デジタル一眼レフカメラ
【課題】製造誤差に基づくファインダ画像と撮影画像の傾きを簡単に修正する。
【解決手段】CCD102は、カメラ本体12に回動自在に支持されたホルダ104に取り付けられて、光軸周りに回動自在に設けられている。ホルダ104は、カメラ本体12に備えられた傾き調整ツマミ60を回転操作することにより、その回転操作量に応じて回動可能に設けられている。傾き調整ツマミ60を回転操作してホルダ104を回動させると、CCD102が光軸周りに回転し、これにより、CCD102の傾きが調整される。
【解決手段】CCD102は、カメラ本体12に回動自在に支持されたホルダ104に取り付けられて、光軸周りに回動自在に設けられている。ホルダ104は、カメラ本体12に備えられた傾き調整ツマミ60を回転操作することにより、その回転操作量に応じて回動可能に設けられている。傾き調整ツマミ60を回転操作してホルダ104を回動させると、CCD102が光軸周りに回転し、これにより、CCD102の傾きが調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル一眼レフカメラに係り、特に撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般なデジタルカメラでは、CCD等の撮像素子を板金に接着固定し、その板金をレンズ鏡筒や筐体にねじ止めして、撮像素子を取り付けている。
【0003】
しかしながら、撮像素子自体の部品精度がよくないことから、撮像素子を接着固定した板金をねじ止めするだけでは、光学性能として要求されるピント面の位置精度(主に、CCD撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれなど)を確保できないという問題があった。
【0004】
このため、従来のデジタルカメラの製造工程では、撮像素子を取り付ける際、撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれ検出し、撮像素子を微調整しながら取り付けていた。
【0005】
しかしながら、このように撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれ検出し、撮像素子を微調整しながら取り付ける方法では、大掛かりな設備が必要となるとともに、製造効率が著しく低下するという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1、2では、撮像素子を光軸に対して傾斜可能に取り付け、光軸に対する撮像素子の傾きを微調整できるようにすることが提案されている。
【特許文献1】特開2005−117253号公報
【特許文献2】特開2005−167815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された方法では、光軸に対する撮像素子の傾きは補正できても、光軸周りの傾きの補正は、補正できないという欠点がある。
【0008】
このような欠点は、コンパクトタイプのデジタルカメラのように、いわゆるスルー画像を見ながら撮影するタイプのデジタルカメラの場合には、あまり問題にはならないが、一眼レフカメラの場合には、撮像素子が光軸周りに傾いて取り付けられていると、ファインダで確認した画像と実際に撮影される画像との間に傾き差が生じ、撮影者が意図した画像と異なる画像が撮影されるという問題が生じる。
【0009】
この傾き差をなくすためには、上記同様に、製造工程でフォーカシングスクリーンと撮像素子の取り付け位置を厳しく管理する必要があるが、このように製造工程でフォーカシングスクリーンと撮像素子の取り付け位置を厳しく管理すると、大掛かりな設備が必要になるとともに、製造効率が著しく低下するという欠点がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、製造誤差に基づく画像の傾きを簡単に修正できるデジタル一眼レフカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、前記撮像素子を保持する保持部材であって、前記撮像素子が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記撮像素子の光軸周りの傾きを調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、撮像素子が保持部材によって光軸周りに回動自在に保持される。撮像素子は、この保持部材の回動位置を調整手段で調整することにより、光軸周りの傾きを調整できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠を保持する保持部材であって、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記フォーカシングスクリーンの光軸周りの傾きを調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、フォーカシングスクリーン又は視野枠が保持部材によって光軸周りに回動自在に保持される。フォーカシングスクリーン又は視野枠は、この保持部材の回動位置を調整手段で調整することにより、光軸周りの傾きが調整できる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、撮影により得られる画像の傾きの修正値を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きを修正する画像処理手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、傾きの修正値を入力手段から入力すると、その入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きが画像処理手段によって自動的に修正される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るデジタル一眼レフカメラによれば、製造誤差に基づく画像の傾きを簡単に修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係るデジタル一眼レフカメラを実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1、図2は、それぞれ本発明に係るデジタル一眼レフカメラ10の第1の実施の形態の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0020】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10は、カメラ本体12と、そのカメラ本体12に着脱自在に取り付けられる撮影レンズ14とで構成されている。
【0021】
撮影レンズ14は、その基端部に設けられたレンズ側マウントをカメラ本体12の正面に設けられたカメラ側マウントに装着することにより、カメラ本体12に取り付けられる。
【0022】
カメラ本体12の正面には、このカメラ側マウントの他、AF補助光ランプ16、被写界深度確認ボタン18、シンクロターミナル20、グリップ22等が設けられており、上面には、シャッタボタン24、電源レバー26、サブコマンドダイヤル28、上面表示パネル30、モードダイヤル32、アクセサリーシュー34、ストロボ36等が設けられている。
【0023】
また、カメラ本体12の背面には、ファインダ接眼部38、視度調整レバー40、液晶モニタ42、スロットカバー44、背面表示パネル46、十字ボタン48、メニューボタン50、バックボタン52、ファンクションボタン54、メインコマンドダイヤル56、再生ボタン58等が設けられており、右側面には、傾き調整ツマミ60等が設けられている。
【0024】
なお、傾き調整ツマミ60が設けられている点以外は、一般的に公知のデジタル一眼レフカメラと同じ構成である。すなわち、被写体像の確認は、ファインダ接眼部38を介して行われ、このファインダ接眼部38を覗くことにより、フォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を観察する。そして、シャッタボタン24を押すことにより、撮影の指示を与え、撮影により得られた画像をメモリカードに記録する。また、メモリカードに記録した画像は、カメラのモードを再生モードに設定することにより(本実施の形態では、再生ボタン58の押下)、液晶モニタ42に再生表示される。
【0025】
傾き調整ツマミ60は、カメラ本体12に内蔵された撮像素子(本実施の形態ではCCDとする)を光軸周りに回転させるものであり、この傾き調整ツマミ60を操作して、CCDを光軸周りに回転させることにより、CCDの光軸周りの傾きを調整する。以下、このCCDの傾き調整機構について説明する。
【0026】
図3、図4は、それぞれ本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10に組み込まれたCCDの傾き調整機構100の概略構成を示す側面図と正面図である。
【0027】
同図に示すように、CCDの傾き調整機構100は、CCD102が取り付けられるホルダ104と、そのホルダ104を軸支する軸受106と、そのホルダ104に一体的に形成されたギア部108と、ギア部108に噛み合わされるウォームギア110と、ウォームギア110を回転させる傾き調整ツマミ60とで構成される。
【0028】
ホルダ104は、板状に形成されており、その正面にCCD102が接着等によって取り付けられている。ホルダ104の裏面には、正面に取り付けられたCCD102の中心と同軸上に回転軸104Aが取り付けられており、この回転軸104Aが軸受106に軸支されることにより、ホルダ104がカメラ本体12に対して回動自在に支持される。そして、このホルダ104が回動することにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が、その中心を回動中心として回動し、傾きが修正される。
【0029】
軸受106は、カメラ本体12に装着された撮影レンズ14の光軸L上に配置されており、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。この軸受106は、上記のように、ホルダ104を軸支し、これにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が光軸周りに回動自在に保持される。
