説明

ディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】発光の均一性及び効率性を向上できるディスプレイ装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】相互に対向配置される前面基板120及び背面基板110と、背面基板の内面上に塗布された蛍光体層114と、前面基板の内面に相互に離隔配置された第1維持電極121a及び第2維持電極121bと、それらを埋め込む誘電体層123と、第1維持電極及び第2維持電極それぞれに対応して配列され、誘電体層上に導電性物質で形成された第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bと、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極それぞれの上に形成され、それらから流入する電子を放出させ、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる形状を有する第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bと、を具備することを特徴とする、ディスプレイ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)は、電気的放電を利用して画像を形成する装置であり、輝度や視野角などの表示性能にすぐれ、その使用が日増しに増えつつある。このようなPDPは、電極に印加される直流または交流の電圧により、この電極間でガス放電を起こし、この放電過程で発生する紫外線により、蛍光体が励起されて可視光を発散する。このようなPDPは、その放電形式により、直流型(DC type)と交流型(AC type)とに分類され、また電極の配置構造により、対向放電型と面放電型とに分類されうる。
【0003】
以下、図1を参照して、従来のPDPの構造について説明する。図1は、従来PDPの斜視図である。
【0004】
図1に示すように、従来のPDPは、相互に対向する背面基板10及び前面基板20と、該背面基板10と前面基板20と間に介在される複数の隔壁13とを備える。従って、背面基板10及び前面基板20と、隔壁13と、により覆い囲まれる空間に、放電空間15が設けられ、放電空間15内には、キセノン(Xe)のような放電ガスが充填される。隔壁13は、複数の単位放電セルを区画し、単位放電セル間の電気的、光学的クロストーク現象を防止する役割を果たす。
【0005】
従来のPDPの構造について具体的に述べれば、背面基板10の内面にアドレス電極11が設けられており、アドレス電極11は、第1誘電体層12に埋め込まれており(内面(前面基板20と対向する面)を覆われており)、第1誘電体層12上に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を含む蛍光体層14が塗布される。そして、前面基板20の内面に、第1維持電極21a及び第2維持電極21bが設けられており、第1維持電極21a及び第2維持電極21bそれぞれの上に、それらのライン抵抗を減らすための第1バス電極22a及び第2バス電極22bが設けられている。第1維持電極21a及び第2維持電極21bと第1バス電極22a及び第2バス電極22bは、第2誘電体層23に埋め込まれ(内面(背面基板10と対向する面)を覆われており)、第2誘電体層23上にMgO保護膜24が形成されている。MgO保護膜24は、プラズマスパッタリングから第2誘電体層23の損傷を防止すると同時に、プラズマ放電時に二次電子を放出し、放電電圧を下げる役割を果たす。
【0006】
かかる構造を有する従来のPDPで、放電を介して電子が持続的に供給及び加速され、加速された電子が中性粒子と衝突して励起粒子を生成する。そして、かような励起粒子が安定化しつつ紫外線を放出し、この紫外線により蛍光体が励起されて可視光を形成する。かような可視光は、前面基板20を介して出射されて画像を具現できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のPDPによれば、放電に寄与する電子放出密度が単位放電セル内で均一に分布せず、発光の均一性が低いという問題点がある。具体的に、第1維持電極及び第2維持電極の内側(各電極間の中間)周囲では、電流密度が高くて発光が強く、第1維持電極及び第2維持電極の内側から遠ざかるほど電流密度が低くなりつつ発光が弱くなる。すなわち、単位放電セル内で電界の強度分布が不均一であり、発光の強い領域と弱い領域とが共存し、その結果、放電電圧は高く、かつ放電/発光効率は、低いという問題点がある。従って、発光の均一性及び効率性を向上できるように、PDPの構造を改善する必要性があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、発光の均一性及び効率性を向上することが可能な、新規かつ改良されたディスプレイ装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、相互に対向配置される前面基板及び背面基板と、背面基板の内面上に塗布された蛍光体層と、前面基板の内面に相互に離隔して設けられた第1維持電極及び第2維持電極と、第1維持電極及び第2維持電極を埋め込む誘電体層と、第1維持電極及び第2維持電極それぞれに対応して配列され、誘電体層上に導電性物質で形成された第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極と、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極それぞれの上に形成され、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極から流入する電子を放出させ、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる形状を有する第1電子放出層及び第2電子放出層と、を具備することを特徴とする、ディスプレイ装置が提供される。
【0010】
かかる構成によれば、第1維持電極及び第2維持電極に所定の電圧をかけることにより電界が形成され、この電界によって、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極内に存在する電子は、第1電子放出層及び第2電子放出層に誘導される。第1電子放出層、第2電子放出層に誘導された電子は、第1電子放出層及び第2電子放出層内で、電界により加速され、放電空間内に放出される。この電子の放出は、第1電子放出層及び第2電子放出層を介して行われる。よって、放出される電子密度は、第1電子放出層及び第2電子放出層の形状に対応して変化する。すなわち、第1電子放出層及び第2電子放出層の形状は、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほど、その幅が小さく形成されいるので、放出される電子の密度も、この離隔間隙に近づくほど、小さくなる。よって、放電空間内に放出される電子の密度を、放電空間内で均一にすることができる。
【0011】
