ディスク記憶装置及びオフセット算出方法
【課題】ディスク1回転内で変化するオフセット値を直接的に測定することにより、短時間で高精度にオフセット値を測定できるディスクドライブを提供することにある。
【解決手段】DOC機能を有するディスクドライブ100において、ディスク媒体103の非サーボ領域にオフセット測定用位置情報を書き込み、磁気ヘッド101のリードヘッドにより読出したオフセット測定用位置情報に基づいてディスク媒体103の1回転内で変化するオフセット値を算出するオフセット算出ユニット112,115を備えた構成である。
【解決手段】DOC機能を有するディスクドライブ100において、ディスク媒体103の非サーボ領域にオフセット測定用位置情報を書き込み、磁気ヘッド101のリードヘッドにより読出したオフセット測定用位置情報に基づいてディスク媒体103の1回転内で変化するオフセット値を算出するオフセット算出ユニット112,115を備えた構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブなどのディスク記憶装置に関し、特に、リード/ライトヘッド間のオフセットを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、ディスクドライブと表記する場合がある)では、磁気記録媒体であるディスク媒体(以下、単にディスクと表記する場合がある)に対してデータの記録再生を行なう磁気ヘッドが設けられている。この磁気ヘッドは、ロータリ型アクチュエータに搭載されて、ディスク上の半径方向に移動されて、目標のトラック(又はシリンダ)に位置決めされる。
【0003】
磁気ヘッドは、1つのスライダ(ヘッド本体)上に、リードヘッドとライトヘッドとが分離して実装されている。リードヘッドは、例えばGMR素子からなり、データを読出すためのヘッドである。ライトヘッドは、データを書き込むヘッドである。このような構造から、磁気ヘッドでは、ディスク上の半径位置に依存して、リードヘッドとライトヘッドのそれぞれのトラック軌跡に、一定のオフセット(位置ずれ)が発生している。
【0004】
従って、ディスクドライブでは、ディスク上の目標位置に磁気ヘッドを位置決めするときに、リードヘッドとライトヘッドのそれぞれに対して、オフセットに基づいた位置調整を行なうオフセット制御が実行されている。オフセット制御は、ディスク上の半径位置に依存して変化するオフセット値に基づいて実行されている。但し、このオフセット値は、同一トラック内では、ディスクの1回転に亘って変化しない値である。
【0005】
ところで、ディスクドライブでは、スピンドルモータの取り付け誤差などにより、ディスク偏心(disk runout)という現象が発生する。ディスク偏心が発生すると、ディスクの回転中心に対する回転円軌跡から、サーボトラックの偏差(サーボトラック偏心)が発生する。このため、同一トラック内では、ディスクの1回転に亘って変化しないオフセット値では、磁気ヘッドに対する正確なオフセット制御を行なうことはできなくなる。
【0006】
このような問題を解消するために、ディスク偏心量に基づいてオフセット値を変化させて、オフセット制御を行なうダイナミック・オフセット制御(DOC:dynamic offset control)と呼ぶ技術が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。また、このDOC技術に関連して、ディスク偏心量を測定するための技術が提案されている(例えば、特許文献3,4を参照)。
【0007】
特許文献1の先行技術文献には、トラック半径位置に依存して変化する第1のオフセット値と共に、ディスク1回転に亘って算出する第2のオフセット値を使用するオフセット制御が開示されている。また、特許文献2の先行技術文献には、前述の第1のオフセット値を使用すると共に、ディスク1回転内で変化する第2のオフセット値をデータのエラーレート品質を用いて直接観測する方法が開示されている。
【0008】
特許文献3の先行技術文献には、磁気ヘッドが搭載されているアクチュエータを特定の位置に固定して、ディスク1回転分のシリンダアドレス情報をサーボセクタから取得することにより、サーボトラック偏心を測定する方法が開示されている。また、特許文献4の先行技術文献には、ディスク1回転のクロックマークの時間間隔変化量からサーボトラック偏心を推定する測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−216378号公報
【特許文献2】特開2007−172733号公報
【特許文献3】特開平11−126444号公報
【特許文献4】特許第3198490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、ディスク偏心により、ヘッド位置決めの基準となるサーボトラックは、ディスクの回転中心に対する回転円軌跡に対して偏差(サーボトラック偏心)が生ずる。このことは、サーボトラックに位置決めされているリードヘッドの半径位置が、ディスク1回転内で変化することを意味する。従って、リードヘッドとライトヘッドのオフセット値も、ディスク1回転内で変化させる必要がある。
【0011】
ここで、サーボトラック偏心が生じる主な原因は、ディスク上にサーボトラックを構成するためのサーボ情報を記録するサーボトラックライタにより、ディスク偏心が生じるためである。さらに、ディスクドライブに、サーボ情報を記録したディスクを組み込む際にもディスク偏心が生じるため、それらのディスク偏心が合わさってより大きなディスク偏心が生じることに起因する。
【0012】
以上のように、オフセット値をディスク1回転内で変化させる方法として、前述の各先行技術文献で提案されている方法があるが、サーボトラック偏心情報とディスクドライブの各部品や機構の寸法などに基づいて、間接的にオフセット値を算出推定する方法が採用されている。しかしながら、このような方法は、オフセット値の測定誤差が大きいという問題がある。特に、ディスクドライブの各部品や機構の寸法は、ディスクドライブ毎のばらつきが大きく、またドライブが駆動する温度などの環境条件により変化するため、オフセット値を正確に測定することは困難である。
【0013】
また、特許文献3の先行技術文献には、ディスク1回転内で変化するリードヘッドとライトヘッドのオフセット値を、データトラックに対してオフトラックさせながらリードエラー品質のコンター(等値線)図を測定することで直接観測する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、測定に要する時間が掛かり、実用化が困難という問題がある。特に、ディスクドライブでは、外部から衝撃が加わった場合、ディスクシフトが生じて、ディスク偏心量が変化する。従って、オフセット値は、磁気ヘッドをディスク上にロードする度に、頻繁に測定することが望まれる。これにより、オフセット値の測定時間は、ディスクドライブのデータアクセス性能の劣化を招く要因となる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ディスクドライブにおいて、ディスク1回転内で変化するオフセット値を直接的に測定することにより、短時間で高精度にオフセット値を測定できることで、データアクセス性能の劣化を招くことがない実用的なオフセット制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の観点に従ったディスクドライブは、サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドと、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する生成手段と、前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む書き込み手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リードヘッドとライトヘッドのオフセット値を直接的に測定できるため、高精度でかつ短時間の測定により、ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出することができる。これにより、データアクセス性能の劣化を招くことがなく確実にDOC機能を発揮できる実用的なディスクドライブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンのライトタイミング及びリードタイミングを説明するための図。
【図3】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域を説明するための図。
【図4】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域を説明するための図。
【図5】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域の変形例を説明するための図。
【図6】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域の変形例を説明するための図。
【図7】本実施形態に関してディスク偏心がない場合のオフセットについて説明するための図。
【図8】本実施形態に関してディスク偏心がある場合のオフセットについて説明するための図。
【図9】本実施形態に関するディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図10】本実施形態の第1の変形例に関するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図11】本実施形態の第2の変形例に関するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図12】本実施形態に関するオフセット値の更新方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(ディスクドライブの構成)
図1は、本実施形態に関するディスクドライブ100の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
本実施形態のディスクドライブ100は、図1に示すように、磁気ヘッド101と、磁気記録媒体であるディスク媒体(以下、ディスクと表記する)103と、当該ディスク103を回転させるスピンドルモータ(SPM)106と、磁気ヘッド101を搭載してディスク103上の半径方向に移動させるアクチュエータとを含む装置機構(ドライブメカニズム)、及び後述する制御・信号処理系を有する。
【0021】
磁気ヘッド101は、ディスク103からデータやサーボ情報を読出す(再生する)ためのリードヘッドと、ディスク103にデータやオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)を書き込む(記録する)ためのライトヘッドとを有する。磁気ヘッド101は、ヘッド本体である1つのスライダ上に、リードヘッドとライトヘッドとが分離して実装されている。
【0022】
アクチュエータは、磁気ヘッド101を搭載しているサスペンションおよびアーム102、回転軸となるピボット104、及びコイル、磁石、ヨークを含み、駆動力を発生するボイスコイルモータ(VCM)105から構成されている。アクチュエータは、後述するマイクロプロセッサ(CPU)112のヘッド位置決め制御(サーボ制御)により、ディスク103上の半径方向に移動制御される。これにより、磁気ヘッド101は、ディスク103上の目標位置(目標トラック)に位置決めされる。
【0023】
ディスク103上には、周方向に所定の間隔を有する放射状の複数のサーボ領域200が設けられており、さらに同心円状の多数のトラック(シリンダ)201が構成される。なお、トラック201は、ライトヘッドによりユーザデータが記録されたデータトラック、あるいは複数のサーボ領域200から構成されるサーボトラックを意味する。
【0024】
サーボ領域200には、各トラックを識別するためのアドレスコード(シリンダコード)、及びトラック内の磁気ヘッド101の位置を検出するためのサーボバースト信号を含むサーボ情報が記録されている。CPU112は、リードヘッドにより読出されるサーボ情報を使用して、ヘッド位置決め制御(サーボ制御)を実行する。
