説明

ディスプレイ装置

【課題】ディスプレイ装置に関し、画像表示部材を突出させた状態において、ケースの上面開口を開放させることで、当該ケース内を小物入れ等として利用することができるようする。
【解決手段】ディスプレイ装置10には、上面が開口され、内部に中空部21を有するケース20、ケース20の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出自在に設けられた画像表示部材40、画像表示部材40を上下動させてケース(20)の中空部21)内に収納された状態と上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出した状態とに可変するスライド機構50、ケース20に軸支され、ケース20の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)を開閉するリッド60、リッド60の一端側の可動部62とスライド機構50の軸部(例えばホルダー90の軸部91)とをつなぐリンク70を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイ装置に関し、画像表示部材を突出させた状態において、ケースの上面開口を開放させることで、当該ケース内を小物入れ等として利用することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インストルメントパネルの上面に突出自在に設けられたディスプレイを備えたナビゲーション装置が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0010」及び図1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3440973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のナビゲーション装置では、ディスプレイを突出させた状態において、その前方に小物を載置すると、ディスプレイの視界の妨げになるという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、画像表示部材を突出させた状態において、ケースの上面開口を開放させることで、当該ケース内を小物入れ等として利用することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項2に記載の発明は、リンクを使用した比較的、簡便な機構により、画像表示部材の上下動に連動させて、リッドを開閉することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項3に記載の発明は、ケースの中空部に向かってリッドを下降させて開くようにすることで、画像表示部材の視界を妨げることがなく、リッドを開閉することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項4に記載の発明は、ロック機構の解除操作により、画像表示部材をゆっくりと且つ静粛に突出させることができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項5に記載の発明は、調整手段の付勢力を利用して、リッドのガタ付きを防止することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0011】
第1に、例えば図1〜3に示すように、ディスプレイ装置(10)である。
第2に、ディスプレイ装置(10)には、例えば図1〜3に示すように、次の構成を有する。
(1)ケース(20)
ケース(20)は、例えば図1に示すように、上面が開口され、内部に中空部(21)を有するものである。
【0012】
(2)画像表示部材(40)
画像表示部材(40)は、例えば図1〜3に示すように、ケース(20)の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出自在に設けられたものである。
(3)スライド機構(50)
スライド機構(50)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、画像表示部材(40)を上下動させてケース(20)の中空部(21)内に収納された状態(例えば図2及び図7参照)と、上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出した状態(例えば図3及び図8参照)とに可変するものである。
【0013】
(4)リッド(60)
リッド(60)は、例えば図1〜3に示すように、ケース(20)に軸支され、ケース(20)の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)を開閉するものである。
(5)リンク(70)
リンク(70)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、リッド(60)の一端側の可動部(62)とスライド機構(50)の軸部(例えばホルダー90の軸部91)とをつなぐものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0014】
第1に、リンク(70)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、その一端部にスライド機構(50)の軸部(例えばホルダー90の軸部91)を回動可能に軸支し、他端部に当該リンク(70)の長手方向に長く形成された孔形状(71)を設け、リッド(60)の可動部(62)を孔形状(71)の長さ方向に沿って直線的に移動可能に軸支する。
第2に、ケース(20)には、例えば図1、図7及び図8に示すように、スライド機構(50)の軸部(例えばホルダー90の軸部91)とリッド(60)の可動部(62)との間に位置し、孔形状(71)に係合する支軸(22)を設ける。
【0015】
