説明

デジタル加入者線の管理のための自動化されたシステムおよび方法

【課題】ノイズの漏話成分を減少させるようにデジタル加入者線を管理する。
【解決手段】第1のデジタル加入者線上のノイズを測定し(700)、ノイズを漏話成分と電磁干渉(EMI)成分とに分離し(710)、ノイズの漏話成分を生じる漏話ディスターバのタイプを識別し(720)、ノイズの漏話成分が第1のデジタル加入者線上のDSLサービスを低下させたかどうかを決定して(730)、DSLサービスがノイズの漏話成分によって低下した場合には、ノイズの漏話成分で生じる漏話ディスターバのタイプに一部分基づいて漏話ディスターバのアイデンティティを識別し(735)、ノイズの漏話成分を減少させるように識別された漏話ディスターバの送信電力を低下させる(740)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話網におけるデジタル加入者線(「DSL」)システムのプロビジョニング(provisioning)、展開、管理、および保守、ならびに、ネットワーク内のクライアント加入者のブロードバンド通信用のこのようなDSLループの自動化された保守およびスペクトル管理に関する。より詳細には、本発明は、漏話を減らすためにすべてのDSL伝送スペクトルを最適化するシステムおよび方法を提供すると同時に、(G.shdslなどの)シングルキャリアDSLスペクトル、および(ADSLなどの)マルチキャリアDSLスペクトルの同時最適化を行うことを含めて、受信信号の帯域幅を最大限にする。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2002年11月19日に出願した「Jointly Optimizing DSL Spectra」という名称の米国特許仮出願第60/427,262号明細書の優先権の利益を主張するものである。
【0003】
地域電話会社の通信網の大黒柱は、ローカル加入者回線、すなわち中央局(「CO」)から加入者へのループである。現在、ローカル加入者回線は、デジタル加入者線(「DSL」)サービスなどのブロードバンドデジタル通信サービスを提供するために使用されている。このようなブロードバンドDSLサービスには、総合デジタル通信網(「ISDN」)、高速デジタル加入者線(「HDSL」)、非対称デジタル加入者線(「ADSL」)、および、超高速デジタル加入者線(「VDSL」)技術が含まれる。DSLサービスにより、住宅顧客および企業顧客が、アナログのモデム技術を使用した以前に可能な速度よりも速い速度で、デジタルデータの送信および/または受信することが可能になる。
【0004】
DSL技術は、例えば無装荷ループ(18キロフィート(5.49km))、またはCSA(搬送波サービスエリア)ループ(9から12キロフィート(2.74から3.66km))など加入者回線の種別にわたり動作するように設計されている。デジタル加入者線(DSL)技術は、随所にある既存の銅製電話ループの設備を利用して、メガビット毎秒(Mbps)の高速インターネットアクセスおよび他のサービスを提供する。住宅顧客の大多数および多くの企業顧客は、中央局(「CO」)の加入者線交換機から加入者の陸線電話に接続されたこのような金属製(銅製)のツイストペアケーブルを介してサービスされる。電話およびDSL信号は、各加入者ごとに、ツイストペア上を中央局(CO)から加入者へ移動する。
【0005】
DSL伝送には、ループ損失、漏話を含めて多くの障害がある。DSL信号は、特に、高周波数において、またブリッジタップを有するループ上で、ループを介する伝送によって減衰し歪む。ループ上のDSL伝送の電力の一部は、漏話結合経路を介して移動し、同じケーブル内のループ上の他のDSLに対し漏話雑音を生成する。さらに、漏話による障害よりも時には悪質となる無線流合雑音およびインパルス雑音による障害がある。無線流合による電磁干渉(EMI)は、周波数領域における狭帯域ノイズスパイク(spike)として現れ、インパルス雑音は、時間領域における短いスパイクとして出現する。すべてのこのような障害では、重要度がループによっては10dB単位で異なる。
【0006】
一般に、漏話は、周波数が高くなると増大し、DSLの周波数は、メガヘルツ(「MHz」)の領域に及ぶため、漏話は、高速ADSLに対し重大な制約となっている。時を経るにしたがい、より多くのADSLユーザがさらに高速のサービスをそれぞれ要求することになることが予期される。これは、より多くの漏話と、漏話に対しさらに脆弱でより高い帯域幅のサービスに帰結することになる。漏話源はしばしば「ディスターバ(disturber)」と呼ばれる。漏話には近端漏話(NEXT)と遠端漏話(FEXT)の2つのタイプがある。特に、多くのDSLが重複するスペクトルを使用するおよそ1MHz未満において、NEXTはFEXTよりも強力である。1つのクロストーカ(crosstalker)がある場合、受信される漏話のPSDは、近傍のペア上を伝送されるPSDと漏話結合転送関数の積である。複数のクロストーカがある場合、受信される漏話PSDは、各成分の電力和である。
【0007】
DSLまたは他のシステムで、多対ケーブルの1対で電力スペクトル密度(PSD)が
伝送される場合、このPSDは、周波数領域における漏話結合関数によって乗算され、その結果の漏話は近傍のペアに結合する。スペクトル互換性は、同じツイストペアケーブルで伝送を行う異なるシステム間での漏話が、どのシステムの性能にも重大な低下はもたらさないという特性である。スペクトル管理とは、スペクトル互換性が保証されるようにループ設備においてDSLを展開する処理である。現在のスペクトル管理の技術では、ANSI公認のDSL規格委員会TIE1.4によって開発されたスペクトル管理標準ANSI T1.417で実施されているように、ループ設備全体に厳格なルールを均一に適用する。これらのルールでは、漏話源の個別のタイプ、および特定のケーブルの漏話結合は考慮されておらず、スペクトル管理標準で想定される近傍の最悪ケースの結合とは相当に異なることがある。
【0008】
DSL回線は、通常、4kHzより高い周波数が無視されるPOTS回線向けに開発された試験を用いることにより保守される。高周波数の環境のために故障したDSL回線は、高い費用の手動テストを用いて精通した技術者によって修理できることがあるが、さもなければそのDSLサービスは単に放棄されることもある。
【0009】
現在の典型的なDSLのプロビジョニングにおいては、ループの稼動している長さによって、顧客が、高速のサービス(約1.5Mbps)または低速のサービス(約400kbps)を得ているか、あるいはサービスを得ていないかを決定することができる。電話のループは、通常、異なるループでは20dB以上異なる雑音および漏話の水準を有し、高い周波数ではかなり異なる通常、顧客に提供することができる達成可能なビットレートは、現在プロビジョニングされている速度よりもかなり速い。また、予期されないサービスの障害を避けることができない。DSLモデムは、例えばビットレートを必要な場合に低下させることにより、そのループに自己適応させる。ただし、これは特定の情報または制御をDSLサービスプロバイダに提供していない。
【0010】
DSLは、地域電話会社(LEC)からの比較的新しいサービスである。現行方式では、ループの長さの大まかな推定を除いて特定のループの伝送パラメータについてほとんど知識がないと想定される。すべてのDSLサービスは、ケーブルの1%でのみ超過する99%の最悪ケースの漏話結合、ならびに最悪ケースのタイプのクロストーカで満たされたバインダ(binder)を想定した統計的な最悪ケースの環境に耐える必要がある。この慎重な方法では、少数の高費用の予期されない障害(偽陽性)を達成するために、さもなければ提供できたはず(偽陰性)のDSLサービスが、一部の顧客に提供されないことになる。しかし、これは、高レベルの無線流合雑音またはインパルス雑音などの無線障害を引き起こし得る多数の異なる要因が説明されていないため、偽陽性を完全に除去することには失敗する。さらに悪いことに、DSLは、必要よりも高い電力を伝送するように設定されており、それにより、それぞれ特定のループにある実際の障害に適切に対応せずに不必要に高いレベルの漏話が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第09/587459号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/676881号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/676740号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/922064号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/209547号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、漏話、電磁雑音、背景雑音、およびループ構成の測定を用いてDSLの性能を正確に決定するためのシステムを有することが望ましい。
【0013】
さらに、DSLの性能の低下をもたらす問題の自動的な識別および特定のためのこのようなシステムを有することが望ましい。
【0014】
また、任意のDSLモデムを設置する前であっても、DSLサービスのプロビジョニング、管理、および維持を効率的に行うことができるシステムでこれらの方法が実装されることが望ましい。
【0015】
このようなDSLモデムを設置したあとDSLサービスの問題を自動的に診断することができるシステムが提供されることが望ましい。
【0016】
現在のDSL技術を使用して映像伝送をサポートすることができるより高いビットレートを可能にすることができるシステムが提供されることが望ましい。
