説明

ディスポーザー連結排水管の洗浄方法

【課題】ディスポーザーと連結した排水管(専有部横枝管)に堆積した堆積物を短時間にかつ簡単に洗浄できるディスポーザー連結排水管の洗浄方法を提供する。
【解決手段】ディスポーザー13と連結した専有部横枝管15内の空気をノズル手段20により排出して、専有部横枝管15内に負圧を発生させ、次にシンク10の排水口11を閉塞する栓17を抜き、シンク10内に留めた水18を専有部横枝管15内に発生した負圧により、専有部横枝管15内に吸引流入させ、この吸引流入した水の流入力とノズル手段20から噴射された洗浄液の噴射力との合力により専有部横枝管15内に堆積した堆積物Eを押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所の流し台を構成するシンクに配設されたディスポーザーと連結した排水管の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に排水管の洗浄方法としては、図7に示すように、高圧の洗浄液(オゾンを含んだ洗浄液等)を案内する洗浄ホース1の先端に噴射ノズル2を連結し、このノズル2から高圧の洗浄液Aを逆噴射させ、その推進力により排水管3内を洗浄しつつ、ノズル2を排水管3の延出方向に沿って進行させるようにしている。
【0003】
なお、上述した洗浄ノズル2を使用する排水管の洗浄方法としては、本願出願人が先に提出した特開平2001−170591号公報に開示したものが知られている。
【0004】
この特開平2001−170591に開示したノズル2は、図8に示すように、高圧の洗浄ホース1の先端に固定されたノズル2を、高圧ホース1の回転と引き出し操作に伴って、洗浄液を噴射する複数の噴射孔のうち、洗浄力の高い特定の噴射孔Bのみが排水管3の内周面と常時対向するように、当該ノズル2を排水管1の内周面に沿って螺旋状に旋回させるものである。なお、前記図7で符号4は、排水管1内におけるノズル2の進行方向を案内する折り曲げ自在な自在ガイドである。
【0005】
一方、図9に示すように、ノズル2に逆噴射(後方噴射)Aに加え、前方噴射Cの噴射口を設置し、洗浄力を強化する場合があるが、この場合は排水管3内におけるノズル2の推進力が弱まり進行しにくくなるばかりでなく、又、排水管3の曲がりの部分3Aで前方噴射水Cが管の曲がり部分3Aに当たり、曲がり部分3Aの通過が困難になる。また洗浄ホース1は管3の中に入りにくいばかりか、洗浄には非常に時間を要する事ことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2001−170591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、図10で示す、台所の流し台を構成するシンク下方に配設されたディスポーザーと連結した排水管(専有部横枝管)5内には、ディスポーザーで粉砕された卵の殻・魚の骨等の比重の重い粉砕物が流れ込む。
【0008】
この粉砕物は、シンクから流される水道水の自然落下では、本管まで搬出することができず専有部横枝管5内の管底に堆積し堆積物Eとなる。
【0009】
この堆積物Eを洗浄する場合、図7に示した洗浄方法では、堆積物Eは粉砕されるが掃除口の手前に引き戻されるだけで、専有部横枝管5内に残存したままとなる問題点がある。
【0010】
また図9に示す洗浄方法では、専有部枝管洗浄5では、洗浄ホース1の材質が固いホースでないと前方に押す力が弱く、固い洗浄ホース1では曲がり部分3Aの通過が難しく、洗浄に益々時間を要する問題点がある。
【0011】
この発明は上述した事情に鑑み、台所の流し台を構成するシンク下方に配設されたディスポーザーと連結した排水管(専有部横枝管)に堆積した堆積物を短時間にかつ簡単に洗浄できるようにした、ディスポーザー連結排水管の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、この発明では、台所シンクのディスポーザーと連結する専有部横枝管に堆積した堆積物を洗浄するようにしたディスポーザー連結排水管の洗浄方法において、洗浄ホースの先端に配設された噴射ノズルから噴射された洗浄液により、前記専有部横枝管に堆積した堆積物を粉砕する工程と、
前記シンクの排水口を栓により閉塞し、該シンク内に水を溜める工程と、
前記専有部横枝管内に負圧を発生させるノズル手段を前記専有部横枝管の始端に配設し、該ノズル手段から洗浄液を前記専有部横枝管内に噴射する工程と、
前記ノズル手段から噴射された洗浄液により、前記専有部横枝管内の空気を排出して、前記専有部横枝管内に負圧を発生させる工程と、
前記シンクの排水口を閉塞する栓を抜き、前記シンク内に留めた水を前記専有部横枝管内に発生した負圧により、前記専有部横枝管内に吸引流入させ、該専有部横枝管内に吸引流入した水の流入力と前記ノズル手段から噴射された洗浄液の噴射力との合力により前記粉砕された堆積物を押し出して洗浄する工程と
