説明

ディスプレイ用光学フィルタ

【課題】クリア感を維持しつつハードコート層の干渉ムラを抑え、粘着加工直後から粘着特性を得られるディスプレイ用光学フィルタを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムとメッシュ状の電磁波遮蔽層とハードコート層とジイモニウム塩化合物を含む近赤外線吸収性粘着層とを備える。ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂75〜99質量部、光重合開始剤0.5〜10質量部、金属酸化物粒子0.5〜20質量部含み、厚み8〜14μm、Ra0.08〜0.12μmである。電磁波遮蔽層の厚みは2〜8μmである。近赤外線吸収性粘着層は、変性(メタ)アクリル系重合体80〜95質量部、重合性不飽和基を有するカルボン酸成分5〜20質量部、ジイモニウム塩化合物1.0〜2.5質量部、光重合開始剤0.5〜1.0質量部、シラン化合物1.0〜2.0質量部含み、紫外線により硬化させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル等の電子ディスプレイパネルのハードコート機能、電磁波遮蔽機能、近赤外線吸収機能を有するディスプレイ用光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高度情報化社会において、電子ディスプレイ等の光エレクトロニクス機器はテレビジョンやパーソナルコンピュータのモニター用等として著しい進歩を遂げ、広く普及している。中でもプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)は電子ディスプレイパネルの大型化や薄型化に伴って注目を浴びているが、動作原理上発せられる近赤外線や、電磁波によってリモートコントロール機器等の周辺機器の誤動作を引き起こしたり、人体に悪影響を及ぼすといった問題がある。また、薄型化や軽量化のためには種々の機能の複合化や部材点数の削減をしなければならないという問題もある。
【0003】
これらの問題を解決する手段の一つとして、透明基材フィルムの一方の面に形成した金属メッシュ状の電磁波遮蔽層の上に、ハードコート層や反射防止層を付与し、透明基材フィルムの他方の面に近赤外線吸収層や粘着層を付与した光学フィルタが知られている(特許文献1)。一方、特定のジイモニウム塩化合物を含む近赤外線吸収層と粘着層とを複合化した近赤外線吸収性粘着層を備える光学フィルタも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−139839号公報
【特許文献2】特開2010−18773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような光学フィルタは、ハードコート層の光の干渉により、干渉ムラが悪いという問題があった。また、特許文献2では所望の粘着特性を得るために約7日間のエイジングが必要な熱硬化系の粘着剤を使用しているため、粘着加工直後に所望の粘着特性を得ることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、クリア感を維持しつつ、ハードコート層の干渉ムラを抑え、粘着加工直後であっても所望の粘着特性を得ることができるとともに、耐久性能の良好なディスプレイ用光学フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、第1の発明は、透明基材フィルムの一方の面に形成されたメッシュ状の電磁波遮蔽層と、該電磁波遮蔽層の上に積層されたハードコート層と、前記透明基材フィルムの他方の面に積層された、下記一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物を含む近赤外線吸収性粘着層とを備えるディスプレイ用光学フィルタであって、前記ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)との合計を100質量部としたとき、a1:活性エネルギー線硬化型樹脂を75〜99質量部、a2:光重合開始剤を0.5〜10質量部、a3:金属酸化物粒子を0.5〜20質量部含み、該ハードコート層の厚みが8μm〜14μm、表面粗さ(Ra)が0.08μm〜0.12μmであり、前記電磁波遮蔽層の厚みが2μm〜8μmであり、前記近赤外線吸収性粘着層が、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性不飽和基を有するカルボン酸成分(b2)との合計を100質量部としたとき、b1:変性(メタ)アクリル系重合体を80〜99質量部、b2:重合性不飽和基を有するカルボン酸成分を1〜20質量部含み、さらにc1:前記ジイモニウム塩化合物を1.0〜2.5質量部、c2:光重合開始剤を0.5〜1.0質量部、c3:シラン化合物を1.0〜2.0質量部含み、紫外線により近赤外線吸収性粘着層を硬化させてなることを特徴とする。
【化1】


(一般式(1)において、Xはヘキサフルオロアンチモン酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンであり、R1〜R8は、炭素数4〜9の環状アルキル基を有するアルキレン基、またはアルコキシ基を有するアルキレン基を表わす。)
【0008】
第2の発明は、第1の発明のディスプレイ用光学フィルタの前記赤外線吸収性粘着層を介してガラス板が貼合されている、ディスプレイ用光学フィルタである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学フィルタによれば、ハードコート層や電磁波遮蔽層を上記構成とすることで、ハードコート層のクリア感を維持しつつ、干渉ムラを抑制することができる。また、近赤外線吸収性粘着層は紫外線を照射することにより硬化可能であるため、近赤外線吸収性粘着層の形成後にエイジングを行うことなく粘着加工直後から所望の粘着特性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。本発明の光学フィルタは、透明基材フィルムの一方の面に形成された電磁波遮蔽層と、該電磁波遮蔽層の上に積層されたハードコート層と、前記透明基材フィルムの他方の面に積層された近赤外線吸収性粘着層とを備えて成る。
【0011】
<透明基材フィルム>
透明基材フィルムは、各層を積層するための透明なフィルム状の基材であって、透明性を有している限り特に制限されないが、光の反射を抑えるため屈折率(n)が1.55〜1.70の範囲内のものが好ましい。このような透明基材フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET、n=1.65)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC、n=1.59)、ポリアリレート(PAR、n=1.60)及びポリエーテルスルフォン(PES、n=1.65)等が好ましい。これらのうち、ポリエステルフィルム特にポリエチレンテレフタレートフィルムが成形の容易性で好ましい。
【0012】
透明基材フィルムの厚みは、好ましくは25〜400μm、さらに好ましくは50〜200μmである。透明基材フィルムの厚みが25μmより薄い場合や400μmより厚い場合には、近赤外線遮蔽フィルムの製造時及び使用時における取り扱い性が低下して好ましくない。なお、透明基材フィルムには、各種の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤として例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤等が挙げられる。
