説明

デジタルカメラ

【課題】衝撃力を効果的に吸収し大型化を抑止したデジタルカメラを提供する。
【解決手段】入射被写体光を光軸上に位置する撮像素子25へ導いて光学像を結像させる光学系を有し全体として扁平形状の光学筐体4と、一方の面が上記扁平な光学筐体の外面に固定された衝撃吸収部材24と、上記衝撃吸収部材の他方の面に固定された薄板23と、
が一体的に組み付けられた組付体と、組付体を収納する収納部を有するカメラ本体と、を備え、薄板は組付体がカメラ本体収納部に収納された際、収納部の内面に対する移動が規制された状態で配置され、カメラ本体が外部から衝撃力を受けた際、組付体は、カメラ本体収納部において移動が規制された薄板に対して光学筐体を変位させることにより衝撃吸収部材を剪断変形させ、光学筐体の変位を衝撃吸収部材の剪断変形により吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルカメラ、詳しくは入射してきた被写体光を光軸上に配置される撮像素子へ導いて光学像を結像させるように構成された光学系を有する光学筐体をカメラ本体内部に収納してなるデジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光学レンズ等からなるレンズ鏡枠ユニットを含んで構成される光学筐体と、光学レンズによって結像される被写体の光学像を光電変換する撮像素子を含む撮像ユニット等を備えたデジタルカメラが種々実用化されている。
【0003】
これらのデジタルカメラは、使用者が常に携行して持ち運び、気軽に場所を選ばずに使用することができるように、常に機器全体の小型化が望まれている。
【0004】
一方、使用者がデジタルカメラを常に携行するようになると、例えばデジタルカメラの携行中に誤って落下させたり、意図せずに壁等に衝突させてしまう等の可能性が多くなる。しかしながら、このようなデジタルカメラは極めて精密に構成される機器であるので、外部から衝撃力を受けると、その外力の影響は内部構成物にまで及ぶことがあり、それによって内部構成物を破損させたり故障させてしまうことにもなりかねない。
【0005】
そこで、従来のデジタルカメラ等の小型機器においては、落下等の衝撃に対応するために、機器本体の内面に内部構成物が移動可能となるように構成すると共に、この移動可能な内部構成物の外面と機器本体の内面との間に緩衝部材を設けるようにフローティング構造で構成したものが、例えば特開2003−258971号公報,特開2005−306078号公報,特開2006−80987号公報,特開2006−40503号公報等によって種々提案されている。
【0006】
このようなフローティング構造の小型機器では、外力による衝撃力が機器本体外部に加わったとき、緩衝部材が圧縮されることで、その衝撃力が吸収されるようになっている。
【0007】
上記特開2003−258971号公報によって開示されている小型機器は、カメラユニットを保持しかつ輪郭を画定する本体ケースを備えた携帯電話機等であって、本体ケースを通してカメラユニットへ加わる衝撃力を緩和させるために、ユニットケースと本体ケースとの間であって、レンズの移動方向(光軸方向;X軸方向)及びそれと垂直な方向(Y軸方向)のそれぞれに沿う面に緩衝部材を設けて構成している。
【0008】
上記特開2005−306078号公報によって開示されている小型機器は、車室内のダッシュパネルに設置される車載用プレーヤ装置であって、ダッシュパネルに組み込まれる外筐体と、この外筐体に収納される装置本体とのあいだに緩衝部材を介在させて構成している。
【0009】
上記特開2006−80987号公報及び上記特開2006−40503号公報によって開示されている小型機器は、機器本体内に収納されるディスク状記録媒体カートリッジを着脱自在に収納するスロット部の外面と、他の内部構成物との間に緩衝部材を介在させて構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−258971号公報
【特許文献2】特開2005−306078号公報
【特許文献3】特開2006−80987号公報
【特許文献4】特開2006−40503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記特開2003−258971号公報によって開示されている手段では、レンズの移動方向(X軸方向)及びそれと垂直な方向(Y軸方向)のそれぞれに沿う面に緩衝部材を配設したので、レンズ移動方向(X軸方向)に衝撃力が加わった場合、緩衝部材にかかる力は押圧力と剪断力となる。この場合には、緩衝部材が圧縮された際の反発力と剪断力とが互いにその効力を打ち消し合ってしまうことになる。