第3に、孔形状(71)に係合するケース(20)の支軸(22)を支点として、例えば図7及び図8に示すように、画像表示部材(40)を上下動させることにより、リンク(70)を回転させて、リッド(60)を開閉させる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
第1に、リッド(60)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、ケース(20)の中空部(21)に向かって下降して開くようにケース(20)に軸支される。
第2に、ケース(20)の中空部(21)には、リッド(60)が下降して開いた状態において、図3及び図8に示すように、ケース(20)の内周面を側面とし、リッド(60)の上面部を底面とする空間(150)が形成される。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
第1に、スライド機構(50)には、例えば図1、図7及び図8に示すように、次の構成を備える。
(1)付勢手段(例えば定荷重バネ100)
付勢手段(例えば定荷重バネ100)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、ケース(20)の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出する方向に画像表示部材(40)を付勢するものである。
【0018】
(2)ロック機構(110)
ロック機構(110)は、例えば図1、図7及び図8に示すように、付勢手段(例えば定荷重バネ100)の付勢力に抗して、ケース(20)の中空部(21)に収納された状態に画像表示部材(40)をロックするものである。
(3)減衰装置(例えば回転ダンパー120)
減衰装置(例えば回転ダンパー120)は、例えば図1に示すように、付勢手段(例えば定荷重バネ100)の付勢力を減衰させるものである。
【0019】
第2に、ロック機構(110)のロック状態の解除操作により、例えば図7及び図8に示すように、付勢手段(例えば定荷重バネ100)の付勢力により、画像表示部材(40)をケース(20)の上面開口(例えばカバー30の上面開口31)から突出させる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、ケース(20)の中空部(21)には、例えば図1、図7及び図8に示すように、リッド(60)の可動部(62)に当接し,当該リッド(60)を上方に向かって付勢する調整手段(例えばリッド調整バネ140)を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、画像表示部材を突出させた状態において、ケースの上面開口を開放させることで、当該ケース内を小物入れ等として利用することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0022】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、リンクを使用した比較的、簡便な機構により、画像表示部材の上下動に連動させて、リッドを開閉することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、ケースの中空部に向かってリッドを下降させて開くようにすることで、画像表示部材の視界を妨げることがなく、リッドを開閉することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、ロック機構の解除操作により、画像表示部材をゆっくりと且つ静粛に突出させることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、調整手段の付勢力を利用して、リッドのガタ付きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ディスプレイ装置の分解斜視図である。
【図2】ディスプレイ装置の斜視図である。
【図3】図2に対応し、画像表示部材が突出し、リッドが下降して開いた状態の斜視図である。
【図4】ディスプレイ装置の平面図である。
【図5】ディスプレイ装置の正面図である。
【図6】ディスプレイ装置の側面図である。
【図7】ディスプレイ装置の概略断面図である。
【図8】図7に対応し、画像表示部材が突出し、リッドが下降して開いた状態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(ディスプレイ装置10)
図中、10は、ディスプレイ装置に関し、例えば車室内に取り付けられる。
ディスプレイ装置10は、図示しないが、ケース20を車室内のインストルメントパネル(図示せず)に埋設状に固定する。ケース20には、図1〜3に示すように、上下方向にスライド可能に支持された画像表示部材40と、回転可能に支持され、下降して開くリッド60とを備える。画像表示部材40とリッド60とは、リンク70を介して連動し、画像表示部材40が、図3及び図8に示すように、上昇して突出する際に、リッド60が下降して開くように構成されている。
【0028】
ディスプレイ装置10は、大別すると、図1に示すように、次のパーツを備える。
なお、次の(1)〜(6)については後述する。
(1)ケース20
(2)カバー30
(3)画像表示部材40
(4)スライド機構50
(5)リッド60
(6)リンク70
なお、ディスプレイ装置10のパーツは、上記した(1)〜(6)に限定されない。
(ケース20)
ケース20は、図1に示すように、上面が開口した中空の箱形に形成され、適度な剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えばABS樹脂により一体的に成形されている。ケース20は、図示しないが、車室内のインストルメントパネル(図示せず)に埋設状に固定される。
【0029】
ケース20は、図1に示すように、大別すると、次の各部を有する。