【0013】
<電磁波遮蔽層>
電磁波遮蔽層は、透明基材フィルムの一方の面に導電性金属をメッシュ状に形成してなり、PDPから発せられる電磁波を遮蔽する機能と、ハードコート層を介して光学フィルタの表面に凹凸をつけて干渉ムラを抑える機能を持つ層である。電磁波遮蔽層は、例えば、(1)銀ペーストインキを所定のメッシュパターンにスクリーン印刷し、これを焼成したもの、(2)パラジウム等の触媒を含有するペーストを所定のメッシュパターンに印刷した後、このメッシュパターンに銅等の金属をめっきしたもの、(3)蒸着法、スパッタ法等により銀、アルミニウム等の導電性物質をメッシュパターンに形成したもの、(4)銅等の金属めっき層にエッチングを施してメッシュパターンとしたもの、(5)銅等の金属箔にエッチングを施してメッシュパターンとしたもの、(6)繊維の表面に金属をめっきしたメッシュパターンを透明基材フィルム上に貼り付けたもの等を用いることができる。
【0014】
電磁波遮蔽層のシート(表面)抵抗は、1Ω/□以下が好ましく、特に好ましくは0.1Ω/□以下である。シート抵抗が低いほど電磁波に対する遮蔽性が高く好ましいが、製造上0.01Ω/□程度が下限である。
【0015】
電磁波遮蔽層からなるメッシュのピッチは、50〜500μmの範囲が好ましく、200〜400nmの範囲がより好ましい。メッシュのピッチが50μm未満の場合、透過率が低下する傾向にあり、500μmを超える場合、導電性が低下する傾向があり好ましくない。
【0016】
メッシュの線幅は、1〜50μmの範囲が好ましく、5〜30μmの範囲がより好ましい。メッシュの線幅が1μm未満の場合、電磁波に対する遮蔽性が低下する傾向にある。一方、線幅が50μmを超える場合、ディスプレイ用光学フィルタの透過率が低下する傾向にある。
【0017】
メッシュの開口率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。メッシュの開口率が高いほど透過率が高く好ましいが、製造上98%程度が上限である。
【0018】
メッシュの厚みは2μm〜8μmが好ましく、3μm〜7μmの範囲がより好ましい。メッシュの厚みが2μm未満の場合、十分な電磁波に対する遮蔽性が得られず、且つ、ハードコート層の凹凸(表面粗さ)が得られないため干渉ムラを抑えられない。8μmを超える場合、ハードコート層の凹凸(表面粗さ)が大きくなり過ぎて光学フィルタのクリア感が損なわれるため好ましくない。
【0019】
<ハードコート層>
ハードコート層はPDPの視認側最表面に位置し、傷防止のための層である。ハードコート層は活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)とを含む。ハードコート層の厚みは8μm〜14μmであり、9μm〜12μmが好ましい。ハードコート層の厚みが8μm〜14μmであれば、ハードコート層の表面すなわち光学フィルタの表面が、電磁波遮蔽層の凹凸の影響を受けた適切な表面粗さとなる。ハードコート層の厚みが8μm未満の場合、メッシュ(電磁波遮蔽層)の凹凸に追随してハードコート層の表面粗さが大きくなり過ぎ、光学フィルタのクリア感が損なわれる。一方、ハードコート層の厚みが14μmを超える場合、クリア感の高いハードコート層が得られるが、メッシュの凹凸の影響が小さくハードコート層の表面粗さが小さくなり過ぎて干渉ムラが強くなるため好ましくない。
【0020】
ハードコート層の表面粗さRaは0.08μm〜0.12μmであり、好ましくは、0.09μm〜0.11μmである。表面粗さRaが0.08μm未満の場合、ハードコート層の干渉ムラが強くなり、ハードコート層の表面粗さRaが0.12μmを超える場合、ハードコート層のクリア感が損なわれるため好ましくない。なお、本発明における表面粗さRaとは、JIS B0601−1994で規定される算術平均粗さを意味する。
【0021】
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)とを含む重合性バインダー塗布液を塗布硬化して形成される。重合性バインダー塗布液の粘度は、20℃において10〜30mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、12〜20mPa・sである。粘度が10mPa・sより低い場合、クリア感の高いハードコート層が得られる一方、干渉ムラが強くなるため好ましくない。粘度が30mPa・sを超える場合、格子状のメッシュに追随した凹凸が大きくなり過ぎ、クリア感がなくなるため好ましくない。
【0022】
重合性バインダー塗布液の固形分濃度は、20〜80質量%の範囲が好ましく、30〜70質量%の範囲がより好ましく、特に40〜50質量%の範囲が好ましい。ここで、重合性バインダー塗布液中の固形分としては、溶剤以外の活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)、光重合開始剤(a2)、及び金属酸化物粒子(a3)のほか、その他の添加剤等を含む。重合性バインダー塗布液の粘度調整や塗布後の表面レベリングのために、反応を阻害しない限り、溶剤を含有させても良い。該溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
【0023】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を重合性バインダー塗布液中にさらに添加することができる。そのようなその他の成分としては、例えば重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、帯電防止材、分散剤、消泡剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
【0024】
重合性バインダー塗布液の塗布方法は特に制限されず、ロールコート法、コイルバー法、ダイコート法等、一般的なウェットコート法が採用される。ハードコート層は、塗布された重合性バインダー塗膜に対して、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射や、必要に応じてさらに加熱することで硬化させて形成される。
【0025】
<a1:活性エネルギー線硬化樹脂>
活性エネルギー線硬化樹脂は、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる樹脂であり、その種類は特に制限されない。具体的には、例えば単官能(メタ)アクリレート(ここで、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味する。)、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
活性エネルギー線硬化性多官能アクリレートとしては特に制限されず、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコールのアクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリウレタンアクリレート等が好ましい。
【0027】
単官能(メタ)アクリレートとしては特に制限されず、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等が好ましい。これら活性エネルギー線硬化樹脂は一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を混合することもできる。
