説明

デジタル合金およびデジタル合金を形成するための方法

組成物の調節が可能な合金およびそれらに対応した光学的、電気的、ならびに機械的な特性について記載する。さらに、それらの光電子デバイス応用についても記載する。本発明の一実施形態は組成物を提供し、この組成物は、複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを備え、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、パーセンテージでのxの第1結合部位とyの第2結合部位とを含むように選択されたテンプレートと、各々の第1結合部位に結合する複数の第1ナノ粒子と、各々の第2結合部位に結合する複数の第2ナノ粒子とを含み、該テンプレートは第1材料と第2材料が化学量論比x:yの合金を形成するように組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、制御可能な組成物ならびに光電気的および機械的な特性を含む物理的特性を有する合金、それらの光電子デバイスへの応用、およびかかる合金の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
光電子デバイスは、フォトダイオード(太陽電池を含む)、光トランジスタ、光依存性抵抗、レーザー、発光ダイオード(LED:light‐emitting diode)、光ファイバなどの広範な電気‐光、ないし光‐電気トランスデューサを含む。光電子デバイスは、種類によらず少なくとも二つの基本過程のうちの一つ、すなわち、光吸収による電子‐ホール対の発生、ないし電子とホールとの再結合によるフォトンの放出に基づいて動作する。
【0003】
半導体材料はユニークな電子帯構造をもち、その電子帯構造は光の量子力学的効果の影響を受けることができる。したがって、半導体は光電子デバイスを作製するのに格好の材料である。半導体材料では、最高占有帯は通常は完全に充満していて価電子帯と呼ばれ、一方、最低非占有帯は伝電帯と呼ばれる。価電子帯の電子はフォトンのエネルギーを吸収することができ、価電子帯にホールを残して伝導帯に励起されることができる。半導体材料は、かなり多数の電子が伝導帯に存在するときに導電性になる。逆に、伝導帯にある電子は、価電子帯にあるホールと再結合してフォトンの自然放出ないし誘導放出を引き起こすことができる。
【0004】
半導体材料の光学的および電気的特性は、主として価電子帯と伝導帯との間のエネルギー差(「バンドギャップ」)によって決まる。例えば、電子‐ホール対を生成する過程で、バンドギャップは、電子を価電子帯から伝導帯に励起するのに必要な最少のフォトンエネルギーの直接的な尺度である。電子とホールが再結合する時に、バンドギャップは放出されるフォトンのエネルギーを決める。従って、バンドギャップの制御は、光学的および電気的な特性ならびに光電子デバイスの出力を制御する有効な方法である。
【0005】
バンドギャップは、所与の半導体材料の固有の特性である。既知の方法により半導体材料に不純物をドーピングすることによりバンドギャップを調節することができる。あるいは、二つないしそれ以上の半導体構成要素から形成された半導体合金がつくり出されてきた。かかる合金のバンドギャップは、半導体構成要素のバンドギャップとは異なり、通常は構成要素のバンドギャップおよび相対量の関数である。
【0006】
一般的に言って、新しい合金をつくり出す場合には、二つないしそれ以上の元素が一つの格子に成長するようにする。より一般的には、二種類の二元系合金(例えば、AlAs,InP,GaAsなど)から三元系ないし四元系の合金を成長させる。それ故、構成要素の格子整合が結果として生じる合金の歪および欠陥を低減するのに重要である。
【0007】
図1は種々のIII‐V族半導体のバンドギャップエネルギー(eV)および格子定数を示す。図に示されるように、二つの二元系半導体合金、AlAsおよびGaAs、はほぼ等しい格子定数(約5.65)をもつ。格子定数が整合しているために、AlAsおよびGaAsは比較的安定な三元系合金を形成するのに適しており、この合金はAlGa1−xAs(xは合金中のAlAsの原子パーセンテージ(atomic percentage)である)により表わされる。三元系合金のバンドギャップは、純粋なAlAsおよびGaAsのバンドギャップおよびxの関数である。この例は半導体合金の組成物を制御することによりバンドギャップを操作するアプローチを説明する。
【0008】
合金の組成物を制御することは、調節可能な光電気ないし機械特性をもつ新たな材料をつくり出す有望な方法である。現在、AlGa1−xAs、InGa1−xN、およびAlGa1−xNのような半導体合金が有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)ないし分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)のようなエピタキシャル成長技術により作製されている。しかし、これらの材料は歪許容度および欠陥許容度が相対的に高いにも関わらず、これらのエピタキシャル層を成長させることに技術的な障害が残されている。特に、歪のためにそれらの機械的な安定性および完全性を維持することが難しく、言い換えれば、成長層の厚さが制限される。組成物制御も同様に材料中の歪によって影響を受ける。
【0009】
ある半導体材料は格子整合が許容範囲にないために、標準的なバルク結晶ないしエピタキシャル成長技術を用いて安定な化合物ないしヘテロ構造を形成することができない。従って、特定のバンドギャップを操作したり、特定の合金組成物を持たせるのは非常に難しく、現在の半導体技術では不可能なこともある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
元素および/または二元系のナノ構造構成要素(ないし“ナノ構成要素”のテンプレート上への形成を基礎とした半導体ないし金属の合金について記載する。一般的に言って、テンプレートは、複数の異なるタイプの結合部位を制御可能な比率、およびナノメートルスケールの部位間の間隔をもって備えるように提供ないし処理される。第1タイプの結合部位は、第1タイプのナノ構造構成要素に対して特異的な親和性をもつものが選ばれ、一方で、第2タイプの結合部位は、第2タイプのナノ構造構成要素に対して特異的な親和性をもつものが選ばれる。第1および第2タイプのナノ構造構成要素は、制御可能な仕方でテンプレートに結合される。テンプレートは、第1および第2タイプのナノ構造構成要素から多元素合金に倣った新材料が形成されるように組み立てられることができる。個々のナノ構成要素の集合体が多元素合金を倣うように、ナノ構造構成要素、ナノ構成要素のサイズおよびそれらのテンプレート上での配置、ならびに比率を選ぶことができる。
【0011】
加えて、合金およびかかる合金を用いたデバイスの作製方法についても記載する。
【0012】
さらに詳しくは、一実施形態は組成物を提供し、該組成物は、複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを備え、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、パーセンテージでのxの第1結合部位とyの第2結合部位とを含むように選択されたテンプレートと、各々の第1結合部位に結合する複数の第1ナノ粒子と、各々の第2結合部位に結合する複数の第2ナノ粒子とを含み、該テンプレートは第1材料と第2材料が化学量論比x:yの合金を形成するように組み立てられる。
【0013】
別の実施形態は合金の形成方法を提供し、該方法は、少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを有する生物学的テンプレートを形成することであって、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有する該形成する工程と、第1結合部位および第2結合部位がx:y(0<x<1,0<y<1)の数の比率を有するようにテンプレートを制御する工程と、第1ナノ粒子を各々の第1結合部位に結合させる工程と、第2ナノ粒子を各々の第2結合部位に結合させる工程と、さらに第1材料および第2材料を含む合金を形成する工程とを含む。
【0014】
また別の実施形態は合金を含む光電子デバイスを提供し、該合金は、複数の生物学的テンプレートであって、各々のテンプレートは第1の複数の結合部位と第2の複数の結合部位を有し、該テンプレートは第1結合部位の第2結合部位に対する選択された比率を有する、該テンプレートを形成する工程と、第1構成要素が少なくとも二つの異なる元素からなる、複数の第1ナノ粒子構成要素を生物学的テンプレート上の第1の複数の結合部位と結合させる工程と、第2構成要素が少なくとの二つの異なる元素からなり、第2構成要素の少なくとも一つの元素が第1構成要素の少なくとも一つの元素とは異なる、複数の第2ナノ粒子構成要素をテンプレート上の第2の複数の結合部位と結合させる工程と、テンプレートが第1の複数のナノ粒子と第2の複数のナノ粒子から合金を組み立てられるように選択された、第1結合部位の第2結合部位に対する数の比率と、により形成される。
【0015】
別の実施形態は、上記のような合金を含み、さらに、合金が形成された後に複数の生物学的テンプレートが除去される光電子デバイスを提供する。
【0016】
また別の実施形態は、太陽電池構造体を提供し、該太陽電池構造体は、半導体基板と、半導体基板に連結された感光性層とを備え、該感光性層は合金を含み、該合金は、複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは第1の複数の結合部位と第2の複数の結合部位とを有し、第1結合部位の第2結合部位に対する選択された比率を有する該テンプレートと、生物学的テンプレート上の第1の複数の結合部位と連結された複数の第1ナノ粒子構成要素であって、少なくとも二つの異なる元素からなる第1構成要素と、該テンプレート上の第2の複数の結合部位と連結された複数の第2ナノ粒子構成要素であって、少なくとも二つの元素からなり、少なくとも一つの元素は第1構成要素の少なくとも一つの元素とは異なる第2構成要素と、テンプレートが第1の複数のナノ粒子と第2の複数のナノ粒子から合金を組み立てることができるように選択、第1結合部位の第2結合部位に対する数の比率と、を含む。
【0017】
別の実施形態は、リチウムイオン電池を提供し、該リチウムイオン電池は、コバルト、酸素、さらに本質的に金、銅および銀からなる群から選択される抵抗率の低い金属を含むアノードであって、抵抗率の低い金属のコバルトに対する比率が4より小さいように選択的に制御され、かつ電池のセル抵抗を低減するためにアノード内に配置されているアノードと、カソードと、リチウムイオンを輸送するためにアノードとカソードとの間に配置された電解質流体とを備えたリチウム電池であって、コバルトおよび抵抗率の低い金属は複数のテンプレートの存在下で形成され、各々のテンプレートはコバルトに対して親和性をもつ複数の第1結合部位と抵抗率の低い金属に対して親和性をもつ複数の第2結合部位とを有し、抵抗率の低い金属に対する結合部位の数がコバルトに対する結合部位の数に比べて実質的に小さく、第1および第2結合部位の選択された比率を有する。
【0018】
別の実施形態は、構造を提供し、該構造は、第1導電層と、第2導電層と、第1導電層と第2導電層との間に配置された金属間層とを含み、該金属間層は、少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位を有する少なくとも一つの生物学的テンプレートであって、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性をもち、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性をもつ、該テンプレートを形成する工程と、第1結合部位と第2結合部位がx:y(0<x<1、0<y<1)の数の比率を有するようにテンプレートを制御する工程と、第1ナノ粒子を各々の第1結合部位に結合させる工程と、第2ナノ粒子を各々の第2結合部位に結合させる工程と、さらに第1ナノ材料と第2ナノ材料を含む合金を形成する工程とにより形成される。
【0019】
図面中で同じ参照番号は同様の要素ないし行為を表す。図面中の要素のサイズや相対位置は必ずしも縮尺通りではない。例えば、種々の要素の形状と角度は縮尺通りではなく、これら要素のあるものは図面を読み易くするために任意に拡大および配置されている。さらに、要素が描かれている特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しておらず、単に図面の認識を容易にするために選ばれたものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】よく知られたバンドギャップエネルギーと格子定数のグラフである。
