説明

デジタルカメラ

【課題】 高速処理に対応したデジタルカメラにおいて、消費電力を低減する。
【解決手段】 デジタルカメラは、撮像部、バッファ部、画像処理部、処理判定部および電力制御部を有している。撮像部は、被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を有し、撮影画像の画像データを生成する。バッファ部は、終端抵抗を有し、画像データを一時的に記憶する。画像処理部は、画像データに対して、画像処理を実施する。処理判定部は、高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されるか否かを判定する。そして、電力制御部は、高送処理が実施されていない場合、バッファ部の終端抵抗を無効にするとともに、バッファ部に供給されるクロックを終端抵抗が有効のときに比べて低速にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラは、被写体の像を電気信号に変換して画像データを生成する撮像部と、画像データを一時的に記憶するメモリと、画像データに対して画像処理を実施する画像処理部とを有している。近年、画素数の増加に伴い、画像処理部等に使用されるクロックが高速化され、デジタルカメラの消費電力が増加している。なお、電池から電源電圧が供給されるデジタルカメラでは、消費電力を低減するために、撮像部の撮像素子の温度に応じてクロックの周波数を下げる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、一般的なメモリは、終端抵抗を接続または非接続のどちらかに固定された状態で、システムに搭載される。例えば、デジタルカメラでは、消費電力を低減するために、メモリは、終端抵抗を接続しない状態に固定される。また、パーソナルコンピュータ等では、高速処理を実現するために、メモリは、終端抵抗を接続した状態に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−223588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画素数の著しい増加に伴い、デジタルカメラは、画像処理等をさらに高速に実施することが要求されている。例えば、デジタルカメラに搭載されるメモリが終端抵抗を接続しない状態に固定された構成では、信号の反射を十分に低減できないため、画像処理等をさらに高速に実施することは、困難である。一方、デジタルカメラは、電池を長時間使用可能にするために、消費電力を低減することが要求されている。なお、高速処理を実現するために、デジタルカメラに搭載されるメモリが終端抵抗を接続した状態に固定された場合、消費電力は、著しく増加する。
【0006】
本発明の目的は、高速処理に対応したデジタルカメラにおいて、消費電力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
デジタルカメラは、撮像部、バッファ部、画像処理部、処理判定部および電力制御部を有している。撮像部は、被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を有し、撮影画像の画像データを生成する。バッファ部は、終端抵抗を有し、画像データを一時的に記憶する。画像処理部は、画像データに対して、画像処理を実施する。処理判定部は、高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されるか否かを判定する。そして、電力制御部は、高送処理が実施されていない場合、バッファ部の終端抵抗を無効にするとともに、バッファ部に供給されるクロックを終端抵抗が有効のときに比べて低速にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高速処理に対応したデジタルカメラにおいて、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるデジタルカメラの概要を示す図である。
【図2】図1に示したデジタルカメラの動作の一例を示す図である。
【図3】別の実施形態におけるデジタルカメラの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を示している。この実施形態のデジタルカメラ10は、光学系20、撮像部30、バッファ部40、画像処理部50、制御部60、クロック生成部70、タイミングジェネレータ80、温度検出部90、電源部100、メモリ110、記憶媒体120、モニタ130および操作部140を有している。例えば、撮像部30、バッファ部40、画像処理部50、制御部60、メモリ110、記憶媒体120およびモニタ130は、バスBUSに接続されている。すなわち、撮像部30、バッファ部40、画像処理部50、制御部60、メモリ110、記憶媒体120およびモニタ130は、バスBUSを介して、互いに接続されている。