【0028】
活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)との合計を100質量部としたとき、75〜99質量部含み、好ましくは80〜95質量部含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)の含有量が75質量部未満の場合、ハードコート層のクリア感が損なわれる。一方、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)の含有量が99質量部を超える場合、十分に硬化することができないため好ましくない。
【0029】
<a2:光重合開始剤>
光重合開始剤(a2)としては、活性エネルギー線照射による重合開始能を有するものであれば何れでもよい。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は一種のみ単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
【0030】
光重合開始剤(a2)の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)との合計を100質量部としたとき、0.5〜10質量部含み、好ましくは1〜7質量部含むことが好ましい。光重合開始剤(a2)の含有量が0.5質量部未満の場合、十分に硬化を促進することができない。一方、光重合開始剤(a2)の含有量が10質量部を超える場合、未反応の光重合開始剤が存在し、塗膜強度が弱くなるため好ましくない。
【0031】
<a3:金属酸化物粒子>
金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、五酸化アンチモン、アンチモンドープ酸化錫、リンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、シリカ等が挙げられる。金属酸化物粒子の平均粒子径は2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは3nm〜300nm、さらに好ましくは5nm〜100nmである。平均粒子径が2nm未満の場合、粒子自体が凝集やすくなる。その結果、凝集した樹脂被覆金属酸化物粒子が得られ、ハードコート層の透明性、強度、基材との密着性等が不充分となる。一方、平均粒子径が1000nmを超える場合も、ハードコート層の透明性、強度、基材との密着性等が不充分となるため好ましくない。本発明における金属酸化物粒子の平均粒子径は、nanotracUPA−EX150〔日機装(株)製の粒度分布測定機〕を用いて動的光散乱理論/周波数マトリックス解析法(FFT法)により測定した。
【0032】
金属酸化物粒子の存在も、ハードコート層の表面粗さに影響する。金属酸化物粒子(a3)の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)との合計を100質量部としたとき、0.5〜20質量部含み、好ましくは1〜15質量部含むことが好ましい。金属酸化物粒子(a3)の含有量が0.5質量部未満の場合、ハードコート層の表面粗さが小さくなり干渉ムラが強くなる傾向にある。一方、金属酸化物粒子(a3)の含有量が20質量部を超える場合、ハードコート層の表面粗さが大きくなり過ぎクリア感が損なわれる傾向があるため好ましくない。
【0033】
<近赤外線吸収性粘着層>
近赤外線吸収性粘着層は、近赤外線吸収機能と粘着機能とを併せ持った機能層である。近赤外線吸収性粘着層は、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)、重合性不飽和基を有するカルボン酸成分(b2)、ジイモニウム塩化合物(c1)、光重合開始剤(c2)、及びシラン化合物(c3)を含み、紫外線の照射により硬化して形成される。
【0034】
近赤外線吸収性粘着層の厚みは10〜30μmが好ましく、15〜25μmがさらに好ましい。10μm未満であると、近赤外線吸収性粘着層を介して貼合する際に接着性が劣るため好ましくない。一方、30μmより厚いとハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
【0035】
近赤外線吸収性粘着層を透明基材上に設ける方法としては、近赤外線吸収性粘着剤をウェットコート法により塗布する方法であれば特に制限されず、例えばグラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。近赤外線吸収性粘着層には本発明の効果を損なわない範囲において、例えば、紫外線吸収剤、色補正色素、酸化防止剤等のその他の成分を有していても良い。
【0036】
<b1:変性(メタ)アクリル系重合体>
変性(メタ)アクリル系重合体(b1)は、(メタ)アクリル系モノマーの繰り返し単位を含んでなる。(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸の他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩類;(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;等が挙げられるが、中でもエチルアクリレート、ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが好ましく、エチルアクリレートまたはブチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが更に好ましく、エチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが特に好ましい。これらの繰り返し単位を含ませることによって、良好な粘着性能を発揮させることが可能となるからである。
【0037】
また、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)は、主鎖が1種の(メタ)アクリル系モノマー単位のみを含む単独重合体であってもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系モノマー単位を含む共重合体であってもよいが、粘着剤組成物とした際に、その塗膜(粘着剤層)の物性を精密に調整することが容易であるという理由から、2種以上の(メタ)アクリル系モノマー単位を含む共重合体であることが好ましい。また、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の主鎖は好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、最も好ましくは全てが(メタ)アクリルモノマー単位によって構成されていることが最も好ましい。(メタ)アクリル系モノマー単位の含有率が50質量%未満であると、色補正粘着組成物の粘着性能が低下する傾向があるため好ましくない。
【0038】
また、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)は、側鎖に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基を有するものである。これにより、紫外線照射によってその重合体同士が架橋されるため、紫外線硬化性が発現されるとともに、粘着剤層を剥離した際に被着体への糊残りが少なく被着体を汚染し難いという好ましい効果が発揮される。
【0039】