【0017】
さらに、ほとんどのDSL回線の潜在的問題を識別することができるDSL管理システムを有し、それにより、DSLが、確かなサービス品質保証制度(SLA)を有するキャリアグレード(carrier−grade)のサービスになることが可能になることが望ましい。
【0018】
最後に、現場で努力を費やす前に修正のアドバイス(つまり、ブリッジタップを除去する)を提供するために、コストが高く診断が難しい問題のほとんどを自動的に識別するDSL管理を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、DSLサービスの自動化されたプロビジョニング、展開、管理、および保守を提供するためのシステムおよび方法である。本発明は、ループの電気測定値、およびループ内の他の銅製ツイストペアにより生じる漏話を収集する。このシステムには、単一のDSL回線の解析を行う自動化された処理、および同時に複数の非対称および対称のDSL回線を最適化する処理に用いるための、自動ループ識別、自動漏話識別、および電磁干渉(EMI)識別を含めた多数のコンポーネントが組み込まれる。本発明では、実際の漏話環境、および特定のケーブルにある個別DSLの間の漏話結合を使用する。すべてのDSLの信頼性とビットレートを同時最適化するために、漏話を、未知の最悪ケースのランダムノイズとして扱わず、そのまま人為的な干渉として取り扱う。
【0020】
漏話は、自動化された試験、またはDSLモデムそれ自体によって測定することができる。単一ループを測定することにより、漏話電力結合の推定を行うことができる。次いで、この情報は、互いに同時に漏話するすべてのDSLの伝送を同時最適化し、事例ごとにスペクトル互換性を保証するために使用することができる。
【0021】
本発明では、ループの測定、漏話結合、および受信ノイズの測定を用いる。この測定は、最悪ケースの結合を充分に下回る漏話結合を有するペアを識別することができ、これらのペアを介するシステムは、より高いビットレートで、あるいは現行方式およびANSI T1.417スペクトル管理標準が規定するよりも長い距離にわたって伝送することができる。最悪ケースの想定に基づく大まかなDSLのプロビジョニングおよびスペクトル管理ルールを使用するのではなく、本発明では、伝送されるビットレート、および同じケーブルで伝送を行うDSLの数を調整し、複数の漏話の測定値を受け取り処理する。1つのケーブルまたは個別のケーブルバインダにおけるクロストーカのタイプおよび数の測定、記録、および追跡を行うことができる。本発明は、スペクトル互換性を保証しながら、DSLプロビジョニングにより可能な最も高いサービスレート(service rate)を提供することを可能にする。本発明により、DSLがサービスできる顧客数、および顧客が受け取るビットレートを大幅に増大することができる。小さい電力和の漏話を有すると識別されたループは、高い漏話レベルを想定する現行方式よりも高いビットレートを搬送するように安全にプロビジョニングすることができる。
【0022】
DSLの送信PSDは、個々のDSLの性能を最大限にするだけでなく、同時にそれぞれ別のDSLで発生する漏話を最小限にするように設定される。本発明は、G.shdslなどの対称DSLシステム、およびADSLなどの非対称DSLシステム、あるいはその組み合わせを最適化するための方法を組み込む。したがって、そのアルゴリズムの組合せにより、対称と非対称のDSLサービスの両方が同時最適化される。
【0023】
まず、本発明のシステムおよび方法により、ループ構成についてのデータを使用して、所与のループで生じる減衰および歪みが決定される。これらの入力から、ループ構成により、受信したDSL信号の正確な計算が可能になる。それが分かると、受信された漏話およびEMIノイズに関するデータにより、定常状態の受信ノイズを決定するための手段が提供される。周波数の関数としての受信信号およびノイズについての知識により、DSLの定常状態の性能を、正確にはっきりと計算することが可能になる。この方法およびシステムは、次いで、DSL回線の障害を取り除く目的で構成ノイズ成分の影響を解析するために様々な入力と共に使用することができる。
【0024】
本発明のDSLスペクトル同時最適化のための方法では、ラウンドロビン(round−robin)反復最適化を使用し、各DSLは交代でそれ自体のスペクトルをそれぞれ何回か反復して最適化する。これらのアルゴリズムは、すべての対称DSLおよび非対称DSLの伝送を同時最適化して、ケーブルの全体的なスループットを最大化する。最適な送信PSDは、反復方式で発見することができる。すべてのDSLは、ある典型的な開始パラメータで開始する。次いで、各DSLの送信PSDは、ラウンドロビン方式で最適化される。所与のDSLへの漏話は、それらの測定された漏話結合を通過したすべての伝送の電力和として計算される。非対称DSLでは、「ウォータフィリング(waterfilling)」技法を使用することにより、その送信PSDを最適化する。対称またはシングルキャリアDSLは、単にその送信PSDを、信頼して送信することができる最大ビットレートに対応するPSDとして最適化する。次いで、次のDSLを最適化し、以下同様に次のものについて繰り返し、そして最初のDSLに戻り、各DSLに何回か最適化が行われるまでこれを繰り返す。この計算は、モデムから測定または抽出された漏話データを使用してオフラインで行うことができる。あるいは、この計算は、サービス中の実際のモデムにより自動的に行うことができる。同時最適化アルゴリズムでは、わずか数回の反復のあと一意の値に速やかに収束する。
【0025】
各モデムには全体的な送信電力レベルが割り当てられ、次いでそのビットレートが最大化される。ただし、サービスは、送達されたビットレートによっておおまかに指定され、したがって、各モデムに対し異なる送信電力を割り当てるまたは入れ替えるメカニズムには、各DSLごとに指定されるビットレートを達成することを可能にすることが必要とされることがある。つまり、最適な細粒度のスペクトルを自動的に求めることができ、また集中型のメカニズムにより、各モデムの平均送信電力、および開始シーケンスなどの全般的パラメータを指定することができる。
【0026】
本発明のシステムおよび方法を使用して、さらに大幅に高いビットレートを提供するように既存の電話網(ループ設備)を最適化することができ、それにより、新しい遠隔端末またはリピータを設置することなく、より高速の速度を提供し、場合によってはデジタルエンターテイメントビデオでさえサポートすることができる。
【0027】
ループのパラメータを測定しスペクトルを最適化することにより、平均DSLビットレートの数百パーセントの向上を達成することができる。このような大幅なビットレートの増大と引き換えに、信頼性の向上、距離範囲の増大、またはその組合せを得ることも容易にできる。DSLを展開し保守するための、自動化された試験、ループ特性のデータベースへの格納、およびそのデータの解析の組合せは、DSLの性能を飛躍的に増大し、電話設備のデジタルサービスへの移行に伴い、そのインテリジェントな管理のための非常に強力な方法となる。
【0028】
DSLシステムの性能および信頼性は、もっぱら受信信号電力の受信雑音電力に対する比率によって決定される。ループ構成およびループ応答についての知識により受信雑音電力が決定される。
【0029】
(ゲージタイプ、ブリッジタップ、およびケーブルの部分長を含めた)ループ構成が分かっている場合、ループの減衰および歪みが容易に計算される。次いで、これにより、受信したDSL信号の正確な計算が可能になる。次いで、受信ノイズが既知であるかまたは周波数の関数として測定された場合、DSLのビットレートおよび性能のレベルは、正確にはっきりと計算することができる。このデータは、データベースおよび測定から、またDSLモデムに照会することにより収集することができる。解析により、ループ構成および雑音成分の個別の影響を決定しDSL回線の障害を取り除くために、ループ構成および雑音成分を変更することができる。この知識により、DSLプロビジョニングにおけるピンポイントの正確性、サービス保証、および自動化された保守が可能になり、それにより多くの高費用で予期されない現場の障害が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるDSL管理システムのインフラストラクチャのコンポーネントを示す概略図である。
【図2】本発明の方法を実装するためのDSL管理システムの例示的実施形態を示す図である。
【図3】中央局から加入者への接続を示す概略図である。
【図4】1%の最悪ケースの単一漏話ディスターバの漏話電力結合モデル、ならびにNEXTおよびFEXTのペア間の測定値を示すグラフである。
【図5】本発明のウォータフィリング技法を示すグラフである。
【図6】ADSLおよびG.shdslの送信電力が変化していく時の、管理されたときと最悪ケースの下りのADSLおよびG.shdslのビットレートの比較を示す図である。
【図7】単一回線の最適化の事例のデータおよび決定のフローを示す流れ図である。
