説明

デジタル放送受信装置

【課題】デジタル放送受信装置において、TV番組をアナログ信号で外部出力する際のユ−ザによる手間を低減する。
【解決手段】TV受像機は、ユ−ザによってデジタル放送のTV番組が選局されると、「disable_analog_sd_export」等のフラグから、このTV番組をアナログ出力できるか判断し(S2)、アナログ出力できない場合(S3でNO)、その旨を表示する(S4)。そして、TV受像機は、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送の有無を判断する処理(S5)を行い、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送がある場合(S6でYES)、その旨を表示し(S7)、ユーザがチャンネル切り替えを指示すると(S8でYES)、デジタルサイマル放送のチャンネルに切り替える(S9)。一方、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送がない場合(S6でNO)、アナログサイマル放送があるか否かを判断する(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン番組をアナログ信号で外部出力できるデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アナログ信号を外部出力するためのアナログビデオ出力部を有するテレビジョン(以下、TVという)受像機が知られている。このTV受像機では、アナログビデオ出力部からTV番組をアナログ信号で外部機器に出力することができる。ところで、アナログ信号にコピーガードを付したとしても、コピーガードの除去が比較的容易であることが多く、このアナログ信号を用いてTV番組等の海賊版を容易に作成可能であることが懸念されている。
【0003】
近年、例えば欧州のデジタルテレビ放送においては、TV番組のHD(High Definition)放送化や、所謂ネットワーク化の普及を考慮して(ネットワークを介してTV番組の品質をほぼ劣化させることなしに容易に頒布可能であることを考慮して)、コンテンツのアナログ信号による外部出力を禁止することが検討されている。その場合、TV受像機のアナログビデオ出力部に録画装置を接続しても、この種のTV番組をアナログ信号で外部出力できないため、録画装置にTV番組を録画できない。
【0004】
しかしながら、アナログ信号出力が禁止されたTV番組と同一内容のTV番組がサイマル放送され、このサイマル放送のTV番組のアナログ信号出力が禁止されていない場合がある。その場合、ユ−ザはサイマル放送のチャンネルに切り替えることにより、所望のTV番組をアナログ信号で外部出力させ、TV受像機のアナログビデオ出力部に接続した録画装置に録画することができる。しかしながら、この方法では、ユ−ザは所望のTV番組がサイマル放送されているか否かを調べる必要があり、さらに、サイマル放送されている場合であっても、そのサイマル放送のTV番組をアナログ信号で外部出力することが禁止されているか否かを判断する必要がある。従って、ユーザにとって非常に手間がかかる。
【0005】
これに対して、特許文献1には、ユーザによって録画対象のアナログ放送番組が選択されると、選択されたアナログ放送番組のサイマル放送を行っているデジタル放送のチャンネルに自動的に変換して録画を予約する録画装置が開示されている。しかしながら、この録画装置では上記問題を解決できない。
【0006】
また、特許文献2には、ネットワークを介して少なくとも1つの暗号化コンテンツストリーム受信し、受信した暗号化コンテンツストリームを解読し、且つ、解読されたコンテンツストリームにセキュアリンク暗号化を適用した後にネットワークに出力してコンテンツを保護するコピ−管理システムが開示されている。しかしながら、このコピ−管理システムでも上記問題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−35237号公報
【特許文献2】特開2003−218852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、TV番組をアナログ信号で外部出力する際のユ−ザによる手間を低減できるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、放送局から配信される各チャンネルのデジタル放送信号を受信するデジタル放送信号受信手段と、前記デジタル放送受信手段によって受信されたデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組をアナログ信号で外部出力するためのアナログ信号出力手段と、装置各部を制御する制御手段とを備えるデジタル放送受信装置において、前記デジタル放送信号受信手段によって受信されたデジタル放送信号から、デジタル放送信号に基づくテレビジョン番組を前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを示すアナログ信号出力可否フラグを取得するアナログ信号出力可否フラグ取得手段と、前記アナログ信号出力可否フラグ取得手段によって取得された前記アナログ信号出力可否フラグの内容から、前記デジタル放送信号受信手段によって受信されたデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組を、前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを判断するアナログ信号出力可否判断手段と、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があるか否かを判断する第1サイマル放送有無判断手段とをさらに備え、前記制御手段は、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できないと判断されたときに、前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断された場合であって、該サイマル放送に基づくテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって、前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できると判断されたときに、該サイマル放送のチャンネルに切り替えるものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のテレビジョン受像機において、放送局から配信される各チャンネルのアナログ放送信号を受信するアナログ放送信号受信手段と、前記アナログ放送信号受信手段によって受信可能なアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルに基づくテレビジョン番組のサイマル放送があるか否かを判断する第2サイマル放送有無判断手段とをさらに備え、前記アナログ信号出力手段は、前記アナログ放送受信手段によって受信されたアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組をアナログ信号で外部出力でき、前記制御手段は、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号を外部出力できないと判断されたときに、前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送がないと判断された場合、又は、前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたときであって、該サイマル放送に基づくテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できないと判断された場合、前記第2サイマル放送有無判断手段によって、前記アナログ放送信号受信手段よって受信可能なアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたとき、該アナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内のサイマル放送のチャンネルに切り替えるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のテレビジョン番組がアナログ信号で外部出力できないと判断されたときに、受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたテレビジョン番組のサイマル放送があり、このテレビジョン番組がアナログ信号で外部出力できると判断されたときに、サイマル放送のチャンネルに切り替える。そのため、ユ−ザは選局したテレビジョン番組のサイマル放送を探す手間が無くなると共に、サイマル放送のテレビジョン番組がアナログ信号で外部出力できるか否かを判断する手間も無くなり、テレビジョン番組をアナログ信号で外部出力する際の手間を低減できる。また、例えばテレビジョン番組をアナログ信号で録画機器に外部出力することによりテレビジョン番組を録画する際のユ−ザによる手間も低減できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のテレビジョン番組がアナログ信号を外部出力できないと判断されたときに、(1)受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送がないと判断された場合、又は、(2)受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたときであって、該サイマル放送に基づくテレビジョン番組がアナログ信号で外部出力できないと判断された場合、以下の処理を行う。すなわち、受信可能なアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたとき、アナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内のサイマル放送のチャンネルに切り替える。そのため、ユ−ザは選局したテレビジョン番組の、アナログ放送信号に基づくサイマル放送を探す手間が無くなるので、テレビジョン番組をアナログ信号で外部出力する際の手間を低減できる。また、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のテレビジョン番組を、アナログ放送信号のサイマル放送に切り替えることができるため、ユ−ザが所望のテレビジョン番組をより確実にアナログ信号で外部出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るTV受像機と、このTV受像機を操作するためのリモコンとを示す斜視図。
【図2】上記TV受像機の内部構成を示すブロック図。
【図3】上記TV受像機におけるアナログビデオ出力処理の手順を示すフローチャート。
