説明

ディスプレイを駆動する装置、方法及びシステム

エレクトロクロミックディスプレイのセルを制御する装置、方法及びシステムが開示される。装置は、ディスプレイの各セルに接続され、セルをその充電状態によって駆動するために制御され、選択されたセルの特性をセンサに出力する。装置は、検出モードとプログラムモードで作動する。検出モードでは、装置は、選択されたセルの特性を決定し、プログラムモードで、装置はセルの充電状態を設定する。ディスプレイ素子を制御する方法とシステムでは、変化する駆動信号(鋸歯信号など)がディスプレイ素子に印加されて、一定駆動信号を用いて生じるよりも電荷移動を増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを駆動する装置、方法及びシステム並びにディスプレイ素子、特にエレクトロクロミックディスプレイに関する。典型的なエレクトロクロミックディスプレイは、ガラスのディスプレイ画面と、基板と、トラックと、エレクトロクロミックのセグメントすなわち画素からなり、セグメントすなわち画素は、電気ポテンシャルの印加により色を変える。
【0002】
1つの実施形態では、エレクトロクロミック画素は、半導体の金属酸化物のナノ構造膜と自ずと集まった単層のエレクトロクロミックビオロゲンとからなる第1電極を備える。エレクトロクロミック分子を発光する電荷は、ドープされた半導体からなる第2のナノ構造対向電極により供給される。これらの電極の間に、二酸化チタンの多孔性膜からなる反射器がある。
【背景技術】
【0003】
エレクトロクロミックディスプレイは、典型的には、直流で駆動される装置である。電圧は、ディスプレイの各々のセグメントすなわち画素に、ガラス画面(スクリーン)の端から画素への透明な伝導性トラックを介して印加できる。透明な伝導性トラックは、通常はインジウムすず酸化物(ITO)から作成され、画素と直列の抵抗と同様に作用する。
【0004】
エレクトロクロミック画素は、電荷を格納する性能を備えるという点でコンデンサと同様な特性を持つ。画素は、そのアノードに電圧を印加することにより導通され(オンになり)、すなわち充電される。画素の充電容量は、画素の面積に比例する。いったん充電されると、画素は開回路構成に残されて、そのままの状態である。エレクトロクロミックディスプレイのこの特性を双安定性という。しかし、コンデンサのように、電荷は時間とともにゆっくりとなくなっていき、画素の発色が劣化していく。
【0005】
このコンデンサと抵抗の配置は、画素がdV/dt=V/RCの関係により充電される速度を決定する。こうして、個々の画素がオンになる速度は、画素の面積と、関連するトラックの抵抗とに反比例する。そうして、個々の画素は、異なった速度で充電される。画素は、コンデンサのように、それらの容量を超える電圧を受けると破壊されることがある。したがって、印加電圧についてのこの制限と、大きな容量に結合される大きなITOトラックの抵抗により、エレクトロクロミックディスプレイのスイッチングへの応答時間はまったく遅くなることがある。
【0006】
紫外光への露光と隣接する画素からの電圧結合とは、個々の画素内で、潜在的に危険な変化を生じる。画素は、電圧容量に達して、なお駆動されていると、画素に損傷を生じる。米国特許第5,973,819号は、エレクトロクロミック装置の電荷状態(すなわち発色レベル)を制御するためのドライバを開示する。初期化のあとに、ドライバは、エレクトロクロミック装置の最大または最小の充電レベルが達成されるまで、充電レベルを変更かつ測定し、これを反復する。
【0007】
特に、米国特許第5,973,819号は、スイッチングマトリクスを介して1つのドライバ素子に多数のエレクトロクロミック(EC)素子の各々に順番に接続することを開示する。
【特許文献1】米国特許第5,973,819号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、多重セルディスプレイを駆動するための駆動装置は、そのディスプレイの駆動されるべき各セルに接続される。この駆動装置は、各セルについて充電状態指標にしたがって上記セルを駆動するセルドライバと、選択されたセルの特性を受け取り、センサにその特性を出力する信号経路とからなり、プログラムモードと検出モードで動作する。プログラムモードでは、上記複数のセルの充電状態が充電状態指標にしたがって設定される。検出モードでは、上記複数のセルの中の選択されたセルの特性が上記信号経路を介して受け取られ、残りのセルの中の1以上のセルがそのセルについて充電状態指標にしたがって駆動される。
【0009】
本発明を用いて、1つのEC素子の状態が検出できる一方、残りのセルは駆動される。こうして、ディスプレイのよりよい制御を提供する。
【0010】
好ましい実施形態では、光電効果、充電されている他の画素からの電圧結合などにより生じる画素内での潜在的に危険な変化が検出され補償される。画素の応答時間は、安全な、制御された環境においてより高い駆動電圧を用いることにより向上される。いったん充電されると、画素は開回路状態に残され、画素の寿命の向上を保証する。画素からのまたは複数の画素の間のリーク電流は、電圧検出を用いて決定でき、ディスプレイの正しい見た色(アピアランス)を維持するための測定が行える。
【0011】
別の見方では、ディスプレイ素子を駆動する方法とシステムが提供される。ここで、変化する駆動信号がディスプレイ素子に適用されて、電荷移動は、一定の駆動信号を用いる場合よりも向上する。1つの実施形態では、鋸歯波形を用いて、ディスプレイ素子を駆動し、ディスプレイ素子のほぼ一定の充電/放電を達成する。この方法とシステムは、周辺部と中央部の間の発光の違いを示すことができる、エレクトロクロミックディスプレイ素子を含む種々のディスプレイ素子に適用できる。1つの実施形態では、周辺部での電圧が監視され、鋸歯波形を用いてディスプレイ素子にわたる電荷の伝搬と、周辺部での充電状態のより正確な測定とを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