【図8】同時最適化の事例のデータおよび決定のフローを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、DSLサービスを提供する既存の電気通信ネットワークのコンポーネントと、本発明によるDSL管理システムの関係を表す概略図を示す。DSL(デジタル加入者線)管理システム100は、自動試験装置110からの情報を使用して、管理している様々なループについての情報を受け取る。DSL管理システム100は、1つまたは複数のDSLモデムおよび/またはDSLAM(DSLアクセスマルチプライヤ(multiplier))120に接続され、これを介して加入者にDSLサービスが提供される。既存ループデータベース130は、例えば中央局から種々の加入者への距離ならびにブリッジタップの存在など、既存のネットワークおよびループのトポロジに関する情報を、DSL管理システムに提供する。DSLデータベース140は、様々なタイプの伝送環境に関する情報のリポジトリ(repository)であり、その情報は所与の回線を介して送信され、これにより、DSL管理システムが、さらなる加入者の追加または削除を管理する際、現在のDSL加入者に関する事前に作成された情報を使用することが可能になる。オペレーションサポートシステム(OSS)150は、電話網の運用をサポートするため電気通信サービス業者に現在使用されているソフトウェアであり、プロビジョニング、請求書発行、修理、および顧客サービスなどの機能を含む。OSS150は、DSL管理システム100を利用して、複数のDSL加入者の管理を行う。ネットワークオペレーションセンタ160は、物理的ネットワークの運用を受け持ち、ネットワークトポロジ上の追加データをDLS管理システム100に提供する。
【0032】
図2は、本発明による動的スペクトル管理システム100を示し、このシステムは、(RAMなどの主メモリ、あるいは磁気ディスクドライブ、他の記憶媒体、またはその組合せなどの2次メモリを含めることができる)メモリ220、および入出力(I/O)装置230と通信しているプロセッサ210を有する。入出力装置230は、DSLループ270に関するデータを受け取るように適合され、DSLループ270のうち1つは、DSL加入者モデムA260aから中央局250に伸長され、DSLモデムが電気通信ネットワーク290と通信するのを可能にする。DSL加入者モデムA260aは、電話網の中央局(CO)250に収容されているDSLAM(デジタル加入者線アクセスマルチプライヤ)240を介して中央局に接続される。このDSLAM240は、ループ240に関するデータを送るのに使用することもできる。
【0033】
一方、DSL加入者モデムB260bが、ループ270を介して中央局250に接続されている。ブロードバンドテストヘッド(test head)(BBTH)などの自動試験装置110は、DSL管理システム100の入出力装置230に情報を提供する。自動式BBTH装置245は、本発明の譲受人に譲渡され本明細書に参照により組み込まれる「Single Ended Measurement Method and System for Determining」という名称の米国特許出願(特許文献1参照)、「Method for Determining Subscriber Loop Make-Up」という名称の米国特許出願(特許文献2参照)、「System and Circuitry for Measuring Echoes on Subscriber Loops」という名称の米国特許出願(特許文献3参照)の教示に従って構築することができる。BBTHは、中央局250から遠隔のDSL加入者モデム260bへのループ270の組成すなわち構成を識別する能力を有し、DSLサービスに対するループ270の適性に関する情報を提供する。
【0034】
本発明では、個別のループ270の電気特性を測定する能力を利用している。BBTH245は、金属製のテストヘッドによって中央局250のループ270にアクセスすることができ、ループ応答および受信ノイズを直接測定することができる。BBTHは、ループ270を含むペアの電線を信号で励起し、漏話結合を測定するために別のペアでの受信信号を測定することができる。あるいは、受信した漏話から漏話結合を再構成することができる。これは、まずクロストーカの送信PSDを記録から推定または決定し、次いで受信した漏話PSDの推定された送信PSDの組合せを使用して、漏話結合を推定することにより行われる。本発明により、このような推定は、いくつかの同時にあるクロストーカについて行うことができる。漏話ならびにループ270のCO250側終端で受信したノイズは、直接測定されるが、まずCO250側終端でクロストーカのタイプを推定することにより漏話および受信ノイズを推測することができる。
【0035】
また本発明では、既存のDSLモデムの受信機における漏話を測定する装置を利用している。受信機の用途は、受信した信号およびノイズから送信信号を推定し、それにより、各サンプルで受信した漏話雑音を実質的に推定することである。さらに、典型的なDSLシステムでは、いくつかのDSLモデムを中央局で1つのDSLAM(DSLアクセスマルチプレクサ)240に組み合わせてあり、通常、信号および受信した漏話ノイズは、ビットおよびゲインテーブル(gain table)などのデータとして利用可能である。新しいITU規格G.992.3など最近の規格では、DSLモデム260a、260b、またはDSLAM240から、このような測定結果を得るための標準化されたインターフェースが提供されている。ループの両端における漏話および受信ノイズは、これらの装置によって直接測定することができる。
【0036】
このシステムの追加のコンポーネントには、メモリ220に格納されたソフトウェアで実装されプロセッサ210で実行される様々な方法が含まれる。これらは、本発明の譲受人に譲渡され同時係属であり本明細書に参照により組み込まれる、「Crosstalk Identification for Spectrum Management in Broadband Telecommunications Systems」という名称の米国特許出願(特許文献4参照)、「Improved Crosstalk Identification For Spectrum Management in Broadband Telecommunications Systems」という名称の米国特許出願(特許文献5参照)に含まれる。漏話を識別するのに必要なソフトウェアに実装する方法を含む。
【0037】
表示装置260は、PSDの測定および漏話の識別の動作に関連するグラフィックおよび/またはテキスト情報を表示する。キーボード、マウス、タッチパッド、およびトラックボールなど他の入出力装置(図示せず)は、DSL管理システム100にユーザインターフェースを提供するために、入出力装置230に関連して必要に応じ使用することができる。
【0038】
プロセッサ210は、1つまたは複数の加入者線18での漏話を識別するために、メモリ120に格納される本明細書に記載の方法ステップを実行する。入出力装置130を介してPSDを測定インプットから生成するために追加のソフトウェアを実行することもできる。あるいは、様々な加入者回線についてPSDを測定することができる個別試験測定装置を入出力装置230に取り付けることができる。
【0039】
図3は、ループ270を介した中央局250と加入者260の間で発生したあるDLSの障害を示し、ループ270は、1つまたは複数の電柱275で支持されているか、または地中にある。主な障害は、ループおよびブリッジタップの損失、漏話、EMI無線流合、インパルス雑音、ならびに背景雑音である。漏話によりしばしば影が薄いものになっているが、適切に対処しなければDSLを停止させるのに充分な水準の無線流合またはインパルス雑音の測定値は多くの場所で検出される。インパルス雑音は、未処理ビットエラーの長期(〜1時間またはそれ以上)の監視によって測定することができる。背景雑音は、典型的には低レベルの加法性ガウス雑音である。
【0040】
本発明では、回線ごとの(単一回線)方式、および同時最適化方式の2つの方式のうち1つで動作を行うことができる。回線ごとの方式では、特定のループ270上のノイズを、DSL管理システム100によって測定し解析して、ループ構成、EMIノイズ、漏話源、および漏話結合を決定する。(!!!)本発明では、この回線上に高速で信頼性がありスペクトル互換性のあるDSLをプロビジョニングする、またはこの回線のトラブルシューティングを行うためにこの情報を使用する。単一ディスターバの漏話は、通常、その1%の最悪ケースのモデルより10〜20dB良好であり、24または49のクロストーカで充たされるバインダは、通常、1%の最悪ケースのそのモデルより3〜6dB良好である。図4に、実際のペア間の漏話結合と、1%の最悪ケースモデルの例を示す。曲線400は、NEXTの1%の最悪ケースモデルであり、また曲線410は、2つのループ間で測定されたNEXTを表し、曲線420は2つの追加ループ間で測定されたNEXTを表す。曲線450は、FEXTの1%の最悪ケースモデルであり、また曲線460は、2つのループ間で測定されたFEXTを表し、曲線470は2つの追加ループ間で測定されたFEXTを表す。したがって、漏話の実際の測定を使用すると、DSL管理システム100がスループットを増大させることを可能にすることができる。
【0041】
図7に、回線ごとの方法を示す。ステップ700で、ループ270上に現存するノイズが測定され、ステップ710で、測定されたノイズは、漏話成分とEMI成分に分離される。
【0042】
実際のペア間の漏話結合が決定されるべきである。平均的モデルでは深刻な劣化なしに使用することができるが、これが本発明の好ましい実施形態ではない。実際のペア間漏話結合は、まずクロストーカの送信PSD(Di(f))を推定し、次いで、推定した送信PSD(Di(f))と受信した漏話PSD(XTik(f))の組合せを使用して(XTik(f)/Di(f)の演算)、漏話結合(Hik(f))を推定することにより、受信した漏話から再構成することができる。Di(f)をペアiで送信される漏話源信号(漏話源の送信スペクトル)とし、Hik(f)はペアiとペアkの間の漏話結合、ペアiに送信しているシステムからペアkで受信される漏話はXTik(f)=Hik(f)Di(f)とする。受信する漏話がXTik(f)である。次いで、上記で論じた漏話識別アルゴリズムは、ステップ720で、漏話源のタイプを識別するのに使用することができ、その際に送信漏話源信号スペクトル
【0043】
【数1】