【図2】図2Aおよび図2Bは、一実施形態によるデジタル合金および結果として生じるバンドギャップを示す。
【図3】一実施形態により操作されるバンドギャップを示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、別の実施形態によるテンプレートと結合部位を図式的に示す。
【図5】図5Aおよび図5Bは、種々の実施形態による異なるシャペロニンを図式的に示す。
【図6】一実施形態によるテンプレートの秩序化された2Dアレイを図式的に示す。
【図7】二元系化合物のみを用いて三元系化合物のバンドギャップを得るためのテンプレートを示す。
【図8】一実施形態による特定のナノ粒子に対する結合部位が選択された比率をとるように操作されたテンプレートを示す。
【図9】図8のテンプレートのそれぞれ対応する結合部位に連結されたナノ粒子を示す。
【図10】選択された三元系化合物に倣うための二元系構成要素に対する結合部位の第1の比率を示す。
【図11】異なる三元系化合物に倣うための同じ結合部位の異なる比率を示す。
【図12A】図10および図11に示す原理によりつくられた、三元系化合物を倣った複数の層を有する太陽電池を示す。
【図12B】図10および図11に示す原理によりつくられた、三元系化合物を倣った複数の層を有する太陽電池を示す。
【図13】太陽電池における材料の様々なバンドギャップを図式的に示す。
【図14】本発明によるテンプレート上の様々なナノロッドを図式的に示す。
【図15】光電子デバイスに用いられる図14のナノロッドを図式的に示す。
【図16】図16は、特定の化合物に倣うために、元素に対する結合部位が選択された比率を有するテンプレートを示す。図17は、別の化合物を倣うために、結合部位が異なる比率を有する同じ元素のためのテンプレートを示す。
【図18】図16および図17に示したように、本発明の原理により陽極ないし陰極における選択された位置に金元素を有するリチウムイオン電池を示す。
【図19】一実施形態により作製されるLEDの説明図を示す。
【図20】一実施形態による金属間構造を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
精密に制御された組成を有する合金について記載する。これらの合金は、ここで“デジタル合金”とも呼ばれるが、ナノ構造構成要素(例えば、“ナノ結晶”)の二つないしそれ以上のタイプからなる混成物であり、テンプレートの存在下で組み立てられる。より詳細に以降に記載されるが、ナノ構造構成要素はナノスケールの構成単位であり、元素材料(一元素を含む)ないし二元系(二元素を含む)材料であってもよい。テンプレートは、選択されたナノ結晶に特異的に結合する結合部位を含む生物学的ないし非生物学的スカフォールド(scaffold)であり、そこに結合部位がおよそ数ナノメートルないし数10ナノメートルの間隔で分離されている。デジタル合金の組成物は、結合部位の分布により制御された化学量論にあるナノ結晶構成要素により決定される。
【0022】
ナノ結晶はサイズが小さく(典型的には2〜3原子しかない)、相互に近接している(典型的には2〜3ナノメートルから数10ナノメートル)ために、電子は一つのナノ結晶構成要素をもう一つのナノ結晶構成要素から個々の材料として区別できない。代わりに、電子の振舞はナノ結晶における二つないしそれ以上の異なる材料にわたって平均化され、それらを一つの合金として捉える。従って、ナノスケールの構成要素を操作することにより、調節可能な巨視的特性をもつ新材料をつくり出すことができる。
【0023】
図2Aは、2つのタイプの二元系ナノ結晶、20%の第1の二元系ナノ結晶14(例えば、InN)と80%の第2の二元系ナノ結晶18(例えば、GaN)の薄層からなるデジタル合金10を図式的に示す。図2Bは、電子30がデジタル合金10をいかに捉えるかを図解する。電子から見れば、GaNの伝導帯34とInNの伝導帯38は平均化されてデジタル合金の伝導帯42が得られ、これはIn0.2Ga0.8Nで表わすこともできる。同様に、GaNの価電子帯46とInNの価電子帯50は平均化されてIn0.2Ga0.8Nに相当する合金の価電子帯54が得られる。デジタル合金のバンドギャップは、従って、純粋なInNとGaNのエネルギーギャップの間の値となる。言い換えれば、電子は、合金10を二つの分かれた二元系構成要素InNおよびGaNとしてではなく、新しい組成物(In0.2Ga0.8N)の三元型合金として捉える。以下に詳細を記載するように、新しい組成物における各々の元素の化学量論は、選択された比率(例えば、図2AにおいてInNとGaNに対して20%:80%)で二つの構成要素に結合するように操作されたテンプレートを用いることにより制御できる。この三元系合金に対するバンドギャップは、個々の構成要素の化学量論の関数である。
【0024】
巨視的に言えば、ナノ結晶構成要素の集合体は、構成要素材料の特性を平均化した特性をもつ新しいバルク材料に倣う。それ故、これらのデジタル合金は、自然素材では通常は達成できない広範な光学的、電気的および機械的特性に対応したものになる。例えば、一方が1.7eVのバンドギャップに、他方が1.1eVのバンドギャップに調節された窒化インジウムガリウム(InGaN)の二層は、二層多接合セルに対して理論的には最高50%の効率が達成される可能がある。高い%濃度のInを含むInGaNを材料の不均一さと低光学効率を伴わずにエピタキシャル成長させることは、現状では達成するのが困難である。現状では特別に操作および選択されたバンドギャップをもつ材料を構築するのは往々にして困難であるが、しかし、ここに記載される方法によれば、もし二元系のナノ構造が利用できるものであれば、任意の選択されたバンドギャップをもつかかる層を容易に構築することができる。
【0025】
従って、ある実施形態は合金を指向し、該合金は、複数のテンプレートを含み、各々のテンプレートは少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを含み、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子に対して特異的な結合親和性をもち、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子に対して特異的な結合親和性をもち、テンプレートはパーセンテージでのxの第1結合部位とyの第2結合部位を含むように選択され、複数の前記第1ナノ粒子は各々の第1結合部位に結合し、複数の前記第2ナノ粒子は各々の第2結合部位に結合する合金であって、テンプレートは第1材料と第2材料が化学量論比x:yの第1材料と第2材料からなる合金を形成するように組み立てられる。
【0026】
図3は、デジタル合金の組成物制御による所望のバンドギャップの操作について図解する。本明細書では、用語“デジタル合金”は、半導体、金属、金属酸化物および絶縁体を含む任意の材料の組み合わせに適用される。図3に示すように、第1材料(例えば、GaN)は伝導帯20と価電子帯21を有する。伝導帯20と価電子帯21との差d1がバンドギャップである。絶縁体では、バンドギャップが通常3eVより大きく、価電子帯の電子はこれを乗り越えることができないが、一方で金属導体では、バンドギャップがなく、価電子帯は伝導帯とオーバーラップしている。半導体では、上記のように、バンドギャップが十分に小さいために、価電子帯にある電子は、ある条件下ではバンドギャップを乗り越えることができ、伝導帯に励起され得る。図3は、伝導帯22と価電子帯23をもち、従ってバンドギャップが二つのバンド間の差d2で表わされる第2材料(例えば、InN)のバンドギャップも示す。ユーザーが操作して選択した比率(x:y)の第1結合部位および第2結合部位をもつテンプレートがつくり出される。xとyは、第1および第2結合部位の百分率であり、x+y=1である。第1および第2結合部位は、それぞれ第1および第2材料に結合するように選択される。従って、テンプレート上の第1材料と第2材料の比率はx:yの化学量論比になる。二つの構成要素から作製される結果としてできたデジタル合金(例えば、InGaNないしInGa1−xN)は、それ故、二つの構成要素の実体とその化学量論に基づいた価電子帯25および伝導帯24、並びに操作が可能なバンドギャップをもつことになる。
【0027】
本明細書では、xとyは、正しい割合ないし百分率(0<x<1、0<y<1)で表わすことができる。例えば、二成分系合金(すなわち、x+y=1)では、もし第1結合部位と第2結合部位を合わせたうちで第1結合部位がx=20%存在するならば、xは正しい比率0.2として表せることが理解される。さらに、第1結合部位と第2結合部位の選択された比率はx:yで表わすことができ、この比率は、結果として生じる合金をつくり出す二つの材料の化学量論比に相当する。
【0028】
図4Aは、第1結合部位58と第2結合部位62を選択された比率20%:80%で含むスカフォールド54を備えたテンプレート50を示す。第1結合部位58は特異的に第1ナノ結晶66に連結し、さらに第2結合部位62は特異的に第1ナノ結晶70に連結する。従って、もし第1ナノ結晶がInNであり、第2ナノ結晶がGaNであれば、テンプレート50を組み立てた結果として生じる合金はIn0.2Ga0.8Nと表すことができる。
【0029】
図4Bは、第1結合部位58と第2結合部位62を選択された比率40%:60%で含むスカフォールド84を備えたテンプレート80を示す。以下により詳細に論じるように、図4Aに示したものと同じタイプの結合部位およびこれに対応した同じナノ粒子を使うことができる。しかし、第1結合部位と第2結合部位の選択された比率は40%:60%に調節される。それ故、もし第1ナノ結晶がInNであり、第2ナノ結晶はGaNであれば、テンプレート80を組み立てた結果として生じる合金はIn0.4Ga0.6Nで表すことができる。
【0030】
従って、然るべきテンプレートを用いて、特に、異なるナノ結晶構成要素に対応する結合部位の比率を選択することにより、合金を制御可能なかたちで合成することができる。結果として生じる合金は、二つないしそれ以上の異なる材料からなるナノスケールの構成単位により作製されるが、それらの格子整合ないし形状による制約を受けない。合金の所与の組成物に本質的に係る、光学的、電気的、磁気的および機械的特性などの物理的特性は、ナノ結晶構成要素の特性を平均化したものになるであろう。所望の最終用途によって、ここで後に説明するように、半導体合金および金属合金をそれぞれ半導体ナノ結晶および金属ナノ結晶に基づいて調整することができる。
【0031】
A.テンプレート
“テンプレート”は、ナノ結晶が連結される結合部位を提供する任意の合成および自然材料であってよい。ここで用いられているように、テンプレートは、結合部位の精密制御がそれらの組成物、量および位置の観点から統計的に有意な仕方で達成できるように選択される。生物学的および非生物学的テンプレートは、両方とも用いることができる。
【0032】
ペプチド配列は、多くの異なるタイプのナノ結晶に対して特異的および選択的な結合親和性をもつことが実証されているため、ペプチド配列を結合部位としてを組み込んだテンプレートは好ましい。さらに、生物学的テンプレートは、所定の空間的な関係(例えば、2〜3から数10ナノメートル分離している)にある所定の結合部位を備えるように処理することができる。それらはデジタル合金の組成物を制御する上で特に有利である。生物学的テンプレートは、例えば、生体分子、およびペプチド配列と融合した生物学的スカフォールドを含む。
【0033】
以下にさらに詳細に記載するように、生物学的テンプレートは遺伝子技術により操作して、特定の結合部位をテンプレート上の制御可能な位置に生成することができる。非生物学的テンプレートも、ナノスケールの解像度で結合部位を高精度でパターニングすることにより操作することできる。
【0034】
1.生物学的テンプレート