【0012】
また、デジタルカメラ等においては、光学レンズ等を有する光学筐体がカメラ本体内部に収納して構成されているのであるが、この光学筐体は、レンズ移動方向(X軸方向)以外の方向、即ちY軸方向,Z軸方向については、カメラ本体等によって、外部からの衝撃力に対する強度が確保されていると言える。その一方で、光学筐体内の光学レンズは、例えば合焦動作や変倍動作等のために所定の方向(光軸方向)への移動が自在となるように構成されている。このことは、特に光軸に沿う方向の外力が光学筐体に加わった場合には、強度的に不利な構成であると言える。また、上述のように緩衝部材の圧縮力により衝撃を吸収する手段では、緩衝部材の圧縮に伴って生じる反発力が光学筐体に影響を及ぼすことも考えられる。
【0013】
さらに、機器内面に緩衝部材を設ける場合、その厚み分だけ機器内部の空間が必要となる。特に光学レンズが移動する方向である光軸方向の寸法は確実に確保しなければならないという事情から、光軸方向と直交する方向に沿う面に緩衝部材を設けた場合、長手方向の大型化につながってしまうという問題点もある。
【0014】
一方、緩衝部材を圧縮させることで衝撃を吸収させる手段では、緩衝部材の厚みが衝撃吸収性に寄与しており、緩衝部材が薄くなるほどその効果は少なくなるという傾向がある。
【0015】
その反面、携行して使用するデジタルカメラ等にあっては、機器本体の小型化や薄型化への要求が常にあるため、機器本体と内部構成物との間に充分な衝撃吸収性能を有する緩衝部材を配設する空間を確保することは困難な状況となっているという問題点もある。
【0016】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、衝撃吸収部材によって生じる反発力等の影響を受けずにレンズの移動方向にかかる衝撃力を吸収し得ると共に、衝撃吸収部材を設けても機器本体の大型化を抑えることのできるデジタルカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によるデジタルカメラは、入射してきた被写体光を光軸上に位置する撮像素子へ導いて光学像を結像させるための光学系を有し、全体として扁平な形状をした光学筐体と、一方の面が上記扁平な光学筐体の外面に固定された衝撃吸収部材と、上記衝撃吸収部材の他方の面に固定された薄板と、が一体的に組み付けられた組付体と、
上記組付体を収納する収納部を有するカメラ本体と、
を具備し、
上記組付体を形成する薄板は、当該組付体が上記カメラ本体の収納部に収納された際、当該収納部の内面に対する移動が規制された状態で配置され、
上記カメラ本体が外部から衝撃力を受けた際、上記組付体は、上記カメラ本体収納部において移動が規制された上記薄板に対して上記光学筐体を変位させることにより上記衝撃吸収部材を剪断変形させ、当該光学筐体の変位を当該衝撃吸収部材の剪断変形により吸収する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カメラ本体に衝撃を受けたときにレンズの移動方向にかかる衝撃力を吸収し得ると共に、衝撃吸収部材を設けても機器本体のレンズ移動方向の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のデジタルカメラの外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態のデジタルカメラの背面を示す背面図。
【図3】本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体に対する光学筐体の配置状態を概略的に示す要部拡大図。
【図4】本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体と光学筐体を取り出してその組み立て構造を示す分解斜視図。
【図5】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の前面に配設される衝撃吸収手段を分解して示す分解斜視図。
【図6】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の前面に衝撃吸収手段が取り付けられた状態を示す組立図。