【0012】
光学系20は、被写体の像を撮像素子31の受光面に結像する撮影レンズ21を有している。なお、光学系20は、撮影レンズ21の他に、ズームレンズやフォーカスレンズ等を有してもよい。
【0013】
撮像部30は、撮像素子31、アナログ処理部32およびA/D変換部33を有し、撮影画像の画像データを生成する。例えば、撮像素子31は、CCDイメージサンサーやCMOSイメージセンサーである。撮像素子31は、撮影レンズ21を介して入射される被写体の像を電気信号(以下、画像信号とも称する)に変換し、変換した電気信号をアナログ処理部32に出力する。アナログ処理部32は、撮像素子31から受けた画像信号に対してアナログ信号処理を実施するアナログフロントエンド回路である。例えば、アナログ処理部32は、画像信号のゲインを調整するゲイン制御や画像信号のノイズ成分を低減するための相関二重サンプリング処理等を実施する。A/D変換部33は、アナログ処理部32から受けたアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。そして、例えば、撮像部30は、A/D変換部33によりデジタルの画像信号に変換された画像データを、バッファ部40に一時的に記憶する。
【0014】
バッファ部40は、例えば、DDR(Double Data Rate)方式のSDRAMにより構成され、画像データ等のデータを一時的に記憶する。なお、バッファ部40は、DDR方式以外のSDRAMにより構成されてもよいし、SDRAM以外の半導体メモリにより構成されてもよい。例えば、バッファ部40は、メモリコントローラMCNT、メモリブロックMBLKおよび終端抵抗RTを有している。メモリコントローラMCNTは、バッファ部40の外部から受けたアドレスやコマンド等を示す信号に基づいて、メモリブロックMBLのアクセスを制御する。メモリブロックMBLKは、画像データ等のデータを一時的に記憶する。
【0015】
終端抵抗RTは、例えば、信号の反射を低減するために、バッファ部40の信号の伝送路の端部と終端電源VTT(入出力信号用の電源電圧の1/2の値)との間に接続される。なお、終端抵抗RTは、メモリブロックMBLK内に設けられてもよい。例えば、ODT(On Die Termination)機能を有するDDR2方式等のSDRAMによりバッファ部40が構成されている場合、終端抵抗RTは、メモリブロックMBLK内に設けられている。また、終端抵抗RTは、抵抗制御信号RCONに基づいて、有効および無効のいずれかに設定される。
【0016】
例えば、バッファ部40は、終端抵抗RTを無効にすることを示す抵抗制御信号RCONを受けた場合、終端電源VTTの終端抵抗RTへの供給を停止し、終端抵抗RTを無効にする。すなわち、終端抵抗RTが無効の場合、伝送路は、終端電源VTTに電気的に非接続される。換言すれば、終端抵抗RTが有効の場合、伝送路は、終端抵抗RTを介して終端電源VTTに電気的に接続される。なお、例えば、ODT機能を有するDDR2方式等のSDRAMによりバッファ部40が構成されている場合、ODT機能は、抵抗制御信号RCONにより制御される。
【0017】
画像処理部50は、撮像部30により生成された画像データに対して、ホワイトバランス処理、輪郭補償処理、ガンマ処理等の画像処理を実施する。なお、画像処理部50は、撮像部30により生成された画像データをバッファ部40から読み出してもよいし、撮像部30から画像データを順次受信してもよい。そして、画像処理部50は、画像処理が実施された画像データを、バッファ部40に一時的に記憶する。
【0018】
また、画像処理部50は、画像処理が実施された画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等で圧縮する圧縮処理等を実施してもよい。例えば、画像処理部50は、画像処理が実施された画像データをバッファ部40から読み出し、読み出した画像データをJPEG形式等で圧縮し、圧縮した画像データをバッファ部40に一時的に記憶する。なお、画像処理部50は、制御部60内に設けられてもよい。
【0019】
制御部60は、例えば、マイクロプロセッサであり、メモリ110に記憶されているプログラムに基づいて、デジタルカメラ10の動作を制御する。例えば、制御部60は、自動ホワイトバランス制御、自動焦点制御、自動露出制御および画像データの記録等を実施する。また、制御部60は、処理判定部61、温度判定部62、電源判定部63および電力制御部64を有し、省電力化のための制御を実施する。
【0020】
処理判定部61は、高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されるか否かを判定する。例えば、連写による撮影が実施される場合や動画撮影が実施される場合、デジタルカメラ10は、撮像部30による画像データの生成処理、画像処理部50による画像処理や圧縮処理等を高速で実施する必要がある。この場合、例えば、画像データは、高速なデータ転送により、バッファ部40等に送受信される。