(メタ)アクリロイル系官能基の好ましい含有量は、主鎖の構造、重量平均分子量、ガラス転移温度、粘着物性等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)100g当たり0.1〜100mmolであることが好ましく、0.3〜50mmolであることが更に好ましく、1〜40mmolであることが特に好ましい。例えば、重量平均分子量が300,000程度の変性(メタ)アクリル系重合体(b1)であれば、(メタ)アクリロイル系官能基を重合体1分子当たり0.33〜330個有しているものが好ましく、1.0〜165個有しているものが更に好ましく、3.3〜132個有しているものが特に好ましい。この含有量が0.1mmol/100gより少ない場合には、(メタ)アクリロイル系官能基による変性効果(具体的には、紫外線硬化性、高耐候性、被着体への糊残りが少ない等の効果)が十分に得られなくなるおそれがある。その一方、100mmol/100gより多い場合には、重合体組成等によっても異なるが、高粘度とそれに伴う塗工不良を招く傾向がある。
【0040】
変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は、200,000〜1,000,000であり、300,000〜800,000であることが好ましい。重量平均分子量を200,000〜1,000,000の範囲内に設定することにより、光重合開始剤との混和性が良好で且つ均一な組成物となって粘着剤層が良好な粘着特性とその持続性を発現することができると共に、被着体への糊残りが少なく被着体を汚染し難くなる。重量平均分子量が200,000を下回る場合には、粘着剤層を形成した際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する結果を招く。その一方、1,000,000を上回る場合には光重合開始剤との混和性が不良となって粘着剤層の良好な粘着特性を発揮することができなくなる。なお、本明細書において「重量平均分子量(Mw)」というときは、GPC−LS法(Gel Permeation Chromatography−Light Scattering Method:GPC−光散乱法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
【0041】
変性(メタ)アクリル系重合体(b1)のガラス転移温度は、−55〜0℃である。ガラス転移温度をこの範囲内に設定することによって、粘着剤組成物を調製した際に良好な粘着性能を発現することができる。ガラス転移温度が0℃より高くなると、粘着剤組成物を調製した際に粘着強度が低下する傾向を示す。一方、−55℃より低くなると、粘着剤組成物を調製した際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する傾向がある。なお、本明細書において「ガラス転移温度」というときは、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定されたガラス転移温度を意味するものとする。
【0042】
変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の製造方法は特に限定されず、例えば基本骨格となる(メタ)アクリル系重合体に対して化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基を導入する方法(化学修飾法)等の従来公知の方法を用いることができる。
【0043】
変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の好ましい含有量は、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の構造、光重合開始剤(c2)の種類、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性不飽和基を有するカルボン酸成分(b2)との合計を100質量部とした場合に80〜99質量部であり、85〜98質量部であることが好ましく、90〜97質量部であることが特に好ましい。この含有量が80質量部より少ないと、粘着剤層の粘着力が低下する傾向がある。一方、99質量部より多いと、重合性不飽和基を有するカルボン酸(b2)成分その他のモノマーを用いる際にそれらの単量体との混和性が低下する傾向がある。なお、粘着剤組成物を構成する各成分の含有量は、固形分に基づくものである。
【0044】
<b2:重合性不飽和基を有するカルボン酸>
重合性不飽和基を有するカルボン酸(b2)とは、重合性二重結合または重合性三重結合を有するカルボン酸を意味する。重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマーを含有させることにより、被着体に対する密着性が向上するとともに、熱架橋剤を使用しなくとも(粘着物性の発現に養生が不要)、耐熱・耐湿熱条件下においても粘着特性が低下し難い粘着剤組成物を得ることができる(無養生性)。具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等を挙げることができる。
【0045】
重合性不飽和基を有するカルボン酸(b2)の好ましい含有量は、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の構造、光重合開始剤(c2)の種類、被着体の種類、要求される粘着特性等によって異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性不飽和基を有するカルボン酸(b2)の合計を100質量部とした場合に1〜20質量部であり、2〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることが特に好ましい。この含有量が1質量部未満であると、粘着剤層の粘着耐久性が低下する傾向がある一方、20質量部を超えると、再剥離時の糊残りが多くなる傾向がある。また、光学特性に大きな影響を与えない範囲であれば、重合性不飽和基を有するカルボン酸(b2)以外の重合性不飽和基を有する化合物を加えてもよい。
【0046】
<c1:ジイモニウム塩化合物>
本実施形態におけるジイモニウム塩化合物(c1)は近赤外線吸収色素であり、下記一般式(1)で表される。
【化2】

【0047】
一般式(1)において、Xはヘキサフルオロアンチモン酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンである。これらは耐熱性能と耐湿熱性能を高められるので好ましい。また、一般式(1)において、R1〜R8は、炭素数4〜9の環状アルキル基を有するアルキレン基、またはアルコキシ基を有するアルキレン基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い。これらは微粒子状態を形成しやすくして耐熱性能を向上させることができる点で好ましい。このような環状アルキル基を有するアルキレン基としては、例えばシクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基、ベンジル基、フェニルプロピル基等が挙げられるが、これらの中では耐熱性能を向上させられる点でシクロヘキシルメチル基とシクロヘキシルエチル基が好ましい。一方、アルコキシ基を有するアルキレン基としては、例えばn−プロピルオキシメチル基、n−プロピルオキシエチル基、イソプロピルオキシメチル基、イソプロピルオキシエチル基、sec−ブトキシメチル基、sec−ブトキシエチル基、sec‐ブトキシプロピル基、tert−ブトキシメチル基、tert−ブトキシエチル基、tert‐ブトキシプロピル基等が挙げられるが、これらの中では耐熱性能の観点からイソプロピルオキシメチル基、イソプロピルオキシエチル基が好ましい。