上述したように、タンパク質および生物学的スカフォールドのような生物学的テンプレートは、結合部位のタイプ(例えば、ペプチド配列)、結合部位のテンプレート上での位置およびそれぞれの密度および/または他の結合部位に対する比率を確実に制御するために、遺伝学に基づいて処理することができる。例えば、以下の文献を参照。Mao,C.B.ら、(2004)Science,303,213‐217、Belcher,A.ら、(2002)Science296,892‐895、Belcher,A.ら、(2000)Nature405(6787)665‐668、Reiss ら、(2004)Nanoletters,4(6),1127‐1132,Flynn,C.ら、(2003)J.Mater.Sci.,13,2414‐2421、Mao,C.B.ら、(2003)PNAS,100(12),6946‐6951、これらの引用文献は、参照によりそれら全体がここに組み込まれる。利点として、これにより生物学的テンプレート上の結合部位の組成物と分布を制御することが可能になる。
【0035】
ある実施形態では、生物学的テンプレートは、パーセンテージでの、xの第1ペプチド配列とyの第2ペプチド配列を備える。第1ペプチド配列は第1材料の第1ナノ粒子に対して特異的な親和性をもち、さらに第2ペプチド配列は第2材料の第2ナノ粒子に対して特異的な親和性をもつため、第1材料と第2材料からなる合金を形成することができる。さらに詳しくは、合金は、第1結合部位と第2結合部位の相対的な量により決まる選択された化学量論(x:y)で第1材料と第2材料を含む。
【0036】
他の実施形態では、第1結合部位と第2結合部位の両方が単一のタイプのテンプレート上に存在する必要はない。代わりに、第1結合部位が第1タイプのテンプレート上に排他的に存在してもよく、第2結合部位が第2タイプのテンプレート上に存在してもよい。第1結合部位と第2結合部位の相対的な割合(x:y)は、合金の組成物における第1タイプのテンプレートと第2タイプのテンプレートの選択された比率により制御することができる。
【0037】
a.生体分子
ある実施形態では、生物学的テンプレートは、タンパク質のような生体分子である。“生体分子”は生体由来の任意の有機分子に適用される。典型的には、生体分子は、化学結合により共に順次連結された複数のサブユニット(構成単位)を含む。各々のサブユニットは、ヒドロキシル、カルボキシルおよびアミノ基のような少なくとも二つの活性基を備え、それらはサブユニットが相互に接続された結合の形成を可能にする。サブユニットの例は、アミノ酸(天然および合成の両方)およびヌクレオチドを含むが、それらには限定されない。生体分子の例は、ペプチド、タンパク質(サイトカイン、成長因子等を含む)、核酸、およびポリヌクレオチドを含む。“ペプチド配列”は、ペプチド(アミド)結合で連結された二つないしそれ以上のアミノ酸に適用される。アミノ酸構成単位(サブユニット)は、自然発生のαアミノ酸、および/または、βアミノ酸とホモアミノ酸のような非天然アミノ酸を含む。さらに、非天然アミノ酸は、天然アミノ酸を化学修飾した形態であってもよい。“タンパク質”は、ペプチド配列で特徴づけられる一次構造をもつ天然ないしは操作された巨大分子に適用される。一次構造に加えて、タンパク質はその最終形状を決める二次および三次構造も呈示する。
【0038】
タンパク質の合成は遺伝子により方向づけることができるため、タンパク質の一次構造内の所望の位置に所望のペプチド配列(すなわち、結合部位)を含むようにタンパク質を操作して機能化することが容易にできる。
【0039】
それ故、様々な実施形態において、テンプレートは、少なくとも一つの第1ペプチド配列と少なくとも一つの第2ペプチド配列を備えた生体分子である。一実施形態では、テンプレートは、天然のタンパク質、ないしは、少なくとも二つの特定の材料からなるナノ結晶に対して結合親和性をもつように処理できるタンパク質である。
【0040】
ある実施形態では、生物学的テンプレートはシャペロニンであり、これは特定のタイプのナノ粒子に対して結合親和性を持つように処理でき、さらに小線維ないし秩序化された二次元アレイ(例えば米国特許出願公開第2005/0158762号参照)に自己組織化することができる。シャペロニンは、二重リングを含む多くの異なる形状に容易に自己組織化するタイプのタンパク質であり、固体表面上に結晶アレイを形成する。通常は、結晶化を仲立ちするのにアデノシン三リン酸(ATP:adenosine triphosphate)とMg2+が必要である。米国特許出願2005/0158762参照。デジタル合金がシャペロニンからいかに形成されるかの例を図5A、図5Bおよび図6に示す。
【0041】
図5Aと図5Bは、9つのサブユニット104をもつリング形状のシャペロニン100を図式的に示す。シャペロニンの中心には空孔108が位置している。空孔は、機能ドメインとして特徴づけることができ、特定の材料からなるナノ結晶に対して特異的な親和性をもつように遺伝子操作することができるペプチド配列を備えている。加えて、機能ドメインは、そこで核生成するナノ結晶のサイズを決定することのできる明確な形状を有する。
【0042】
遺伝子操作を通じて、結合部位(図示されていない)は、各々ないし任意の数のサブユニット上に存在するようにできる。一例として、図5Aは、4つのサブユニットが第1タイプのナノ結晶112と連結した第1結合部位を有し、5つのサブユニットが第2タイプのナノ結晶116と連結した第2結合部位を有することを示す。
【0043】
シャペロニンのサブユニットは、第1結合部位が空孔内に、第2結合部位が外周に発現するように操作することもできる。図5Bに示すように、シャペロニン102は、空孔108内で9つの第1ナノ結晶112と、さらに外周124上で9つの第2タイプのナノ結晶114と結合している。
【0044】
天然のシャペロニンは、熱ショックタンパク質と呼ばれる14、16ないし18の同じサブユニットからなる細胞内構造である。これらの60kDaのサブユニットは、高さ16〜18nmで幅15〜17nmのリングが二つ積層された配置をとる。様々なシャペロニンの配列が決定されており、遺伝子操作の方向づけにそれらの構造情報が利用できる。シャペロニンの最終形状と結合能力を操作するために、一つないしそれ以上のアミノ酸が部位特異的変異処理により変換されたシャペロニンの変異体を開発することができる。例えば、McMillan A.ら、(2002)Nature Materials,1,247‐252.参照。当然のことながら、遺伝子操作、ないし化学修飾されたシャペロニンの変異型も、ここに明示するように適切なテンプレートである。
【0045】
また別の実施形態では、テンプレートはS層タンパク質であり、これは秩序化された二次元アレイに自己組織化し、ナノ結晶に結合することができる。(例えば、Dietmar P.ら、Nanotechnology(2000)11,100‐107.参照)。天然のS層タンパク質は、多種多様なバクテリアおよび古細菌において細胞外皮の最外層を構成する。それらは単一のタンパク質から構成され、ないしは糖タンパク質種(分子量40〜200kDa)はセル単位が大きさが3〜30nmの範囲にある。S層は、一般的に厚さが5〜10nmで、同一サイズ(例えば、2〜8nm)の空孔を呈示する。S層タンパク質が固体表面で再結晶化すること、ないしはそれらの支持体上に堆積されたS層の自己組織化生成物がCdS粒子ないし金ナノ粒子の形成を誘起するのに使える可能性があることが実証されている。例えば、Shenton ら、Nature(1997)389,585‐587、およびDieluweit ら、Supramolec Sci.(1998)5,15‐19.参照。当然のことながら、遺伝子操作ないし化学修飾されたS層タンパク質の変異型も、ここに明示するように適切なテンプレートである。
【0046】
さらに別の実施形態では、生物学的テンプレートはアポフェリチンである。アポフェリチンは、水酸化鉄を持たないフェリチンである。天然のフェリチンは、広範な生存種にわたって鉄の代謝に活用されている。それは24個のサブユニットからなり、それらのサブユニットは、約2nm厚の壁で囲まれた直径およそ8nmの空洞を持つ中空構造をつくり出す。空洞は、通常4500個の鉄(III)原子を常磁性の水酸化鉄のかたちで蓄積する。アポフェリチンではこの水酸化鉄が取り除かれており、できた空洞に他のナノ粒子を取り込むことができる。フェリチン中のサブユニットは密集して存在するが、しかし、空洞に通じるチャンネルがある。チャンネルのいくつかはカドミウム、亜鉛およびカルシウムのような金属と結合するのに適した結合部位を備えている。フェリチン分子をこれらの二価イオンの存在下で導入し、組織化により秩序配列させることができる。フェリチンをナノ結晶を結合するためのテンプレートとして利用することに関する詳細な記述は、例えば、米国特許第6815063号および米国特許第6713173号に見られる。当然のことながら、遺伝子操作ないし化学修飾されたアポフェリチンも、ここに明示するように適切なテンプレートである。
【0047】
別の実施形態では、テンプレートは、大腸菌のDNAポリメラーゼのIIIβサブユニットであり、これはホモダイマータンパク質である。その全体構造は、約3.5nmの空洞と3.4nm厚の壁をもつドーナツ形状をとる。壁の内表面は12個の短いαへリックスを備え、一方で6個のβシートが外表面を形成する。内表面は、様々な材料からなるナノ結晶を捕獲ないし核生成させるアミノ酸ないしペプチド配列を導入するように処理することができる。当然のことながら、遺伝子操作ないし化学修飾された大腸菌のDNAポリメラーゼの変異型も、ここに明示するように適切なテンプレートである。
【0048】
b.生物学的スカフォールド
他の実施形態では、テンプレートは、一つないしそれ以上のペプチド配列が融合された生物学的スカフォールドである。“生物学的スカフォールド”は、多数の結合部位を備えた多分子からなる複雑な生物学的構造に適用される。好ましい実施形態では、生物学的スカフォールドは、そこに融合される結合部位(例えば、ペプチド配列)の数、分布、および間隔を制御するために遺伝子操作がなされる。
【0049】
生物学的スカフォールドの例は、限定なしに、ウイルス粒子、バクテリオファージ、アミロイド線維、およびカプシドを含む。これらの生物学的スカフォールドは(天然および変異型の形態ともに)、様々な固体表面に堆積されたときに秩序構造をとることができる。例えば、Fynn,C.E.ら、“Viruses as Vehicles for Growth,Organization Assembly of materials,”Acta Materialia(2003)51,5867‐5880、Scheibel,T.ら、PNAS(2003),100,4527‐4532、Hartgerink,J.D.ら、PNAS(2002)99,5133‐5138、MCMILLAN,A.R.ら、Nature materials(2002),247‐252、Douglas,T.ら、Advanced Materials(1999)11,679‐681、およびDouglas,T.ら、Adv.Mater.(2002)14,415‐418、およびNam ら、“Genetically Driven Assembly of Nanorings Based on the M13 Virus,”Nanoletters,a‐e.参照。
【0050】
一実施形態では、M13バクテリオファージは、一つないしそれ以上の特定のペプチド配列が外皮タンパク質に融合されるように処理することができる。例えば、金ないし銀のナノ結晶に対して結合および/または核生成の親和性をもつペプチド配列を外皮たんぱく質中に導入できることが実証されている(例えば、米国特許出願第11/254540号参照)
また別の実施形態では、ナノ粒子が結合して秩序されたナノスケール構造を形成する生物学的スカフォールドとしてアミロイド線維を使用することができる。“アミロイド線維”は、直径約1〜25nmのタンパク性フィラメントに適用される。ある条件下では、一つないしそれ以上の通常は可溶性のタンパク質(すなわち、前駆タンパク質)が折り畳まれてフィラメント構造をとり、不溶性にできる可能性がある。アミロイド線維は、通常は前駆タンパク質の元の構造によらず塊状のβ鎖からできている。ここで用いられるように、前駆タンパク質は、天然ないし非天然のアミノ酸を含んでもよい。アミノ酸は、さらに脂肪酸尾で修飾してもよい。アミロイド線維に変換ないし組織化できる適切な前駆タンパク質は、例えば、RADA16(Ac−R+AD−AR+AD−AR+AD−AR+AD−A−Am)(金に結合)(配列番号1)、ビオチン−R(+)GD(−)SKGGGAAAK‐NH(金に結合)(配列番号2),WSWR(+)SPTPHVVTD(−)KGGGAAAK‐NH(銀に結合)(配列番号3)、AVSGSSPD(−)SK(+)KGGGAAAK‐NH(金に結合)(配列番号4)などを含む。例えば、Stupp,S.I.ら、PNAS 99(8)5133‐5138,2002、およびZang S.ら、PNAS 102(24)8414‐8419,2005参照。
【0051】
タンパク質のテンプレートと同様に、生物学的スカフォールドも、ペプチド配列が選択的に発現してある比率で分布するように処理できることが望ましい。