【0025】
制御・信号処理系は、モータドライバ107と、ヘッドアンプユニット108と、リード/ライトチャネル109と、ハードディスクコントローラ(HDC)111と、CPU112と、メモリ113とを有する。モータドライバ107は、SPM106に駆動電流を供給するSPMドライバ107A及びVCM105に駆動電流を供給するVCMドライバ107Bを有する。
【0026】
ヘッドアンプユニット108は、磁気ヘッド101のリードヘッドにより読出されたリード信号RSを増幅してリード/ライトチャネル109に出力するリードアンプ108Aを含む。また、ヘッドアンプユニット108は、リード/ライトチャネル109から出力されるライトデータWDをライト信号(ライト電流)WSに変換して、磁気ヘッド101のライトヘッドに供給するライトドライバ108Bを含む。ライトドライバ108Bは、データ変調/復調ユニット114から出力されるライトゲートDWG-2のタイミングで、ライトデータWDをライト信号WSに変換する。
【0027】
リード/ライトチャネル109は、リード/ライトデータ信号を処理する信号処理ユニットであり、データ変調/復調ユニット114と、オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115と、サーボ復調ユニット116とを有する。
【0028】
データ変調/復調ユニット114は、HDC111からライトゲートDWG1のタイミングで転送される記録データ125をライトデータWDに変調(符号化)する。また、データ変調/復調ユニット114は、リードアンプ108Aから出力されるリードデータ信号RDを、HDC111からのリードゲートDRGのタイミングで再生データ125に復調(復号化)してHDC111に出力する。
【0029】
オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115は、HDC111から出力されるサーボライトゲート信号117(SWG-1)のタイミングで、サーボライトゲート信号121(SWG-2)及びオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)を含むサーボ記録データ122を生成する。このとき、ユニット115は、サーボ復調ユニット116から同期信号124を入力する。
【0030】
サーボ復調ユニット116は、リードアンプ108Aから出力されるサーボ再生信号123から、アドレスコード及びサーボバースト信号(A〜D)を含むサーボデータ120に復調(復号化)してHDC111に出力する。このとき、サーボ復調ユニット116は、HDC111から出力されるサーボリードゲート118(SRG-A)及びサーボリードゲート119(SRG-B)のタイミングで、サーボバースト信号(バーストパターンA,B)を復調する。
【0031】
HDC111は、ディスクドライブ100とホストシステム(パーソナルコンピュータやディジタル機器)110とのインタフェースを構成し、ホストシステム110とのユーザデータのリード/ライト転送制御などを実行する。また、HDC111は、リード/ライトチャネル109のリード/ライト動作を制御する。
【0032】
CPU112は、ディスクドライブ100のメインコントローラであり、ヘッド位置決め制御(サーボ制御)を実行するためのサーボシステムのメイン要素である。CPU112は、ヘッド位置決め制御でのシーク動作及びトラック追従動作(位置制御)と共に、本実施形態に関するオフセット制御(DOC)を実行する。
【0033】
メモリ113は、フラッシュメモリ、ROM、及びRAMを含み、CPU112の制御動作に必要な各種のデータを格納する。
【0034】
(オフセット値を算出方法)
以下、図2から図11を参照して、本実施形態に関するオフセット値を算出方法を説明する。図2(A)から(H)は、本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を書き込むためのライトタイミング及び読出すためのリードタイミングを説明するための図である。
【0035】
まず、図7を参照して、ディスク偏心(サーボトラック偏心)がない場合において、磁気ヘッド101に含まれるリードヘッド30とライトヘッド50のオフセットについて説明する。図7において、400は磁気ヘッド101の走行方向を示し、410はディスク103の回転方向を示す。
【0036】
ディスクドライブ100では、前述したように、CPU112は、ディスク103上のサーボ領域200に記録されたサーボ情報に基づいて、磁気ヘッド101の位置決め制御を実行する。なお、図7では、サーボ領域200には、便宜上、精密位置情報141であるサーボバースト信号A〜Dのみが記載されているが、実際には、同期信号、サーボアドレス情報(トラックアドレスコード)なども記録されている。
【0037】
ヘッド位置決め制御では、リードヘッド30は、サーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、サーボトラックの中心に位置決めされる。このとき、リードヘッド30は、そのギャップ中心軌跡に等しいサーボトラック4上に位置決めされている。ここでは、サーボトラックの中心を、便宜的にサーボトラック4,7と定義する。
【0038】
図7では、サーボトラック4の半径R、即ちディスクの回転中心からサーボトラック4までの距離は、ディスク1回転DTに亘ってどこでも同じ値である。これは、サーボトラック4がディスクの回転中心に対する回転円軌跡に対して偏差が発生していない場合、即ちサーボトラック偏心(ディスク偏心)が発生していないことを意味している。
【0039】
また、図7では、ライトヘッド50のギャップ中心軌跡に等しいサーボトラック7は、リードヘッド30の位置決め軌跡であるサーボトラック4に対して、ディスク1回転DTに亘って一定距離のオフセット(リード/ライトオフセット)6だけ離れた位置に配置されることになる。これは、リードヘッド30に対するサーボトラック4の半径がディスク1回転DTに亘って一定である場合、リードヘッド30のギャップ中心とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線とサーボトラック4とのなす角であるスキュ角θは一定であることを意味する。これにより、オフセット6は、下記式(1)により算出される。
【0040】
オフセット6=ギャップ中心間隔G×SIN(θ)=一定…(1)
なお、図7では、磁気ヘッド101が搭載されるアクチュエータ(アーム)102の回転中心であるピボット104とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線40上に、リードヘッド30のギャップ中心が配置されるインライン型の磁気ヘッド101が想定されている。従って、データライト時には、データ領域201のサーボトラック7上に、データトラック204がライトヘッド50により形成される。データリード時には、リードヘッド30は、一定のオフセット6だけ位置調整が行われて、サーボトラック7上に位置決めされてデータの読出し動作を実行する。
【0041】
次に、図8を参照して、ディスク偏心(サーボトラック偏心)がある場合において、前述のオフセットについて説明する。
【0042】
リードヘッド30は、サーボ領域200のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、サーボトラック24の中心に位置決めされる。このとき、リードヘッド30のギャップ中心軌跡であるサーボトラック24は、サーボトラック偏心を有する場合である。即ち、ディスク103の回転中心からサーボトラック24までの距離であるサーボトラック24の半径は、ディスク1回転DT内で変化する(R1〜R5)。
【0043】
このようなサーボトラック偏心(ディスク偏心)を有することは、ディスクドライブにおいては一般的である。ここで、ディスクドライブの製造工程時に、ディスク103上のサーボ領域200に記録されるサーボ情報は、サーボ情報の専用書き込み装置であるサーボトラックライタ(STW)により記録される。このような製造工程時に、ディスク103をSPM106に取り付ける場合に、ディスク103の中心がSPM106の回転中心からずれることにより、サーボトラック中心がディスク回転中心に一致させることは困難である。
【0044】
図8は、リードヘッド30に対するサーボトラック24の半径(R1〜R5)がディスク1回転DT内で変化する様子を示している。この変化により、リードヘッド30のギャップ中心とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線とサーボトラック24とのなす角であるスキュ角θは、ディスク1回転DT内で変化する(θ1〜θ3)。従って、リード/ライトヘッド30,50間のオフセット26は、ディスク1回転DT内で変化する。このオフセット26は、リードヘッド30のギャップ中心軌跡であるサーボトラック24に対して、ライトヘッド50のギャップ中心軌跡27までの距離である
この場合、サーボトラック24から一定距離(オフセット6)に位置するサーボトラック(点線)上に、リードヘッド30をオフセット制御(位置調整)してデータを再生する場合、データライト軌跡27に対して偏差を生じることになる。
【0045】
そこで、本実施形態のディスクドライブ100は、図2及び図9に示すように、ディスク103上のサーボ領域200以外の非サーボ領域205の特定の領域において、オフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を書き込み、このオフセット測定用サーボパターン142,143を再生することにより、ディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する。
【0046】
まず、図2を参照して、オフセット測定用サーボパターン142,143のライトタイミング及びリードタイミングを説明する。
【0047】
ここで、オフセット測定用サーボパターン142,143は、通常のサーボ情報に含まれる精密位置情報であるサーボバースト信号A〜Dに相当するバースト信号(便宜的にM,N)である。
【0048】
リード/ライトチャネル109では、サーボ復調ユニット116は、図2(B)に示すように、HDC111からのサーボリードゲート信号118(SRG-A)のタイミングに応じて、リードヘッド30によりサーボ領域200から読出されたサーボデータ120を復調する。なお、図2(A)に示すように、サーボ領域200は、同期信号145とサーボアドレス情報(トラックアドレスコードやセクタアドレスコード)146が記録された領域140、及びサーボバースト信号A〜Dが記録された領域141を含む。図2(C)に示すように、復調されたサーボデータ120には、同期信号145、サーボアドレス情報146、サーボバースト信号A〜D(147〜149)が含まれている。
【0049】
オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115は、図2(D),(E),(F)に示すように、HDC111から出力されるサーボライトゲート信号117(SWG-1)のタイミングで、サーボライトゲート信号121(SWG-2)及びオフセット測定用サーボパターンを含むサーボ記録データ122を生成する。
【0050】
ライトドライバ108Bは、生成ユニット115から出力されるサーボ記録データ122を、バースト信号142,143を含むサーボデータ信号151に変換してライトヘッド50に供給する。ライトドライバ108Bは、サーボライトゲート信号121(SWG-2)のタイミングで、サーボデータ信号151に変換してライトヘッド50に供給する。これにより、図2(A)に示すように、サーボ領域200以外で、例えば隣接する非サーボ領域205の特定の領域に、オフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を、いわばセルフサーボライト方法により記録することができる。
【0051】
一方、サーボ復調ユニット116は、図2(G),(H)に示すように、HDC111からのサーボリードゲート信号119(SRG-B)のタイミングに応じて、リードヘッド30により読出されたサーボデータ120からオフセット測定用サーボパターン142,143に対応するバースト信号152,153を復調する。