また、第1電子放出層及び第2電子放出層は、酸化された多孔性ポリシリコン、または酸化された多孔性非晶質シリコンで形成されてもよい。かかる構成によれば、電子が、第1電子放出層及び第2電子放出層の内部を、電子間または原子との相互作用によって、散乱されることなく、加速され、放電空間内に放出されうる。
【0012】
また、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極それぞれが、第1電子放出層及び第2電子放出層と同じ形状で形成されてもよい。かかる構成によれば、よりいっそう、放出される電子密度を、上記離隔間隙に近づくほど、小さくすることができる。
【0013】
また、導電性物質は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つであってもよい。かかる構成によれば、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極がこの導電性物質で形成されることにより、より効率的により損失を少なく、第1電子放出層及び第2電子放出層に、電子を供給することができる。
【0014】
また、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が、第1電子放出層及び第2電子放出層の形成幅によって相対的に変化してもよい。かかる構成により、放出された電子の密度を、放電空間内において均一にすることができる。
【0015】
また、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほど、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に低下してもよい。かかる構成により、放出された電子の密度を、放電空間内において均一にすることができる。
【0016】
また、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙から遠ざかるほど、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に上昇してもよい。かかる構成により、放出された電子の密度を、放電空間内において均一にすることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、相互に対向配置される前面基板及び背面基板と、背面基板の内面上に塗布された蛍光体層と、前面基板の内面に相互に離隔して設けられた第1維持電極及び第2維持電極と、第1維持電極及び第2維持電極それぞれの上に形成され、第1維持電極及び第2維持電極から流入する電子を放出させる第1電子放出層及び第2電子放出層と、第1電子放出層及び第2電子放出層を埋め込み、第1電子放出層及び第2電子放出層の上面の一部を露出させるウインドウを具備し、ウインドウの幅が第1維持電極と第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる形状で形成された誘電体層と、を具備することを特徴とする、ディスプレイ装置が提供される。
【0018】
かかる構成によれば、第1維持電極及び第2維持電極に所定の電圧をかけることにより電界が形成され、この電界によって、第1維持電極及び第2維持電極内に存在する電子は、第1電子放出層及び第2電子放出層に誘導される。第1電子放出層、第2電子放出層に誘導された電子は、第1電子放出層及び第2電子放出層内で、電界により加速され、放電空間内に放出される。この電子の放出は、第1電子放出層及び第2電子放出層の上面の一部を露出させるウィンドウを介して行われる。よって、放出される電子密度は、ウィンドウの形状に対応して変化する。すなわち、ウィンドウの形状は、第1維持電極と第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほど、その幅が小さく形成されいるので、放出される電子の密度も、この離隔間隙に近づくほど、小さくなる。よって、放電空間内に放出される電子の密度を、放電空間内で均一にすることができる。
【0019】
また、第1電子放出層及び第2電子放出層は、酸化された多孔性ポリシリコン、または酸化された多孔性非晶質シリコンで形成されてもよい。
【0020】
また、第1維持電極及び第2維持電極は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つで形成されてもよい。
【0021】
また、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が、ウインドウの形成幅によって相対的に変化してもよい。
【0022】
また、第1維持電極と第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほど、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に低下してもよい。
【0023】
また、第1維持電極と第2維持電極との間の離隔間隙から遠ざかるほど、第1電子放出層及び第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に上昇してもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、相互に対向配置される前面基板及び背面基板を準備する段階と、前面基板の内面に相互に離隔された第1維持電極及び第2維持電極を形成する段階と、第1維持電極及び第2維持電極を埋め込む誘電体層を形成する段階と、第1維持電極及び第2維持電極それぞれに対応して配列されるように、誘電体層上に導電性物質で第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極を形成する段階と、第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極それぞれの上に第1シリコン層及び第2シリコン層を形成する段階と、第1シリコン層及び第2シリコン層を陽極酸化処理し、酸化された多孔性シリコン材質の第1電子放出層及び第2電子放出層を形成する段階と、第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる形状を有するように、第1電子放出層及び第2電子放出層の所定領域を選択的にエッチングして除去する段階と、を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置の製造方法が提供される。
【0025】
また、陽極酸化処理で、フッ化水素(HF)とエタノールとを混合した溶液を利用してもよい。
【0026】
また、導電性物質は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つであってもよい。
【0027】
