デジタル制御可能なマイクロ流体ディスプレイのための流体アクチュエータ
【課題】重量が著しく低減され、広い色域を提供することが可能であって、モジュール化することも容易であり、視認の質が天候の条件によって影響されにくい、ディスプレイを提供する。
【解決手段】各ピクセルが、壁と、マイクロ流体システムとを含み、マイクロ流体システムが、壁の前記第1の側部に配置された、変形可能な壁により部分的に定められるリザーバ・チャンバと、リザーバ内に配置された着色流体と、壁の第2の側部に配置されたディスプレイ・チャンバと、リザーバとディスプレイ・チャンバとの間を連通させる導管と、導管を通して、リザーバとディスプレイ・チャンバとの間で着色流体の一部を選択的に移送するための手段を含む流体アクチュエータとを含むディスプレイ。
【解決手段】各ピクセルが、壁と、マイクロ流体システムとを含み、マイクロ流体システムが、壁の前記第1の側部に配置された、変形可能な壁により部分的に定められるリザーバ・チャンバと、リザーバ内に配置された着色流体と、壁の第2の側部に配置されたディスプレイ・チャンバと、リザーバとディスプレイ・チャンバとの間を連通させる導管と、導管を通して、リザーバとディスプレイ・チャンバとの間で着色流体の一部を選択的に移送するための手段を含む流体アクチュエータとを含むディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ディスプレイの改善に関する。以下の説明は、当業者が特定の用途及びその要件の内容において提供されるように本発明を製造し利用することができるように提示される。ここで用いられる「上側」、「上向きに」、「下側」、「下向きに」、「前方」、「後方」といった方向の用語は、説明のための相対的位置を与えることを意図されており、絶対的な参照枠を指定することを意図されてはいない。当業者であれば、好ましい実施形態に対する種々の修正は明らかであり、ここで定められる一般原理は他の実施形態に適用することができる。従って、本発明は、図示され説明される特定の実施形態に限定されることを意図されず、ここに開示される原理及び新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲を付与されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】「LARGE FORMAT MICROFLUIDIC DIGITAL DISPLAY」という名称の米国特許出願第xx/xxx,xxx号
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1A】本発明による大型ディスプレイの一般化されたマイクロ流体ピクセルを示す断面側面図である。
【図1B】本発明による大型ディスプレイの一般化されたマイクロ流体ピクセルを示す断面側面図である。
【図2A】「背景」外観を示す図である。
【図2B】「背景」外観を示す図である。
【図3】本発明の簡略化された特定の実施形態によるマイクロ流体ピクセルのアレイを含む大型ディスプレイを示す正面側面斜視図である。
【図4A】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図4B】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図4C】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図5A】本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ及び電気化学ポンプを含むピクセルを視認する断面図である。
【図5B】本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ及び電気化学ポンプを含むピクセルを視認する断面図である。
【図6A】ピクセルの背景外観を示す図である。
【図6B】ディスプレイの表面部分の外観を示す図である。
【図6C】ディスプレイの表面部分の外観を示す図である。
【図7A】本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセルの断面側面図である。
【図7B】本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセルの断面側面図である。
【図8A】作動中のピクセルのディスプレイ表面の正面図である。
【図8B】作動中のピクセルのディスプレイ表面の正面図である。
【図9】本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセルを示す断面側面図である。
【図10】本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセルを示す正面図である。
【図11】本発明の別の実施形態によるCMYピクセルのアレイを電気的にアドレス指定する受動マトリックスのアドレス指定構成を含む大型ディスプレイの裏面を示す簡略化された概略図である。
【図12】ディスプレイの例示的なポンプの付加的な詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
図1(A)及び図1(B)は、本発明による大型ディスプレイ(図3を参照して以下に説明される)の一般化されたマイクロ流体ピクセル110を示す断面側面図である。ピクセル110は、各ピクセル110−Xは、前面121及び相対する背面122を有する壁120と、壁の後方の(第1の)側(即ち背面122に面する)に配置されたリザーバ130と、着色流体140と、壁の前方の(第2の)側(即ち前面121を覆う)に配置された少なくとも1つのディスプレイ・チャンバ150と、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間を連通させる導管160と、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間に着色流体140の一部を移送する流体アクチュエータを含むマイクロ流体システムとを含む。流体アクチュエータ170は、デジタル命令信号をデジタル制御回路180から受信し、これは一群のピクセル(図示せず)により共用され、したがって、着色流体140を、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間で、導管160により移送(送出)するように作動される。
【0005】
本発明の態様によれば、リザーバ130は、変形可能な壁(例えば、エラストマ性メンブレン)135により部分的に定められるリザーバ・チャンバ134を含み、流体アクチュエータ170は、力F1(図1(A)に示す)又は力F2(図1(B)に示す)を、選択的に、変形可能な壁135に加えるための機構「手段」を含んで、変形可能な壁135を(例えば図1(A)に示すように)変形するか或いは別の方法により変位させ、着色流体140の一部が、選択的に、第1リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間で、導管160を通って移送されるようにする。例えば、図1(A)に示すように、第1の命令信号C1をデジタル制御回路180から受信すると、流体アクチュエータ170は、変形可能な壁135をリザーバ・チャンバ134に押し付ける力F1を生成して、リザーバ・チャンバ134の内側の圧力を増加させ、着色流体140が導管160を通り、ディスプレイ・チャンバ150に押し込まれるようにする。対照的に、図1(B)に示すように、第2の命令信号C2をデジタル制御回路180から受信すると、流体アクチュエータ170は、変形可能な壁135をリザーバ・チャンバ134から引き出す力F2を生成して(或いは、変形可能な壁135を非延伸状態に戻して)、リザーバ・チャンバ134の内側の圧力を減少させ、着色流体140が導管160を通り、リザーバ・チャンバ134に戻るようにする。
【0006】
本発明の実施形態によれば、ディスプレイ・チャンバ150は、前面121の上に配置された透明な構造体を含み、前面121は塗装されるか或いは別の方法により所定の背景外観(例えば、白)で生成される。この構成により、ピクセル110の外観は、ディスプレイ・チャンバ150に着色剤流体140がない場合に前面121により生成される「背景」(第1)外観と、ディスプレイ・チャンバ150に着色流体140があることにより生成される「着色された」(第2)外観との間で変更可能である。例えば、図1(A)及び図1(B)は、着色流体140がディスプレイ・チャンバ150に移送されたときに生成される「着色された」外観101−1を示し、これにより、前面121はディスプレイ・チャンバ150に配置された着色流体の一部により曖昧になる。対照的に、図2(A)及び図2(B)に示すように、「背景」外観101−2は、着色流体140の実質的にすべてがリザーバ130に移送されたときに生成され、これにより、前面121は、ディスプレイ・チャンバ150を定める透明な構造体を通して視認される。
【0007】
図3は、本発明の簡略化された特定の実施形態による、各々が図1(A)及び図1(B)に示すように構築され動作されるマイクロ流体ピクセル110のアレイを含む大型ディスプレイ100を示す正面側面斜視図である。ディスプレイ100は、例えば支持ベース103と支持フレーム105とを含む支持構造体の上に支持される。ピクセル110は行と列とに配列され、それにより、各ピクセル110は、ディスプレイ100の2次元ディスプレイ表面101の対応するディスプレイ表面部分を形成する。したがって、ディスプレイ表面101の外観全体は、各々のピクセル110の外観を変化させることにより、選択的に制御される。例えば、図3に示す簡略化された実施形態により示されるように、ディスプレイ表面101の外観は、選択された第1のピクセル110−1が集合的に「B」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−1を作り出し、選択された第2のピクセル110−2が集合的に「U」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−2を作り出し、選択された第3のピクセル110−3が集合的に「Y」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−3を作り出すように制御し、残りのピクセル110−4は、その関連付けられたディスプレイ表面部分101−4が背景外観(例えば白色)を作り出すように制御することにより、「BUY」という単語を表示するように選択的に制御される。
【0008】
