する前面スイッチが設けられており、
前記トレイをケーシング内に収納している状態で前面パネルを付勢手段に抗して押すこと
により前面スイッチをオン状態とし、そのオン信号に基づいてモータを正転駆動すること
によりトレイを前進させ、その前進途中で前面パネルを介して前面スイッチがオン状態に
されたときに、モータを逆転駆動してトレイを後進させるようにしたことを特徴とするデ
ィスク装置。
【請求項5】
前記前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アームの
端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片が
切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の前
板部の挿通孔に挿通され、その各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設
され、前記各アームと支持板との間に前記付勢手段としてコイルばねが介在され、そのコ
イルばねに抗して各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止するストッパが前記各アーム片
の外周面に一体突設されていることを特徴とする請求項4に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記前面パネルの後面両端近傍に左右一対のアームが突設されると共に、該各アームの
端面に切れ目を入れることにより該切れ目を間に挟んで一対の弾性変位可能なアーム片が
切り残され、該両アーム片を互いに接近させて縮径させた各アームが前記トレイ本体の前
板部の挿通孔に挿通され、その各アームの端面に対向してトレイ本体に支持板が一体突設
され、前記付勢手段が前記各アームの一方のアーム片に一体突設され先端を前記支持板に
当接させた弾性変位可能な弾性片からなり、前記各アームが各挿通孔から抜けるのを阻止
するストッパが前記各アーム片の外周面に一体突設されていることを特徴とする請求項4
に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記前面スイッチが押釦スイッチからなり、その押釦部が同心状に一体形成した大径部
と小径部とを有し、該小径部に対向して前面パネルにその小径部よりも若干大径の釦孔が
貫設されており、スイッチ本体をトレイ本体に固定すると共に、小径部を前面パネルの釦
孔に挿通してその前面パネルの後面に大径部の端面を当接または接近させ、小径部の先端
を前面パネルよりも前方に突出させていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記
載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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