ディスク記録媒体、再生方法及び再生装置
【課題】 ディフェクトマネジメントの信頼性の向上
【解決手段】 ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、各管理データ領域は、記録再生条件調整領域及び予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
【解決手段】 ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、各管理データ領域は、記録再生条件調整領域及び予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体、及び記録媒体に対する記録方法、さらにはディスク記録媒体に対する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk),MD(Mini-Disk),DVD(Digital Versatile Disk)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、DVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
【0003】
光磁気記録方式、色素膜変化記録方式、相変化記録方式などの記録可能なディスクに対してデータを記録するには、データトラックに対するトラッキングを行うための案内手段が必要になり、このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録される場合がある。
【0004】
すなわち、データを記録するトラックが例えばプリグループとして予め形成されるが、このプリグループの側壁をアドレス情報に対応してウォブリングさせる。
このようにすると、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができ、例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にデータを記録再生することができる。
このようにウォブリンググルーブとしてアドレス情報を付加することで、例えばトラック上に離散的にアドレスエリアを設けて例えばピットデータとしてアドレスを記録することが不要となり、そのアドレスエリアが不要となる分、実データの記録容量を増大させることができる。
なお、このようなウォブリングされたグルーブにより表現される絶対時間(アドレス)情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ディスクにおいてはディフェクトマネジメント(欠陥管理)が行われる。
ディフェクトマネージメントは、傷その他のディフェクト等により、ディスク上のあるエリアが記録/再生できなくなった場合、その記録再生できなくなったエリアのアドレスを、ディフェクト(欠陥エリア)として登録したり、さらには欠陥エリアに代える交替エリアを用意する場合は、その交替エリアのアドレスを管理するようにするものであり、ディフェクトによって、システムが破たんすることがないようにする重要な技術である。
そしてディフェクトマネジメントにおいては、例えば、記録再生できなくなった欠陥エリアのアドレスと、交替先のアドレスをディフェクトリストとして登録する。このディフェクトリストは、ディフェクトマネージメントにとって重要な情報となる。
【0006】
近年開発されているDVRのような高密度ディスクについては、ディスク厚み方向に0.1mmのカバー層(サブストレート)を有するディスク構造において、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生を行うとし、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。
【0007】
このときのユーザーデータを記録再生するエリア(データゾーン)は、ディスク上の半径24mm〜58mmの範囲であり、半径24mmより内周側はリードインゾーンとされる。
そしてディフェクトマネージメント情報を記録した領域(ディフェクトマネジメント領域)は、リードインゾーン内における所定の位置に形成されていた。また、ディフェクトマネジメント領域が2個設けられる場合、それらはリードインゾーン内における所定の位置に隣接して形成されていた。
【0008】
例えば2個のディフェクトマネージメント領域が形成されるのは、一方のディフェクトマネジメント情報が読み出せなくても、他方で読み出すことで信頼性を維持するためであるが、2個のディフェクトマネジメント領域が隣接して形成されている場合、そのディフェクトマネジメント領域とされる部分に対して傷がついた場合は、ディフェクトマネジメント領域が2つとも記録再生できなくなる可能性が大きい。即ち、ディフェクトマネジメントの信頼性という点で不十分であった。
【0009】
具体例でいえば、ディスクの半径24mmの位置では、ディスク1周回において64KBのデータブロックが1.9ブロック程度記録できる。
ユーザーデータ容量が23.3GBと大容量であることから、交替エリアを18432クラスタ、約1.207959552GBとすると、ユーザーデータの約5%になる。ディフェクトリストは、1エントリー8バイトとすると、147.456KBとなり、3クラスタ必要になる。
このように1つのディフェクトマネージメント領域を、複数クラスタで形成する場合、上記のように半径24mmの位置でトラック1周に64KBのデータブロックが1.9ブロック程度記録できるので、隣接して2つのディフェクトマネージメント領域が形成される場合において、その領域にディフェクト、傷があった場合、2個のディフェクトマネージメント領域において複数クラスタが記録再生できなくなり、2個のディフェクトマネージメント領域とも正しく記録再生できなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みて、ディスク記録媒体におけるディフェクトマネジメントの信頼性を向上させることを目的とする。
【0011】
本発明の記録方法は、ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、上記各管理データ領域は、少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
また、上記所定の順番は、最も内周に位置する管理データ領域のディフェクトマネジメント領域から外周に向けての順番であるようにする。
【0012】
また本発明の記録方法は、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行うとともに、ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、上記判別に基づいて、別の記録領域にディフェクトマネジメント情報を記録するとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定するようにする。
【0013】
本発明の記録装置は、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録装置において、上記ディスク記録媒体に対して情報の記録を行う記録手段と、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う更新手段を備えるようにする。
また、ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、その判別に基づいて、別の記録領域に対して上記記録手段によりディフェクトマネジメント情報を記録させるとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する情報を記録させる制御手段とを備える。
【0014】
即ち本発明では、ディスク内周の所定半径区間領域においてディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設けることで、ディフェクトマネジメントの信頼性を得、さらに複数のディフェクトマネジメント領域(管理データ領域)が、比較的大きい区間である記録再生条件調整領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置とされることで、ディフェクトマネジメント領域の信頼性を一層向上させる。
さらに、ディフェクトマネジメント領域に、ディフェクトマネジメント情報を記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域を設けることで、ディフェクトマネジメント領域の更新回数、エラー状況などに応じて記録領域を変化させることができるようにする。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から理解されるように本発明よれば以下のような効果が得られる。
即ち、リードインゾーンなどのディスク内周の所定半径区間領域においてディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設けることで、ディフェクトマネジメントの信頼性を得、さらに複数のディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域(インフォメーションエリア)が、比較的大きい区間である記録再生条件調整領域(OPC)をはさんでディスク半径方向に離れた位置とされることで、ディフェクトマネジメント領域の信頼性を一層向上させる。つまり、ディフェクト、きず等が、一方のディフェクトマネージメント領域にあっても、他方のディフェクトマネージメント領域に影響することなく、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント管理領域を形成し、ディフェクトマネジメントを行うことができる。
【0016】
また、ディフェクトマネージメント領域においては、ディフェクトマネジメント情報を記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域を設けることで、ディフェクトマネジメント領域の更新回数、エラー状況などに応じて記録領域を変化させることができる。
例えばディフェクトリストの更新回数を読み出すことで、オーバーライト回数を知ることができ、その回数が、ある値以上になった場合、ディフェクトリストを交替領域としての記録領域に交替して記録できる。
これにより、上述したフェーズチェンジ記録方式でデータ記録を行う光ディスク等、オーバーライト回数に限界のある光ディスクでも、 オーバーライト回数の限界を克服することができ、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことができる。
【0017】
従って本発明によれば、ディフェクトマネジメント領域に対するディフェクト、きず等、さらには他のディフェクトマネージメント領域でのディフェクト、傷に影響されることなく、 かつ、オーバーライト回数の限界にも影響されないといった、非常に信頼性の高いディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態のディスクのグルーブの説明図である。
【図2】実施の形態のディスクのグルーブのウォブリングの説明図である。
【図3】実施の形態のMSK変調及びHMW変調を施したウォブル信号の説明図である。
【図4】実施の形態のディスクレイアウトの説明図である。
【図5】実施の形態のPBゾーン及びRWゾーンのウォブリングの説明図である。
【図6】実施の形態のプリレコーデッド情報の変調方式の説明図である。
【図7】実施の形態のフェイズチェンジマークのECC構造の説明図である。
【図8】実施の形態のプリレコーデッド情報のECC構造の説明図である。
【図9】実施の形態のフェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報のフレーム構造の説明図である。
【図10】実施の形態のリードインゾーンの構成の説明図である。
【図11】実施の形態のインフォメーションエリアの説明図である。
【図12】実施の形態のDMAの構造の説明図である。
【図13】実施の形態のDMAのDDSの説明図である。
【図14】実施の形態のDMAのディフェクトリストの説明図である。
【図15】実施の形態のDMAのディフェクトリストエントリーの説明図である。
【図16】実施の形態のデータゾーンのISA、OSAの説明図である。
【図17】実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図18】実施の形態のディスクドライブ装置の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態としての光ディスクを説明するとともに、その光ディスクに対応して記録再生を行うディスクドライブ装置(記録再生装置)、及びディフェクトマネジメント領域に関する記録方法について説明していく。説明は次の順序で行う。
1.ディスク構造
2.データのECCフォーマット
3.ディフェクトマネジメント領域
3−1 DMAを含むインフォメーションエリア
3−2 交替領域を有するDMA構造
3−3 データゾーンの交替エリア
4.ディスクドライブ装置
【0020】
1.ディスク構造
まず実施の形態の光ディスクについて説明する。この光ディスクは、いわゆるDVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクとして実施可能である。
本発明の実施の形態の光ディスク1は、図1に示すように、記録トラックとなるグルーブGVが形成されている。このグルーブGVは、内周側から外周側へスパイラル状に形成されている。そのため、この光ディスク1の半径方向の切断面を見ると、図2に示すように、凸状のランドLと、凹状のグルーブGVとが交互に形成されることとなる。
【0021】
光ディスク1のグルーブGVは、図2に示すように、接線方向に対して蛇行形成されている。このグルーブGVの蛇行形状は、ウォブル信号に応じた形状となっている。そのため、光ディスクドライブでは、グルーブGVに照射したレーザスポットLSの反射光からそのグルーブGVの両エッジ位置を検出し、レーザスポットLSを記録トラックに沿って移動させていった際におけるその両エッジ位置のディスク半径方向に対する変動成分を抽出することにより、ウォブル信号を再生することができる。
【0022】
このウォブル信号には、その記録位置における記録トラックのアドレス情報(物理アドレスやその他の付加情報等)が変調されている。そのため、光ディスクドライブでは、このウォブル信号からアドレス情報等を復調することによって、データの記録や再生の際のアドレス制御等を行うことができる。
【0023】
なお、本発明の実施の形態では、グルーブ記録がされる光ディスクについて説明をするが、本発明はこのようなグルーブ記録の光ディスクに限らず、ランドにデータを記録するランド記録を行う光ディスクに適用することも可能であるし、また、グルーブ及びランドにデータを記録するランドグルーブ記録の光ディスクにも適用することも可能である。
【0024】
ここで、本実施の形態の光ディスク1では、2つの変調方式を用いて、ウォブル信号に対してアドレス情報を変調している。一つは、MSK(Minimum Shift Keying)変調方式である。もう一つは、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を付加し、被変調データの符号に応じて当該高調波信号の極性を変化させることによって変調する方式である。以下、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を付加し、被変調データの符号に応じて当該高調波信号の極性を変化させることによって変調する変調方式のことを、HMW(HarMonic Wave)変調と呼ぶものとする。
【0025】
本実施の形態の光ディスク1では、図3に示すように、所定周波数の正弦波の基準キャリア信号波形が所定周期連続したブロックを構成し、このブロック内に、MSK変調されたアドレス情報が挿入されるMSK変調部と、HMW変調されたアドレス情報が挿入されるHMW変調部とを設けたウォブル信号を生成する。すなわち、MSK変調されたアドレス情報と、HMW変調されたアドレス情報とを、ブロック内の異なる位置に挿入している。さらに、MSK変調で用いられる2つの正弦波のキャリア信号のうちの一方のキャリア信号と、HMW変調のキャリア信号とを、上記の基準キャリア信号としている。また、MSK変調部とHMW変調部とは、それぞれブロック内の異なる位置に配置するものとし、MSK変調部とHMW変調部との間には、1周期以上の基準キャリア信号が配置されるものとしている。
なお、なんらデータの変調がされておらず、基準キャリア信号の周波数成分だけが現れる部分をモノトーンウォブルと呼ぶ。また、基準キャリア信号の1周期を1ウォブル周期と呼ぶ。また、基準キャリア信号の周波数は、光ディスク1の内周から外周まで一定であり、レーザスポットが記録トラックに沿って移動する際の線速度との関係に応じて定まる。
【0026】
本実施の形態の、いわゆるDVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクの物理パラメータの一例について説明する。
本例のDVRディスクとされる光ディスクは、相変化方式でデータの記録を行う光ディスクであり、ディスクサイズとしては、直径が120mmとされる。また、ディスク厚は1.2mm(カバー層が約0.1mm)となる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
【0027】
記録/再生のためのレーザ波長は405nmとされ、いわゆる青色レーザが用いられるものとなる。光学系のNAは0.85とされる。
相変化マーク(フェイズチェンジマーク)が記録されるトラックのトラックピッチは0.32μm、線密度0.12μmとされる。そして64KBのデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率を約82%としており、直径12cmのディスクにおいて、ユーザーデータ容量として23.3Gバイトを実現している。