本発明の態様によれば、マイクロ流体ピクセル110は殆ど全てポリマー又は他の軽量材料を用いて製造され、それにより、既存の支持構造体の修正を必要とすることなく既存の印刷された屋外広告看板を置き換えるのに適した寸法及び重量をもったディスプレイ100を製造することが容易になる。ここで用いられる「大型ディスプレイ」という用語は、ここでは、支持構造体(例えば支持ベース103及びフレーム105)に取り付けるために製造され、少なくとも4フィートの幅Wと少なくとも3フィートの高さHとを有するディスプレイ表面101を有する、「屋外広告看板」タイプの表示を示すのに用いられる。典型的な大型「掲示板」サイズの屋外広告ディスプレイは48フィートの幅Wと、14フィートの高さHを有する。
【0009】
代替的な実施形態により、ディスプレイ100は、反射型ディスプレイ(即ち、従来の印刷された屋外広告看板と同様のもの)の役目を果たすように構成されるか、又は、光透過性材料を用いて壁120を形成することにより、光透過(バックライト)型ディスプレイとして作動するように構成される。壁120が不透明材料を用いて製造される場合にはディスプレイ100は晴天の環境に適した反射型の用途に限定され、夜間には、ディスプレイ表面101に向けた外部光(例えばランプ107、図1を見よ)を用いて観察される。よって、ディスプレイ100は、図3に示された光107と同様の既存の外部光を利用する既存の印刷された屋外広告看板を置き換えるのに適している。1つの代替的な実施形態においては、半透明材料を用いて壁120が製造され、背面122を通して光を向ける好適なバックライト構成が提供され、それにより、ディスプレイ100は、ディスプレイ表面101が外部照明なしに「発光する」ように、透過型ディスプレイとして作動する。
【0010】
大型ディスプレイ100の付加的な特徴及び詳細は、引用によりその全体をここに組み入れる、共同出願され、係属中の特許文献1に開示される。
【0011】
本発明の代替的な実施形態によれば、各々のピクセル110の流体アクチュエータ170は、外観変化中においてのみ電力を消費するポンプ機構を用いて実施され(例えば、図1(A)の「着色された」外観を図1(B)の背景外観に変化させる、図1(B)の背景外観を図1(A)の「着色された」外観に変化させる、又は、2つの異なる「着色された」外観の間で変化させる)、適用される電力を必要とすることなく、選択された外観を維持することを容易にする。以下に説明される特定の実施形態においては、電気化学ポンプ機構を用いて、所望の動作機能を提供する。代替的な実施形態においては(図示せず)、同様な動作機能は、圧電機構、示差(バイメタル)熱膨張機構、形状記憶合金機構、電気浸透機構、熱含気性機構、ハイドロゲル・アクチュエータ、及び静圧源が加えられた弁アレイ、又は当業者に知られる他のマイクロ流体作動機構を用いて生成可能である。
【0012】
図4(A)から図4(C)は、本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプ170A(他に示されない限り)を示す断面側面図である。ポンプ170Aは、ピクセルのリザーバ(図示せず)の変形可能な壁135Aと協働して、イオン溶液175A(例えば、典型的には、基、酸、又は塩の溶質からのプラスイオンが加えられた水を含む水性電解質溶液)を含むポンプ・チャンバ174Aを定める剛性のある壁171Aにより形成される電気化学セルを含む。第1の(例えば、プラチナ)電極176A−1及び第2の(例えば、プラチナ)電極176A−2は、離間構成で、ポンプ・チャンバ174Aの内側に配置される。ポンプ制御回路179Aは、壁171Aを通る、対応するコンダクタ177A−1及び177A−2のそれぞれにより、電極176A−1及び176A−2に接続される。ポンプ制御回路179Aは、対応する制御信号(例えば、電流、電圧、又は電荷)に応答して、以下に説明される所定の電位を電極176A−1及び176A−2に印加する既知の技術を用いて構築される。
【0013】
図4(A)から図4(C)に示す実施形態によれば、着色流体を、その関連するリザーバからその関連するディスプレイ・チャンバ(図示せず)に移送するために、変形可能な壁135Aを変位させる作動力は、気体の製造により生成される。図4(A)に示すように、制御信号C1に応答して、ポンプ制御回路179Aは、電流I1を、導電性溶液175Aを通して、図4(A)の破線の湾曲した矢印により示すように、電極176A−1と176A−2との間に誘起させるために、第1電位を電極176A−1及び176A−2に印加する。電流I1は、電気化学セルが、気泡(例えば、水素(H2)及び酸素(O2)の気泡)を生成するようにし、電気化学作動に必要とされる電流I1は、例えば方程式1から4に示されるように計算される。
6H2O⇔2H2+O2+4H++4OH- 方程式1
ここで、Nは気体のモル、Rは一般気体定数、Tは温度、Vは気体量、Pは気体の圧力、iは電流I1、tは時間(秒)、nは気体1分子を生成するのに必要な電子の数、及びFはファラデー定数である。電流I1を発生させるのに必要な電圧は、溶液175A、溶液/電極の界面、電極176A−1及び176A−2の直列抵抗、及び他の電子パッケージング抵抗(すなわち、トレース、個別の装置等)によって決まる。図4に示すように、結果として得られる気体の発生は、ポンプ・チャンバ174Aの内側の流体圧力を増加させて、変形可能な壁135Aを外方に変位させる作動力を生成する。本明細書において説明されるように、メンブレン135Aの外方変位は、着色流体を関連するリザーバ(図示せず)から押し出し、その関連するディスプレイ・チャンバに押し込む。着色流体の容量に対する制御は、発生気体の量を制御することにより制御可能であり、相対的な大量の着色流体の移送は、電流I1のマグニチュードを増加させることにより水素と酸素の気体のより大きい量を生成することによって、又は、電流I1をより長い時間の期間だけ維持することによって、実現される。1つの実施形態においては、電気化学プロセスにより発生された2つの気体(例えば、O2及びH2)は、互いに混合されることなく、別個のチャンバ内で生成され、格納される。
【0014】
図4(B)に示すように、気体の発生は、電極176A−1及び176A−2に印加される電気位置の除去により中止され、これは、電極176A−1及び176A−2が分離されている(すなわち、浮動しているか又は非常に高い外部抵抗により離されている)限り、変形可能な壁135Aが動作状態(すなわち、図4(B)に示す拡張状態、又は、図4(C)に示す収縮状態)のいずれかにおいて安定したまま残り、したがって、電気化学ポンプ170Aを用いてピクセルを組み込む大面積ディスプレイが、通常のLEDディスプレイと比較して、非常に低い消費電力で動作することを可能にする点で、電気化学ポンプ170Aの利点を示す。
【0015】
図4(C)に示すように、変形可能な壁135Aの収縮は、第2の制御信号C2をポンプ制御回路179Aに適用することにより実現される。制御信号C2が適用される間、ポンプ制御回路179Aは、第2の所定の電位を電極176A−1及び176A−2に適用し(例えば、ポンプ制御回路179Aは電極176A−1及び176A−2を共に電気的に短絡させる)、したがって、方程式1に関して上述された電気化学反応を逆にして、水素及び酸素の気体が組み合わさって水を形成するようにする。結果として得られる水への気体の縮合は、ポンプリザーバ174Aにおける流体の容積、したがって、圧力を減少させる。ポンプ・チャンバ174Aにおける圧力が降下するに伴い、変形可能な壁における作動力が減少して、ポンプ・チャンバ174Aに向かう変形可能な壁135Aの変位が可能になる。1つの実施形態においては、関連するリザーバ・チャンバ(図示せず)における付随する減少した圧力は、着色流体をディスプレイ・チャンバの外及び前面壁の後ろに引き出して、上述のように、ディスプレイ外観を白色の背景外観に戻すようにする部分真空を生成する。他の実施形態においては、付加的な機構を用いて、着色流体のディスプレイ・チャンバからリザーバへの完全な戻りを実現する。
【0016】
図5から図10は、図4(A)から図4(C)に関して上述されるものと同様な電気化学ポンプを用いる幾つかの簡略化された特定のピクセル構成を示す。当業者であれば、特定のピクセル構成に対する変形が可能であることを認識するであろう。したがって、上述のピクセル構成は、例示的なものであり、説明された構造体が特に挙げられていない限り、特許請求の範囲に限定されるものではないことが意図される。
【0017】
図5(A)及び図5(B)は、本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ150B及び電気化学ポンプ170Bを含むピクセル110Bを視認する断面図である。
【0018】
図5(A)の左側を参照すると、電気化学ポンプ170Bは、変形可能な壁135Bと協働する剛性のある壁171Bを含み、これは、離間関係で配置された第1電極176B−1及び第2電極176B−2を有する第1チャンバ部分174B−1と、変形可能な壁135Bにより部分的に定められる第2のチャンバ部分174B−2と、第1チャンバ部分174B−1及び第2チャンバ部分174B−2の下方領域の間で連通する(第2)導管173Bとを定める。この構成は、気体発生プロセスを第1のチャンバ部分176B−1に制限することにより、変形可能な壁135Bの信頼性のある変位を容易にする。すなわち、図5(B)に示すように、上述の方法により、電位を電極176B−1及び176B−2にわたり印加することにより、O2及びH2の気体が発生されたとき、気体は第1チャンバ部分174B−1の上部に浮動する(O2及びH2の気体は、典型的には別個のチャンバ内に格納される)。導管173Bは、第1のチャンバ174B−1の底部に配置されるため、O2及びH2気体により発生した圧力の増加は、(液体)溶液を第2のチャンバ部分174B−2に導管183Bを通して押すのみである。したがって、図5(A)及び図5(B)に示すように、(液体)溶液175Bのみが両方の動作状態で、変形可能な壁135Bに対して配置される。効率を増加させるために、小さい距離だけ、及び、高イオン又は電子移動度を可能にする媒体によって、電極を分離することが有利とすることができる。媒体の例としては、Nafion(登録商標)又は燃料セルの当業者に知られる他の固体高分子膜(PEM)材料が挙げられる。
【0019】
本実施形態の別の態様によれば、第1のチャンバ部分174B−1は細長くされ、垂直方向に伸び、電極176B−1及び176B−2は、実質的に、第1のチャンバ部分174B−1の長さ全体に沿って垂直方向に延びて、各々の電極の部分が第1のチャンバ部分174B−1の上端近くに配置される。この構成により、変換された水素及び酸素の気体は、電極176B−1及び176B−2と接触したまま残り、気体から水への信頼できる再変換を容易にする。