図1を参照して説明すると、多重セルディスプレイを駆動するための駆動装置10のシステム図が示される。装置10は、マイクロ制御ユニット12とエレクトロクロミックディスプレイ14に接続される。
【0013】
エレクトロクロミックディスプレイの画素のナノ構造膜電極は、表面に結合された多数のエレクトロクロミックビオロゲン分子をもつ大きな表面エリアを備え、ビオロゲンが無色から発色またはその逆に急速に切り換えられることを可能にする。付着されている多数のビオロゲン分子は強い着色を生じ、高速の電子移動は高いスイッチ速度を生じる。異なる色は、異なるビオロゲン分子を用いて達成できる。ドープされた半導体の電極は、その高インピーダンスにより電荷を蓄積し、ディスプレイ装置はそのようなものとしてメモリを備え、双安定性と低消費電力を生じる。
【0014】
発明の1つの実施形態では、装置10は、O[1]、O[2]、・・・O[64]、O[65]と名付けられる65個の出力チャネル16を備える。各出力チャネル16は、対応する伝導性トラック18を介して、エレクトロクロミックディスプレイ14の65個のカソードすなわち画素22のなかの1つのカソード20に接続される。理解されるように、画素数は65より少なくてもよい。同様に、65個より多い画素も、多数のICをカスケード接続して使用できる。
【0015】
1つの実施形態では、画素22は、カソード20にdc電圧を印加することによりオンまたはオフにできる。複数のカソード20に対応する1つの共通アノード24は、電源電圧Vccに接続される。1つの実施形態では、アノードをグランドに対して正の電圧を印加することにより、負の画素電圧の要求が避けられる。画素がオンであるとき、カソード20に印加される画素電圧は正であるが、Vccより低い。
【0016】
出力チャネル16は、接続された画素22に印加電圧をできるだけ速く与えるため、電流が流れ込みかつ電流を流し出す電圧源として設計されている。65個の出力チャネル16は、それぞれ4つの電圧状態をサポートする。4つの電圧状態とは、2つの「オン」電圧状態すなわちVref1とVref2、開回路すなわち高インピーダンス(Hi-Z)状態およびオフ電圧状態である。
【0017】
この2つの「オン」電圧は、装置10に設けたピンVref1とVref2での電圧により定義される。内部回路と外部回路の電流基準抵抗R3は、定電流源を定める。この定電流源は、Vref2を流し出して、1対の抵抗R1とR2がVref1とVref2での電圧を正しく決めるために用いられる。Vref1とVref2での電圧降下は、それらを流れる定電流があるのでVccに対して一定のままであり、供給電圧Vccが変わってもエレクトロクロミックディスプレイ14のコントラストが変わらないことを保証する。
【0018】
この定電流は、グランドと装置10に設けられるIrefピンとの間に接続される抵抗R3の抵抗値により決定される。この実施形態では、定電流のための方程式は、1.25/R3である。たとえば、抵抗R3が270kΩの値をもつならば、抵抗R1、R2を流れる電流は1.43μAである。同様に、抵抗R3が888kΩの値をもつならば、抵抗R1、R2を流れる電流は4.6μAである。R1とR2の値は、ディスプレイ14を駆動するため、Vccからの要求される電圧降下を与えるように設定される。この実施形態では、Vref1は、Vccより低い0.8Vに設定され、Vref2は、Vccより低い1.5Vと2Vの間に設定される。
【0019】
複数の画素22は、出力チャネル16が画素22から切断されるとき開回路すなわち高インピーダンス状態をとる。「オン」電圧が画素22に印加されると、画素22は、ディスプレイ画像への変化なしに、高インピーダンス状態をとる。これは、画素が電荷を蓄積する性質により、双安定性として知られている。電荷の漏れにより電圧が変わって画素の像があせる前の期間で、同じディスプレイ画像が維持される。画素の特性に依存して、像は、数分または数日であせていく。
【0020】
オフ状態は、出力チャネルの状態をVccに設定することにより達成され、これにより、画素の端子の間の電圧降下をなくし、画素をオフにさせる。一般的に、画素が約400mV以下になるとオフと考えられる。画素がオフになると、高インピーダンス状態に設定される。装置10は、さらに、3つの入力、DATA_IN、SCLKおよびLOADを備え、それらは、マイクロ制御ユニット12の対応する端子26,28,30に接続される。装置10に設けられる出力SENSEは、マイクロ制御ユニット12上のアナログデジタル変換器A/Dに接続される。
【0021】
この装置10は、1つの時間では、2つのモードの一方すなわちプログラムモードまたは検出モードで動作する。ディスプレイ14のいくつかまたはすべての画素の状態をプログラムするため、装置10はプログラムモードで作動されねばならない。プログラムモードで、装置10は、入力SCLKに出力されるクロック信号により、画素を表す情報を入力DATA_INに出力される。装置10は、複数の画素22の各々の挙動を監視するため検出モードで動作する。検出モードでは、1つの画素の状態を表す信号は、SENSE出力で出力され、アナログデジタル変換器A/Dに送られ、アナログデジタル変換器A/Dで、基準値と比べられる。このモードは、紫外光への暴露、スイッチされている近くの画素との電圧結合、画素の不規則性、印加電圧への応答及び他の変動要因による画素電圧の変動をMCU12が検出することを可能にする。
【0022】
図2を参照して説明すると、発明の好ましい実施形態による装置10のブロック図が示される。装置10は、制御論理ユニット32と、130ビットのシフトレジスタ34からなる。シフトレジスタ34は、130ビットのラッチ36に接続される。この130ビットのラッチ36の内容は、65個の2ビットから4ビットへの2進4進デコーダ38に送られる。それらのデコーダ38の出力は、65個の対応するCD(クロモダイナミック、すなわち、エレクトロクロミック)ドライバ40に接続される。NCDドライバは、次に、出力チャネル16に接続される。各デコーダ38の動作のための真値表は表1として次に示される。