なお、ケース20の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)中空部21
中空部21は、図1に示すように、底、周囲が壁で囲まれ、上面が開口している。
(2)支軸22
支軸22は、図1に示すように、ケース20の内側面から中空部21内に円柱形に突出する。支軸22は、図7及び図8に示すように、後述するリンク70の孔形状71にはまり込み、当該孔形状71に沿って相対的に移動する。
(カバー30)
カバー30は、図1に示すように、ケース20の開口した上面に取り付けられ、その一部を塞ぐものである。カバー30は、ケース20と同様に、適度な剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えばABS樹脂により一体的に成形されている。
【0030】
カバー30は、図1に示すように、次の各部を有する。
なお、カバー30の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)開口上面31
開口上面31は、図1に示すように、上下に貫通し、ケース20の中空部21に連通する。
(画像表示部材40)
画像表示部材40は、図1〜3、図7及び図8に示すように、後述するスライド機構50を介して、ケース20に対して上下方向にスライド可能に支持されている。
【0031】
画像表示部材40は、図2及び図7に示すように、下降し、ケース20の中空部21に収納された状態おいても、その上端部がカバー30の上面から一部突出する。
なお、画像表示部材40の上端部を、カバー30の上面から一部突出させたが、これに限定されず、画像表示部材40の上端部の端面をカバー30の上面と同一面としても良い。画像表示部材40の上端部の端面をカバー30の上面と同一面とする場合には、画像表示部材40の上端部をカバー30内に押し込めるように、画像表示部材40の上端部の周囲に位置するカバー30の上面の一部を凹ませると良い。
【0032】
そして、画像表示部材40は、図3及び図8に示すように、上昇した状態において、カバー30の開口上面31を通して上方に突出する。
画像表示部材40は、それ自身で画像を表示可能な液晶ディスプレイであっても良いし、或いは投影光を映し出す液晶スクリーンであっても良い。
画像表示部材40には、図1に示すように、次の各部を備える。
【0033】
なお、画像表示部材40の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)表示面41
表示面41は、図3に示すように、カバー30の開口上面31を通して上方に突出した状態において、後述するリッド60側に向かって位置する。
(スライド機構50)
スライド機構50は、画像表示部材40を上下動させて、図2及び図7に示すように、ケースの中空部内に収納された状態と、図3及び図8に示すように、カバー30の上面開口から突出した状態とに可変するものである。
【0034】
スライド機構50は、図1に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(5)については後述する。
(1)ホルダー90
(2)定荷重バネ100(付勢手段)
(3)ロック機構110
(4)回転ダンパー120(減衰装置)
(5)スライド調整バネ130
なお、スライド機構50の各部は、上記した(1)〜(5)に限定されない。
(リッド60)
リッド60は、図1、図7及び図8に示すように、ケース20に軸支され、ケース20の上面開口、すなわちカバー30の上面開口31を開閉するものである。リッド60は、ケース20と同様に、適度な剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えばABS樹脂により一体的に成形されている。
【0035】
リッド60は、図1に示すように、次の各部を有する。
なお、リッド60の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)リッド軸61
リッド軸61は、図1、図7及び図8に示すように、画像表示部材40側のリッド60の一端部の下面に一体的に設けられ、ケース20の中空部21内に軸止される。
【0036】
(2)可動部62
可動部62は、図1、図7及び図8に示すように、画像表示部材40から離れた側のリッド60の他端部に位置し、リッド60と別体に形成され、円柱形に形成されている。可動部62は、後述するリンク70の孔形状71に沿って直線的に移動可能に軸支される。
(リンク70)
リンク70は、図1、図7及び図8に示すように、リッド60の可動部62と、スライド機構50、すなわち後述するホルダー90の軸部91とをつなぐものである。リンク70は、ケース20と同様に、適度な剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)樹脂により一体的に成形されている。
【0037】
リンク70は、図1に示すように、次の各部を有する。
なお、リンク70の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)孔形状71
孔形状71は、図1、図7及び図8に示すように、リンク70の一端部から長さの途中まで延び、その長手方向に長い長円形にくり抜き形成されている。
【0038】
孔形状71には、リッド60の可動部62がはまり込み、リッド60の可動部62を孔形状71の長さ方向に沿って直線的に移動可能に軸支する。
また、孔形状71には、ケース20の内側面から中空部21内に円柱形に突出する支軸22がはまり込み、リンク70は、支軸22を支点としてケース20に対して回転可能に支持される。
リッド60の可動部62と、ケース20の支軸22とは、ともに孔形状71にはまり込み、ケース20の支軸22は、後述するリンク70の一端部に位置する軸穴72に回動可能に軸止されるホルダー90の軸部91と、リッド60の可動部62との間に位置する。
【0039】
(2)軸穴72