を少なくとも具えている。
【発明の効果】
【0013】
上述したディスポーザー連結排水管の洗浄方法によると、予め噴射ノズルから噴射された高圧の洗浄液により、専有部横枝管に堆積した堆積物を粉砕し、その後、シンク内に留めた水を専有部横枝管内に発生した負圧を利用して、専有部横枝管内に一気に吸引流入させ、この一気に吸引流入した水の流入力とノズル手段から噴射された洗浄液の噴射力との合力により専有部横枝管内に堆積する粉砕された堆積物を押し出すので、ディスポーザー連結排水管の洗浄を短時間にかつ簡単に洗浄できるとともに、栓を抜くと負圧により一気に専有部横枝管内いっぱいにシンクの水が流れ込み、ノズル手段から噴射される洗浄液との合力により排水スピードが高められ、一気に旋回流を起こし粉砕された堆積物を巻き上げ、勢い良く堆積物を本管へ押し流すから、ディスポーザーの回転盤の隙間・内部の洗浄及ぴトラップのU字管の内部の洗浄も同時に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明に係るディスポーザー連結排水管の洗浄方法を説明するシンクおよび周辺の排水管の配置態様を示す図。
【図2】図2はノズル手段を示す概念断面図。
【図3】図3は、粉砕された堆積物を押し出す様子を示す排水管の概念断面図。
【図4】図4は、この発明の他の実施例を示する、シンクおよび周辺の排水管の配置態様を示す図。
【図5】図5は、この発明の他の実施例を示する、シンクおよび周辺の排水管の配置態様を示す図。
【図6】図6は、この発明の更に他の実施例を示する、シンクおよび周辺の排水管の配置態様を示す図。
【図7】図7は、従来の排水管の洗浄方法を示す排水管の概念断面図。
【図8】図8は、従来の排水管の洗浄方法を示す排水管の概念断面図。
【図9】図9は、従来の排水管の洗浄方法を示す排水管の概念断面図。
【図10】図10は、シンク下方に配設されたディスポーザーと連結した排水管(専有部横枝管)内に堆積した堆積物を示す排水管の概念断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明に係るディスポーザー連結排水管の洗浄方法を説明する。
【0016】
図1は、この発明に係るディスポーザー連結排水管の洗浄方法を説明するシンクおよびその周辺の排水管の配置態様を示す図である。
【0017】
台所用のシンク10では、排水口11の下方に回転盤12を含むディスポーザー13が連結され、またこのディスポーザー13にはトラップU字管14が連結され、このトラップU字管14の下流端はディスポーザー連結排水管である専有部横枝管15に連結されている。
【0018】
なお、この専有部横枝管15の下流端15aは、縦管の排水管である本管16に連結されている。
【0019】
上述したディスポーザー連結排水管である専有部横枝管15の底部には、前述したように、ディスポーザー13で粉砕された卵の殻・魚の骨等の比重の重い粉砕物が流れ込み、管底に堆積し堆積物Eとなる。
【0020】
次に、この専有部横枝管15の管底に堆積した堆積物Eを洗浄する方法について詳述する。
【0021】
まず、背景技術の項で説明した、図7および図8のノズル2を使用する従来の洗浄方法により、当該専有部横枝管15及び本管16を洗浄し、専有部横枝管15の管底に堆積した堆積物Eを粉砕する。その際、堆積物Eは粉砕されるが掃除口の手前に引き戻されるだけで、専有部横枝管15内に残存したままとなる。
【0022】
なお、図7および図8に示す従来の洗浄方法により、専有部横枝管15及び本管16を洗浄する場合は、専有部横枝管15の始端15cを構成する縦管部15bの上端からノズル2及び洗浄ホース1を挿入して洗浄処理を行う。
【0023】
次に、台所シンク10の排水口11を栓(ゴム栓)17により閉塞し、シンク10内に水18を溜め、さらに、前記専有部横枝管15の始端15cにノズル手段20を配設する。
【0024】
このノズル手段は20は、図2の概念断面図で示すように、周面に吸引口21を複数個形成した外側ノズル22と、この外側ノズル22の中心部に配設され、洗浄液を噴射する中心ノズル23とから構成され、この中心ノズル23には、洗浄液を圧送する洗浄ホース24が連結している。
【0025】
このようなノズル手段20によると、中心ノズル23から噴射される洗浄液の噴射流体(矢印F)により、専有部横枝管15内の空気(矢印G)が外側ノズル22の吸引口21を介して下流へ排出されるから、専有部横枝管15内に負圧が発生する。
【0026】
そして、専有部横枝管15内に負圧が発生すると、図1に示すように、それに連結するディスポーザー13内部及ぴトラップU字管14内部にも負圧が効果的に発生する。
【0027】
このように、専有部横枝管15内に負圧が発生した後、シンク10のゴム栓17を抜くと、専有部横枝管15内の負圧により、シンク10内に溜めた水18が矢印Hの如く一気にディスポーザー13内部及ぴトラップU字管14内部を通過して、専有部横枝管15内に流れ込む。