【0052】
c.生物学的テンプレートの組み立てと統合
合金の形成は、テンプレートの組み立てないし統合に依存し、これにより各々のテンプレートに結合したナノ結晶が近接近する。ある実施形態では、テンプレートは、ナノ粒子と結合する前に組み立てられてもよい。他の実施形態では、テンプレートは、組み立てられる前にナノ結晶と結合してもよい。
【0053】
生体分子および生物学的スカフォールドのような生物学的テンプレートは、溶液中ないしは基板上で自然に凝集する傾向がある。ある生物学的テンプレートは、自発的に自己組織化して結晶性の高い二次元ないし三次元構造をとることができる。
【0054】
図6は、二つのタイプのシャペロニン134および138を統合することにより形成される秩序化された二次元アレイ130を図式的に示す。第1タイプのシャペロニン134は、第1ナノ結晶142と空孔146内で結合することができる。第2タイプのシャペロニン138は、第1ナノ結晶150と空孔154内で結合することができる。この実施形態では、二次元アレイ130は、30%の第1タイプのシャペロニン134と70%の第2タイプのシャペロニン138とを含み、これは30%の第1ナノ結晶142と70%の第1ナノ結晶150に対応する。図示したように、結果として生じる合金における第1ナノ結晶と第2ナノ結晶の相対的な成分は、対応するテンプレートの比率により決定される。
【0055】
テンプレートは、選択されたテンプレートが第1結合部位と第2結合部位の所望の比率を備えている限り、結合部位が同じタイプのテンプレート上にあるか、ないしは対応する第1および第2タイプのテンプレート上にあるかを問わず、堆積ないし組み立ててランダムな多結晶ないし非晶質構造を形成してもよいことを付記しておく。
【0056】
2.非生物学的なテンプレート
テンプレートは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、石英、サファイア、ないし他の使用可能な任意の材料などの無機テンプレートであってもよい。このテンプレートは、所望の構成要素に対して特異的な親和性をもつ結合部位と然るべき比率で連結することができる。例えば、結合部位(例えば、ストレプトアビジンないしアビジンなどのタンパク質)は、例えばシリコンのような無機テンプレートに選択された位置および選択された比率で固定化することができる。ナノ結晶ないし他のナノ粒子は、結合部位に直接に連結させることができる。或いは、ナノ結晶を予め結合部位に対応した結合パートナー(例えば、ストレプトアビジンに対するビオチン)と連結させ、それにより結合パートナー(例えば、ビオチンとストレプトアビジン)間の強い親和性を通じてシリコン基板に固定化することができる。
【0057】
当然のことながら、官能基に対して特異的な親和性をもつナノ結晶を固定化してテンプレート上に形成するために、官能基を備えた自己組織化単層のような他の結合部位を使うことができる。
【0058】
結合部位(例えば、ストレプトアビジン)は、そこに結合されるナノ結晶も同様に然るべき隙間を確かにもつように、相互から数ナノメートルないし数10ナノメートル以内の間隔をもってテンプレート上にパターニングすることが重要である。基板上でのタンパク質の固定化およびパターンニングは、当分野で知られた任意の方法により達成できる。例えば、ストレプトアビジンは、ナノインプリントリソグラフィーによりナノスケールの解像度で酸化シリコン基板上にパターニングすることができる。例えば、Hoff,J.D.ら、Nano Letters(4)853,2004.参照。
【0059】
B.結合部位
上述したように、テンプレート上へのデジタル合金の形成は、究極的にはテンプレート上の少なくとも二つのタイプの結合部位の種類、間隔および相対的な比率によって支配される。“結合部位”ないし“結合配列”は、テンプレートの結合活性に係るないしは貢献するテンプレート内の最小限の構造単位に適用される。好ましくは、結合部位は、そこに連結されるナノ結晶の組成物、サイズおよび相を制御することができる。
【0060】
ここで用いられるように、用語“結合させる(bind)”と”連結させる(couple)”およびそれぞれの名詞句は、ナノ結晶が結合部位に引き寄せられて安定な複合体を形成することに一般的に言及するために交互に使われる。ここで“親和性”ないし“結合親和性”とも称する引力をもたらす力は、吸着および付着を含めて、二つの実体の間の任意の安定化相互作用であったもよい。通常は、相互作用は非共有結合性であるが、しかし共有結合も可能である。
【0061】
典型的には、結合部位は、チオール(‐SH)、ヒドロキシ(‐OH)、アミノ(‐NH)およびカルボン酸(‐COOH)のような生体分子からなる官能基を備える。例えば、システインのチオール基は金(Au)粒子と有効に結合する。さらに詳しくは、結合部位は生体分子のサブユニットの配列であり、一つ以上の官能基が親和性に関与することもあり得る。加えて、配座、配列の二次構造および局所電荷分布も同様に親和性をもたらす力に寄与する。
【0062】
“特異的に結合する”と“選択的に結合する”は、生物学的テンプレートの結合能力に言及する場合、他の材料からなるナノ結晶の不均一集団において、他の材料が同じ条件では統計的に有意な仕方で結合しないのに対し、一つの材料からなるナノ結晶の存在を決定づける結合反応を意味することは、当業者には容易に理解される用語である。特異性は、然るべき正および負の制御を用い、さらに常に条件を最適化することにより決めることができる。
【0063】
テンプレート上のペプチド配列の組成物は、ナノ粒子構成単位からなる選択された組成物がつくり出されるように決められ、様々なペプチド配列がランダムないし秩序化されるようにテンプレート上に配置することができる。テンプレートの集合体の組成物は、各々がナノ粒子構成単位のうちの一つを構成する材料に対して選択的な親和性をもつ少なくとも一つのペプチド配列により操作されており、ナノ粒子構成単位からなる所与の組成物が得られるように選択することができる。テンプレート自体は、ランダムないしは秩序化がなされるように堆積ないし自己組織化してもよい。
【0064】
特定の材料への特異的な結合親和性ないし選択的な認識力を有するペプチド配列を選択するために、進んだスクリーニング過程を利用することができる。この技術に関する詳細な記載は、例えば、米国特許出願公開第2003/0068900、2003/0073104、2003/0113714、2003/0148380、および2004/0127640に見出され、これらはいずれも本出願の譲受人のCambios Technologies Corporation名義である。これらの引用文献は、配列リストの記載を含めて参照によりそれら全体がここに組み込まれる。
【0065】
要するに、この技術は、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細胞表面ディスプレイないしその他を利用するものであり、これらにより広範な種類のタンパク質ないしペプチド配列を発現させることができる。例えば、ファージディスプレイの場合には、夥しい数の異なるペプチドをファージの集団に挿入することによりファージ(例えば、M13ファージ)のライブラリーをつくり出すことができる。特に、ファージの遺伝子配列を操作してファージ上に特定のペプチド配列の多くのコピーを供給することができる。例えば、約3000個のpVIIIタンパク質のコピーを、M13ファージ粒子の長さ方向に沿った規則的なアレイに配置することができる。pVIIIタンパク質は、特定のターゲットナノ結晶の形成を核生成させることのできる特定のペプチド配列を含むように修飾することができる。いろいろな特定ターゲットのナノ結晶に対して高い親和性を持つタンパク質を、最も高い親和性をもつタンパク質が抽出できるまで益々厳しい条件に曝すことができる。次いで、このタンパク質を単離してそのペプチド配列を同定することができる。
【0066】
この技術は、いかなる所与の材料からなるナノ結晶に対してでも、特異的に結合するペプチド配列を迅速に同定することができるという理由で有力である。さらに、以下により詳細に論じるように、一度ペプチドが決定されれば、遺伝子操作により、それを制御できる仕方で生物学的テンプレートに組み込むことができる。
【0067】
結合部位は、直接的な結合ないし“親和性”により然るべきナノ結晶と連結することができる。この場合、所定の組成物および寸法をもつ所定のナノ結晶をテンプレートとともにインキュベーションすることができ、然るべき結合部位と結晶の間に結合反応が生じる。
【0068】
テンプレートは、ナノ結晶を溶液相からテンプレート上に核生成させることもできる。核生成とは、テンプレートの存在下で前駆体を変換することによりナノ結晶をin situに形成する過程である。通常は、in situに生成したナノ結晶は、テンプレートと結合して成長し続ける。上記したように、ある生物学的テンプレート(例えば、シャペロニンおよびアポフェリチン)は、組成物と形状が制御可能な機能ドメインを有する。それ故、機能ドメインは、核生成したナノ結晶が(機能ドメインの形状で決まる)制御可能な寸法に成長できるように、結合部位および物理的制約を提供する。核生成プロセスによるナノ粒子の形成に関する詳細な記述は、例えば、Flynn,C.E.ら、(2003)J.Mater.Sci.,13,2414‐2421、Lee,S‐W ら、(2002) Science296,892‐895、Mao,C.B.ら、(2003)PNAS,100,(12),6946‐6951、および米国特許出願公開第2005/0164515号に見られる。
【0069】
表1は、多くの半導体および金属材料に対して特異的な親和性をもつことが同定されたペプチド配列の例を示す。ペプチド配列が所与の材料と相互作用するメカニズムも示されている。
【0070】
【表1】

Flynn,C.E.ら、“Synthesis and organization of nanoscale II‐VI semiconductor materials using evolved peptide specificity and viral capsid assembly,”(2003)J.Mater.Sci.,13,2414‐2421.
Lee,S‐W ら、“Ordering of Quantum Dots Using Genetically Engineered Viruses,”(2002)Science296,892‐895.
Mao,C.B.ら、“Viral Assembly of Oriented Quantum Dot Nanowires,”(2003)PNAS,vol.100,no.12,6946‐6951.
米国特許出願公開第2005/0164515号
Mao,C.B.ら、“Virus‐Based Toolkit for the Directed Synthesis of Magnetic and Semiconducting Nanowires,”(2004)Science,303,213‐217.
Reiss,B.D.ら、“Biological route to metal alloy ferromagnetic nanostructures”(2004)Nano Letters4(6),1127‐1132.
Huang,Y.ら、“Programmable assembly of nanoarchitectures using genetically engineered viruses”(2005)Nano Letters5(7),1429‐1434.
米国特許出願第11/254540号.
11Lee,S‐W.ら、“Cobalt ion mediated self‐assembly of genetically engineered bacteriophage for biomimic Co‐Pt hybrid material”Biomacromolecules(2006)7(1),14‐17.
12Whaley,S.R.ら、“Selection of peptides with semiconductor binding specificity for directed nanocrystal assembly”(2000)Nature,405(6787),665‐668.
13米国特許出願公開第2003/0148380号.
14米国特許出願公開第2006/0003387号.
15Peelle,B.R.,ら、“Design criteria for engineering inorganic material‐specific peptides”(2005)Langmuir21(15),6929‐6933.