【図7】本実施形態のデジタルカメラにおける衝撃吸収手段のみを取り出して示す要部拡大斜視図。
【図8】本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の衝撃吸収手段の取り付け部位の断面(図6の[8]−[8]線に沿う断面)を拡大して示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0021】
図1〜図8は、本発明の一実施形態を示す図である。このうち図1は、本実施形態のデジタルカメラの外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態のデジタルカメラの背面を示す背面図である。この図2においては、デジタルカメラの背面側の一部を破いて内部に設けられる光学筐体の配置を示している。図3は、本デジタルカメラのカメラ本体に対する光学筐体の配置状態を概略的に示す要部拡大図である。図4は、本実施形態のデジタルカメラのカメラ本体と光学筐体を取り出してその組み立て構造を示す分解斜視図である。図5,図6は、本実施形態のデジタルカメラの光学筐体を取り出してその前面側から見た外観斜視図であって、図5は光学筐体の前面に配設される衝撃吸収手段を分解して示す分解斜視図である。図6は、光学筐体の前面に衝撃吸収手段が取り付けられた状態を示す組立図である。図7は、本実施形態のデジタルカメラにおける衝撃吸収手段のみを取り出して示す要部拡大斜視図である。図8は、本実施形態のデジタルカメラの光学筐体の衝撃吸収手段の取り付け部位の断面(図6の[8]−[8]線に沿う断面)を拡大して示す要部拡大断面図である。
【0022】
本実施形態のデジタルカメラ(以下、カメラと略記する)1は、略直方体の箱型形状からなるカメラ本体と、このカメラ本体の内部に組み付けられる光学筐体4等や各種のユニット,電気回路等の内部構成物と、カメラ本体の表面上に配設され内部構成物に連繋する各種の操作部材等によって主に構成されている。
【0023】
本実施形態のカメラ1を構成する光学筐体4は、第1の光軸に沿って入射してきた被写体光を、この第1の光軸に対して直交する第2の光軸方向へと折り曲げて、この第2の光軸上に配置される撮像素子の受光面に光学的な被写体像を結像させるように構成される折り曲げ光学系や、シャッタ,レンズ駆動装置等を含むレンズ鏡枠ユニットによって主に構成されている。
【0024】
また、本実施形態のカメラ1を構成するカメラ本体は、図に示すように、前面,両側面,上面,底面を覆うように形成される前面カバー部材2と、主に背面側を覆うように形成される背面カバー部材3とを組み合わせた形態で箱形状に構成されている。そして、このカメラ本体内部の所定の部位には光学筐体4が移動可能に配置されている。
【0025】
カメラ本体の背面側の背面カバー部材3には、例えばズーム用のTボタン及びWボタン,動作モード設定ボタン,撮影及び再生動作切換ボタン,メニュー表示操作ボタン,撮影領域切換ボタン(マクロボタン),ストロボモード切換ボタン,セルフタイマーボタン,露出補正切換ボタン等等、撮影及び再生時に実行すべき各種の操作入力を行う際に用いられる複数の操作部材13と、表示装置の表示部16が設けられている。
【0026】
背面カバー部材3の略中央部には、表示部16の表示が外部に向けて露出し得るように表示窓16a(図4参照)が開口している。カメラ本体の上面側にはシャッターボタン14,電源操作ボタン15等の操作部材が配設されている。
【0027】
前面カバー部材2には、当該カメラ本体内部に設けられる光学筐体4(図1では図示せず)に対して光束を入射させるための撮影用窓2dや閃光発光装置の発光用窓2e等が開口されている。
【0028】
カメラ1は、前面カバー部材2と背面カバー部材3とを組み合わせた状態で、両者の四隅の部位をネジ等の連結部材を用いて互いに固設することで箱形状のカメラ本体が形成されるようになっている。
【0029】
このように形成されるカメラ本体の内部空間には、光学筐体4や表示装置等の複数の内部構成ユニットや、各種の電気回路を形成する複数の回路基板及び電気部材等(例えば図4に示すメイン基板18やストロボコンデンサ17等)が各所定の部位に配設されている。
【0030】
本実施形態においては、これら複数の内部構成物のうち特に光学筐体4の配置に着目する。
【0031】