【0030】
ギア部108は、上記のように、ホルダ104に一体的に形成されており、ホルダ104の回転軸104Aを中心としたギアの一部として形成されている。
【0031】
このギア部108に噛み合わされるウォームギア110は、カメラ本体12に対して水平に配置されており、その回転軸110Aが軸受112、112に軸支されている。このウォームギア110の回転軸110Aを軸支する軸受112、112は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。
【0032】
傾き調整ツマミ60は、ウォームギア110の回転軸110Aの一端に固定されている。したがって、この傾き調整ツマミ60を回転させると、ウォームギア110が回転し、このウォームギア110の回転がギア部108に伝達されて、ホルダ104が回動する。
【0033】
傾き調整機構100は以上のように構成される。この傾き調整機構100によれば、傾き調整ツマミ60を回転させると、その回転量に応じてウォームギア110が回転し、このウォームギア110の回転がギア部108に伝達されて、ホルダ104が回動する。そして、このホルダ104が回動することにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が光軸L周りに回動し、その傾きが調整される。
【0034】
さて、このように本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10では、傾き調整ツマミ60を回転させることにより、CCD102の光軸周りの傾きを修正することができる。そして、このようにCCD102の光軸周りの傾きを修正できることにより、ファインダ接眼部38を介して確認される画像(ファインダ画像)と実際に撮影される画像(撮影画像)との間に傾き方向のズレが生じている場合であっても、そのズレを修正することができる。
【0035】
以下、このファインダ画像と撮影画像との傾きの調整方法について説明する。
【0036】
まず、一般的な一眼レフカメラのファインダ光学系の構成について説明する。図3に示すように、撮影レンズ14とCCD102の間には、クイックリターンミラー120が45°傾けられて設置されている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このクイックリターンミラー120によって上方に反射され、CCD102の受光面と共役位置に配置されたフォーカシングスクリーン122のマット面上に被写体像を左右逆像として形成する。このフォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像は、ペンタプリズム124により左右反転され、正立正像とされて、ファインダ接眼部38から接眼レンズ126で拡大観察される。
【0037】
撮影レンズ14とCCD102の間に配置されたクイックリターンミラー120は、撥ね上げ可能に構成されており、撮影時、撥ね上げられて撮影光路から退避させられ、撮影終了後、元の位置に復帰する。
【0038】
また、フォーカシングスクリーン122の上部には、視野枠128が取り付けられており、この視野枠128によってファインダ視野(ファインダ接眼部38から観察できる視野範囲)が規制されている。
【0039】
図5は、ファインダ接眼部から観察されるファインダ像の一例を示す図である。同図に示すように、視野枠128によってファインダ視野が規制される。なお、本例では、フォーカシングスクリーン122のマット面に方眼及びフォーカシングフレームが刻印されたものを用いられている。このようにマット面に方眼が刻印されたフォーカシングスクリーン122を用いることにより、傾きの確認を容易に行うことができる。なお、このような方眼等は、ファインダ視野にスーパーインポーズ表示させることもできる。
【0040】
さて、上記のように、一眼レフカメラでは、ファインダ接眼部38からフォーカシングスクリーン上の被写体像を観察することにより、フォーカシング及びフレーミングが行われるが、このフォーカシングスクリーン122あるいは視野枠128がファインダ光学系の光軸LF周りに傾いて取り付けられていると、CCD102が正確に取り付けられていても、撮影画像とファインダ画像との間に傾き方向のズレが生じる。同様にフォーカシングスクリーン122と視野枠128が正確に取り付けられていても、CCD102が光軸L周りに傾いて取り付けられていると、撮影画像とファインダ画像との間に傾き方向のズレが生じる。
【0041】
そこで、ファインダ画像と撮影画像との間に傾き方向のズレが生じている場合は、傾き調整ツマミ60を回転させることにより、CCD102の光軸周りの傾きを修正し、両者を一致させる。以下、この修正手順について説明する。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、水平が確認できる被写体をファインダ接眼部38から観察する。ここでは、海に浮かぶヨットを観察するものとする。そして、その被写体の水平基準線をフォーカシングスクリーン122に刻印された方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。ここでは、海の水平線を方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。なお、ファインダ視野に方眼が表示されていない場合には、視野枠128の下辺を被写体の水平基準線に合わせて撮影を行う。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、撮影した画像をカメラ本体12の背面に設けられた液晶モニタ42に表示させる。そして、その表示を見て、撮影した画像が水平に撮影されているか否かを確認する。この際、画像に重ねて方眼目を表示させることが好ましい。これにより、撮影した画像が、水平に撮影されているか否かを容易に確認することができる。
【0044】
確認した画像が、水平に撮影されていない場合は、傾き方向を確認し、傾き調整ツマミ60を回転させて、CCD102の傾きを調整する。
【0045】
この後、再度、水平が確認できる被写体をファインダ接眼部38から観察し、その被写体の水平基準線をフォーカシングスクリーン122に刻印された方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。そして、その撮影した画像をカメラ本体12の背面に設けられた液晶モニタ42に表示させ、撮影した画像が水平に撮影されているか否かを確認する。
【0046】
このように、撮影と画像確認を繰り返し実行し、図6(c)に示すように、撮影した画像が水平に撮影されていることが確認されたところで調整作業を終了する。これにより、ファインダ画像と撮影画像の傾き方向のズレが矯正され、ファインダ接眼部38から見たままの画像が撮影されるようになる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10によれば、CCD102を光軸周りに回動可能に保持し、光軸周りの傾きを修正できるので、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128とが相対的に傾いて取り付けられている場合であっても、そのズレを簡単に修正することができる。これにより、製造時の取付精度をラフにでき、製造効率を上げることができる。
【0048】
なお、上記の例では、CCD102を光軸L周りに回動可能に支持し、CCD102を回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正するように構成しているが、フォーカシングスクリーン122及び/又は視野枠128をファインダ光学系の光軸LFの周りに回動可能に支持し、このフォーカシングスクリーン122及び/又は視野枠128を光軸LFの周りに回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正するようにしてもよい。
【0049】
図7、図8は、それぞれフォーカシングスクリーン122及び視野枠128を光軸LFの周りに回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正する場合の傾き調整機構200の概略構成を示す平面図と側面図である。
【0050】
同図に示すように、この場合、傾き調整機構200は、フォーカシングスクリーン122及び視野枠128が取り付けられるホルダ204と、そのホルダ204を回動可能に支持する一対のガイド部材206、206と、そのホルダ204に一体的に形成されたギア部208と、ギア部208に噛み合わされるウォームギア210と、ウォームギア210を回転させる傾き調整ツマミ212とで構成される。
【0051】
ホルダ204は、板状に形成されており、その回転中心位置にフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bとが形成されている。このフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bは、段状の開口部として形成されており、フォーカシングスクリーン122と視野枠128は、このフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bにそれぞれ嵌め込まれてホルダ204に取り付けられている。
【0052】
また、このホルダ204には、一対の被ガイド部204C、204Cが張り出して形成されている。この一対の被ガイド部204C、204Cは、ホルダ204の回転中心を中心とした円盤の一部として形成されており、この一対の被ガイド部204C、204Cが、一対のガイド部材206、206に摺動自在に支持されることにより、ホルダ204がカメラ本体12に回動自在に支持される。
【0053】
一対のガイド部材206、206は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。この一対のガイド部材206、206は、それぞれ円弧状のガイド面を備えており、このガイド面でホルダ204の被ガイド部204C、204Cを摺動自在に支持することにより、ホルダ204を回動自在に支持する。
【0054】
この一対のガイド部材206、206に回動自在に支持されたホルダ204は、ファインダ光学系の光軸LFを回動中心として回動し、これにより、ホルダ204に取り付けられたフォーカシングスクリーン122及び視野枠128がファインダ光学系の光軸LFを回動中心として回動する。