【0052】
以上のような方法により、ディスク103上の特定領域205に記録されたオフセット測定用サーボパターン142,143を再生することにより、ディスク1回転内で変化するオフセット値(図8に示すオフセット26)を算出する方法を、図9を参照して具体的に説明する。
【0053】
前述したように、CPU112は、オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115を使用して、データトラック軌跡に相当するライトヘッド50の軌跡(ライトヘッド軌跡45)上に、オフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする。即ち、ディスク媒体103上のサーボ領域200以外の非サーボ領域205の特定の領域において、サーボバースト信号A,Bに相当するバースト信号142,143を記録する。図9において、符号500は、セルフサーボライトするときのリードヘッド30とライトヘッド50の位置を示す。
【0054】
次に、CPU112は、リードヘッド30を予め求められた一定距離のオフセットOFaだけオフセットさせて、リードヘッド軌跡51上に位置調整する。リードヘッド30は、セルフサーボライトしたオフセット測定用サーボパターン142,143を読み出す。CPU112は、HDC111を介して、オフセット測定用サーボパターン142,143に基づいて、リードヘッド30の位置誤差情報を取得することにより、ディスク1回転内で変化するリードヘッド30とライトヘッド50のオフセット値を、ディスク1回転DTに亘って直接的に高精度で観測する。
【0055】
CPU112は、サーボ領域200から通常のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、リードヘッド30を位置決め制御を行なう。このとき、図9に示すように、リードヘッド30は、リードヘッド軌跡46上にあり、またこれに対応してライトヘッド50はライトヘッド軌跡45上にある。
【0056】
次に、リードヘッド30を、ライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値61、リードヘッド軌跡63)させた状態で、ライトヘッド50により非サーボ領域205にバースト信号143をライトする。このとき、ライトヘッド50は、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、ライトヘッド軌跡65上に位置調整されて、バースト信号143をセルフサーボライトする。
【0057】
さらに、同様にして、リードヘッド30をライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値60、リードヘッド軌跡62)させた状態で、ライトヘッド50により非サーボ領域205にバースト信号142をライトする。このとき、ライトヘッド50は、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、ライトヘッド軌跡64上で位置調整されて、バースト信号142をセルフサーボライトする。
【0058】
CPU112は、リードヘッド30を、予め求めた一定距離のオフセットOFaだけオフセットさせる。CPU112は、リードヘッド30により、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、セルフサーボライトしたバースト信号142,143を再生する。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報OFe(s)を算出する。なお、(s)は、ディスク1回転内で変化する値であることを表している。このOFe(s)は、オフセット誤差に等しい。CPU112は、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)を、下記式(2)により算出する。なお、オフセットOFaは、ディスク103の半径位置に依存して求められた一定値(一定の距離)である。
【0059】
OF(s)=OFa+OFe(s)…(2)
(第1の変形例)
図10は、前述の本実施形態のディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法の変形例を説明するための図である。
【0060】
本変形例においても、非サーボ領域205に対して、バースト信号142,143からオフセット測定用サーボパターンをセルサーボライトする方法は、図9に示す本実施形態の方法と同様である。
【0061】
本変形例では、セルフサーボライトしたバースト信号142,143から位置誤差情報を算出する場合に、CPU112は、ディスク1回転内で変化するオフセット値OFb(s)を使用して、リードヘッド30を位置決め制御する。即ち、CPU112は、図10に示すように、点線で示すリードヘッド軌跡72上にリードヘッド30を位置調整する。CPU112は、リードヘッド30により読出されたバースト信号142,143から、位置誤差情報OFe(s)を算出する。この場合、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)は、下記式(3)により求められる。
【0062】
OF(s)=OFb(s)+OFe(s)…(3)
(第2の変形例)
また、図11は、前述の本実施形態のディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法の変形例を説明するための図である。
【0063】
本変形例では、CPU112は、サーボ領域200のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、リードヘッド30の位置調整を行う。即ち、CPU112は、図11に示すように、点線で示すリードヘッド軌跡90上にリードヘッド30を位置調整する。
【0064】
このとき、CPU112は、軌跡84と軌跡90との誤差である位置変化量PO(s)を使用して、リードへッド30の位置を、リードヘッド軌跡84に対して、ライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値61、リードヘッド軌跡86)させる。そして、CPU112は、ライトヘッド軌跡89上に位置調整されたライトヘッド50により、バースト信号143をセルフサーボライトする。同様にして、CPU112は、リードヘッド30を、前述と同等の一定値でオフセット(オフセット値60、リードヘッド軌跡85)させる。そして、CPU112は、ライトヘッド軌跡88上に位置調整されたライトヘッド50により、バースト信号142をセルフサーボライトする。
【0065】
次に、CPU112は、リードヘッド30を、予め求めた一定距離のオフセットOFcだけリードヘッド軌跡90に対してオフセットさせる。CPU112は、リードヘッド30により読出されたバースト信号142,143から、位置誤差情報OFe(s)を算出する。この場合、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)は、下記式(4)により求められる。
【0066】
OF(s)=PO(s)+OFc+OFe(s)…(4)
(オフセット測定用サーボパターンの記録領域)
図3及び図4は、本実施形態のオフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域の具体例を示す図である。
【0067】
即ち、本実施形態では、図3及び図4に示すように、オフセット測定用サーボパターン142,143の記録領域は、ディスク媒体103上の最外周及び最内周のそれぞれ例えば1トラック分で、ユーザデータを記録再生しない領域202,203である。なお、記録領域としては、最外周領域202または最内周領域203の一方でもよいが、最内周領域203の方が望ましい。
【0068】
このような最外周及び最内周の領域202,203から読出されたバースト信号142,143を使用して、リードヘッド30とライトヘッド50のオフセット値OF(s)が測定される。この場合、データ領域201でのオフセット値は、機構系の寸法から理論計算で補正されたオフセット値OF2(s)が用いられる。なお、前記補正されるオフセット値OF2(s)を求めるに当たって、最外周あるいは最内周のどちらかで得たオフセット値を用いる。あるいは、その両方の領域で得たオフセット値を用いてもよい。
【0069】
図5及び図6は、本実施形態のオフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域の変形例を示す図である。本変形例では、図5及び図6に示すように、サーボ領域200とデータ領域201との間に、オフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域300が設けられている。この記録領域300は、ユーザの記録再生されない領域である。
【0070】
以上のように本実施形態によれば、ディスク1回転内で変化するリードヘッドとライトヘッドのオフセット値を直接的に算出することができる。従って、ディスク1回転内で変化するオフセット値を、高精度でかつ、短時間の計算処理により求めることができるため、DOC機能を有するディスクドライブ100のデータアクセス性能の劣化を招くことがなく、実用的である。また、オフセット測定用サーボパターン(測定用位置情報)を記録する特定領域として、ディスク媒体103上の例えば2トラック分程度の限定された領域を確保すればよいので、記録密度の劣化を招くことはない。
【0071】
(オフセット値の更新方法)
前述したように、本実施形態のディスクドライブは、ディスク103に記録したオフセット測定用位置情報に基づいて、ディスク103の1回転内で変化するオフセット値OF(s)を算出する機能を有する。このオフセット値OF(s)は、便宜的に第1のオフセット値とするオフセットOFaと位置誤差情報OFe(s)とを合算した値であり、便宜的に第2のオフセット値とする。第1のオフセット値OFaは、ディスク103の半径位置に依存して求められた一定値である。位置誤差情報OFe(s)は、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143から算出された値である(前述の数式(2)を参照)。
【0072】
ここで、第2のオフセット値OF(s)は、ディスク偏心(disk runout)に起因して生じる。ディスクドライブでは、CPU112は、算出した第2のオフセット値OF(s)をメモリ113に保存し、ヘッド位置決め制御時にDOC動作を実行する。仮にディスク偏心量が変化しなければ、第2のオフセット値OF(s)の更新は不要である。
【0073】
一般的に、ディスクドライブでは、ディスク103は、ディスククランパ(disk clamper)と呼ぶ部品により、SPM106に押え付けられている。このディスククランパのクランプ力を超える外部からの強い衝撃や振動が加わると、ディスクシフトを生じて、その結果ディスク偏心量が変化してしまう。このため、ディスクシフト後では、第2のオフセット値OF(s)を更新する必要がある。
【0074】
以下、図12のフローチャートを参照して、本実施形態のオフセット値OF(s)の更新方法を説明する。
【0075】
まず、ディスクドライブ100の製造工程において、前述した手順により、CPU112は、初回のオフセット値OF(s)の算出処理を実行する(前記数式(2)を参照)。即ち、CPU112は、図9に示すように、ディスク103上の測定領域203のサーボトラック(軌跡46)上にリードヘッド30をシークさせる(ブロックB1)。CPU112は、ライトヘッド軌跡45上にあるライトヘッド50により、非サーボ領域205にオフセット測定用位置情報であるバースト信号(サーボバーストパターン)142,143を書き込む(ブロックB2)。
【0076】