上述のようにデータ記録はグルーブ記録方式である。
【0028】
図4は、ディスク全体のレイアウト(領域構成)を示す。
ディスク上の領域としては、内周側からリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが配される。
また、記録・再生に関する領域構成としてみれば。リードインゾーンのうちの内周側がPBゾーン(再生専用領域)、リードインゾーンの外周側からリードアウトゾーンまでがRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0029】
リードインゾーンは、半径24mmより内側に位置する。そして半径21〜22.2mmがBCA(Burst Cutting Area)とされる。このBCAはディスク記録媒体固有のユニークIDを、記録層を焼き切る記録方式で記録したものである。つまり記録マークを同心円状に並べるように形成していくことで、バーコード状の記録データを形成する。
半径22.2〜23.1mmがプリレコーデッドデータゾーンとされる。
プリレコーデッドデータゾーンは、あらかじめ、記録再生パワー条件等のディスク情報や、コピープロテクションにつかう情報等(プリレコーデッド情報)を、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって記録してある。
これらはは書換不能な再生専用の情報であり、つまりBCAとプリレコーデッドデータゾーンが上記PBゾーン(再生専用領域)となる。
【0030】
プリレコーデッドデータゾーンにおいてプリレコーデッド情報として例えばコピープロテクション情報が含まれるが、このコピープロテクション情報を用いて、例えば次のようなことが行われる。
本例にかかる光ディスクシステムでは、登録されたドライブ装置メーカー、ディスクメーカーがビジネスを行うことができ、その登録されたことを示す、メディアキー、あるいは、ドライブキーを有している。
ハックされた場合、そのドライブキー或いはメディアキーがコピープロテクション情報として記録される。このメディアキー、ドライブキーを有した、メディア或いはドライブは、この情報により、記録再生をすることをできなくすることができる。
【0031】
リードインゾーンにおいて半径23.1〜24mmにはインフォメーションエリアInfo1、Info2や、テストライトエリアOPCが設けられる。
テストライトエリアOPCは記録/再生時のレーザパワー等、フェーズチェンジマークの記録再生条件を設定する際の試し書きなどに使われる。即ち記録再生条件調整領域である。
インフォメーションエリアInfo1、Info2にはディフェクトマネジメントエリアが含まれる。ディフェクトマネジメントエリアDMAはディスク上のディフェクト情報を管理する情報を記録再生する。
このリードインゾーン内におけるRWゾーン(23.1〜24mm)は、フェイズチェンジマークにより管理情報その他の記録再生が行われる領域であるが、その構成については、後に図10以降で詳しく述べる。
【0032】
半径24.0〜58.0mmがデータゾーンとされる。データゾーンは、実際にユーザーデータがフェイズチェンジマークにより記録再生される領域である。
半径58.0〜58.5mmはリードアウトゾーンとされる。リードアウトゾーンは、リードインゾーンと同様のディフェクトマネジメントエリアが設けられたり、また、シークの際、オーバーランしてもよいようにバッファエリアとしてつかわれる。
以上の半径23.1mm、つまりリードインゾーンの途中から、リードアウトゾーンまでが、フェイズチェンジマークが記録再生されるRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0033】
図5にRWゾーンとPBゾーンのトラックの様子を示す。図5(a)はRWゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、図5(b)はPBゾーンのプリレコーデッドゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、それぞれ示している。
【0034】
RWゾーンでは、あらかじめアドレス情報(ADIP)を、トラッキングを行うために、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって、形成してある。
アドレス情報を形成したグルーブには、フェーズチェンジマークにより情報を記録再生する。
図5(a)に示すように、RWゾーンにおけるグルーブ、つまりADIPアドレス情報を形成したグルーブトラックは、トラックピッチTP=0.32μmとされている。
このトラック上にはフェイズチェンジマークによるレコーディングマークが記録されるが、フェーズチェンジマークはRLL(1,7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))等により、線密度0.12μm/bit、0.08μm/ch bitで記録される。
1chビットを1Tとすると、マーク長は2Tから8Tで最短マーク長は2Tである。
アドレス情報は、ウォブリング周期を69Tとし、ウォブリング振幅WAはおよそ20nm(p-p)である。
【0035】
アドレス情報と、フェーズチェンジマークは、その周波数帯域が重ならないようにしており、これによってそれぞれの検出に影響を与えないようにしてある。
アドレス情報のウォブリングのCNR(carrier noise ratio)はバンド幅30KHzのとき、記録後30dBであり、アドレスエラーレートは節動(ディスクのスキュー,デフォーカス、外乱等)による影響を含めて1×10−3以下である。
【0036】
一方、図5(b)のPBゾーンにおけるグルーブによるトラックは、上記図5(a)のRWゾーンのグルーブによるトラックより、トラックピッチが広く、ウォブリング振幅が大きいものとされている。
即ちトラックピッチTP=0.35μmであり、ウォブリング周期は36T、ウォブリング振幅WAはおよそ40nm(p-p)とされている。ウォブリング周期が36Tとされることはプリレコーデット情報の記録線密度はADIP情報の記録線密度より高くなっていることを意味する。また、フェーズチェンジマークは最短2Tであるから、プリレコーデッド情報の記録線密度はフェーズチェンジマークの記録線密度より低い。
【0037】
このPBゾーンのトラックにはフェーズチェンジマークを記録しない。
ウォブリング波形は、RWゾーンでは正弦波状に形成するが、PBゾーンでは、正弦波状か或いは矩形波状で記録することができる。
【0038】
フェーズチェンジマークは、バンド幅30KHzのときCNR50dB程度の信号品質であれば、データにECC(エラー訂正コード)をつけて記録再生することで、エラー訂正後のシンボルエラーレートを1×10-16以下を達成でき、データの記録再生として使えることが知られている。
ADIPアドレス情報についてのウォブルのCNRはバンド幅30KHzのとき、フェイズチェンジマークの未記録状態で35dBである。
アドレス情報としては、いわゆる連続性判別に基づく内挿保護を行うことなどによりこの程度の信号品質で十分であるが、PBゾーンに記録するプリレコーデッド情報については、フェイズチェンジマークと同等のCNR50dB以上の信号品質は確保したい。このため、図5(b)に示したようにPBゾーンでは、RWゾーンにおけるグルーブとは物理的に異なるグルーブを形成するものである。
【0039】
まず、トラックピッチを広くすることにより、となりのトラックからのクロストークをおさえることができ、ウォブル振幅を2倍にすることにより、CNRを+6dB改善できる。
さらにウォブル波形として矩形波をつかうことによって、CNRを+2dB改善できる。
あわせてCNRは43dBである。
フェーズチェンジマークとプリレコーデッドデータゾーンのウォブルの記録帯域の違いは、ウォブル18T(18Tは36Tの半分);フェイズチェンジマーク2Tで、この点で9.5dB得られる。
従ってプリレコーデッド情報としてのCNRは52.5dB相当であり、となりのトラックからのクロストークとして−2dBを見積もっても、CNR50.5dB相当である。つまり、ほぼフェーズチェンジマークと同程度の信号品質となり、ウォブリング信号をプリレコーデッド情報の記録再生に用いることが十分に適切となる。
【0040】
図6に、プリレコーデッドデータゾーンにおけるウォブリンググルーブを形成するための、プリレコーデッド情報の変調方法を示す。
変調はFMコードをつかう。
図6(a)にデータビット、図6(b)にチャンネルクロック、図6(c)にFMコード、図6(d)にウォブル波形を縦に並べて示している。
データの1bitは2ch(2チャンネルクロック)であり、ビット情報が「1」のとき、FMコードはチャンネルクロックの1.2の周波数とされる。
またビット情報が「0」のとき、FMコードはビット情報「1」の1/2の周波数であらわされる。
ウォブル波形としては、FMコードを矩形波を直接記録することもあるが、図6(d)に示すように正弦波状の波形で記録することもある。
なお、FMコード及びウォブル波形は図6(c)(d)とは逆極性のパターンとして、図6(e)(f)に示すパターンとしても良い。
【0041】
上記のようなFMコード変調のルールにおいて、図6(g)のようにデータビットストリームが「10110010」とされているときのFMコード波形、およびウォブル波形(正弦波状波形)は図6(h)(i)に示すようになる。
なお、図6(e)(f)に示すパターンに対応した場合は、図6(j)(k)に示すようになる。
【0042】
2.データのECCフォーマット
【0043】
図7,図8,図9により、フェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを説明する。
まず図7には、フェーズチェンジマークで記録再生するメインデータ(ユーザーデータ)や管理データについてのECCフォーマットを示している。
【0044】
ECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KB(=1セクターの2048バイト×32セクター)に対するLDC(long distance code)と、BIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0045】
図7(a)に示すメインデータ64KBについては、図7(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、32セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。304の符号語がある。
【0046】
一方、BISは、図7(c)に示す720Bのデータに対して、図7(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。24の符号語がある。
【0047】
図9(a)にRWゾーンにおけるメインデータについてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)が配されて155Bの構造となる。つまり1フレームは38B×4の152Bのデータと、38BごとにBISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレーム155Bの先頭に配される。1つのブロックには496のフレームがある。
LDCデータは、0,2,・・・の偶数番目の符号語が、0,2,・・・の偶数番目のフレームに位置し、1,3,・・・の奇数番目の符号語が、1,3,・・・の奇数番目のフレームに位置する。
【0048】
BISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。つまり符号長62に対してディスタンスが33という符号を用いている。
このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。図9(a)のフレーム構造において隣接したBISあるいはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ38Bはバーストエラーとみなされる。このデータ38Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力を上げることができる。
BISにはアドレス情報等が含まれている。このアドレスは、ROMタイプディスク等で、ウォブリンググルーブによるアドレス情報がない場合等につかわれる。
【0049】
次に図8にプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを示す。
この場合ECCには、メインデータ4KB(1セクタ2048B×2セクタ)に対するLDC(long distance code)とBIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0050】
図8(a)に示すプリレコーデッド情報としてのデータ4KBについては、図8(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、2セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。19の符号語がある。
【0051】
一方、BISは、図8(c)に示す120Bのデータに対して、図8(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。4つの符号語がある。
【0052】
図9(b)にPBゾーンにおけるプリレコーデッド情報についてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、フレームシンクFS(1B)、データ(10B)、BIS(1B)、データ(9B)が配されて21Bの構造となる。つまり1フレームは19Bのデータと、BISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレームの先頭に配される。1つのブロックには248のフレームがある。
【0053】
この場合もBISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。隣接したBIS或いはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ10B、あるいは9Bはバーストエラーとみなされる。このデータ10B、あるいは9Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力をあげることができる。
【0054】
BISにはアドレス情報等が含まれている。プリレコーデッドデータゾーンではプリレコーデッド情報がウォブリンググルーブによって記録され、従ってウォブリンググルーブによるアドレス情報は無いため、このBISにあるアドレスがアクセスのために使われる。
【0055】
図7,図8からわかるように、フェイズチェンジマークによるデータとプリレコーデッド情報は、ECCフォーマットとしては、同一の符号及び構造が採用される。
これは、プリレコーデッド情報のECCデコード処理は、フェイズチェンジマークによるデータ再生時のECCデコード処理を行う回路系で実行でき、ディスクドライブ装置としてはハードウエア構成の効率化を図ることができることを意味する。
【0056】
3.ディフェクトマネジメント領域
3−1 DMAを含むインフォメーションエリア
続いて、リードインゾーン内のRWゾーン側の構成を説明すると共に、ディフェクトマネジメント領域について説明していく。
図4で説明したように、ディスクの半径24mmより内周にリードインゾーンが形成される。このうち、23.1mm〜24mmの範囲がRWゾーンとなる。
図10には、RWゾーンの範囲としてのリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンを示し、また、その各ゾーン及びゾーン内のエリアのクラスタ数を示している。
なお、クラスタとは64KBのデータ単位であり、32セクターで構成される。1セクターは2048バイトである。
【0057】
図10に示すように、リードインゾーンにおいては、半径23.235mm〜23.278mmの区間にはインフォメーションエリアInfo2、半径23.278mm〜23.621mmの区間にはテストライトエリアOPC、半径23.621mm〜23.958mmの区間にはリザーブエリア、半径23.958mm〜24.000mmの区間にはインフォメーションエリアInfo1が形成される。
【0058】
インフォメーションエリアInfo1、Info2内には、ディフェクトマネージメント管理情報を記録するディフェクトマネジメント領域DMAや、コントロール情報を記録するコントロールデータエリアがある。
テストライトエリアOPCは記録再生条件をテストするエリアで、記録レーザパワー等を最適な条件にするための試し書きが行われる。
リザーブエリアは将来的な使用に備えた予備領域である。
【0059】
記録再生密度は、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitとし、データ64kBを1クラスタとして記録再生する場合、インフォメーションエリアInfo2は256クラスタ、テストライトエリアOPCは2048クラスタ、リザーブエリアは2048クラスタ、インフォメーションエリアInfo1は256クラスタとなる。
【0060】
ユーザーデータを記録再生する領域となるデータゾーンは、355603クラスタとなり、64KB×335603=約23.3GBのデータを記録再生できるものである。
リードアウトゾーンは7429クラスタである。リードアウトゾーンにはディフェクトマネジメント領域DMAやコントロールデータエリアなど、インフォメーションエリアInfo1、Info2と同様のデータが記録再生されることもある。
【0061】
図11(a)(b)にインフォメーションエリアInfo2、Info1の構造を示す。
図11(a)のように、インフォメーションエリアInfo2は、リザーブ、ディフェクトマネジメント領域DMA2、コントロールデータエリアCDA2、バッファにより構成される。
リザーブは将来用途の予備として160クラスタ設けられる。