【0023】
【表1】

【0024】
130ビットのシフトレジスタ134は、7ビットのラッチ44にも接続される。7ビットのラッチ44の内容は、7ビットから65ビットへのデコーダ46に送られる。デコーダ46の複数の出力は、65個のスイッチ42に接続され、それらのスイッチは画素の監視を制御する。65個のNCDドライバ40は、65個のスイッチ42に接続され、それらのスイッチ42は、次に出力SENSEに入力を出力する。入力DATA_INは、130ビットのシフトレジスタに接続され、入力SCLKとLOADは制御論理ユニット32に接続され、制御論理ユニット32は、次に、130ビットのシフトレジスタ34に2点で接続される。SLCK入力は、クロック信号の入力であり、MCU12により制御される。好ましい実施形態では、クロックSLCKの最大周波数は10MHzである。LOAD入力は、高レベル信号値または低レベル信号値をとり、MCU12によって制御もされる。LOAD入力の値は、シフトレジスタ34が7ビットまたは130ビットで充たされているかを決定する。
【0025】
装置10がプログラムモードで動作するため、図3aに記載されるように、マイクロ制御ユニットは、低レベル信号値を論理制御ユニット32にデバイス入力LOADを介して送らねばならない。次に、マイクロ制御ユニットは、130ビットをレジスタ34に入力DATA_INを介して供給する。この130ビットの各々の2ビット2進値は、65画素のなかの1つ画素の所望状態を表す。
【0026】
65画素の各々の所望状態を表すデータは、入力DATA_INからシフトレジスタ34に、SCLKクロックの低レベルから高レベルへの遷移ごとにシフトされる。シフトレジスタ34が130ビットの2進値で充たされると、MCU12は、LOAD入力で高レベル信号値を出力して、シフトレジスタ34の内容を130ビットラッチ36にロードさせる。複数のデコーダ38は、データを復号し、対応するNCDドライバ40に、各画素のための所望状態情報を供給する。複数のNCDドライバ40は、表1により、要求された電圧を出力チャネル16に出力し、これが画素に印加される。
【0027】
図3bに示されるように、装置入力LOADに高レベル信号値が入力されるとき、動作モードはプログラムモードから検出モードに変わる。検出モードでは、検出されるべき画素番号を表す7ビットの2進値の各ビットは、SCLKクロックの低レベルから高レベルへの遷移ごとに、シフトレジスタ34に入力される。7つのクロックによるシフトのあとで、LOAD入力信号は、瞬間的に高レベルから低レベルに変わり、高レベル状態に戻る。これにより、7ビットの2進値が7ビットラッチ44に入力される。そこから、デコーダ46により復号され、65個のスイッチ42の中の画素番号に対応するスイッチ42に印加される。このスイッチ42は、対応するNCDドライバ40を、対応する出力チャネル16から切断する。これにより、画素22は、高インピーダンス状態をとって、その電圧を検知可能にする。検出された電圧は、SENSE出力に加えられ、マイクロ制御ユニットに設けられるアナログデジタル変換器A/Dに送られる。A/D変換器は、信号をデジタル値に変換し、これは、固定された基準値と比較され、その出力により、画素22の状態を変えるか否かが決定される。検出が終わると、NCDドライバ40は、その関連する出力チャネル16に再接続される。
【0028】
図4を参照して説明すると、印加された画素電圧が時間に対して図示される。スイッチ動作を加速しディスプレイ12の応答性を増加するために、要求された画素は、電圧Vref2により駆動され、画素の安全電圧限界を超える。理想的には、画素が十分に充電される前に、安全電圧Vref1が印加されて、画素がそれらの電圧容量をあまりにも長く越えないことを保証する。
【0029】
第1実施形態では、図5に示されるように、装置10は、充電の間、検出モードで動作する。この動作は、画素電圧が、固定された基準電圧すなわちVref1のあらかじめ決められた範囲内にあることが検出されて印加電圧がVref2からVref1に変化されて過充電を防止するまでである。しかし、理解されるように、検出モードは、また、高インピーダンス状態にある画素電圧が変わっていって、画素電圧を所望レベルに戻すために電圧Vref2またはVref1が印加されることを要求するか否かを決定するために使用できる。MCU10は、次にLOAD入力に低レベル信号を送って、装置10をプログラムモードに変えさせ、要求された電圧(開回路を含む)が、その画素のための入力ビットを要求された状態に設定することにより、関連する画素出力チャネル16に印加される。次に、装置10は、検出モードに戻る。
【0030】
他の実施形態では、MCU12は、ディスプレイ12の各々の画素に関するタイミング情報を有する。このタイミング情報は、各画素の既知の容量と、その関連するITOトラックの抵抗とから得られ、Vref1とVref2の両方の印加のための期間の推定値を出力する。この実施形態では、MCU12のタイミング情報は、ディスプレイ14が発色されている時間の推定値も有する。このタイミング情報は、画素の検出のスケジュールのために用いられる。もし1つの画素がこのスケジュールにより検出され、かつ、電圧変動のため印加電圧を変えるための必要条件を定義する所定範囲に達しないと決定されるならば、その画素電圧に関連するタイミング情報は、あらかじめ決められた量だけ増加され、それにしたがってスケジュールが更新される。同様に、もし画素がこのスケジュールにより検出され、かつ、電圧変動のために印加電圧を変えるための必要条件を定義する所定範囲を越えたと決定されるならば、その画素電圧に関連するタイミング情報は、あらかじめ決められた量だけ減少され、それにしたがってスケジュールが更新され、要求された電圧(開回路を含む)が画素に印加される。同様に、もしMCU12が、高インピーダンス状態にある画素が電荷を漏らしたことを検出したならば、関連するタイミング情報を調節し、スケジュールを更新し、装置10の動作モードをプログラムモードに変えて、要求された安全電圧を印加してその画素に電荷を「補給」する。
