説明

デカタイジング用の連続オートクレーブ装置

オートクレーブ(2)を含むデカタイジング用の連続オートクレーブ装置(1)であって、オートクレーブ(2)はその中心軸の周囲を回転可能である加熱シリンダー(3)を含む装置(1)。装置(1)はさらに、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)を含み、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、ローラーで支持されており、処理すべき布(6)を両者の間に挟持して、入口封止スロット(7)を通じてオートクレーブ(2)へ導入し、出口封止スロット(7’)を通じてオートクレーブ(2)から取り出すことが可能である。2つのコンベアベルト(4)及び(5)は、加熱シリンダー(3)を取り囲み、その円筒状側面に密着するように配置されている。さらに、装置(1)は、加熱手段(14)によって加熱され得且つオートクレーブ(2)と同軸的に配置された内部ジャケット(13)を含む。内部ジャケット(13)と加熱シリンダー(3)は、協働してオートクレーブ(2)の内部を140℃を越える温度にまで過熱するために、160℃〜200℃の範囲内の温度にまで加熱可能である。さらに、装置(1)は、オートクレーブ(2)にスチームを注入するための手段(12)を備えている。さらに、装置(1)は、オートクレーブ(2)に水を注入することができる注入手段(12、18、18’、19)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で最適なデカタイジング(decatizing)を行うのに特に適する、デカタイジング用の連続オートクレーブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートクレーブを用いるデカタイジングは、羊毛、合成布または混合布のための最も効果的なデカタイジングであることが知られている。実際、オートクレーブにおける高い圧力(通常、1.5atmより高い圧力)のおかげで、オートクレーブでは温度を100℃より高くしてもスチーム(steam)の水分(moisture)が蒸発することを防ぐことができる。
【0003】
この特徴が、オートクレーブを用いるデカタイジングが永続的な効果をもたらす理由である。実際、デカタイジングによって得られる光沢や感触は、洗浄やアイロン掛けによっても、衣類製造業者が用いる蒸気プレス処理によっても、失われない。このような特性永続性は、大気圧下で行われるデカタイジング処理によっては得られない。実際、通常のデカタイジング処理においては、開放的な大気圧下では、温度が100℃を越えるとスチームは蒸発によってその水分を失って熱空気に変化するから、高い温度と高い湿度とは両立できない。
【0004】
連続運転を可能にするスロットを備えたデカタイジング用オートクレーブ装置も知られている。処理すべき布は2つのベルトの間に挟持され、これら2つのベルトは、オートクレーブに導入されると、回転可能なシリンダーに密着する。このような装置の多くは、凝縮を防ぐために加熱される同軸的な内部ジャケットを備えたオートクレーブを含む。
【0005】
米国特許第6,381,883号は、オートクレーブを含む装置を開示している。この装置においては、処理すべき布が通過する回転可能な加熱シリンダーを含み、加熱されていない容器の中に加圧された空気が室温で存在している。
【0006】
しかし、上記の装置を用いることによって達成される技術的効果は、満足できるものではない。というのは、スロットを備えたオートクレーブにおいては、短時間で高い生産性で永続的なデカタイジング効果をもたらすことを可能にするような圧力、湿度及び温度の条件を再現することは難しいからである。
【0007】
スロットを備えていないデカタイジング用不連続オートクレーブを含む装置においては、デカタイジング処理時間は、数分、たとえば5〜6分である。布は、ロール状に巻いてオートクレーブに導入される。オートクレーブを閉じ、空気を除去し、スチームを導入する。オートクレーブにおける最高温度は、通常、2atmの蒸気圧に対応する温度である132℃に近い。処理時間はかなり長いので、この温度は、工業布である2つのベルトの層の間の「挟持物」として配置されて巻回されている布のアイロン掛け及びデカタイジングを行うのにも十分であり、最終的に仕上げた物の特性を永続的なものにするのにも十分である。
【0008】
これに対して、デカタイジング用連続オートクレーブ装置の、スロットを備えたオートクレーブにおいては、デカタイジング処理時間は数秒である。たとえば、処理すべき布の進行速度を20m/分とし、オートクレーブの内部許容量を5m(即ち、オートクレーブの内部にあるシリンダーの周の長さである1200mmと、オートクレーブ出入通路との和)とした場合、布のオートクレーブ内における滞留時間は15秒である。このデータは、1時間当たり約1200mの長さの物を生産する装置の1例についてのものである。
【0009】
上記のようなスロットを備えたオートクレーブを含む公知の装置において行われる連続デカタイジング処理は、非常に短い時間でなされることに特徴があるが、処理時間が短過ぎるために、永続的な光沢及び感触を有する布が得られないという欠点を有する。
【0010】
不連続オートクレーブを用いて得られるのと同様の結果を、スロットを備えたオートクレーブを用いて得たいのであれば、短い滞留時間を補償するために通常より高い温度及び湿度で運転することがまず必要である。