【0044】
を推定する。
【0045】
【数2】

【0046】
は、ISDN、HDSL、ADSLなど数少ない別個の可能性のうちの1つのものであり、したがって量子化して正確に推定することができることに留意されたい。次いで、ペアiとペアkの間の漏話結合は、(1)に示す方程式にしたがってXTik(f)を
【0047】
【数3】

【0048】
で割ることによって簡単に推定することができる。
【0049】
【数4】

【0050】
なお、次の場合
【0051】
【数5】

【0052】
従って
【0053】
【数6】

【0054】
である。
【0055】
ループの一方の終端における漏話および受信ノイズは、まず他方の終端のクロストーカのタイプを推定することにより結論づけることができる。推定された漏話結合
【0056】
【数7】

【0057】
が与えられると、所与のDSL内への総受信漏話PSDは、
【0058】
【数8】

【0059】
として簡単に計算することができる。したがって、送信スペクトルDi(f)が分かりこれを制御できる場合、漏話が分かり漏話を制御し最適化することができる。
【0060】
漏話結合を推定するための代替の手順では、送信したシーケンス(場合によってはトレーニングシーケンス)ならびに受信した漏話についての知識を使用する。もちろん、ペア間の漏話結合は、同時に2つのペアに試験装置を接続することによって測定することもできる。
【0061】
DSLは、漏話結合が高すぎるため、あるいは他のDSLがあまりに高い電力スペクトル密度(PSD)を送信しているために大幅に劣化することがある。この処理では、ステップ730で、漏話が問題になっているかどうか決定する。漏話が重大な問題ではない場合、ステップ770にジャンプし、システムはEMIノイズを解析する。漏話が問題になっている場合、ステップ735で、システムは、漏話を生じているDSLのタイプのステップ720による識別、ならびにDSLデータベース140および/または既存ループデータベース130からの情報を使用して、問題を生じている正確な送信器およびペアを決定する。次いで、ステップ740で、システムは、クロストーカのPSDを低下させることにより解決策を示唆または実施する。これにより問題が修正された場合、ステップ770へ分岐して、システムは、EMIを解析することができる。識別された漏話ディスターバのPSDを低下させることにより問題が修正されない場合、ステップ750で、システムは、ディスターバまたは最適化すべき回線を他の利用可能なループに再割当てする。これにより、漏話の問題が修正された場合、ステップ755でステップ770へ分岐し、システムはEMI(電磁干渉)を解析する。漏話の問題が、ディスターバのPSDを低下させることにより、あるいはディスターバまたはループの再割当てをすることにより訂正できない場合、ステップ760で、システムは、所望のビットレートが達成できないことをオペレータに通知する。次いで、オペレータは、このプロセスを反復してステップ730から再び開始することによりさらに改善を試みることができる。
【0062】
例えば、DSL#1でサービスの停止が起きたとき、本発明では、その停止を引き起こした漏話が発生したシステムのタイプが決定される。次いで、スペクトル管理システムは、DSL#1が正常に機能するまで、DSL#2の送信PSDおよび/またはビットレートを最近ターンオンしたかまたは低下させたこのタイプのシステムの1つとしてクロストーカのDSL#2を識別する。
【0063】
ステップ770で、EMIノイズを解析し、ステップ775で、EMIが問題であるかどうか決定する。EMIが、DMT(離散マルチトーン)タイプのDSLシステムにおいて深刻な性能低下を引き起こしている場合、いくつかの信号およびDMT信号のウィンドウィング(windowing)の使用を除去することからなる電子的修正を用いることができる。EMIキャンセレーション(cancellation)は、受信信号およびノイズからEMIの推定を引くことにより電子的に実施することもできる。ステップ785で、システムは、電子的なEMIの修正が成功したかどうかを決定する。成功した場合、最適化されたDSLループのデータレート(data rate)を有し、ステップ795で終了することができる。成功しなかった場合、システムは、シールドなしの引込み線および/または加入者の内部配線を修理するかまたは保護ケーブルに交換する必要があるという修理通知をオペレータに表示する。これは、測定されたループを介して送信され背景雑音を有するのみで受信された信号が所望の性能を達成することができることをシステムが決定した場合のみ推奨される。これは、低い性能のみが可能な場合、修理が不可能な状況を修正しようとする無駄な努力よりも留意できるものである。
【0064】
またDSL管理システムによる長期間の監視により、加入者の住居で大きな機器などのオンオフのサイクルによってしばしば発生するインパルス雑音の識別も可能になる。さらに、システムは、フォワードエラー訂正符号化インターリーバ(interleaver)の深さを増すことにより電子的修正を試みることができ、あるいは、追加のシールドにより加入者の住居内の配線を改善すべきという修理通知をオペレータに送ることにより物理的修正を行うことができる。
【0065】
DSL管理システムは、漏話およびEMIを減少させることにより、データレートを最適化することを主な目的としているが、このシステムは、ブリッジタップの存在を識別するためにループ構成に関する知識を利用するように拡張することもできる。このシステムは、ブリッジタップのヌルから離れるスペクトル出力の再割当てによってブリッジタップの電子的修正を試みる、かつ/または、修理スタッフを派遣して、カスタマが所望のDSLサービスを受けるのを妨害している識別されたブリッジタップを除去するようにオペレータに通知することができる。
【0066】
多数のDSLが同時最適化およびスペクトル互換性を提供するように調整することは、さらに複雑なプロセスである。本発明では、EMIを漏話ノイズから測定し分離し、次いでループ応答および漏話結合を決定する。次いで、上述のように測定されるEMIノイズを最小限にすることを試みるとともに、送信信号を変化させて同時最適性または少なくとも許容できる動作点を達成することにより、漏話を管理することができる。
【0067】
本発明は、ループのバンドル(ケーブル)で可能な最も高い総スループットを達成するために対称DSLおよび非対称DSLの伝送を自動的に同時最適化するルーチンを含む。これは、DSL管理システム100によって反復方式で計算される。バンドルの各ループでのDSLサービスは、ある定型的な開始パラメータで開始される。次に、各DSLの送信PSDは、ラウンドロビン方式で最適化される。所与のDSLへの漏話は、その測定された漏話結合を介して伝わる全ての伝送の電力和である。非対称DSLでは、その送信PSDを「ウォータフィリング」技法を使用して最適化する。対称またはシングルキャリアのDSLは、その送信PSDを信頼して送信することができる最大ビットレートに対応するPSDとして単純に最適化する。次いで、次のDSLを最適化し、そしてその次を最適化し以下同様に行い最初のDSLに戻る。この最適化は、ループで数回繰り返したあと速やかに収束する。本発明では、最適化されたビットレートは、平均して現行方式のおよそ2倍を示す。
【0068】
本発明では、ループの記録およびデータベース、ならびにDSLパラメータによりその正確さが向上する。本発明では、異なる時間間隔で漏話の測定を記録し、この測定を使用して、ある時間にわたって異なる複数のDSLの使用パターンを識別し、漏話の少ない期間を利用するために他のDSLを調整することができ、それにより、他のユーザがアクティブでないとき、アクティブのユーザがより高いビットレートで伝送することを可能にする。本発明は、「バースト(bursting)」または短期の定常的漏話のどちらも識別するために使用することができる。
【0069】