【0055】
ギア部208は、上記のように、ホルダ204に一体的に形成されており、ホルダ204の回転中心を中心としたギアの一部として形成されている。
【0056】
このギア部208に噛み合わされるウォームギア210は、カメラ本体12に対して水平に配置されており、その回転軸210Aが軸受214、214に軸支されている。このウォームギア210の回転軸210Aを軸支する軸受214、214は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。
【0057】
傾き調整ツマミ212は、カメラ本体12の背面に設けられており、ウォームギア210の回転軸210Aの一端に固定されている。したがって、この傾き調整ツマミ212を回転させると、ウォームギア210が回転し、このウォームギア210の回転がギア部208に伝達されて、ホルダ204が回動する。
【0058】
以上のように構成された傾き調整機構200によれば、傾き調整ツマミ212を回転させると、その回転量に応じてウォームギア210が回転し、このウォームギア210の回転がギア部208に伝達されて、ホルダ204が回動する。そして、このホルダ204が回動することにより、ホルダ204に取り付けられたフォーカシングスクリーン122及び視野枠128がファインダ光学系の光軸LF周りに回動し、その傾きが調整される。
【0059】
なお、傾きの修正方法は、上記実施の形態の場合同じである。すなわち、撮影した画像が水平に撮影されるまで、撮影と画像確認を繰り返し実行し、フォーカシングスクリーン122とCCD102との相対的な傾きを修正する。
【0060】
次に本発明に係るデジタル一眼レフカメラの第2の実施の形態について説明する。
【0061】
上記実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、CCDを光軸周りに回動させることにより、CCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠との相対的な傾きを修正しているが、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、ソフト的にCCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠との相対的な傾きを修正する。すなわち、ファインダ画像と撮影画像との間に傾き方向のズレが生じている場合、撮影された画像に画像処理を施して傾きを修正する。
【0062】
また、上記の例では、フォーカシングスクリーン122と視野枠128とが共に回動する構成とされているが、いずれか一方のみを回動させる構成としてもよい。すなわち、視野枠を備えない構成の場合には、フォーカシングスクリーンを回動させる構成とし、視野枠がフォーカシングスクリーンと独立して設置されている場合には、視野枠のみを回動させる構成としてもよい。
【0063】
また、上記一連の実施の形態では、傾き調整ツマミにより手動でCCD等を回動させる構成としているが、モータ等を用いて電動で駆動する構成としてもよい。この場合、回動の指示は、メニュー画面等を用いて行うようにしてもよい。
【0064】
また、傾き調整ツマミによる回転操作でCCD等を回動させる構成とするのではなく、スライドレバー等の直動操作を回転運動に変換して、回転させる構成としてもよい。
【0065】
図9は、第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラによる傾き修正方法の概念図である。
【0066】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、撮影画像がファインダ画像に対して傾いていた場合(同図(a))、撮影画像を回転させ(同図(b))、その回転させた画像の一部を切り出すことより(同図(c))、ファインダ画像と撮影画像との傾き方向のズレを修正する。
【0067】
画像の回転は、ユーザからの指示に応じて行われ、指示された回転量で画像を回転させる。画像の回転は、画像の中心を回転中心として行う。そして、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出し、切り出した画像を撮影画像として記録する。
【0068】
図10は、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体300の概略構成を示すブロック図である。
【0069】
なお、カメラの外観構成やファインダ光学系の構成等のデジタル一眼レフカメラの基本的な構成については、上述した第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラと同じなので、ここでは信号処理に係わる部分の構成についてのみ説明する。
【0070】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体300は、CPU310、操作部(シャッタボタン、電源ボタン、メニューボタン、OKボタン、キャンセルボタン、十字ボタン、再生ボタン等の各種操作ボタン)312、ROM316、EEPROM318、メモリ(SDRAM)320、VRAM322、撮像素子(本実施の形態ではCCDとする)324、タイミングジェネレータ(TG)326、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332、画像信号処理回路334、圧縮・伸張処理回路336、メディアコントローラ338、メモリカード340、表示制御回路342、液晶モニタ344等を構成されている。
【0071】
CPU310は、カメラ本体300に装着された交換レンズを含めカメラ全体の動作を統括制御する制御部として機能し、操作部312からの入力に基づき所定の制御プログラムに従ってデジタル一眼レフカメラの各部を制御する。
【0072】
ROM316には、このCPU310が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM318には、ユーザ設定情報等のデジタル一眼レフカメラの動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0073】
メモリ(SDRAM)320は、CPU310の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM322は、表示用の画像データ専用の記憶領域として利用される。
【0074】
CCD324は、カラーCCDで構成されており、その受光面には多数のフォトダイオードが規則的に配列されている。撮影レンズを介してCCD324の受光面に入射した光は、各フォトダイオードによってその入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。
【0075】
タイミングジェネレータ(TG)326は、CPU310からの指令に従い、主としてCCD324を駆動するためのタイミング信号を生成する。CCD324は、このタイミングジェネレータ326から加えられるタイミング信号に従って各フォトダイオードに蓄積された信号電荷を電圧信号(画像信号)として出力する。
【0076】
アナログ信号処理回路328は、CCD324から順次出力される画像信号を相関二重サンプリング処理するとともに増幅する。
【0077】
A/D変換器330は、このアナログ信号処理回路328から出力されたR、G、Bのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。
【0078】
画像入力コントローラ332は、所定容量のバッファメモリを内蔵しており、A/D変換器330から出力された1コマ分の画像信号を蓄積して、メモリ320に格納する。
【0079】
画像信号処理回路334は、CPU310からの指令に従ってメモリ320に格納された画像信号を処理し、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0080】
圧縮・伸張処理回路336は、CPU310からの指令に従って画像信号処理回路334で生成された画像データに所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、圧縮された画像データに所定の伸張処理を施して、非圧縮の画像データを生成する。
【0081】
メディアコントローラ338は、CPU310からの指令に従い、撮影により得られた画像データをメモリカード340に記録し、また、記録済み画像をメモリカード340から読み出す。
【0082】
表示制御回路342は、CPU310からの指令に従い液晶モニタ344への表示を制御する。
【0083】
以上のように構成された本実施の形態のデジタル一眼レフカメラの作用は次のとおりである。
【0084】
まず、一般的な画像記録の手順について説明する。
【0085】
シャッタボタンによりCPU310に撮影指示が入力されると、CPU310は所要の撮影制御を行って、CCD324で一コマ分の画像を撮像する。
【0086】
CCD324で撮像された一コマ分の画像信号は、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332を介してメモリ320に格納され、メモリ320から画像信号処理回路334に加えられる。画像信号処理回路334は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0087】
生成された画像データは、メモリ320に一旦格納された後、圧縮・伸張処理回路336に加えられ、所定の圧縮処理が施された後、メモリ320に再度格納される。
【0088】
CPU310は、このメモリ320に格納された圧縮画像データに対して所定の撮影情報を付加した所定フォーマットの画像ファイルを生成し、メディアコントローラ338を介してメモリカード340に記録する。
【0089】
このようにしてメモリカード340に記録された画像データは、再生指令に応じてメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。すなわち、