【0011】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、連続オートクレーブデカタイジングを行うための装置及び方法であって、上記の欠点がなく、高い生産性をもたらすと同時に、著しく長い時間運転する不連続オートクレーブを用いて達成されるような永続的な光沢及び感触を有することを特徴とする布を得ることを可能にするような装置及び方法を提供することである。
【0012】
実際に明らかなことであるが、もし布の進行速度がずっと小さくて布がスロットを備えたオートクレーブの中に長時間滞留するのであれば、本発明に依らなくとも最適なデカタイジング効果が得られるであろうが、そのような装置を用いた場合の生産性は非常に低いので、そのような装置は工業的には用いられないであろう。したがって、連続オートクレーブデカタイジングを行うための本発明の装置及び方法は、高い生産性と、著しい長時間運転によって初めて達成されるような、光沢及び感触に関する永続的なデカタイジング効果との両方をもたらすという利点を有する。この利点は、オートクレーブ中のスチームを協働して過熱するジャケットと回転可能なシリンダーとを合わせて加熱し、これと同時に、過熱されたスチーム及び/または水をオートクレーブに注入することによって達成される。
【0013】
連続オートクレーブデカタイジングを行うための本発明の装置及び方法のもう1つの利点は、制御された方式でオートクレーブに水を注入することによってデカタイジングのためのスチームを飽和状態に維持することが可能になることである。
【0014】
従来技術においてはオートクレーブの内部で凝縮によって生ずる水を除去していたから、オートクレーブへの水の注入は技術上の偏見を克服するものと言える。
【0015】
連続オートクレーブデカタイジングを行うための本発明の装置及び方法のさらなる1つの利点は、最適なデカタイジング効果をもたらすように、単一のオートクレーブの内部において2つの異なる領域で圧力、温度及び湿度を制御することが可能になることである。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明のデカタイジング装置及びデカタイジング方法のさらなる利点及び特徴は、当業者には、添付の図面に参照した本発明の1態様についての以下の詳細な説明から明らかである。なお、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。
【0017】
図1は、オートクレーブ(2)を含むデカタイジング用の連続オートクレーブ装置(1)を示したものであって、オートクレーブ(2)はその中心軸の周囲を回転可能な加熱シリンダー(3)を含む。装置(1)は第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)をさらに含むものであって、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、適当なローラーで支持されており、処理すべき布(6)を両者の間に挟持して、入口封止スロット(7)を通じてオートクレーブ(2)へ導入し、出口封止スロット(7’)を通じてオートクレーブ(2)から取り出すことが可能である。入口封止スロット(7)及び出口封止スロット(7’)は、たとえば、適当な封止ローラー(8、9、10)の間に形成される間隙であってよい。オートクレーブ(2)の内部に、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)(これらは処理すべき布(6)を両者の間に挟持する)を支持することのできる1つ以上のローラー(11)を配置することができる。第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、加熱シリンダー(3)を取り囲み、その円筒状側面の大部分に密着するように配置される。
【0018】
よく知られているように、装置(1)のオートクレーブ(2)は、オートクレーブ(2)と同軸的に配置された、凝縮防止用の内部ジャケット(13)を含んでいてもよい。内部ジャケット(13)は、オートクレーブ(2)の内部で凝縮を防止するための適当な加熱手段(14)を用いて加熱することができる。
【0019】
凝縮防止用のジャケット(13)を備えた公知のデカタイジング用装置においては、オートクレーブは、せいぜい、オートクレーブの内部圧力2atmに対応する温度である約132℃までしか加熱されない。
【0020】
これに対して本発明においては、はっきりしたデカタイジング効果を達成することを目的として、凝縮防止用の内部ジャケット(13)と加熱シリンダー(3)は、協働してオートクレーブ(2)の内部を少なくとも140℃を越える温度にまで過熱する(ただし、オートクレーブ(2)の内部は、通常であればそのようなスチーム温度に到達させないような約2atmという比較的低い圧力にする)ために、160℃〜200℃の範囲内の温度にまで加熱される。内部ジャケット(13)を加熱するための手段(14)は、熱透過性の油が連続的に流れる通路からなっていてもよい。この油は、オートクレーブ(2)の外部で加熱してもよい。
【0021】
装置(1)はさらに、オートクレーブ(2)にスチームを注入するための手段(12)を備えている。図1に示した態様においては、スチーム注入手段(12)は少なくとも1つのパイプからなる。
【0022】
ジャケット(13)の温度は180℃〜200℃に達するまで上げられる。好ましい態様においては、ジャケット(13)の温度は160℃〜200℃の範囲内である。
【0023】