【0021】
すなわち、処理判定部61は、例えば、連写による撮影が実施される場合や動画撮影が実施される場合、高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されると判定する。なお、例えば、撮影終了後の画像データの再生処理では、データ転送を高速で実施しなくてもよい。したがって、処理判定部61は、例えば、再生処理が実施される場合、高速処理は実施されないと判定する。
【0022】
温度判定部62は、温度検出部90により検出された温度が予め設定された閾値温度より高いか否かを判定する。例えば、撮像素子31等のデバイスが破壊されない温度範囲の上限(以下、上限温度とも称する)が70度であり、閾値温度が60度である場合、温度判定部62は、温度検出部90により検出された温度が60度より高いか否かを判定する。
【0023】
電源判定部63は、電源の種類を識別する。例えば、電源部100により生成される電源電圧が図示しない電池の出力電圧から生成されている場合、電源判定部63は、電源の種類を電池と判定する。また、例えば、電源部100により生成される電源電圧が図示しないACアダプタを介して供給される電圧から生成されている場合、電源判定部63は、電源の種類をAC電源と判定する。
【0024】
電力制御部64は、処理判定部61、温度判定部62および電源判定部63の判定結果を受け、抵抗制御信号RCONをバッファ部40に出力し、クロック制御信号CCONをクロック生成部70に出力する。例えば、抵抗制御信号RCONは、終端抵抗RTを有効にするか無効にするかを示す信号である。すなわち、終端抵抗RTの有効/無効(オン/オフ)は、抵抗制御信号RCONに基づいて切り替えられる。また、クロック制御信号CCONは、クロックCLKを高速にするか否かを示す信号である。
【0025】
すなわち、電力制御部64は、処理判定部61、温度判定部62および電源判定部63の判定結果に基づいて、終端抵抗RTの有効/無効の制御およびクロックCLKの周波数の制御を実施する。例えば、電力制御部64は、高速処理が実施されないと処理判定部61により判定された場合、終端抵抗RTを無効にするとともに、クロック生成部70により生成されるクロックCLKを終端抵抗RTが有効のときに比べて低速にする。
【0026】
クロック生成部70は、クロック制御信号CCONにより設定された周波数のクロックCLK(CLK1、CLK2、CLK3、CLK4・・・)を生成し、生成したクロックCLKを制御部60等の各ブロックに供給する。例えば、クロックCLK1は、制御部60の動作クロックであり、クロックCLK2は、バッファ部40の動作クロックである。また、クロックCLK3は、画像処理部50の動作クロックであり、クロックCLK4は、タイミングジェネレータ80の動作クロックである。なお、図では、図を見やすくするために、バッファ部40、画像処理部50、制御部60およびタイミングジェネレータ80以外のブロックに供給されるクロックCLKの接続線を省略している。
【0027】
例えば、クロック生成部70により生成されるクロックCLKは、クロック制御信号CCONに基づいて、高速クロックCLKと、高速クロックCLKより低速な低速クロックCLKとのいずれかに設定される。クロック生成部70から高速クロックCLKが供給される場合、デジタルカメラ10は、相対的に高速な処理を実施できる。すなわち、デジタルカメラ10は、高速処理に対応している。
【0028】
ここで、例えば、高速クロックCLK(CLK1、CLK2、CLK3、CLK4・・・)の周波数の比は、制御部60により予め設定されている。同様に、低速クロックCLK(CLK1、CLK2、CLK3、CLK4・・・)の周波数の比は、制御部60により予め設定されている。なお、クロック生成部70は、画像処理部50、制御部60およびタイミングジェネレータ80のいずれかの内部に設けられてもよい。
【0029】
タイミングジェネレータ80は、制御部60により制御され、撮像部30の駆動タイミングを制御する。すなわち、撮像部30は、クロックCLK4に同期して動作する。なお、タイミングジェネレータ80は、撮像部30や制御部60の内部に設けられてもよい。
【0030】
温度検出部90は、例えば、撮像素子31の周辺に設置され、撮像素子31の周辺の温度を検出する。そして、温度検出部90は、検出した温度を温度判定部62に通知する。なお、温度検出部90は、画像処理部50の周辺に設置されてもよいし、複数の位置に設置されてもよい。温度検出部90が複数の位置に設置された場合、温度判定部62は、例えば、複数の位置の温度検出部90から通知された温度のうちの最高温度を、温度検出部90により検出された温度として、閾値温度と比較する。
【0031】