16米国特許仮出願第60/620386号。
【0071】
【表2】

C.ナノ結晶
“ナノ結晶”、“量子ドット”ないし“ナノ粒子”は、一般的にデジタル合金のナノスケールの構成単位に適用される。ナノ結晶は、多くの原子の集合体ないし塊であり、通常は無機材料からなる。ここで用いられるように、ナノ結晶は典型的には直径が10nmより小さい。さらに典型的には、ナノ結晶は直径が5nmより小さい、ないしは直径が1nmより小さい。これらは結晶、多結晶ないし非晶質である。
【0072】
上記したように、少なくとも二つの組成物(材料)からなるナノ結晶がテンプレートないし場所に集団で結合して合金組成物を形成する。ある実施形態では、ナノ結晶は金属および半導体を含む単一元素材料であってもよい。他の実施形態では、ナノ結晶は二元素からなる安定な化合物ないし合金である二元系材料であってもよい。
【0073】
ナノ結晶の組成物は、それ故、Aの式で表わすことができ、AとBは単一元素である。文字mとnはそれぞれナノ結晶におけるAとBの原子パーセンテージを示し、mとnが同時に0でない条件で0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1と定義される。nが0の場合、ナノ結晶は元素材料Aである。m、nともに0でない場合、ナノ結晶は二元化合物Aである。
【0074】
同様に、異なるないし第2材料からなるナノ結晶は、Cの式で表わすことができ,CとDは単一元素であり、pとqは同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1の値をもつ。
【0075】
ここで用いられるように、mとn(ないしpとq)は、二元系化合物におけるAとBの化学量論比に対応するそれぞれの原子パーセンテージ(原子%)である。それらは、正しい分数のかたちであってもよい。例えば、50%のAと50%のBを有する二元系化合物は、A0.50.5と表すことができる。当然のことながら、mとnは正しい分数ないし原子パーセンテージと定義されるが、共に0≦m≦1、0≦n≦1である必要があり、Aの二元系化合物は整数を含む式でも表わすことができる。当業者には、これらの式が同じ組成物の異なる表現に過ぎないことが理解される。例えば、A0.50.5は、AとBの化学量論比(m:n)が変わらなければ、AB、AないしA、または任意の数の表現であってもよい。これらの表現は、それ故、Aと同じ組成物と認識すべきである。
【0076】
1.元素材料(n=0)
適切な金属元素は、Ag、Au、Sn、Zn、Ru、Pt、Pd、Cu、Co、Ni、Fe、Cr、W、Mo、Ba、Sr、Ti、Bi、Ta、Zr、Mn、Pb、La、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Nb、Tl、Hg、Rh、Sc、Yを含む。適切な半導体元素は、SiとGeとを含む。
【0077】
ある実施形態では、元素材料からなるナノ結晶は、異なる元素材料と合金化して二元系合金を形成することができる。他の実施形態では、元素材料からなるナノ結晶は、二元系化合物と合金化して三元型合金を形成することができる。
【0078】
2.二元系材料(m≠0、n≠0)
二元系材料は、二つの元素からなる安定な化合物である。ある実施形態では、二元系材料ないし二元系化合物は、例えばCuとNi、SnとInなど二つの金属元素を含む金属である。
【0079】
他の実施形態では、二元系材料は半導体化合物である。通常は、Aが第IIIA族元素(例えば、Al、Ga、InないしTl)の時、Bは第VA族元素(例えば、N、P、AsないしSb)である。Aが第IIB族元素(例えば、Zn、Cd、ないしHg)の時、Bは第VIA族元素(O、SないしSe)である。AlAs、AlP、AlN、GaAs、GaP、GaN、InAs、ZnSe、CdS、InPおよびInNなどを限定なしに含む、安定な組成を有する多くの二元系半導体が知られている。
【0080】
ある実施形態では、第1の二元系材料(A)と第2の二元系材料Cをテンプレート上で組み合わせて四元系合金が形成され、A、B、CおよびDは異なる元素である。他の実施形態では、BとDは同じ元素であり、第2の二元系材料はCで表わせる。従って、結果として生じる組成物はA、BおよびCを含む三元系合金である。
【0081】
金属および半導体のナノ結晶は、例えば、Quantumsphere,Inc(サンタアナ、カリフォルニア州)、Invitrogen(カールズバッド、カリフォルニア州)、およびNanoprobes(ヤファンク(Yaphank)、ニューヨーク州)から市販されている。それらは、当分野で知られた方法、例えば、ゾルゲル技術、有機金属前駆体の熱分解などでも調整することができる。これらの予め作製されたナノ結晶は、テンプレートとは別に用意されたものであり、特異的な親和性によりテンプレートの然るべき結合部位に連結することができる。例えば、予め作製されたナノ粒子は、結合部位、典型的にはその所定のナノ粒子に対してスクリーニングされて同定されたペプチド結合、に直接結合することができる。或いは、ナノ粒子は、ビオチンのような所望の結合剤で表面修飾することができ、ビオチンとストレプトアビジンとの間の強い特異的な親和性を通じて結合部位(例えば、ストレプトアビジン)に連結させることができる。
【0082】
他の実施形態では、ナノ結晶は、溶液相から核生成させることができる。核生成は、テンプレートの存在下で前駆体を変換してin situにナノ結晶を形成する過程である。典型的には、in situに生成されたナノ粒子は、少なくとも一部はテンプレートの機能ドメイン内で結合して成長する。前駆体は、典型的には最終的にナノ粒子を形成する元素からなる可溶性の塩である。例えば、CdSのナノ粒子はCd2+とS2−を含む溶液から核生成できる。核生成プロセスによるナノ粒子の形成に関するより詳細な記述は、例えば、Flynn,C.E.ら、“Synthesis and Organization of Nanoscale II‐VI Semiconductor Materials Using Evolved Peptide Specificity and Viral Capsid Assembly,”(2003)J.Mater.Sci.,13,2414‐2421、Lee,S‐W ら、“Ordering of Quantum Dots Using Genetically Engineered Viruses,”(2002)Science296,892‐895、Mao,C.B.ら、“Viral Assembly of Oriented Quantum Dot Nanowires,”(2003)PNAS,vol.100.no.12,6946‐6951および米国特許出願公開第2005/0164515号に見られる。
【0083】
D.合金
上記のように、テンプレート上の第1結合部位と第2結合部位の相対量(x:y)を制御することにより、第1材料の第1ナノ粒子と第2材料の第2ナノ粒子を調節して合金を形成することができる。特に、第1材料がAで表わされる化合物で、第2材料がCで表わされる化合物の場合、結果的に生じる合金は(A(Cと表すことができる。ここに、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1、および
mとnは同時に0でなく、さらにpとqは同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、およびp+q=1である。
【0084】
ある実施形態では、A、B、CおよびDは相互に異なり、結果として生じる合金は四元系合金である。
【0085】
他の実施形態では、A、BおよびCは相互に異なり、BはDと同じであり、結果として生じる合金は三元系合金である。
【0086】
さらに他の実施形態では、n=q=0であり、結果として生じる合金は二元系合金A、ないしA1−x(x+y=1であるため)である。
【0087】
然るべきナノ結晶構成要素を選択し、テンプレート上の対応する結合部位の相対量を制御することにより様々な組成物の合金を得ることができる。
【0088】
例えば、パーセンテージでの、InNと特異的に結合するxの結合部位とGaNと特異的に結合するyの結合部位を提供するテンプレートの存在下で(InN)(GaN)、ないしInGax+yの合金を形成するためのナノ結晶構成要素として、InNとGaNを選択することができる。x+y=1なので、結果として生じる合金はInGa1−xNとも表すことができる。従って、それぞれの結合部位の量を制御することにより多様なバンドギャップをもつ合金を得ることができる。これらの合金の形成は、格子整合により制約されない。より詳しくは、合金がナノスケールの構成単位(ナノ構造構成要素)から分子レベルで構築されるため、エピタキシャル成長に通常は関連づけられる応力および欠陥の懸念がない。
【0089】
有用なバンドギャップに相当する他の合金には、例えば、GaAs1−x(GaPとGaAsから形成される)、GaIn1−xP(GaPとInPから形成される)、AlIn1−xP(AlPとInPから形成される)およびAlGa1−xAs1−y(AlPとGaAsから形成される)が含まれる。
【0090】
E.デジタル合金の作製方法
他の実施形態では、以下を含む合金の作製方法が記載される。すなわち、合金の作製方法は、
パーセンテージでの、xの第1結合部位とyの第2結合部位(0<x<1、0<y<1)を有し、第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子に対して特異的な結合親和性をもち、第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子に対して特異的な結合親和性をもつ、生物学的テンプレートを選択する工程と、
第1ナノ粒子を各々の第1結合部位に結合させる工程と、
第2ナノ粒子を各々の第2結合部位に結合させる工程と、
第1材料と第2材料を化学量論比x:yで含む合金を形成することを含む。
【0091】
ある実施形態では、第1材料はAで表わせる化合物であり、第2材料はCで表わせる化合物であり、結果として生じる合金は(A(Cで表わすことができ、ここに
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnは同時に0でなく、さらにpとqは同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である。
【0092】
他の実施形態では、生物学的テンプレートを選択することは、生物学的テンプレートを遺伝子操作により処理することを含む。特に、生物学的テンプレートを制御することは、第1結合部位(例えば、第1ペプチド配列)と第2結合部位(例えば、第2ペプチド配列)が所定の位置、間隔および量をもってテンプレート上に発現するように生物学的テンプレートを処理することにより達成される。
【0093】
好ましい実施形態では、生物学的テンプレートはタンパク質である。典型的なタンパク質には、限定なしに、シャペロニンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、S層タンパク質または遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、アポフェリチンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、もしくは大腸菌のDNAポリメラーゼのIIIベータサブユニットないし遺伝子操作または化学修飾されたその変異型が含まれる。
【0094】
他の実施形態では、生物学的テンプレートは、第1ペプチド配列および第2ペプチド配列が融合された生物学的スカフォールドである。上記のように、生物学的スカフォールドは、例えば、ウイルス粒子、バクテリオファージ、アミロイド線維、ないしカプシドであってもよい。
【0095】
図7は、Ga1−xAsの三元型化合物に倣った材料の形成につながる結合部位を所望の比率で有するように処理されたテンプレート151からスタートする、デジタル合金の作製方法を示す。テンプレート151は、この例ではAlAsであるナノ結晶156に対して親和性をもつ第1の複数の結合部位152を有する。テンプレートは、この例ではGaAsであるナノ結晶158に対して親和性をもつ第2の複数の結合部位154も含む。第1結合部位152の第2結合部位154に対する比率は、結果として生じる合金が所望の組成物を得るように選択される。例えば、M13ウイルスは、これらないし他の選択されたナノ結晶に対する結合部位をウイルスの外皮たんぱく質上の所定の位置に有するように遺伝子操作することができる。次に、テンプレート151は二元系化合物からなる複数のナノ粒子を含む液体に曝される。
【0096】
AlAsナノ粒子は、テンプレート151の対応する結合部位152に付着し、結合部位154には付着ないし固着しない。テンプレート151は、GaAsナノ粒子を含む液体にも曝され、GaAsナノ粒子は結合部位154に付着する。ある実施形態では、液体は別々の溶液であり、テンプレートはそれらの液体に順次曝されることが望ましいが、一方で他の実施形態では、テンプレート151は二つの構成要素の両方を含む単一の溶液に一度に曝すこともできる。
【0097】
図8と図9は、一実施形態により三元系化合物を形成する種々の段階を示す。図8に示す段階では、先に図7に示して説明したように、テンプレート168のような任意の使用可能な基板が提供される。テンプレート168は、その上に所望のナノ結晶構成要素にそれぞれ対応する親和性をもつ複数の結合部位164および167を有する。デジタル合金を形成することになるナノ結晶構成要素は、任意の所望の元素組成を有することができる。図8〜図11の例では、それらはInNとGaNのような二元組成である。結合部位は、電子から見て連続した材料が形成されるように十分に近接していることが望ましい。近接した結合部位間の間隔は、典型的にはおよそ数ナノメートルないし数10ナノメートルである。結合部位164および167の比率は、二元系構成要素160および二元系構成要素162から両構成要素の所望の数が提供されるように選択される。従って、テンプレート168は、それぞれのナノ結晶に選択的に付着することのできる異なった結合部位を含むように処理される。加えて、結合部位は、連続した材料を提供するために相互に数ナノメートル(例えば、10nmより小さい)の間隔におかれる。
【0098】
複数のナノ結晶160および162が均一に分散された溶液が提供される。ナノ結晶は、ナノ粒子、ナノロッド、ないし任意の他の使用可能な形態であってもよい。一実施形態では、両方のタイプのナノ結晶が含まれた単一の溶液が提供される。或いは、均一に分散されたナノ結晶を各々が含む二つの別の溶液を提供してもよい。複数のテンプレート168は、ナノ結晶を含む溶液中に置かれる。溶液は、室温で混合することができ、テンプレート168が当分野でよく知られた技術を用いて活性になるように然るべきpHバランスをもつ。合金の層を提供するために、複数のテンプレート159を基板上に堆積ないし自己組織化することができ、その制御可能な組成物は所望の物理的な特性に対応する。
【0099】
もしナノ結晶が二つの別の溶液中にある場合は、テンプレート168を第1溶液中に置いて特定のナノ粒子に対する結合部位が溶液中の然るべきナノ粒子に結合するまで混合し、次に、テンプレート168を第1溶液から取り出して第2ナノ結晶160を含む第2溶液中に置き混合を続ける。
【0100】