軸穴72は、図1、図7及び図8に示すように、リンク70の長手方向の他端部に位置し、厚み方向に円形に貫通する。軸穴72には、後述するホルダー90の軸部91が回動可能に軸止される。
(ホルダー90)
ホルダー90は、図1、図7及び図8に示すように、画像表示部材40の下側を支持し、ケース20の中空部21内に上下方向にスライド可能に支持される。ホルダー90は、適度な剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えば例えばPOM(ポリアセタール)樹脂により一体的に成形されている。
【0040】
ホルダー90は、図1に示すように、次の各部を有する。
なお、ホルダー90の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)軸部91
軸部91は、図1、図7及び図8に示すように、ホルダー90のリッド60側の側面に一体的に形成され、円柱形に形成されている。軸部91は、リンク70の軸穴72に軸止される。
(定荷重バネ100(付勢手段))
定荷重バネ100は、図1、図7及び図8に示すように、ホルダー90をケース20の中空部21において上昇する方向に付勢するものであり、付勢手段を構成する。定荷重バネ100は、ホルダー90を上昇させることで、ホルダー90に保持された画像表示部材40を、カバー30の開口上面31から突出させる。
【0041】
なお、付勢手段を、定荷重バネ100から構成したが、これに限定されず、コイルスプリングや単なる板バネから構成しても良い。
(ロック機構110)
ロック機構110は、図1、図7及び図8に示すように、定荷重バネ100のバネ力に抗して、ホルダー90をケース20の中空部21において下降した位置にロックするものである。ロック機構110は、ホルダー90を下降した位置にロックすることで、ホルダー90に保持された画像表示部材40を、図2及び図7に示すように、ケース20の中空部21に収納された状態にロックするものである。
【0042】
ロック機構110のロック状態において、画像表示部材40の上端部を、カバー30の上面から一部突出させている。
なお、ロック機構110のロック状態において、画像表示部材40の上端部を、カバー30の上面から一部突出させたが、これに限定されず、画像表示部材40の上端部の端面をカバー30の上面と面一としても良い。画像表示部材40の上端部の端面をカバー30の上面と面一とする場合には、画像表示部材40の上端部をカバー30内に押し込めるように、画像表示部材40の上端部の周囲に位置するカバー30の上面の一部を凹ませると良い。
【0043】
ロック機構110は、図1、図7及び図8に示すように、大別すると、次のパーツから構成されている。
なお、ロック機構110のパーツは、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)ラッチ111
ラッチ111は、図1、図7及び図8に示すように、ケース20の中空部21の底側に固定され、後述するストライク112と係合する。
【0044】
(2)ストライク112
ストライク112は、図1、図7及び図8に示すように、ホルダー90の下側に位置し、ホルダー90と一体的にケース20の中空部21内を昇降し、下降位置においてラッチ111と係合する。
すなわち、図7に示すように、ホルダー90の下降状態において、ストライク112は、ラッチ111にくわえ込まれた状態でロックされる。このため、ホルダー90は、定荷重バネ100のバネ力に抗して、下降した位置にロックされる。このとき、ホルダー90に保持された画像表示部材40は、ケース20の中空部21内に収納された状態で静止する。
【0045】
カバー30の上面から一部突出する画像表示部材40の上端部を、ケース20の中空部21内に向かって押し上げると、ホルダー90が更に下降する。このとき、ストライク112によりラッチ111を押し込むことで、ラッチ111のロック状態が解除され、ストライク112が開放される。このため、ホルダー90は、図8に示すように、定荷重バネ100のバネ力により上昇する。このとき、ホルダー90に保持された画像表示部材40が、カバー30の開口上面31から突出する。
【0046】
一方、突出した画像表示部材40を、ケース20の中空部21内に向かって押し下げると、図7に示すように、ホルダー90が下降する。ホルダー90が下降すると、ストライク112とラッチ111とが再度、係合し、ラッチ111はストライク112をくわえ込んだ状態で、再度ロックする。
(回転ダンパー120(減衰装置))
回転ダンパー120は、図1に示すように、定荷重バネ100の付勢力を減衰させるものであり、減衰装置を構成する。回転ダンパー120は、オイルを使用したものであり、ホルダー90に固定される。回転ダンパー120は、図示しないが、ケース20の中空部21内に形成したラックとかみ合い、ホルダー90の昇降時に回転することで、定荷重バネ100の付勢力を減衰させている。
【0047】
なお、減衰装置として、オイルを使用した回転ダンパー120を例示したが、これに限定されず、ピストン・シリンダー型のダンパーを使用しても良い。
(スライド調整バネ130)
スライド調整バネ130は、図1、図7及び図8に示すように、ホルダー90の軸部91にはまり込み、リンク70との間のガタ付きを防止している。スライド調整バネ130は、コイルスプリングを使用し、定荷重バネ100と比較して、バネ力の小さなものが使用されている。
【0048】
なお、スライド調整バネ130として、コイルスプリングを例示したが、これに限定されず、板バネを使用しても良い。
(リッド調整バネ140(調整手段))
一方、ケース20の中空部21には、図1、図7及び図8に示すように、リッド60の可動部62に当接し,当該リッド60をカバー30側に向かって付勢するリッド調整バネ140を有する。リッド調整バネ140は、コイルスプリングを使用し、スライド調整バネ130と同様に、定荷重バネ100と比較して、バネ力の小さなものが使用され、調整手段を構成する。
【0049】