【図4】上記TV受像機のディスプレイに表示されるOSDの一例を示す説明図。
【図5】上記TV受像機のディスプレイに表示されるOSDの一例を示す説明図。
【図6】上記TV受像機のディスプレイに表示されるOSDの一例を示す説明図。
【図7】上記アナログビデオ出力処理におけるデジタルサイマル放送判断処理の手順を示すフローチャート。
【図8】上記アナログビデオ出力処理におけるアナログサイマル放送判断処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るテレビジョン受像機(請求項におけるデジタル放送受信装置)について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、テレビジョン(以下、TVという)受像機1と、このTV受像機1を操作するリモコン2との外観を示し、図2は、TV受像機1の内部構成を示す。
【0015】
TV受像機1は、デジタル放送信号を受信するデジタルチューナ部(デジタル放送信号受信手段)11と、アナログ放送信号を受信するアナログチュ−ナ部(アナログ放送信号受信手段)12と、TV番組の映像やOSD(On−Screen Display)を表示するディスプレイ13と、TV番組の音声を出力するスピーカ14とを備える。また、TV受像機1は、リモコン2から送信されるリモコン信号を受信するリモコン信号受信部15と、筐体外部に露出するように設けられたHDMI端子部16と、TV番組をアナログ信号で外部出力するためのアナログビデオ出力部(アナログ信号出力手段)17と、各種情報を記憶したメモリ18と、装置各部を制御するための制御用マイコン(制御手段)19とをさらに備える。
【0016】
リモコン2は、ユ−ザによって操作される複数の操作ボタン(図示せず)を有し、TV受像機1に対してユーザによる操作に応じたリモコン信号を送信する。具体的には例えば、ユ−ザによってチャンネルの選局や、視聴中のTV番組をアナログビデオ出力部17から外部出力する等の指示操作が行なわれると、リモコン2は、TV受像機1に対して、これらを指示するためのリモコン信号をTV受像機1に送信する。
【0017】
デジタルチューナ部11は、デコ−ダ11aを有し、不図示のアンテナと接続されて、放送局から配信される各チャンネルのデジタル放送信号を受信する。また、デジタルチューナ部11は、放送局から配信されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(以下、TSという)に含まれる番組情報等を受信して制御用マイコン19に出力する。デジタル放送信号は、例えばDVB(Digital Video Broadcasting)規格により規定されるSD(Standard Definition)放送信号やHD(High Definition)放送信号から構成される。デコ−ダ11aは、例えばMPEG−2方式やH.264規格等で符号化されたTV番組のデジタル放送信号を復号して、TV番組の映像信号及び音声信号を制御用マイコン19に出力する。
【0018】
アナログチューナ部12は、不図示のアンテナと接続され、放送局から配信される各チャンネルのアナログ放送信号を受信し、受信したアナログ放送信号に基づくTV番組の映像信号及び音声信号を制御用マイコン19に出力する。
【0019】
リモコン信号受信部15は、リモコン2から送信されるリモコン信号を受信して、制御用マイコン19に出力する。
【0020】
アナログビデオ出力部17は、筐体外部に露出するように設けられ、外部機器と接続するためのアナログビデオ出力端子17aを有し、デジタルチュ−ナ部11によって受信されたデジタル放送信号に基づくTV番組と、アナログチュ−ナ部12によって受信されたアナログ放送信号に基づくTV番組とをアナログ信号で外部出力する。
【0021】
メモリ18は、制御用マイコン19を動作させるためのプログラム18aと、チャンネルマップ18bと、番組情報18cと、アナログ出力可否情報18dとを記憶している。
【0022】
チャンネルマップ18bは、デジタルチューナ部11及びアナログチュ−ナ部12によって受信可能なチャンネルの情報を記憶している。チャンネルマップ18bは、例えばTV受像機1の初期設定時等において放送信号周波数帯域の全域をサ−チすることにより記憶され、その後のチャンネル選局時にこれらの情報が使用される。
【0023】
番組情報18cは、デジタルチューナ部11によって受信されるEPG情報に基づいて、各チャンネルに対応する放送局名や番組タイトル等の番組情報を記憶している。また、番組情報18cは、アナログチューナ部11によって受信される各チャンネルに対応する放送局名をさらに記憶している。
【0024】
アナログ出力可否情報18dは、デジタルチュ−ナ部11によって受信されるデジタル放送信号に基づくTV番組をアナログビデオ出力部17を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを示す情報を記憶している。具体的には例えば、アナログ出力可否情報18dは、欧州デジタル放送規格(DVB)のContent Protection and Copy Management(DVB−CPCM)、CPCM System Specificationに記載されているように、TSに含まれるCPCM USI(CPCM Usage State Information)に基づく「disable_analog_sd_export」というSD画質によるアナログ信号出力の可否をフラグで示す記述子や、「disable_analog_hd_export」というHD画質によるアナログ信号出力の可否をフラグで示す記述子の内容を格納している。これらの記述子のフラグを判断することにより、デジタルチュ−ナ部11によって受信されるTV番組をアナログ信号で外部出力が可能か否かを判断することができる。