再生ボタンによりCPU310に再生指示が入力されると、CPU310は、メディアコントローラ338を介してメモリカード340に最後に記録された画像ファイルの圧縮画像データを読み出す。読み出された圧縮画像データは、圧縮・伸張処理回路336に加えられ、非圧縮の画像データとされたのちVRAM322に格納される。そして、このVRAM322に格納された画像ファイルが表示制御回路342に加えられ、モニタ表示用の信号形式に変換されて液晶モニタ344に出力される。これにより、メモリカード340に記録されている画像が液晶モニタ344に再生表示される。
【0090】
また、十字ボタン等によって画像のコマ送りが指示されると、次の画像がメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。また、コマ戻しが指示されると、一つ前の画像がメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。
【0091】
さて、上記のように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、ユーザから画像の回転が指示されると、指示された回転量で撮影画像を回転させ、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出し、その切り出した画像を撮影画像として記録するように構成されている。
【0092】
ここで、画像の回転指示は、たとえば、液晶モニタ344の表示を利用して次のように行う。すなわち、セットアップメニューの一つとして傾き調整の項目を用意しておき、この傾き調整の画面を液晶モニタ344に呼び出して画像の回転指示を行う。
【0093】
図11は、画像の回転指示を行う画面の一例を示している。同図に示すように、本例では液晶モニタ344の画面に傾きの目盛を表示し、その目盛上に表示されるカーソルを+又は−方向に移動させることにより、画像の回転量を指示する構成とされている。カーソルの移動指示は、たとえば、十字ボタンの左右のボタンを用いて行われる。
【0094】
なお、本例では画像の傾きのイメージを示すために、傾きの目盛と同時に枠が表示され、この枠が指示された回転量に応じて回転するように構成されている。
【0095】
また、他の回転指示の方法として、図12に示すように、撮影済み画像を液晶モニタ344に表示させ、画像の傾き量を確認しながら回転量を指示できるようにしてもよい。すなわち、回転を指示すると、指示された回転量で回転させた画像が液晶モニタ344に表示されるように構成し、この液晶モニタ344の表示を見ながら回転量を指示できるように構成する。
【0096】
なお、同図に示す例では、液晶モニタ344の画面右上に回転量を指示する数値が表示され、この数値を上下させることにより、回転指示ができるようにされている。数値の上下は、たとえば十字ボタンの上下のボタンを用いて行い、この十字ボタンの押圧操作に基づいてCPU310は、再生中の画像の画像データから回転画像を生成し、液晶モニタ344に再表示させる。
【0097】
この他、画像の回転指示の方法としては、カメラ本体に専用の指示ボタン、レバー、ダイヤル等を設け、これらの操作部材から直接回転量を指示するようにしてもよい。また、回転角度を数値で入力できるように構成し、指示された回転角度で画像を回転させるようにしてもよい。
【0098】
このようにして回転指示が行われると、CPU310は、その画像の回転指示情報をEEPROM318に記録する。そして、画像記録時に、そのEEPROM318に記録された情報に基づいて画像を回転し、回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出して、切り出した画像を撮影画像として記録する。
【0099】
なお、画像を切り出す範囲は、画像の回転量(回転角度)ごとに設定されており、撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で切り出し可能な最大の範囲に設定されている。
【0100】
図13は、第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラの画像の記録処理の手順を示すフローチャートである。
【0101】
同図に示すように、まず、撮影指示の有無が判定され(ステップS10)、CPU310は、撮影指示ありと判定すると、所要の撮影処理を実行する(ステップS11)。すなわち、所要の撮影制御を行って、CCD324で一コマ分の画像を撮像する。
【0102】
CCD324で撮像された一コマ分の画像信号は、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332を介してメモリ320に格納され、メモリ320から画像信号処理回路334に加えられる。画像信号処理回路334は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施すことにより、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ320に格納される。
【0103】
ここで、CPU310は、EEPROM318に記録された情報に基づいて画像の傾き修正の指示の有無を判定する(ステップS12)。そして、傾き修正の指示なしと判定すると、所要の記録処理を実行する(ステップS15)。すなわち、メモリ320に格納された画像データに対して所定の圧縮処理を施し、所定フォーマットの画像ファイルとしてメモリカード340に記録する。
【0104】
一方、画像の傾き修正の指示ありと判定すると、メモリ320に格納された画像に対して傾きの修正処理を実行する。すなわち、まず、EEPROM318に記録された情報に基づいて画像を指示された回転量で回転させる処理を行う(ステップS13)。そして、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出す処理を行う(ステップS14)。これにより、傾きが修正された画像が生成されるので、この生成された画像に対して所要の記録処理を実行する(ステップS15)。すなわち、メモリ320に格納された画像データに対して所定の圧縮処理を施し、所定フォーマットの画像ファイルとしてメモリカード340に記録する。
【0105】
このようの本実施の形態のデジタル一眼レフカメラによれば、上記第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラと同様に、CCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠とが相対的に傾いて取り付けられている場合であっても、そのズレを簡単に修正することができる。これにより、製造時の取付精度をラフにでき、製造効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図2】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図3】第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラに組み込まれたCCDの傾き調整機構の概略構成示す側面図
【図4】第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラに組み込まれたCCDの傾き調整機構の概略構成示す正面図
【図5】ファインダ接眼部から観察されるファインダ像の一例を示す図
【図6】傾きの修正手順の説明図
【図7】傾き調整機構の他の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図8】傾き調整機構の他の実施の形態の概略構成を示す側面図
【図9】第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラによる傾き修正方法の概念図
【図10】第2の本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体の概略構成を示すブロック図
【図11】画像の回転指示を行う画面の一例を示す図
【図12】画像の回転指示を行う画面の一例を示す図
【図13】第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラの画像の記録処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0107】
10…デジタル一眼レフカメラ、12…カメラ本体、14…撮影レンズ、24…シャッタボタン、38…ファインダ接眼部、42…液晶モニタ、60…傾き調整ツマミ、100…傾き調整機構、102…CCD、104…ホルダ、106…軸受、108…ギア部、110…ウォームギア、112…軸受、120…クイックリターンミラー、122…フォーカシングスクリーン、124…ペンタプリズム、126…接眼レンズ、128…視野枠、200…傾き調整機構、204…ホルダ、206…ガイド部材、208…ギア部、210…ウォームギア、212…傾き調整ツマミ、300…カメラ本体、310…CPU、312…操作部、316…ROM、318…EEPROM、320…メモリ(SDRAM)、322…VRAM、324…CCD、326…タイミングジェネレータ(TG)、328…アナログ信号処理回路、330…A/D変換器、332…画像入力コントローラ、334…画像信号処理回路、336…圧縮・伸張処理回路、338…メディアコントローラ、340…メモリカード、342…表示制御回路、344…液晶モニタ
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル一眼レフカメラに係り、特に撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般なデジタルカメラでは、CCD等の撮像素子を板金に接着固定し、その板金をレンズ鏡筒や筐体にねじ止めして、撮像素子を取り付けている。
【0003】
しかしながら、撮像素子自体の部品精度がよくないことから、撮像素子を接着固定した板金をねじ止めするだけでは、光学性能として要求されるピント面の位置精度(主に、CCD撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれなど)を確保できないという問題があった。
【0004】
このため、従来のデジタルカメラの製造工程では、撮像素子を取り付ける際、撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれ検出し、撮像素子を微調整しながら取り付けていた。
【0005】