光学筐体4は、全体として扁平な形状をしており、前面カバー部材2の撮影用窓2d(図1参照)から第1の光軸O1に沿って入射してきた被写体からの光束を、反射プリズム(特に図示せず)によって第1の光軸O1に対して直交する方向へと折り曲げて、折り曲げられた後の第2の光軸O2上であって当該光学筐体4の底面側に配設されている撮像素子25(図3参照)側へと導き、その受光面上に光学的な被写体像を結像させるように構成される折り曲げ光学系を構成する複数の光学レンズ及びそのレンズ保持枠等からなるレンズ鏡枠ユニットを有している。
【0032】
また、特に詳細な図示は省略しているが、光学筐体4は、このほかにも例えばシャッタユニット,このシャッタユニットを駆動するシャッタ駆動モータ,フォーカシングモータ,ズーミングモータ,撮像素子25(図3参照)を実装した電気基板等が一体に、光軸O2方向に移動可能となるように構成されている。これらの各構成部材や、その配置については、本発明とは直接関連しない部分であるので、一般的な折り曲げ光学系を有する光学筐体を備えたカメラの構成に準ずるものとして、その詳細説明は省略する。
【0033】
この光学筐体4は、本カメラ1のカメラ本体の内部において、例えば図2に示すようにカメラ本体内部の一方の側面に寄った所定の部位に配設されている。なお、光学筐体4のカメラ本体内部における配置については、本実施形態の例に限ることはなく、例えばカメラ本体内部の略中央部分に配設するようにしてもよい。
【0034】
この場合において、カメラ1の前面カバー部材2の内面には、図3に示すように光学筐体4をその第2の光軸O2に沿う方向にのみ摺動自在に収納するように収納部2xが形成されている。なお、図3において斜線で示される枠内の部位が、収納部2xに相当することを示している。
【0035】
この収納部2xは、カメラ1の前面カバー部材2の内面に光学筐体4の外形形状に合わせて段差をつけて形成されており、光学筐体4の第2の光軸O2を挟んで両側に支持部2f,2g,2h,2iが設けられている。
【0036】
そして、この収納部2x内に光学筐体4が配置された状態では、これらの支持部2f,2g,2h,2iに対して光学筐体4の四隅の近傍部位、即ち図3に示す符号4f,4g,4h,4iの部位が面接触するようになっている。
【0037】
つまり、光学筐体4の四隅の部位4f,4g,4h,4iのそれぞれが収納部2xの支持部2f,2g,2h,2iに対して面接触することによって、光学筐体4は、前面カバー部材2の収納部2x内において第2の光軸O2に沿う方向にのみ摺動自在に支持されており、かつ第2の光軸O2に対して直交する方向であって図4に示すY軸方向への移動が規制されている。
【0038】
さらに、当該光学筐体4の背面側の外面には、図4に示す板状オサエ部材21(図3では図示せず)が配設されており、この板状オサエ部材21は、前面カバー部材2の内面側に設けられる固定部材2j,2k,2lに対して複数のビス31(図4参照)によってネジ止め固定されている。
【0039】
つまり、光学筐体4は、前面カバー部材2の収納部2x内に配置された状態で、前面カバー部材2の内面と板状オサエ部材21との間に挟持された形態で配設されている。したがって、これにより光学筐体4は、第2の光軸O1に沿う方向であって、図4に示すZ軸に沿う方向への移動が規制されている。
【0040】
一方、光学筐体4を本カメラ1のカメラ本体の収納部2xに配置したとき、光学筐体4の外面(前面)と、これに対向する前面カバー部材2の内面の収納部2xとの間には、図4,図5等に示すように、衝撃吸収手段が配置されている。
【0041】
この衝撃吸収手段は、図7に示すように、弾性を有するブチル系ゴム部材等からなり薄平板状に形成される衝撃吸収部材24と、金属若しくは樹脂等からなる薄板23とによって形成されている。
【0042】
衝撃吸収部材24は、一面が光学筐体4の前面の外面部分に接着固定されており、他面が薄板23の一面に接着固定されている。この場合において、衝撃吸収部材24の厚さ寸法や接着面積の大きさ等は、光学筐体4の重さや加わる衝撃加速度等によって決定されるものであるが、本実施形態で例示するような小型カメラ等においては、衝撃吸収部材24の厚さ寸法としては、例えば約0.5〜1mm(ミリメートル)程度としている。
【0043】
薄板23は、カメラ本体1の前面カバー部材2の収納部2xの内面部分の所定の部位に固定されるようになっている。
【0044】
即ち、薄板23には、図5,図6等に示すように、衝撃吸収手段が光学筐体4に組み付けられた状態で、第2の光軸O2を挟んで対向する両側縁に切欠部23m,23nが形成されている。