【0025】
制御用マイコン19は、映像出力部19aと、音声出力部19bと、アナログ信号出力部19cと、アナログ出力フラグ取得部(アナログ信号出力可否フラグ取得手段)19dと、アナログ出力フラグ判断部(アナログ信号出力可否判断手段)19eと、デジタルサイマル放送判断部(第1サイマル放送有無判断手段)19fと、アナログサイマル放送判断部(第2サイマル放送有無判断手段)19gと、OSD出力部19hとを有し、ユーザによるリモコン2の操作等に基づいて自装置を動作させる。
【0026】
映像出力部19aは、デジタルチューナ部11及びアナログチューナ部12によって受信されたTV番組の映像をディスプレイ13に出力する。音声出力部19bは、デジタルチューナ部11及びアナログチューナ部12によって受信されたTV番組の音声をスピーカ14に出力する。
【0027】
アナログ信号出力部19cは、アナログ信号で外部出力できると判断されたデジタル放送信号に基づくTV番組の映像及び音声を、アナログ信号に変換(D/A変換)した後にアナログ信号でアナログビデオ出力部17から外部出力する。また、アナログ信号出力部19cは、アナログ放送信号に基づくTV番組の映像及び音声をアナログ信号で外部出力する。
【0028】
アナログ出力フラグ取得部19dは、デジタルチュ−ナ部11によって受信されたデジタル放送信号のTS内から、各チャンネルのTV番組に対応する「disable_analog_sd_export」と「disable_analog_hd_export」の記述子のフラグを取得し、取得した内容をアナログ出力可否情報18dに格納する。
【0029】
アナログ出力フラグ判断部19eは、アナログ出力可否情報18dの内容から、デジタルチュ−ナ部11によって受信されたデジタル放送信号に基づくTV番組を、アナログビデオ出力部17を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを判断する。すなわち、「disable_analog_sd_export」のフラグがオンのTV番組は、アナログ信号によりSD画質で外部出力ができないと判断する。「disable_analog_hd_export」のフラグがオンのTV番組は、アナログ信号によりHD画質で外部出力ができないと判断する。
【0030】
デジタルサイマル放送判断部19fは、デジタルチュ−ナ部11によって受信可能なデジタル放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているTV番組のサイマル放送(以下、デジタルサイマル放送という)があるか否かを判断する。具体的には例えば、チャンネルマップ18bに記載されているチャンネルの中から、番組情報18cの内容に基づいて、ユ−ザによって選局されているチャンネルのTV番組と放送局名及び番組タイトル名が同一であるTV番組がある場合、そのTV番組の放送がデジタルサイマル放送であると判断する。
【0031】
アナログサイマル放送判断部19gは、アナログチュ−ナ部12によって受信可能なアナログ放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているTV番組のサイマル放送(以下、アナログサイマル放送)があるか否かを判断する。具体的には例えば、アナログチュ−ナ部12によって受信可能なチャンネルマップ18bに記載されているチャンネルの中から、番組情報18cの内容に基づいて、ユ−ザによって選局されているチャンネルのTV番組と放送局名が同一のTV番組がある場合、そのTV番組の放送がアナログサイマル放送であると判断する。
【0032】
OSD出力部19hは、各種メッセ−ジをディスプレイ13にOSDで表示させる。
【0033】
次に、TV受像機1におけるアナログビデオ出力処理について、図3乃至図6を参照して説明する。図3は、TV受像機1におけるアナログビデオ出力処理の手順を示すフローチャートである。図4乃至図6は、TV受像機2のディスプレイ13にOSDで表示されるメッセ−ジの一例を示す。ここでは、既にデジタルチューナ部11及びアナログチュ−ナ部12を用いてデジタル放送及びアナログ放送のチャンネルのサ−チを行うことにより、チャンネルマップ18bが記憶されているものとする。また、アナログ信号による外部出力をアナログ出力と略す。
【0034】
まず、制御用マイコン19は、TV受像機1の起動時に、デジタルチュ−ナ部11を用いてオートサーチを行うと共に、アナログ出力フラグ取得部19dを用いて各チャンネルのTV番組に対するアナログ出力の可否情報を取得した後、アナログ出力の可否情報の内容をアナログ出力可否情報18dに記憶する(S1)。なお、各チャンネルのTV番組に対するアナログ出力の可否情報は、ユ−ザによってTV番組が選局された時に取得してもよい。
【0035】
そして、ユ−ザによってリモコン2が操作され、デジタル放送信号のTV番組が選局されると、制御用マイコン19は、アナログ出力フラグ判断部19eを用いて、アナログ出力可否情報18dの内容から、ユ−ザによって選局されたこのTV番組をアナログ出力できるか否かを判断する(S2)。具体的には、このTV番組に対応する「disable_analog_sd_export」又は「disable_analog_hd_export」のいずれかのフラグがオフであるか否かを判断する。