しかしながら、このように撮像素子の光軸に対する傾きや芯ずれ検出し、撮像素子を微調整しながら取り付ける方法では、大掛かりな設備が必要となるとともに、製造効率が著しく低下するという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1、2では、撮像素子を光軸に対して傾斜可能に取り付け、光軸に対する撮像素子の傾きを微調整できるようにすることが提案されている。
【特許文献1】特開2005−117253号公報
【特許文献2】特開2005−167815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された方法では、光軸に対する撮像素子の傾きは補正できても、光軸周りの傾きの補正は、補正できないという欠点がある。
【0008】
このような欠点は、コンパクトタイプのデジタルカメラのように、いわゆるスルー画像を見ながら撮影するタイプのデジタルカメラの場合には、あまり問題にはならないが、一眼レフカメラの場合には、撮像素子が光軸周りに傾いて取り付けられていると、ファインダで確認した画像と実際に撮影される画像との間に傾き差が生じ、撮影者が意図した画像と異なる画像が撮影されるという問題が生じる。
【0009】
この傾き差をなくすためには、上記同様に、製造工程でフォーカシングスクリーンと撮像素子の取り付け位置を厳しく管理する必要があるが、このように製造工程でフォーカシングスクリーンと撮像素子の取り付け位置を厳しく管理すると、大掛かりな設備が必要になるとともに、製造効率が著しく低下するという欠点がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、製造誤差に基づく画像の傾きを簡単に修正できるデジタル一眼レフカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、前記撮像素子を保持する保持部材であって、前記撮像素子が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記撮像素子の光軸周りの傾きを調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、撮像素子が保持部材によって光軸周りに回動自在に保持される。撮像素子は、この保持部材の回動位置を調整手段で調整することにより、光軸周りの傾きを調整できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠を保持する保持部材であって、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記フォーカシングスクリーンの光軸周りの傾きを調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、フォーカシングスクリーン又は視野枠が保持部材によって光軸周りに回動自在に保持される。フォーカシングスクリーン又は視野枠は、この保持部材の回動位置を調整手段で調整することにより、光軸周りの傾きが調整できる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、撮影により得られる画像の傾きの修正値を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きを修正する画像処理手段と、を備えたことを特徴とする一眼レフカメラを提供する。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、傾きの修正値を入力手段から入力すると、その入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きが画像処理手段によって自動的に修正される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るデジタル一眼レフカメラによれば、製造誤差に基づく画像の傾きを簡単に修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係るデジタル一眼レフカメラを実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1、図2は、それぞれ本発明に係るデジタル一眼レフカメラ10の第1の実施の形態の外観構成を示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0020】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10は、カメラ本体12と、そのカメラ本体12に着脱自在に取り付けられる撮影レンズ14とで構成されている。
【0021】
撮影レンズ14は、その基端部に設けられたレンズ側マウントをカメラ本体12の正面に設けられたカメラ側マウントに装着することにより、カメラ本体12に取り付けられる。
【0022】
カメラ本体12の正面には、このカメラ側マウントの他、AF補助光ランプ16、被写界深度確認ボタン18、シンクロターミナル20、グリップ22等が設けられており、上面には、シャッタボタン24、電源レバー26、サブコマンドダイヤル28、上面表示パネル30、モードダイヤル32、アクセサリーシュー34、ストロボ36等が設けられている。
【0023】
また、カメラ本体12の背面には、ファインダ接眼部38、視度調整レバー40、液晶モニタ42、スロットカバー44、背面表示パネル46、十字ボタン48、メニューボタン50、バックボタン52、ファンクションボタン54、メインコマンドダイヤル56、再生ボタン58等が設けられており、右側面には、傾き調整ツマミ60等が設けられている。
【0024】
なお、傾き調整ツマミ60が設けられている点以外は、一般的に公知のデジタル一眼レフカメラと同じ構成である。すなわち、被写体像の確認は、ファインダ接眼部38を介して行われ、このファインダ接眼部38を覗くことにより、フォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を観察する。そして、シャッタボタン24を押すことにより、撮影の指示を与え、撮影により得られた画像をメモリカードに記録する。また、メモリカードに記録した画像は、カメラのモードを再生モードに設定することにより(本実施の形態では、再生ボタン58の押下)、液晶モニタ42に再生表示される。
【0025】
傾き調整ツマミ60は、カメラ本体12に内蔵された撮像素子(本実施の形態ではCCDとする)を光軸周りに回転させるものであり、この傾き調整ツマミ60を操作して、CCDを光軸周りに回転させることにより、CCDの光軸周りの傾きを調整する。以下、このCCDの傾き調整機構について説明する。
【0026】
図3、図4は、それぞれ本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10に組み込まれたCCDの傾き調整機構100の概略構成を示す側面図と正面図である。
【0027】
同図に示すように、CCDの傾き調整機構100は、CCD102が取り付けられるホルダ104と、そのホルダ104を軸支する軸受106と、そのホルダ104に一体的に形成されたギア部108と、ギア部108に噛み合わされるウォームギア110と、ウォームギア110を回転させる傾き調整ツマミ60とで構成される。
【0028】
ホルダ104は、板状に形成されており、その正面にCCD102が接着等によって取り付けられている。ホルダ104の裏面には、正面に取り付けられたCCD102の中心と同軸上に回転軸104Aが取り付けられており、この回転軸104Aが軸受106に軸支されることにより、ホルダ104がカメラ本体12に対して回動自在に支持される。そして、このホルダ104が回動することにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が、その中心を回動中心として回動し、傾きが修正される。
【0029】
軸受106は、カメラ本体12に装着された撮影レンズ14の光軸L上に配置されており、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。この軸受106は、上記のように、ホルダ104を軸支し、これにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が光軸周りに回動自在に保持される。
【0030】
ギア部108は、上記のように、ホルダ104に一体的に形成されており、ホルダ104の回転軸104Aを中心としたギアの一部として形成されている。
【0031】
このギア部108に噛み合わされるウォームギア110は、カメラ本体12に対して水平に配置されており、その回転軸110Aが軸受112、112に軸支されている。このウォームギア110の回転軸110Aを軸支する軸受112、112は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。
【0032】
傾き調整ツマミ60は、ウォームギア110の回転軸110Aの一端に固定されている。したがって、この傾き調整ツマミ60を回転させると、ウォームギア110が回転し、このウォームギア110の回転がギア部108に伝達されて、ホルダ104が回動する。
【0033】
傾き調整機構100は以上のように構成される。この傾き調整機構100によれば、傾き調整ツマミ60を回転させると、その回転量に応じてウォームギア110が回転し、このウォームギア110の回転がギア部108に伝達されて、ホルダ104が回動する。そして、このホルダ104が回動することにより、ホルダ104に取り付けられたCCD102が光軸L周りに回動し、その傾きが調整される。
【0034】
さて、このように本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10では、傾き調整ツマミ60を回転させることにより、CCD102の光軸周りの傾きを修正することができる。そして、このようにCCD102の光軸周りの傾きを修正できることにより、ファインダ接眼部38を介して確認される画像(ファインダ画像)と実際に撮影される画像(撮影画像)との間に傾き方向のズレが生じている場合であっても、そのズレを修正することができる。
【0035】
以下、このファインダ画像と撮影画像との傾きの調整方法について説明する。
【0036】