【0031】
この好ましい実施形態では、装置10は、プログラムモードで動作して、MCU12に格納される推定タイミング情報と、検出動作の結果とにより、1以上の画素の印加電圧を変える。他の実施の形態では、タイミング情報は、ある量だけ、直接に、画素が検出された時刻での画素の近似充電速度に関連して、増加または減少される。画素の充電速度を決定するため、MCU12は、各画素が各々の状態に入った時刻を格納する。
【0032】
他の実施形態では、検出機能が1つの画素について実行されるとき、MCU12は、その画素の時間と、関連される電圧とを決定する。同じ画素がふたたび検出され、MCUは、ふたたび、その画素の時間と、関連される電圧とを決定する。MCUは、これらの2つの結果を用いて、画素の充電速度を決定し、タイミング情報を適当なものとして更新する。
【0033】
他の実施形態では、検出機能が用いられるごとに、MCU12は、その画素の第1時間と、関連される電圧とを決定し、次に、その画素の第2時間と、関連される電圧を決定する前に、その画素の出力チャネルをそのNCDドライバに瞬間的に再接続する。次に、それらの値を用いて、画素の充電速度を決定し、タイミング情報を適当なものとして更新する。
【0034】
別の実施形態では、MCU12に位置されるアナログデジタル変換器は、比較器で置き換えられる。この比較器は、検出された電圧信号を安全電圧Vref1と比較する。好ましい実施形態では、この装置は、待機状態に設定できる。これは、すべての出力チャネルを高インピーダンス状態に設定し、装置をプログラムモードに設定することにより、達成される。この状態で、Vref1電圧とVref2電圧を出力する定電流源はシャットダウンされ、装置に非常に低い消費電力を達成させる。
【0035】
理解されるように、タイミング情報は、画素の大きさ、そのクロスオーバ点への近さ、基板抵抗の電気伝導度、スイッチされる状況またはそれらの組み合わせなどの多数の因子から導出できる。たとえば、もしすべての他の画素が白くなっている(オフである)ときに1つの画素のみがオンになったなら、白くなっている画素の影響により、基板のみかけの電圧は、オンになった画素が、その画素がオンになった多数の画素の1つであった場合より速く発色するようなレベルに「押し上げ」られる。
【0036】
特に、遅延された検出を実行するとき、あらかじめプログラムされた遅延値または現在計算される遅延値が、オフになる活性エリアの広さとオンになる活性エリアの広さを比べて決定される係数値を因子として計算できる。
【0037】
たとえば、もし大きな凝集体(aggregate)エリアがオフに切り換えられていて、小さなエリアがオンに切り換えられるならば、比較的大量の電荷がオフに切り換えられるエリアから自由になる。この電荷は、オンに切り換えられる小さなエリアを発色するのに用いられる。この大量の余った電荷により、通常よりも速くその小さなエリアが所望電圧に駆動される結果になり、もし注意が払われなければ、その小さいエリアは駆動されすぎることになる。
【0038】
したがって、オンに切り換えられているある画素が狙いの電圧に達したことを検出する前に、もしドライバが遅延時間t1を通常は待つならば、この時間t1は、オフに切り換えられる大きなエリアから得られる電荷を考慮して、ある係数で調節されてその時間が減少される。
【0039】
オフに切り換えられている面積とオンに切り換えられている面積の関数として計算される上記係数は、通常よりも速い充電時間を予期するために通常よりも速くその画素を検出させ、これにより、駆動されすぎる前にその画素を検出する。逆に、もし大きなエリアがオンに切り換えられていて小さなエリアがオフに切り換えられているならば、アノード(背面)で電荷の使用可能性が減少するので、十分な充電まで通常より時間がかかることになり、これは、1より大きい係数を用いてt1を上に調節することにより補償できる。
【0040】
係数がどのように計算されるかについての正確な詳細は、ディスプレイと駆動回路の特性による。しかし、近似の第1レベルでは、この係数は、[(オンに切り換えられている面積)/(オフに切り換えられている面積)]に比例する。
【0041】
さらに、基板の抵抗の性質のため、オンになっている画素に近い複数の画素は、その画素の切り換え時間への影響を、遠くにある画素よりも大きく受ける。すなわち、マイクロ制御器は、各画素の大きさと位置を内部で知っている。各スイッチにおいて、マイクロ制御器は、すべての画素について、すべての他の画素の遷移をすべての他の画素の位置に関連する方程式に基づいて係数の値を計算する。
【0042】
ふたたび、スイッチのあとで基板の抵抗の性質のため、複数の画素は、それらの検出された電圧が同じであっても、異なるコントラストにありうる。これは、基板のみかけの電圧における局所的なゆらぎのためである。オンになった各画素について複数のしきい値電圧を設定することにより、これらの異なるコントラストを補償できる。これらのしきい値電圧は、前にオンであってオフになった画素、前にオフであってオンになった画素、及び、これらの画素の位置の関数として、マイクロ制御器により計算できる。
【0043】
図6は、ここで説明されているようなエレクトロクロミック素子を用いて実現される7セグメントディスプレイを示す。図6に示されるように、複数のセグメントは周辺部60と中心部61を持つと考えられる。別の実施形態では、ディスプレイ素子は、電子インクとして役立つ電気泳動素子である。ここで用いられるとき、素子の用語は、一般的に、1種のディスプレイ素子である図6に示されるようなセグメントをもつディスプレイ素子をいう。異なる形状と異なる構成の他の種類のディスプレイ素子(電気泳動ディスプレイ素子を含む)は、同様に素子として理解される。
【0044】