ディフェクトマネジメント領域DMA2は32クラスタとされる。
コントロールデータエリアCDA2は、コントロール情報を記録するエリアで、32クラスタとされる。
バッファは、コントロールデータエリアCDA2とテストライトエリアOPCとを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
【0062】
図11(b)に示すように、インフォメーションエリアInfo1は、バッファ、ドライブエリア、リザーブ、ディフェクトマネジメント領域DMA1、コントロールデータエリアCDA1、バッファにより構成される。
最初のバッファは、図10に示したリザーブエリアと図11(b)のドライブエリアを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
ドライブエリアは、テストライトエリアOPCにおける試し書きにより最適なディスクの記録再生条件を見い出したあとで、その条件(最適値等)をデータとして記録するためなどの領域として使われるエリアであり、32クラスタとされる。
リザーブは将来用途の予備として96クラスタ設けられる。
ディフェクトマネジメント領域DMA1は、上記ディフェクトマネジメント領域DMA2と同じ情報(ディフェクトマネジメント情報)を記録再生する領域であり、32クラスタとされる。
コントロールデータエリアCDA1は、上記コントロールデータエリアCDA2と同じ情報を記録再生する領域であり、32クラスタとされる。
バッファは、コントロールデータエリアCDA1とデータゾーンを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
【0063】
上記図10からわかるように、それぞれディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)を含むインフォメーションエリアInfo1、Info2は、ディスク半径方向に離れて形成される。しかも、テストライトエリアOPC及びリザーブエリアをはさんだ状態で、インフォメーションエリアInfo1、Info2はディスク半径方向に離れたものとされている。この例の場合、半径方向に約0.7mm離れた状態となる。
これによって、一方のインフォメーションエリア(Info1又Info2)におけるディフェクトマネジメント領域DMAが、傷やディフェクトでダメージを受けたとしても、そのダメージが他方のインフォメーションエリア(Info2又Info1)におけるディフェクトマネジメント領域DMAに影響する可能性は非常に低い。つまり、2つのディフェクトマネジメント領域DMA1,DMA2が同時にダメージを受けてしまって、どちらも記録再生できなくなってしまうということは殆ど発生しない。これによりディフェクトマネジメント領域DMAの信頼性を向上させることができる。
また、コントロールデータエリアCDA1、CDA2についても同様のことが言え、2つのコントロールデータエリアCDA1、CDA2が同時にダメージを受けてしまって、どちらも記録再生できなくなってしまうということは殆ど発生しないため、コントロールデータエリアCDAの信頼性も向上する。
【0064】
また図10からわかるようにリードインゾーンにおいては、リザーブエリアを除けばテストライトエリアOPCが最も大きい領域である。従って、インフォメーションエリアInfo1、Info2が、少なくともテストライトエリアOPCをはさんで配置されることは、インフォメーションエリアInfo1、Info2を半径方向に効果的に離間させるということになり、一方のインフォメーションエリアにおけるダメージを他方のインフォメーションエリアに影響を与えないという目的において好適なものとなる。
【0065】
3−2 交替領域を有するDMA構造
次にインフォメーションエリアInfo1、Info2内に設けられるディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)の構造について説明していく。
図12にディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)の構造を示す。
図11に示したようにディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)は32クラスタで形成される。図12においてはクラスタナンバ(cluster number)1〜32として、ディフェクトマネジメント領域DMAにおける各内容のデータ位置を示している。また各内容のサイズをクラスタ数(number of cluster)として示している。
【0066】
ディフェクトマネジメント領域DMAにおいて、クラスタナンバ1〜4の4クラスタの区間にはDDS(disc definition structure)が記録される。
このDDSの内容は図13で述べるが、DDSは1クラスタのサイズとされ、当該4クラスタの区間において4回繰り返し記録される。
【0067】
クラスタナンバ5〜8の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの1番目の記録領域(1st position of DL)となる。
クラスタナンバ9〜12の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの2番目の記録領域(2nd position of DL)となる。
さらに、4クラスタづつ3番目以降のディフェクトリストDLの記録領域が用意され、クラスタナンバ29〜32の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの7番目の記録領域(7th position of DL)となる。
つまり、32クラスタのディフェクトマネジメント領域DMAには、ディフェクトリストDLについて第1〜第7の7個の記録領域が用意される。
後述するが、ディフェクトリストDLは図14で説明する4クラスタサイズのデータとなり、最初は第1の記録領域にディフェクトリストDLが記録される。第2〜第7の記録領域は、ディフェクトリストDLの記録領域としての交替領域とされる。
【0068】
図13にDDSのデータ内容(contents)を示す。
上記のようにDDSは1クラスタ(=32セクター)のサイズとされる。図13のデータフレームが2048バイトのセクターに相当し、データフレーム0〜31で1クラスタを構成する。
バイトポジション(Byte position in data frame)は、データフレーム内のバイト位置を示す。バイト数(number of bytes)は各データ内容のバイト数を示す。
【0069】
先頭のデータフレーム(データフレーム0)において、各種データ内容が定義されている。
バイトポジション0からの2バイトに、DDSのクラスタであることを認識するための、DDS識別子(DDS Identifier)が記録される。
バイトポジション2の1バイトに、DDSフォーマットのバージョンが示される。
バイトポジション4からの4バイトには、DDS更新回数(DDS up date count)が記録される。
【0070】
バイトポジション16からの4バイトには、ドライブエリアの開始位置が、その最初のセクターの物理セクターアドレスPSN(physical sector number)によって示される(first PSN of drive area)。
バイトポジション24からの4バイトには、ディフェクトリストDLの開始位置が、その最初のセクターの物理セクターアドレスPSNによって示される(first PSN of defect list)。
【0071】
バイトポジション32からの4バイトには、データゾーンにおけるユーザーデータエリア(図16で説明)の論理セクターアドレスLSN(logical sector number)=「0」の位置が物理セクターアドレスPSNによって示される。
バイトポジション36からの4バイトには、データゾーンにおけるユーザーデータエリアの最後の論理セクターアドレスLSNの位置が物理セクターアドレスPSNによって示される。
バイトポジション40からの4バイトには、データゾーンにおける内周側交替エリアISA(inner spare area)のサイズが示される。
バイトポジション44からの4バイトには、データゾーンにおける外周側交替エリアOSA(outer spare area)のサイズが示される。
バイトポジション52の1バイトには、内周側交替エリアISA、外周側交替エリアOSAのフルフラグが示される。フルフラグは、交替エリアが満杯になっているか否かを示すフラグである。
【0072】
バイトポジション54の1バイトには、ディスクをベリファイ等のチェックしながらサーティファイしたか否かを示すディスクサーティフィケーションフラグが記録される。
バイトポジション56からの4バイトには、ディスクをベリファイした際の最後のアドレスポインタが示される。
【0073】
データフレーム「0」において上記以外のバイト、及びデータフレーム「1」〜「31」はリザーブとされている。
【0074】
次に図14にディフェクトリストDLの構造を示す。
図12で説明したように、ディフェクトリストDLは4クラスタの記録領域に記録される。
図14においては、クラスタナンバ/データフレーム(Cluster number /data frame)として、4クラスタのディフェクトリストDLにおける各データ内容(contents)のデータ位置を示している。1クラスタ=32データフレームである。1データフレーム=2048バイトである。
バイトポジション(Byte position in data frame)は、データフレーム内におけるバイト位置(データ内容の先頭位置)を示す。
バイト数(number of bytes)は各データ内容のサイズとしてのバイト数を示す。
【0075】
ディフェクトリストDLの先頭の64バイトはディフェクトリストヘッダとされる。
このディフェクトリストヘッダには、ディフェクトリストのクラスタであることを認識する情報、バージョン、ディフェクトリスト更新回数、ディフェクトリストのエントリー数などの情報が記録される。
【0076】
ディフェクトリストヘッダに続いては、ディフェクトリストのエントリー内容(list of defects)の領域とされる。
即ちエントリー内容(list of defects)としては、クラスタ「0」/データフレーム「0」のバイト「64」以降に、図15で後述する構成のエントリーが記録されていく。
【0077】
エントリー内容(list of defects)の直後には、ディフェクトリストターミネータ(defect list terminator)が8バイト記録される。
ディフェクトリストターミネータの最初の4バイトは、ディフェクトリストターミネータであることを示す識別子として「FF FF FF FFh」とされる。
続く4バイトは、ディフェクトリストヘッダに記録されるディフェクトリスト更新回数と同じく、ディフェクトリスト更新回数が記録され、ディフェクトリストの最後が認識される。
残りのバイトはリザーブである。
【0078】
図15に、上記エントリー内容(list of defects)に記録される各エントリー(DL entry)を示す。
1つのエントリー(DL entry)は、バイト0〜7の8バイト(64ビット)で構成される。各バイト内のビットはビット7〜0として示す。
【0079】
エントリー(i)のバイト0のビット7〜4には、エントリーのステータス情報(status 1)が記録される。
ステータス情報としては、交替されたエントリー、交替可能な交替先のエントリー、交替不能な交替先のエントリー等が示される。
【0080】
バイト0のビット3〜0及びバイト1〜3としての30ビットの範囲に、ディフェクティブクラスタの最初の物理セクターアドレスPSNが示される。即ちディフェクトとされて交替されるクラスタを、その先頭セクターの物理セクターアドレスPSNによって示すものである。
【0081】
バイト4のビット7〜4には、エントリーにおけるもう一つのステータス情報(status 2)が記録される。このステータス情報(status 2)はリザーブとされている。
【0082】
バイト4のビット3〜0及びバイト5〜7としての30ビットの範囲に、交替領域の最初の物理セクターアドレスPSNが示される。
即ち、上記ディフェクティブクラスタが交替された場合に、その交替先のクラスタを、その先頭セクターの物理セクターアドレスPSNによって示すものである。
【0083】
以上のような1つのエントリー(DL entry)によって、1つのディフェクトとされたクラスタが示され、またそのクラスタについて交替処理が行われた場合は、交替領域としてのクラスタも示されることになる。
そして、このようなエントリーが、図14の構造のディフェクトリストDLにおいて、エントリー内容(list of defects)として記録されていく。
【0084】
上述の通り、図14に示したディフェクトリストDLを記録する記録領域としては、図12に示すディフェクトマネジメント領域DMA内に7個用意されている。
ディフェクトリストDLは、ディフェクト状況に応じてエントリーの追加などに伴う更新が行われ、またディフェクトリストヘッダでの更新回数の値の書換なども行われる。即ち、ディフェクトマネジメント領域DMA内で、必要に応じて随時更新されていくものである。
【0085】
このディフェクトリストDLの記録は、まず最初は、図12のディフェクトマネジメント領域DMAにおける1番目の記録領域(1st position of DL)に行われる。このとき、ディフェクトリストヘッダにおける更新回数も記録される。
例えばある時点で、更新回数が1000回になった場合、あるいは、記録した後、ディフェクトリストDLが再生ができなかった場合などは、記録領域を交替させる。つまり2番目の記録領域(2nd position of DL)にディフェクトリストDLを記録するようにする。
以下、同様に、記録更新回数が1000回に達する毎に、あるいは、記録した後、再生ができなかった場合、第3、第4、第5、第6、第7番目の順に記録領域を交替させていくものである。
【0086】
このように、ディフェクトマネージメント領域DMAにおいては、実際のディフェクトマネジメント情報となるディフェクトリストDLを記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域(1st position of DL〜7th position of DL)を設けることで、更新回数やエラー状況などに応じて記録領域を変化させることができる。即ち上記のようにディフェクトリストDLの更新回数によってオーバーライト回数を知ることができ、その回数が、ある値以上になった場合、ディフェクトリストの記録領域を交替させていく。
ディフェクトマネジメント領域DMAではフェーズチェンジ記録方式で記録が行われるものであり、フェーズチェンジ記録方式ではオーバライト回数に限界があることが知られているが、上記のように記録領域を交替させることで、オーバーライト回数の限界を克服することができ、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことができる。
【0087】
また、ディフェクトマネジメント領域DMAとしては、リードインゾーンにおいては図11で説明したようにDMA1、DMA2の2つが存在する。またリードアウトゾーンにディフェクトマネジメント領域DMAがさらに形成される場合もある。
DMA1,DMA2、および他のDMAには、DMA1、2・・・の順番に、同じ情報が記録される。
すべてのDMAの情報内容が同じであるかどうかは、各DMAのDDSの記録更新回数、およびディフェクトリストヘッダに記録されるディフェクトリストDLの記録更新回数で判断することができる。
もし異なる場合には、DMA1、2・・・の順番を優先し、情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
【0088】
3−3 データゾーンの交替エリア
上記ディフェクトリストDLで管理されるデータゾーンの交替エリアについて述べておく。
図16は、データゾーンに交替エリア(spare area)を形成した際のディスクレイアウトを示している。
【0089】
データゾーンはユーザーデータを記録再生する領域であるが、ユーザーデータを記録するユーザーデータエリアの他に、交替エリア(spare area)が形成される。
ISA(inner spare area)は内周側の交替エリアで、2048クラスタ、128MBある。
OSA (outer spare area) は外周側の交替エリアで、16384クラスタ、1024MBある。
【0090】
ISAは固定サイズで、OSAは可変サイズである。
最初に図12のディフェクトマネジメント領域DMAにおいてDDSを初期化フォーマットし、記録する際に、DDSにおけるISAサイズ(inner spare area size)として固定のサイズを、OSAサイズ(outer spare area size)として可変長のサイズを記録して設定する。
ISAサイズは初期化フォーマット以後は変更できない。
OSAサイズは初期化フォーマット以後でも変更することができる。たとえば、パーソナルコンピュータ等でのディスクの使用において、AVストリーム(オーディオ・ビデオのストリームデータ)を記録再生する際は、交替エリアを少なくし、ユーザーデータエリアを大きくして記録再生時間を長くすることが望ましいが、PCデータの記録再生では、信頼性を得るため、大きな交替エリアサイズがあることがのぞましい。
そこで、初期化フォーマット以後、ディスクを途中でPCデータ記録再生から、AVストリームの記録再生用に切り換えて使用する場合、OSAサイズを小さくし変更することが好適である。また逆に、AVストリームの記録再生から、PCデータ記録に変更する場合は、OSAサイズを大きくし変更することが好適である。
【0091】
なお、ディスクをAVストリーム記録再生専用に使用する場合は、交替エリア(ISA,OSA)を0にする。具体的には初期化フォーマットの際に、DDSにおいてISAサイズ(inner spare area size)=0、OSAサイズ(outer spare area size)=0と設定する。
その場合、データゾーンは全てユーザーデータエリアとして扱われる。