まず、一般的な一眼レフカメラのファインダ光学系の構成について説明する。図3に示すように、撮影レンズ14とCCD102の間には、クイックリターンミラー120が45°傾けられて設置されている。撮影レンズ14を透過した被写体光は、このクイックリターンミラー120によって上方に反射され、CCD102の受光面と共役位置に配置されたフォーカシングスクリーン122のマット面上に被写体像を左右逆像として形成する。このフォーカシングスクリーン122のマット面上に形成された被写体像は、ペンタプリズム124により左右反転され、正立正像とされて、ファインダ接眼部38から接眼レンズ126で拡大観察される。
【0037】
撮影レンズ14とCCD102の間に配置されたクイックリターンミラー120は、撥ね上げ可能に構成されており、撮影時、撥ね上げられて撮影光路から退避させられ、撮影終了後、元の位置に復帰する。
【0038】
また、フォーカシングスクリーン122の上部には、視野枠128が取り付けられており、この視野枠128によってファインダ視野(ファインダ接眼部38から観察できる視野範囲)が規制されている。
【0039】
図5は、ファインダ接眼部から観察されるファインダ像の一例を示す図である。同図に示すように、視野枠128によってファインダ視野が規制される。なお、本例では、フォーカシングスクリーン122のマット面に方眼及びフォーカシングフレームが刻印されたものを用いられている。このようにマット面に方眼が刻印されたフォーカシングスクリーン122を用いることにより、傾きの確認を容易に行うことができる。なお、このような方眼等は、ファインダ視野にスーパーインポーズ表示させることもできる。
【0040】
さて、上記のように、一眼レフカメラでは、ファインダ接眼部38からフォーカシングスクリーン上の被写体像を観察することにより、フォーカシング及びフレーミングが行われるが、このフォーカシングスクリーン122あるいは視野枠128がファインダ光学系の光軸LF周りに傾いて取り付けられていると、CCD102が正確に取り付けられていても、撮影画像とファインダ画像との間に傾き方向のズレが生じる。同様にフォーカシングスクリーン122と視野枠128が正確に取り付けられていても、CCD102が光軸L周りに傾いて取り付けられていると、撮影画像とファインダ画像との間に傾き方向のズレが生じる。
【0041】
そこで、ファインダ画像と撮影画像との間に傾き方向のズレが生じている場合は、傾き調整ツマミ60を回転させることにより、CCD102の光軸周りの傾きを修正し、両者を一致させる。以下、この修正手順について説明する。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、水平が確認できる被写体をファインダ接眼部38から観察する。ここでは、海に浮かぶヨットを観察するものとする。そして、その被写体の水平基準線をフォーカシングスクリーン122に刻印された方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。ここでは、海の水平線を方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。なお、ファインダ視野に方眼が表示されていない場合には、視野枠128の下辺を被写体の水平基準線に合わせて撮影を行う。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、撮影した画像をカメラ本体12の背面に設けられた液晶モニタ42に表示させる。そして、その表示を見て、撮影した画像が水平に撮影されているか否かを確認する。この際、画像に重ねて方眼目を表示させることが好ましい。これにより、撮影した画像が、水平に撮影されているか否かを容易に確認することができる。
【0044】
確認した画像が、水平に撮影されていない場合は、傾き方向を確認し、傾き調整ツマミ60を回転させて、CCD102の傾きを調整する。
【0045】
この後、再度、水平が確認できる被写体をファインダ接眼部38から観察し、その被写体の水平基準線をフォーカシングスクリーン122に刻印された方眼目の水平線に合わせて撮影を行う。そして、その撮影した画像をカメラ本体12の背面に設けられた液晶モニタ42に表示させ、撮影した画像が水平に撮影されているか否かを確認する。
【0046】
このように、撮影と画像確認を繰り返し実行し、図6(c)に示すように、撮影した画像が水平に撮影されていることが確認されたところで調整作業を終了する。これにより、ファインダ画像と撮影画像の傾き方向のズレが矯正され、ファインダ接眼部38から見たままの画像が撮影されるようになる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ10によれば、CCD102を光軸周りに回動可能に保持し、光軸周りの傾きを修正できるので、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128とが相対的に傾いて取り付けられている場合であっても、そのズレを簡単に修正することができる。これにより、製造時の取付精度をラフにでき、製造効率を上げることができる。
【0048】
なお、上記の例では、CCD102を光軸L周りに回動可能に支持し、CCD102を回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正するように構成しているが、フォーカシングスクリーン122及び/又は視野枠128をファインダ光学系の光軸LFの周りに回動可能に支持し、このフォーカシングスクリーン122及び/又は視野枠128を光軸LFの周りに回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正するようにしてもよい。
【0049】
図7、図8は、それぞれフォーカシングスクリーン122及び視野枠128を光軸LFの周りに回動させることにより、CCD102とフォーカシングスクリーン122又は視野枠128との相対的な傾きを修正する場合の傾き調整機構200の概略構成を示す平面図と側面図である。
【0050】
同図に示すように、この場合、傾き調整機構200は、フォーカシングスクリーン122及び視野枠128が取り付けられるホルダ204と、そのホルダ204を回動可能に支持する一対のガイド部材206、206と、そのホルダ204に一体的に形成されたギア部208と、ギア部208に噛み合わされるウォームギア210と、ウォームギア210を回転させる傾き調整ツマミ212とで構成される。
【0051】
ホルダ204は、板状に形成されており、その回転中心位置にフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bとが形成されている。このフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bは、段状の開口部として形成されており、フォーカシングスクリーン122と視野枠128は、このフォーカシングスクリーン取付部204Aと視野枠取付部204Bにそれぞれ嵌め込まれてホルダ204に取り付けられている。
【0052】
また、このホルダ204には、一対の被ガイド部204C、204Cが張り出して形成されている。この一対の被ガイド部204C、204Cは、ホルダ204の回転中心を中心とした円盤の一部として形成されており、この一対の被ガイド部204C、204Cが、一対のガイド部材206、206に摺動自在に支持されることにより、ホルダ204がカメラ本体12に回動自在に支持される。
【0053】
一対のガイド部材206、206は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。この一対のガイド部材206、206は、それぞれ円弧状のガイド面を備えており、このガイド面でホルダ204の被ガイド部204C、204Cを摺動自在に支持することにより、ホルダ204を回動自在に支持する。
【0054】
この一対のガイド部材206、206に回動自在に支持されたホルダ204は、ファインダ光学系の光軸LFを回動中心として回動し、これにより、ホルダ204に取り付けられたフォーカシングスクリーン122及び視野枠128がファインダ光学系の光軸LFを回動中心として回動する。
【0055】
ギア部208は、上記のように、ホルダ204に一体的に形成されており、ホルダ204の回転中心を中心としたギアの一部として形成されている。
【0056】
このギア部208に噛み合わされるウォームギア210は、カメラ本体12に対して水平に配置されており、その回転軸210Aが軸受214、214に軸支されている。このウォームギア210の回転軸210Aを軸支する軸受214、214は、図示しないカメラ本体12の内部フレームに固定されている。
【0057】
傾き調整ツマミ212は、カメラ本体12の背面に設けられており、ウォームギア210の回転軸210Aの一端に固定されている。したがって、この傾き調整ツマミ212を回転させると、ウォームギア210が回転し、このウォームギア210の回転がギア部208に伝達されて、ホルダ204が回動する。
【0058】
以上のように構成された傾き調整機構200によれば、傾き調整ツマミ212を回転させると、その回転量に応じてウォームギア210が回転し、このウォームギア210の回転がギア部208に伝達されて、ホルダ204が回動する。そして、このホルダ204が回動することにより、ホルダ204に取り付けられたフォーカシングスクリーン122及び視野枠128がファインダ光学系の光軸LF周りに回動し、その傾きが調整される。
【0059】
なお、傾きの修正方法は、上記実施の形態の場合同じである。すなわち、撮影した画像が水平に撮影されるまで、撮影と画像確認を繰り返し実行し、フォーカシングスクリーン122とCCD102との相対的な傾きを修正する。
【0060】
次に本発明に係るデジタル一眼レフカメラの第2の実施の形態について説明する。
【0061】
上記実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、CCDを光軸周りに回動させることにより、CCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠との相対的な傾きを修正しているが、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、ソフト的にCCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠との相対的な傾きを修正する。すなわち、ファインダ画像と撮影画像との間に傾き方向のズレが生じている場合、撮影された画像に画像処理を施して傾きを修正する。
【0062】