【0020】
図5(A)及び図5(B)の右側を参照すると、ピクセル110Bは、さらに、白色の前面121B及び対向する後面122Bを有する壁120Bと、後面122Bとリザーバ・チャンバ134Bを形成するフレーム132B及び変形可能な壁135Bを含むリザーバと、前面121B上に配置されるディスプレイ・チャンバ150Bと、リザーバ130Bとディスプレイ・チャンバ150Bとの間の壁120Bを通る導管160Bとを含む。
【0021】
関連する、引用によりその全体をここに組み入れる、共同出願され、係属中の特許文献1に説明された種々の実施形態によれば、ピクセル110Bは、「白黒」(二色)ディスプレイ、グレースケール(多階調)ディスプレイ、及び種々の表示制御特徴を有するカラーディスプレイの製造に関して最適化することができる。1つの特定の実施形態においては、着色流体140Bは、半透明であり(例えば、透明な液体内に懸濁されたカラー色素)、ポンプ170Bは、ピクセル110Bの外観が、明るい、中間の、及び暗い色合いの間で変化できるように制御される。例えば、図5(A)及び図6(A)は、ピクセル110Bの背景(又は明るい階調の)外観101B−1を示し、どの着色流体140Bも(又は非常に少量の着色流体140Bが)ディスプレイ・チャンバ150Bに配置されている。図5(B)及び図6(B)に示すように、ポンプ170Bが、上述のように、少量の着色流体140Bをディスプレイ・チャンバ150Bに移送するために作動されるとき、ディスプレイの表面部分101−2の外観は、前面121B及び少量の着色流体140Bの白い背景外観の混合物により定められる中間の色合いに変化する。図6(C)に示すように、より多い量の着色流体がディスプレイ・チャンバ150Bに移送されたときには、ディスプレイの表面部分101−3の外観は、着色流体により支配される相対的に暗い階調になる。
【0022】
図5(A)及び図5(B)に示す実施形態の別の態様によれば、ピクセル110Bは、ブラダー型ディスプレイ・チャンバ150Bを含み、これは、壁120Bの前面121Bに(例えば接着剤により)固定される外周縁156Bを有するエラストマ性メンブレン155Bを含み、それにより、エラストマ性メンブレン155Bの中心領域の内面は、ピクセル110Eが、図5(A)に示される第1の作動状態にあるときは、前方の壁121Bの中心領域に弾性的に押しつけられ、ここでは、着色流体140Bのほぼ全てがリザーバ130Bに配置される。上述のように、第1の動作状態においては、ディスプレイ表面部分101B−1は、図6(A)に示すように前方の壁121Bにより形成される白い外観を有する。図5(B)に示すように、この構成においては、ポケット158Bがエラストマ性メンブレン155Bと前方の壁121Eとの間に、着色流体140Bを受け取るために形成される。さらに、導管160Bは、着色流体140Bがリザーバ130Eとディスプレイ・チャンバ150Bの中心部分との間を通過するように、1つ又はそれ以上のマイクロ・チャネルが定められた壁120Bを含む。1つの実施形態においては、10mmのピクセルのために250μmの円形の貫通孔が提供され、ここで各々の孔の前側はディスプレイ・チャンバに連結し、後ろ側は直接リザーバ・チャンバに連結するか、又は後ろ側におけるより複雑な流体通路を介して連結する。より複雑な流体通路は、適切なスロット又は他の切抜きを各々の層に設けたシートを積層することにより、形成してもよい。切抜き及び円形の貫通孔は、レーザ・カット、ダイ・カット、或いは他の機械的な(成形)又は非機械的な(例えばエッチング又はリソグラフィ)方法を用いて形成してもよい。図6(B)に示されるように、カラーの外観を作り出すためには、ポンプ(図170B)が、リザーバ130Eの変形可能な壁135Bに押圧力Fを加え、これにより変形可能な壁135Bが変形し、リザーバ・チャンバが圧潰することによって、着色流体140Bを導管160Bに通し、エラストマ性メンブレン155Bの内面に向かって押し出す。着色流体140Bがポケット158Bに入ると共にメンブレン155Bは外方に膨張して、着色流体140Bに内面121Bを覆わせ、それにより、ディスプレイ表面部分101B2(図6(B))は「着色された」外観を呈する。力Fが増加すると、より多くの着色流体140Bがポケット158Bに移送され、エラストマ性メンブレン155Bをさらに膨張させ、それにより図6(C)における外観101B−3に示すように、「着色された」外観はより濃くなる。変形可能な壁135Bに対するポンプの力Fが減少すると、エラストマ性メンブレン155Bは元の(例えば平坦な)形状へと弾性的に変形できるようになり、着色流体140Bは導管160Bを通ってリザーバ130Bに戻るように移動することになる。着色流体140B及びエラストマ性メンブレン155Bの加えられる力Fに対する可変の変位は、予測可能な(従って確実に再現可能な)着色剤の光学濃度の範囲を提供している。
【0023】
本発明者らは、ブラダー型ピクセル110Bは、大型(例えば2mmから20mm)のピクセルのみを必要とし、低速(例えば100ミリ秒から3分までの範囲)でリフレッシュするだけでよい反射型大型ディスプレイ、特に著しい距離を隔てて視認されるものに関して、本質的により重要であり、小型及び/又は高速スイッチング・ピクセルに関してはそうでもないと感じている。即ち、ブラダー型ピクセルは妥当なコストで製造できない場合があるので、1mmピクセル未満のピクセルには適さないことがある。他の用途におけるブラダー型ピクセル110Bの限界として可能性があるものは、前面121Bの外周領域において着色が限られる場合があることである。図6(B)及び図6(C)において示されるように、エラストマ性メンブレン155Bが外周で接続しているので、着色流体140Bのより厚い層は、ピクセル110Bの外周領域よりも中心部に配置され、それにより、図6(B)及び図6(C)に示されるように、ディスプレイ表面部分101B−2及び101B−3は、より色が濃い中心領域と、実質的に白い比較的広い外周領域と、を有する。ブラダー型ピクセル110Bの別の可能性のある欠点は、着色流体140Bをリザーバ130Bに完全に送り戻すために追加の方法を用いることが必要となる場合があることである。このような方法は、着色流体の内部の流体構造に対する界面化学的修正を含むことがある。これは湿潤状態と湿潤解除状態との両方を制御し、提供する助けとなることもある。1つの手順は、ピクセル・キャビティを最初に光学的に透明なオイルで充填し、次いでピクセルを暗くするための非混和インクでオイルを排除することになろう。オイルは壁を濡らそうとするが、インクは壁を濡らそうとはしない。プラスチックの壁は常に非常に薄いオイルの膜を保持することになると予想される。このことがより多くの制御に繋がり、またインクにより壁が着色される可能性を緩和すると本発明者らは考える。代替的に、パネルの前側を1気圧より高い圧力下でパッケージング/シーリングすることによって行うことが可能な「ゼロ化」力をチャンバ・ブラダーの視認側に加えて、それによりピクセル・ポンプが差分Pに対して作動するようにしてもよい。必要であれば、差分Pは、従来のポンプによりパネル・レベルで加えてもよい。このゼロ化力は、ブラダーを元の状態に完全に戻し、着色料を全て排除するのに必要となることがある。これは、メンブレンの張力又はダイアフラムの剛性が十分に大きい復元力を提供しない場合に必要となることがある。
【0024】
図7(A)及び図7(B)は、ブラダー型ピクセル110Cに関連する着色が不均一になる問題に対処した本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセル110Cの断面側面図であり、図8(A)及び図8(B)は作動中のピクセル110Cのディスプレイ表面の正面図である。ダイアフラム型ピクセル110Cは、ブラダー型ピクセル110Cの(上記で説明された)それと実質的に同一の、壁120Cと、リザーバ130Cと、着色流体140Cと、マイクロ・チャネル導管160Cと、電気化学ポンプ170Cを含み、従って、これらの部品の説明は簡略にするために省略される。
【0025】
本発明の1つの態様により、ディスプレイ・チャンバ150Cは、外周フレーム152Cと、壁120Cの前面121Cと協働して固定容積のチャンバ154Cを定める、剛性のある透明な壁153Cと、フレーム152Cにより壁120Cの前面121Cに(例えば接着剤により)固定される外周縁157Cを有する「バギー型の」メンブレン155Cと、を含む。ブラダー型ピクセル110Eのエラストマ性メンブレン155Eと異なり、ピクセル110Cが図7(A)に示される、着色流体140Cのほぼ全てがリザーバ130Cに配置されている(即ち、ディスプレイ表面部分101C−1は図8(A)に示されるように前方の壁121Cにより形成される白い外観を有する)第1の作動状態にある時に、メンブレン155Cは比較的弛んでいる。図7(B)に示されるように、カラーの外観を作り出すためには、上記で説明されたような手法でポンプ(170C)がリザーバ130Cに押圧力Fを加え、それにより、着色流体140Cを、導管160Cを通し、メンブレン155Cの内面に向かって押し出し、着色流体140Cが、メンブレン155Cの内面と前面121Cとの間に定められるポケット158Cを充填し始めるようにする。着色流体140Cがポケット158Cに入ると共にメンブレン155Cは外方に膨張して固定容積チャンバ154Cを充填し、着色流体140Eに内面121Cを覆わせ、それにより、ディスプレイ表面部分101C−2(図8(B))は「着色された」外観を呈する。メンブレン155Cの外方への膨張は剛性のある透明な壁153Cによって制限されるので、着色流体140Cは、ブラダー型ピクセル110Bに比べて、実質的に均一な厚さを形成することに留意せよ。力Fが増加すると、より多くの着色流体140Cがポケット158Cに移送され、メンブレン155Cが固定容積チャンバ154Cの全体を充填するまで膨張させる。薄型フレーム152Cを提供することにより、着色流体140Cの均一な厚さはピクセル110Cの最外縁まで延長され、それにより、ダイアフラム型ピクセル110Cの充填比はブラダー型ピクセル110Bのそれよりも大きくなると考えられることに留意せよ。その後リザーバ130Cにおけるポンプの力Cが減少すると、エラストマ性メンブレン155Cは元の(例えば平坦な)形状へと変形させられ、着色流体140Cは導管160Cを通って元のリザーバ130Cに移動する。
【0026】