ジャケット(13)は直接にスチームに曝される大きな熱移動面を有するので、ジャケット(13)の加熱は、オートクレーブ(2)に含まれるスチームを過熱するのに特に効果的である。加熱シリンダー(3)は、ジャケット(13)より熱移動面は小さいが、ジャケット(13)と協働してオートクレーブ(2)の内部にあるスチームを加熱するために、また、布(6)を加熱するために、必要である。
【0024】
本発明においては、オートクレーブ(2)の内部にあるスチームのさらなる加熱は、補助的加熱手段(15)を用いて行うことができる。補助的加熱手段(15)は、たとえば電気抵抗または加熱コイルからなる。
【0025】
第1コンベアベルト(4)、第2コンベアベルト(5)及び布(6)と加熱シリンダー(3)との密着と張力とを確保するために、オートクレーブ(2)はたとえばピストンによって押される圧力ローラー(図示しない)を備えていてもよい。圧力ローラーは、布(6)を加熱シリンダー(3)に押し付け、スチームによるアイロン掛け及びデカタイジング効果を高める。
【0026】
スチームの漏れを防ぐために本発明のデカタイジング用の連続オートクレーブ装置(1)を2atmより低い比較的低圧力で運転することには、制限が伴う。しかし、外部から水を注入することによって、オートクレーブ(2)の内部で過熱されているが飽和したスチームを好ましくは150℃〜160℃で得ることが可能である。こうして、オートクレーブ(2)の内部には水は存在すべきではないという技術的偏見は克服された。装置(1)を運転しているときに、水を、適当な注入手段を通じてオートクレーブ(2)に注入する。好ましくは、水は容積ポンプ(18)及び対応する注入口(19)を用いてオートクレーブ(2)に注入する。オートクレーブ(2)においては、水は加熱されたジャケット(13)と接触して絶えず蒸発し、これにより、オートクレーブ(2)の内部のスチーム湿度を著しく高める。
【0027】
同様に、水は、ジャケット(13)とシリンダー(3)との間に配置される他の加熱部材の方向に、たとえば補助的加熱手段(15)の方に向かって注入することもできる。
【0028】
別の態様においては、水は、スチーム注入手段(12)を通じて、たとえばスチームをオートクレーブ(2)に注入する前に、容積ポンプ(18’)を用いて注入することもできる。
【0029】
注入する水の量を容積ポンプを用いて調節することにより、デカタイジング効果を変えることができる。
【0030】
注入される水の蒸発によって起こり得るオートクレーブ(2)の内部圧力の変動によって注入されるスチームの量が影響を受けることがないようにするために、オートクレーブ(2)にスチームを注入するための手段(12)は1つ以上の片道バルブ(20)を備えていてもよい。
【0031】
水の制御された注入によってオートクレーブ(2)に含まれるスチームを水分で飽和させた状態に維持することによって、オートクレーブ(2)の内部圧力を比較的低く維持し、これにより、入口封止スロット(7)及び出口封止スロット(7’)にあまりストレスがかからないようにすることができる。
【0032】
図2には、布(6)が2つの連続ベルト、即ち第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)の間に挟持された状態がより詳細に示される。回転可能な加熱シリンダー(3)と直接的に接触する第1コンベアベルト(4)は、好ましくは通常の透過性フェルト製ベルトである。外側に位置する第2コンベアベルト(5)は、好ましくは不透過性ベルト(通常は、シリコーン製)である。
【0033】
第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、布(6)を、入口封止スロット(7)と第1コンベアベルト(4)及び第2コンベアベルト(5)がシリンダー(3)と密着する点との間の部分に挟持し、布(6)と2つのコンベアベルト(4)及び(5)とは、オートクレーブ(2)の中にある過熱されたスチームと接触する。このスチームは、スチーム注入手段(12)を用いて注入されたり、水注入手段(18、19)を用いて注入された水を加熱することによって得られたりするものである。透過性の第1コンベアベルト(4)は、スチームによって含浸され、第1コンベアベルト(4)と不透過性の第2コンベアベルト(5)との間にある布(6)に水分を伝える。第1コンベアベルト(4)、布(6)及び第2コンベアベルト(5)によって形成される多層構造体は加熱シリンダー(3)と接触するので、布(6)や透過性の第1コンベアベルト(4)に含まれるスチームは蒸発して拡散する傾向がある。不透過性の第2コンベアベルト(5)は非常に張力の大きい状態に維持されているので、第1コンベアベルト(4)、布(6)及び第2コンベアベルト(5)によって形成される多層構造体が加熱シリンダー(3)と接触する部分においてスチームとなった水が蒸発することによって布(6)に加わる付加的な圧力を発生させることができる。この部分において、オートクレーブ(2)の他の部分より著しく高い温度及び圧力を有する領域(21)が形成される(図2において点を付して示した領域。ただし、この領域は、第1コンベアベルト(4)、布(6)及び第2コンベアベルト(5)が相互に及び加熱シリンダー(3)と実際に緊密に接触するのに比例するように示したものではない)。したがって、単一のオートクレーブ(2)の内部において、布(6)は2つの異なる領域を通過し、これにより、2通りの異なるデカタイジング処理を受ける。第1の領域は、オートクレーブ(2)の内部につくられたスチームの状態によるものであり、第2の領域は、加熱シリンダー(3)との接触によって得られるより高い温度及び圧力に由来するものである。
【0034】