図7に示されるように、エレクトロクロミックディスプレイ素子は、1組の分散された可変抵抗と可変コンデンサとしてモデル化される。このモデルのこれらの素子は、値が、エレクトロクロミックディスプレイ素子内の種々の点で充電と放電の状態に基づいて時間とともに変わるので、可変にされる。図7をふたたび参照して説明すると、ANODE(アノード)70は、エレクトロクロミックディスプレイ素子のアノードであり、エレクトロクロミックディスプレイ素子にそって、アノード抵抗72,74,76,78,80が分散される。Vdrive71は、駆動信号が印加される電気伝導性素子を表す。1つの実施形態では、アノード70は、全体のエレクトロクロミックディスプレイ素子に共通であり、Vdrive71は、ディスプレイのなかの1つの画素またはセグメントを構成する個々の電極を表す。Vdrive71は、分散された駆動トラック抵抗112,114,116,118,120および122を持つものとしてモデル化できる。
【0045】
図6に示されるディスプレイ素子は、周辺部60と中央部61を備え、エレクトロクロミック素子として実現されたとき、周辺部60と中央部61で異なって充電する。こうして、エレクトロクロミックディスプレイ素子は、空間的に変わるパラメータと時間的に変わる性質をもつ。空間的変化は、アノード(ANODE)70とVdrive71の間に現れる、分散された複数の可変容量と複数の可変抵抗としてモデル化でき、図7で示されるように、周辺容量(C-EDGE)81と周辺抵抗(R-EDGE)100が、中央容量(C-center)91と中央抵抗(R-CENTER)110に対して、中間抵抗102,104,106,108とそれぞれ直列にある中間容量83,85,87,89とともに示される。
【0046】
エレクトロクロミックディスプレイ素子は、ひとかたまりの抵抗と容量というよりは伝送線に似て動作する。その伝送線的な性質に加えて、エレクトロクロミック素子内の異なる点でのインピーダンスがその電荷状態によって変わることは、エレクトロクロミック素子を、時間とともに変わる伝送線として動作させる。その結果、エレクトロクロミック素子の一様な充電と発色を得ることが難しくなりうる。時間とともに変わる波形は、エレクトロクロミックディスプレイ素子の中に波を実質的に入れることにより、一様な発色を得るために用いられる。その波形は、エレクトロクロミック素子の空間的及び時間的に変動するインピーダンスに整合する。
【0047】
一定波形の駆動信号の印加はセグメントを非常に速く発色させるが、一様には発色させないので、変化する(かつ潜在的に整合される)波形の、駆動信号としての使用は、一定波形の駆動信号の印加より好ましい。ディスプレイ素子への駆動信号を時間的に変えることにより、電荷移動が一定駆動信号を用いた場合より増大する。さらに、Vdrive波形を変えることにより、ディスプレイ素子の安全でない充電が防止できる。1つの実施形態では、エレクトクロミックディスプレイ素子のほぼ一定の電流での充電と放電を達成するために、波形が変えられる。定電圧駆動信号を用いて得られる充電では、充電電流は初めは非常に大きいが素子が充電されるにつれ減少するが、定電流での充電は、エレクトロクロミックディスプレイ素子のより一様な発色を可能にする。
【0048】
図8を参照して説明すると、鋸歯波形は、エレクトロクロミックディスプレイ素子のためのほぼ一定の電流の駆動信号を得るために使用できる。図8のOFF151のような、正である鋸歯信号は、エレクトロクロミックディスプレイ素子をオフにするために使用でき、図8のON153のような、負である鋸歯信号は、エレクトロクロミックディスプレイ素子をオンにするために使用できる。1つの実施の形態では、駆動信号は、電圧V-safe160からV-attack162などのより大きな電圧へ変えられる。1つの実施の形態では、Vsafe160は、約500mVの値をもつVref1に等しい。この実施の形態では、V-attack162は、約1000mVの値をもつVdrive-ON154に等しい。同じ大きさであるが極性の異なる信号、たとえばOFF151は、そのエレクトロクロミックディスプレイ素子をオフにするために使用できる。1つの実施形態では、これらの信号は、Virtual-GND152により確立されるレベルを基準としている。図8に示されるように、上昇時間163と下降時間165は、鋸歯波形と関連される。
【0049】
鋸歯波形を用いる1つの利点は、鋸歯波形の減少する刃の部分がディスプレイ素子での周辺部60の電圧を引き出すために使用されることであり、これにより、ディスプレイ素子にわたってより一様な充電を生じ、より一様な発色を生じる。図8に示される鋸歯波形を用いるもう1つの利点は、エレクトロクロミックディスプレイ素子のための安全電圧(この場合V-safe160)が瞬間的に越えられる一方、駆動信号は、V-attack162に上昇していき次に低く戻っていくことである。ディスプレイ素子の伝送線のような性質のため、ON153をVdrive-ON162にまで変っていっても、全体のディスプレイ素子は、安全電圧より高い電圧に達することはなく、その代わりに、電荷は、ディスプレイ素子を通って進み一様な発色を達成する。
【0050】
1つの実施形態では、ディスプレイ素子の周辺部60の電圧は、ディスプレイ素子の充電状態を決定するために検出される。これにより、ディスプレイ素子での電荷量を監視でき、素子が損なわれないことを保証する。ディスプレイ素子の伝送線のような性質により、変化する波形の使用は、電荷がディスプレイ素子にそって効率的に移動させ、また、周辺部が監視されるとき、全体のエレクトロクロミック素子での平均の電圧と電荷量とを表す電圧の読みを与える。図8に示される鋸歯波のような、変化する波形を用いることにより、電荷が、ディスプレイ素子の中央部61に進み、周辺部60で安全電圧を測定できる。「安全でない」電圧とみえるものがディスプレイ素子に印加されるとしても、ディスプレイ素子の中央部に電荷が進むのみであり、安全でない長期間の電圧が全体のディスプレイ素子に印加されることはない。
【0051】