例示的実施形態では、本発明のこの創意に富む方法およびシステムは、高速DSL(G.shdsl)などシングルキャリアDSLの送信スペクトルを最適化するために適用される。この技術は、任意のシングルキャリアDSLに適用することができ、その送信PSDは、その送信されるビットレートおよび信号レベル数により一意的に決定される。G.shdslは、ITU G991.2およびANSI T1.422規格により標準化されており、G.shdslのPSDは、ANSI規格T1.417で定義されている。G.shdslは、現在、レベル16のトレリス(trellis)符号化(TC)ベースバンドパルス振幅変調(PAM)を使用して2320kbpsまでの任意の対称ビットレートを伝送するが、さらに高いビットレートが予見される。ビットレートにより送信PSDは一意的に決定され、その逆でも同様に決定される。
【0070】
G.shdslサービスを提供する複数のループの同時最適化のプロセスを以下に示す。漏話結合が、すべて測定され分かっている。すべてのG.shdslは、任意の典型的な開始PSDで開始される。次いで、各G.shdslの送信PSDをラウンドロビン方式で最適化する。所与のDSLへの漏話は、その測定される漏話結合を介して伝わる送信PSDの電力和である。G.shdsl送信PSD SHDSLT(f)は、T1.417における方式を使用しまた修正することにより、信頼して送信できる最大ビットレートに対応するPSDとして単純に最適化される。次いで、次のG.shdslを最適化し、各DSLに何回か最適化が行われるまで、以下同様にその次のものについて最適化を行い、最初のDSLに戻る。
【0071】
対称DSLの最適化のためのこのアルゴリズムは、各G.shdslに3〜5回最適化が行われた後、一意のビットレートに速やかに収束する。このアルゴリズムでは、測定された漏話結合を使用し、(数千の)すべての試験が行われる事例に対して、どのような開始条件でも同じビットレートに収束する。ただし、ANSIモデルの漏話電力結合を使用すると、このアルゴリズムは、ときとして収束しないことがある。
【0072】
本発明はまた、DMT(離散マルチトーン)変調DSLの送信スペクトルの同時最適化に適用することもできる。DMTは、反復ウォータフィリングマルチトーン変調(iterative water filling mutitone modulation)と呼ばれ通常4.3125kHzの間隔でいくつかの副搬送波を伝送する。それぞれのトーンが変化または停止し幅広い送信PSDを生成する可能性があるのでスペクトルの最適化は複雑である。次に示すシミュレーションでは、DMTで変調を行うADSLを使用するが、この技術は、任意のDMT DSLに適用される。
【0073】
下りのADSLの公称の総平均送信電力は、20dBmであり、上りのADSLの公称の総平均送信電力は、12.5dBmである。これらは低下することができる。
【0074】
DMT ADSLのスペクトルは、シングルキャリアのスペクトルと同様に反復して最適化される。受信した漏話は個々のADSLに対する各々の反復において変更され、ADSLの送信PSDが最適化される。すべてのADSLは、順々に最適化され、各ADSLは数回の最適化が行われるまで再度最適化が行われる。それぞれの反復では、「ウォータフィリング」技法によってDSLの送信PSDが最適化される。図5に示すように、ループの電力伝達関数により除算された雑音電力のパワースペクトルの周波数プロット500を椀状を示す形でとり、次いで、この「椀(bowl)」を、平坦な「水位(water level)」を維持する送信電力で満たすものとしてウォータフィリングを見ることができる。総送信電力は、事前に設定された許容総平均送信電力と等しい。数学的には、|N(f)|2/|H(f)|2を、雑音電力をループの電力伝達関数により割ったものとする。したがって、ガウス雑音を仮定すると、チャネル容量を達成することができる送信スペクトルは、max(0,θ−|N(f)|2/|H(f)|2)であり、ここでθは定数であり、所望の総平均送信電力が送信されるようになる(図5参照)。
【0075】
反復ウォータフィリングでは、ADSL送信PSDの変化が可能である必要がある。ADSLの初期のバージョンでは、3.5dBより大きい「通過帯域リップル(passband ripple)」が許容されず、したがって、送信PSDは平坦(3.5dB以内)でなければならず、反復ウォータフィリングが不可能である。ADSL2 G992.3規格では、各トーンの電力を別々に調整することが可能であり、したがって反復ウォータフィリングがサポートされる。異なるADSLには、異なる許容総送信電力を割り当てることができ、許容送信電力のベクトルが変化することにより、達成可能な容量領域(capacity region)と呼ばれる達成可能なレートのベクトルが変化する。つまり、各ADSLが特定の所望のビットレートを有するとすると、各ADSLの総送信電力は、それぞれ異なる値に調整することができ、達成される1組のビットレートは、所望のビットレートに可能な限り近く一致する。
【0076】
図8は、同じケーブルバインダで伝送を行うシングルキャリアおよびマルチキャリアDSLの同時最適化のための本発明の同時最適化方法を実施するデータおよび決定の流れを示す。プロセスの第1ステップ810で、各DSL回線の所望の信号対雑音比(SNR)マージン(典型的には6dB)を選択する。各DSL回線の許容総平均送信電力を選択する。背景雑音レベルなど他のシミュレーションパラメータも選択する。ステップ810で選択されたパラメータは、最適化処理の剰余(remainder)のために変更しない。
【0077】
ステップ820で、同じバインダ内の各DSLごとに、すべてのDSL間のペア対ペアの漏話電力結合を測定または推定し記録する。DSLが送信するループ構成またはループ応答を、測定しまたはデータベースから抽出する。ループ構成が分かる場合、ループ電力伝達関数|H(f)|2は直ちに計算される。一般的に、同じバインダ内のループは、同様の長さおよび太さを有し、したがって、それらは、エラーがほとんどないすべて同じループ構成を有すると仮定することができる。異なるバインダ間の漏話は少なく無視することができる。
【0078】
ステップ830では、すべてのADSLを、その許容平均電力でフラットなPSD(すべての周波数で同じ電力)を送信するように初期設定し、すべてのG.shdslを、その許容平均電力で、所与のループ上でそれが達成できるのとほぼ等しいビットレートを送信するように初期設定する。シミュレーションでは、G.shdslの開始ビットレートを、最悪ケースの漏話モデルで予測されるビットレートの2倍と同じに設定する。この選択された開始ビットレートは、より的確な選択によって収束を少し速め得ることを除き重要ではない。
【0079】
ステップ840で、ADSL反復カウンタをゼロに設定する。このカウンタは、バインダに存在するN個のADSLループにわたりループを行うために使用される。ステップ850で、ADSL反復カウンタのNを増分し、初期の送信PSDおよび漏話結合電力を所与としてADSLNへのすべての漏話結合の和を計算する。この漏話結合PSDの和、およびループ構成は、|N(f)|2/|H(f)|2を計算するために使用され、またステップ860で、ウォータフィリングされた最適のADSLNの送信PSDを求めるために使用される。このウォータフィリングされたPSDは、max(0,θ−|N(f)|2/|H(f)|2)に等しいPSDを送信するように各ADSLトーンの送信出力を調整し、所望の総平均電力が送信されるように定数θを反復して求めることにより求められる。
【0080】
ステップ865で、プロセスは、ステップ850および860がバインダ内のN本すべてのADSLについて実行されたかどうかを決定する。すべてのADSLについて実行されていない場合、次のADSLのためにプロセスはステップ850に戻り、以下同様に行われる。残りのすべてのADSLについてその送信PSDが同様にウォータフィリングによって最適化されると、ステップ870にプロセスは分岐してバインダ内のG.shdslの最適化を行う。
【0081】
ステップ870で、G.shdsl反復カウンタが初期設定される。ステップ880で、カウンタが増分され、すべてのDSLおよび漏話電力結合の現在の送信PSDが与えられると、ADSLとG.shdslの両方からのG.shdslNへの漏話の和が計算される。ステップ890で、このG.shdslNで送信することができる最大ビットレートは、その許容総平均送信電力およびSNRマージンを用いて計算される。続いて、第1のG.shdsl(N=1)は、この最大ビットレートおよび許容層平均送信電力に対応するPSDを送信するものと想定される。