【0036】
上記S2の判断の結果、アナログ出力できない場合(S3でNO)、すなわち、「disable_analog_sd_export」及び「disable_analog_hd_export」のいずれのフラグもオンである場合、制御用マイコン19は、OSD出力部19hを用いて、アナログ出力が無効である旨のメッセ−ジをディスプレイ13に表示する(S4)。
【0037】
上記S4でディスプレイ13に表示されるOSDのメッセ−ジは、例えば、図4に示すように、「アナログビデオ出力できません」というものである。なお、ディスプレイ13に表示されている「1CH」はユ−ザによって選局されているチャンネルを示す。
【0038】
そして、制御用マイコン19は、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送の有無を判断するためのデジタルサイマル放送判断処理(S5)を行い、この判断処理の結果、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送がある場合(S6でYES)、OSD出力部19hを用いて、他チャンネルでアナログ出力が有効なサイマル放送がある旨のメッセ−ジをディスプレイ13に表示する(S7)。
【0039】
上記S7でディスプレイ13に表示されるメッセ−ジは、例えば、ユ−ザによって「1CH」が選局されているときには、図5に示すように、「デジタル5CHで同じ番組があり、アナログビデオ出力可能です。切り替えますか?」というものである。また、ディスプレイ13には、ユーザにチャンネル切り替え指示の有無を選択させるための「OK」及び「Cancel」のダイアログボックスが同時に表示される。
【0040】
そして、ユーザが上記S7でディスプレイ13に表示されたダイアログボックスの「OK」を選択してチャンネル切り替えを指示すると(S8でYES)、制御用マイコン19は、デジタルサイマル放送(ここでは「5CH」)のチャンネルに切り替える(S9)。一方、ユーザがダイアログボックスの「Cancel」を選択すると(S8でNO)、制御用マイコン19は、上記S9の処理を行わない。
【0041】
一方、上記S5の判断の結果で、アナログ出力が有効なデジタルサイマル放送がない場合(S6でNO)、すなわち、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているTV番組のサイマル放送がないと判断された場合、又は、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているTV番組のサイマル放送がアナログ出力できない場合、制御用マイコン19は、アナログサイマル放送判断部19gを用いて、アナログサイマル放送があるか否かを判断するアナログサイマル放送判断処理(S10)を行う。
【0042】
上記S10の判断処理の結果、アナログサイマル放送がある場合(S11でYES)、制御用マイコン19は、OSD出力部19hを用いて、アナログサイマル放送がある旨のメッセ−ジをディスプレイ13に表示する(S12)。
【0043】
上記S12でディスプレイ13に表示されるメッセ−ジは、例えば、ユ−ザによって「1CH」が選局されているときには、図6に示すように、「アナログ2CHで同じ番組があり、アナログビデオ出力可能です。切り替えますか?」というものである。また、ディスプレイ13には、ユーザにチャンネル切り替え指示の有無を選択させるための「OK」及び「Cancel」のダイアログボックスが同時に表示される。
【0044】
そして、ユーザが上記S12でディスプレイ13に表示されたダイアログボックスの「OK」を選択してチャンネル切り替えを指示すると(S13でYES)、制御用マイコン19は、アナログサイマル放送のチャンネル(ここでは「アナログ2CH」)に切り替える(S14)。一方、ユーザが上記S12でディスプレイ13に表示されたダイアログボックスの「Cancel」を選択すると(S13でNO)、制御用マイコン19は、上記S14の処理を行わない。
【0045】
一方、上記S10の判断の結果、アナログサイマル放送がない場合(S11でNO)、制御用マイコン19は、上記S12以降の処理を行わない。また、制御用マイコン19は、上記S2の判断の結果、ユーザによって選局されたデジタル放送信号のTV番組がアナログ出力できる場合(S3でYES)、上記S4以降の処理を行わない。
【0046】
次に、上記S5におけるデジタルサイマル放送判断処理の詳細について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。制御用マイコン19は、番組情報18cの内容により、デジタル放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたチャンネルのTV番組と放送局名及び番組タイトルが同一のTV番組があるか否かを判断する(S21)。
【0047】
上記S21の判断の結果、放送局名及び番組タイトル名が同一のTV番組がある場合(S22でYES)、制御用マイコン19は、アナログ出力フラグ判断部19eを用いて、このTV番組のアナログ出力が有効か否かを判断する(S23)。この判断の結果、アナログ出力が有効である場合(S24でYES)、制御用マイコン19は、他チャンネルにアナログ出力が有効なデジタルサイマル放送があると判断する(S25)。
【0048】