図9は、ドライバシステムの1実施形態のブロック図を示す。このドライバシステムでは、MCU12は、複数のデジタルアナログ変換器(DAC)170、電圧と定電流の切り換え回路172、波形整形回路174、電流制御コンデンサ182,位相反転回路180,ウィンドウ比較器176,(VIRTUAL_GROUND152をつくる)仮想グランド生成器178および複数の出力チャネル16とともに使用される。1つの実施形態では、MCU12は、DAC170を制御して、電圧定電流回路172とウィンドウ比較器176により使用される波形を作るために用いられる。両者の出力は、波形整形回路174を駆動するために用いられ、波形整形回路174は、電流制御コンデンサ182とともに、波形を作るが、この波形は、位相反転回路180により反転され、エレクトロクロミックディスプレイ181への印加のため出力チャネル16に印加される。
【0052】
図10は、波形成形回路174の1つの実施形態を示す。この実施形態で、第1の電流ミラートランジスタ(Q6)190は、第2の電流ミラートランジスタ(Q16)192とともに用いられて、これらは整合された対をなす。電流インの負荷191は、予め設定された抵抗(図示しない)を用いて設定され、電流ミラートランジスタ(Q6)190のコレクタにミラーされる。これは、トランジスタ(Q9)199を通り電流制御コンデンサ(C17)182を充電するために使用される定電流を作る。電流制御コンデンサ182での電圧がV-SAFE160に達するとき、比較器(IC2A)197は、トランジスタ(Q13)200をオフにし、トランジスタ(Q9)199をオンにする。電流制御コンデンサ182は、V-ATTACK162に放電される。電流制御コンデンサ182は定電流で放電される。電流制御コンデンサ182での電圧がV-ATTACK162に放電するとき、IC2A197は、トランジスタ(Q13)200をオフにし、トランジスタ(Q9)199をオンにし、そして、このサイクルが繰り返す。
【0053】
電流制御コンデンサ182に印加される定電流は、電流制御コンデンサ182で線形の電圧波形(上昇と下降)をつくり、この信号は、IC4C206と、トランジスタ(Q7)201とトランジスタ(Q12)202とからなるプッシュプルトランジスタ対とによりバッファされる。生じた電圧VDRIVE-ON154は、上記複数のセグメントを駆動し、IC4D203により反転され、トランジスタ(Q5)204とトランジスタ(Q5)205はVDRIVE-OFF150を作り、VDRIVE-OFF150は、上記セグメントを駆動しないために用いられる。
【0054】
波形整形回路174は、上昇時間163、下降時間165、V-SAFE160およびV-ATTACK162のパラメータを変えるために用いられる。鋭い上昇時間を用いて、中央部61から周辺部60への充填 fill と色をより一様にする。
【0055】
ここに説明された駆動波形を用いて、ディスプレイ素子の一定電流の充電が可能になり、これにより、電圧を減少していき、周辺部60に位置される電圧センサにより検出される充電状態に関して誤った読みを避ける。1つの実施形態では、(印加された波形から)印加された電荷でセグメントが正しい電圧に達しなかったなら、追加の電荷が出力される。セグメントが正しい電圧に達したとき、ドライバは高インピーダンス状態になる。
【0056】
1つの実施形態では、図9に示されるシステムは、各セグメントに印加される電荷量を変えることにより異なる大きさのセグメントを駆動できるように、エレクトロクロミックディスプレイ181を学習するために使用できる。電流ミラートランジスタに印加される電圧と鋸歯電圧波形の下の面積との間に線形関係があるので、鋸歯電圧波形は、MCU12により、セグメントごとに変調できる。
【0057】
本発明は、ここに説明された実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明からずれることなく変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】マイクロ制御ユニットに接続される本発明の装置とエレクトロクロミックディスプレイのシステム図
【図2】本発明による図1の装置のブロック図
【図3a】プログラムモードで動作している図1の装置のタイミング図
【図3b】検出モードで動作している図1の装置のタイミング図
【図4】印加電圧の時間に対する図
【図5】検出時点を含む時間に対する印加電圧の図
【図6】周辺部と中心部を備えるセグメントを備えた、複数のセグメントからなるディスプレイの図
【図7】エレクトロクロミックディスプレイ素子のためのモデルの図
【図8】エレクトロクロミックディスプレイ素子のための駆動信号の図
【図9】ディスプレイ素子ドライバのためのブロック図
【図10】波形整形回路の実施形態の図
【符号の説明】
【0059】
10 セグメントドライバ、 10,12 駆動装置、 14 多重セグメントディスプレイ、 18, 40, 42 信号経路、 20,22 セグメント、 40, 42, 46, 44, 34 充電状態指標。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重セルディスプレイの駆動されるべき各セルに接続されて、多重セルディスプレイを駆動するための駆動装置であって、
各セルについての充電状態指標にしたがって上記セルを駆動するセルドライバと、選択されたセルの特性を受け取り、センサにその特性を出力する信号経路とからなり、
プログラムモードと検出モードで動作し、
上記プログラムモードでは、上記複数のセルの充電状態が上記充電状態指標によって設定され、
上記検出モードでは、上記複数のセルの中の選択されたセルの特性が上記信号経路を介して受け取られ、残りのセルの中の1以上のセルがそのセルについて充電状態指標にしたがって駆動される
駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された駆動装置であって、上記センサとして動作する制御器と接続されることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載された駆動装置であって、検出モードにおいて、選択された上記セルの上記特性を示す信号を上記制御器に出力することを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載された駆動装置であって、プログラムモードで、1以上の上記セルの、要求される充電状態を示す信号を上記制御器から受け取ることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載された駆動装置であって、上記制御器から受け取った論理信号により上記動作モードが決定されることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載された駆動装置であって、1以上の上記セルの特性の少なくとも1つが基準範囲内にあると決定されるとき、動作モードが検出モードからプログラムモードに変わることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載された駆動装置であって、さらに、上記制御器から受け取った情報を格納するためのシフトレジスタを備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載された駆動装置であって、クロック信号に応じて上記シフトレジスタに情報を連続的に入力することを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載された駆動装置であって、プログラムモードで、上記情報は、充電状態が要求されている複数のセルの各々の充電状態を示すセル充電状態情報からなり、検出モードでは、上記情報は、選択された上記セルの識別子からなる、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載された駆動装置であって、上記充電状態はオフ状態、オン状態及び高インピーダンス状態の中の1つであることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載された駆動装置であって、上記オン状態は低速充電状態と高速充電状態の1つであることを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項10に記載された駆動装置であって、検出モードで、検出されるべき上記セルは高インピーダンス状態に設定されることを特徴とする駆動装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載された駆動装置と制御器とを備えるディスプレイのための制御システムであって、上記制御器は、上記セルまたは各々のセルについての上記特性から得られるそのセルについてのタイミング情報を格納することを特徴とする制御システム。
【請求項14】
請求項13に記載された制御システムであって、上記制御器は、上記タイミング情報によって上記駆動装置を検出モードに切り換えるようにスケジュールが作成されていることを特徴とする制御システム。
【請求項15】
請求項13に記載された制御システムであって、上記制御器は上記タイミング情報を周期的に調節することを特徴とする制御システム。
【請求項16】
請求項13に記載された制御システムであって、上記駆動装置は、請求項3に記載された駆動装置であり、前記制御器は、上記駆動装置から受け取った上記信号に応答して上記タイミング信号を調整する、ことを特徴とする制御システム。
【請求項17】
請求項13に記載された制御システムであって、上記制御器は、セルについてのタイミング情報を他のセルの充電状態に依存して変えることを特徴とする制御システム。
【請求項18】
請求項17に記載された制御システムであって、前記制御器は、ある時間での、オンする上記セルの凝集体面積とオフする上記セルの凝集体面積の比により決定される係数因子により上記タイミングを変える、ことを特徴とする制御システム。
【請求項19】
多重セルディスプレイの駆動方法であって、
制御対象の多重セルディスプレイの各セルに接続するステップと、
各セルを、そのセルに関連される充電状態指標により駆動するステップと、
選択されたセルの特性を受け取るステップと、
上記特性をセンサに出力するステップとからなり、
プログラムモードと検出モードとで動作し、プログラムモードでは、上記複数のセルの充電状態は上記充電状態指標により設定され、検出モードでは、上記複数のセルから選択されたセルの上記特性は信号経路を介して受け取られ、残りのセルの中の1以上のセルは、そのセルに関連された上記充電状態指標により設定される、
駆動方法。
【請求項20】
時間とともに変わるインピーダンスをもつディスプレイ素子の駆動方法であって、
a)ディスプレイ素子に駆動信号を印加するステップと、
b)上記ディスプレイ素子への駆動信号を時間的に変えて、一定の駆動信号を用いて起こる電荷移動よりも上記ディスプレイ素子への電荷移動を実質的に増加するステップと
駆動方法。
【請求項21】
請求項20に記載された駆動方法であって、ステップbで駆動信号を時間的に変えることは、上記ディスプレイ素子の安全でない充電を防止することを特徴とする駆動方法。
【請求項22】
請求項20に記載された駆動方法であって、ステップbで駆動信号を時間的に変えることは、鋸歯信号波形を用いて達成されることを特徴とする駆動方法。
【請求項23】
請求項20に記載された駆動方法であって、ステップbで駆動信号を時間的に変えることは、鋸歯信号波形の負の部分を用いて行われて、ディスプレイ素子の充電を達成することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20に記載された駆動方法であって、ステップbで駆動信号を時間的に変えることは、鋸歯信号波形の正の部分を用いて行われて、ディスプレイ素子の放電を達成することを特徴とする方法。
【請求項25】