かかるテンプレートがそれぞれの結合部位に対して親和性をもつ材料からなるナノ粒子ないし量子ドットを含む溶液に曝された時、該材料はテンプレートに結合し、テンプレートは、最終的なテンプレートが二つの異なる二元系構成要素よりむしろそれぞれに対応する比率で三つの異なる元素を含む三元系合金を倣うように、該材料からなる秩序化されたアレイを形成することができる。ナノ結晶、量子ドット、およびナノ粒子を用いることにより、物理的、化学的、および電気的な目的から四元系合金を倣った、かかるナノ粒子材料をテンプレート上に形成することが可能になる。
【0101】
異なる組成を有する多くの異なる合金をつくり出すためにテンプレート168を構築することができる。例えば、pVIIIタンパク質をテンプレートとして用いるために特定のペプチド配列で処理することができる。ZnSないしCdSのような様々な半導体ナノ結晶に対して選択的な親和性および結合を提供するペプチド配列は、既知であるか、ないしは既知の方法でスクリーニングして同定することができる。例えば、pVIIIタンパク質上のA7およびZ8のペプチドは、ZnSを認識して成長を制御することが知られており、一方でJ140は、CdSの選択的な認識をもたらす。Mao et al.“Viral assembly of oriented quantum dot nanowires,”PNAS,Jun.10,2003,Vol.100,No.12、およびFlynn ら、“Synthesis and organization of nanoscale II‐VI semiconductor materials using evolved peptide specificity and viral capsid assembly,”J.Mater.Chem.,2003,vol.13,p.2414‐2421参照、これら各々は参照によりここに組み込まれる。
【0102】
三元系ないし四元系化合物を倣い、In、Ga、Al、As、N、P、および二元組成の他の様々な元素からなる組成物を形成するための基板をつくリ出すことを目的として、いろいろなペプチドを組み合わせた他のテンプレートを使うことができる。
【0103】
この技術の強みの一つは、図10および図11に示すように、同じナノ粒子を使って異なるバンドギャップをもつ異なる三元系化合物をつくり出すのに、まさに同じ二元系構成要素が使えるということである。図10に示すように、結合部位167が結合部位164に対して第1の選択された比率を有するテンプレート161が提供される。図示した例では、2つの結合部位164毎に8つの結合部位167がある。テンプレート161が複数のInN160およびGaN162のナノ粒子を含む溶液に曝された時、それぞれのナノ粒子は特異的な親和性を有する結合部位に結合し、かくしてIn0.2Ga0.8Nの最終組成物がつくり出される。
【0104】
図11は、同じ結合部位164および167が相互に対して異なる比率を有するように処理された別のテンプレート163を示す。この例では、結合部位164は結合部位167に対して3:7ないし30%:70%の比率を持つ。従って、テンプレート163が二元系のナノ粒子を含む同じ溶液に曝された時に、異なる比率のナノ結晶がテンプレートに付着する。ナノ粒子がInNとGaNの場合には、In0.3Ga0.7Nの特性をもつ最終的な組成物が形成されることになる。ナノ結晶構成要素の任意の所望の比率をテンプレートの存在下でつくることができ、それにより、例えばIn0.35Ga0.65Nなどのように、最終的な合金の組成物が制御される。
【0105】
F.応用
ここに記載される合金の組成物は、多成分の合金化ないし複合化といった従来の手段では達成できそうにない、有用な光電気的および機械的な特性に相当する。所与の生物学的テンプレートを遺伝子操作する有力な技術が力となり、それぞれのナノ結晶構成要素に対応するテンプレート上の異なる結合部位を制御することにより、カスタマイズが多分に可能な組成を有する合金を得ることができる。
【0106】
それ故、種々の実施形態は、ここに記載される合金の組成物を活用したデバイスを対象としている。
【0107】
1.光起電力セルないし太陽電池
太陽放射はフォトンの範囲がおよそ0.4eV〜4eVの利用可能なエネルギーを提供する。光起電力セルのような光電子デバイスは、この範囲の一部のフォトンエネルギーを取り入れて電力に変換する。通常、光電子デバイスは、所与のフォトンエネルギーに適合した直接バンドギャップをもつ半導体に基づいている。フォトンエネルギーの吸収により、価電子帯の電子を伝導帯に励起することができ、そこで電子は自由に拡散できる。同様に、価電子帯ではホールが生成される。これらの電荷キャリア(例えば、電子とホール)の拡散により電流が形成される。
【0108】
現在利用できる半導体材料のバンドギャップは、太陽放射の広い範囲のうち狭い部分にしか相当しない。半導体のバンドギャップより小さいエネルギーの光は吸収されず、電力にも変換されない。バンドギャップより大きいエネルギーをもつ光は吸収されるが、生成された電子‐ホールは急速に再結合し、バンドギャップより大きいエネルギーは熱のかたちで失われる。例えば、結晶シリコンできた光起電力セルは約1.1eVの直接バンドギャップを有し、これはフォトンエネルギーの大部分より低い。それ故、シリコンでできた太陽電池の効率は最高でも25%である。
【0109】
従って、現存の光起電力セルには半導体材料により課される本質的な効率の限界がある。現時点では、広範囲におよぶ太陽放射に十分に適合できるいかなる単一の材料も見出されていない。
【0110】
バンドギャップが異なる半導体の積層、これは一つないしそれ以上の接合をもつ太陽電池を提供するが、を用いることにより一層高い効率が追究されてきた。二つの半導体Ga0.5In0.5P/GaAsおよび三つの半導体Ga0.5In0.5/GaAs/Geから形成された積層が過去10年にわたって開発されてきた。これらの多接合セルは、Ga0.5In0.5P、GaAsおよびGeの格子整合が比較的良好なことを利用している。通常、異なる組成物の層をもつ多接合セルにおいて、低欠陥ないし無欠陥の結晶を生産するためには、格子整合が決定的に重要である。結晶欠陥は電荷キャリアをトラップし、得られる電流と電圧を制限するため、半導体の光学的な特性にマイナス影響を与える。従って、低コストで組み込める然るべき半導体が一般的に不足していることが多接合セルに主たる制約を与えている。
【0111】
最近、三元系合金(InGa1−xN)がフルスペクトル太陽電池の主成分として使える可能性があることがわかった。米国特許出願公開第2004/0118451号参照。しかし、制御性に優れたInGa1−xNエピタキシャル層の成長には多くの難題が残されている。
【0112】
ここに記載される半導体合金は、格子および極性の整合に関する懸念なしに、テンプレートの存在下における組成物制御を通じて、調整可能なバンドギャップを提供する。太陽放射の全範囲に相当するバンドギャップをもつ合金の組成物をつくり出すことができる。
【0113】
図12Aおよび12Bは、本発明の原理によるデジタル合金のアレイを用いて構成された太陽電池174を示す。太陽電池174は、ここに記載されているように作製された、カスタマイズされたデジタル組成物の3層をもつ半導体材料から構成される。太陽電池174は、その側面の領域に電極182を有する。一実施形態では、高濃度にドーピングされた半導体ないし他の接点材料からなる低抵抗の電気層が最上部領域において電極と連結される。当分野では、GaAs基板を主材料として用い、太陽電池からの電気の発生を目的として電気回路を設けるためにそれに導電電極を接続することはよく知られており、かかる構造は図には明示されていないが、本発明の利用の範囲内にある。GaAsの層単独では、太陽光に当てた時に16%〜25%の範囲の効率で電気を発生させることが知られており、20〜25%の効率が達成されつつある。この効率は、ここに開示される構造を使うことにより大幅に向上させることができる。
【0114】
図12Aを参照して、図7〜図11に関連して先に図解したように、ここに開示された方法を用いて構築される複数のデジタル合金からなる太陽電池が形成される。図7〜図11の原理に基づいて構築されたデジタル合金のテンプレートの層もしくは大きなアレイから、三つの別の層176、178、180が形成される。層176におけるナノ構成要素の比率は、Inx3Gay3Nの特性をもつ化合物を倣うように選択される。この材料は、太陽光が当たったときに、層178および18が発生させるのとは異なる太陽光の周波数からの電気を発生させるための所望のバンドギャップと電気特性を有する。それ故、層176は、層178および189が引き出すのとは異なる光周波数の部分からエネルギーを引き出し、従って、太陽電池174の全体効率は増加する。
【0115】
同様に、層178および180が層176に近接してその上に形成されて単一の構造になる。これらの層は、InNおよびGaNのまったく同じ二元系化合物ではあるが異なる比率からなる複数の二元系ナノ結晶から構成されている。化合物それぞれの比率は、太陽光スペクトルの異なる部分からエネルギーを引き出すための光電気的な特性をもつ四元系化合物を倣って変化させる。同じ二元系材料が使われるので、ある構造では結晶格子の構造は相性がよく、近接層178および180は同じ結晶構造でかつ相互に物理的に接触して形成することが可能である。各々わずかに元素の比率が異なる3、4ないし5つの半導体層が非常に高効率の太陽電池を提供する。
【0116】
図12Aおよび12Bに示すように、太陽電池174は、言うまでもなく本出願に開示されたナノ結晶ないしナノ粒子の任意の組み合わせを用いた様々な異なるデジタル合金材料から構成することができる。例えば、層176、178、および180のいずれか一つに用いるデジタル合金は、例えば、P、Al、Cd、セレン化カドミウム、テルル化カドミウムおよび他の材料などの追加の元素を含む化合物を含んでもよい。本発明の一つの利点は、異なる構成要素がよく似た格子定数をもつ必要はなく、標準状態で相互に合金化ないし化学結合しなくてもよいことである。例えば、ここに論じられる原理により、テンプレートに沿って相互に近接した結合部位を用いて、GaPをInSbないしInAsと同じデジタル合金中に形成することもできる。これらの材料は、大きくかけ離れた格子定数をもつため、従来のセルの同じ基板にそれらを形成するのは困難ないし不可能であろう。しかし、格子整合ないし他の制約に基づくより、むしろ、結合部位への親和性に基づいて選択された比率でテンプレートに結合するナノ結晶のテンプレート上への形成によれば、異なる格子定数および異なる特性をもつ材料を組み合わせてデジタル合金にすることが可能である。従って、一実施形態では、図12Aの太陽電池のデジタル合金は、格子定数が相互に0.3オングストロームから0.5オングストロームより大きく離れた材料を含んでもよく(図1のグラフ参照)、ないしある例では、図12Aの太陽電池のデジタル合金は、相互に1オングストロームより大きく離れているが、なお本発明によるテンプレートを用いて形成される半導体材料におけるデジタル合金の同じ層に供給される材料を含んでもよい。
【0117】
図12Bは、また別の実施形態による太陽電池の異なる構造を示す。この構造では、電極182は最上部にあり、電極184のセル174の最底部は、それぞれの層186,187ならびに188の間にある。図12Bの太陽電池では、最上層186は、その下に最上層186とは異なるバンドギャップ特性をもつ二つないしそれ以上の層187および188がある、GaNのような標準的な二元系材料であってもよい。図12Aおよび12Bにおける種々の層の作用を図13に示す。
【0118】
図式的に174として示した太陽電池は、図13に示すように、太陽光がその上に当たる。太陽光は、広いスペクトルにわたる多数の周波数からなる。最上層材料180は、第1のバンドギャップEG1をもち、太陽光に対してそれが調節された周波数に基づく第1の効率で電気を発生させる。第2の材料178は、材料180とは異なる周波数スペクトルからエネルギーを引き出すために特に調節されたバンドギャップEG2をもつ。このバンドギャップEG2は、それ故、追加の電気を発生させるのに有効であり、太陽電池174の全体効率を大幅に引き上げる。それに続く、176として示される一つないしそれ以上の層は、この実施形態では層180および178のバンドギャップより小さい異なるバンドギャップをもち、スペクトルの異なる部分に基づいて電気を発生させ、太陽電池174の全体効率をさらに引き上げる。図12Bに示す負荷190に向けて電気を発生させることができ、同様の回路は図12Aの太陽電池で電極182に接続して設置できるが、簡単のために負荷は図示されていない。
【0119】
図14は、ここに開示された原理により使うことのできる複数のナノロッドの形態のナノ結晶を示す。基板192は、ここで説明された技術を用いたテンプレートとして提供することができる。ナノ結晶は、各々が異なる光電気特性をもつ種々のナノロッドから形成される。第1の複数のナノロッド194は、第1のバンドギャップをもつ。第2の複数のナノロッド196は、第2のバンドギャップをもち、一方で第3の複数のナノロッド198は、第3のバンドギャップをもつ。これらのナノ結晶の各々に対する特異的な結合部位がテンプレート192上に提供される。テンプレート192は、それ故に一つのテンプレート上に相互に近接した、異なる光電気特性をもつ多種多様なナノロッドを有する。かかる組成物の一用途を図15に示すが、テンプレート192は太陽電池の電極として機能するように導電性材料内に含浸される。最上層電極191も同様に提供できる。組成物151に当たる太陽光は、異なるナノロッド194、196、および198の各々から別々に電気を発生させる。これらのナノロッドの各々は、異なるバンドギャップをもち、太陽光スペクトルの異なる部分から電気を発生させるようにカスタム処理される。
【0120】
従って、非常に効率のよい太陽電池を提供するための単層の材料を形成することができる。この材料の層は、ナノロッドがナノ結晶の程度なので信じ難いほど薄い。ある実施形態では、ナノロッド194、196および198を形成するナノ結晶は、6〜10ナノメートルの範囲の幅と500〜800ナノメートルの範囲の長さをもつ。かかる寸法は、ここで議論され、参照により組み込まれる論文に開示されたM13ないしファージのような生物ウイルスに基づくテンプレートの寸法に相当する。従って、全体の厚みが1000ナノメートルより薄く、太陽光スペクトルで利用できる全周波数を用いて太陽光から電気を発生させることのできる太陽電池199を提供することができる。もし効率をさらに上げようと思えば、追加のタイプのナノロッドを、異なるバンドギャップをもつナノロッドのかたちで、図14および15に示したものと並列に供給することができ、ナノロッドの各グループはスペクトルの異なる周波数から太陽光を吸収し、吸収した分に基づいて電気を発生させる。図14および15の構造のさらなる利点は、すべての太陽光が、最下層に到達する前に様々な層を通過することを必要としないで、各々のナノロッドに等しく当たることである。従って、図14および15の構造を使って、なお一層高い発電効率を得ることができる。
【0121】
2.リチウムイオン電池