また、第1電子放出層と第2電子放出層との間の離隔間隔を制御し、放電開始電圧を制御てもよい。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、相互に対向配置される前面基板及び背面基板を準備する段階と、前面基板の内面に相互に離隔された第1維持電極及び第2維持電極を形成する段階と、第1維持電極及び第2維持電極それぞれの上に第1シリコン層及び第2シリコン層を形成する段階と、第1シリコン層及び第2シリコン層を陽極酸化処理し、酸化された多孔性シリコン材質の第1電子放出層及び第2電子放出層を形成する段階と、第1電子放出層及び第2電子放出層を埋め込む誘電体層を形成する段階と、誘電体層の所定領域を選択的にエッチングして除去することにより、幅が第1維持電極と第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる形状を有し、第1電子放出層及び第2電子放出層の上面の一部を露出させるウインドウを形成する段階と、を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置の製造方法が提供される。
【0029】
また、陽極酸化処理で、フッ化水素(HF)とエタノールとを混合した溶液を利用してもよい。
【0030】
また、第1維持電極及び第2維持電極は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つから形成してもよい。
【0031】
また、第1電子放出層と第2電子放出層との間の離隔間隔を制御し、放電開始電圧を制御してもよい。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、発光の均一性及び効率性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0034】
(第1の実施形態)
まず、図2A及び図2Bを参照して、本発明の第1の実施形態にかかるディスプレイ装置の構成について説明する。図2Aは、本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の構成を示す斜視図であり、図2Bは、図2AでのA−A’線における断面を示す断面図である。ここでは、本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の一例として、PDPが具現されている。
【0035】
図2A及び図2Bに共に示すように、第1実施形態によるPDPは、相互に対向配置される前面基板120及び背面基板110と、それらの間に介在されて複数の単位放電セルを区画する隔壁113とを具備する。この隔壁113は、x軸方向に延長形成され、y方向に離隔配置される。従って、前面基板120と背面基板110と間に放電空間115が設けられうる。そして、放電空間115内には、例えば、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)とを含むような放電ガスが充填され、この放電ガスは、単位放電セル内でプラズマ放電時に紫外線を発生させる。ここで、隔壁113は、単位放電セル間の電気的または光学的クロストーク現象を防止する役割を果たせる。
【0036】
以下で、まず、第1実施形態にかかるPDPの構造について具体的に説明する。第1実施形態にかかるPDPには、背面基板110の内面(前面基板120と対向する面)上に、x軸方向に延長形成され各隔壁113間に配置されたアドレス電極111、及びこれを埋め込む第1誘電体層112が設けられ、第1誘電体層112上に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を含む蛍光体層114が塗布される。すなわち、第1誘電体層112は、アドレス電極111と、背面基板110の内面とを覆うように、背面基板110の内面全体に塗布され、第1誘電体層112の内面全体に、蛍光体層114が塗布されうる。そして、前面基板120の内面(背面基板110と対向する面)上に、y軸方向に延長形成され交互に配置される第1維持電極121a及び第2維持電極121bが相互に離隔して設けられており、それらは、第2誘電体層123の内部に埋め込まれている。すなわち、第2誘電体層123は、第1維持電極121a及び第2維持電極121bと、前面基板120の内面とを覆うように、前面基板120の内面全体に塗布されうる。
【0037】
また、各第1維持電極121aとそれに隣接する第2維持電極121bが、一対をなし作動されるので、以下では、対を成す1つの第1維持電極121aと1つの第2維持電極121bとの上面(z軸負の方向に面する面)に形成される各電極等について、図2Bを参照して説明する。しかし、他の第1維持電極121aおよび第2維持電極121bとの構造等も同様である。
【0038】
図2Bに示すように、第2誘電体層123上(背面基板110と対向する面上、z軸負の方向)に、例えば、ITO、Al、Agのような導電性物質で、第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bが形成される。この第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bそれぞれは、上記第1維持電極121a及び第2維持電極121bに対応して配列(アライン)されている。すなわち、第1エミッタ電極124aは、第1維持電極121aと略同様の形状で、第2誘電体層123を挟んで第1維持電極121aに対応した位置に配置される。また、第2エミッタ電極124bは、第2維持電極121bと略同様の形状で、第2誘電体層123を挟んで第2維持電極121bに対応した位置に形成されうる。
【0039】
そして、第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bそれぞれの上に、酸化された多孔性シリコン(OPS:Oxidized Porous Silicon)材質の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bが形成されている。ここで、OPSは、酸化された多孔性ポリシリコン(OPPS:Oxidized Porous PolySilicon)、または酸化された多孔性非晶質シリコン(OPAS:Oxidized Porous Amorphous Silicon)を指す概念とする。
【0040】
第1維持電極121aと第2維持電極121bとの間に、所定の交流電圧が印加されれば、第1維持電極121aと第2維持電極121bとの間に一定サイズの電界が形成される。このような電界の影響で、第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bそれぞれから、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bに電子が供給される。そして、このように供給された電子は、OPS材質の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bを通過しつつ加速されて放電空間115に放出される。
【0041】
ここで、OPS材質の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bから電子が加速されて放出される原理について具体的に述べれば、次の通りである。第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bをなすシリコンナノ結晶の直径は、5nmほどであり、シリコンナノ結晶内での電子の平均自由行程(50nmほど)に比べてはるかに小さい。従って、シリコンナノ結晶内に注入された電子の衝突確率は、非常に小さく、ほとんどの電子は、シリコンナノ結晶を衝突なしに通過してその界面に達する。