電源部100は、電源電圧を生成し、生成した電源電圧を制御部60等の各ブロックに供給する。なお、図では、図を見やすくするために、制御部60以外のブロックに供給される電源電圧の電源線を省略している。例えば、電源部100は、ACアダプタ(図示せず)を介して電圧が電源部100に供給されている場合、ACアダプタを介して供給される電圧から電源電圧を生成する。また、例えば、電源部100は、ACアダプタを介して電圧が電源部100に供給されていない場合、電池(図示せず)の出力電圧から電源電圧を生成する。
【0032】
メモリ110は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで形成された内蔵メモリであり、デジタルカメラ10の動作を制御するためのプログラム等を記憶する。なお、メモリ110は、撮影された画像の画像データ等を記憶してもよい。記憶媒体120は、記憶媒体インターフェース(図示せず)を介して、撮影された画像の画像データ等を記憶する。モニタ130は、例えば、液晶ディスプレイであり、スルー画像、撮影された画像、メモリ110に記憶された画像、記憶媒体120に記憶された画像およびメニュー画面等を表示する。操作部140は、レリーズボタンおよびその他の各種スイッチを有し、デジタルカメラ10を動作させるために、ユーザにより操作される。
【0033】
図2は、図1に示したデジタルカメラ10の動作の一例を示している。なお、ステップS100−S160は、制御部60により、例えば、メモリ110に記憶されたプログラムに従って実施される。
【0034】
ステップS100では、処理判定部61は、高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されるか否かを判定する。例えば、処理判定部61は、高速処理か否かを判定するための判定用情報(高速処理に対応する処理を示す情報等)に基づいて、高速処理が実施されるか否かを判定する。例えば、判定用情報は、デジタルカメラ10の設計時のシミュレーションや実験等に基づいて予め生成され、メモリ110に記憶されたプログラム等に含まれている。なお、判定用情報は、ファームウエアの更新等により、更新されてもよい。
【0035】
高速処理が実施されない場合(ステップS100のNo)、制御部60(より詳細には、電力制御部64)は、ステップS150、S160において、省電力化のための制御を実施する。これにより、この実施形態では、高速処理が実施されていないときのデジタルカメラ10の消費電力を低減できる。一方、高速処理が実施される場合(ステップS100のYes)、制御部60の動作は、ステップS110に移る。
【0036】
ステップS110では、温度判定部62は、温度検出部90により検出された温度が予め設定された閾値温度より高いか否かを判定する。温度検出部90により検出された温度が閾値温度より高い場合(ステップS110のYes)、制御部60は、ステップS150、S160において、省電力化のための制御を実施する。これにより、この実施形態では、撮像素子31等のデバイスの温度が高い場合に、消費電力が増加することを防止できる。この結果、この実施形態では、撮像素子31等のデバイスが上限温度より高くなることを防止でき、撮像素子31等のデバイスの破壊を防止できる。一方、温度検出部90により検出された温度が閾値温度以下の場合(ステップS110のNo)、制御部60の動作は、ステップS120に移る。
【0037】
ステップS120では、電源判定部63は、電源の種類が電池か否かを判定する。電源の種類が電池の場合(ステップS120のYes)、制御部60は、ステップS150、S160において、省電力化のための制御を実施する。これにより、この実施形態では、電源の種類が電池の場合に、消費電力が増加することを防止でき、電池の消耗を抑制できる。一方、電源の種類が電池でない場合(ステップS120のNo)、制御部60(より詳細には、電力制御部64)は、ステップS130、S140において、高速処理のための制御を実施する。例えば、電源の種類がAC電源の場合、制御部60は、ステップS130、S140において、高速処理のための制御を実施する。
【0038】
ステップS130では、電力制御部64は、終端抵抗RTを有効にするための抵抗制御信号RCONをバッファ部40に出力し、終端抵抗RTを有効(オン)にする。これにより、バッファ部40が高速クロックCLKに同期して動作する場合でも、信号の反射を低減できる。
【0039】
ステップS140では、電力制御部64は、高速クロックCLKを各ブロックに供給するためのクロック制御信号CCONをクロック生成部70に出力し、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。これにより、この実施形態では、デジタルカメラ10を相対的に高速なクロックCLK(高速クロックCLK)で動作させることができる。例えば、この実施形態では、高速処理を実施する場合、バッファ部40を高速クロックCLK2で動作させることができる。ステップS130、S140により、デジタルカメラ10は、高速で正確なデータ転送(例えば、画像データの高速転送)を実施でき、高速処理を適切に実施できる。