次に、CPU112は、第1のオフセット値OFaを使用して、リードヘッド30のオフセット制御を実行して、非サーボ領域205に位置調整する(ブロックB3)。CPU112は、リードヘッド30により、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143を読出して再生する(ブロックB4)。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報OFe(s)を算出し、このOFe(s)と第1のオフセット値OFaとを合算して、ディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)を算出する(ブロックB5)。CPU112は、この算出したオフセット値OF(s)をメモリ113に保存し、リード/ライト動作におけるヘッド位置決め制御時のDOC動作に使用する。
【0077】
次に、CPU112は、例えば加速度センサにより、ディスクドライブ100に対して外部から衝撃や振動が加わったことが検知された場合に、オフセット値OF(s)の更新処理を実行する。また、更新処理の実行タイミングとしては、ディスクドライブ100の起動時などにおいて、ヘッド101を退避位置からディスク103上にロードさせて、リード/ライト動作を実行する前でもよい。
【0078】
CPU112は、図9に示すように、ディスク103上の測定領域203のサーボトラック(軌跡46)上にリードヘッド30をシークさせる(ブロックB6)。次に、CPU112は、前回算出したオフセット値OF(s)をメモリ113から取得して、リードヘッド30のDOC動作を実行し、非サーボ領域205に位置調整する(ブロックB7)。CPU112は、リードヘッド30により、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143を読出して再生する(ブロックB8)。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報Pe(s)を算出する(ブロックB9)。
【0079】
CPU112は、算出した位置誤差情報Pe(s)と予め設定した閾値Cと比較し、オフセット測定用位置情報(バースト信号142,143)を前回記録した時点からディスクシフトが発生しているか否かを判定する(ブロックB10)。即ち、基準値である閾値Cとは、測定精度として許容範囲を示す位置誤差値である。
【0080】
CPU112は、算出した位置誤差情報Pe(s)が閾値C未満の場合、即ち位置誤差情報Pe(s)が測定精度以下のほぼ0の値の場合には、ディスクシフトは発生していないと判定する(ブロックB12)。ディスクシフトが発生していない場合、サーボトラック偏心(ディスク偏心)の状態が変化しておらず、リードヘッド30は、図9に示すトラック軌跡45上を通ることになる。従って、リードヘッド30がサーボバーストパターン142,143を読み出して、算出された位置誤差情報Pe(s)は、測定精度以下のほぼ0の値となる。このような場合には、オフセット値OF(s)を再度算出しても変化しないため、更新する必要は無く、前回のオフセット値OF(s)を維持する(ブロックB13)。
【0081】
一方、前回記録した時点からディスクシフトが発生した場合は、リードヘッド30はトラック軌跡45上を通過しない。従って、リードヘッド30がサーボバーストパターン142,143を読み出して、算出された位置誤差情報Pe(s)は、閾値Cを超える位置誤差を生じることになる。CPU112は、ディスクシフトは発生していると判定し、前述の一連の方法によるオフセット値OF(s)を再度算出する処理に移行する(ブロックB11)。従って、CPU112は、再度算出した新たなオフセット値OF(s)をメモリ113に保存して更新する。
【0082】
なお、本実施形態では、前記のオフセット値の更新処理が終了するまで、図3及び図4に示す最外周領域202または最内周領域203に記録されたオフセット測定用位置情報(バースト信号142,143)は、そのまま保持される。
【0083】
以上のようにして、ディスクドライブ100の製造工程において、初回のオフセット値OF(s)の算出処理後に、ディスクシフトが発生していない場合には、算出したオフセット値OF(s)の更新を実行せずに、そのまま維持する。一方、DOC動作によるリードヘッドの位置誤差が基準値である閾値を超える場合には、ディスクシフトが発生していると判定する。この場合には、オフセット測定用位置情報(サーボバーストパターン142,143)を再度記録して、一連の算出方法により新たなオフセット値OF(s)を再度算出して、メモリ113に保存しているオフセット値を更新する。
【0084】
本実施形態の方法であれば、温度などの影響を受けることなく、ディスク1回転分に相当する短時間で、高精度にディスクシフトの有無を判定することが可能である。また、ディスクシフトが発生しない場合には、オフセット値を更新しないため、ライトヘッドによるオフセット測定用位置情報の書き込み動作を行なう処理などを省略できるため、更新処理の時間短縮を図ることができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
30…リードヘッド、50…ライトヘッド、100…ディスクドライブ、
101…磁気ヘッド、102…アーム、103…ディスク媒体、104…ピボット、
105…ボイスコイルモータ(VCM)、106…スピンドルモータ(SPM)、
107…モータドライバ、107A…SPMドライバ、107B…VCMドライバ、
108…ヘッドアンプユニット、109…リード/ライトチャネル、
110…ホストシステム、111…ハードディスクコントローラ(HDC)、
112…マイクロプロセッサ(CPU)、113…メモリ、
114…データ変調/復調ユニット、
115…オフセット測定用サーボパターン生成ユニット、
116…サーボ復調ユニット、200…サーボ領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブなどのディスク記憶装置に関し、特に、リード/ライトヘッド間のオフセットを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、ディスクドライブと表記する場合がある)では、磁気記録媒体であるディスク媒体(以下、単にディスクと表記する場合がある)に対してデータの記録再生を行なう磁気ヘッドが設けられている。この磁気ヘッドは、ロータリ型アクチュエータに搭載されて、ディスク上の半径方向に移動されて、目標のトラック(又はシリンダ)に位置決めされる。
【0003】
磁気ヘッドは、1つのスライダ(ヘッド本体)上に、リードヘッドとライトヘッドとが分離して実装されている。リードヘッドは、例えばGMR素子からなり、データを読出すためのヘッドである。ライトヘッドは、データを書き込むヘッドである。このような構造から、磁気ヘッドでは、ディスク上の半径位置に依存して、リードヘッドとライトヘッドのそれぞれのトラック軌跡に、一定のオフセット(位置ずれ)が発生している。
【0004】
従って、ディスクドライブでは、ディスク上の目標位置に磁気ヘッドを位置決めするときに、リードヘッドとライトヘッドのそれぞれに対して、オフセットに基づいた位置調整を行なうオフセット制御が実行されている。オフセット制御は、ディスク上の半径位置に依存して変化するオフセット値に基づいて実行されている。但し、このオフセット値は、同一トラック内では、ディスクの1回転に亘って変化しない値である。
【0005】
ところで、ディスクドライブでは、スピンドルモータの取り付け誤差などにより、ディスク偏心(disk runout)という現象が発生する。ディスク偏心が発生すると、ディスクの回転中心に対する回転円軌跡から、サーボトラックの偏差(サーボトラック偏心)が発生する。このため、同一トラック内では、ディスクの1回転に亘って変化しないオフセット値では、磁気ヘッドに対する正確なオフセット制御を行なうことはできなくなる。
【0006】
このような問題を解消するために、ディスク偏心量に基づいてオフセット値を変化させて、オフセット制御を行なうダイナミック・オフセット制御(DOC:dynamic offset control)と呼ぶ技術が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。また、このDOC技術に関連して、ディスク偏心量を測定するための技術が提案されている(例えば、特許文献3,4を参照)。
【0007】
特許文献1の先行技術文献には、トラック半径位置に依存して変化する第1のオフセット値と共に、ディスク1回転に亘って算出する第2のオフセット値を使用するオフセット制御が開示されている。また、特許文献2の先行技術文献には、前述の第1のオフセット値を使用すると共に、ディスク1回転内で変化する第2のオフセット値をデータのエラーレート品質を用いて直接観測する方法が開示されている。
【0008】
特許文献3の先行技術文献には、磁気ヘッドが搭載されているアクチュエータを特定の位置に固定して、ディスク1回転分のシリンダアドレス情報をサーボセクタから取得することにより、サーボトラック偏心を測定する方法が開示されている。また、特許文献4の先行技術文献には、ディスク1回転のクロックマークの時間間隔変化量からサーボトラック偏心を推定する測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−216378号公報
【特許文献2】特開2007−172733号公報
【特許文献3】特開平11−126444号公報
【特許文献4】特許第3198490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、ディスク偏心により、ヘッド位置決めの基準となるサーボトラックは、ディスクの回転中心に対する回転円軌跡に対して偏差(サーボトラック偏心)が生ずる。このことは、サーボトラックに位置決めされているリードヘッドの半径位置が、ディスク1回転内で変化することを意味する。従って、リードヘッドとライトヘッドのオフセット値も、ディスク1回転内で変化させる必要がある。
【0011】
ここで、サーボトラック偏心が生じる主な原因は、ディスク上にサーボトラックを構成するためのサーボ情報を記録するサーボトラックライタにより、ディスク偏心が生じるためである。さらに、ディスクドライブに、サーボ情報を記録したディスクを組み込む際にもディスク偏心が生じるため、それらのディスク偏心が合わさってより大きなディスク偏心が生じることに起因する。
【0012】
以上のように、オフセット値をディスク1回転内で変化させる方法として、前述の各先行技術文献で提案されている方法があるが、サーボトラック偏心情報とディスクドライブの各部品や機構の寸法などに基づいて、間接的にオフセット値を算出推定する方法が採用されている。しかしながら、このような方法は、オフセット値の測定誤差が大きいという問題がある。特に、ディスクドライブの各部品や機構の寸法は、ディスクドライブ毎のばらつきが大きく、またドライブが駆動する温度などの環境条件により変化するため、オフセット値を正確に測定することは困難である。
【0013】
また、特許文献3の先行技術文献には、ディスク1回転内で変化するリードヘッドとライトヘッドのオフセット値を、データトラックに対してオフトラックさせながらリードエラー品質のコンター(等値線)図を測定することで直接観測する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、測定に要する時間が掛かり、実用化が困難という問題がある。特に、ディスクドライブでは、外部から衝撃が加わった場合、ディスクシフトが生じて、ディスク偏心量が変化する。従って、オフセット値は、磁気ヘッドをディスク上にロードする度に、頻繁に測定することが望まれる。これにより、オフセット値の測定時間は、ディスクドライブのデータアクセス性能の劣化を招く要因となる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ディスクドライブにおいて、ディスク1回転内で変化するオフセット値を直接的に測定することにより、短時間で高精度にオフセット値を測定できることで、データアクセス性能の劣化を招くことがない実用的なオフセット制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の観点に従ったディスクドライブは、サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドと、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する生成手段と、前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む書き込み手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リードヘッドとライトヘッドのオフセット値を直接的に測定できるため、高精度でかつ短時間の測定により、ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出することができる。これにより、データアクセス性能の劣化を招くことがなく確実にDOC機能を発揮できる実用的なディスクドライブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンのライトタイミング及びリードタイミングを説明するための図。