また、ディフェクティブクラスタが生じた場合は、ディフェクトリストDLにおいて、ディフェクティブクラスタとしてだけエントリーし、交替先のクラスタはエントリーしない。
つまりこの場合、ディフェクティブクラスタは、交替処理されないで、単にそのクラスタは使用されないものとしてエントリーされるものとなる。
この場合、記録再生中に交替先へのシーク時間が無くなるため、AVストリームのリアルタイム記録再生に適している。
また交替エリアを形成しないことで、使用できるユーザーデータエリアも大きくなり、記録再生時間を長くすることができる。
【0092】
4.ディスクドライブ装置
次に、上記のようなディスク1に対応して記録/再生をディスクドライブ装置を説明していく。
このディスクドライブ装置は、上述したようにPBゾーンとRWゾーンとしてウォブリンググルーブが形成されたディスクに対してフォーマット処理としてのフェーズチェンジ記録方式による記録動作を行うことで、図4及び図10〜図16で説明したようなレイアウトのディスク1を形成する。
また、そのようなディスク1に対してユーザーデータエリアにフェーズチェンジ記録方式によるデータの記録再生を行なう。
もちろんフォーマット時や、必要時において、ディフェクトマネジメント領域DMAの記録/更新も行うものである。
【0093】
図17はディスクドライブ装置の構成を示す。
ディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のRWゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。またPBゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたプリレコーデッド情報の読み出しがおこなわれる。
また初期化フォーマット時や、ユーザーデータ記録時には光学ピックアップによってRWゾーンにおけるトラックに、管理データやユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
【0094】
ピックアップ51内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
レーザダイオードは、波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
【0095】
ピックアップ51内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0096】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路54に供給される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0097】
マトリクス回路54から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路55へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル回路58へ、それぞれ供給される。
【0098】
リーダ/ライタ回路55は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークとして読み出されたデータを再生して、変復調回路56に供給する。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム120に転送される。
【0099】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路58において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてMSK復調、HMW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0100】
また、グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号として、PBゾーンからのプリレコーデッド情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてバンドパスフィルタ処理が行われてリーダ/ライタ回路55に供給される。そしてフェイズチェンジマークの場合と同様に2値化され、データビットストリームとされた後、ECCエンコーダ/デコーダ57でECCデコード、デインターリーブされて、プリレコーデッド情報としてのデータが抽出される。抽出されたプリレコーデッド情報はシステムコントローラ60に供給される。
システムコントローラ60は、読み出されたプリレコーデッド情報に基づいて、各種設定処理やコピープロテクト処理等を行うことができる。
【0101】
記録時には、AVシステム120から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ57におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0102】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路55で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ63に送られる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0103】
なお、レーザドライバ63は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ51内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザー出力の目標値はシステムコントローラ60から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0104】
サーボ回路61は、マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0105】
またサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0106】
またサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ60からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
【0107】
スピンドルサーボ回路62はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0108】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ60により制御される。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0109】
例えばAVシステム120から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ57、変復調回路56により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路55からのレーザドライブパルスがレーザドライバ63に供給されることで、記録が実行される。
【0110】
また例えばAVシステム120から、ディスク1に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0111】
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ60は、ウォブル回路58及びアドレスデコーダ59によって検出されるADIPアドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0112】
また、ディスク1が装填された際など所定の時点で、システムコントローラ60は、ディスク1のBCAにおいて記録されたユニークIDや、プリレコーデッドデータゾーンPRにウォブリンググルーブとして記録されているプリレコーデッド情報の読出を実行させる。
その場合、まずBCA、プリレコーデッドデータゾーンPRを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、ディスク最内周側へのピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、ピックアップ51による再生トレースを実行させ、反射光情報としてのプッシュプル信号を得、ウォブル回路58、リーダ/ライタ回路55、ECCエンコーダ/デコーダ57によるデコード処理を実行させ、BCA情報やプリレコーデッド情報としての再生データを得る。
システムコントローラ60はこのようにして読み出されたBCA情報やプリレコーデッド情報に基づいて、レーザパワー設定やコピープロテクト処理等を行う。
【0113】
なお、プリレコーデッド情報の再生時には、システムコントローラ60は、読み出されたプリレコーデッド情報としてのBISクラスタに含まれるアドレス情報を用いて、アクセスや再生動作の制御を行う。
【0114】
ところで、この図17の例は、AVシステム120に接続されるディスクドライブ装置としたが、本発明のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図40とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0115】
ところで、ディスク1については初期化フォーマット前の状態で工場出荷されることが考えられる。即ち図4に示したようにPBゾーンにBCA及びウォブリンググルーブによるプリレコーデッドデータが記録され、RWゾーンにおいてはウォブリンググルーブによってADIPアドレスが記録された状態である。
このためディスク1を使用する際には、予め初期化フォーマットを行って、図10に示したようなリードインゾーン内の構造を形成する。またその際にディフェクトマネジメント領域DMAに記録される情報によってデータゾーンにおける交替エリア(ISA、OSA)が設定されるものとなる。
初期化フォーマット時において、ディスクドライブ装置が図10〜図15で説明したリードイン構造(ディフェクトマネジメント領域構造)を形成することで、上述したように、信頼性の高いディフェクトマネジメント領域を有するディ1が形成されるものとなる。
なお、この初期化フォーマット処理は、工場出荷前においてディスクドライブ装置によって行われるようにしてもよい。
【0116】
次に、ディスクドライブ装置がディフェクトマネジメント情報(ディフェクトリストDL)の記録/更新を行う際の処理を図18で説明する。
図18はシステムコントローラ60の制御としての処理を示している。
【0117】
ディフェクトリストDLの記録/更新を行う際には、まずステップF101でディフェクトリストのポインタ(DL pointer)を確認する。このポインタ(DL pointer)とは図13に示したDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)のことであり、この情報を読み込む。
なおポインタ(DL pointer)の値としては「0」〜「6」が図12の第1〜第7の記録領域(1st〜7th position of DL)に対応するものとして説明する。
【0118】
ポインタ(DL pointer)が読めない場合、つまりポインタとしての値が記録されていない場合、ステップF102に進み、ポインタ(DL pointer)=「0」に相当する第1の記録領域(1st position of DL)にディフェクトリストDLを記録する。またDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)の値として、ポインタ(DL pointer)=「0」としての値、つまり第1の記録領域(1st position of DL)を示す値を記録する。
例えばディスク1に対して初期化フォーマット時或いはその後で、初めてディフェクトリストDLを記録する際などにおいては、システムコントローラ60が以上のステップF101,F102の処理を行うことによって、ディスクドライブ装置は第1の記録領域(1st position of DL)に対してディフェクトリストDLの記録を行うものとなる。
【0119】
ディフェクトリストDLの書込のためにステップF101でポインタ(DL pointer)を確認し、それが何らかの数値「n」であった場合は、ステップF103に進む。この場合「n」は0,1,2,3,4,5,6のいずれかであって、第1〜第7の記録領域(1st〜7th position of DL)のいずれかを指定している場合である。
システムコントローラ60は、ステップF103ではポインタ(DL pointer)で示される記録領域へアクセスする制御を行い、その記録領域に記録されているディフェクトリストDLを読み出させる。
そして、ディフェクトリストDLにおけるディフェクトリストヘッダに記録されている更新(オーバライト)回数の値を確認し、その更新回数が「m」(例えば1000回)を越えているか否かを判断する。又は、ディフェクトリストDLの読出の際のSER(symbol error rate)がある値「j」を越えているか否かを判断する。
【0120】
オーバライト回数がm回を越えていること、或いはSERが所定値「j」を越えていることが検出されなければ、ステップF105に進み、その記録領域、つまりその時点でポインタ(DL pointer)で示されている記録領域において、ディフェクトリストDLの更新を行う。
【0121】
一方、オーバライト回数がm回を越えていること、或いはSERが所定値「j」を越えていることが検出された場合は、現時点でポインタ(DL pointer)で示されている記録領域は既に消耗しているとしてステップF106に進み、次の記録領域(ポインタ(DL pointer)=n+1の記録領域)に交替して、その新たな記録領域に対してディフェクトリストDLの記録を行う。
またDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)の値を、現時点のポインタ(DL pointer)=nとしての値から、ポインタ(DL pointer)=「n+1」としての値に更新する。つまり交替した新たな記録領域を示す値とする。
【0122】
ディスクドライブ装置によるディフェクトリストDLの記録の際に、以上の処理により記録領域(1st〜7th position of DL)は、必要に応じて交替されていくことになる。
従って、オーバライト回数の限界を超えてディフェクトリストDLの信頼性の高い書換を行うことができ、ディスク及び記録再生動作の信頼性を向上できる。
【0123】
以上、実施の形態のディスク及びそれに対応するディスクドライブ装置について説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、要旨の範囲内で各種変形例が考えられるものである。
例えばディスクとしては、記録層が2層、3層などの多層ディスクも存在するが、各記録層において形成されるリードインゾーンにおいてディフェクトマネジメント領域DMAを含む複数の管理データ領域が半径方向に離れるようにし、またディフェクトマネジメント領域DMAにおいてはディフェクトリストDLの記録領域として交替領域が設けられるようにすればよい。
また、ディスク外周側においてディフェクトマネジメント領域DMAを含む複数の管理データ領域が形成される場合も、それらが半径方向に離れるようにし、またディフェクトマネジメント領域DMAにおいてはディフェクトリストDLの記録領域として交替領域が設けられるようにすればよい。
【符号の説明】
【0124】
1 ディスク、51 ピックアップ、52 スピンドルモータ、53 スレッド機構、54 マトリクス回路、55 リーダ/ライタ回路、56 変復調回路、57 ECCエンコーダ/デコーダ、58 ウォブル回路、59 アドレスデコーダ、60 システムコントローラ、61 サーボ回路、62 スピンドルサーボ回路、63 レーザドライバ、120 AVシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体、及び記録媒体に対する記録方法、さらにはディスク記録媒体に対する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk),MD(Mini-Disk),DVD(Digital Versatile Disk)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、DVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
【0003】
光磁気記録方式、色素膜変化記録方式、相変化記録方式などの記録可能なディスクに対してデータを記録するには、データトラックに対するトラッキングを行うための案内手段が必要になり、このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録される場合がある。
【0004】
すなわち、データを記録するトラックが例えばプリグループとして予め形成されるが、このプリグループの側壁をアドレス情報に対応してウォブリングさせる。
このようにすると、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができ、例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にデータを記録再生することができる。
このようにウォブリンググルーブとしてアドレス情報を付加することで、例えばトラック上に離散的にアドレスエリアを設けて例えばピットデータとしてアドレスを記録することが不要となり、そのアドレスエリアが不要となる分、実データの記録容量を増大させることができる。
なお、このようなウォブリングされたグルーブにより表現される絶対時間(アドレス)情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ディスクにおいてはディフェクトマネジメント(欠陥管理)が行われる。