【0040】
ステップ150では、電力制御部64は、終端抵抗RTを無効にするための抵抗制御信号RCONをバッファ部40に出力し、終端抵抗RTを無効(オフ)にする。これにより、終端抵抗RTを介してバッファ部40の伝送路や終端電源VTT等に電流が流れることを防止でき、バッファ部40の消費電力を大幅に低減できる。
【0041】
ステップS160では、電力制御部64は、低速クロックCLKを各ブロックに供給するためのクロック制御信号CCONをクロック生成部70に出力し、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを低速クロックCLKに設定する。これにより、この実施形態では、デジタルカメラ10を相対的に低速なクロックCLK(低速クロックCLK)で動作させることができ、消費電力を低減できる。例えば、この実施形態では、消費電力を低減させる場合、バッファ部40を低速クロックCLK2で動作させることができる。
【0042】
このように、この実施形態では、デバイスの温度が閾値温度以下で、かつ、電源の種類が電池でないときに、高速処理が実施される場合、デジタルカメラ10は、高速クロックCLKを用いて、高速処理を実施する。また、この実施形態では、デバイスの温度が閾値温度より高いときに高速処理が実施される場合、デジタルカメラ10は、低速クロックCLKを用いて、高速処理を実施する。同様に、電源の種類が電池のときに高速処理が実施される場合、デジタルカメラ10は、低速クロックCLKを用いて、高速処理を実施する。例えば、デジタルカメラ10は、連写による撮影(高速処理)を低速クロックCLKで実施する場合、連写による撮影を高速クロックCLKで実施する場合に比べて、撮影間隔を長くする。
【0043】
以上、この実施形態では、デジタルカメラ10は、高速処理が実施されていない場合に、終端抵抗RTを無効にするとともに、クロック生成部70により生成されるクロックCLKを終端抵抗RTが有効のときに比べて低速にする電力制御部64を有している。また、この実施形態では、デバイスの温度が閾値温度以下で、かつ、電源の種類がAC電源の場合、デジタルカメラ10は、終端抵抗RTを有効にするとともに、動作クロックを高速クロックCLKにすることにより、高速処理を適切に実施できる。したがって、この実施形態では、高速処理に対応したデジタルカメラ10において、消費電力を低減できる。特に、この実施形態では、デジタルカメラ10を低速クロックCLKで動作させる際に、終端抵抗RTを無効にするため、消費電力を大幅に低減できる。
【0044】
図3は、別の実施形態におけるデジタルカメラ10の動作の一例を示している。なお、図3の動作は、上述した図2に示した動作にステップS122が追加されている点を除いて、図2と同じである。例えば、この実施形態におけるデジタルカメラ10の電源判定部63は、電源の種類が電池の場合、電池の残量が予め設定された基準量より多いか否かを判定する。デジタルカメラ10のその他の構成は、上述した図1と同じである。図1−図2で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。ステップS100−S160は、制御部60により、例えば、メモリ110に記憶されたプログラムに従って実施される。
【0045】
ステップS120において、電源の種類が電池と判定された場合(ステップS120のYes)、制御部60の動作は、ステップS122に移る。なお、電源の種類が電池でない場合(ステップS120のNo)、制御部60(より詳細には、電力制御部64)は、ステップS130、S140において、高速処理のための制御を実施する。
【0046】
ステップS122では、電源判定部63は、電池の残量が予め設定された基準量(例えば、電池の容量の半分の量)より多いか否かを判定する。電源の残量が基準量以下の場合(ステップS122のNo)、制御部60(より詳細には、電力制御部64)は、ステップS150、S160において、省電力化のための制御を実施する。これにより、この実施形態では、電源の残量が少ない場合に、消費電力が増加することを防止でき、電池の消耗を抑制できる。
【0047】
一方、電池の残量が基準量より多い場合(ステップS122のYes)、制御部60は、ステップS130、S140において、高速処理のための制御を実施する。例えば、電力制御部64は、電源の種類が電池のときに高速処理が実施される場合でも、電源の残量が基準量より多い場合には、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70により生成されるクロックCLKを終端抵抗RTが無効のときに比べて高速にする。これにより、この実施形態では、電源の種類が電池の場合でも、電池の残量が多い場合には、高速処理を適切に実施できる。
【0048】