【図3】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域を説明するための図。
【図4】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域を説明するための図。
【図5】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域の変形例を説明するための図。
【図6】本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターンの記録領域の変形例を説明するための図。
【図7】本実施形態に関してディスク偏心がない場合のオフセットについて説明するための図。
【図8】本実施形態に関してディスク偏心がある場合のオフセットについて説明するための図。
【図9】本実施形態に関するディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図10】本実施形態の第1の変形例に関するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図11】本実施形態の第2の変形例に関するオフセット値を算出する方法を説明するための図。
【図12】本実施形態に関するオフセット値の更新方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(ディスクドライブの構成)
図1は、本実施形態に関するディスクドライブ100の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
本実施形態のディスクドライブ100は、図1に示すように、磁気ヘッド101と、磁気記録媒体であるディスク媒体(以下、ディスクと表記する)103と、当該ディスク103を回転させるスピンドルモータ(SPM)106と、磁気ヘッド101を搭載してディスク103上の半径方向に移動させるアクチュエータとを含む装置機構(ドライブメカニズム)、及び後述する制御・信号処理系を有する。
【0021】
磁気ヘッド101は、ディスク103からデータやサーボ情報を読出す(再生する)ためのリードヘッドと、ディスク103にデータやオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)を書き込む(記録する)ためのライトヘッドとを有する。磁気ヘッド101は、ヘッド本体である1つのスライダ上に、リードヘッドとライトヘッドとが分離して実装されている。
【0022】
アクチュエータは、磁気ヘッド101を搭載しているサスペンションおよびアーム102、回転軸となるピボット104、及びコイル、磁石、ヨークを含み、駆動力を発生するボイスコイルモータ(VCM)105から構成されている。アクチュエータは、後述するマイクロプロセッサ(CPU)112のヘッド位置決め制御(サーボ制御)により、ディスク103上の半径方向に移動制御される。これにより、磁気ヘッド101は、ディスク103上の目標位置(目標トラック)に位置決めされる。
【0023】
ディスク103上には、周方向に所定の間隔を有する放射状の複数のサーボ領域200が設けられており、さらに同心円状の多数のトラック(シリンダ)201が構成される。なお、トラック201は、ライトヘッドによりユーザデータが記録されたデータトラック、あるいは複数のサーボ領域200から構成されるサーボトラックを意味する。
【0024】
サーボ領域200には、各トラックを識別するためのアドレスコード(シリンダコード)、及びトラック内の磁気ヘッド101の位置を検出するためのサーボバースト信号を含むサーボ情報が記録されている。CPU112は、リードヘッドにより読出されるサーボ情報を使用して、ヘッド位置決め制御(サーボ制御)を実行する。
【0025】
制御・信号処理系は、モータドライバ107と、ヘッドアンプユニット108と、リード/ライトチャネル109と、ハードディスクコントローラ(HDC)111と、CPU112と、メモリ113とを有する。モータドライバ107は、SPM106に駆動電流を供給するSPMドライバ107A及びVCM105に駆動電流を供給するVCMドライバ107Bを有する。
【0026】
ヘッドアンプユニット108は、磁気ヘッド101のリードヘッドにより読出されたリード信号RSを増幅してリード/ライトチャネル109に出力するリードアンプ108Aを含む。また、ヘッドアンプユニット108は、リード/ライトチャネル109から出力されるライトデータWDをライト信号(ライト電流)WSに変換して、磁気ヘッド101のライトヘッドに供給するライトドライバ108Bを含む。ライトドライバ108Bは、データ変調/復調ユニット114から出力されるライトゲートDWG-2のタイミングで、ライトデータWDをライト信号WSに変換する。
【0027】
リード/ライトチャネル109は、リード/ライトデータ信号を処理する信号処理ユニットであり、データ変調/復調ユニット114と、オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115と、サーボ復調ユニット116とを有する。
【0028】
データ変調/復調ユニット114は、HDC111からライトゲートDWG1のタイミングで転送される記録データ125をライトデータWDに変調(符号化)する。また、データ変調/復調ユニット114は、リードアンプ108Aから出力されるリードデータ信号RDを、HDC111からのリードゲートDRGのタイミングで再生データ125に復調(復号化)してHDC111に出力する。
【0029】
オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115は、HDC111から出力されるサーボライトゲート信号117(SWG-1)のタイミングで、サーボライトゲート信号121(SWG-2)及びオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)を含むサーボ記録データ122を生成する。このとき、ユニット115は、サーボ復調ユニット116から同期信号124を入力する。
【0030】
サーボ復調ユニット116は、リードアンプ108Aから出力されるサーボ再生信号123から、アドレスコード及びサーボバースト信号(A〜D)を含むサーボデータ120に復調(復号化)してHDC111に出力する。このとき、サーボ復調ユニット116は、HDC111から出力されるサーボリードゲート118(SRG-A)及びサーボリードゲート119(SRG-B)のタイミングで、サーボバースト信号(バーストパターンA,B)を復調する。
【0031】
HDC111は、ディスクドライブ100とホストシステム(パーソナルコンピュータやディジタル機器)110とのインタフェースを構成し、ホストシステム110とのユーザデータのリード/ライト転送制御などを実行する。また、HDC111は、リード/ライトチャネル109のリード/ライト動作を制御する。
【0032】
CPU112は、ディスクドライブ100のメインコントローラであり、ヘッド位置決め制御(サーボ制御)を実行するためのサーボシステムのメイン要素である。CPU112は、ヘッド位置決め制御でのシーク動作及びトラック追従動作(位置制御)と共に、本実施形態に関するオフセット制御(DOC)を実行する。
【0033】
メモリ113は、フラッシュメモリ、ROM、及びRAMを含み、CPU112の制御動作に必要な各種のデータを格納する。
【0034】
(オフセット値を算出方法)
以下、図2から図11を参照して、本実施形態に関するオフセット値を算出方法を説明する。図2(A)から(H)は、本実施形態に関するオフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を書き込むためのライトタイミング及び読出すためのリードタイミングを説明するための図である。
【0035】
まず、図7を参照して、ディスク偏心(サーボトラック偏心)がない場合において、磁気ヘッド101に含まれるリードヘッド30とライトヘッド50のオフセットについて説明する。図7において、400は磁気ヘッド101の走行方向を示し、410はディスク103の回転方向を示す。
【0036】
ディスクドライブ100では、前述したように、CPU112は、ディスク103上のサーボ領域200に記録されたサーボ情報に基づいて、磁気ヘッド101の位置決め制御を実行する。なお、図7では、サーボ領域200には、便宜上、精密位置情報141であるサーボバースト信号A〜Dのみが記載されているが、実際には、同期信号、サーボアドレス情報(トラックアドレスコード)なども記録されている。
【0037】
ヘッド位置決め制御では、リードヘッド30は、サーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、サーボトラックの中心に位置決めされる。このとき、リードヘッド30は、そのギャップ中心軌跡に等しいサーボトラック4上に位置決めされている。ここでは、サーボトラックの中心を、便宜的にサーボトラック4,7と定義する。
【0038】
図7では、サーボトラック4の半径R、即ちディスクの回転中心からサーボトラック4までの距離は、ディスク1回転DTに亘ってどこでも同じ値である。これは、サーボトラック4がディスクの回転中心に対する回転円軌跡に対して偏差が発生していない場合、即ちサーボトラック偏心(ディスク偏心)が発生していないことを意味している。
【0039】
また、図7では、ライトヘッド50のギャップ中心軌跡に等しいサーボトラック7は、リードヘッド30の位置決め軌跡であるサーボトラック4に対して、ディスク1回転DTに亘って一定距離のオフセット(リード/ライトオフセット)6だけ離れた位置に配置されることになる。これは、リードヘッド30に対するサーボトラック4の半径がディスク1回転DTに亘って一定である場合、リードヘッド30のギャップ中心とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線とサーボトラック4とのなす角であるスキュ角θは一定であることを意味する。これにより、オフセット6は、下記式(1)により算出される。
【0040】
オフセット6=ギャップ中心間隔G×SIN(θ)=一定…(1)
なお、図7では、磁気ヘッド101が搭載されるアクチュエータ(アーム)102の回転中心であるピボット104とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線40上に、リードヘッド30のギャップ中心が配置されるインライン型の磁気ヘッド101が想定されている。従って、データライト時には、データ領域201のサーボトラック7上に、データトラック204がライトヘッド50により形成される。データリード時には、リードヘッド30は、一定のオフセット6だけ位置調整が行われて、サーボトラック7上に位置決めされてデータの読出し動作を実行する。
【0041】
次に、図8を参照して、ディスク偏心(サーボトラック偏心)がある場合において、前述のオフセットについて説明する。
【0042】
リードヘッド30は、サーボ領域200のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、サーボトラック24の中心に位置決めされる。このとき、リードヘッド30のギャップ中心軌跡であるサーボトラック24は、サーボトラック偏心を有する場合である。即ち、ディスク103の回転中心からサーボトラック24までの距離であるサーボトラック24の半径は、ディスク1回転DT内で変化する(R1〜R5)。