ディフェクトマネージメントは、傷その他のディフェクト等により、ディスク上のあるエリアが記録/再生できなくなった場合、その記録再生できなくなったエリアのアドレスを、ディフェクト(欠陥エリア)として登録したり、さらには欠陥エリアに代える交替エリアを用意する場合は、その交替エリアのアドレスを管理するようにするものであり、ディフェクトによって、システムが破たんすることがないようにする重要な技術である。
そしてディフェクトマネジメントにおいては、例えば、記録再生できなくなった欠陥エリアのアドレスと、交替先のアドレスをディフェクトリストとして登録する。このディフェクトリストは、ディフェクトマネージメントにとって重要な情報となる。
【0006】
近年開発されているDVRのような高密度ディスクについては、ディスク厚み方向に0.1mmのカバー層(サブストレート)を有するディスク構造において、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生を行うとし、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。
【0007】
このときのユーザーデータを記録再生するエリア(データゾーン)は、ディスク上の半径24mm〜58mmの範囲であり、半径24mmより内周側はリードインゾーンとされる。
そしてディフェクトマネージメント情報を記録した領域(ディフェクトマネジメント領域)は、リードインゾーン内における所定の位置に形成されていた。また、ディフェクトマネジメント領域が2個設けられる場合、それらはリードインゾーン内における所定の位置に隣接して形成されていた。
【0008】
例えば2個のディフェクトマネージメント領域が形成されるのは、一方のディフェクトマネジメント情報が読み出せなくても、他方で読み出すことで信頼性を維持するためであるが、2個のディフェクトマネジメント領域が隣接して形成されている場合、そのディフェクトマネジメント領域とされる部分に対して傷がついた場合は、ディフェクトマネジメント領域が2つとも記録再生できなくなる可能性が大きい。即ち、ディフェクトマネジメントの信頼性という点で不十分であった。
【0009】
具体例でいえば、ディスクの半径24mmの位置では、ディスク1周回において64KBのデータブロックが1.9ブロック程度記録できる。
ユーザーデータ容量が23.3GBと大容量であることから、交替エリアを18432クラスタ、約1.207959552GBとすると、ユーザーデータの約5%になる。ディフェクトリストは、1エントリー8バイトとすると、147.456KBとなり、3クラスタ必要になる。
このように1つのディフェクトマネージメント領域を、複数クラスタで形成する場合、上記のように半径24mmの位置でトラック1周に64KBのデータブロックが1.9ブロック程度記録できるので、隣接して2つのディフェクトマネージメント領域が形成される場合において、その領域にディフェクト、傷があった場合、2個のディフェクトマネージメント領域において複数クラスタが記録再生できなくなり、2個のディフェクトマネージメント領域とも正しく記録再生できなくなる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みて、ディスク記録媒体におけるディフェクトマネジメントの信頼性を向上させることを目的とする。
【0011】
本発明の記録方法は、ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、上記各管理データ領域は、少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
また、上記所定の順番は、最も内周に位置する管理データ領域のディフェクトマネジメント領域から外周に向けての順番であるようにする。
【0012】
また本発明の記録方法は、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行うとともに、ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、上記判別に基づいて、別の記録領域にディフェクトマネジメント情報を記録するとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定するようにする。
【0013】
本発明の記録装置は、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録装置において、上記ディスク記録媒体に対して情報の記録を行う記録手段と、上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う更新手段を備えるようにする。
また、ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、その判別に基づいて、別の記録領域に対して上記記録手段によりディフェクトマネジメント情報を記録させるとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する情報を記録させる制御手段とを備える。
【0014】
即ち本発明では、ディスク内周の所定半径区間領域においてディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設けることで、ディフェクトマネジメントの信頼性を得、さらに複数のディフェクトマネジメント領域(管理データ領域)が、比較的大きい区間である記録再生条件調整領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置とされることで、ディフェクトマネジメント領域の信頼性を一層向上させる。
さらに、ディフェクトマネジメント領域に、ディフェクトマネジメント情報を記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域を設けることで、ディフェクトマネジメント領域の更新回数、エラー状況などに応じて記録領域を変化させることができるようにする。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から理解されるように本発明よれば以下のような効果が得られる。
即ち、リードインゾーンなどのディスク内周の所定半径区間領域においてディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設けることで、ディフェクトマネジメントの信頼性を得、さらに複数のディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域(インフォメーションエリア)が、比較的大きい区間である記録再生条件調整領域(OPC)をはさんでディスク半径方向に離れた位置とされることで、ディフェクトマネジメント領域の信頼性を一層向上させる。つまり、ディフェクト、きず等が、一方のディフェクトマネージメント領域にあっても、他方のディフェクトマネージメント領域に影響することなく、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント管理領域を形成し、ディフェクトマネジメントを行うことができる。
【0016】
また、ディフェクトマネージメント領域においては、ディフェクトマネジメント情報を記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域を設けることで、ディフェクトマネジメント領域の更新回数、エラー状況などに応じて記録領域を変化させることができる。
例えばディフェクトリストの更新回数を読み出すことで、オーバーライト回数を知ることができ、その回数が、ある値以上になった場合、ディフェクトリストを交替領域としての記録領域に交替して記録できる。
これにより、上述したフェーズチェンジ記録方式でデータ記録を行う光ディスク等、オーバーライト回数に限界のある光ディスクでも、 オーバーライト回数の限界を克服することができ、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことができる。
【0017】
従って本発明によれば、ディフェクトマネジメント領域に対するディフェクト、きず等、さらには他のディフェクトマネージメント領域でのディフェクト、傷に影響されることなく、 かつ、オーバーライト回数の限界にも影響されないといった、非常に信頼性の高いディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態のディスクのグルーブの説明図である。
【図2】実施の形態のディスクのグルーブのウォブリングの説明図である。
【図3】実施の形態のMSK変調及びHMW変調を施したウォブル信号の説明図である。
【図4】実施の形態のディスクレイアウトの説明図である。
【図5】実施の形態のPBゾーン及びRWゾーンのウォブリングの説明図である。
【図6】実施の形態のプリレコーデッド情報の変調方式の説明図である。
【図7】実施の形態のフェイズチェンジマークのECC構造の説明図である。
【図8】実施の形態のプリレコーデッド情報のECC構造の説明図である。
【図9】実施の形態のフェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報のフレーム構造の説明図である。
【図10】実施の形態のリードインゾーンの構成の説明図である。
【図11】実施の形態のインフォメーションエリアの説明図である。
【図12】実施の形態のDMAの構造の説明図である。
【図13】実施の形態のDMAのDDSの説明図である。
【図14】実施の形態のDMAのディフェクトリストの説明図である。
【図15】実施の形態のDMAのディフェクトリストエントリーの説明図である。
【図16】実施の形態のデータゾーンのISA、OSAの説明図である。
【図17】実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図18】実施の形態のディスクドライブ装置の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態としての光ディスクを説明するとともに、その光ディスクに対応して記録再生を行うディスクドライブ装置(記録再生装置)、及びディフェクトマネジメント領域に関する記録方法について説明していく。説明は次の順序で行う。
1.ディスク構造
2.データのECCフォーマット
3.ディフェクトマネジメント領域
3−1 DMAを含むインフォメーションエリア
3−2 交替領域を有するDMA構造
3−3 データゾーンの交替エリア
4.ディスクドライブ装置
【0020】
1.ディスク構造
まず実施の形態の光ディスクについて説明する。この光ディスクは、いわゆるDVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクとして実施可能である。
本発明の実施の形態の光ディスク1は、図1に示すように、記録トラックとなるグルーブGVが形成されている。このグルーブGVは、内周側から外周側へスパイラル状に形成されている。そのため、この光ディスク1の半径方向の切断面を見ると、図2に示すように、凸状のランドLと、凹状のグルーブGVとが交互に形成されることとなる。
【0021】
光ディスク1のグルーブGVは、図2に示すように、接線方向に対して蛇行形成されている。このグルーブGVの蛇行形状は、ウォブル信号に応じた形状となっている。そのため、光ディスクドライブでは、グルーブGVに照射したレーザスポットLSの反射光からそのグルーブGVの両エッジ位置を検出し、レーザスポットLSを記録トラックに沿って移動させていった際におけるその両エッジ位置のディスク半径方向に対する変動成分を抽出することにより、ウォブル信号を再生することができる。
【0022】
このウォブル信号には、その記録位置における記録トラックのアドレス情報(物理アドレスやその他の付加情報等)が変調されている。そのため、光ディスクドライブでは、このウォブル信号からアドレス情報等を復調することによって、データの記録や再生の際のアドレス制御等を行うことができる。
【0023】
なお、本発明の実施の形態では、グルーブ記録がされる光ディスクについて説明をするが、本発明はこのようなグルーブ記録の光ディスクに限らず、ランドにデータを記録するランド記録を行う光ディスクに適用することも可能であるし、また、グルーブ及びランドにデータを記録するランドグルーブ記録の光ディスクにも適用することも可能である。
【0024】
ここで、本実施の形態の光ディスク1では、2つの変調方式を用いて、ウォブル信号に対してアドレス情報を変調している。一つは、MSK(Minimum Shift Keying)変調方式である。もう一つは、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を付加し、被変調データの符号に応じて当該高調波信号の極性を変化させることによって変調する方式である。以下、正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を付加し、被変調データの符号に応じて当該高調波信号の極性を変化させることによって変調する変調方式のことを、HMW(HarMonic Wave)変調と呼ぶものとする。
【0025】
本実施の形態の光ディスク1では、図3に示すように、所定周波数の正弦波の基準キャリア信号波形が所定周期連続したブロックを構成し、このブロック内に、MSK変調されたアドレス情報が挿入されるMSK変調部と、HMW変調されたアドレス情報が挿入されるHMW変調部とを設けたウォブル信号を生成する。すなわち、MSK変調されたアドレス情報と、HMW変調されたアドレス情報とを、ブロック内の異なる位置に挿入している。さらに、MSK変調で用いられる2つの正弦波のキャリア信号のうちの一方のキャリア信号と、HMW変調のキャリア信号とを、上記の基準キャリア信号としている。また、MSK変調部とHMW変調部とは、それぞれブロック内の異なる位置に配置するものとし、MSK変調部とHMW変調部との間には、1周期以上の基準キャリア信号が配置されるものとしている。
なお、なんらデータの変調がされておらず、基準キャリア信号の周波数成分だけが現れる部分をモノトーンウォブルと呼ぶ。また、基準キャリア信号の1周期を1ウォブル周期と呼ぶ。また、基準キャリア信号の周波数は、光ディスク1の内周から外周まで一定であり、レーザスポットが記録トラックに沿って移動する際の線速度との関係に応じて定まる。
【0026】
本実施の形態の、いわゆるDVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクの物理パラメータの一例について説明する。
本例のDVRディスクとされる光ディスクは、相変化方式でデータの記録を行う光ディスクであり、ディスクサイズとしては、直径が120mmとされる。また、ディスク厚は1.2mm(カバー層が約0.1mm)となる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
【0027】
記録/再生のためのレーザ波長は405nmとされ、いわゆる青色レーザが用いられるものとなる。光学系のNAは0.85とされる。
相変化マーク(フェイズチェンジマーク)が記録されるトラックのトラックピッチは0.32μm、線密度0.12μmとされる。そして64KBのデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率を約82%としており、直径12cmのディスクにおいて、ユーザーデータ容量として23.3Gバイトを実現している。
上述のようにデータ記録はグルーブ記録方式である。
【0028】
図4は、ディスク全体のレイアウト(領域構成)を示す。
ディスク上の領域としては、内周側からリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが配される。
また、記録・再生に関する領域構成としてみれば。リードインゾーンのうちの内周側がPBゾーン(再生専用領域)、リードインゾーンの外周側からリードアウトゾーンまでがRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0029】
リードインゾーンは、半径24mmより内側に位置する。そして半径21〜22.2mmがBCA(Burst Cutting Area)とされる。このBCAはディスク記録媒体固有のユニークIDを、記録層を焼き切る記録方式で記録したものである。つまり記録マークを同心円状に並べるように形成していくことで、バーコード状の記録データを形成する。
半径22.2〜23.1mmがプリレコーデッドデータゾーンとされる。
プリレコーデッドデータゾーンは、あらかじめ、記録再生パワー条件等のディスク情報や、コピープロテクションにつかう情報等(プリレコーデッド情報)を、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって記録してある。
これらはは書換不能な再生専用の情報であり、つまりBCAとプリレコーデッドデータゾーンが上記PBゾーン(再生専用領域)となる。
【0030】
プリレコーデッドデータゾーンにおいてプリレコーデッド情報として例えばコピープロテクション情報が含まれるが、このコピープロテクション情報を用いて、例えば次のようなことが行われる。
本例にかかる光ディスクシステムでは、登録されたドライブ装置メーカー、ディスクメーカーがビジネスを行うことができ、その登録されたことを示す、メディアキー、あるいは、ドライブキーを有している。
ハックされた場合、そのドライブキー或いはメディアキーがコピープロテクション情報として記録される。このメディアキー、ドライブキーを有した、メディア或いはドライブは、この情報により、記録再生をすることをできなくすることができる。
【0031】
リードインゾーンにおいて半径23.1〜24mmにはインフォメーションエリアInfo1、Info2や、テストライトエリアOPCが設けられる。
テストライトエリアOPCは記録/再生時のレーザパワー等、フェーズチェンジマークの記録再生条件を設定する際の試し書きなどに使われる。即ち記録再生条件調整領域である。
インフォメーションエリアInfo1、Info2にはディフェクトマネジメントエリアが含まれる。ディフェクトマネジメントエリアDMAはディスク上のディフェクト情報を管理する情報を記録再生する。