【0042】
一方、シリコンナノ結晶間には、きわめて薄い酸化膜が形成され、このようなシリコンナノ結晶間の酸化膜が、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128b内に電界領域を形成する。もちろん、酸化膜は、電子がトンネリングして通過できるほどに非常に薄い。従って、注入された電子は、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128b内に形成されている電界領域で加速され、放電空間に放出されうる。従って、OPS材質の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bを備える場合、PDPの放電特性及び輝度特性は、これを具備していない従来のPDPより向上しうる。
【0043】
特に、第1実施形態で、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとの間の中間線M−M’(図2B参照)に近づくほど、すなわち離隔間隙に近づくほど、その幅が徐々に狭くなる構造を有することを特徴とする。ここで、対を成す第1維持電極121aと第2維持電極121bとのそれぞれに対応して形成される第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとを一対とし、対を成す第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124b上にそれぞれ形成される第1電子放出層128aと第2電子放出層128bを一対とする。対をなす第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとを離隔する間隙のことを離隔間隙という。したがって、第1電子放出層128aは、対を成した第2電子放出層128bに(x軸方向に)近づくほど細く、対を成した第2電子放出層128bから(x軸方向に)遠ざかるほど太い形状を有する。同様に、第2電子放出層128bは、対を成した第1電子放出層128aに(x軸方向に)近づくほど細く、対を成した第1電子放出層128aから(x軸方向に)遠ざかるほど太い形状を有する。また、第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bそれぞれは、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bと同じ構造から形成されてもよい。
【0044】
尚、図2Bに示す第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、1つの単位放電セル(単位ピクセル)に対して例示したものである。図2Bにおいて、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとを離隔する間隙に近づくほど、即ち、中間線M−M’に近づくほど、狭く形成された略三角形状で示したが、本実施形態において、この略三角形状の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、1つの単位放電セル毎に形成される。本実施形態に係るPDPは、複数の単位放電セルを含むため、第1電子放出層128aは、第1エミッタ電極124aに対応して、y軸方向に上記略三角形状が反復形成された構造を有し、第2電子放出層128bは、第2エミッタ電極124bに対応して、y軸方向に上記略三角形状が反復形成された構造を有する。
【0045】
かかる構造によって形成される場合、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bから放出される電子密度が、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの幅寸法(y軸方向の形成幅)によって相対的に変化する。例えば、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとの間の中間線M−M’に近づくほど、すなわち離隔間隙に近づくほど、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bから放出される電子密度が相対的に低下し、反対に、中間線M−M’から遠ざかるほど、すなわち離隔間隙から遠ざかるほど、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bから放出される電子密度が相対的に上昇する。すなわち、第1電子放出層128aは、対を成した第2電子放出層128bに近づくほど細い形状を有するので放出される電子密度が相対的に低下し、対を成した第2電子放出層128bから遠ざかるほど太い形状を有するので放出される電子密度が相対的に上昇する。同様に、第2電子放出層128bは、対を成した第1電子放出層128aに近づくほど細い形状を有するので放出される電子密度が相対的に低下し、対を成した第1電子放出層128aから遠ざかるほど太い形状を有するので放出される電子密度が相対的に上昇する。かように、電子密度が幅値によって変化しうるために、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの幅寸法(y軸方向の形成幅)を位置(x軸方向の位置)によって制御し、単位放電セル内で電界分布が均一になるように制御できる。
【0046】
このような構造を有するPDPについて、単位放電セル内で電子放出層128a、128bが均一な幅に形成される構造と比較すると、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの幅寸法が徐々に変化する構造の場合、放電に寄与する電子放出密度が放電空間内でさらに均一に分布されうる。特に、本実施形態によるPDP構造は、単位放電セル内で電界の強度分布が不均一であった従来のPDPの問題点を十分に改善できる。すなわち、従来のPDPの場合、第1維持電極21a及び第2維持電極21bの内側周囲(各電極間の中間の周囲)では、電流密度が高くて発光が強く、第1維持電極21a及び第2維持電極21bの内側(各電極の中間)から遠ざかるほど電流密度が低くて発光が弱くなり、発光の均一性及び効率性が低かった。しかし、本実施形態によるPDP構造の場合、第1維持電極121a及び第2維持電極121bの内側周囲で第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの幅寸法(y軸方向の形成幅)を相対的に狭く形成して電流密度を弱化させる一方、第1維持電極121a及び第2維持電極121bの外側周囲では、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの幅寸法を相対的に広く形成して電流密度を強化させた。従って、単位放電セル内で電界の強度分布が均一になるので、単位放電セル内で発光の均一性及び効率性が向上し、その結果、PDPの輝度特性及び電圧特性が従来より改善されうる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、図3A及び図3Bを参照して、本発明の第2の実施形態にかかるディスプレイ装置の構成について説明する。図3Aは、本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の構成を示す斜視図であり、図3Bは、図3AでのB−B’線における断面を示す断面図である。ここでも、同様に、本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の一例として、PDPが具現される。