より均一な外観とより大きな充填比を呈示していることに加えて、ダイアフラム型セル110Cがブラダー型セル110B(図5(A)を見よ)よりも優れている別の利点は、図9及び図10を参照して以下で説明されるように、ダイアフラム型セル110Cの方が簡単に、CMYカラー・ピクセルのために用いられる空間的に直列なディスプレイ・チャンバ構成を生成するための積層をしやすくすることである。
【0027】
図9は、本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセル110Dを示す断面側面図であり、図10はその正面図である。ピクセル110Dは、上記で説明された技術を用いて3つの異なる着色流体140D−1から140D−3を3つの別個のリザーバ130D−1から130D−3と3つのディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3との間で移送させるための3つの独立したマイクロ流体システムと共に図示される。図9に示されるように、リザーバ130D−1から130D−3は空間的に並列な構成で配列され、各々が、関連する制御信号(図示せず)に応答して上述される方法で動作する関連するポンプ170D−1から170D−3により生成される別個のポンプ力F1からF3を受ける。ディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3の各々は、上記で論じられたダイアフラム型ピクセル110Cのディスプレイ・チャンバ150Cと実質的に同一であるが、第1のディスプレイ・チャンバ150D−1は上記で説明されたような手法で前面121Dに取り付けられ、第2のディスプレイ・チャンバ150D−2は透明な剛性のある壁153D−1の前面に取り付けられ、第3のディスプレイ・チャンバ150D−3は透明な剛性のある壁153D−2の前面に取り付けられるという、空間的に直列な配列で積層される。この配列では、ディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3の各々は、概ね、ダイアフラム型ピクセル110Cを参照して上記で説明された形で、選択されたカラーの(例えばCMY)表示を形成するように、独立して作動する。
【0028】
ピクセル110Dのアレイを組み込んだ大型ディスプレイ(例えばディスプレイ100、図3を見よ)は、各ピクセル110Dのポンプ170D−1からポンプ170D−3を独立して制御するための3つの別個の制御信号(電流)を生成するデジタル制御回路180Cを含み、それにより、ピクセル110Dのディスプレイ表面部分は、着色流体140D−1から着色流体140D−3のほぼ全てがリザーバ130D−1からリザーバ130D−3までのそれぞれに移送されたときに生成される白い背景外観と、着色流体140D−1から着色流体140D−3の中の少なくとも1つのうちの選択された量が関連するディスプレイ・チャンバ150D−1からディスプレイ・チャンバ150D−3までのそれぞれに移送されたときに生成される着色された外観との間で選択的に変更可能である。当業者であれば、(上で参照された)特許文献1に説明されるように、ディスプレイ・チャンバの各々におけるCMY着色流体の量を変更することにより、幅広い範囲の刺に可能な色が各々のピクセル110Dにより表示可能になることを認識するであろう。
【0029】
上述のように、各々のカラー・ピクセルは、独特なCMYカラーを実現するために、3つの区別できる作動電流(及び関連する制御信号)を必要とする。本発明の別の態様によれば、これら3つの区別できる作動電流は、受動マトリックスのアドレス指定を用いて実現され、即時の電力要求を減少させるために、各々のマトリックス要素における電気化学エネルギーは、一組の局所的なキャパシタを通して供給される。本発明は、大型(例えば1mmから20mm)のピクセルのみを必要とし、低速(例えば100ミリ秒から約3分までの範囲)でリフレッシュするだけでよい反射型ディスプレイに関して、本質的により重要であり、小型及び/又は高速スイッチング・ピクセルに関してはそうでもない。
【0030】
図11は、本発明の別の実施形態によるCMYピクセル110Eのアレイを電気的にアドレス指定する受動マトリックスのアドレス指定構成を含む大型ディスプレイ100Eの裏面を示す簡略化された概略図である。CMYピクセル110Eは、行列で配置される(例えば、ピクセル110E−1及び110E−2は同じ行であり、ピクセル110E−2及び110E−3は同じ列である)。図9及び図10に関して上述されたように、各々のピクセルは、3つの(即ち、CMY)の各々の制御するための3つの電気化学ポンプ(例えば、ピクセル110E−1はポンプ170E−1、170E−2及び170E−3)を含む。各々のポンプは、正電極及び負電極の両方を含む(例えば、ピクセル110E−2の第1のポンプは、正電極176E−11及び負電極176E−12を含み、第2のポンプは正電極176E−13及び負電極176E−14を含み、第3のポンプは正電極176E−15及び負電極176E−16を含む)。各々の行における3つの正電極の各々は、関連するCMY制御信号を送信する、対応する水平方向コンダクタに接続され、各々の列における負電極は、関連する「共通」制御信号を送信する、対応する垂直方向コンダクタに接続される。例えば、正電極176E−11は「C」制御信号をコンダクタ185E−1において受信し、正電極176E−13は「M」制御信号をコンダクタ175E−3において受信し、正電極176E−15は「Y」制御信号をコンダクタ185E−3において受信する。負コンダクタ176E−2、176E−4及び176E−6は、コンダクタ185−4上に送信された「COMMON」制御信号を受信する。周りに円をもつ黒点は電極を象徴し、図11に示すU字形状のポンプ構造体の一方の脚部はO2気体を捕捉し、一方の脚部はH2気体を捕捉するU字形状の流体チャネルであり、2つの気体は互いに離れた状態で維持されることに注目することは重要である。さらに、各々の「共通」ラインには、受動マトリックスを容易にするためにダイオードが必要になることに注目することは重要である。当業者であれば、各々のピクセル110Eの各々のポンプは、この受動マトリックスのアドレス指定構成を用いて、個別にアドレス指定可能であり、本明細書に開示されるものとは別の付加的なアドレス指定法を用いてもよいことを認識するであろう。
【0031】
図12は、ディスプレイ100E(図11を参照されたい)の例示的なポンプ170E−1の付加的な詳細を示す。ポンプ170E−1は、水性流体175Eを含有する外壁171Eを含み、溶液175E内に配置され、上述の方法によりアドレス指定された負電極176E−12及び正電極176E−11を含む。本実施形態の別の態様によれば、負電極176E−12は、少なくとも、水素発生の触媒として作用するプラチナ、ニッケル、又はプラチナ/ニッケル合金を含む外層を含む負電極176E−12を含み、正電極176E−11は、酸素発生の触媒として作用するプラチナ/ニッケル表面層176E−11Aを含む一連の薄膜と、容量性構造体において実施される一連の金属化(例えば、アルミニウム)及び誘電体層を含むベース構造体176E−11Bとを含む。任意的なダイオード178E又はトランジスタは、制御電流をマトリックス構造体内で電流の流れを制御するために、静電極と直列に与えられる。これは、内蔵電解キャパシタであることが効率的である。
【0032】
上記で開示された種々の実施形態により製造される大型ディスプレイは、従来の印刷及びLEDによる屋外広告看板に優る多数の利点を提供する。主な利点は重量である。大型の装置は主としてポリマーを用いて構築されており、比較的薄いので、LEDの比較対照物に比べてその重量は著しく減ることになる。これにより、現在適用を除外されている屋外広告看板を、顕著な調節的相互作用を伴うことなく、改造することが可能になる。しかも、ここで説明される空間的直列構成により提供されるCMYカラー・ベースは、RGBベースの設計よりも広い色域を提供することになる(反射型様式に限って当て嵌まり、発光様式に関しては必ずしもそうではない)。層構成はモジュール化することもでき、それにより、ディスプレイの中の故障又は不良の部分の補修は容易且つ安く、迅速である(即ち、1つのピクセル又はピクセル・パネルを交換することによる)。反射型ピクセルは、所定の位置にある地元の自治体によって認められた光源を使用し、従って、日の当たる環境に好適であり、視認の質は天候の条件によってより影響されにくい。ここで言及された電気化学的ポンプと組み合わせて用いられた場合には、電気化学的ポンプにより提供される電解質は双安定であり、色の作動は所与の量の電気エネルギーを適用することによって生じる。生成された気泡は安定しており、よってその後のエネルギーの適用がなくても色は変化しないままであり、即ち、色は選択された電流が適用されるまで安定した状態のままである。このことは、他のデジタル屋外広告看板方法に対し、著しくより安価な運用を提供する。別の利点は、種々のピクセルを形成するために用いられる製造方法が、単純且つ従来技術である点である。
【0033】
本発明は、特定の具体的な実施形態に関して説明されたが、本発明の新規な特徴は他の実施形態にも適用可能であることは当業者であれば明らかであり、その全てが本発明の範囲内にあることを意図される。例えば、本明細書においては、本発明は、着色流体を変位させるために、流体アクチュエータを用いてエラストマ性メンブレンを変位させていたが、流体アクチュエータは、エラストマ性メンブレンを用いることなくこの機能を実現することができる。さらに、代替的な実施形態においては、固体イオン性コンダクタ、例えば、固体高分子膜を電解質として用いることができ、流体、すなわち水、水素及び酸素を電気化学的正反応及び逆反応のための反応剤を供給するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
100:大型ディスプレイ
110:マイクロ流体ピクセル
120:壁
130:リザーバ
140:着色流体
150:ディスプレイ・チャンバ
160:導管
170:流体アクチュエータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ディスプレイの改善に関する。以下の説明は、当業者が特定の用途及びその要件の内容において提供されるように本発明を製造し利用することができるように提示される。ここで用いられる「上側」、「上向きに」、「下側」、「下向きに」、「前方」、「後方」といった方向の用語は、説明のための相対的位置を与えることを意図されており、絶対的な参照枠を指定することを意図されてはいない。当業者であれば、好ましい実施形態に対する種々の修正は明らかであり、ここで定められる一般原理は他の実施形態に適用することができる。従って、本発明は、図示され説明される特定の実施形態に限定されることを意図されず、ここに開示される原理及び新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲を付与されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】「LARGE FORMAT MICROFLUIDIC DIGITAL DISPLAY」という名称の米国特許出願第xx/xxx,xxx号