このリードインゾーン内におけるRWゾーン(23.1〜24mm)は、フェイズチェンジマークにより管理情報その他の記録再生が行われる領域であるが、その構成については、後に図10以降で詳しく述べる。
【0032】
半径24.0〜58.0mmがデータゾーンとされる。データゾーンは、実際にユーザーデータがフェイズチェンジマークにより記録再生される領域である。
半径58.0〜58.5mmはリードアウトゾーンとされる。リードアウトゾーンは、リードインゾーンと同様のディフェクトマネジメントエリアが設けられたり、また、シークの際、オーバーランしてもよいようにバッファエリアとしてつかわれる。
以上の半径23.1mm、つまりリードインゾーンの途中から、リードアウトゾーンまでが、フェイズチェンジマークが記録再生されるRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0033】
図5にRWゾーンとPBゾーンのトラックの様子を示す。図5(a)はRWゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、図5(b)はPBゾーンのプリレコーデッドゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、それぞれ示している。
【0034】
RWゾーンでは、あらかじめアドレス情報(ADIP)を、トラッキングを行うために、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって、形成してある。
アドレス情報を形成したグルーブには、フェーズチェンジマークにより情報を記録再生する。
図5(a)に示すように、RWゾーンにおけるグルーブ、つまりADIPアドレス情報を形成したグルーブトラックは、トラックピッチTP=0.32μmとされている。
このトラック上にはフェイズチェンジマークによるレコーディングマークが記録されるが、フェーズチェンジマークはRLL(1,7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))等により、線密度0.12μm/bit、0.08μm/ch bitで記録される。
1chビットを1Tとすると、マーク長は2Tから8Tで最短マーク長は2Tである。
アドレス情報は、ウォブリング周期を69Tとし、ウォブリング振幅WAはおよそ20nm(p-p)である。
【0035】
アドレス情報と、フェーズチェンジマークは、その周波数帯域が重ならないようにしており、これによってそれぞれの検出に影響を与えないようにしてある。
アドレス情報のウォブリングのCNR(carrier noise ratio)はバンド幅30KHzのとき、記録後30dBであり、アドレスエラーレートは節動(ディスクのスキュー,デフォーカス、外乱等)による影響を含めて1×10−3以下である。
【0036】
一方、図5(b)のPBゾーンにおけるグルーブによるトラックは、上記図5(a)のRWゾーンのグルーブによるトラックより、トラックピッチが広く、ウォブリング振幅が大きいものとされている。
即ちトラックピッチTP=0.35μmであり、ウォブリング周期は36T、ウォブリング振幅WAはおよそ40nm(p-p)とされている。ウォブリング周期が36Tとされることはプリレコーデット情報の記録線密度はADIP情報の記録線密度より高くなっていることを意味する。また、フェーズチェンジマークは最短2Tであるから、プリレコーデッド情報の記録線密度はフェーズチェンジマークの記録線密度より低い。
【0037】
このPBゾーンのトラックにはフェーズチェンジマークを記録しない。
ウォブリング波形は、RWゾーンでは正弦波状に形成するが、PBゾーンでは、正弦波状か或いは矩形波状で記録することができる。
【0038】
フェーズチェンジマークは、バンド幅30KHzのときCNR50dB程度の信号品質であれば、データにECC(エラー訂正コード)をつけて記録再生することで、エラー訂正後のシンボルエラーレートを1×10-16以下を達成でき、データの記録再生として使えることが知られている。
ADIPアドレス情報についてのウォブルのCNRはバンド幅30KHzのとき、フェイズチェンジマークの未記録状態で35dBである。
アドレス情報としては、いわゆる連続性判別に基づく内挿保護を行うことなどによりこの程度の信号品質で十分であるが、PBゾーンに記録するプリレコーデッド情報については、フェイズチェンジマークと同等のCNR50dB以上の信号品質は確保したい。このため、図5(b)に示したようにPBゾーンでは、RWゾーンにおけるグルーブとは物理的に異なるグルーブを形成するものである。
【0039】
まず、トラックピッチを広くすることにより、となりのトラックからのクロストークをおさえることができ、ウォブル振幅を2倍にすることにより、CNRを+6dB改善できる。
さらにウォブル波形として矩形波をつかうことによって、CNRを+2dB改善できる。
あわせてCNRは43dBである。
フェーズチェンジマークとプリレコーデッドデータゾーンのウォブルの記録帯域の違いは、ウォブル18T(18Tは36Tの半分);フェイズチェンジマーク2Tで、この点で9.5dB得られる。
従ってプリレコーデッド情報としてのCNRは52.5dB相当であり、となりのトラックからのクロストークとして−2dBを見積もっても、CNR50.5dB相当である。つまり、ほぼフェーズチェンジマークと同程度の信号品質となり、ウォブリング信号をプリレコーデッド情報の記録再生に用いることが十分に適切となる。
【0040】
図6に、プリレコーデッドデータゾーンにおけるウォブリンググルーブを形成するための、プリレコーデッド情報の変調方法を示す。
変調はFMコードをつかう。
図6(a)にデータビット、図6(b)にチャンネルクロック、図6(c)にFMコード、図6(d)にウォブル波形を縦に並べて示している。
データの1bitは2ch(2チャンネルクロック)であり、ビット情報が「1」のとき、FMコードはチャンネルクロックの1.2の周波数とされる。
またビット情報が「0」のとき、FMコードはビット情報「1」の1/2の周波数であらわされる。
ウォブル波形としては、FMコードを矩形波を直接記録することもあるが、図6(d)に示すように正弦波状の波形で記録することもある。
なお、FMコード及びウォブル波形は図6(c)(d)とは逆極性のパターンとして、図6(e)(f)に示すパターンとしても良い。
【0041】
上記のようなFMコード変調のルールにおいて、図6(g)のようにデータビットストリームが「10110010」とされているときのFMコード波形、およびウォブル波形(正弦波状波形)は図6(h)(i)に示すようになる。
なお、図6(e)(f)に示すパターンに対応した場合は、図6(j)(k)に示すようになる。
【0042】
2.データのECCフォーマット
【0043】
図7,図8,図9により、フェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを説明する。
まず図7には、フェーズチェンジマークで記録再生するメインデータ(ユーザーデータ)や管理データについてのECCフォーマットを示している。
【0044】
ECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KB(=1セクターの2048バイト×32セクター)に対するLDC(long distance code)と、BIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0045】
図7(a)に示すメインデータ64KBについては、図7(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、32セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。304の符号語がある。
【0046】
一方、BISは、図7(c)に示す720Bのデータに対して、図7(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。24の符号語がある。
【0047】
図9(a)にRWゾーンにおけるメインデータについてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)が配されて155Bの構造となる。つまり1フレームは38B×4の152Bのデータと、38BごとにBISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレーム155Bの先頭に配される。1つのブロックには496のフレームがある。
LDCデータは、0,2,・・・の偶数番目の符号語が、0,2,・・・の偶数番目のフレームに位置し、1,3,・・・の奇数番目の符号語が、1,3,・・・の奇数番目のフレームに位置する。
【0048】
BISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。つまり符号長62に対してディスタンスが33という符号を用いている。
このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。図9(a)のフレーム構造において隣接したBISあるいはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ38Bはバーストエラーとみなされる。このデータ38Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力を上げることができる。
BISにはアドレス情報等が含まれている。このアドレスは、ROMタイプディスク等で、ウォブリンググルーブによるアドレス情報がない場合等につかわれる。
【0049】
次に図8にプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを示す。
この場合ECCには、メインデータ4KB(1セクタ2048B×2セクタ)に対するLDC(long distance code)とBIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0050】
図8(a)に示すプリレコーデッド情報としてのデータ4KBについては、図8(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、2セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。19の符号語がある。
【0051】
一方、BISは、図8(c)に示す120Bのデータに対して、図8(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。4つの符号語がある。
【0052】
図9(b)にPBゾーンにおけるプリレコーデッド情報についてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、フレームシンクFS(1B)、データ(10B)、BIS(1B)、データ(9B)が配されて21Bの構造となる。つまり1フレームは19Bのデータと、BISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレームの先頭に配される。1つのブロックには248のフレームがある。
【0053】
この場合もBISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。隣接したBIS或いはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ10B、あるいは9Bはバーストエラーとみなされる。このデータ10B、あるいは9Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力をあげることができる。
【0054】
BISにはアドレス情報等が含まれている。プリレコーデッドデータゾーンではプリレコーデッド情報がウォブリンググルーブによって記録され、従ってウォブリンググルーブによるアドレス情報は無いため、このBISにあるアドレスがアクセスのために使われる。
【0055】
図7,図8からわかるように、フェイズチェンジマークによるデータとプリレコーデッド情報は、ECCフォーマットとしては、同一の符号及び構造が採用される。
これは、プリレコーデッド情報のECCデコード処理は、フェイズチェンジマークによるデータ再生時のECCデコード処理を行う回路系で実行でき、ディスクドライブ装置としてはハードウエア構成の効率化を図ることができることを意味する。
【0056】
3.ディフェクトマネジメント領域
3−1 DMAを含むインフォメーションエリア
続いて、リードインゾーン内のRWゾーン側の構成を説明すると共に、ディフェクトマネジメント領域について説明していく。
図4で説明したように、ディスクの半径24mmより内周にリードインゾーンが形成される。このうち、23.1mm〜24mmの範囲がRWゾーンとなる。
図10には、RWゾーンの範囲としてのリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンを示し、また、その各ゾーン及びゾーン内のエリアのクラスタ数を示している。
なお、クラスタとは64KBのデータ単位であり、32セクターで構成される。1セクターは2048バイトである。
【0057】
図10に示すように、リードインゾーンにおいては、半径23.235mm〜23.278mmの区間にはインフォメーションエリアInfo2、半径23.278mm〜23.621mmの区間にはテストライトエリアOPC、半径23.621mm〜23.958mmの区間にはリザーブエリア、半径23.958mm〜24.000mmの区間にはインフォメーションエリアInfo1が形成される。
【0058】
インフォメーションエリアInfo1、Info2内には、ディフェクトマネージメント管理情報を記録するディフェクトマネジメント領域DMAや、コントロール情報を記録するコントロールデータエリアがある。
テストライトエリアOPCは記録再生条件をテストするエリアで、記録レーザパワー等を最適な条件にするための試し書きが行われる。
リザーブエリアは将来的な使用に備えた予備領域である。
【0059】
記録再生密度は、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitとし、データ64kBを1クラスタとして記録再生する場合、インフォメーションエリアInfo2は256クラスタ、テストライトエリアOPCは2048クラスタ、リザーブエリアは2048クラスタ、インフォメーションエリアInfo1は256クラスタとなる。
【0060】
ユーザーデータを記録再生する領域となるデータゾーンは、355603クラスタとなり、64KB×335603=約23.3GBのデータを記録再生できるものである。
リードアウトゾーンは7429クラスタである。リードアウトゾーンにはディフェクトマネジメント領域DMAやコントロールデータエリアなど、インフォメーションエリアInfo1、Info2と同様のデータが記録再生されることもある。
【0061】
図11(a)(b)にインフォメーションエリアInfo2、Info1の構造を示す。
図11(a)のように、インフォメーションエリアInfo2は、リザーブ、ディフェクトマネジメント領域DMA2、コントロールデータエリアCDA2、バッファにより構成される。
リザーブは将来用途の予備として160クラスタ設けられる。
ディフェクトマネジメント領域DMA2は32クラスタとされる。
コントロールデータエリアCDA2は、コントロール情報を記録するエリアで、32クラスタとされる。
バッファは、コントロールデータエリアCDA2とテストライトエリアOPCとを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
【0062】
図11(b)に示すように、インフォメーションエリアInfo1は、バッファ、ドライブエリア、リザーブ、ディフェクトマネジメント領域DMA1、コントロールデータエリアCDA1、バッファにより構成される。
最初のバッファは、図10に示したリザーブエリアと図11(b)のドライブエリアを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
ドライブエリアは、テストライトエリアOPCにおける試し書きにより最適なディスクの記録再生条件を見い出したあとで、その条件(最適値等)をデータとして記録するためなどの領域として使われるエリアであり、32クラスタとされる。
リザーブは将来用途の予備として96クラスタ設けられる。
ディフェクトマネジメント領域DMA1は、上記ディフェクトマネジメント領域DMA2と同じ情報(ディフェクトマネジメント情報)を記録再生する領域であり、32クラスタとされる。
コントロールデータエリアCDA1は、上記コントロールデータエリアCDA2と同じ情報を記録再生する領域であり、32クラスタとされる。
バッファは、コントロールデータエリアCDA1とデータゾーンを離すためのバッファエリアで、32クラスタとされる。
【0063】
上記図10からわかるように、それぞれディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)を含むインフォメーションエリアInfo1、Info2は、ディスク半径方向に離れて形成される。しかも、テストライトエリアOPC及びリザーブエリアをはさんだ状態で、インフォメーションエリアInfo1、Info2はディスク半径方向に離れたものとされている。この例の場合、半径方向に約0.7mm離れた状態となる。
これによって、一方のインフォメーションエリア(Info1又Info2)におけるディフェクトマネジメント領域DMAが、傷やディフェクトでダメージを受けたとしても、そのダメージが他方のインフォメーションエリア(Info2又Info1)におけるディフェクトマネジメント領域DMAに影響する可能性は非常に低い。つまり、2つのディフェクトマネジメント領域DMA1,DMA2が同時にダメージを受けてしまって、どちらも記録再生できなくなってしまうということは殆ど発生しない。これによりディフェクトマネジメント領域DMAの信頼性を向上させることができる。