また、上記の例では、フォーカシングスクリーン122と視野枠128とが共に回動する構成とされているが、いずれか一方のみを回動させる構成としてもよい。すなわち、視野枠を備えない構成の場合には、フォーカシングスクリーンを回動させる構成とし、視野枠がフォーカシングスクリーンと独立して設置されている場合には、視野枠のみを回動させる構成としてもよい。
【0063】
また、上記一連の実施の形態では、傾き調整ツマミにより手動でCCD等を回動させる構成としているが、モータ等を用いて電動で駆動する構成としてもよい。この場合、回動の指示は、メニュー画面等を用いて行うようにしてもよい。
【0064】
また、傾き調整ツマミによる回転操作でCCD等を回動させる構成とするのではなく、スライドレバー等の直動操作を回転運動に変換して、回転させる構成としてもよい。
【0065】
図9は、第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラによる傾き修正方法の概念図である。
【0066】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、撮影画像がファインダ画像に対して傾いていた場合(同図(a))、撮影画像を回転させ(同図(b))、その回転させた画像の一部を切り出すことより(同図(c))、ファインダ画像と撮影画像との傾き方向のズレを修正する。
【0067】
画像の回転は、ユーザからの指示に応じて行われ、指示された回転量で画像を回転させる。画像の回転は、画像の中心を回転中心として行う。そして、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出し、切り出した画像を撮影画像として記録する。
【0068】
図10は、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体300の概略構成を示すブロック図である。
【0069】
なお、カメラの外観構成やファインダ光学系の構成等のデジタル一眼レフカメラの基本的な構成については、上述した第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラと同じなので、ここでは信号処理に係わる部分の構成についてのみ説明する。
【0070】
同図に示すように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体300は、CPU310、操作部(シャッタボタン、電源ボタン、メニューボタン、OKボタン、キャンセルボタン、十字ボタン、再生ボタン等の各種操作ボタン)312、ROM316、EEPROM318、メモリ(SDRAM)320、VRAM322、撮像素子(本実施の形態ではCCDとする)324、タイミングジェネレータ(TG)326、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332、画像信号処理回路334、圧縮・伸張処理回路336、メディアコントローラ338、メモリカード340、表示制御回路342、液晶モニタ344等を構成されている。
【0071】
CPU310は、カメラ本体300に装着された交換レンズを含めカメラ全体の動作を統括制御する制御部として機能し、操作部312からの入力に基づき所定の制御プログラムに従ってデジタル一眼レフカメラの各部を制御する。
【0072】
ROM316には、このCPU310が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM318には、ユーザ設定情報等のデジタル一眼レフカメラの動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0073】
メモリ(SDRAM)320は、CPU310の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM322は、表示用の画像データ専用の記憶領域として利用される。
【0074】
CCD324は、カラーCCDで構成されており、その受光面には多数のフォトダイオードが規則的に配列されている。撮影レンズを介してCCD324の受光面に入射した光は、各フォトダイオードによってその入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。
【0075】
タイミングジェネレータ(TG)326は、CPU310からの指令に従い、主としてCCD324を駆動するためのタイミング信号を生成する。CCD324は、このタイミングジェネレータ326から加えられるタイミング信号に従って各フォトダイオードに蓄積された信号電荷を電圧信号(画像信号)として出力する。
【0076】
アナログ信号処理回路328は、CCD324から順次出力される画像信号を相関二重サンプリング処理するとともに増幅する。
【0077】
A/D変換器330は、このアナログ信号処理回路328から出力されたR、G、Bのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。
【0078】
画像入力コントローラ332は、所定容量のバッファメモリを内蔵しており、A/D変換器330から出力された1コマ分の画像信号を蓄積して、メモリ320に格納する。
【0079】
画像信号処理回路334は、CPU310からの指令に従ってメモリ320に格納された画像信号を処理し、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0080】
圧縮・伸張処理回路336は、CPU310からの指令に従って画像信号処理回路334で生成された画像データに所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、圧縮された画像データに所定の伸張処理を施して、非圧縮の画像データを生成する。
【0081】
メディアコントローラ338は、CPU310からの指令に従い、撮影により得られた画像データをメモリカード340に記録し、また、記録済み画像をメモリカード340から読み出す。
【0082】
表示制御回路342は、CPU310からの指令に従い液晶モニタ344への表示を制御する。
【0083】
以上のように構成された本実施の形態のデジタル一眼レフカメラの作用は次のとおりである。
【0084】
まず、一般的な画像記録の手順について説明する。
【0085】
シャッタボタンによりCPU310に撮影指示が入力されると、CPU310は所要の撮影制御を行って、CCD324で一コマ分の画像を撮像する。
【0086】
CCD324で撮像された一コマ分の画像信号は、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332を介してメモリ320に格納され、メモリ320から画像信号処理回路334に加えられる。画像信号処理回路334は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。
【0087】
生成された画像データは、メモリ320に一旦格納された後、圧縮・伸張処理回路336に加えられ、所定の圧縮処理が施された後、メモリ320に再度格納される。
【0088】
CPU310は、このメモリ320に格納された圧縮画像データに対して所定の撮影情報を付加した所定フォーマットの画像ファイルを生成し、メディアコントローラ338を介してメモリカード340に記録する。
【0089】
このようにしてメモリカード340に記録された画像データは、再生指令に応じてメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。すなわち、
再生ボタンによりCPU310に再生指示が入力されると、CPU310は、メディアコントローラ338を介してメモリカード340に最後に記録された画像ファイルの圧縮画像データを読み出す。読み出された圧縮画像データは、圧縮・伸張処理回路336に加えられ、非圧縮の画像データとされたのちVRAM322に格納される。そして、このVRAM322に格納された画像ファイルが表示制御回路342に加えられ、モニタ表示用の信号形式に変換されて液晶モニタ344に出力される。これにより、メモリカード340に記録されている画像が液晶モニタ344に再生表示される。
【0090】
また、十字ボタン等によって画像のコマ送りが指示されると、次の画像がメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。また、コマ戻しが指示されると、一つ前の画像がメモリカード340から読み出され、液晶モニタ344に再生表示される。
【0091】
さて、上記のように、本実施の形態のデジタル一眼レフカメラでは、ユーザから画像の回転が指示されると、指示された回転量で撮影画像を回転させ、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出し、その切り出した画像を撮影画像として記録するように構成されている。
【0092】
ここで、画像の回転指示は、たとえば、液晶モニタ344の表示を利用して次のように行う。すなわち、セットアップメニューの一つとして傾き調整の項目を用意しておき、この傾き調整の画面を液晶モニタ344に呼び出して画像の回転指示を行う。
【0093】
図11は、画像の回転指示を行う画面の一例を示している。同図に示すように、本例では液晶モニタ344の画面に傾きの目盛を表示し、その目盛上に表示されるカーソルを+又は−方向に移動させることにより、画像の回転量を指示する構成とされている。カーソルの移動指示は、たとえば、十字ボタンの左右のボタンを用いて行われる。
【0094】
なお、本例では画像の傾きのイメージを示すために、傾きの目盛と同時に枠が表示され、この枠が指示された回転量に応じて回転するように構成されている。
【0095】
また、他の回転指示の方法として、図12に示すように、撮影済み画像を液晶モニタ344に表示させ、画像の傾き量を確認しながら回転量を指示できるようにしてもよい。すなわち、回転を指示すると、指示された回転量で回転させた画像が液晶モニタ344に表示されるように構成し、この液晶モニタ344の表示を見ながら回転量を指示できるように構成する。
【0096】
なお、同図に示す例では、液晶モニタ344の画面右上に回転量を指示する数値が表示され、この数値を上下させることにより、回転指示ができるようにされている。数値の上下は、たとえば十字ボタンの上下のボタンを用いて行い、この十字ボタンの押圧操作に基づいてCPU310は、再生中の画像の画像データから回転画像を生成し、液晶モニタ344に再表示させる。