時間とともに変わるインピーダンスをもつエレクトロクロミックディスプレイ素子の駆動方法であって、
a)エレクトロクロミックディスプレイ素子に電圧を印加し、
b)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子への電圧を変えて、上記エレクトロクロミックディスプレイ素子のほぼ定電流での充電または放電を達成する
駆動方法。
【請求項26】
請求項25に記載された駆動方法であって、
上記エレクトロクロミックディスプレイ素子への電圧が鋸歯状に変えられることを特徴とする駆動方法。
【請求項27】
請求項25に記載された駆動方法であって、電圧を変えるステップbにおいて、上記鋸歯信号波形の負の部分を用いディスプレイ素子の充電を達成することを特徴とする駆動方法。
【請求項28】
請求項25に記載された駆動方法であって、電圧を変えるステップbにおいて、上記鋸歯信号波形の正の部分を用いディスプレイ素子の放電を達成することを特徴とする駆動方法。
【請求項29】
周辺エリアと中央エリアとを備えるエレクトロクロミックディスプレイ素子の充電方法であって、
a)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子に駆動信号を印加し、
b)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子への上記駆動信号を変えて、上記周辺エリアと上記中央エリアの間の発色の一様性を、一定駆動信号を用いて得られる一様性よりも高くする
充電方法。
【請求項30】
請求項29に記載された充電方法であって、上記駆動信号は電圧駆動信号であることを特徴とする充電方法。
【請求項31】
請求項29に記載された充電方法であって、上記駆動信号は電流駆動信号であることを特徴とする充電方法。
【請求項32】
請求項29に記載された充電方法であって、さらに、
c)上記周辺エリアで充電レベルを検出して充電が充分であるかを決定する
ことを特徴とする充電方法。
【請求項33】
請求項29に記載された充電方法であって、さらに、
d)上記周辺エリアでの充電レベルを検出して、安全な充電レベルが越えられたかを否かを決定する
ことを特徴とする充電方法。
【請求項34】
ディスプレイ素子の駆動方法であって、
a)上記ディスプレイ素子に駆動信号を印加して、上記ディスプレイ素子を充電し、
b)上記ディスプレイ素子を検出して、上記ディスプレイ素子の充電レベルを決定し、
c)上記ディスプレイ素子の充電レベルがあらかじめ決められた充電範囲を越えたかを決定し、
d)上記ディスプレイ素子の充電レベルが上記充電範囲を越えたとき、上記駆動信号を変える
駆動方法。
【請求項35】
請求項34に記載された駆動方法であって、ステップcにおける決定は、上記ディスプレイ素子の電圧監視を用いて達成されることを特徴とする駆動方法。
【請求項36】
請求項34に記載された駆動方法であって、ステップdにおける駆動信号の変更は、上記駆動信号の電圧を変えることにより達成されることを特徴とする駆動方法。
【請求項37】
請求項34に記載された駆動方法であって、ステップdにおける駆動信号の変更は、上記駆動信号の上記タイミングを変えることにより達成されることを特徴とする駆動方法。
【請求項38】
請求項37に記載された駆動方法であって、上記タイミングは上記ディスプレイ素子の充電速度により変わることを特徴とする駆動方法。
【請求項39】
周辺エリアと中心エリアを備えるディスプレイ素子の駆動方法であって、
a)上記ディスプレイ素子に駆動信号を印加し、
b)上記駆動信号を変えて、上記周辺エリアから上記電荷の一部を除き、
c)上記周辺エリアで電荷を検出して、上記ディスプレイ素子での全体の電荷の尺度を得る
駆動方法。
【請求項40】
請求項39に記載された駆動方法であって、前記駆動信号は電圧信号であることを特徴とする駆動方法。
【請求項41】
請求項40に記載された駆動方法であって、ステップbでの駆動信号の変化は、充電しきい値より低い電圧レベルを用いて達成されることを特徴とする駆動方法。
【請求項42】
時間とともに変わるインピーダンスを有するディスプレイ素子のためのドライバであって、
a)上記ディスプレイ素子の時間とともに変わるインピーダンスに実質的に整合する制御電圧を生成する制御回路と、
b)上記制御電圧により制御される波形生成器を含む可変電圧駆動回路と
からなるドライバ。
【請求項43】
請求項42に記載されたドライバであって、上記制御回路は、上記ディスプレイ素子へのほぼ一定の電流信号を生じる制御電圧を生成することを特徴とするドライバ。
【請求項44】
エレクトロクロミックディスプレイ素子のためのドライバであって、
a)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子への印加のため、時間とともに変わる波形を作るドライバ回路と、
b)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子での電圧を測定する検出素子と、
c)上記エレクトロクロミックディスプレイ素子で測定された上記電圧によって上記ドライバ回路を制御する制御回路と
からなるドライバ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−532055(P2008−532055A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540827(P2007−540827)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/IE2005/000127
【国際公開番号】WO2006/051516
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(504000096)エヌテラ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】NTERA LIMITED
【Fターム(参考)】