【0043】
このようなサーボトラック偏心(ディスク偏心)を有することは、ディスクドライブにおいては一般的である。ここで、ディスクドライブの製造工程時に、ディスク103上のサーボ領域200に記録されるサーボ情報は、サーボ情報の専用書き込み装置であるサーボトラックライタ(STW)により記録される。このような製造工程時に、ディスク103をSPM106に取り付ける場合に、ディスク103の中心がSPM106の回転中心からずれることにより、サーボトラック中心がディスク回転中心に一致させることは困難である。
【0044】
図8は、リードヘッド30に対するサーボトラック24の半径(R1〜R5)がディスク1回転DT内で変化する様子を示している。この変化により、リードヘッド30のギャップ中心とライトヘッド50のギャップ中心を結ぶ線とサーボトラック24とのなす角であるスキュ角θは、ディスク1回転DT内で変化する(θ1〜θ3)。従って、リード/ライトヘッド30,50間のオフセット26は、ディスク1回転DT内で変化する。このオフセット26は、リードヘッド30のギャップ中心軌跡であるサーボトラック24に対して、ライトヘッド50のギャップ中心軌跡27までの距離である
この場合、サーボトラック24から一定距離(オフセット6)に位置するサーボトラック(点線)上に、リードヘッド30をオフセット制御(位置調整)してデータを再生する場合、データライト軌跡27に対して偏差を生じることになる。
【0045】
そこで、本実施形態のディスクドライブ100は、図2及び図9に示すように、ディスク103上のサーボ領域200以外の非サーボ領域205の特定の領域において、オフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を書き込み、このオフセット測定用サーボパターン142,143を再生することにより、ディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する。
【0046】
まず、図2を参照して、オフセット測定用サーボパターン142,143のライトタイミング及びリードタイミングを説明する。
【0047】
ここで、オフセット測定用サーボパターン142,143は、通常のサーボ情報に含まれる精密位置情報であるサーボバースト信号A〜Dに相当するバースト信号(便宜的にM,N)である。
【0048】
リード/ライトチャネル109では、サーボ復調ユニット116は、図2(B)に示すように、HDC111からのサーボリードゲート信号118(SRG-A)のタイミングに応じて、リードヘッド30によりサーボ領域200から読出されたサーボデータ120を復調する。なお、図2(A)に示すように、サーボ領域200は、同期信号145とサーボアドレス情報(トラックアドレスコードやセクタアドレスコード)146が記録された領域140、及びサーボバースト信号A〜Dが記録された領域141を含む。図2(C)に示すように、復調されたサーボデータ120には、同期信号145、サーボアドレス情報146、サーボバースト信号A〜D(147〜149)が含まれている。
【0049】
オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115は、図2(D),(E),(F)に示すように、HDC111から出力されるサーボライトゲート信号117(SWG-1)のタイミングで、サーボライトゲート信号121(SWG-2)及びオフセット測定用サーボパターンを含むサーボ記録データ122を生成する。
【0050】
ライトドライバ108Bは、生成ユニット115から出力されるサーボ記録データ122を、バースト信号142,143を含むサーボデータ信号151に変換してライトヘッド50に供給する。ライトドライバ108Bは、サーボライトゲート信号121(SWG-2)のタイミングで、サーボデータ信号151に変換してライトヘッド50に供給する。これにより、図2(A)に示すように、サーボ領域200以外で、例えば隣接する非サーボ領域205の特定の領域に、オフセット測定用サーボパターン(オフセット測定用位置情報)142,143を、いわばセルフサーボライト方法により記録することができる。
【0051】
一方、サーボ復調ユニット116は、図2(G),(H)に示すように、HDC111からのサーボリードゲート信号119(SRG-B)のタイミングに応じて、リードヘッド30により読出されたサーボデータ120からオフセット測定用サーボパターン142,143に対応するバースト信号152,153を復調する。
【0052】
以上のような方法により、ディスク103上の特定領域205に記録されたオフセット測定用サーボパターン142,143を再生することにより、ディスク1回転内で変化するオフセット値(図8に示すオフセット26)を算出する方法を、図9を参照して具体的に説明する。
【0053】
前述したように、CPU112は、オフセット測定用サーボパターン生成ユニット115を使用して、データトラック軌跡に相当するライトヘッド50の軌跡(ライトヘッド軌跡45)上に、オフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする。即ち、ディスク媒体103上のサーボ領域200以外の非サーボ領域205の特定の領域において、サーボバースト信号A,Bに相当するバースト信号142,143を記録する。図9において、符号500は、セルフサーボライトするときのリードヘッド30とライトヘッド50の位置を示す。
【0054】
次に、CPU112は、リードヘッド30を予め求められた一定距離のオフセットOFaだけオフセットさせて、リードヘッド軌跡51上に位置調整する。リードヘッド30は、セルフサーボライトしたオフセット測定用サーボパターン142,143を読み出す。CPU112は、HDC111を介して、オフセット測定用サーボパターン142,143に基づいて、リードヘッド30の位置誤差情報を取得することにより、ディスク1回転内で変化するリードヘッド30とライトヘッド50のオフセット値を、ディスク1回転DTに亘って直接的に高精度で観測する。
【0055】
CPU112は、サーボ領域200から通常のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、リードヘッド30を位置決め制御を行なう。このとき、図9に示すように、リードヘッド30は、リードヘッド軌跡46上にあり、またこれに対応してライトヘッド50はライトヘッド軌跡45上にある。
【0056】
次に、リードヘッド30を、ライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値61、リードヘッド軌跡63)させた状態で、ライトヘッド50により非サーボ領域205にバースト信号143をライトする。このとき、ライトヘッド50は、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、ライトヘッド軌跡65上に位置調整されて、バースト信号143をセルフサーボライトする。
【0057】
さらに、同様にして、リードヘッド30をライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値60、リードヘッド軌跡62)させた状態で、ライトヘッド50により非サーボ領域205にバースト信号142をライトする。このとき、ライトヘッド50は、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、ライトヘッド軌跡64上で位置調整されて、バースト信号142をセルフサーボライトする。
【0058】
CPU112は、リードヘッド30を、予め求めた一定距離のオフセットOFaだけオフセットさせる。CPU112は、リードヘッド30により、サーボ領域200のサーボ情報にタイミング同期して、セルフサーボライトしたバースト信号142,143を再生する。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報OFe(s)を算出する。なお、(s)は、ディスク1回転内で変化する値であることを表している。このOFe(s)は、オフセット誤差に等しい。CPU112は、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)を、下記式(2)により算出する。なお、オフセットOFaは、ディスク103の半径位置に依存して求められた一定値(一定の距離)である。
【0059】
OF(s)=OFa+OFe(s)…(2)
(第1の変形例)
図10は、前述の本実施形態のディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法の変形例を説明するための図である。
【0060】
本変形例においても、非サーボ領域205に対して、バースト信号142,143からオフセット測定用サーボパターンをセルサーボライトする方法は、図9に示す本実施形態の方法と同様である。
【0061】
本変形例では、セルフサーボライトしたバースト信号142,143から位置誤差情報を算出する場合に、CPU112は、ディスク1回転内で変化するオフセット値OFb(s)を使用して、リードヘッド30を位置決め制御する。即ち、CPU112は、図10に示すように、点線で示すリードヘッド軌跡72上にリードヘッド30を位置調整する。CPU112は、リードヘッド30により読出されたバースト信号142,143から、位置誤差情報OFe(s)を算出する。この場合、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)は、下記式(3)により求められる。
【0062】
OF(s)=OFb(s)+OFe(s)…(3)
(第2の変形例)
また、図11は、前述の本実施形態のディスク1回転内で変化するオフセット値を算出する方法の変形例を説明するための図である。
【0063】
本変形例では、CPU112は、サーボ領域200のサーボバースト信号A,Bに対する再生信号振幅が等しくなるように、リードヘッド30の位置調整を行う。即ち、CPU112は、図11に示すように、点線で示すリードヘッド軌跡90上にリードヘッド30を位置調整する。
【0064】
このとき、CPU112は、軌跡84と軌跡90との誤差である位置変化量PO(s)を使用して、リードへッド30の位置を、リードヘッド軌跡84に対して、ライトヘッド50の記録幅Mwwの1/2程度の一定値でオフセット(オフセット値61、リードヘッド軌跡86)させる。そして、CPU112は、ライトヘッド軌跡89上に位置調整されたライトヘッド50により、バースト信号143をセルフサーボライトする。同様にして、CPU112は、リードヘッド30を、前述と同等の一定値でオフセット(オフセット値60、リードヘッド軌跡85)させる。そして、CPU112は、ライトヘッド軌跡88上に位置調整されたライトヘッド50により、バースト信号142をセルフサーボライトする。
【0065】
次に、CPU112は、リードヘッド30を、予め求めた一定距離のオフセットOFcだけリードヘッド軌跡90に対してオフセットさせる。CPU112は、リードヘッド30により読出されたバースト信号142,143から、位置誤差情報OFe(s)を算出する。この場合、リードヘッド30とライトヘッド50のディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)は、下記式(4)により求められる。
【0066】
OF(s)=PO(s)+OFc+OFe(s)…(4)
(オフセット測定用サーボパターンの記録領域)
図3及び図4は、本実施形態のオフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域の具体例を示す図である。
【0067】
即ち、本実施形態では、図3及び図4に示すように、オフセット測定用サーボパターン142,143の記録領域は、ディスク媒体103上の最外周及び最内周のそれぞれ例えば1トラック分で、ユーザデータを記録再生しない領域202,203である。なお、記録領域としては、最外周領域202または最内周領域203の一方でもよいが、最内周領域203の方が望ましい。
【0068】