【0048】
ここで、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ参照番号をそのまま使用し、重複する説明は省略した。第2実施形態では、PDPの前面パネルの構造において上記第1実施形態と違いがある。
【0049】
図3A及び図3Bに共に示すように、第2実施形態によるPDPは、相互に対向配置される前面基板220及び背面基板110と、それらの間に介在されて複数の単位放電セルを区画する隔壁113とを具備する。従って、前面基板220及び背面基板110間に放電空間115が設けられうる。そして、放電空間115内には、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)とを含む放電ガスが充填される。
【0050】
第2実施形態によるPDPの構造について具体的に述べれば、背面基板110の内面に、アドレス電極111、及びこれを埋め込む第1誘電体層112が設けられ、第1誘電体層112上に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を含む蛍光体層114が塗布されている。この背面基板110の構成については、第1実施形態にかかるPDPの構成と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0051】
そして、前面基板220の内面(背面基板110と対向する面)上に、y軸方向に延長形成され交互に配置される第1維持電極221a及び第2維持電極221bが相互に離隔して設けられており、それらそれぞれの上にOPS材質の第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bが形成される。そして、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bが第2誘電体層229により埋め込まれている。。すなわち、第2誘電体層229は、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bと、前面基板220の内面とを覆うように、前面基板220の内面全体に塗布されうる。
【0052】
ここで、第2誘電体層229は、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bの上面を放電空間に露出させるウインドウを具備しており、ウインドウの幅は、第1維持電極221a及び第2維持電極221b間の中間線M−M’(図3B参照)に近づくほど、すなわち離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる構造に形成されている。すなわち、第1の実施形態における第1、第2電子放出層128a、128bの形状と同様に、ウィンドウは、以下のような形状を有してもよい。
【0053】
第1電子放出層228aを露出させるウィンドウは、第1電子放出層228aと対を成す第2電子放出層228bに(x軸方向に)近づくほど細く、対を成す第2電子放出層228bから(x軸方向に)遠ざかるほど太い形状を有する。同様に、第2電子放出層228bを露出させるウィンドウは、第2電子放出層228bと対を成す第1電子放出層228aに(x軸方向に)近づくほど細く、対を成す第1電子放出層228aから(x軸方向に)遠ざかるほど太い形状を有する。ここで、第1維持電極221a及び第2維持電極221b間の離隔間隙とは、対を成す第1維持電極221aと第2維持電極221bとを離隔する間隙のことを意味する。また、各第1維持電極221aとそれに隣接する第2維持電極221bとは、一対をなし、対を成す第1維持電極221aと第2維持電極221bとの上にそれぞれ形成された第1電子放出層228aと第2電子放出層228bとを一対としている。
【0054】
尚、図3Bに示す第1電子放出層228aを露出させるウィンドウ及び第2電子放出層228bを露出させるウィンドウは、1つの単位放電セル(単位ピクセル)に対して例示したものである。図3Bにおいて、各ウィンドウは、第1維持電極221aと第2維持電極221bとを離隔する間隙に近づくほど、即ち、中間線M−M’に近づくほど、狭く形成された略三角形状で示したが、本実施形態において、この略三角形状のウィンドウは、1つの単位放電セル毎に形成される。本実施形態に係るPDPは、複数の単位放電セルを含むため、第1電子放出層228aを露出させるウィンドウは、第1維持電極221aに対応して、y軸方向に上記略三角形状が反復形成された構造を有し、第2電子放出層228bを露出させるウィンドウは、第2維持電極221bに対応して、y軸方向に上記略三角形状が反復形成された構造を有する。
【0055】
かかる構造に形成される場合、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bから放出される電子密度が、ウインドウの幅寸法(y軸方向の形成幅)によって相対的に変化する。例えば、第1維持電極221aと第2維持電極221bとの間の中間線M−M’に近づくほど、すなわち離隔間隙に近づくほど、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bから放出される電子密度が相対的に低下し、反対に、中間線M−M’から遠ざかるほど、すなわち離隔間隙から遠ざかるほど、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bから放出される電子密度が相対的に上昇する。すなわち、第1電子放出層228aを露出させるウィンドウは、対を成した第2電子放出層228bに近づくほど細い形状を有するので放出される電子密度が相対的に低下し、対を成した第2電子放出層228bから遠ざかるほど太い形状を有するので放出される電子密度が相対的に上昇する。同様に、第2電子放出層228bを露出させるウィンドウは、対を成した第1電子放出層228aに近づくほど細い形状を有するので放出される電子密度が相対的に低下し、対を成した第1電子放出層228aから遠ざかるほど太い形状を有するので放出される電子密度が相対的に上昇する。かかる構造のPDPによる場合、単位放電セル内で発光の均一性及び効率性が向上し、その結果、PDPの輝度特性及び電圧特性が従来より改善されうるという点は、前述の通りである。ここで、第1維持電極221a及び第2維持電極221bは、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか一つから形成可能である。
【0056】
(第1の実施形態の製造方法)