また、コントロールデータエリアCDA1、CDA2についても同様のことが言え、2つのコントロールデータエリアCDA1、CDA2が同時にダメージを受けてしまって、どちらも記録再生できなくなってしまうということは殆ど発生しないため、コントロールデータエリアCDAの信頼性も向上する。
【0064】
また図10からわかるようにリードインゾーンにおいては、リザーブエリアを除けばテストライトエリアOPCが最も大きい領域である。従って、インフォメーションエリアInfo1、Info2が、少なくともテストライトエリアOPCをはさんで配置されることは、インフォメーションエリアInfo1、Info2を半径方向に効果的に離間させるということになり、一方のインフォメーションエリアにおけるダメージを他方のインフォメーションエリアに影響を与えないという目的において好適なものとなる。
【0065】
3−2 交替領域を有するDMA構造
次にインフォメーションエリアInfo1、Info2内に設けられるディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)の構造について説明していく。
図12にディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)の構造を示す。
図11に示したようにディフェクトマネジメント領域DMA(DMA2,DMA1)は32クラスタで形成される。図12においてはクラスタナンバ(cluster number)1〜32として、ディフェクトマネジメント領域DMAにおける各内容のデータ位置を示している。また各内容のサイズをクラスタ数(number of cluster)として示している。
【0066】
ディフェクトマネジメント領域DMAにおいて、クラスタナンバ1〜4の4クラスタの区間にはDDS(disc definition structure)が記録される。
このDDSの内容は図13で述べるが、DDSは1クラスタのサイズとされ、当該4クラスタの区間において4回繰り返し記録される。
【0067】
クラスタナンバ5〜8の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの1番目の記録領域(1st position of DL)となる。
クラスタナンバ9〜12の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの2番目の記録領域(2nd position of DL)となる。
さらに、4クラスタづつ3番目以降のディフェクトリストDLの記録領域が用意され、クラスタナンバ29〜32の4クラスタの区間は、ディフェクトリストDLの7番目の記録領域(7th position of DL)となる。
つまり、32クラスタのディフェクトマネジメント領域DMAには、ディフェクトリストDLについて第1〜第7の7個の記録領域が用意される。
後述するが、ディフェクトリストDLは図14で説明する4クラスタサイズのデータとなり、最初は第1の記録領域にディフェクトリストDLが記録される。第2〜第7の記録領域は、ディフェクトリストDLの記録領域としての交替領域とされる。
【0068】
図13にDDSのデータ内容(contents)を示す。
上記のようにDDSは1クラスタ(=32セクター)のサイズとされる。図13のデータフレームが2048バイトのセクターに相当し、データフレーム0〜31で1クラスタを構成する。
バイトポジション(Byte position in data frame)は、データフレーム内のバイト位置を示す。バイト数(number of bytes)は各データ内容のバイト数を示す。
【0069】
先頭のデータフレーム(データフレーム0)において、各種データ内容が定義されている。
バイトポジション0からの2バイトに、DDSのクラスタであることを認識するための、DDS識別子(DDS Identifier)が記録される。
バイトポジション2の1バイトに、DDSフォーマットのバージョンが示される。
バイトポジション4からの4バイトには、DDS更新回数(DDS up date count)が記録される。
【0070】
バイトポジション16からの4バイトには、ドライブエリアの開始位置が、その最初のセクターの物理セクターアドレスPSN(physical sector number)によって示される(first PSN of drive area)。
バイトポジション24からの4バイトには、ディフェクトリストDLの開始位置が、その最初のセクターの物理セクターアドレスPSNによって示される(first PSN of defect list)。
【0071】
バイトポジション32からの4バイトには、データゾーンにおけるユーザーデータエリア(図16で説明)の論理セクターアドレスLSN(logical sector number)=「0」の位置が物理セクターアドレスPSNによって示される。
バイトポジション36からの4バイトには、データゾーンにおけるユーザーデータエリアの最後の論理セクターアドレスLSNの位置が物理セクターアドレスPSNによって示される。
バイトポジション40からの4バイトには、データゾーンにおける内周側交替エリアISA(inner spare area)のサイズが示される。
バイトポジション44からの4バイトには、データゾーンにおける外周側交替エリアOSA(outer spare area)のサイズが示される。
バイトポジション52の1バイトには、内周側交替エリアISA、外周側交替エリアOSAのフルフラグが示される。フルフラグは、交替エリアが満杯になっているか否かを示すフラグである。
【0072】
バイトポジション54の1バイトには、ディスクをベリファイ等のチェックしながらサーティファイしたか否かを示すディスクサーティフィケーションフラグが記録される。
バイトポジション56からの4バイトには、ディスクをベリファイした際の最後のアドレスポインタが示される。
【0073】
データフレーム「0」において上記以外のバイト、及びデータフレーム「1」〜「31」はリザーブとされている。
【0074】
次に図14にディフェクトリストDLの構造を示す。
図12で説明したように、ディフェクトリストDLは4クラスタの記録領域に記録される。
図14においては、クラスタナンバ/データフレーム(Cluster number /data frame)として、4クラスタのディフェクトリストDLにおける各データ内容(contents)のデータ位置を示している。1クラスタ=32データフレームである。1データフレーム=2048バイトである。
バイトポジション(Byte position in data frame)は、データフレーム内におけるバイト位置(データ内容の先頭位置)を示す。
バイト数(number of bytes)は各データ内容のサイズとしてのバイト数を示す。
【0075】
ディフェクトリストDLの先頭の64バイトはディフェクトリストヘッダとされる。
このディフェクトリストヘッダには、ディフェクトリストのクラスタであることを認識する情報、バージョン、ディフェクトリスト更新回数、ディフェクトリストのエントリー数などの情報が記録される。
【0076】
ディフェクトリストヘッダに続いては、ディフェクトリストのエントリー内容(list of defects)の領域とされる。
即ちエントリー内容(list of defects)としては、クラスタ「0」/データフレーム「0」のバイト「64」以降に、図15で後述する構成のエントリーが記録されていく。
【0077】
エントリー内容(list of defects)の直後には、ディフェクトリストターミネータ(defect list terminator)が8バイト記録される。
ディフェクトリストターミネータの最初の4バイトは、ディフェクトリストターミネータであることを示す識別子として「FF FF FF FFh」とされる。
続く4バイトは、ディフェクトリストヘッダに記録されるディフェクトリスト更新回数と同じく、ディフェクトリスト更新回数が記録され、ディフェクトリストの最後が認識される。
残りのバイトはリザーブである。
【0078】
図15に、上記エントリー内容(list of defects)に記録される各エントリー(DL entry)を示す。
1つのエントリー(DL entry)は、バイト0〜7の8バイト(64ビット)で構成される。各バイト内のビットはビット7〜0として示す。
【0079】
エントリー(i)のバイト0のビット7〜4には、エントリーのステータス情報(status 1)が記録される。
ステータス情報としては、交替されたエントリー、交替可能な交替先のエントリー、交替不能な交替先のエントリー等が示される。
【0080】
バイト0のビット3〜0及びバイト1〜3としての30ビットの範囲に、ディフェクティブクラスタの最初の物理セクターアドレスPSNが示される。即ちディフェクトとされて交替されるクラスタを、その先頭セクターの物理セクターアドレスPSNによって示すものである。
【0081】
バイト4のビット7〜4には、エントリーにおけるもう一つのステータス情報(status 2)が記録される。このステータス情報(status 2)はリザーブとされている。
【0082】
バイト4のビット3〜0及びバイト5〜7としての30ビットの範囲に、交替領域の最初の物理セクターアドレスPSNが示される。
即ち、上記ディフェクティブクラスタが交替された場合に、その交替先のクラスタを、その先頭セクターの物理セクターアドレスPSNによって示すものである。
【0083】
以上のような1つのエントリー(DL entry)によって、1つのディフェクトとされたクラスタが示され、またそのクラスタについて交替処理が行われた場合は、交替領域としてのクラスタも示されることになる。
そして、このようなエントリーが、図14の構造のディフェクトリストDLにおいて、エントリー内容(list of defects)として記録されていく。
【0084】
上述の通り、図14に示したディフェクトリストDLを記録する記録領域としては、図12に示すディフェクトマネジメント領域DMA内に7個用意されている。
ディフェクトリストDLは、ディフェクト状況に応じてエントリーの追加などに伴う更新が行われ、またディフェクトリストヘッダでの更新回数の値の書換なども行われる。即ち、ディフェクトマネジメント領域DMA内で、必要に応じて随時更新されていくものである。
【0085】
このディフェクトリストDLの記録は、まず最初は、図12のディフェクトマネジメント領域DMAにおける1番目の記録領域(1st position of DL)に行われる。このとき、ディフェクトリストヘッダにおける更新回数も記録される。
例えばある時点で、更新回数が1000回になった場合、あるいは、記録した後、ディフェクトリストDLが再生ができなかった場合などは、記録領域を交替させる。つまり2番目の記録領域(2nd position of DL)にディフェクトリストDLを記録するようにする。
以下、同様に、記録更新回数が1000回に達する毎に、あるいは、記録した後、再生ができなかった場合、第3、第4、第5、第6、第7番目の順に記録領域を交替させていくものである。
【0086】
このように、ディフェクトマネージメント領域DMAにおいては、実際のディフェクトマネジメント情報となるディフェクトリストDLを記録する領域として、交替領域を含む複数の記録領域(1st position of DL〜7th position of DL)を設けることで、更新回数やエラー状況などに応じて記録領域を変化させることができる。即ち上記のようにディフェクトリストDLの更新回数によってオーバーライト回数を知ることができ、その回数が、ある値以上になった場合、ディフェクトリストの記録領域を交替させていく。
ディフェクトマネジメント領域DMAではフェーズチェンジ記録方式で記録が行われるものであり、フェーズチェンジ記録方式ではオーバライト回数に限界があることが知られているが、上記のように記録領域を交替させることで、オーバーライト回数の限界を克服することができ、信頼性の高い、ディフェクトマネージメント領域の記録再生を行うことができる。
【0087】
また、ディフェクトマネジメント領域DMAとしては、リードインゾーンにおいては図11で説明したようにDMA1、DMA2の2つが存在する。またリードアウトゾーンにディフェクトマネジメント領域DMAがさらに形成される場合もある。
DMA1,DMA2、および他のDMAには、DMA1、2・・・の順番に、同じ情報が記録される。
すべてのDMAの情報内容が同じであるかどうかは、各DMAのDDSの記録更新回数、およびディフェクトリストヘッダに記録されるディフェクトリストDLの記録更新回数で判断することができる。
もし異なる場合には、DMA1、2・・・の順番を優先し、情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う。
【0088】
3−3 データゾーンの交替エリア
上記ディフェクトリストDLで管理されるデータゾーンの交替エリアについて述べておく。
図16は、データゾーンに交替エリア(spare area)を形成した際のディスクレイアウトを示している。
【0089】
データゾーンはユーザーデータを記録再生する領域であるが、ユーザーデータを記録するユーザーデータエリアの他に、交替エリア(spare area)が形成される。
ISA(inner spare area)は内周側の交替エリアで、2048クラスタ、128MBある。
OSA (outer spare area) は外周側の交替エリアで、16384クラスタ、1024MBある。
【0090】
ISAは固定サイズで、OSAは可変サイズである。
最初に図12のディフェクトマネジメント領域DMAにおいてDDSを初期化フォーマットし、記録する際に、DDSにおけるISAサイズ(inner spare area size)として固定のサイズを、OSAサイズ(outer spare area size)として可変長のサイズを記録して設定する。
ISAサイズは初期化フォーマット以後は変更できない。
OSAサイズは初期化フォーマット以後でも変更することができる。たとえば、パーソナルコンピュータ等でのディスクの使用において、AVストリーム(オーディオ・ビデオのストリームデータ)を記録再生する際は、交替エリアを少なくし、ユーザーデータエリアを大きくして記録再生時間を長くすることが望ましいが、PCデータの記録再生では、信頼性を得るため、大きな交替エリアサイズがあることがのぞましい。
そこで、初期化フォーマット以後、ディスクを途中でPCデータ記録再生から、AVストリームの記録再生用に切り換えて使用する場合、OSAサイズを小さくし変更することが好適である。また逆に、AVストリームの記録再生から、PCデータ記録に変更する場合は、OSAサイズを大きくし変更することが好適である。
【0091】
なお、ディスクをAVストリーム記録再生専用に使用する場合は、交替エリア(ISA,OSA)を0にする。具体的には初期化フォーマットの際に、DDSにおいてISAサイズ(inner spare area size)=0、OSAサイズ(outer spare area size)=0と設定する。
その場合、データゾーンは全てユーザーデータエリアとして扱われる。
また、ディフェクティブクラスタが生じた場合は、ディフェクトリストDLにおいて、ディフェクティブクラスタとしてだけエントリーし、交替先のクラスタはエントリーしない。
つまりこの場合、ディフェクティブクラスタは、交替処理されないで、単にそのクラスタは使用されないものとしてエントリーされるものとなる。
この場合、記録再生中に交替先へのシーク時間が無くなるため、AVストリームのリアルタイム記録再生に適している。
また交替エリアを形成しないことで、使用できるユーザーデータエリアも大きくなり、記録再生時間を長くすることができる。
【0092】
4.ディスクドライブ装置
次に、上記のようなディスク1に対応して記録/再生をディスクドライブ装置を説明していく。
このディスクドライブ装置は、上述したようにPBゾーンとRWゾーンとしてウォブリンググルーブが形成されたディスクに対してフォーマット処理としてのフェーズチェンジ記録方式による記録動作を行うことで、図4及び図10〜図16で説明したようなレイアウトのディスク1を形成する。
また、そのようなディスク1に対してユーザーデータエリアにフェーズチェンジ記録方式によるデータの記録再生を行なう。
もちろんフォーマット時や、必要時において、ディフェクトマネジメント領域DMAの記録/更新も行うものである。
【0093】
図17はディスクドライブ装置の構成を示す。
ディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のRWゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。またPBゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたプリレコーデッド情報の読み出しがおこなわれる。
また初期化フォーマット時や、ユーザーデータ記録時には光学ピックアップによってRWゾーンにおけるトラックに、管理データやユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
【0094】
ピックアップ51内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
レーザダイオードは、波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
【0095】
ピックアップ51内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0096】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路54に供給される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0097】
マトリクス回路54から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路55へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル回路58へ、それぞれ供給される。