【0045】
これに対して、前面カバー部材2の収納部2xの内面側には、衝撃吸収手段を組み付けた光学筐体4が前面カバー部材2の収納部2x(カメラ本体側)に収納された状態となったとき、切欠部23m,23nに対向する部位に、図4に示すように係止突部2m,2nが形成されている。
【0046】
これにより、衝撃吸収手段が組み付けられた状態の光学筐体4を前面カバー部材2の収納部2xに収納した状態においては、薄板23の切欠部23m,23nのそれぞれが、収納部2xの係止突部2m,2nにそれぞれに係止されるようになっている。これにより、薄板23は、第2の光軸O2に沿う方向(図4のX軸方向)への移動が規制された状態で前面カバー部材2に対して固定されている。
【0047】
なお、薄板23の略中央部近傍には、図5等に示すように複数の孔部が形成されている。これらの孔部は、衝撃吸収部材24と薄板23との間を接着固定した際に、余分な接着剤等を逃がすために設けられているものである。
【0048】
このように構成される衝撃吸収手段は、前面カバー部材2の内面(収納部2x内)と光学筐体4の前面(少なくとも一つの外面)との間に挟持されている。
【0049】
したがって、これにより、衝撃吸収手段は、例えば衝撃により本カメラ1のカメラ本体内部で光学筐体4が相対的に第2の光軸O2に沿う方向にスライド変位したとき、カメラ本体の内面部分、即ち前面カバー部材2の収納部2xの内面と光学筐体4の外面部分、即ち光学筐体4の前面との間に生じる第2の光軸O2方向の剪断力によって衝撃を吸収することができるようになっている。
【0050】
換言すれば、衝撃吸収部材24は、上述したように弾性を有するゴム系部材からなるものであるので、剪断方向、即ち光学筐体4の第2の光軸O2に沿う方向(図4に示すX軸に沿う方向;光学レンズが移動する方向)の外力(なお、X軸方向の分力を含む)が加わった場合には、衝撃吸収部材24が剪断変形することによって光学筐体4をカメラ本体(前面カバー部材2)に対して相対的に同方向(第2の光軸O2に沿う方向であってX軸に沿う方向)に若干移動させ得るようになっている。
【0051】
そして、この場合において、光学筐体4が第2の光軸O2に沿う方向(X軸に沿う方向)に移動することを許容して光学筐体4がカメラ本体と干渉するのを避けるために、光学筐体4の移動方向(第2の光軸方向)の両端部とカメラ本体内面との間の所定の部位、即ち図2,図3の符号A,Bで示す部位には、若干の隙間空間が形成されるように、前面カバー部材2の内面に対する光学筐体4の配置が規定されている。
【0052】
なお、この隙間空間A,Bは、衝撃吸収部材24の素材によって決まる弾性力や剪断方向の衝撃吸収力や、光学筐体4の重量や、カメラ1自体の重量や、衝撃等による加わる外力の力量等等、様々な要因によって設定されるものである。
【0053】
そして、当該隙間空間A,Bは、例えば光学筐体4の移動量を考慮すると充分な寸法を確保すべきものではあるが、より大きな衝撃力量を想定する等によって必要以上に広い隙間寸法を確保すると、カメラ本体を小型化するという要求に応えることができない。したがって、設計に際しては、装置の小型化をも合わせて考慮すると、本実施形態で例示するような小型カメラ等においては、例えば隙間空間A,Bの寸法としては、それぞれ約1mm(ミリメートル)程度を確保している。
【0054】
なお、衝撃吸収部材24は、光学筐体4の背面側と板状オサエ部材21との間に配置して構成する別の形態の衝撃吸収手段も考えられる。
【0055】
したがって、光学筐体4の前面側に衝撃吸収部材を設ける上記一実施形態の構成例と、衝撃吸収手段を背面側に設ける上記別の構成例との両方を適用した構成例も考えられる。
【0056】
以上説明したように上記一実施形態によれば、カメラ本体に対して光学筐体4を光学レンズの移動方向(第2の光軸O2に沿う方向;図4のX軸方向)に沿う方向にのみ移動可能に配設し、かつ衝撃等による外力が加わった場合には、カメラ本体の収納部2x内部で光学筐体4が一定方向に相対的に変位したとき、光学筐体4とカメラ本体とが干渉しないように、光学筐体4の移動方向に所定の隙間を設けて、カメラ本体に対して光学筐体4を配置すると共に、光学筐体4の一面とカメラ本体内面との間に弾性を有する薄板形状の衝撃吸収部材24が挟持されるように介在させて構成したので、衝撃吸収部材24は、カメラ本体内部で光学筐体4が相対的に変位したとき、光学筐体4の一面とカメラ本体内の一面との間に生じる剪断方向の変位を吸収する。したがって、これにより、カメラ本体に対する外部からの衝撃等によって加わる外力を吸収し減衰させることができ、カメラ本体内部の光学筐体4を保護することができる。