以上、この実施形態においても、上述した図1、図2で説明した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態の電源判定部63は、電源の種類が電池の場合、電池の残量が予め設定された基準量より多いか否かを判定する。これにより、この実施形態では、電源の種類が電池の場合でも、電池の残量が多い場合には、高速処理を適切に実施できる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、デジタルカメラ10が、処理判定部61、温度判定部62および電源判定部63を含んで構成される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、デジタルカメラ10は、上述した図1に示した構成から温度判定部62、電源判定部63および温度検出部90が省かれて構成されてもよい。この構成では、電力制御部64は、高速処理が実施される場合、デバイスの温度および電源の種類にかかわらず、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、この場合、簡易な構成で消費電力を低減できる。
【0050】
また、例えば、デジタルカメラ10は、図1に示した構成から電源判定部63が省かれて構成されてもよい。この構成のデジタルカメラ10の動作は、上述した図2の動作からステップS120が省かれる点を除いて、図2と同じである。例えば、電力制御部64は、デバイスの温度が閾値温度以下のときに高速処理が実施される場合、電源の種類にかかわらず、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
あるいは、例えば、デジタルカメラ10は、図1に示した構成から温度判定部62および温度検出部90が省かれて構成されてもよい。この構成のデジタルカメラ10の動作は、上述した図2、図3の動作からステップS110が省かれる点を除いて、図2、図3と同じである。例えば、電力制御部64は、電源の種類が電池でないとき(あるいは、電池の残量が基準量より多いとき)に、高速処理が実施される場合、デバイスの温度にかかわらず、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
さらに、例えば、デジタルカメラ10は、図1に示した構成から処理判定部61および電源判定部63が省かれて構成されてもよい。この構成では、電力制御部64は、デバイスの温度が閾値温度以下の場合、高速処理の実施および電源の種類にかかわらず、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。すなわち、デバイスの温度が閾値温度より高い場合、終端抵抗RTは無効にされ、クロックCLKは低速クロックCLKに設定される。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、この場合、簡易な構成で、撮像素子31等のデバイスの破壊を防止できる。
【0053】
また、例えば、デジタルカメラ10は、図1に示した構成から処理判定部61、温度判定部62および温度検出部90が省かれて構成されてもよい。この構成では、電力制御部64は、電源の種類が電池でない場合(あるいは、電池の残量が基準量より多い場合)、高速処理の実施およびデバイスの温度にかかわらず、終端抵抗RTを有効にするとともに、クロック生成部70から出力されるクロックCLKを高速クロックCLKに設定する。すなわち、電源の種類が電池の場合(あるいは、電池の残量が基準量以下の場合)、終端抵抗RTは無効にされ、クロックCLKは低速クロックCLKに設定される。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、この場合、簡易な構成で電池の消耗を抑制できる。
【0054】
上述した実施形態では、連写による撮影や動画撮影が高速処理として判定される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、処理判定部61は、単写による撮影が実施される場合にも、高速処理が実施されると判定してもよい。すなわち、高速処理か否かの分類は、例えば、デジタルカメラ10の設計時のシミュレーションや実験等により、ハードウエアやソフトウエアの能力に応じて、予め適切に決められていればよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
上述した実施形態では、クロックCLKが高速クロックCLKおよび低速クロックCLKの2段階に切り替えられる例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、クロックCLKは、3段階に切り替え可能でもよいし、4段階以上に切り替え可能でもよい。例えば、クロックCLKが3段階に切り替え可能な場合、クロック生成部70は、高速クロックCLKと、低速クロックCLKと、低速クロックCLKより低速な超低速クロックCLKとを生成可能に構成される。この場合、クロック生成部70により生成されるクロックCLKは、クロック制御信号CCONに基づいて、高速クロックCLK、低速クロックCLKおよび超低速クロックCLKのいずれかに設定される。例えば、クロック生成部70により生成されるクロックCLKは、上述した図2、図3の動作において、終端抵抗RTが無効にされる条件のとき、低速クロックCLKおよび超低速クロックCLKのいずれかに設定される。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