このような最外周及び最内周の領域202,203から読出されたバースト信号142,143を使用して、リードヘッド30とライトヘッド50のオフセット値OF(s)が測定される。この場合、データ領域201でのオフセット値は、機構系の寸法から理論計算で補正されたオフセット値OF2(s)が用いられる。なお、前記補正されるオフセット値OF2(s)を求めるに当たって、最外周あるいは最内周のどちらかで得たオフセット値を用いる。あるいは、その両方の領域で得たオフセット値を用いてもよい。
【0069】
図5及び図6は、本実施形態のオフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域の変形例を示す図である。本変形例では、図5及び図6に示すように、サーボ領域200とデータ領域201との間に、オフセット測定用サーボパターン142,143をセルフサーボライトする記録領域300が設けられている。この記録領域300は、ユーザの記録再生されない領域である。
【0070】
以上のように本実施形態によれば、ディスク1回転内で変化するリードヘッドとライトヘッドのオフセット値を直接的に算出することができる。従って、ディスク1回転内で変化するオフセット値を、高精度でかつ、短時間の計算処理により求めることができるため、DOC機能を有するディスクドライブ100のデータアクセス性能の劣化を招くことがなく、実用的である。また、オフセット測定用サーボパターン(測定用位置情報)を記録する特定領域として、ディスク媒体103上の例えば2トラック分程度の限定された領域を確保すればよいので、記録密度の劣化を招くことはない。
【0071】
(オフセット値の更新方法)
前述したように、本実施形態のディスクドライブは、ディスク103に記録したオフセット測定用位置情報に基づいて、ディスク103の1回転内で変化するオフセット値OF(s)を算出する機能を有する。このオフセット値OF(s)は、便宜的に第1のオフセット値とするオフセットOFaと位置誤差情報OFe(s)とを合算した値であり、便宜的に第2のオフセット値とする。第1のオフセット値OFaは、ディスク103の半径位置に依存して求められた一定値である。位置誤差情報OFe(s)は、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143から算出された値である(前述の数式(2)を参照)。
【0072】
ここで、第2のオフセット値OF(s)は、ディスク偏心(disk runout)に起因して生じる。ディスクドライブでは、CPU112は、算出した第2のオフセット値OF(s)をメモリ113に保存し、ヘッド位置決め制御時にDOC動作を実行する。仮にディスク偏心量が変化しなければ、第2のオフセット値OF(s)の更新は不要である。
【0073】
一般的に、ディスクドライブでは、ディスク103は、ディスククランパ(disk clamper)と呼ぶ部品により、SPM106に押え付けられている。このディスククランパのクランプ力を超える外部からの強い衝撃や振動が加わると、ディスクシフトを生じて、その結果ディスク偏心量が変化してしまう。このため、ディスクシフト後では、第2のオフセット値OF(s)を更新する必要がある。
【0074】
以下、図12のフローチャートを参照して、本実施形態のオフセット値OF(s)の更新方法を説明する。
【0075】
まず、ディスクドライブ100の製造工程において、前述した手順により、CPU112は、初回のオフセット値OF(s)の算出処理を実行する(前記数式(2)を参照)。即ち、CPU112は、図9に示すように、ディスク103上の測定領域203のサーボトラック(軌跡46)上にリードヘッド30をシークさせる(ブロックB1)。CPU112は、ライトヘッド軌跡45上にあるライトヘッド50により、非サーボ領域205にオフセット測定用位置情報であるバースト信号(サーボバーストパターン)142,143を書き込む(ブロックB2)。
【0076】
次に、CPU112は、第1のオフセット値OFaを使用して、リードヘッド30のオフセット制御を実行して、非サーボ領域205に位置調整する(ブロックB3)。CPU112は、リードヘッド30により、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143を読出して再生する(ブロックB4)。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報OFe(s)を算出し、このOFe(s)と第1のオフセット値OFaとを合算して、ディスク1回転内で変化するオフセット値OF(s)を算出する(ブロックB5)。CPU112は、この算出したオフセット値OF(s)をメモリ113に保存し、リード/ライト動作におけるヘッド位置決め制御時のDOC動作に使用する。
【0077】
次に、CPU112は、例えば加速度センサにより、ディスクドライブ100に対して外部から衝撃や振動が加わったことが検知された場合に、オフセット値OF(s)の更新処理を実行する。また、更新処理の実行タイミングとしては、ディスクドライブ100の起動時などにおいて、ヘッド101を退避位置からディスク103上にロードさせて、リード/ライト動作を実行する前でもよい。
【0078】
CPU112は、図9に示すように、ディスク103上の測定領域203のサーボトラック(軌跡46)上にリードヘッド30をシークさせる(ブロックB6)。次に、CPU112は、前回算出したオフセット値OF(s)をメモリ113から取得して、リードヘッド30のDOC動作を実行し、非サーボ領域205に位置調整する(ブロックB7)。CPU112は、リードヘッド30により、オフセット測定用位置情報であるバースト信号142,143を読出して再生する(ブロックB8)。CPU112は、当該バースト信号142,143から位置誤差情報Pe(s)を算出する(ブロックB9)。
【0079】
CPU112は、算出した位置誤差情報Pe(s)と予め設定した閾値Cと比較し、オフセット測定用位置情報(バースト信号142,143)を前回記録した時点からディスクシフトが発生しているか否かを判定する(ブロックB10)。即ち、基準値である閾値Cとは、測定精度として許容範囲を示す位置誤差値である。
【0080】
CPU112は、算出した位置誤差情報Pe(s)が閾値C未満の場合、即ち位置誤差情報Pe(s)が測定精度以下のほぼ0の値の場合には、ディスクシフトは発生していないと判定する(ブロックB12)。ディスクシフトが発生していない場合、サーボトラック偏心(ディスク偏心)の状態が変化しておらず、リードヘッド30は、図9に示すトラック軌跡45上を通ることになる。従って、リードヘッド30がサーボバーストパターン142,143を読み出して、算出された位置誤差情報Pe(s)は、測定精度以下のほぼ0の値となる。このような場合には、オフセット値OF(s)を再度算出しても変化しないため、更新する必要は無く、前回のオフセット値OF(s)を維持する(ブロックB13)。
【0081】
一方、前回記録した時点からディスクシフトが発生した場合は、リードヘッド30はトラック軌跡45上を通過しない。従って、リードヘッド30がサーボバーストパターン142,143を読み出して、算出された位置誤差情報Pe(s)は、閾値Cを超える位置誤差を生じることになる。CPU112は、ディスクシフトは発生していると判定し、前述の一連の方法によるオフセット値OF(s)を再度算出する処理に移行する(ブロックB11)。従って、CPU112は、再度算出した新たなオフセット値OF(s)をメモリ113に保存して更新する。
【0082】
なお、本実施形態では、前記のオフセット値の更新処理が終了するまで、図3及び図4に示す最外周領域202または最内周領域203に記録されたオフセット測定用位置情報(バースト信号142,143)は、そのまま保持される。
【0083】
以上のようにして、ディスクドライブ100の製造工程において、初回のオフセット値OF(s)の算出処理後に、ディスクシフトが発生していない場合には、算出したオフセット値OF(s)の更新を実行せずに、そのまま維持する。一方、DOC動作によるリードヘッドの位置誤差が基準値である閾値を超える場合には、ディスクシフトが発生していると判定する。この場合には、オフセット測定用位置情報(サーボバーストパターン142,143)を再度記録して、一連の算出方法により新たなオフセット値OF(s)を再度算出して、メモリ113に保存しているオフセット値を更新する。
【0084】
本実施形態の方法であれば、温度などの影響を受けることなく、ディスク1回転分に相当する短時間で、高精度にディスクシフトの有無を判定することが可能である。また、ディスクシフトが発生しない場合には、オフセット値を更新しないため、ライトヘッドによるオフセット測定用位置情報の書き込み動作を行なう処理などを省略できるため、更新処理の時間短縮を図ることができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
30…リードヘッド、50…ライトヘッド、100…ディスクドライブ、
101…磁気ヘッド、102…アーム、103…ディスク媒体、104…ピボット、
105…ボイスコイルモータ(VCM)、106…スピンドルモータ(SPM)、
107…モータドライバ、107A…SPMドライバ、107B…VCMドライバ、
108…ヘッドアンプユニット、109…リード/ライトチャネル、
110…ホストシステム、111…ハードディスクコントローラ(HDC)、
112…マイクロプロセッサ(CPU)、113…メモリ、
114…データ変調/復調ユニット、
115…オフセット測定用サーボパターン生成ユニット、
116…サーボ復調ユニット、200…サーボ領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、
前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドと、
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する生成手段と、
前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む書き込み手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間の一定のオフセット値に相当する距離だけ、前記リードヘッドを位置調整する手段と、
前記位置調整された前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出し、前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出するオフセット算出手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記書き込み手段は、
前記特定の領域として前記ディスク媒体上の最内周または最外周の少なくとも1トラック分の領域で、ユーザデータを記録再生しない領域に前記オフセット測定用位置情報を書き込むように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記オフセット算出手段は、
前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を、前記最内周または最外周の少なくとも1トラック分の領域から再生された前記オフセット測定用位置情報に基づいて算出し、
前記ディスク媒体上でユーザデータを記録するためのデータ領域において、前記磁気ヘッドの位置決め制御に使用する前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値として、ディスク記憶装置の機構系の寸法に基づいた補正オフセット値を算出することを特徴とする請求項3に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記オフセット測定用位置情報を書き込むための前記特定の領域は、前記ディスク媒体上のサーボ領域とユーザデータを記録するためのデータ領域と間で、ユーザデータを記録再生しない領域であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドとを有するディスク記憶装置に適用するオフセット算出方法であって、
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する処理と、
前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む処理と