なお、調整手段として、コイルスプリングを使用したリッド調整バネ140を例示したが、これに限定されず、板バネを使用しても良い。
(ディスプレイ装置10の使用方法)
つぎに、上記した構成を備えたディスプレイ装置10の使用方法について説明する。
図7に示すように、画像表示部材40がケース20の中空部21内に収納された状態において、カバー30の上面から一部突出する画像表示部材40の上端部をケース20内に押し込むと、ロック機構110が解除される。
【0050】
ロック機構110が解除されると、画像表示部材40は、図8に示すように、ホルダー90と一体的に、定荷重バネ100のバネ力により上昇し、カバー30の開口上面31から突出する。
このとき、回転ダンパー120の減衰力が働き、画像表示部材40は、ホルダー90と一体的に、ゆっくりと且つ静粛に上昇する。
一方、ホルダー90の上昇に伴って、図8に示すように、その軸部91も上昇する。このため、軸部91が軸止されたリンク70の一端部に位置する軸穴72が上昇し、リンク70がその孔形状71にはまり込んでいるケース20の支軸22を中心に回転する。このため、リンク70の他端部が下降し、孔形状71にはまり込んでいるリッド60の可動部62が下降しながら、ケース20の支軸22に接近する。リッド60の可動部62が下降すると、リッド60は、リッド軸61を中心に下方に向かって回動し、ケース20の中空部21内を下降するように開く。
【0051】
リッド60が下降して開くと、ケース20の内周面を側面とし、リッド60の上面部を底面とする空間150が形成される。
一方、図8に示すように、突出した画像表示部材40を、下降させてケース20内に収納するには、図7に示すように、画像表示部材40をケース20内に向かって押し下げれば良い。
画像表示部材40を押し下げると、画像表示部材40は、図7に示すように、ホルダー90と一体的に下降する。画像表示部材40は、ケース20の中空部21内に収納された状態において、ロック機構110が作動し、再度、ロックされる。
【0052】
一方、ホルダー90の下降に伴って、図7に示すように、その軸部91も下降する。このため、軸部91が軸止されたリンク70の一端部に位置する軸穴72が下降し、リンク70がその孔形状71にはまり込んでいるケース20の支軸22を中心に回転する。このため、リンク70の他端部が上昇し、孔形状71にはまり込んでいるリッド60の可動部62が上昇しながら、ケース20の支軸22から離隔する。リッド60の可動部62が上昇すると、リッド60は、リッド軸61を中心に上方に向かって回動し、カバー30の開口上面31を閉塞する。
【符号の説明】
【0053】
10 ディスプレイ装置
20 ケース 21 中空部
22 支軸
30 カバー 31 上面開口
40 画像表示部材 50 スライド機構
60 リッド
61 リッド軸 62 可動部
70 リンク
71 孔形状 72 軸穴
90 ホルダー 91 軸部
100 定荷重バネ(付勢手段) 110 ロック機構
111 ラッチ 112 ストライク
120 回転ダンパー(減衰装置)
130 スライド調整バネ 140 リッド調整バネ(調整手段)
150 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置において、
上面が開口され、内部に中空部を有するケースと、
前記ケースの上面開口から突出自在に設けられた画像表示部材と、
前記画像表示部材を上下動させて前記ケースの中空部内に収納された状態と前記上面開口から突出した状態とに可変するスライド機構と、
前記ケースに軸支され、前記ケースの上面開口を開閉するリッドと、
前記リッドの一端側の可動部と前記スライド機構の軸部とをつなぐリンクと
を有することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記リンクは、
その一端部に前記スライド機構の前記軸部を回動可能に軸支し、
他端部に当該リンクの長手方向に長く形成された孔形状を設け、
前記リッドの前記可動部を前記孔形状の長さ方向に沿って直線的に移動可能に軸支し、
前記ケースには、
前記スライド機構の前記軸部と前記リッドの前記可動部との間に位置し、前記孔形状に係合する支軸を設け、
前記孔形状に係合する前記ケースの前記支軸を支点として、前記画像表示部材を上下動させることにより、前記リンクを回転させて、前記リッドを開閉させることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記リッドは、
前記ケースの中空部に向かって下降して開くように前記ケースに軸支され、
前記ケースの中空部には、
前記リッドが下降して開いた状態において、
前記ケースの内周面を側面とし、
前記リッドの上面部を底面とする空間が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記スライド機構には、
前記ケースの前記上面開口から突出する方向に前記画像表示部材を付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して、前記ケースの中空部に収納された状態に前記画像表示部材をロックするロック機構と、
前記付勢手段の付勢力を減衰させる減衰装置とを備え、
前記ロック機構のロック状態の解除操作により、前記付勢手段の付勢力により、前記画像表示部材を前記ケースの前記上面開口から突出させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記ケースの中空部には、
前記リッドの前記可動部に当接し,当該リッドを上方に向かって付勢する調整手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−197024(P2012−197024A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62336(P2011−62336)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】