デジタルカメラに利用できる。
【符号の説明】
【0058】
10‥デジタルカメラ;20‥光学系;21‥撮影レンズ;30‥撮像部;31‥撮像素子;32‥アナログ処理部;33‥A/D変換部;40‥バッファ部;50‥画像処理部;60‥制御部;61‥処理判定部;62‥温度判定部;63‥電源判定部;64‥電力制御部;70‥クロック生成部;80‥タイミングジェネレータ;90‥温度検出部;100‥電源部;110‥メモリ;120‥記憶媒体;130‥モニタ;140‥操作部;BUS‥バス;MCNT‥メモリコントローラ;MBLK‥メモリブロック;RT‥終端抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を有し、撮影画像の画像データを生成する撮像部と、
終端抵抗を有し、前記画像データを一時的に記憶するバッファ部と、
前記画像データに対して、画像処理を実施する画像処理部と、
高速なデータ転送が必要な高速処理が実施されるか否かを判定する処理判定部と、
前記高送処理が実施されていない場合、前記終端抵抗を無効にするとともに、前記バッファ部に供給されるクロックを前記終端抵抗が有効のときに比べて低速にする電力制御部とを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、
前記デジタルカメラ内の所定の位置の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度が予め設定された閾値温度より高いか否かを判定する温度判定部とを備え、
前記電力制御部は、前記高送処理を実施する場合でも、前記温度検出部により検出された温度が前記閾値温度より高い場合には、前記終端抵抗を無効にするとともに、前記クロックを前記終端抵抗が有効のときに比べて低速にすることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、
電源の種類を識別する電源判定部を備え、
前記電力制御部は、前記高送処理を実施する場合でも、前記電源の種類が電池の場合には、前記終端抵抗を無効にするとともに、前記クロックを前記終端抵抗が有効のときに比べて低速にすることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を有し、撮影画像の画像データを生成する撮像部と、
終端抵抗を有し、前記画像データを一時的に記憶するバッファ部と、
前記画像データに対して、画像処理を実施する画像処理部と、
デジタルカメラ内の所定の位置の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度が予め設定された閾値温度より高いか否かを判定する温度判定部と、
前記温度検出部により検出された温度が前記閾値温度より高い場合、前記終端抵抗を無効にするとともに、前記バッファ部に供給されるクロックを前記終端抵抗が有効のときに比べて低速にする電力制御部とを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
被写体の像を電気信号に変換する撮像素子を有し、撮影画像の画像データを生成する撮像部と、
終端抵抗を有し、前記画像データを一時的に記憶するバッファ部と、
前記画像データに対して、画像処理を実施する画像処理部と、
電源の種類を識別する電源判定部と、
前記電源の種類が電池の場合、前記終端抵抗を無効にするとともに、前記バッファ部に供給されるクロックを前記終端抵抗が有効のときに比べて低速にする電力制御部とを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項5記載のデジタルカメラにおいて、
前記電源判定部は、前記電源の種類が電池の場合、電池の残量が予め設定された基準量より多いか否かを判定し、
前記電力制御部は、前記電源の種類が電池の場合でも、前記電池の残量が前記基準量より多い場合には、前記終端抵抗を有効にするとともに、前記クロックを前記終端抵抗が無効のときに比べて高速にすることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−29967(P2011−29967A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174030(P2009−174030)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】