次に、図4A〜図4Hを参照して、本発明の第1の実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法について、詳細に説明する。図4A〜図4Hは、本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。本実施形態によるディスプレイ装置の一例として、PDPが具現されている。ここで、それぞれの物質層は、PDPの製造において一般的に広く知られている多様な薄膜蒸着方法により形成可能である。かような薄膜蒸着方法は、例えば、物理気相蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スプレイコーティング、及びスクリーンプリンティングなどを含む。
【0057】
図4A及び図4Bに示すように、相互に対向配置される前面基板120と背面基板110とを準備した後、背面基板110の内面に、アドレス電極111、及びこれを埋め込む第1誘電体層112を形成する。その後、前面基板120の内面に、第1維持電極121a及び第2維持電極121bが相互に離隔されるように形成し、それらを埋め込む第2誘電体層123を形成する。ここで、第1維持電極121a及び第2維持電極121bは、例えば、ITO、AlまたはAgのような導電性物質で形成してもよい。
【0058】
図4C〜図4Eに示すように、第1維持電極121a及び第2維持電極121bそれぞれに対応して配列(アライン)されるように、第2誘電体層123上に第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bを形成する。第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bは、例えば、ITO、AlまたはAgのような導電性物質で形成される。その後、第1エミッタ電極124a及び第2エミッタ電極124bそれぞれの上に、第1シリコン層125a及び第2シリコン層125bを形成する。ここで、第1シリコン層125a及び第2シリコン層125bは、多結晶状または非晶質状に形成可能である。
【0059】
その次に、第1シリコン層125a及び第2シリコン層125bを陽極酸化処理し、OPS材質の第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bを形成する。陽極酸化工程は、一般的に広く知られている工程であるので、これについての詳細な説明は省略する。ただし、本実施形態においては、陽極酸化処理のために、フッ化水素(HF)とエタノールとを混合した溶液を利用し、陽極酸化処理により酸化された多孔性材質の物質層を得ることができる。
【0060】
図4F〜図4Hに示すように、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとの間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる構造を有するように、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bの所定領域を選択的にエッチングして除去する。かかる工程過程を介し、発光の均一性及び効率性が向上したPDPを得ることができる。
【0061】
第1電子放出層128aと第2電子放出層128bとの間の離隔間隙は、PDPの放電開始電圧に影響を与えうる。従って、放電開始電圧が最小化するように、第1電子放出層128aと第2電子放出層128bとの間の離隔間隔を制御することが望ましい。例えば、エッチング工程で、第1電子放出層128aと第2電子放出層128bと間の離隔間隔が広く、あるいは狭く形成されるように制御可能である。
【0062】
(第2の実施形態の製造方法)
次に、図5A〜図5Iを参照して、本発明の第2の実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法について、詳細に説明する。図5A〜図5Iは、本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。本実施形態にかかるディスプレイ装置の一例として、PDPが具現されている。
【0063】
図5A〜図5Cに示すように、相互に対向配置される前面基板220及び背面基板110を準備した後、背面基板110の内面に、アドレス電極111及びこれを埋め込む第1誘電体層112を形成する。その後、前面基板220の内面に、第1維持電極221a及び第2維持電極221bを相互に離隔するように形成する。その次に、第1維持電極221a及び第2維持電極221bそれぞれの上に、第1シリコン層225a及び第2シリコン層225bを形成する。ここで、第1シリコン層225a及び第2シリコン層225bは、多結晶状または非晶質状に形成可能である。そして、第1維持電極221a及び第2維持電極221bは、例えば、ITO、AlまたはAgのような導電性物質で形成されてもよい。
【0064】
図5D及び図5Eに示すように、第1シリコン層125a及び第2シリコン層125bを陽極酸化処理し、OPS材質の第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bを形成する。ここで、陽極酸化工程の実施は、第1実施形態と同じ方法で行われるので、重複する説明は省略する。
【0065】
図5F〜図5Iに示すように、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bを埋め込む第2誘電体層229を形成する。その後、第2誘電体層229の所定領域を選択的にエッチングして除去することにより、第2誘電体層229に、第1電子放出層228a及び第2電子放出層228bの上面を放電空間に露出させるウインドウを形成する。このとき、ウインドウは、その幅が第1維持電極221a及び第2維持電極221b間の離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる構造を有するように形成されねばならない。かかる工程過程を介し、発光の均一性及び効率性の向上したPDPを得ることができる。
【0066】
第1実施形態で説明したように、放電空間に露出される第1電子放出層228aと第2電子放出層228bとの間の間隔は、PDPの放電開始電圧に影響を与えうる。従って、放電開始電圧が最小化するように、放電空間に露出される第1電子放出層228aと第2電子放出層228bとの間の離隔間隔が制御されることが望ましい。例えば、第2誘電体層229のエッチング工程で、第1電子放出層228aと第2電子放出層228bとの間の離隔間隔が広く、あるいは狭く形成されるように制御可能である。
【0067】