デカタイジング用の連続オートクレーブ装置(1)には、第1コンベアベルト(4)は備えずに不透過性の第2コンベアベルト(5)のみを備えるようにすることもできるであろうが、このような場合には、布(6)はより長くなる傾向がる。というのは、布(6)は、もはや両側から保護されるわけではないので、オートクレーブ(2)に入ったりオートクレーブ(2)から出たりするときに、入口封止スロット(7)や出口封止スロット(7’)との間に生ずる摩擦のために過度の引っ張り応力(tensioning stress)を受けやすいからである。
【0035】
湿度、温度及び圧力は、デカタイジング速度並びに処理すべき布(6)(たとえば、羊毛、混合布または合成布)の重量及び組成の関数として調整することができる。この際、デカタイジング速度が大きいほどデカタイジング処理時間が短くなること、及び、加熱すべき冷たい物質の量をより多くオートクレーブ(2)に導入すべきであることを、考慮することが必要である。
【0036】
布(6)が現実に到達する温度が145℃〜150℃に近いことを、たとえば粘着性及び温度感受性を有する紙(adhesive thermosensitive paper)を布(6)に適用することによって確認することができる。
【0037】
以下、純毛に対してデカタイジング処理を行う実施例(デカタイジング諸変数を示す)を挙げるが、この実施例は本発明を限定するものではない。
【0038】
実施例
直線1m当たり400gの重量を有する布(6)(純毛)を、本発明のデカタイジング用の連続オートクレーブ装置を用いて処理した。この装置のオートクレーブ(2)は、直径が1800mmであった。デカタイジング速度は約20m/分であった。オートクレーブ(2)に注入される水の量は、布の重量の約1%、即ち、約80g/分であった。
【0039】
オートクレーブ(2)のジャケット(13)の温度は、約180℃であった。
【0040】
シリンダー(3)の温度は、約180℃であった。
【0041】
オートクレーブ(2)の内部スチーム圧力は、約1.5barであった。
【0042】
デカタイジングの第1工程(ベルト(4)及びベルト(5)と加熱シリンダー(3)との接触がない)において布(6)が到達する温度は、約125℃〜130℃と見積もられた。一方、デカタイジングの第2工程(布(6)を挟持するベルト(4)及びベルト(5)が加熱シリンダー(3)と接触する)において布(6)が到達する温度は、約145℃〜150℃と見積もられた。
【0043】
布(6)のデカタイジング処理効果の永続性は、布(6)に湿った布を載せた上に熱い平たいアイロンを通過させて確認した。知られているように、熱い平たいアイロンと湿った布とが布(6)の上に環(ring)を残さなければ、デカタイジング処理効果は永続的である。アイロンを、上記の諸変数を有する装置(1)を用いてデカタイジング処理された布(6)の上を通過させると、環は形成されず、布(6)は光沢及び感触に関して永続的で最適な特性を有することが分かった。
【0044】
異なるデカタイジング処理効果を得るためにデカタイジング諸変数を変更することもできることに注意すべきである。たとえば、オートクレーブ(2)に注入される水の量がデカタイジング処理される布(6)の重量の約1%であって、布(6)がシリンダー(3)の上で過度に押圧されるのでない場合には、より圧縮された、デカタイジング処理された布(6)が得られる。一方、オートクレーブ(2)に注入される水の量がデカタイジング処理される布(6)の重量の約3〜4%であって、布(6)がシリンダー(3)の上でより強く押圧される場合には、より圧縮されてよりプラスチック様(plastic-like)の感触のある布が得られる。
【0045】
本発明の装置を用いることにより、オートクレーブ(2)に注入するスチームを、注入の前にオートクレーブ(2)の外部で著しく過熱する工程を含むデカタイジング処理を行うこともできる。
【0046】
さらにまた、あらかじめ加湿した布(6)を、スロットを有するオートクレーブ(2)に導入することもできる。
【0047】
当業者であれば、本願請求項の範囲内に留まりながら、上で説明した本発明の態様に可能な変更や追加を施すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のデカタイジング用の連続オートクレーブ装置の1態様の概略断面図である。
【図2】シリンダーの周囲への布の巻回をより詳細に描いた、図1に示したオートクレーブの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デカタイジング用の連続オートクレーブ装置(1)であって、加熱シリンダー(3)を含むオートクレーブ(2)及び、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)を含み、加熱シリンダー(3)はオートクレーブ(2)の中心軸の周囲を回転可能であり、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、ローラーで支持されており、処理すべき布(6)を両者の間に挟持して、入口封止スロット(7)を通じてオートクレーブ(2)へ導入し、出口封止スロット(7’)を通じてオートクレーブ(2)から取り出すことが可能であり、第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)は、加熱シリンダー(3)を取り囲み、その円筒状側面に密着するように配置されており、オートクレーブ装置(1)は、オートクレーブ(2)と同軸的に配置された、加熱手段(14)を備える内部ジャケット(13)をさらに含み、内部ジャケット(13)と加熱シリンダー(3)は、協働してオートクレーブ(2)の内部を140℃を越える温度にまで過熱するために、160℃〜200℃の範囲内の温度にまで加熱可能であり、また、オートクレーブ装置(1)が、オートクレーブ(2)にスチームを注入するための手段(12)を備えていることを特徴とするオートクレーブ装置(1)。