【0028】
このように、シンク10内に溜めた大量の水18がディスポーザー13内部及ぴトラップU字管14内部を通過して専有部横枝管15内に流れ込むと、その流れ込む水は、前記ノズル手段20から噴射される高圧洗浄液Fとの相乗効果により排水スピードが高められ、図3で示すように、その流れ込む水(矢印I)は旋回流を起こし、堆積物Eを巻き上げ、粉砕された堆積物Eを勢いよく本管16(図1)へ搬送し、これにより専有部横枝管15内を洗浄する。
【0029】
なお、図1に示すように、シンク10内に溜められ、一気に流れ込む大量の水18がディスポーザー13内部及ぴトラップU字管14内部を通過する間に、回転盤12の隙間とディスポーザー13内部の洗浄及ぴトラップのU字管14の内部の洗浄も同時に行うことが出来る。
【0030】
なお、上記実施例では、ノズル手段20の中心ノズル23に連結された洗浄ホース24内に高圧の洗浄液(例えばオゾンを含む洗浄液)圧送するようにしたが、この発明は上記実施例に限定されることなく、例えば図1と同一部分を同一符号で示す図4のように、ノズル手段20の中心ノズル23に連結された洗浄ホース24に水道の蛇口30を連結し、水道水の水圧2kg/cm2でも十分専有部横枝管15内に負圧を発生させて専有部枝管15を洗浄することが出来る。
また、水道水の水圧が低い場合は、図4と同一部分を同一符号で示す図5に示すように、小型加圧ポンプPで水道水を加圧し、同様に洗浄して、堆積物を縦本管16まで搬送して洗浄させるようにしても良い。
【0031】
さらには、図1と同一部分を同一符号で示す図6のように、ノズル手段20の吸引口21を専有部横枝管15の外部に配置し、この吸引口21から吸引される外気を洗浄液とともに専有部横枝管15内に噴射するようにしても、十分専有部横枝管15内に負圧を発生させて専有部枝管15を洗浄することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、この発明は、台所の流し台を構成するシンク下方に配設されたディスポーザーと連結した排水管(専有部横枝管)に堆積した堆積物を短時間にかつ簡単に洗浄できるようにした、ディスポーザー連結排水管の洗浄に適している。
【符号の説明】
【0033】
1…洗浄ホース
2…噴射ノズル
10…シンク
13…ディスポーザー
14…トラップのU字管
15…専有部横枝管
17…栓
18…シンク内の水
20…ノズル手段
21…吸引口
22…外側ノズル
23…中心ノズル
24…洗浄ホース
30…蛇口
E…堆積物
F…ノズル手段から噴射された洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台所シンクのディスポーザーと連結する専有部横枝管に堆積した堆積物を洗浄するようにしたディスポーザー連結排水管の洗浄方法において、洗浄ホースの先端に配設された噴射ノズルから噴射された洗浄液により、前記専有部横枝管に堆積した堆積物を粉砕する工程と、
前記シンクの排水口を栓により閉塞し、該シンク内に水を溜める工程と、
前記専有部横枝管内に負圧を発生させるノズル手段を前記専有部横枝管の始端に配設し、該ノズル手段から洗浄液を前記専有部横枝管内に噴射する工程と、
前記ノズル手段から噴射された洗浄液により、前記専有部横枝管内の空気を排出して、前記専有部横枝管内に負圧を発生させる工程と、
前記シンクの排水口を閉塞する栓を抜き、前記シンク内に留めた水を前記専有部横枝管内に発生した負圧により、前記専有部横枝管内に吸引流入させ、該専有部横枝管内に吸引流入した水の流入力と前記ノズル手段から噴射された洗浄液の噴射力との合力により前記粉砕された堆積物を押し出して洗浄する工程と
を少なくとも具えたことを特徴とするディスポーザー連結排水管の洗浄方法。
【請求項2】
前記高圧の洗浄液は、オゾンを含んだ洗浄液であることを特徴とする請求項1に記載のディスポーザー連結排水管の洗浄方法。
【請求項3】
前記ノズル手段は、周面に吸引口を複数個形成した外側ノズルと、該外側ノズルの中心部に配設され、洗浄液を噴射する中心ノズルから構成され、該中心ノズルには洗浄液を圧送する洗浄ホースが連結していることを特徴とする請求項1に記載のディスポーザー連結排水管の洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄ホースには水道水を供給する蛇口が連結されることを特徴とする請求項3に記載のディスポーザー連結排水管の洗浄方法。
【請求項5】
前記シンクの排水口と前記専有部横枝管との間にはディスポーザーとトラップのU字管が介在されていることを特徴とする請求項1に記載のディスポーザー連結排水管の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate