説明

ディスプレイとこれを用いた画像表示装置

【課題】表示画面内で外光画像を透過させる領域と、画像表示させる領域とをコントラスト良く且つ自在に混在させることが可能な画像表示装置を実現する。
【解決手段】
ディスプレイ5を電子放出部10と電光変換部20とで構成する。 電子放出部10は、基板11上にカソード電極12と電子源13とを備える。いずれの構成要素も出来得る限り透明にする。電光変換部20は、基板21上に、アノード電極22と、紫外線により励起して発光する蛍光体層23と、六方晶窒化ホウ素24とを備える。基板21はガラス基板、アノード電極22としてITO電極を形成し、その上に蛍光体層23を形成し、さらにその上にh−BN結晶微粒子24を塗布、付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光が透過可能なディスプレイと、これを用いた画像表示装置に関し、特に視認性の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光などの外光画像を透過可能な画像表示装置としては、例えば、透明な絶縁性基板上に第1電極、第1絶縁層、発光中心を含む発光層、第2絶縁層及び第2電極を順次積層した構造のEL素子を有する透明ディスプレイパネルを挙げることができる。
この透明ディスプレイパネルでは、前記絶縁性基板側および前記第2電極側の両方から光の取り出しが可能である。
【0003】
このような透明ELディスプレイは、その用途として、自動車のダッシュボード上に設置されるメータや、屋外に設置されて使用される表示機、等を挙げられるが、外光により表示コントラストが低下してしまうという問題がある。
このような問題に対し、透明ELディスプレイにおいて、フォトクロミックガラスをEL素子の背面に配置し、必要に応じて外光を遮ることで、コントラストを確保するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−54832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、EL素子にフォトクロミックガラスを設けた透明ELディスプレイは、表示画面内で外光画像を透過させる領域と画像表示させる領域とを、コントラスト良く且つ自在に混在させるということが困難で、表示する画像に制約が発生する場合があった。
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、表示画面内で外光画像を透過させる領域と画像表示させる領域とをコントラスト良く且つ自在に混在させることが可能な画像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために本発明の画像表示装置は、外光画像を透過させる領域と、画像表示させる領域と、を混在させて表示を行う画像表示装置であって、透過してくる画像の輝度と、表示させる画像の輝度との相対比を1:3以上としたものである。
また、上記目的を実現するために本発明のディスプレイは、電子放出部と電光変換部とで構成され、電子放出部は、基板上にカソード電極と電子源とを備え、電光変換部は、基板上に、アノード電極と、紫外線により励起して発光する蛍光体層と、六方晶窒化ホウ素とを備えた、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示画面内で外光画像を透過させる領域と画像表示させる領域とをコントラスト良く且つ自在に混在させることが可能な画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態による画像表示装置の概略構造を示す要部斜視図
【図2】本願発明の一実施の形態による画像表示装置に用いられるディスプレイの概略構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態による画像表示装置について、図を用いて説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態による画像表示装置の概略構造を示す要部斜視図である。
画像表示装置1は、表示画面2において、画像表示装置1の背面の風景などの外光画像を透過させる領域2aと、画像表示させる領域2bとを混在させた画像表示を行う。
【0010】
ここで、外光画像を透過させる領域2aと画像表示させる領域2bとを混在させて表示する場合、画像表示装置自体が透過性を有することを基本に構成することが必須となる。そのため、従来では、表示させる画像と、その領域において透過する画像とが重畳されてしまい、その結果、表示させる画像のコントラストが十分には得られず、良好な画像表示をさせることが出来なくなってしまう場合があった。
【0011】
ここで、上記のような場合であっても、表示させる画像の輝度を上げ、透過してくる画像の輝度との相対差を大きくすることで、表示画像と透過画像とのコントラストが十分となり、もって良好な画像表示を行うことは可能である。
例えば、透過してくる画像の輝度と、表示させる画像の輝度との相対比を1:3程度以上とすることで、表示画像と透過画像とのコントラストを十分大きく確保でき、良好な画像表示を行うことが可能となることを本願発明者らの検討により確認している。
【0012】
しかしながら、従来、可視光が透過可能な画像表示装置としては、通常、ELディスプレイや液晶ディスプレイを基本として構成されることから、上述したような輝度の相対差を大きくすることができない、もしくは長期的な安定性という観点で困難であるという状況であり、その結果、表示画像と透過画像とのコントラストが十分な、良好な画像表示を行うことを可能とする透明ディスプレイの実現は困難であった。
【0013】
しかしながら本願発明においては、図2に示すような構成のディスプレイを用いており、このことから表示画像と透過画像とのコントラストが十分な、良好な画像表示を行うことを可能とする透明ディスプレイを実現することができる。
以下、図2に示すディスプレイについて詳細に説明する。
図2は、本願発明の一実施の形態による画像表示装置に用いられるディスプレイの概略構成を示す断面図である。
【0014】
ディスプレイ5は、電子放出部10と電光変換部20とで構成される。
電子放出部10は、基板11上にカソード電極12と電子源13とを備える。いずれも出来得る限り透明に構成することが望ましく、例えば、基板11としてガラス基板を用い、その上にカソード電極12としてITO電極を形成し、その上に電子源13として、例えば水素終端したダイヤモンド粉を塗布、付着させることで構成できる。
【0015】
また、電光変換部20は、基板21上に、アノード電極22と、紫外線により励起して発光する蛍光体層23と、六方晶窒化ホウ素(以下、h−BNともいう)24とを備える。同様に、基板21はガラス基板、アノード電極22としてITO電極を形成し、その上に蛍光体層23を形成し、さらにその上にh−BN結晶微粒子24を塗布、付着させることで構成できる。
【0016】
ここで、h−BN結晶微粒子24は、窒化ホウ素原料と、遷移金属からなる金属溶媒と、を混合し溶融する工程と、この溶融物を再結晶する工程と、を経て製造される。
遷移金属からなる金属溶媒としては、Fe、Ni、Co、およびこれらの組み合わせからなる群の中から選択される。これらの金属溶媒は空気中で安定であり、常圧で再結晶が可能である。
【0017】
溶融は、窒化ホウ素と金属溶媒の共融点以上の温度に加熱して行う。加熱時間は10時間以上保持すれば確実である。
そして、電子放出部10の電子源13形成面と、電光変換部20のh−BN結晶微粒子24形成面とを間隙を設けて対向させ、その間を必要な真空度に保つ。
以上のような構成で、アノード電極22−カソード電極12間に電圧を印加すると、電子源13からアノード電極22に向けて電子が放出され、h−BN結晶微粒子24に衝突する。
【0018】
するとh−BN結晶微粒子24は電子励起され、215nmの波長の紫外線が放出される。この紫外線により蛍光体層23が励起され発光する。なお、発光輝度はアノード電極22−カソード電極12間への電圧印加値に比例するため、電圧印加値を調節することで、透過してくる画像の輝度と、表示させる画像の輝度との相対比を1:3以上に設定できる。
【0019】
ここで、蛍光体層23としては、例えば、PDPに用いられるものを利用できる。すなわち赤色蛍光体として(Y、Gd)BO:Euを用い、緑色蛍光体として、ZnSiO:MnもしくはこれとYBO:Tbの混合物を用い、青色蛍光体として、(Ba、Sr)MgAl1017:Euを用いる構成でも良いが、h−BN結晶微粒子24からの215nmの波長の紫外線により効率良く発光するMAlSiN(M:Mg、Ca、Sr、Ba、Znの中から選ばれる少なくとも一つの元素)を用いるとなお良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように本発明は、透明ディスプレイを用いた画像表示装置を提供する上で有用な発明である。
【符号の説明】
【0021】
1 画像表示装置
2 表示画面
2a 背面の風景などの画像を透過させる領域
2b 画像表示させる領域
5 ディスプレイ
10 電子放出部
11 基板
12 カソード電極
13 電子源
20 電光変換部
21 基板
22 アノード電極
23 蛍光体層
24 六方晶窒化ホウ素(h−BN)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光画像を透過させる領域と、画像表示させる領域と、を混在させて表示を行う画像表示装置であって、
透過してくる画像の輝度と、表示させる画像の輝度との相対比を1:3以上とした
画像表示装置。
【請求項2】
画像表示装置に用いられるディスプレイであって、
電子放出部と電光変換部とで構成され、
電子放出部は、基板上にカソード電極と電子源とを備え、
電光変換部は、基板上に、アノード電極と、紫外線により励起して発光する蛍光体層と、六方晶窒化ホウ素とを備えた
ディスプレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−12449(P2013−12449A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145965(P2011−145965)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】