【0048】
本実施形態におけるジイモニウム塩化合物(c1)としては、ビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロアルキル)アルキルアミノフェニル]−p−フェニレンジアミンとビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(アルコキシアルキル)アルキルアミノフェニル]−p−フェニレンジアミンが合成の容易性や耐久性能を高めることができる点で好ましい。
【0049】
ビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロアルキル)アルキルアミノフェニル]−p−フェニレンジアミンの具体例としては、例えばビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロヘキシルメチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン、ビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロヘキシルメチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン、ビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン等が挙げられるが、これらの中ではビス(ヘキサフルオロリン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミンが耐久性能を最も高めることができるため好ましい。
【0050】
一方、ビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(アルコキシアルキル)アルキルアミノフェニル]−p−フェニレンジアミンの具体例としては、例えばビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(イソプロピルオキシエチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン、ビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(イソプロピルオキシメチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン、ビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(tert‐ブトキシメチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中ではビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)−N,N,N’,N’−テトラキス[p−ジ(イソプロピルオキシエチル)アミノフェニル]−p−フェニレンジアミンが耐久性能を最も向上させることができるため好ましい。
【0051】
本実施形態においてはジイモニウム塩化合物(c1)を粘着層中において微粒子分散状態で存在させることが好ましい。これにより耐久性能を格段に高めることができる。このジイモニウム塩化合物(c1)は、平均粒子径が0.001〜0.1μmの微粒子分散状態で存在し、平均粒子径が0.005〜0.030μmの微粒子分散状態で存在することが好ましい。平均粒子径が0.1μmを超えると光の散乱により白ボケを生ずるため不適当であり、平均粒子径が0.001μm未満であると溶解により耐久性能を十分に発現することができないという弊害がある。尚、ここでの平均粒子径とは、nanotracUPA−EX150〔日機装(株)製の粒度分布測定機〕を用いて動的光散乱理論/周波数マトリックス解析法(FFT法)により測定した値のことをいう。
【0052】
ジイモニウム塩化合物(c1)の分散方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。例えば、有機溶剤にジイモニウム塩化合物を少量ずつ撹拌しながら添加してゆき、ガラスビーズを加えてペイントシェイカーで物理的に粉砕する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0053】
ジイモニウム塩化合物(c1)の含有量は、粘着層を構成する成分の合計(b1+b2)100質量部に対して1.0〜2.5質量部である。該近赤外線吸収色素の含有量が1.0〜2.5質量部であれば実用上近赤外線吸収能と可視光線の透過率が良好な近赤外線吸収性粘着剤を得ることができる。近赤外線吸収色素の含有量が1.0質量部より少ない場合には近赤外線吸収能を十分に発揮することができないため不適当であり、含有量が2.5質量部より多い場合には近赤外線吸収性粘着剤の粘着性能が低下する等の傾向を示すという弊害がある。
【0054】
<c2:光重合開始剤>
光重合開始剤(c2)としては、ハードコート層用の光重合開始剤(a2)と同様に、紫外線照射による重合開始能を有するものであれば何れでもよい。光重合開始剤(c2)の好ましい含有量は、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の構造、光重合開始剤(c2)の種類、被着体の種類、要求される粘着特性等によって異なるが、前記粘着層を構成する成分の合計(b1+b2)100質量部に対して0.5〜1.0質量部であり、0.5〜0.8質量部であることが好ましく、0.5〜0.7質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.5質量部より少ないと、光重合開始剤(c2)としての作用が十分に発揮されなくなるおそれがある。一方、1.0質量部より多いと、光重合開始剤(c2)の残留により色素の退色を招き、色補正の性能が低下する傾向がある。
【0055】
<c3:シラン化合物>
シラン化合物(c3)を配合することにより、ガラス等の被着体との接合用途において良好な粘着性を発揮させることができる。また、シラン化合物を含有することにより、重合性不飽和基含有カルボン酸(b2)の量が少ない場合でも、耐熱・耐湿熱条件下においても粘着特性が低下し難い粘着組成物を得ることができる。
【0056】
シラン化合物(c3)としては、一般的に「シランカップリング剤」と称されているものを広く用いることができる。具体的な化合物としては、アルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。プラズマディスプレイの前面板等、ガラス基材に対する密着性を向上させるという理由から、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基等の官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)の商品名:KBM−403等〕、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびβ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