【0082】
ステップ895で、プロセスはN本すべてのG.shdslループが最適化されているかどうか決定し、すべてが最適化されていない場合、ステップ880に戻り、次のG.shdsl回線への漏話を計算し、ステップ880および890での第1のG.shdslと同様にそのビットレートを最大限にする。G.shdsl反復カウンタが、バインダ内のG.shdslループの数と同じになるまで、このプロセスを続行する。
【0083】
最後のステップ900では、停止基準に達しているかどうかを決定する。基準に達している場合、反復最適化プロセスは収束し、プロセスは終了910となる。この場合、最適化された送信PSDおよびビットレートは、DSL管理システム100によって実装することができる。停止基準に達していない場合、ステップ840にプロセスは戻り、最も新しく計算されたPSDを前提にして漏話を計算する。ステップ850〜890は、停止基準に達するまで、すなわち、どのDSLの計算されたビットレートも、ある少量(シミュレーションでは1kbps)よりも大きい差異がそれぞれの反復の間でなくなるまで繰り返される。次いで、このビットレートおよび対応するPSDは、最終の同時最適化された値となる。
【0084】
さらに、上記のアルゴリズムは、各DSLに割り当てられた異なる総平均送信電力の値で複数回実行することもでき、その結果異なる複数の組のビットレートをもたらす。次いで、最も望ましいビットレートに一致する組のビットレートは、選択し、このビットレートは、その対応する総平均送信電力の値によって達成することができる。シミュレーションでは、このアルゴリズムは、わずか3から6回の反復のあと速やかに一意の値に収束する。
【0085】
このアルゴリズムは、サービス中の実際のDSLモデムで実装することができる。DSL管理システム100は、このプロセスを制御するために使用することができ、DSLモデムは、実際にその最適のPSDを送信する。漏話を計算するかわりに単にモデムで受信するという点でのみステップ850とステップ880は実質的に変更される。
【0086】
一般にシミュレーションでは、ANSIスペクトル管理標準T1.417に定義されている標準化されたパラメータを使用する。実際の個々のADSL回線を模擬するために、T1.417におけるパラメータに対して以下の修正を行う。
【0087】
ADSLのDMTトーン間隔は、fdelta=4.3125kHzであり、トーンの40から255が、下り信号を搬送する。ADSLのトーンは、理想的な帯域スペクトルを有するとは想定されず、代わりに各トーンは、(sin(π(f−fc)T)/(π(f−fc)T))2と等しいPSDを有し、ここではトーンの中心周波数はfc、ブロックレートは1/T=8kHzとなっている。
【0088】
測定されたNEXTおよびFEXT結合がシミュレーションで使用される。すべての上りと下りのG.shdslおよびADSLからのNEXTおよびFEXTのすべてのソースが合計されて受信漏話が作られる。すべてのDSLは、ここでは簡単にするために同時に同じループ構成を介して送信を行うが必ずしもその必要はない。
【0089】
FEXTの測定は、100kHzから2MHzの401個の各周波数点で行われる。25ペア、24ゲージ、長さ899フィート(274.015m)の屋外用空芯PICケーブルにある異なるペアの組合せで、300個の別個のペア間FEXT結合が測定される。これらは、デシベル単位で10log10(l/899)+10log10(|H(f)|2/|HFEXT(f)|2)を追加することにより、ループの長さおよび応答[1]の関数としてFEXTに関するANSIモデルを使用してシミュレートされる特定のループに対して調整される。ただし、lは、ループのフィート単位の長さであり、|H(f)|2は、ループの電力伝達関数であり、|HFEXT(f)|2は、そこでFEXTが測定される899フィート(274m)、24ゲージのケーブルの電力伝達関数である。
【0090】
NEXTの測定は、10kHzから2MHzの401個の各周波数点で行われる。4つの異なる25ペアケーブルにおける異なるペアの組合せで、1200個の別個のペア間NEXT結合が測定される。1つのケーブルは、長さ899フィート(274m)の24ゲージ屋外用空芯PICケーブルであり、もう1つのケーブルは、1000フィート(304.8m)で26ゲージの空芯PIC、別の1つのケーブルは、5000フィート(1524m)で24ゲージのPIC、さらに別の1つのケーブルは、1010フィート(307.8m)で26ゲージのPICである。
【0091】
FEXTは、その効果を含めてしばしば低出力であり、シミュレーションでは、測定される300個のうち100の別個の最高電力FEXT結合を使用し、一部のシミュレーションについては、FEXT結合が10.0dB増加する。1200すべての別個の測定されたペア間NEXT結合が使用される。このシミュレーションでは、同時最適化アルゴリズムが実行される各時間の前に、すべてのDSLそれぞれの間の異なるNEXTおよびFEXT結合をランダムに選ぶ。G.shdslを評価するための周波数間隔は100Hzであり、ADSLを評価するための周波数間隔は4.3125kHzである。測定されたNEXTおよびFEXTは、デシベル単位で評価周波数間隔に線形補間される。
【0092】
いくつかのシミュレーションでは、パワーバックオフ(power back off)(PBO)をDSLのいくつかに適用する。フルパワーのADSLは、下りで20dBmの総平均電力を送信する。フルパワーのG.shdslは、下りで13.5dBmの総平均電力を送信する。PBOがある場合、平均総電力はこれらの数よりもPBOによって減少する。SNRマージンは、6dBである。ADSLのPSDをウォータフィリングするとき、平均電力が所望の平均電力の0.1dBの範囲内になるまで、反復してパラメータBが調整される。各DSLのビットレートの変更が1kbpsより小さくなるまで反復が行われる。
【0093】
簡単にするため、この結果は下り信号だけに関するが、下りのADSL信号は、上りよりも高い周波数なので、それにより上りよりも多くの漏話が発生し受信される。上りのADSLは、T1.417に定義されている固定されたスペクトルを単純に使用する。参照ビットレートは、シミュレーションと同じ漏話ディスターバの数およびタイプでPBOのない1%の最悪ケースのANSI漏話結合を用いて計算する。まず参照G.shdslビットレートを計算し、次いでその参照ビットレートのときのG.shdslからの漏話を用いて参照ADSLビットレートを計算する。参照ビットレートを計算するときパワーバックオフ(PBO)は存在しない。最適化されたG.shdslビットレートは、その最大値の2320kbpsにしばしば達し、このため、いくつかのパラメータが変化するときもほとんど変化を示さない。
【0094】
表1〜8は、同じバインダにあるADSLおよびG.shdslで同時最適化アルゴリズムによって達成される下りのビットレートを示す。各テーブルでは、ランダムに選択した異なるペア間のNEXTおよびFEXT結合を用いて600回別々にアルゴリズムが実行され、参照ビットレートと比較した百分率での増加分の統計量が示されている。最大および最小のビットレートは、すべての異なるADSLまたはG.shdsl、および、すべての600の異なる漏話結合にわたっている。参照ビットレートはPBOを有していないが、このPBOを有する結果では、性能はこの参照値を上回り大幅にデシベルが増加する。
【0095】
いくつかのテーブルでは、ADSLについて最小増加率が負を示しているが、これは少なくとも漏話結合の600事例のうち1つにおけるADSLの1つに関してビットレートが低下したことを示す。このような事例は、ここで想定される測定がなければ実地で動作が失敗することになるADSL回線を表している。
【0096】
表1は、同じバインダにある4つのフルパワーのADSLおよび4つのフルパワーのG.shdslを有する15キロフィート(4.572km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。測定されたFEXT結合は、10dB増加した。
【0097】
【表1】