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1A】本発明による大型ディスプレイの一般化されたマイクロ流体ピクセルを示す断面側面図である。
【図1B】本発明による大型ディスプレイの一般化されたマイクロ流体ピクセルを示す断面側面図である。
【図2A】「背景」外観を示す図である。
【図2B】「背景」外観を示す図である。
【図3】本発明の簡略化された特定の実施形態によるマイクロ流体ピクセルのアレイを含む大型ディスプレイを示す正面側面斜視図である。
【図4A】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図4B】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図4C】本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプを示す断面側面図である。
【図5A】本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ及び電気化学ポンプを含むピクセルを視認する断面図である。
【図5B】本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ及び電気化学ポンプを含むピクセルを視認する断面図である。
【図6A】ピクセルの背景外観を示す図である。
【図6B】ディスプレイの表面部分の外観を示す図である。
【図6C】ディスプレイの表面部分の外観を示す図である。
【図7A】本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセルの断面側面図である。
【図7B】本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセルの断面側面図である。
【図8A】作動中のピクセルのディスプレイ表面の正面図である。
【図8B】作動中のピクセルのディスプレイ表面の正面図である。
【図9】本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセルを示す断面側面図である。
【図10】本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセルを示す正面図である。
【図11】本発明の別の実施形態によるCMYピクセルのアレイを電気的にアドレス指定する受動マトリックスのアドレス指定構成を含む大型ディスプレイの裏面を示す簡略化された概略図である。
【図12】ディスプレイの例示的なポンプの付加的な詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
図1(A)及び図1(B)は、本発明による大型ディスプレイ(図3を参照して以下に説明される)の一般化されたマイクロ流体ピクセル110を示す断面側面図である。ピクセル110は、各ピクセル110−Xは、前面121及び相対する背面122を有する壁120と、壁の後方の(第1の)側(即ち背面122に面する)に配置されたリザーバ130と、着色流体140と、壁の前方の(第2の)側(即ち前面121を覆う)に配置された少なくとも1つのディスプレイ・チャンバ150と、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間を連通させる導管160と、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間に着色流体140の一部を移送する流体アクチュエータを含むマイクロ流体システムとを含む。流体アクチュエータ170は、デジタル命令信号をデジタル制御回路180から受信し、これは一群のピクセル(図示せず)により共用され、したがって、着色流体140を、リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間で、導管160により移送(送出)するように作動される。
【0005】
本発明の態様によれば、リザーバ130は、変形可能な壁(例えば、エラストマ性メンブレン)135により部分的に定められるリザーバ・チャンバ134を含み、流体アクチュエータ170は、力F1(図1(A)に示す)又は力F2(図1(B)に示す)を、選択的に、変形可能な壁135に加えるための機構「手段」を含んで、変形可能な壁135を(例えば図1(A)に示すように)変形するか或いは別の方法により変位させ、着色流体140の一部が、選択的に、第1リザーバ130とディスプレイ・チャンバ150との間で、導管160を通って移送されるようにする。例えば、図1(A)に示すように、第1の命令信号C1をデジタル制御回路180から受信すると、流体アクチュエータ170は、変形可能な壁135をリザーバ・チャンバ134に押し付ける力F1を生成して、リザーバ・チャンバ134の内側の圧力を増加させ、着色流体140が導管160を通り、ディスプレイ・チャンバ150に押し込まれるようにする。対照的に、図1(B)に示すように、第2の命令信号C2をデジタル制御回路180から受信すると、流体アクチュエータ170は、変形可能な壁135をリザーバ・チャンバ134から引き出す力F2を生成して(或いは、変形可能な壁135を非延伸状態に戻して)、リザーバ・チャンバ134の内側の圧力を減少させ、着色流体140が導管160を通り、リザーバ・チャンバ134に戻るようにする。
【0006】
本発明の実施形態によれば、ディスプレイ・チャンバ150は、前面121の上に配置された透明な構造体を含み、前面121は塗装されるか或いは別の方法により所定の背景外観(例えば、白)で生成される。この構成により、ピクセル110の外観は、ディスプレイ・チャンバ150に着色剤流体140がない場合に前面121により生成される「背景」(第1)外観と、ディスプレイ・チャンバ150に着色流体140があることにより生成される「着色された」(第2)外観との間で変更可能である。例えば、図1(A)及び図1(B)は、着色流体140がディスプレイ・チャンバ150に移送されたときに生成される「着色された」外観101−1を示し、これにより、前面121はディスプレイ・チャンバ150に配置された着色流体の一部により曖昧になる。対照的に、図2(A)及び図2(B)に示すように、「背景」外観101−2は、着色流体140の実質的にすべてがリザーバ130に移送されたときに生成され、これにより、前面121は、ディスプレイ・チャンバ150を定める透明な構造体を通して視認される。
【0007】
図3は、本発明の簡略化された特定の実施形態による、各々が図1(A)及び図1(B)に示すように構築され動作されるマイクロ流体ピクセル110のアレイを含む大型ディスプレイ100を示す正面側面斜視図である。ディスプレイ100は、例えば支持ベース103と支持フレーム105とを含む支持構造体の上に支持される。ピクセル110は行と列とに配列され、それにより、各ピクセル110は、ディスプレイ100の2次元ディスプレイ表面101の対応するディスプレイ表面部分を形成する。したがって、ディスプレイ表面101の外観全体は、各々のピクセル110の外観を変化させることにより、選択的に制御される。例えば、図3に示す簡略化された実施形態により示されるように、ディスプレイ表面101の外観は、選択された第1のピクセル110−1が集合的に「B」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−1を作り出し、選択された第2のピクセル110−2が集合的に「U」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−2を作り出し、選択された第3のピクセル110−3が集合的に「Y」を形成する色の暗いディスプレイ表面部分101−3を作り出すように制御し、残りのピクセル110−4は、その関連付けられたディスプレイ表面部分101−4が背景外観(例えば白色)を作り出すように制御することにより、「BUY」という単語を表示するように選択的に制御される。
【0008】
本発明の態様によれば、マイクロ流体ピクセル110は殆ど全てポリマー又は他の軽量材料を用いて製造され、それにより、既存の支持構造体の修正を必要とすることなく既存の印刷された屋外広告看板を置き換えるのに適した寸法及び重量をもったディスプレイ100を製造することが容易になる。ここで用いられる「大型ディスプレイ」という用語は、ここでは、支持構造体(例えば支持ベース103及びフレーム105)に取り付けるために製造され、少なくとも4フィートの幅Wと少なくとも3フィートの高さHとを有するディスプレイ表面101を有する、「屋外広告看板」タイプの表示を示すのに用いられる。典型的な大型「掲示板」サイズの屋外広告ディスプレイは48フィートの幅Wと、14フィートの高さHを有する。
【0009】
代替的な実施形態により、ディスプレイ100は、反射型ディスプレイ(即ち、従来の印刷された屋外広告看板と同様のもの)の役目を果たすように構成されるか、又は、光透過性材料を用いて壁120を形成することにより、光透過(バックライト)型ディスプレイとして作動するように構成される。壁120が不透明材料を用いて製造される場合にはディスプレイ100は晴天の環境に適した反射型の用途に限定され、夜間には、ディスプレイ表面101に向けた外部光(例えばランプ107、図1を見よ)を用いて観察される。よって、ディスプレイ100は、図3に示された光107と同様の既存の外部光を利用する既存の印刷された屋外広告看板を置き換えるのに適している。1つの代替的な実施形態においては、半透明材料を用いて壁120が製造され、背面122を通して光を向ける好適なバックライト構成が提供され、それにより、ディスプレイ100は、ディスプレイ表面101が外部照明なしに「発光する」ように、透過型ディスプレイとして作動する。
【0010】
大型ディスプレイ100の付加的な特徴及び詳細は、引用によりその全体をここに組み入れる、共同出願され、係属中の特許文献1に開示される。
【0011】