シラン化合物(c3)の含有量は、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)の重合体の構造、被着体の種類、要求される粘着特性等によっても異なるが、粘着層を構成する成分の合計(b1+b2)100質量部に対して、1.0〜2.0質量部である。この含有量が1.0質量部未満であると、ガラス等の被着体との接合用途において粘着性が不十分となる場合がある。一方、2.0質量部を超えると、再剥離時に糊残りが発生するおそれがある。前記の効果をより確実に得るためには、シラン化合物(c3)の含有量を1.2〜1.5質量部とすることが好ましい。
【0058】
このような構成の光学フィルタは、近赤外線吸収性粘着層を介して直接PDP等へ貼着することができる。また、近赤外線吸収性粘着層を介してガラス板を貼合した光学フィルタとしたうえで、PDP等へ組み込むこともできる。
【実施例】
【0059】
以下に実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
<変性(メタ)アクリル系重合体b1−1の調製>
2Lフラスコにアクリル系共重合体〔根上工業(株)製の商品名:パラクロンAW4500H、固形分濃度40%/トルエン、ブチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位、メチルメタクリレート単位、ヒドロキシブチルアクリレート単位、及びヒドロキシエチルアクリレート単位を含む。重量平均分子量は330,000、ガラス転移温度は−8℃。水酸基含有量はアクリル系共重合体100質量部当たり15mmol(アクリル系共重合体1分子当たり50個)。〕586質量部、酢酸エチル890質量部、反応触媒としてジブチル錫ラウレート0.3質量部を加え、撹拌しながら40℃に加熱した。続いて、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製の商品名:カレンズMOI)1.8質量部を酢酸エチル120質量部に溶解し、前記フラスコ内の温度を40℃に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液の滴定分析によりイソシアネート基の消失を確認するまで40℃で5時間反応を継続することにより変性(メタ)アクリル系重合体b1−1を得た(重量平均分子量は331,000、ガラス転移温度は−8℃)。
【0060】
<アクリル樹脂組成物b1−2の調製>
n‐ブチルアクリレート95.0質量部、アクリル酸4.5質量部、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート1・0質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4質量部、酢酸エチル90質量部、トルエン60質量部を混合し、窒素雰囲気下で混合物を65℃に加温して10時間重合反応を行い、アクリル樹脂組成物b1−2を調製した。
【0061】
(実施例1)
二軸延伸ポリエステルフィルム〔東洋紡績(株)の商品名:A4300〕のフィルムの表面に銅のパターンが線幅20μm、ピッチ250μm、厚み5μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、亜鉛-ニッケル合金メッキにて表面を被覆してメッシュ状の電磁波遮蔽層を得た。メッシュ状の電磁波遮蔽層の表面に6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕93質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907(I−907)〕3質量部と、アンチモンドープ酸化錫微粒子(平均粒子径:0.02μm)4質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が8μmになるようにバーコーターで塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層を得た。次に、変性(メタ)アクリル系重合体b1−1を固形分換算で85.0質量部、アクリル酸〔大阪有機化学工業(株)の商品名:98%アクリル酸〕15.0質量部、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)の商品名:イルガキュア819(I−819)〕0.7質量部、3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)の商品名:KBE‐9007〕1.5質量部、ビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(イソプロピルオキシエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンのトルエン分散液(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.015μm)43.0質量部(固形分換算で2.2質量部)、テトラアザポルフィリン化合物〔山本化成(株)の商品名:PD‐320〕0.18質量部、及び固形分濃度が27質量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)を加え攪拌した。これをセパレートフィルム〔東洋紡績(株)の商品名:E7002〕にアプリケーターにより乾燥膜厚が15μmとなるように塗布後、65℃で2分間乾燥した。高圧水銀ランプにより80mJ/cmの紫外線を照射して近赤外線吸収性粘着層を形成した。そして、ポリエステルフィルムの裏面に近赤外線吸収性粘着層を貼合して、実施例1の光学フィルタを得た。
【0062】
(実施例2)
厚み6μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕90質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕3質量部と、アンチモンドープ酸化錫微粒子(平均粒子径:0.02μm)7質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を得た。また、変性(メタ)アクリル系重合体b1−1を固形分換算で93.0質量部、アクリル酸〔大阪有機化学工業(株)の商品名:98%アクリル酸〕7.0質量部、光重合開始剤〔BASF(株)の商品名:ルシリンTPO〕0.5質量部、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)の商品名:KBM‐403〕1.2質量部、ビス(ヘキサフルオロリン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンのトルエン分散液(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.012μm)40.0質量部(固形分換算で2.0質量部)、テトラアザポルフィリン化合物〔山田化学工業(株)の商品名:TAP‐2〕0.34質量部とした以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0063】
(実施例3)