【0098】
表2は、同じバインダ内の5つのフルパワーのADSLおよび5つのフルパワーのG.shdslを有する17キロフィート(5.182km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。
【0099】
FEXT結合は増加していない。
【0100】
【表2】

【0101】
表3は、同じバインダ内の5つのフルパワーのADSLおよび5つのフルパワーのG.shdslを有する14キロフィート(4.267km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。FEXT結合は増加していない。
【0102】
【表3】

【0103】
表4は、同じバインダ内の6つのフルパワーのADSLおよび2つのフルパワーのG.shdslを有する16キロフィート(4.877km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。FEXT結合は増加していない。
【0104】
【表4】

【0105】
表5は、同じバインダ内の3つのフルパワーのADSLおよび5つのフルパワーのG.shdslを有する12キロフィート(3.658km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。FEXT結合は増加していない。
【0106】
【表5】

【0107】
表6は、同じバインダ内の3つのフルパワーのADSLおよび5つのフルパワーのG.shdslを有する17キロフィート(5.182km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。FEXT結合は増加していない。
【0108】
【表6】

【0109】
G.shdslのビットレートは、たいていADSLのビットレートよりも大きく増大している。これは、G.shdslの帯域幅がビットレートに比例するためである。いくつかのDSL回線が、他よりも高いまたは低い、ビットレートもしくはサービスレベルを提供することが必要とされることがある。このような問題は、それぞれのDSL回線の全体的な送信電力を変えることによって取り扱うことができる。パワーバックオフ(PBO)をいくつかのDSLに適用し他のものに適用しない場合、同時最適化するビットレートにどのように影響が与えられるのかを調べるために、いくつかのこのような事例をシミュレートした。
【0110】
表7は、同じバインダ内の、2つのフルパワーのADSL、10dBのPBOを有する2つのADSL、2つのフルパワーのG.shdsl、および20dBのPBOを有する2つのG.shdslを備える、15キロフィート(4.572km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示す。測定されたFEXT結合は、10dB増加した。
【0111】
【表7】