本発明の代替的な実施形態によれば、各々のピクセル110の流体アクチュエータ170は、外観変化中においてのみ電力を消費するポンプ機構を用いて実施され(例えば、図1(A)の「着色された」外観を図1(B)の背景外観に変化させる、図1(B)の背景外観を図1(A)の「着色された」外観に変化させる、又は、2つの異なる「着色された」外観の間で変化させる)、適用される電力を必要とすることなく、選択された外観を維持することを容易にする。以下に説明される特定の実施形態においては、電気化学ポンプ機構を用いて、所望の動作機能を提供する。代替的な実施形態においては(図示せず)、同様な動作機能は、圧電機構、示差(バイメタル)熱膨張機構、形状記憶合金機構、電気浸透機構、熱含気性機構、ハイドロゲル・アクチュエータ、及び静圧源が加えられた弁アレイ、又は当業者に知られる他のマイクロ流体作動機構を用いて生成可能である。
【0012】
図4(A)から図4(C)は、本発明の簡略化された特定の実施形態によるピクセルの電気化学ポンプ170A(他に示されない限り)を示す断面側面図である。ポンプ170Aは、ピクセルのリザーバ(図示せず)の変形可能な壁135Aと協働して、イオン溶液175A(例えば、典型的には、基、酸、又は塩の溶質からのプラスイオンが加えられた水を含む水性電解質溶液)を含むポンプ・チャンバ174Aを定める剛性のある壁171Aにより形成される電気化学セルを含む。第1の(例えば、プラチナ)電極176A−1及び第2の(例えば、プラチナ)電極176A−2は、離間構成で、ポンプ・チャンバ174Aの内側に配置される。ポンプ制御回路179Aは、壁171Aを通る、対応するコンダクタ177A−1及び177A−2のそれぞれにより、電極176A−1及び176A−2に接続される。ポンプ制御回路179Aは、対応する制御信号(例えば、電流、電圧、又は電荷)に応答して、以下に説明される所定の電位を電極176A−1及び176A−2に印加する既知の技術を用いて構築される。
【0013】
図4(A)から図4(C)に示す実施形態によれば、着色流体を、その関連するリザーバからその関連するディスプレイ・チャンバ(図示せず)に移送するために、変形可能な壁135Aを変位させる作動力は、気体の製造により生成される。図4(A)に示すように、制御信号C1に応答して、ポンプ制御回路179Aは、電流I1を、導電性溶液175Aを通して、図4(A)の破線の湾曲した矢印により示すように、電極176A−1と176A−2との間に誘起させるために、第1電位を電極176A−1及び176A−2に印加する。電流I1は、電気化学セルが、気泡(例えば、水素(H2)及び酸素(O2)の気泡)を生成するようにし、電気化学作動に必要とされる電流I1は、例えば方程式1から4に示されるように計算される。
6H2O⇔2H2+O2+4H++4OH- 方程式1
ここで、Nは気体のモル、Rは一般気体定数、Tは温度、Vは気体量、Pは気体の圧力、iは電流I1、tは時間(秒)、nは気体1分子を生成するのに必要な電子の数、及びFはファラデー定数である。電流I1を発生させるのに必要な電圧は、溶液175A、溶液/電極の界面、電極176A−1及び176A−2の直列抵抗、及び他の電子パッケージング抵抗(すなわち、トレース、個別の装置等)によって決まる。図4に示すように、結果として得られる気体の発生は、ポンプ・チャンバ174Aの内側の流体圧力を増加させて、変形可能な壁135Aを外方に変位させる作動力を生成する。本明細書において説明されるように、メンブレン135Aの外方変位は、着色流体を関連するリザーバ(図示せず)から押し出し、その関連するディスプレイ・チャンバに押し込む。着色流体の容量に対する制御は、発生気体の量を制御することにより制御可能であり、相対的な大量の着色流体の移送は、電流I1のマグニチュードを増加させることにより水素と酸素の気体のより大きい量を生成することによって、又は、電流I1をより長い時間の期間だけ維持することによって、実現される。1つの実施形態においては、電気化学プロセスにより発生された2つの気体(例えば、O2及びH2)は、互いに混合されることなく、別個のチャンバ内で生成され、格納される。
【0014】
図4(B)に示すように、気体の発生は、電極176A−1及び176A−2に印加される電気位置の除去により中止され、これは、電極176A−1及び176A−2が分離されている(すなわち、浮動しているか又は非常に高い外部抵抗により離されている)限り、変形可能な壁135Aが動作状態(すなわち、図4(B)に示す拡張状態、又は、図4(C)に示す収縮状態)のいずれかにおいて安定したまま残り、したがって、電気化学ポンプ170Aを用いてピクセルを組み込む大面積ディスプレイが、通常のLEDディスプレイと比較して、非常に低い消費電力で動作することを可能にする点で、電気化学ポンプ170Aの利点を示す。
【0015】
図4(C)に示すように、変形可能な壁135Aの収縮は、第2の制御信号C2をポンプ制御回路179Aに適用することにより実現される。制御信号C2が適用される間、ポンプ制御回路179Aは、第2の所定の電位を電極176A−1及び176A−2に適用し(例えば、ポンプ制御回路179Aは電極176A−1及び176A−2を共に電気的に短絡させる)、したがって、方程式1に関して上述された電気化学反応を逆にして、水素及び酸素の気体が組み合わさって水を形成するようにする。結果として得られる水への気体の縮合は、ポンプリザーバ174Aにおける流体の容積、したがって、圧力を減少させる。ポンプ・チャンバ174Aにおける圧力が降下するに伴い、変形可能な壁における作動力が減少して、ポンプ・チャンバ174Aに向かう変形可能な壁135Aの変位が可能になる。1つの実施形態においては、関連するリザーバ・チャンバ(図示せず)における付随する減少した圧力は、着色流体をディスプレイ・チャンバの外及び前面壁の後ろに引き出して、上述のように、ディスプレイ外観を白色の背景外観に戻すようにする部分真空を生成する。他の実施形態においては、付加的な機構を用いて、着色流体のディスプレイ・チャンバからリザーバへの完全な戻りを実現する。
【0016】
図5から図10は、図4(A)から図4(C)に関して上述されるものと同様な電気化学ポンプを用いる幾つかの簡略化された特定のピクセル構成を示す。当業者であれば、特定のピクセル構成に対する変形が可能であることを認識するであろう。したがって、上述のピクセル構成は、例示的なものであり、説明された構造体が特に挙げられていない限り、特許請求の範囲に限定されるものではないことが意図される。
【0017】
図5(A)及び図5(B)は、本発明の特定の実施形態によるブラダー型ディスプレイ・チャンバ150B及び電気化学ポンプ170Bを含むピクセル110Bを視認する断面図である。
【0018】
図5(A)の左側を参照すると、電気化学ポンプ170Bは、変形可能な壁135Bと協働する剛性のある壁171Bを含み、これは、離間関係で配置された第1電極176B−1及び第2電極176B−2を有する第1チャンバ部分174B−1と、変形可能な壁135Bにより部分的に定められる第2のチャンバ部分174B−2と、第1チャンバ部分174B−1及び第2チャンバ部分174B−2の下方領域の間で連通する(第2)導管173Bとを定める。この構成は、気体発生プロセスを第1のチャンバ部分176B−1に制限することにより、変形可能な壁135Bの信頼性のある変位を容易にする。すなわち、図5(B)に示すように、上述の方法により、電位を電極176B−1及び176B−2にわたり印加することにより、O2及びH2の気体が発生されたとき、気体は第1チャンバ部分174B−1の上部に浮動する(O2及びH2の気体は、典型的には別個のチャンバ内に格納される)。導管173Bは、第1のチャンバ174B−1の底部に配置されるため、O2及びH2気体により発生した圧力の増加は、(液体)溶液を第2のチャンバ部分174B−2に導管183Bを通して押すのみである。したがって、図5(A)及び図5(B)に示すように、(液体)溶液175Bのみが両方の動作状態で、変形可能な壁135Bに対して配置される。効率を増加させるために、小さい距離だけ、及び、高イオン又は電子移動度を可能にする媒体によって、電極を分離することが有利とすることができる。媒体の例としては、Nafion(登録商標)又は燃料セルの当業者に知られる他の固体高分子膜(PEM)材料が挙げられる。
【0019】
本実施形態の別の態様によれば、第1のチャンバ部分174B−1は細長くされ、垂直方向に伸び、電極176B−1及び176B−2は、実質的に、第1のチャンバ部分174B−1の長さ全体に沿って垂直方向に延びて、各々の電極の部分が第1のチャンバ部分174B−1の上端近くに配置される。この構成により、変換された水素及び酸素の気体は、電極176B−1及び176B−2と接触したまま残り、気体から水への信頼できる再変換を容易にする。
【0020】
図5(A)及び図5(B)の右側を参照すると、ピクセル110Bは、さらに、白色の前面121B及び対向する後面122Bを有する壁120Bと、後面122Bとリザーバ・チャンバ134Bを形成するフレーム132B及び変形可能な壁135Bを含むリザーバと、前面121B上に配置されるディスプレイ・チャンバ150Bと、リザーバ130Bとディスプレイ・チャンバ150Bとの間の壁120Bを通る導管160Bとを含む。
【0021】
関連する、引用によりその全体をここに組み入れる、共同出願され、係属中の特許文献1に説明された種々の実施形態によれば、ピクセル110Bは、「白黒」(二色)ディスプレイ、グレースケール(多階調)ディスプレイ、及び種々の表示制御特徴を有するカラーディスプレイの製造に関して最適化することができる。1つの特定の実施形態においては、着色流体140Bは、半透明であり(例えば、透明な液体内に懸濁されたカラー色素)、ポンプ170Bは、ピクセル110Bの外観が、明るい、中間の、及び暗い色合いの間で変化できるように制御される。例えば、図5(A)及び図6(A)は、ピクセル110Bの背景(又は明るい階調の)外観101B−1を示し、どの着色流体140Bも(又は非常に少量の着色流体140Bが)ディスプレイ・チャンバ150Bに配置されている。図5(B)及び図6(B)に示すように、ポンプ170Bが、上述のように、少量の着色流体140Bをディスプレイ・チャンバ150Bに移送するために作動されるとき、ディスプレイの表面部分101−2の外観は、前面121B及び少量の着色流体140Bの白い背景外観の混合物により定められる中間の色合いに変化する。図6(C)に示すように、より多い量の着色流体がディスプレイ・チャンバ150Bに移送されたときには、ディスプレイの表面部分101−3の外観は、着色流体により支配される相対的に暗い階調になる。
【0022】