【0097】
この他、画像の回転指示の方法としては、カメラ本体に専用の指示ボタン、レバー、ダイヤル等を設け、これらの操作部材から直接回転量を指示するようにしてもよい。また、回転角度を数値で入力できるように構成し、指示された回転角度で画像を回転させるようにしてもよい。
【0098】
このようにして回転指示が行われると、CPU310は、その画像の回転指示情報をEEPROM318に記録する。そして、画像記録時に、そのEEPROM318に記録された情報に基づいて画像を回転し、回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出して、切り出した画像を撮影画像として記録する。
【0099】
なお、画像を切り出す範囲は、画像の回転量(回転角度)ごとに設定されており、撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で切り出し可能な最大の範囲に設定されている。
【0100】
図13は、第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラの画像の記録処理の手順を示すフローチャートである。
【0101】
同図に示すように、まず、撮影指示の有無が判定され(ステップS10)、CPU310は、撮影指示ありと判定すると、所要の撮影処理を実行する(ステップS11)。すなわち、所要の撮影制御を行って、CCD324で一コマ分の画像を撮像する。
【0102】
CCD324で撮像された一コマ分の画像信号は、アナログ信号処理回路328、A/D変換器330、画像入力コントローラ332を介してメモリ320に格納され、メモリ320から画像信号処理回路334に加えられる。画像信号処理回路334は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施すことにより、輝度データと色差データとからなる画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ320に格納される。
【0103】
ここで、CPU310は、EEPROM318に記録された情報に基づいて画像の傾き修正の指示の有無を判定する(ステップS12)。そして、傾き修正の指示なしと判定すると、所要の記録処理を実行する(ステップS15)。すなわち、メモリ320に格納された画像データに対して所定の圧縮処理を施し、所定フォーマットの画像ファイルとしてメモリカード340に記録する。
【0104】
一方、画像の傾き修正の指示ありと判定すると、メモリ320に格納された画像に対して傾きの修正処理を実行する。すなわち、まず、EEPROM318に記録された情報に基づいて画像を指示された回転量で回転させる処理を行う(ステップS13)。そして、その回転させた画像から撮影時のアスペクト比と同じアスペクト比で画像を切り出す処理を行う(ステップS14)。これにより、傾きが修正された画像が生成されるので、この生成された画像に対して所要の記録処理を実行する(ステップS15)。すなわち、メモリ320に格納された画像データに対して所定の圧縮処理を施し、所定フォーマットの画像ファイルとしてメモリカード340に記録する。
【0105】
このようの本実施の形態のデジタル一眼レフカメラによれば、上記第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラと同様に、CCDとフォーカシングスクリーン又は視野枠とが相対的に傾いて取り付けられている場合であっても、そのズレを簡単に修正することができる。これにより、製造時の取付精度をラフにでき、製造効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す正面斜視図
【図2】デジタル一眼レフカメラの外観構成を示す背面斜視図
【図3】第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラに組み込まれたCCDの傾き調整機構の概略構成示す側面図
【図4】第1の実施の形態のデジタル一眼レフカメラに組み込まれたCCDの傾き調整機構の概略構成示す正面図
【図5】ファインダ接眼部から観察されるファインダ像の一例を示す図
【図6】傾きの修正手順の説明図
【図7】傾き調整機構の他の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図8】傾き調整機構の他の実施の形態の概略構成を示す側面図
【図9】第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラによる傾き修正方法の概念図
【図10】第2の本実施の形態のデジタル一眼レフカメラのカメラ本体の概略構成を示すブロック図
【図11】画像の回転指示を行う画面の一例を示す図
【図12】画像の回転指示を行う画面の一例を示す図
【図13】第2の実施の形態のデジタル一眼レフカメラの画像の記録処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0107】
10…デジタル一眼レフカメラ、12…カメラ本体、14…撮影レンズ、24…シャッタボタン、38…ファインダ接眼部、42…液晶モニタ、60…傾き調整ツマミ、100…傾き調整機構、102…CCD、104…ホルダ、106…軸受、108…ギア部、110…ウォームギア、112…軸受、120…クイックリターンミラー、122…フォーカシングスクリーン、124…ペンタプリズム、126…接眼レンズ、128…視野枠、200…傾き調整機構、204…ホルダ、206…ガイド部材、208…ギア部、210…ウォームギア、212…傾き調整ツマミ、300…カメラ本体、310…CPU、312…操作部、316…ROM、318…EEPROM、320…メモリ(SDRAM)、322…VRAM、324…CCD、326…タイミングジェネレータ(TG)、328…アナログ信号処理回路、330…A/D変換器、332…画像入力コントローラ、334…画像信号処理回路、336…圧縮・伸張処理回路、338…メディアコントローラ、340…メモリカード、342…表示制御回路、344…液晶モニタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
前記撮像素子を保持する保持部材であって、前記撮像素子が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、
前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記撮像素子の光軸周りの傾きを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【請求項2】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
前記フォーカシングスクリーン又は視野枠を保持する保持部材であって、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、
前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記フォーカシングスクリーンの光軸周りの傾きを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【請求項3】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
撮影により得られる画像の傾きの修正値を入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きを修正する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【請求項1】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
前記撮像素子を保持する保持部材であって、前記撮像素子が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、
前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記撮像素子の光軸周りの傾きを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【請求項2】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
前記フォーカシングスクリーン又は視野枠を保持する保持部材であって、前記フォーカシングスクリーン又は視野枠が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、
前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記フォーカシングスクリーンの光軸周りの傾きを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【請求項3】
撮影レンズと撮像素子の間に配設されたミラーによってフォーカシングスクリーン上に投影される被写体像を接眼レンズで観察するデジタル一眼レフカメラにおいて、
撮影により得られる画像の傾きの修正値を入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された修正値に基づいて撮影により得られた画像の傾きを修正する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル一眼レフカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−306417(P2007−306417A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134301(P2006−134301)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(504469411)富士フイルムフォトニックス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(504469411)富士フイルムフォトニックス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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