【0112】
表8は、同じバインダ内の、1つのフルパワーのADSL、5dBのPBOを有する2つのADSL、1つのフルパワーのG.shdsl、および10dBのPBOを有する2つのG.shdslを備える、18キロフィート(5.486km)、26ゲージのループに対して同時最適化アルゴリズムを用いた際のビットレートの増大を示し、FEXT結合は増加していない。
【0113】
【表8】

【0114】
いくつかのDSLが中央局(CO)から展開され、また、いくつかのDSLはリモート端末(RT)から展開されている場合には、スペクトル最適化もまた非常に有用であり得る。このとき、RTベースのDSLは50dBほど低下する可能性があり、スペクトルを最適化すると、COベースのDSLの性能を大幅に向上させることができる。
【0115】
ループ情報をデータベースに格納すべきであり、それによって、繰り返し起きる障害が次に発生したときにそれを簡単に識別し修理することができるようになる。ある種のインフラストラクチャでは、図1に示すように高度なDSL管理が必要とされる。データは、中央局内の自動試験装置110によって収集することができ、あるいは、DSLモデムおよびDSLAM(DSLアクセスマルチプレクサ)120から抽出することもできる。DSLAMからDSL管理システム100への通信路があるものとするが、このDSL管理システムは、既存ループデータベース130、およびDSLデータベース140へアクセスすることができ、また、解析エンジン、ならびに既存のオペレーションサポートシステム150との通信を提供する。DSLデータベース140をポピュレート(populate)し維持する必要がある。これには費用がかかる。しかし、それはCOの多数の回線にわたり共用することができ、そうすれば手動による力ずくの屋外での改修よりもかなり費用が低くなるはずである。通信を追加しそれを知的アルゴリズムおよび制御と結びつけることにより、管理システムは「戦力多重増強要員(force multiplier)」となり、これにより、既存の銅製ループ設備、および屋外の保守技術要員が活用され、設備およびサービスに対する的確な制御が得られる。
【0116】
最悪ケースの漏話をいつも想定する代わりに、DSL管理システム100が個々のケーブルバインダ内の漏話結合および漏話源に合わせて調整され、これによりスペクトル互換性を保証しながらDSLが可能な最高のサービスレートを提供することが可能になる。低度の漏話結合を有すると識別されたループは、最悪ケースより高いビットレートを搬送することができる。また、多数のDSLは、それ自体のサービス品質を低下させることなく、その送信電力を大幅に低下させることができ、それにより他のDSLへの漏話が低減され、より高いサービス水準が可能になる。これにより複数のDSL送信スペクトルの全体的な同時最適化がもたらされ、この同時最適化により漏話が低減し、通常、既存のDSLを有する長いループ、またはより広い帯域幅を使用したより短いループ上で、ビットレートを2または3倍増大させることができる。DSL管理システム100を使用した結果のサンプルを図6に示す。ここでは、スペクトルは、同じケーブルバインダ内の測定された漏話を使用して、4つのG.shdslおよび4つのADSLの多くの異なる送信電力レベルについて反復同時最適化が行われた。1%の最悪ケースの漏話を伴う参照ビットレートは、G.shdslでは397bps、下りのADSLでは230kbpsである。データポイント610は、フルパワーの送信電力での最悪ケースの漏話結合であり、データ曲線セット620は、測定された複数の異なる漏話結合を示し、これは本発明の反復同時最適化方法を用いて達成することができる。
【0117】
上記の説明は、本発明を例示し説明するために提示したにすぎない。網羅的であることも、本発明を開示のいずれかの厳密な形に限定することも意図するものではない。上記の教示に鑑みて多数の修正形態および変形形態が可能である。例えば、他のタイプのDSLシステムにこの教示を適用することができる。ここに記載の適用を選択し説明したのは、本発明の原理およびその実用的な適用を最も良く説明することにより、企図される具体的な用途に適した様々な適用および修正形態で本発明を当業者が最も適切に利用することを可能にするためである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のデジタル加入者線の管理のためのシステムであって、
第1のデジタル加入者線を測定する手段と、
漏話成分と電磁干渉(EMI)成分に前記測定されたノイズを分離する手段と、
前記漏話成分を生じるディスターバのタイプを識別する手段と、
前記漏話成分を生じる前記ディスターバのタイプに一部分基づいて、前記漏話成分を生じる前記ディスターバのタイプに対するアイデンティティを識別する手段と、
前記識別されたディスターバのパワースペクトル密度を低下させる手段と、
前記第1のデジタル加入者線上の漏話を減少させるために前記識別されたディスターバを再割当てする手段と
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ノイズのEMI成分を解析する手段と、
電子的EMI修正を実施する手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子的EMI修正を実施する手段は、EMIキャンセレーションを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記デジタル加入者線ループのシールドされてない成分を修復するための通知を伝達する手段をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のデジタル加入者線が閾値ビットレートに達するのを前記識別されたディスターバが許さない再割り当ての場合を通知する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のデジタル加入者線上のインパルスノイズを検出する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
フォワードエラーコーディングを増加することによって前記インパルスノイズの電子的修正を行う手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
インパルスノイズに応じてDSLシールディングを増加させるための通知を伝達する段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
デジタル加入者線の管理のための方法であって、
第1のデジタル加入者線上のノイズを測定し、
前記ノイズを漏話成分と電磁干渉(EMI)成分とに分離し、
前記ノイズの前記漏話成分を生じる漏話ディスターバのタイプを識別し、
前記ノイズの前記漏話成分が前記第1のデジタル加入者線上の前記DSLサービスを低下させたかどうかを決定して、前記DSLサービスが前記ノイズの前記漏話成分によって低下した場合には、前記ノイズの前記漏話成分で生じる前記漏話ディスターバの前記タイプに一部分基づいて前記漏話ディスターバのアイデンティティを識別し、
前記ノイズの前記漏話成分を減少させるように前記識別された漏話ディスターバの送信電力を低下させる
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記送信電力を低下させても前記ノイズの前記漏話成分が充分に減少しない場合に、前記識別された漏話ディスターバを異なるデジタル加入者線に再割当てすることをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ノイズのEMI成分が前記第1のデジタル加入者線上の前記DSLサービスを低下させるかどうかを決定し、前記EMI成分が前記DSLサービスを低下させる場合には、前記ノイズのEMI成分をEMIキャンセレーションを介して減少させることをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記EMIキャンセレーションが前記ノイズのEMI成分を充分に減少させない場合に、修理通知を伝達することをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のデジタル加入者線が閾値ビットレートに達するのを前記識別されたディスターバが許さない再割り当ての場合を通知することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のデジタル加入者線上のインパルスノイズを検出することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
フォワードエラーコーディングを増加することによって前記インパルスノイズの電子的修正を行うことをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
インパルスノイズに応じてDSLシールディングを増加させるための通知を伝達することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−148156(P2010−148156A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62432(P2010−62432)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【分割の表示】特願2004−570361(P2004−570361)の分割
【原出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【Fターム(参考)】