厚み6μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕87質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア184(I−184)〕3質量部と、アンチモンドープ酸化錫微粒子(平均粒子径:0.02μm)10質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が12μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を得た。次に、変性(メタ)アクリル系重合体b1−1を固形分換算で90.0質量部、アクリル酸〔大阪有機化学工業(株)の商品名:98%アクリル酸〕10.0質量部、光重合開始剤〔BASF(株)の商品名:ルシリンTPO〕0.5質量部、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)の商品名:KBM‐403〕1.0質量部、ビス(ヘキサフルオロリン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(シクロヘキシルメチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンのトルエン分散液(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.012μm)26.0質量部(固形分換算で1.3質量部)、テトラアザポルフィリン化合物〔山田化学工業(株)の商品名:TAP‐2〕0.21質量部、及び固形分濃度が27質量%となるようにMEKを加え攪拌した。これをセパレートフィルム〔東洋紡績(株)の商品名:E7002〕にアプリケーターにより乾燥膜厚が25μmとなるように塗布後、65℃で2分間乾燥した。高圧水銀ランプにより160mJ/cmの紫外線を照射して近赤外線吸収性粘着層を得た。そして、基材フィルムの裏面に近赤外線吸収性粘着層を貼合して、実施例3の光学フィルタを得た。
【0064】
(実施例4)
厚み5μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア184〕3質量部と、アンチモン酸亜鉛微粒子(平均粒子径:0.04μm)7質量部と、メチルエチルケトン2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が11μmとなるように塗布してハードコート層を得た以外は、実施例1と同様にして実施例4の光学フィルタを得た。
【0065】
(実施例5)
厚み3μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕37質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕3質量部と、アンチモン酸亜鉛微粒子(平均粒子径:0.04μm)10質量部と、メチルエチルケトン2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が8μmとなるように塗布してハードコート層を得た以外は、実施例2と同様にして実施例5の光学フィルタを得た。
【0066】
(実施例6)
厚み5μmの銅メッキのメッシュ状パターンを形成し、6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕70質量部と、ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック(株) 製の製品名:EBECRYL600)20質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕3質量部と、アンチモン酸亜鉛微粒子(平均粒子径:0.04μm)7質量部と、メチルエチルケトン2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を乾燥膜厚が10μmとなるように塗布してハードコート層を得た以外は、実施例3と同様にして実施例6の光学フィルタを得た。
【0067】
(比較例1)
6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕97質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕3質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合し、金属酸化物粒子を含有しない重合性バインダー塗布液を使用した以外は、実施例2と同様にしてハードコート層及び電磁波遮蔽層を得た。また、アクリル酸の代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)の商品名:ビスコート#150〕10.0質量部、4‐ヒドロキシブチルアクリレート〔日本化成(株)の商品名:4HBA〕5.0質量部を使用した以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0068】
(比較例2)
6官能ウレタンアクリレート〔日本合成化学(株)製UV−7600B〕67質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕3質量部と、アンチモンドープ酸化錫微粒子(平均粒子径:0.02μm)30質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合した重合性バインダー塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして乾燥膜厚9μmのハードコート層と膜厚8μmの電磁波遮蔽層を得た。また、光重合開始剤量を1.2質量部へ変更した以外は実施例2と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0069】
(比較例3)
ハードコート層の乾燥膜厚を4μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層及び電磁波遮蔽層を得た。また、シラン化合物を使用しなかった以外は実施例2と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0070】
(比較例4)
ハードコート層の乾燥膜厚を15μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層及び電磁波遮蔽層を得た。また、ビス(ヘキサフルオロリン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンの代わりにビス[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸]‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(n‐ブチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミン2.1質量部を使用した以外は実施例2と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0071】
(比較例5)
メッシュの厚みを2μmとした以外は、実施例2と同様にしてハードコート層を得た。また、アクリル樹脂組成物b1−2を固形分換算で100質量部、ポリイソシアネート〔日本ポリウレタン(株)の商品名:コロネートL〕1.0質量部、ビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(イソプロピルオキシ)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンのトルエン分散液(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.012μm)25.5質量部(固形分換算で1.3質量部)、テトラアザポルフィリン化合物〔山田化学工業(株)の商品名:TAP‐2〕0.20質量部、及び固形分濃度が23質量%となるようにトルエンを加え攪拌した。これをセパレートフィルム〔東洋紡績(株)の商品名:E7002〕にアプリケーターにより乾燥膜厚が25μmとなるように塗布後、90℃で2分間乾燥して近赤外線吸収性粘着層を得た。そして、基材フィルムの裏面に近赤外線吸収性粘着層を貼合して、比較例5の光学フィルタを得た。