【0057】
また、衝撃吸収部材24は、剪断方向の変位を吸収し得るようにしたので、より薄板形状で形成することができ、よって充分な衝撃吸収性を備えながらも装置の小型化に寄与することができる。
【0058】
さらに、衝撃吸収部材24は、移動のための空間を必要とする光学レンズの移動方向ではなく、光学レンズの移動方向に沿う面に配設するようにしたので、装置の小型化に寄与することができる。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0060】
1……カメラ
2……前面カバー部材
3……背面カバー部材
4……光学筐体
21……板状オサエ部材
23……薄板
24……衝撃吸収部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射してきた被写体光を光軸上に位置する撮像素子へ導いて光学像を結像させるための光学系を有し、全体として扁平な形状をした光学筐体と、一方の面が上記扁平な光学筐体の外面に固定された衝撃吸収部材と、上記衝撃吸収部材の他方の面に固定された薄板と、が一体的に組み付けられた組付体と、
上記組付体を収納する収納部を有するカメラ本体と、
を具備し、
上記組付体を形成する薄板は、当該組付体が上記カメラ本体の収納部に収納された際、当該収納部の内面に対する移動が規制された状態で配置され、
上記カメラ本体が外部から衝撃力を受けた際、上記組付体は、上記カメラ本体収納部において移動が規制された上記薄板に対して上記光学筐体を変位させることにより上記衝撃吸収部材を剪断変形させ、当該光学筐体の変位を当該衝撃吸収部材の剪断変形により吸収するようにしたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
上記組付体を形成する薄板には、上記衝撃吸収部材と上記薄板とを接着固定する際、余分な接着剤を逃がすための孔部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
上記カメラ本体の収納部内面には、上記組付体を形成する薄板と係合するための係止突起が設けられ、上記組付体を形成する薄板には該係止突起に係止する切欠部が設けられ、該薄板の切欠部を上記カメラ本体収納部の係止突起に係止することにより、上記薄板を上記カメラ本体収納部の内面に係止して上記組付体を上記カメラ本体収納部に収納配置することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
上記組付体を形成する光学筐体には、第1の光軸に沿って入射してきた被写体光を、当該第1の光軸と垂直な第2の光軸方向へ反射させ、当該第2の光軸上に位置する撮像素子へ光学像を結像させるための折り曲げ光学系が設けられ、
上記カメラ本体の収納部内面には、上記第2の光軸を挟んでその両側に係止突起が設けられ、上記組付体を形成する薄板は該係止突起に係止する切欠部を有して、該薄板の切欠部を上記カメラ本体収納部の係止突起に係止することにより、上記薄板を上記カメラ本体収納部に対して係止して上記組付体を上記カメラ本体収納部に収納配置することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
上記組付体を形成する光学筐体を、上記カメラ本体収納部の内面との間で挟持する押さえ部材を有し、当該押さえ部材は、上記扁平な光学筐体の外面であって、上記カメラ本体収納部の内面と対向する上記外面に垂直な方向に当該光学筐体を押圧することを特徴とする請求項4に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−130506(P2011−130506A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55770(P2011−55770)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2007−303352(P2007−303352)の分割
【原出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】