【請求項2】
オートクレーブ(2)に水を注入するための水注入手段(12、18,18’,19)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
水注入手段が、容積ポンプ(18)及び注入口(19)からなることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
水注入手段が、スチーム注入手段(12)と容積ポンプ(18’)からなることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置(1)。
【請求項5】
水注入手段(12、18,18’,19)が、1つ以上の片道バルブ(20)を備えることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項6】
オートクレーブ(2)の内部に配置された補助的加熱手段(15)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項7】
加熱シリンダー(3)と直接的に接触する第1コンベアベルト(4)が透過性ベルトであることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項8】
第2コンベアベルト(5)が不透過性であることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項9】
連続オートクレーブを用いるデカタイジング方法であって、次の各工程:
− 処理すべき布(6)を第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)の間に挟持する工程、
− 第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)によって、処理すべき布(6)をオートクレーブ(2)の入口封止スロット(7)を通じてオートクレーブ(2)へ導入する工程、
− 布(6)を挟持する第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)を、オートクレーブ(2)の内部に配置された回転可能な加熱シリンダー(3)に密着させる工程、及び
− 第1コンベアベルト(4)と第2コンベアベルト(5)によって、処理した布(6)をオートクレーブ(2)の出口封止スロット(7’)を通じてオートクレーブ(2)から取り出す工程
を含む方法において、さらに次の工程:
オートクレーブ(2)の内部ジャケット(13)と加熱シリンダー(3)を160℃〜200℃の範囲内の温度にまで加熱し、内部ジャケット(13)と加熱シリンダー(3)の協働により、オートクレーブ(2)の内部を140℃を越える温度にまで過熱する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
スチーム注入手段(12)を用いてオートクレーブ(2)にスチームを注入する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。
【請求項11】
オートクレーブ(2)に水を注入する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。
【請求項12】
オートクレーブ(2)に水を注入する工程を、スチーム注入手段(12)を用いて、オートクレーブ(2)にスチームを注入する工程と交互に行なうことを特徴とする、請求項11に記載のデカタイジング方法。
【請求項13】
補助的加熱手段(15)を用いてオートクレーブ(2)の内部をさらに加熱することを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。
【請求項14】
オートクレーブ(2)に注入するスチームを、注入前にオートクレーブ(2)の外部で顕著に過熱することを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。
【請求項15】
布(6)を、オートクレーブ(2)に導入する前に加湿することを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。
【請求項16】
請求項1のデカタイジング用連続オートクレーブ装置(1)を用いることを特徴とする、請求項9に記載のデカタイジング方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506056(P2010−506056A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531018(P2009−531018)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000441
【国際公開番号】WO2008/041258
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509095950)ビエッラ シュランク プロセス エス.エー.エス. ディ ピエトロ アルベルト アンド シー. (1)
【氏名又は名称原語表記】BIELLA SHRUNK PROCESS S.A.S. DI PIETRO ALBERTO & C.
【Fターム(参考)】