【0072】
(比較例6)
メッシュの厚みを10μmとした以外は、実施例2と同様にしてハードコート層を得た。また、ビス(ヘキサフルオロリン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミンのトルエン分散液(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.012μm)25.5質量部(固形分換算で1.3質量部)、テトラアザポルフィリン化合物〔山本化成(株)の商品名:PD‐320〕0.11質量部とした以外は比較例5と同様にして近赤外線吸収性粘着層を得た。
【0073】
上記各実施例の構成を表1に、上記各比較例の構成を表2にまとめて示す。なお、ハードコート層及びメッシュの厚みは、作製したサンプルを透明基材フィルムに対して垂直に精密切断し、収束イオンビーム装置で断面加工した。得られた断面を直行方向から高分解能型走査電子顕微鏡〔日立ハイテクノロジーズ社製の商品名:S‐4800〕を用い、加速電圧1.5kVで観察し、ハードコート層及びメッシュの厚みを計測した。また、ハードコート層の表面粗さ(Ra)は、表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製の商品名:Surfcorder SE500〕を用い、走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994規定に準拠して表面粗さ(Ra)を測定した。
【0074】
そのうえで、得られた各実施例及び比較例の光学フィルタについて、ハードコート層の外観と近赤外線吸収性粘着層の剥離力及び糊残りについて評価した。その評価結果も表1、2に示す。なお、各評価は次のようにして行った。
【0075】
<ハードコート層の外観評価>
ハードコート層の干渉ムラの評価は、作製したサンプルを大きさ210×297mm、厚み5mmのガラス板に貼合し、その裏面に黒粘着層を施したフィルムを貼合して三波長光源下で目視観察した。干渉ムラが見えない場合を○、干渉ムラが弱く見える場合を△、ムラが強く見える場合を×とした。
【0076】
ハードコート層のクリア感の評価は、作製したサンプルを大きさ210×297mm、厚み5mmのガラス板に貼合し、蛍光灯(2000 1x)を5度の角度から映し、―5度からー45度の角度から蛍光灯の輪郭を目視観察した。蛍光灯の輪郭がぼけない場合を○、蛍光灯の輪郭がぼける場合を△、蛍光灯の輪郭が非常にぼける場合を×とした。
【0077】
<近赤外線吸収性粘着層の剥離力及び糊残り評価>
近赤外線吸収性粘着層の剥離力と糊残りの評価は、180°ピール力試験(JIS 0237‐1980)における剥離力と糊残りの有無を評価した。
【0078】
<近赤外線吸収性粘着層の耐久性能>
近赤外線吸収性粘着層の耐久性能の評価は、分光光度計〔日本分光(株)の商品名:V570〕を用いて耐熱性試験(80℃×500時間)及び耐湿熱性試験(60℃×95%RH×500時間)後の波長900nmにおける透過率の変化量を測定し評価した。変化量が3%未満の場合には○、3%以上5%未満の場合には△、5%以上の場合には×とした。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
表1に示したとおり、実施例1〜6の光学フィルタは、ハードコート層のクリア感があり且つ干渉ムラも良好であり、エイジング無しでも良好な粘着特性を示した。更には信頼性試験における光学特性も良好であった。一方、表2に示したとおり、比較例1の光学フィルタはハードコート層にアンチモンドープ酸化錫を含まないため、塗膜のクリア感はあるものの、干渉ムラが悪かった。また、近赤外線吸収性粘着層に重合性不飽和基を有するカルボン酸を使用していないため粘着加工直後の粘着特性が良好ではなかった。
【0082】
比較例2の光学フィルタはハードコート層にアンチモンドープ酸化錫を多く含むため、塗膜のクリア感が得られなかった。また、近赤外線吸収性粘着層の光重合開始剤量の影響で、信頼性試験における光学特性が良好ではなかった。比較例3の光学フィルタはハードコート層の厚みがメッシュの厚みよりも小さいため、塗膜のクリア感が得られなかった。また、近赤外線吸収性粘着層のシラン化合物がない影響で、信頼性試験における光学特性が良好ではなかった。比較例4の光学フィルタはハードコート層の厚みが大きいため、塗膜のクリア感はあるものの、干渉ムラが強かった。また、近赤外線吸収性粘着層のジイモニウム塩化合物の影響で、信頼性試験における光学特性が良好ではなかった。比較例5及び比較例6の光学フィルタはメッシュの厚みの影響でハードコート層の外観が良好ではなかった。また、近赤外線吸収性粘着層は、熱硬化系の粘着剤を使用したためエイジング無しでは粘着層の凝集力が高まりきらず糊残りが発生する結果となった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルムの一方の面に形成されたメッシュ状の電磁波遮蔽層と、該電磁波遮蔽層の上に積層されたハードコート層と、前記透明基材フィルムの他方の面に積層された、下記一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物を含む近赤外線吸収性粘着層とを備えるディスプレイ用光学フィルタであって、
前記ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂(a1)と光重合開始剤(a2)と金属酸化物粒子(a3)との合計を100質量部としたとき、
a1:活性エネルギー線硬化型樹脂を75〜99質量部
a2:光重合開始剤を0.5〜10質量部
a3:金属酸化物粒子を0.5〜20質量部
含み、
該ハードコート層の厚みが8μm〜14μm、表面粗さ(Ra)が0.08μm〜0.12μmであり、
前記電磁波遮蔽層の厚みが2μm〜8μmであり、
前記近赤外線吸収性粘着層が、変性(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性不飽和基を有するカルボン酸成分(b2)との合計を100質量部としたとき、
b1:変性(メタ)アクリル系重合体を80〜99質量部
b2:重合性不飽和基を有するカルボン酸成分を1〜20質量部
含み、さらに
c1:前記ジイモニウム塩化合物を1.0〜2.5質量部
c2:光重合開始剤を0.5〜1.0質量部
c3:シラン化合物を1.0〜2.0質量部
含み、
紫外線により近赤外線吸収性粘着層を硬化させてなることを特徴とするディスプレイ用光学フィルタ。
【化1】


(一般式(1)において、Xはヘキサフルオロアンチモン酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンであり、R1〜R8は、炭素数4〜9の環状アルキル基を有するアルキレン基、またはアルコキシ基を有するアルキレン基を表わす。)
【請求項2】
前記赤外線吸収性粘着層を介してガラス板が貼合されている、請求項1に記載のディスプレイ用光学フィルタ。

【公開番号】特開2012−133092(P2012−133092A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284536(P2010−284536)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】