図5(A)及び図5(B)に示す実施形態の別の態様によれば、ピクセル110Bは、ブラダー型ディスプレイ・チャンバ150Bを含み、これは、壁120Bの前面121Bに(例えば接着剤により)固定される外周縁156Bを有するエラストマ性メンブレン155Bを含み、それにより、エラストマ性メンブレン155Bの中心領域の内面は、ピクセル110Eが、図5(A)に示される第1の作動状態にあるときは、前方の壁121Bの中心領域に弾性的に押しつけられ、ここでは、着色流体140Bのほぼ全てがリザーバ130Bに配置される。上述のように、第1の動作状態においては、ディスプレイ表面部分101B−1は、図6(A)に示すように前方の壁121Bにより形成される白い外観を有する。図5(B)に示すように、この構成においては、ポケット158Bがエラストマ性メンブレン155Bと前方の壁121Eとの間に、着色流体140Bを受け取るために形成される。さらに、導管160Bは、着色流体140Bがリザーバ130Eとディスプレイ・チャンバ150Bの中心部分との間を通過するように、1つ又はそれ以上のマイクロ・チャネルが定められた壁120Bを含む。1つの実施形態においては、10mmのピクセルのために250μmの円形の貫通孔が提供され、ここで各々の孔の前側はディスプレイ・チャンバに連結し、後ろ側は直接リザーバ・チャンバに連結するか、又は後ろ側におけるより複雑な流体通路を介して連結する。より複雑な流体通路は、適切なスロット又は他の切抜きを各々の層に設けたシートを積層することにより、形成してもよい。切抜き及び円形の貫通孔は、レーザ・カット、ダイ・カット、或いは他の機械的な(成形)又は非機械的な(例えばエッチング又はリソグラフィ)方法を用いて形成してもよい。図6(B)に示されるように、カラーの外観を作り出すためには、ポンプ(図170B)が、リザーバ130Eの変形可能な壁135Bに押圧力Fを加え、これにより変形可能な壁135Bが変形し、リザーバ・チャンバが圧潰することによって、着色流体140Bを導管160Bに通し、エラストマ性メンブレン155Bの内面に向かって押し出す。着色流体140Bがポケット158Bに入ると共にメンブレン155Bは外方に膨張して、着色流体140Bに内面121Bを覆わせ、それにより、ディスプレイ表面部分101B2(図6(B))は「着色された」外観を呈する。力Fが増加すると、より多くの着色流体140Bがポケット158Bに移送され、エラストマ性メンブレン155Bをさらに膨張させ、それにより図6(C)における外観101B−3に示すように、「着色された」外観はより濃くなる。変形可能な壁135Bに対するポンプの力Fが減少すると、エラストマ性メンブレン155Bは元の(例えば平坦な)形状へと弾性的に変形できるようになり、着色流体140Bは導管160Bを通ってリザーバ130Bに戻るように移動することになる。着色流体140B及びエラストマ性メンブレン155Bの加えられる力Fに対する可変の変位は、予測可能な(従って確実に再現可能な)着色剤の光学濃度の範囲を提供している。
【0023】
本発明者らは、ブラダー型ピクセル110Bは、大型(例えば2mmから20mm)のピクセルのみを必要とし、低速(例えば100ミリ秒から3分までの範囲)でリフレッシュするだけでよい反射型大型ディスプレイ、特に著しい距離を隔てて視認されるものに関して、本質的により重要であり、小型及び/又は高速スイッチング・ピクセルに関してはそうでもないと感じている。即ち、ブラダー型ピクセルは妥当なコストで製造できない場合があるので、1mmピクセル未満のピクセルには適さないことがある。他の用途におけるブラダー型ピクセル110Bの限界として可能性があるものは、前面121Bの外周領域において着色が限られる場合があることである。図6(B)及び図6(C)において示されるように、エラストマ性メンブレン155Bが外周で接続しているので、着色流体140Bのより厚い層は、ピクセル110Bの外周領域よりも中心部に配置され、それにより、図6(B)及び図6(C)に示されるように、ディスプレイ表面部分101B−2及び101B−3は、より色が濃い中心領域と、実質的に白い比較的広い外周領域と、を有する。ブラダー型ピクセル110Bの別の可能性のある欠点は、着色流体140Bをリザーバ130Bに完全に送り戻すために追加の方法を用いることが必要となる場合があることである。このような方法は、着色流体の内部の流体構造に対する界面化学的修正を含むことがある。これは湿潤状態と湿潤解除状態との両方を制御し、提供する助けとなることもある。1つの手順は、ピクセル・キャビティを最初に光学的に透明なオイルで充填し、次いでピクセルを暗くするための非混和インクでオイルを排除することになろう。オイルは壁を濡らそうとするが、インクは壁を濡らそうとはしない。プラスチックの壁は常に非常に薄いオイルの膜を保持することになると予想される。このことがより多くの制御に繋がり、またインクにより壁が着色される可能性を緩和すると本発明者らは考える。代替的に、パネルの前側を1気圧より高い圧力下でパッケージング/シーリングすることによって行うことが可能な「ゼロ化」力をチャンバ・ブラダーの視認側に加えて、それによりピクセル・ポンプが差分Pに対して作動するようにしてもよい。必要であれば、差分Pは、従来のポンプによりパネル・レベルで加えてもよい。このゼロ化力は、ブラダーを元の状態に完全に戻し、着色料を全て排除するのに必要となることがある。これは、メンブレンの張力又はダイアフラムの剛性が十分に大きい復元力を提供しない場合に必要となることがある。
【0024】
図7(A)及び図7(B)は、ブラダー型ピクセル110Cに関連する着色が不均一になる問題に対処した本発明の別の実施形態によるダイアフラム型ピクセル110Cの断面側面図であり、図8(A)及び図8(B)は作動中のピクセル110Cのディスプレイ表面の正面図である。ダイアフラム型ピクセル110Cは、ブラダー型ピクセル110Cの(上記で説明された)それと実質的に同一の、壁120Cと、リザーバ130Cと、着色流体140Cと、マイクロ・チャネル導管160Cと、電気化学ポンプ170Cを含み、従って、これらの部品の説明は簡略にするために省略される。
【0025】
本発明の1つの態様により、ディスプレイ・チャンバ150Cは、外周フレーム152Cと、壁120Cの前面121Cと協働して固定容積のチャンバ154Cを定める、剛性のある透明な壁153Cと、フレーム152Cにより壁120Cの前面121Cに(例えば接着剤により)固定される外周縁157Cを有する「バギー型の」メンブレン155Cと、を含む。ブラダー型ピクセル110Eのエラストマ性メンブレン155Eと異なり、ピクセル110Cが図7(A)に示される、着色流体140Cのほぼ全てがリザーバ130Cに配置されている(即ち、ディスプレイ表面部分101C−1は図8(A)に示されるように前方の壁121Cにより形成される白い外観を有する)第1の作動状態にある時に、メンブレン155Cは比較的弛んでいる。図7(B)に示されるように、カラーの外観を作り出すためには、上記で説明されたような手法でポンプ(170C)がリザーバ130Cに押圧力Fを加え、それにより、着色流体140Cを、導管160Cを通し、メンブレン155Cの内面に向かって押し出し、着色流体140Cが、メンブレン155Cの内面と前面121Cとの間に定められるポケット158Cを充填し始めるようにする。着色流体140Cがポケット158Cに入ると共にメンブレン155Cは外方に膨張して固定容積チャンバ154Cを充填し、着色流体140Eに内面121Cを覆わせ、それにより、ディスプレイ表面部分101C−2(図8(B))は「着色された」外観を呈する。メンブレン155Cの外方への膨張は剛性のある透明な壁153Cによって制限されるので、着色流体140Cは、ブラダー型ピクセル110Bに比べて、実質的に均一な厚さを形成することに留意せよ。力Fが増加すると、より多くの着色流体140Cがポケット158Cに移送され、メンブレン155Cが固定容積チャンバ154Cの全体を充填するまで膨張させる。薄型フレーム152Cを提供することにより、着色流体140Cの均一な厚さはピクセル110Cの最外縁まで延長され、それにより、ダイアフラム型ピクセル110Cの充填比はブラダー型ピクセル110Bのそれよりも大きくなると考えられることに留意せよ。その後リザーバ130Cにおけるポンプの力Cが減少すると、エラストマ性メンブレン155Cは元の(例えば平坦な)形状へと変形させられ、着色流体140Cは導管160Cを通って元のリザーバ130Cに移動する。
【0026】
より均一な外観とより大きな充填比を呈示していることに加えて、ダイアフラム型セル110Cがブラダー型セル110B(図5(A)を見よ)よりも優れている別の利点は、図9及び図10を参照して以下で説明されるように、ダイアフラム型セル110Cの方が簡単に、CMYカラー・ピクセルのために用いられる空間的に直列なディスプレイ・チャンバ構成を生成するための積層をしやすくすることである。
【0027】
図9は、本発明の別の簡略化された具体的な実施形態によるカラーのダイアフラム型ピクセル110Dを示す断面側面図であり、図10はその正面図である。ピクセル110Dは、上記で説明された技術を用いて3つの異なる着色流体140D−1から140D−3を3つの別個のリザーバ130D−1から130D−3と3つのディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3との間で移送させるための3つの独立したマイクロ流体システムと共に図示される。図9に示されるように、リザーバ130D−1から130D−3は空間的に並列な構成で配列され、各々が、関連する制御信号(図示せず)に応答して上述される方法で動作する関連するポンプ170D−1から170D−3により生成される別個のポンプ力F1からF3を受ける。ディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3の各々は、上記で論じられたダイアフラム型ピクセル110Cのディスプレイ・チャンバ150Cと実質的に同一であるが、第1のディスプレイ・チャンバ150D−1は上記で説明されたような手法で前面121Dに取り付けられ、第2のディスプレイ・チャンバ150D−2は透明な剛性のある壁153D−1の前面に取り付けられ、第3のディスプレイ・チャンバ150D−3は透明な剛性のある壁153D−2の前面に取り付けられるという、空間的に直列な配列で積層される。この配列では、ディスプレイ・チャンバ150D−1から150D−3の各々は、概ね、ダイアフラム型ピクセル110Cを参照して上記で説明された形で、選択されたカラーの(例えばCMY)表示を形成するように、独立して作動する。
【0028】