【0098】
リーダ/ライタ回路55は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークとして読み出されたデータを再生して、変復調回路56に供給する。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム120に転送される。
【0099】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路58において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてMSK復調、HMW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0100】
また、グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号として、PBゾーンからのプリレコーデッド情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてバンドパスフィルタ処理が行われてリーダ/ライタ回路55に供給される。そしてフェイズチェンジマークの場合と同様に2値化され、データビットストリームとされた後、ECCエンコーダ/デコーダ57でECCデコード、デインターリーブされて、プリレコーデッド情報としてのデータが抽出される。抽出されたプリレコーデッド情報はシステムコントローラ60に供給される。
システムコントローラ60は、読み出されたプリレコーデッド情報に基づいて、各種設定処理やコピープロテクト処理等を行うことができる。
【0101】
記録時には、AVシステム120から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ57におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0102】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路55で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ63に送られる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0103】
なお、レーザドライバ63は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ51内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザー出力の目標値はシステムコントローラ60から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0104】
サーボ回路61は、マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0105】
またサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0106】
またサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ60からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
【0107】
スピンドルサーボ回路62はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0108】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ60により制御される。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0109】
例えばAVシステム120から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ57、変復調回路56により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路55からのレーザドライブパルスがレーザドライバ63に供給されることで、記録が実行される。
【0110】
また例えばAVシステム120から、ディスク1に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0111】
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ60は、ウォブル回路58及びアドレスデコーダ59によって検出されるADIPアドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0112】
また、ディスク1が装填された際など所定の時点で、システムコントローラ60は、ディスク1のBCAにおいて記録されたユニークIDや、プリレコーデッドデータゾーンPRにウォブリンググルーブとして記録されているプリレコーデッド情報の読出を実行させる。
その場合、まずBCA、プリレコーデッドデータゾーンPRを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、ディスク最内周側へのピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、ピックアップ51による再生トレースを実行させ、反射光情報としてのプッシュプル信号を得、ウォブル回路58、リーダ/ライタ回路55、ECCエンコーダ/デコーダ57によるデコード処理を実行させ、BCA情報やプリレコーデッド情報としての再生データを得る。
システムコントローラ60はこのようにして読み出されたBCA情報やプリレコーデッド情報に基づいて、レーザパワー設定やコピープロテクト処理等を行う。
【0113】
なお、プリレコーデッド情報の再生時には、システムコントローラ60は、読み出されたプリレコーデッド情報としてのBISクラスタに含まれるアドレス情報を用いて、アクセスや再生動作の制御を行う。
【0114】
ところで、この図17の例は、AVシステム120に接続されるディスクドライブ装置としたが、本発明のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図40とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0115】
ところで、ディスク1については初期化フォーマット前の状態で工場出荷されることが考えられる。即ち図4に示したようにPBゾーンにBCA及びウォブリンググルーブによるプリレコーデッドデータが記録され、RWゾーンにおいてはウォブリンググルーブによってADIPアドレスが記録された状態である。
このためディスク1を使用する際には、予め初期化フォーマットを行って、図10に示したようなリードインゾーン内の構造を形成する。またその際にディフェクトマネジメント領域DMAに記録される情報によってデータゾーンにおける交替エリア(ISA、OSA)が設定されるものとなる。
初期化フォーマット時において、ディスクドライブ装置が図10〜図15で説明したリードイン構造(ディフェクトマネジメント領域構造)を形成することで、上述したように、信頼性の高いディフェクトマネジメント領域を有するディ1が形成されるものとなる。
なお、この初期化フォーマット処理は、工場出荷前においてディスクドライブ装置によって行われるようにしてもよい。
【0116】
次に、ディスクドライブ装置がディフェクトマネジメント情報(ディフェクトリストDL)の記録/更新を行う際の処理を図18で説明する。
図18はシステムコントローラ60の制御としての処理を示している。
【0117】
ディフェクトリストDLの記録/更新を行う際には、まずステップF101でディフェクトリストのポインタ(DL pointer)を確認する。このポインタ(DL pointer)とは図13に示したDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)のことであり、この情報を読み込む。
なおポインタ(DL pointer)の値としては「0」〜「6」が図12の第1〜第7の記録領域(1st〜7th position of DL)に対応するものとして説明する。
【0118】
ポインタ(DL pointer)が読めない場合、つまりポインタとしての値が記録されていない場合、ステップF102に進み、ポインタ(DL pointer)=「0」に相当する第1の記録領域(1st position of DL)にディフェクトリストDLを記録する。またDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)の値として、ポインタ(DL pointer)=「0」としての値、つまり第1の記録領域(1st position of DL)を示す値を記録する。
例えばディスク1に対して初期化フォーマット時或いはその後で、初めてディフェクトリストDLを記録する際などにおいては、システムコントローラ60が以上のステップF101,F102の処理を行うことによって、ディスクドライブ装置は第1の記録領域(1st position of DL)に対してディフェクトリストDLの記録を行うものとなる。
【0119】
ディフェクトリストDLの書込のためにステップF101でポインタ(DL pointer)を確認し、それが何らかの数値「n」であった場合は、ステップF103に進む。この場合「n」は0,1,2,3,4,5,6のいずれかであって、第1〜第7の記録領域(1st〜7th position of DL)のいずれかを指定している場合である。
システムコントローラ60は、ステップF103ではポインタ(DL pointer)で示される記録領域へアクセスする制御を行い、その記録領域に記録されているディフェクトリストDLを読み出させる。
そして、ディフェクトリストDLにおけるディフェクトリストヘッダに記録されている更新(オーバライト)回数の値を確認し、その更新回数が「m」(例えば1000回)を越えているか否かを判断する。又は、ディフェクトリストDLの読出の際のSER(symbol error rate)がある値「j」を越えているか否かを判断する。
【0120】
オーバライト回数がm回を越えていること、或いはSERが所定値「j」を越えていることが検出されなければ、ステップF105に進み、その記録領域、つまりその時点でポインタ(DL pointer)で示されている記録領域において、ディフェクトリストDLの更新を行う。
【0121】
一方、オーバライト回数がm回を越えていること、或いはSERが所定値「j」を越えていることが検出された場合は、現時点でポインタ(DL pointer)で示されている記録領域は既に消耗しているとしてステップF106に進み、次の記録領域(ポインタ(DL pointer)=n+1の記録領域)に交替して、その新たな記録領域に対してディフェクトリストDLの記録を行う。
またDDSにおけるディフェクトリスト開始位置(first PSN of defect list)の値を、現時点のポインタ(DL pointer)=nとしての値から、ポインタ(DL pointer)=「n+1」としての値に更新する。つまり交替した新たな記録領域を示す値とする。
【0122】
ディスクドライブ装置によるディフェクトリストDLの記録の際に、以上の処理により記録領域(1st〜7th position of DL)は、必要に応じて交替されていくことになる。
従って、オーバライト回数の限界を超えてディフェクトリストDLの信頼性の高い書換を行うことができ、ディスク及び記録再生動作の信頼性を向上できる。
【0123】
以上、実施の形態のディスク及びそれに対応するディスクドライブ装置について説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、要旨の範囲内で各種変形例が考えられるものである。
例えばディスクとしては、記録層が2層、3層などの多層ディスクも存在するが、各記録層において形成されるリードインゾーンにおいてディフェクトマネジメント領域DMAを含む複数の管理データ領域が半径方向に離れるようにし、またディフェクトマネジメント領域DMAにおいてはディフェクトリストDLの記録領域として交替領域が設けられるようにすればよい。
また、ディスク外周側においてディフェクトマネジメント領域DMAを含む複数の管理データ領域が形成される場合も、それらが半径方向に離れるようにし、またディフェクトマネジメント領域DMAにおいてはディフェクトリストDLの記録領域として交替領域が設けられるようにすればよい。
【符号の説明】
【0124】
1 ディスク、51 ピックアップ、52 スピンドルモータ、53 スレッド機構、54 マトリクス回路、55 リーダ/ライタ回路、56 変復調回路、57 ECCエンコーダ/デコーダ、58 ウォブル回路、59 アドレスデコーダ、60 システムコントローラ、61 サーボ回路、62 スピンドルサーボ回路、63 レーザドライバ、120 AVシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、
上記各管理データ領域は、少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う
記録方法。
【請求項2】
上記所定の順番は、最も内周に位置する管理データ領域のディフェクトマネジメント領域から外周に向けての順番である請求項1に記載の記録方法。
【請求項3】
ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行うとともに、
ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、
上記判別に基づいて、別の記録領域にディフェクトマネジメント情報を記録するとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する
記録方法。
【請求項4】
ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録装置において、
上記ディスク記録媒体に対して情報の記録を行う記録手段と、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う更新手段
を備えた記録装置。
【請求項5】
ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、その判別に基づいて、別の記録領域に対して上記記録手段によりディフェクトマネジメント情報を記録させるとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する情報を記録させる制御手段と、を備えた請求項4に記載の記録装置。
【請求項1】
ディスク記録媒体に対する記録動作により、ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域を複数設け、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域を設ける際に、
上記各管理データ領域は、少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置となるように形成し、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う
記録方法。
【請求項2】
上記所定の順番は、最も内周に位置する管理データ領域のディフェクトマネジメント領域から外周に向けての順番である請求項1に記載の記録方法。
【請求項3】
ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行うとともに、
ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、
上記判別に基づいて、別の記録領域にディフェクトマネジメント情報を記録するとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する
記録方法。
【請求項4】
ディスク内周のリードイン領域において、ディフェクトマネジメント領域を含む管理データ領域が複数形成され、また記録再生条件調整領域及び上記記録再生条件調整領域と同一のサイズの予備領域が形成されるとともに、上記各管理データ領域は少なくとも上記記録再生条件調整領域及び上記予備領域をはさんでディスク半径方向に離れた位置に設けられているディスク記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録装置において、
上記ディスク記録媒体に対して情報の記録を行う記録手段と、
上記複数形成された管理データ領域のディフェクトマネジメント領域に記録された情報が互いに異なる場合には、所定の順番で情報内容、記録更新回数が同じになるように記録を行う更新手段
を備えた記録装置。
【請求項5】
ディフェクトマネジメント情報の記録の際に、上記複数の記録領域の内、現在有効とされている記録領域の更新回数又はエラー状況を判別し、その判別に基づいて、別の記録領域に対して上記記録手段によりディフェクトマネジメント情報を記録させるとともに、その記録領域を有効な記録領域に設定する情報を記録させる制御手段と、を備えた請求項4に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−44227(P2011−44227A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238704(P2010−238704)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2009−190245(P2009−190245)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2009−190245(P2009−190245)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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