を有することを特徴とするオフセット算出方法。
【請求項7】
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間の一定のオフセット値に相当する距離だけ、前記リードヘッドを位置調整する処理と、
前記位置調整された前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出する処理と、
前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出する処理と
を有することを特徴とする請求項6に記載のオフセット算出方法。
【請求項8】
前記オフセット算出手段により算出された前記オフセット値をメモリに保存し、前記オフセット値を使用してダイナミック・オフセット制御を実行する制御手段と、
前記オフセット算出手段により前記オフセット値が算出された後に、ディスクシフトの発生の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記ディスクシフトが発生していないと判定された場合には前記メモリに保存されている前記オフセット値を維持し、前記ディスクシフトが発生していると判定された場合には前記オフセット算出手段により新たなオフセット値を算出させて、前記メモリに保存されている前記オフセット値を前記新たなオフセット値に更新する更新手段と
を有することを特徴とする請求項2に記載のディスク記憶装置。
【請求項9】
前記判定手段は、
前記メモリに保存されたオフセット値を使用して、前記制御手段によりダイナミック・オフセット制御が実行された前記リードヘッドで前記オフセット測定用位置情報を読み出し、
前記読み出された前記オフセット測定用位置情報から算出される位置誤差情報に基づいて、前記ディスクシフトの発生の有無を判定するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のディスク記憶装置。
【請求項10】
前記判定手段は、
前記位置誤差情報から得られる位置誤差が予め決められた閾値未満の場合には、前記ディスクシフトは発生していないと判定し、前記位置誤差が前記閾値を超えている場合には前記ディスクシフトは発生していると判定するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のディスク記憶装置。
【請求項11】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、
前記ディスク媒体上に対してデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられて、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間に一定のオフセットを有する磁気ヘッドと、
前記リードヘッドにより読出されるサーボ情報に基づいて、前記磁気ヘッドを前記ディスク媒体上の目標位置に位置決め制御するヘッド位置決め制御手段と、
前記ディスク媒体上において、前記サーボ領域以外の特定の領域でデータトラック軌跡に対応する前記ライトヘッドの移動軌跡上に、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を書き込み、前記リードヘッドにより読出した前記オフセット測定用位置情報に基づいて前記ディスク媒体の1回転内で変化する前記オフセット値を算出するオフセット算出手段とを具備し、
前記オフセット算出手段は、
前記リードヘッドを前記一定のオフセットに相当する距離だけ位置調整して、前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出し、
前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して、前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出するように構成されていることを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項1】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、
前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドと、
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する生成手段と、
前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む書き込み手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間の一定のオフセット値に相当する距離だけ、前記リードヘッドを位置調整する手段と、
前記位置調整された前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出し、前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出するオフセット算出手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記書き込み手段は、
前記特定の領域として前記ディスク媒体上の最内周または最外周の少なくとも1トラック分の領域で、ユーザデータを記録再生しない領域に前記オフセット測定用位置情報を書き込むように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記オフセット算出手段は、
前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を、前記最内周または最外周の少なくとも1トラック分の領域から再生された前記オフセット測定用位置情報に基づいて算出し、
前記ディスク媒体上でユーザデータを記録するためのデータ領域において、前記磁気ヘッドの位置決め制御に使用する前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値として、ディスク記憶装置の機構系の寸法に基づいた補正オフセット値を算出することを特徴とする請求項3に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記オフセット測定用位置情報を書き込むための前記特定の領域は、前記ディスク媒体上のサーボ領域とユーザデータを記録するためのデータ領域と間で、ユーザデータを記録再生しない領域であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、前記ディスク媒体上にデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられた磁気ヘッドとを有するディスク記憶装置に適用するオフセット算出方法であって、
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値で前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として、前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を生成する処理と、
前記ディスク媒体上の前記サーボ領域以外の特定の領域で、前記ライトヘッドの移動軌跡上に前記オフセット測定用位置情報を書き込む処理と
を有することを特徴とするオフセット算出方法。
【請求項7】
前記リードヘッドと前記ライトヘッド間の一定のオフセット値に相当する距離だけ、前記リードヘッドを位置調整する処理と、
前記位置調整された前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出する処理と、
前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出する処理と
を有することを特徴とする請求項6に記載のオフセット算出方法。
【請求項8】
前記オフセット算出手段により算出された前記オフセット値をメモリに保存し、前記オフセット値を使用してダイナミック・オフセット制御を実行する制御手段と、
前記オフセット算出手段により前記オフセット値が算出された後に、ディスクシフトの発生の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記ディスクシフトが発生していないと判定された場合には前記メモリに保存されている前記オフセット値を維持し、前記ディスクシフトが発生していると判定された場合には前記オフセット算出手段により新たなオフセット値を算出させて、前記メモリに保存されている前記オフセット値を前記新たなオフセット値に更新する更新手段と
を有することを特徴とする請求項2に記載のディスク記憶装置。
【請求項9】
前記判定手段は、
前記メモリに保存されたオフセット値を使用して、前記制御手段によりダイナミック・オフセット制御が実行された前記リードヘッドで前記オフセット測定用位置情報を読み出し、
前記読み出された前記オフセット測定用位置情報から算出される位置誤差情報に基づいて、前記ディスクシフトの発生の有無を判定するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のディスク記憶装置。
【請求項10】
前記判定手段は、
前記位置誤差情報から得られる位置誤差が予め決められた閾値未満の場合には、前記ディスクシフトは発生していないと判定し、前記位置誤差が前記閾値を超えている場合には前記ディスクシフトは発生していると判定するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のディスク記憶装置。
【請求項11】
サーボ情報が記録されているサーボ領域が設けられたディスク媒体と、
前記ディスク媒体上に対してデータを書き込むライトヘッド及び前記ディスク媒体上からデータを読出すリードヘッドのそれぞれが分離して設けられて、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間に一定のオフセットを有する磁気ヘッドと、
前記リードヘッドにより読出されるサーボ情報に基づいて、前記磁気ヘッドを前記ディスク媒体上の目標位置に位置決め制御するヘッド位置決め制御手段と、
前記ディスク媒体上において、前記サーボ領域以外の特定の領域でデータトラック軌跡に対応する前記ライトヘッドの移動軌跡上に、前記リードヘッドと前記ライトヘッド間のオフセット値を測定するためのオフセット測定用位置情報として前記サーボ情報に含まれるサーボバースト信号に相当するバースト信号を書き込み、前記リードヘッドにより読出した前記オフセット測定用位置情報に基づいて前記ディスク媒体の1回転内で変化する前記オフセット値を算出するオフセット算出手段とを具備し、
前記オフセット算出手段は、
前記リードヘッドを前記一定のオフセットに相当する距離だけ位置調整して、前記リードヘッドにより読出された前記オフセット測定用位置情報に基づいて、前記リードヘッドの位置誤差量をオフセット誤差量として算出し、
前記一定のオフセット値と前記オフセット誤差量とを加算して、前記ディスク媒体の1回転内で変化するオフセット値を算出するように構成されていることを特徴とするディスク記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−33708(P2010−33708A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257267(P2009−257267)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2008−304835(P2008−304835)の分割
【原出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2008−304835(P2008−304835)の分割
【原出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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