以上、本発明の第1及び第2の実施形態とそれらの製造方法を順に説明した。本発明の各実施形態にかかるディスプレイ装置によれば、その構造を改善することにより、発光の均一性及び効率性を向上できる。すなわち、具体的には、放電セル内で電子放出層128a、128bの幅寸法(y軸方向の形成幅)を位置(x軸方向の位置)によって相対的に変化させ、放電に寄与する電子放出密度を放電空間内で均一に分布させることにより、放電効率を最適化できる。特に、放電セル内で電界の強度分布が均一になるように容易に制御することができ、かかる構造のPDPは、低い電圧でも高い放電効率を有するために、輝度特性及び電圧特性が従来より向上しうる。また、上記のような構成を有するディスプレイ装置及びその製造方法は、PDP、またはそれと類似の構造を有する他のディスプレイ装置に適用可能である。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記第1の実施形態では、第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとを離隔する間隙に近づくほど、即ち、中間線M−M’に近づくほど、狭く形成された略三角形状で示したが、本発明はかかる例に限定されない。第1電子放出層128a及び第2電子放出層128bは、例えば、単位放電セル毎に、半円形状又は扇形状の構造を有し、この半円形状又は扇形状の構造が、y軸方向に反復形成されたものであってもよく、第1エミッタ電極124aと第2エミッタ電極124bとの間の中間線M−M’(図2B参照)に近づくほど、すなわち離隔間隙に近づくほど、その幅が徐々に狭くなる構造であれば、あらゆる構造・形状であってもよい。また、第2の実施形態における、第1電子放出層228aを露出させるウィンドウ及び第2電子放出層228bを露出させるウィンドウについても、同様に多様な構造・形状をとりうる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ディスプレイ装置及びその製造方法に適用可能であり、特に発光の均一性及び効率性が向上するように、その構造を改善したディスプレイ装置及びその製造方法に適用可能である。また、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来のPDPの斜視図である。
【図2A】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の構成を示す斜視図である。
【図2B】図2AでのA−A’線における断面を示す断面図である。
【図3A】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の構成を示す斜視図である。
【図3B】図3AでのB−B’線における断面を示す断面図である。
【図4A】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4B】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4C】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4D】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4E】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4F】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4G】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図4H】本発明の第1実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5A】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5B】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5C】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5D】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5E】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5F】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5G】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5H】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【図5I】本発明の第2実施形態にかかるディスプレイ装置の製造方法を示す工程順序図である。
【符号の説明】
【0072】
10、110 背面基板
11、111 アドレス電極
12、112 第1誘電体層
13、113 隔壁
14、114 蛍光体層
15、115 放電空間
20、120、220 前面基板
21a、121a、221a 第1維持電極
21b、121b、221b 第2維持電極
22a 第1バス電極
22b 第2バス電極
23、123、229 第2誘電体層
24 MgO保護層
124a 第1エミッタ電極
124b 第2エミッタ電極
125a、225a 第1シリコン層
125b、225b 第2シリコン層
128a、228a 第1電子放出層
128b、228b 第1電子放出層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向配置される前面基板及び背面基板と;
前記背面基板の内面上に塗布された蛍光体層と;
前記前面基板の内面に相互に離隔して設けられた第1維持電極及び第2維持電極と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極を埋め込む誘電体層と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極それぞれに対応して配列され、前記誘電体層上に導電性物質で形成された第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極と;
前記第1エミッタ電極及び前記第2エミッタ電極それぞれの上に形成され、前記第1エミッタ電極及び前記第2エミッタ電極から流入する電子を放出させ、前記第1エミッタ電極と前記第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる形状を有する第1電子放出層及び第2電子放出層と;
を具備することを特徴とする、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層は、酸化された多孔性ポリシリコン、または酸化された多孔性非晶質シリコンで形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1エミッタ電極及び前記第2エミッタ電極それぞれが、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層と同じ形状で形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記導電性物質は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層の形成幅によって相対的に変化することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1エミッタ電極と前記第2エミッタ電極との間の前記離隔間隙に近づくほど、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に低下することを特徴とする、請求項5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1エミッタ電極と第2エミッタ電極との間の前記離隔間隙から遠ざかるほど、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に上昇することを特徴とする、請求項5または6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
相互に対向配置される前面基板及び背面基板と;
前記背面基板の内面上に塗布された蛍光体層と;
前記前面基板の内面に相互に離隔して設けられた第1維持電極及び第2維持電極と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極それぞれの上に形成され、前記第1維持電極及び前記第2維持電極から流入する電子を放出させる第1電子放出層及び第2電子放出層と;
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層を埋め込み、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層の上面の一部を露出させるウインドウを具備し、前記ウインドウの幅が前記第1維持電極と前記第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる形状で形成された誘電体層と;
を具備することを特徴とする、ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層は、酸化された多孔性ポリシリコン、または酸化された多孔性非晶質シリコンで形成されたことを特徴とする、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1維持電極及び前記第2維持電極は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つで形成されたことを特徴とする、請求項8または9に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が、前記ウインドウの形成幅によって相対的に変化することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第1維持電極と第2維持電極との間の前記離隔間隙に近づくほど、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に低下することを特徴とする、請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記第1維持電極と第2維持電極との間の前記離隔間隙から遠ざかるほど、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層から放出される電子密度が相対的に上昇することを特徴とする、請求項11または12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
相互に対向配置される前面基板及び背面基板を準備する段階と;
前記前面基板の内面に相互に離隔された第1維持電極及び第2維持電極を形成する段階と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極を埋め込む誘電体層を形成する段階と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極それぞれに対応して配列されるように、前記誘電体層上に導電性物質で第1エミッタ電極及び第2エミッタ電極を形成する段階と;
前記第1エミッタ電極及び前記第2エミッタ電極それぞれの上に第1シリコン層及び第2シリコン層を形成する段階と;
前記第1シリコン層及び前記第2シリコン層を陽極酸化処理し、酸化された多孔性シリコン材質の第1電子放出層及び第2電子放出層を形成する段階と;
前記第1エミッタ電極と前記第2エミッタ電極との間の離隔間隙に近づくほどにその幅が徐々に狭くなる形状を有するように、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層の所定領域を選択的にエッチングして除去する段階と;
を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項15】
前記陽極酸化処理で、フッ化水素(HF)とエタノールとを混合した溶液を利用することを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記導電性物質は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つであることを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1電子放出層と前記第2電子放出層との間の離隔間隔を制御し、放電開始電圧を制御することを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
相互に対向配置される前面基板及び背面基板を準備する段階と;
前記前面基板の内面に相互に離隔された第1維持電極及び第2維持電極を形成する段階と;
前記第1維持電極及び前記第2維持電極それぞれの上に第1シリコン層及び第2シリコン層を形成する段階と;
前記第1シリコン層及び前記第2シリコン層を陽極酸化処理し、酸化された多孔性シリコン材質の第1電子放出層及び第2電子放出層を形成する段階と;
前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層を埋め込む誘電体層を形成する段階と;
前記誘電体層の所定領域を選択的にエッチングして除去することにより、幅が前記第1維持電極と前記第2維持電極との間の離隔間隙に近づくほどに徐々に狭くなる形状を有し、前記第1電子放出層及び前記第2電子放出層の上面の一部を露出させるウインドウを形成する段階と;
を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記陽極酸化処理で、フッ化水素(HF)とエタノールとを混合した溶液を利用することを特徴とする請求項18に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1維持電極及び前記第2維持電極は、ITO、Al及びAgからなる群より選択されたいずれか1つから形成されることを特徴とする、請求項18に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第1電子放出層と前記第2電子放出層との間の離隔間隔を制御し、放電開始電圧を制御することを特徴とする、請求項18に記載のディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【公開番号】特開2007−149670(P2007−149670A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314786(P2006−314786)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】