本発明によるデジタル合金のさらなる用途は、図16〜18に示すリチウムイオン電池の分野である。リチウムイオン電池は、陽極と陰極を有し、陰極は、通常、リチウムイオンがインターカレートされた様々なグラファイト構造の炭素を含み、アノードは、一般的にCo、Mn、Oないしその他の金属酸化物を含む。十分に、より長期間の寿命にわたってより低抵抗でより高発生効率のリチウムイオン電池を手にするのは有利なことであろう。困難さの一つは、現在使われている材料は導電率が限られていることであり、リチウムイオン電池のアノードないしカソードとしての使用に資する特性が低抵抗の電流伝達には役立っていない。
【0122】
ここに開示される実施形態によれば、リチウムイオン電池の導電性、電流生成、および動作寿命を大幅に増加させるために、高導電性金属がリチウムイオン電池の陰極、または、代わりに陽極ないし両方に加えられたデジタル合金を形成することができる。
【0123】
金(Au)は高導電性金属である。もし、過剰なAu原子ないしAuのナノ結晶が陰極ないし陽極に供給されるとリチウムイオン電池の動作は損なわれる。現在知られている構造および合金技術では、Auのような金属のごく少量の原子を、電池の電気生成能を妨げずに導電性を増すために適切な間隔かつ的確な比率を有するように添加することは極めて困難である。例えば、AuCoの分子が生成することが知られている。しかし、もし電池に存在するCoがすべて対応するAu原子に結びついてしまうと、リチウムイオン電池の動作は大幅に損なわれる。
【0124】
ここに教示される原理により、リチウムイオン電池の動作特性を損なわずに導電性と電流生成能を大幅に増加できる、AuのCoに対する選択された比率を提供することができる。図16は、Auのナノ結晶とCoのナノ結晶に対する結合部位が選択された比率を有するテンプレート202を示す。比率は、電池の動作を妨げずに導電性が増加するように、ごく少量のAuのナノ結晶を有するように選択される。
【0125】
図16および図17は、単一元素からなる異なるナノ結晶に対して親和性をもつ基板として使うことのできる二つの異なるテンプレート202を示す。図16〜18の例では、Coに対して親和性をもつタンパク質を領域206に有し、Auに対して親和性をもつタンパク質を領域204に有する基板202を形成する。領域206と204の比率は、最終組成物において所望の合金が特別に得られるように選択される。一方、CoがAuに対して特定の比率を有する化合物ないし合金を提供することは金属学的な技術では難しいであろう、異なるタンパク質が特定の元素からなるナノ粒子を引き付ける親和性をもつテンプレート202を使うことにより、特定の所望の値に操作された比率を有するAuCoを構築することが可能である。図16の例では比率はCoがAuに対して約6:1であるが、図17に示すように、タンパク質に対する長さを変えれば異なる比率を容易に得ることができる。
【0126】
図18は、膜中の特定の位置に高導電性の金原子を導入することにより電極の抵抗が低減されたリチウムイオン電池を示す。これらの金原子は、先に記載されたように処理がなされたタンパク質を用いて膜に加えられる。
【0127】
図16および17の例では、テンプレート202は単一元素からなるナノ結晶に結合する。単一元素はAu、Ag、Co、Li、C、ないし多くの半導体のいずれか一つであってもよい。標準的な合金および/または分子を組み合わせる方法では得ることのできない三元系化合物に相当する選定された比率が与えられるように、ある位置に個々の元素に対する結合部位を有し、他の位置に二元系化合物に対する結合部位を有するテンプレートも構築することができる。
【0128】
3.LED
本発明のまた別の実施形態は、発光ダイオードのための色制御の向上を含む。
【0129】
図19は、ここに開示された実施形態により構築されたLED220を示す。LEDは、第1半導体領域224に陽極、さらに第2半導体領域226に陰極を含み、それらの間に接合232を有する。配線228および230により電源Vsに接続されたダイオード端部にそれぞれの電極22が連結される。電源が接合232の空乏領域232を通して印加された時、発光ダイオードに対してよく知られた原理によりダイオードから光が発生する。
【0130】
ここに論じられる原理によれば、光の色が特に望ましい波長になるように操作することができる。これは、陽極224および陰極226にあるナノ結晶とそれぞれの比率とを選択することにより行うことができる。
【0131】
現在、様々な色がチップの半導体組成物を変えることにより得られている。http://www.olympusmicro.com/primer/lightandcolor/ledsintro.html.例えば、「III−窒化物半導体では、合金の組成物により窒化インジウムの1.9eV、窒化ガリウム(GaN)の3.4eVから窒化アルミニウムの(AlN)の6.2eVまでの範囲のバンドギャップが得られる。発光波長は、‐‐‐InGaN活性層中のIn含有量の関数として、紫外から緑(390〜520nm)まで変化する」。http://oemagazine.com/fromTheMagazine/ju101/ondusplay.html「光の色は半導体チップの化学組成物に依存する
より短い波長でより高いエネルギーの光をもたらすより小さい原子は、ダイヤモンド構造から派生した閃亜鉛鉱ないしウルツ鉱構造をしばしば有する。ある共通の組成物、GaAs1−x GaIn1−xP AlIn1−xP AlGaInP GaIn1−xN.下付き文字の付いた元素は、元の構造中で相互に置き換えることができ、発光の色を調整することを可能にする。」http://mrsec.wisc.edu/Eddtec/IPSE/educators/eds.html.
気相成長では半導体組成物の精密制御を達成することは非常に困難であり、それ故に、LEDの製造業者は費用のかかるビンコード管理および品揃え技術を使うことを余儀なくされている。「LEDは強度と色に広いばらつきがある。これは単一の生産バッチをとっても真実である。従って、ビンコード管理が必須である」。http://chml.com/led_laboratory.php.
テンプレートの賢明な選択により、デジタル合金を用いて製造されるLEDは、より狭い色分布をもつことができる。テンプレートの混合物は、溶液中で正確に混合することができるので、その組成物は精密に制御することができる。テンプレートが然るべきペプチド配列の所望の比率を含むように操作することにより、二つないしそれ以上の異なるタイプのテンプレートを一緒に混ぜることを必要性とせずにデジタル合金の組成物を精密に確定することも同様に可能である。さらに、デジタル合金は、ガラス容器に保持した溶液中において室温でつくることができ、コストが大幅に低減される。
【0132】
様々なLED応用の例は以下に見出すことができる。
【0133】
http://mrsec.wisc.edu/Edetc/IPSE/educators/leds.html
http://www.ieee.li/pdf/viewgraphs_lighting.pdf
http://spiedl.aip.org/getabs/servlet/GetabsServlet?prog=normal&id=PSISDG005941000001594112000001&idtype=cvips&gifs=yes
http://www.lumileds.com/pdfs/techpaperspres/presentation_SAE%202004_kern.pdf
http:www.transporteon.com/Superlatives‐L/LED.php
http://www.everlight.com/en_NewsDetail.asp?newsID=20047001
http://www.nichia.com/product/phosphors.htmlおよびhttp://www.mt‐berlin.com/frames_cryst/descriptions/led_phosphors.htm
http://www.electrochem.org/publications/jes/samples/JES‐H47.sub‐1._pdf
4.金属間層
電子的および光学的な特性を調整することに加えて、材料の機械的な性能を向上させるためにデジタル合金を使うことも有利であり得る。一例として、配線材料の組成物は、配線の機械的強度に重大な役割を果たす。配線の界面における組成物が最適化された時、特定の金属間モーフォロジーが形成されて配線の結合強度を向上させ、同時に、より良好な長期安定性に向けて拡散特性を向上することができる。逆に、もし界面における組成物が良好に制御されないと、脆い金属間相が形成されて低結合強度の配線の原因となる可能性がある。(例えば、Wu,ら、J.Elect.Matls,Vol.34.No.11,p.1385、Lee and Subramanian,J.Elect.Matls.,Vol.34,No.11,p.1399、Tai,ら、J.Elect.Matls.,Vol.34,No.11,p.1357)
図20は、第1導電層254と第2導電層258との間の界面に形成された金属間層250を示す。一実施形態では、金属間層は、ここに記載されるようにデジタル合金に基づいている。かかる金属間層を形成することは、界面において金属ナノ粒子の混合物の組成物と位置を精密に制御することを可能にし、配線特性の向上のために配線の金属間組成物とモーフォロジーを制御する方法を提供する。
【0134】
ナノ粒子は、対応するバルク材料より低い融点をもつため、金属間の形成は、より低いプロセス温度で生じ得る。配線の微細構造内に然るべく局在化された然るべき組成物のナノ粒子を組み入れることにより、応力緩和と粒界における転位の防止を通じて、配線の結合の長期間安定性を向上させることもできる。
【0135】
特別な例として、はんだ/パッド界面におけるAuIn金属間層は、拡散バリヤーとして働き、脆いAuの金属間相の形成を防止した。(例えば、Wu,ら、J.Elect.Matls.,Vol.34,No.11,p.1385、Lee and Subramanian,J.Elect.Matls.,Vol.34,No.11,p.1399、およびTai,ら、J.Elect.Matls.,Vol.34,No.11,p.1357)参照。Inのコストが鉛フリーはんだの主成分として広く利用されることを妨げている。ここに記載される方法によれば、より高濃度のInを界面に局在化させて金属間界面層を形成することができる。金属間のモーフォロジーは、結合強度に直接に影響を与え、柱状の(Cu0.74Ni0.26(Sn0.92In0.08金属間化合物は、より良好な結合強度をもたらす。これらの化合物は、従来は例えば150℃で500時間アニールを行うことにより形成されていた。ここに記載させる方法によれば、金属間化合物は、テンプレートに適切に局在化されたCu0.74Ni0.26およびSn0.92In0.08のナノ粒子から直接形成することができ、特に、異なった合金間モーフォロジーができると低温エイジング下で結合強度が低下するという観点から有利である。
【0136】
本明細書に引用される、および/または、出願データシートにリストアップされる上記のすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、ならびに非特許出版物は、参照によりそれら全体がここに組み込まれる。
【0137】
上記の内容からわかるように、説明の目的で発明の特定の実施形態がここに記載されているが、発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な改良を行うことができる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲により要求されるものを除いて、限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、該組成物は、
複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを備え、該第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、該第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、該テンプレートは、パーセンテージでのxの第1結合部位とyの第2結合部位とを含むように選択される、テンプレートと、
各々の第1結合部位に結合する複数の該第1ナノ粒子と、
各々の第2結合部位に結合する複数の該第2ナノ粒子と
を含み、
該テンプレートは、該第1材料と該第2材料とが化学量論比x:yの合金を形成するように組み立てられる、
組成物。
【請求項2】
前記第1材料がAで表わされる化合物であり、前記第2材料がCで表わされる化合物であって、前記合金は(A(Cで表わすことができ、
A、B、CおよびDは周期律表の元素であり、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、かつpとqが同時に0でないという条件で、0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
A、B、C、Dが異なる元素であり、前記合金が四元系合金である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
A、BおよびCが異なる元素であり、DはBと同じであり、前記合金が三元系合金である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
n=q=0であり、前記合金が二元系合金である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
A、B、CおよびDが半導体の元素である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
AおよびCが各々独立に第IIIA族元素であり、かつBおよびDが各々独立に第VA族元素である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記合金がGaIn1−xAs1−yである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記合金がGaIn1−xN、GaIn1−xPないしAlIn1−xPである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
AおよびCが各々第IIB族元素であり、BおよびDが各々第VIA族元素である、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