ピクセル110Dのアレイを組み込んだ大型ディスプレイ(例えばディスプレイ100、図3を見よ)は、各ピクセル110Dのポンプ170D−1からポンプ170D−3を独立して制御するための3つの別個の制御信号(電流)を生成するデジタル制御回路180Cを含み、それにより、ピクセル110Dのディスプレイ表面部分は、着色流体140D−1から着色流体140D−3のほぼ全てがリザーバ130D−1からリザーバ130D−3までのそれぞれに移送されたときに生成される白い背景外観と、着色流体140D−1から着色流体140D−3の中の少なくとも1つのうちの選択された量が関連するディスプレイ・チャンバ150D−1からディスプレイ・チャンバ150D−3までのそれぞれに移送されたときに生成される着色された外観との間で選択的に変更可能である。当業者であれば、(上で参照された)特許文献1に説明されるように、ディスプレイ・チャンバの各々におけるCMY着色流体の量を変更することにより、幅広い範囲の刺に可能な色が各々のピクセル110Dにより表示可能になることを認識するであろう。
【0029】
上述のように、各々のカラー・ピクセルは、独特なCMYカラーを実現するために、3つの区別できる作動電流(及び関連する制御信号)を必要とする。本発明の別の態様によれば、これら3つの区別できる作動電流は、受動マトリックスのアドレス指定を用いて実現され、即時の電力要求を減少させるために、各々のマトリックス要素における電気化学エネルギーは、一組の局所的なキャパシタを通して供給される。本発明は、大型(例えば1mmから20mm)のピクセルのみを必要とし、低速(例えば100ミリ秒から約3分までの範囲)でリフレッシュするだけでよい反射型ディスプレイに関して、本質的により重要であり、小型及び/又は高速スイッチング・ピクセルに関してはそうでもない。
【0030】
図11は、本発明の別の実施形態によるCMYピクセル110Eのアレイを電気的にアドレス指定する受動マトリックスのアドレス指定構成を含む大型ディスプレイ100Eの裏面を示す簡略化された概略図である。CMYピクセル110Eは、行列で配置される(例えば、ピクセル110E−1及び110E−2は同じ行であり、ピクセル110E−2及び110E−3は同じ列である)。図9及び図10に関して上述されたように、各々のピクセルは、3つの(即ち、CMY)の各々の制御するための3つの電気化学ポンプ(例えば、ピクセル110E−1はポンプ170E−1、170E−2及び170E−3)を含む。各々のポンプは、正電極及び負電極の両方を含む(例えば、ピクセル110E−2の第1のポンプは、正電極176E−11及び負電極176E−12を含み、第2のポンプは正電極176E−13及び負電極176E−14を含み、第3のポンプは正電極176E−15及び負電極176E−16を含む)。各々の行における3つの正電極の各々は、関連するCMY制御信号を送信する、対応する水平方向コンダクタに接続され、各々の列における負電極は、関連する「共通」制御信号を送信する、対応する垂直方向コンダクタに接続される。例えば、正電極176E−11は「C」制御信号をコンダクタ185E−1において受信し、正電極176E−13は「M」制御信号をコンダクタ175E−3において受信し、正電極176E−15は「Y」制御信号をコンダクタ185E−3において受信する。負コンダクタ176E−2、176E−4及び176E−6は、コンダクタ185−4上に送信された「COMMON」制御信号を受信する。周りに円をもつ黒点は電極を象徴し、図11に示すU字形状のポンプ構造体の一方の脚部はO2気体を捕捉し、一方の脚部はH2気体を捕捉するU字形状の流体チャネルであり、2つの気体は互いに離れた状態で維持されることに注目することは重要である。さらに、各々の「共通」ラインには、受動マトリックスを容易にするためにダイオードが必要になることに注目することは重要である。当業者であれば、各々のピクセル110Eの各々のポンプは、この受動マトリックスのアドレス指定構成を用いて、個別にアドレス指定可能であり、本明細書に開示されるものとは別の付加的なアドレス指定法を用いてもよいことを認識するであろう。
【0031】
図12は、ディスプレイ100E(図11を参照されたい)の例示的なポンプ170E−1の付加的な詳細を示す。ポンプ170E−1は、水性流体175Eを含有する外壁171Eを含み、溶液175E内に配置され、上述の方法によりアドレス指定された負電極176E−12及び正電極176E−11を含む。本実施形態の別の態様によれば、負電極176E−12は、少なくとも、水素発生の触媒として作用するプラチナ、ニッケル、又はプラチナ/ニッケル合金を含む外層を含む負電極176E−12を含み、正電極176E−11は、酸素発生の触媒として作用するプラチナ/ニッケル表面層176E−11Aを含む一連の薄膜と、容量性構造体において実施される一連の金属化(例えば、アルミニウム)及び誘電体層を含むベース構造体176E−11Bとを含む。任意的なダイオード178E又はトランジスタは、制御電流をマトリックス構造体内で電流の流れを制御するために、静電極と直列に与えられる。これは、内蔵電解キャパシタであることが効率的である。
【0032】
上記で開示された種々の実施形態により製造される大型ディスプレイは、従来の印刷及びLEDによる屋外広告看板に優る多数の利点を提供する。主な利点は重量である。大型の装置は主としてポリマーを用いて構築されており、比較的薄いので、LEDの比較対照物に比べてその重量は著しく減ることになる。これにより、現在適用を除外されている屋外広告看板を、顕著な調節的相互作用を伴うことなく、改造することが可能になる。しかも、ここで説明される空間的直列構成により提供されるCMYカラー・ベースは、RGBベースの設計よりも広い色域を提供することになる(反射型様式に限って当て嵌まり、発光様式に関しては必ずしもそうではない)。層構成はモジュール化することもでき、それにより、ディスプレイの中の故障又は不良の部分の補修は容易且つ安く、迅速である(即ち、1つのピクセル又はピクセル・パネルを交換することによる)。反射型ピクセルは、所定の位置にある地元の自治体によって認められた光源を使用し、従って、日の当たる環境に好適であり、視認の質は天候の条件によってより影響されにくい。ここで言及された電気化学的ポンプと組み合わせて用いられた場合には、電気化学的ポンプにより提供される電解質は双安定であり、色の作動は所与の量の電気エネルギーを適用することによって生じる。生成された気泡は安定しており、よってその後のエネルギーの適用がなくても色は変化しないままであり、即ち、色は選択された電流が適用されるまで安定した状態のままである。このことは、他のデジタル屋外広告看板方法に対し、著しくより安価な運用を提供する。別の利点は、種々のピクセルを形成するために用いられる製造方法が、単純且つ従来技術である点である。
【0033】
本発明は、特定の具体的な実施形態に関して説明されたが、本発明の新規な特徴は他の実施形態にも適用可能であることは当業者であれば明らかであり、その全てが本発明の範囲内にあることを意図される。例えば、本明細書においては、本発明は、着色流体を変位させるために、流体アクチュエータを用いてエラストマ性メンブレンを変位させていたが、流体アクチュエータは、エラストマ性メンブレンを用いることなくこの機能を実現することができる。さらに、代替的な実施形態においては、固体イオン性コンダクタ、例えば、固体高分子膜を電解質として用いることができ、流体、すなわち水、水素及び酸素を電気化学的正反応及び逆反応のための反応剤を供給するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
100:大型ディスプレイ
110:マイクロ流体ピクセル
120:壁
130:リザーバ
140:着色流体
150:ディスプレイ・チャンバ
160:導管
170:流体アクチュエータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ピクセルが対応するディスプレイ表面部分を形成するようにアレイに配列された複数のピクセルにより形成されたディスプレイ表面を有するディスプレイであって、前記各ピクセルが、
第1の側部における前面及び対向する第2の側部における裏面を含む壁と、
第1のマイクロ流体システムと、
を含み、該第1のマイクロ流体システムが、
前記壁の前記第1の側部に配置された第1のリザーバであって、変形可能な壁により部分的に定められる、前記リザーバ・チャンバと、
前記第1のリザーバ内に配置された第1の着色流体と、
前記壁の前記第2の側部に配置された第1のディスプレイ・チャンバと、
前記第1のリザーバと前記第1のディスプレイ・チャンバとの間を連通させる第1の導管と、
前記第1の導管を通して、前記第1のリザーバと前記第1のディスプレイ・チャンバとの間で前記第1の着色流体の一部を選択的に移送するための手段を含む第1の流体アクチュエータと、
を含むことを特徴とするディスプレイ。
【請求項1】
各ピクセルが対応するディスプレイ表面部分を形成するようにアレイに配列された複数のピクセルにより形成されたディスプレイ表面を有するディスプレイであって、前記各ピクセルが、
第1の側部における前面及び対向する第2の側部における裏面を含む壁と、
第1のマイクロ流体システムと、
を含み、該第1のマイクロ流体システムが、
前記壁の前記第1の側部に配置された第1のリザーバであって、変形可能な壁により部分的に定められる、前記リザーバ・チャンバと、
前記第1のリザーバ内に配置された第1の着色流体と、
前記壁の前記第2の側部に配置された第1のディスプレイ・チャンバと、
前記第1のリザーバと前記第1のディスプレイ・チャンバとの間を連通させる第1の導管と、
前記第1の導管を通して、前記第1のリザーバと前記第1のディスプレイ・チャンバとの間で前記第1の着色流体の一部を選択的に移送するための手段を含む第1の流体アクチュエータと、
を含むことを特徴とするディスプレイ。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−271534(P2009−271534A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111886(P2009−111886)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(504407000)パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(504407000)パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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