A、B、CおよびDが各々独立に金属元素である、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記テンプレートが生物学的テンプレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1結合部位が第1ペプチド配列であり、かつ前記第2結合部位が第2ペプチド配列である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記テンプレートは、前記第1結合部位と前記第2結合部位が制御可能な数および互いからの距離で該テンプレート上に分布するように操作される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記テンプレートがタンパク質であり、かつ前記第1ペプチド配列と前記第2ペプチド配列とが該タンパク質の1次構造の一部である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記タンパク質が、シャペロニンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、S層タンパク質または遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、あるいはアポフェリチンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記テンプレートが前記第1ペプチド配列および前記第2ペプチド配列と融合された生物学的スカフォールドである、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記生物学的スカフォールドがウイルス粒子、バクテリオファージ、アミロイド線維またはカプシドである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記テンプレートが第1タイプのテンプレートおよび第2タイプのテンプレートを含み、該第1タイプのテンプレートは前記第1結合部位のみを有し、該第2タイプのテンプレートは前記第2結合部位のみを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
合金の形成方法であって、該方法は、
少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを有する少なくとも一つの生物学的テンプレートを形成する工程であって、該第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、該第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有する、工程と、
該テンプレートを、該第1結合部位および該第2結合部位がx:y(0<x<1,0<y<1)の数の比率を有するように制御する工程と、
該第1ナノ粒子を各々の第1結合部位に結合させる工程と、
該第2ナノ粒子を各々の第2結合部位に結合させる工程と、ならびに
該第1材料および該第2材料を含む該合金を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1結合部位が第1ペプチド配列であり、前記第2結合部位が第2ペプチド配列である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記生物学的テンプレートを制御する工程が、該生物学的テンプレートを、前記第1ペプチド配列および前記第2ペプチド配列を所定の位置に所定の量で発現させるように操作することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的テンプレートがタンパク質である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質がシャペロニンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、S層タンパク質または遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型、あるいはアポフェリチンまたは遺伝子操作もしくは化学修飾されたその変異型である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的テンプレートが前記第1ペプチド配列および前記第2ペプチド配列と融合された生物学的スカフォールドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記生物学的スカフォールドがウイルス粒子、バクテリオファージ、アミロイド線維またはカプシドである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1材料がAで表わされる化合物であり、前記第2材料がCで表わされる化合物であり、前記合金は(A(Cで表わすことができ、
A、B、CおよびDは周期律表の元素であり、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、pとqが同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
AおよびCが各々独立に第IIIA族元素であり、かつBおよびDが各々独立に第VA族元素である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
AおよびCが各々独立に第IIA族元素であり、かつBおよびDが各々独立に第VIA族元素である、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
A、B、C、Dが異なる元素であり、前記合金が四元系合金である、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
A、BおよびCが異なる元素であり、DがBと同じであり、前記合金が3元系合金である、請求項27の組成物。
【請求項32】
n=q=0であり、前記合金が二元系合金である、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
合金を含む光電子デバイスであって、該合金は、
複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは第1の複数の結合部位と第2の複数の結合部位を有し、該テンプレートは該第1結合部位の該第2結合部位に対する選択された比率を有する、テンプレートと、
該生物学的テンプレート上の該第1の複数の結合部位に結合された複数の第1ナノ粒子構成要素であって、該第1構成要素は、少なくとも二つの異なる元素からなる、第1構成要素と、
該テンプレート上の該第2の複数の結合部位に結合された複数の第2ナノ粒子構成要素であって、該第2構成要素は少なくとも二つの異なる元素からなり、該第2構成要素の少なくとも一つの元素は該第1構成要素の少なくとも一つの元素とは異なる、第2構成要素と
を含み、該第2結合部位に対する該第1結合部位の数の比率は、該テンプレートが該第1の複数のナノ粒子と該第2の複数のナノ粒子とを該合金に組み立てることができるように選ばれる、
光電子デバイス。
【請求項34】
前記第1ナノ粒子がAで表わされる化合物であり、前記第2材料がCで表わされる化合物であって、さらに前記合金は(A(Cで表されることができ、
A、B、CおよびDは周期律表の元素であり、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、かつpとqが同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である
請求項33に記載の光電子デバイス。
【請求項35】
A、B、C、Dが異なる元素であり、前記合金が四元系合金である、請求項34に記載の光電子デバイス。
【請求項36】
A、BおよびCが異なる元素であり、DがBと同じであり、前記合金が三元系合金である、請求項34に記載の光電子デバイス。
【請求項37】
Aがインジウムであり、Bが窒素であり、かつCがガリウムである、請求項36に記載の光電子デバイス。
【請求項38】
合金が、InGa1−xN、x:(1−x)(ここで、xは該合金中のInNの原子パーセンテージである)の組成を有するように前記第1結合部位の前記第2結合部位に対する比率が選択される、請求項37に記載の光電子デバイス。
【請求項39】
n=q=0であり、前記合金が2元系合金である、請求項34に記載の光電子デバイス。
【請求項40】
隣接する結合部位間の間隔が10nmより小さい、請求項33に記載の光電子デバイス。
【請求項41】
前記第1結合部位の前記第2結合部位に対する比率が前記テンプレートを遺伝子操作することにより制御される、請求項40に記載の光電子デバイス。
【請求項42】
前記合金が第1半導体材料層と第2半導体材料層とを形成し、かつ前記光電子デバイスが、
該第1半導体材料層に結合した第1電極と、
該第2半導体材料層に結合した第2電極と、
発光ダイオードを提供するために該第1電極と該第2電極に結合された電力の供給源とを備える、請求項33に記載の光電子デバイス。
【請求項43】
太陽電池構造体であって、該太陽電池構造体は、
半導体基板と、
該半導体基板に結合された感光性層とを含み、該感光性層は合金を含み、該合金は、
複数のテンプレートであって、各々のテンプレートは第1の複数の結合部位と第2の複数の結合部位とを有し、該テンプレートは該第1結合部位の該第2結合部位に対する選択された比率を有する、複数のテンプレートと、
該生物学的テンプレート上の該第1の複数の結合部位と結合した複数の第1ナノ粒子構成要素であって、該第1構成要素は、少なくとも二つの異なる元素からなる、複数の第1ナノ粒子構成要素と、
該テンプレート上の該第2の複数の結合部位と結合した複数の第2ナノ粒子構成要素であって、該第2構成要素は少なくとも二つの異なる元素からなり、該第2構成要素の元素は少なくとも該第1構成要素の少なくとも一つの元素とは異なり、該第2結合部位に対する該第1結合部位の数の比率は、該テンプレートが該第1の複数のナノ粒子と該第2の複数のナノ粒子とを該合金に組み立てることができるように選択される、複数の第2ナノ粒子構成要素と
を含む、太陽電池構造体。
【請求項44】
前記第1ナノ粒子がAで表わされる化合物であり、前記第2材料がCで表わされる化合物であり、前記合金は(A(Cで表わすことができ、
A、B、CおよびDは周期律表の元素であり、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、かつpとqが同時に0でない条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である、
請求項43に記載の太陽電池構造体。
【請求項45】
AおよびCが各々周期律表の第III族ないし第II族から選択され、B=Dであり、それぞれ周期律表の第V族ないし第VI族から選択される、請求項44に記載の太陽電池構造体。
【請求項46】
AおよびCが各々周期律表の第III族から選択され、Bが周期律表の第IV族から選択される、請求項45に記載の太陽電池構造体。
【請求項47】
Aがガリウムであり、Bがインジウムであり、かつCが窒素である、請求項45に記載の太陽電池構造体。
【請求項48】
Aがアルミニウムであり、Bがガリウムであり、かつCがヒ素である、請求項45に記載の太陽電池構造体。
【請求項49】
Aがインジウムであり、Bがリンであり、Cがアルミニウムであり、かつDが窒素である、請求項44に記載の太陽電池構造体。
【請求項50】
Aがアルミニウムであり、Bがヒ素であり、Cがガリウムであり、かつDがインジウムである、請求項44に記載の構造体。
【請求項51】
前記感光性層に結合された第2感光性層をさらに含み、該第2感光性層は第2合金を含み、該第2合金は(A’m’B’n’y’(C’p’D’q’x’で表わされ、
A’、B’、C’およびD’は周期律表の元素であり、
0≦m’≦1、0≦n’≦1、m’+n’=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、pとqが同時に0でない条件、ならびにA’、B’、C’、D’、x’、y’m’、n’、p’およびq’の少なくとも一つが各々A、B、C、D、x、y、m、n、pおよびqとは異なる条件で、0≦p’≦1、0≦q’≦1、p’+q’=1である、
請求項44に記載の構造体。
【請求項52】
リチウムイオン電池であって、該リチウムイオン電池は、
コバルト、酸素、ならびに本質的に金、銅および銀からなる群から選択される抵抗率の低い金属を含むアノードであって、該抵抗率の低い金属の該コバルトに対する比率は4より小さいように選択的に制御され、かつ該電池のセル抵抗を低減するために該アノード内に配置されている、アノードと、
カソードと、
リチウムイオンを輸送するために該アノードと該カソードとの間に配置された電解質流体と
を備え、該コバルトおよび抵抗率の低い金属は複数のテンプレートの存在下で形成され、各々のテンプレートはコバルトに対して親和性をもつ複数の第1の結合部位と該抵抗率の低い金属に対して親和性をもつ複数の第2の結合部位とを有し、該抵抗率の低い金属に対する該結合部位の数が該コバルトに対する該結合部位の数より実質的に小さく、第1および第2結合部位の選択された比率を有する、
リチウムイオン電池。
【請求項53】
前記テンプレートが前記第1および第2結合部位の位置および量を制御するために遺伝子操作できる生物学的テンプレートである、請求項52に記載のリチウムイオン電池。
【請求項54】
前記抵抗率の低い金属のより高い濃度が、外側端子に最も近いアノードの領域に位置するよりも電極接続の近くに位置する、請求項52に記載のリチウムイオン電池。
【請求項55】
炭素と本質的に金、銅および銀からなる群から選ばれる抵抗率の低い金属とを含むカソードであって、該抵抗率の低い金属の該炭素に対する比率が1より小さいように選択的に制御され、前記電池のセル抵抗を低減するために、前記アノード内に配置される、カソードをさらに含む、請求項52に記載のリチウムイオン電池。
【請求項56】
第1導電層と、
第2導電層と、
該第1導電層と該第2導電層との間に配置された金属間層とを含む構造体であって、該金属間層は、
少なくとも一つの第1結合部位と少なくとも一つの第2結合部位とを有する少なくとも一つの生物学的テンプレートを形成し、ただし、該第1結合部位は第1材料の第1ナノ粒子への特異的な結合親和性を有し、該第2結合部位は第2材料の第2ナノ粒子への特異的な結合親和性を有するものとし、
該テンプレートを、該第1結合部位と該第2結合部位とがx:y(0<x<1、0<y<1)の数の比率を有するように制御し、
該第1ナノ粒子を各々の第1結合部位に結合させ、
該第2ナノ粒子を各々の第2結合部位に結合させ、
該第1材料と該第2材料とを含む合金を形成することにより形成される、構造体。
【請求項57】
前記第1材料がAで表わされる化合物であり、前記第2材料がCで表わされる化合物であり、前記合金は(A(Cで表わすことができ、
A、B、CおよびDが周期律表の元素であり、
0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1であり、かつ
mとnが同時に0でなく、かつpとqが同時に0でないという条件で0≦p≦1、0≦q≦1、p+q=1である、
請求項56に記載の構造体。
【請求項58】
A、B、CおよびDが各々独立に金属である、請求項57に記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−537987(P2009−537987A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511107(P2009−511107)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/012096
【国際公開番号】WO2007/136841
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508041046)カンブリオス テクノロジーズ コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】