次に、上記S10におけるアナログサイマル放送判断処理の詳細について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。制御用マイコン19は、番組情報18cの内容により、アナログ放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたチャンネルのTV番組と放送局名が同一のTV番組があるか否かを判断する(S31)。
【0049】
上記S31の判断の結果、放送局名が同一のTV番組がある場合(S32でYES)、制御用マイコン19は、アナログサイマル放送があると判断する(S33)。
【0050】
上述したように、本実施形態に係るTV受像機1においては、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のTV番組がアナログ出力できないと判断されたときに、受信可能なデジタル放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたTV番組のデジタルサイマル放送があり、このTV番組がアナログ出力できると判断されたときに、デジタルサイマル放送のチャンネルに切り替える。そのため、ユ−ザは選局したTV番組のデジタルサイマル放送を探す手間が無くなると共に、デジタルサイマル放送のTV番組がアナログ出力できるか否かを判断する手間も無くなり、TV番組をアナログ出力する際の手間を低減できる。また、例えば、アナログビデオ出力部17にハードディスクレコーダ等を接続してTV番組をアナログ信号で外部出力することによりTV番組を録画する際のユ−ザによる手間も低減できる。
【0051】
また、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のTV番組がアナログ出力できないと判断されたときに、(1)受信可能なデジタル放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたTV番組のデジタルサイマル放送がないと判断された場合、又は、(2)受信可能なデジタル放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたTV番組のデジタルサイマル放送があると判断されたときであって、このデジタルサイマル放送に基づくTV番組がアナログ出力できないと判断された場合、以下の処理を行う。すなわち、受信可能なアナログ放送信号に基づくTV番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているTV番組のアナログサイマル放送があると判断されたとき、アナログサイマル放送のチャンネルに切り替える。そのため、ユ−ザは選局したTV番組の、アナログサイマル放送を探す手間が無くなるので、TV番組をアナログ出力する際の手間を低減できる。また、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のTV番組を、アナログサイマル放送に切り替えることができるため、ユ−ザが所望のテレビジョン番組をより確実にアナログ信号で外部出力することができる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、欧州デジタル放送規格(DVB)に基づく記述子のフラグの内容によって、デジタル放送によるTV番組のアナログ出力可否を判断したが、これに限られず、他の規格による情報に含まれる各TV番組のアナログ出力可否情報に基づいて判断してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 TV受像機(デジタル放送受信装置)
11 デジタルチューナ部(デジタル放送信号受信手段)
12 アナログチュ−ナ部(アナログ放送信号受信手段)
17 アナログビデオ出力部(アナログ信号出力手段)
19 制御用マイコン(制御手段)
19d アナログ出力フラグ取得部(アナログ信号出力可否フラグ取得手段)
19e アナログ出力フラグ判断部(アナログ信号出力可否判断手段)
19f デジタルサイマル放送判断部(第1サイマル放送有無判断手段)
19g アナログサイマル放送判断部(第2サイマル放送有無判断手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から配信される各チャンネルのデジタル放送信号を受信するデジタル放送信号受信手段と、
前記デジタル放送受信手段によって受信されたデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組をアナログ信号で外部出力するためのアナログ信号出力手段と、
装置各部を制御する制御手段とを備えるデジタル放送受信装置において、
前記デジタル放送信号受信手段によって受信されたデジタル放送信号から、デジタル放送信号に基づくテレビジョン番組を前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを示すアナログ信号出力可否フラグを取得するアナログ信号出力可否フラグ取得手段と、
前記アナログ信号出力可否フラグ取得手段によって取得された前記アナログ信号出力可否フラグの内容から、前記デジタル放送信号受信手段によって受信されたデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組を、前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できるか否かを判断するアナログ信号出力可否判断手段と、
前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があるか否かを判断する第1サイマル放送有無判断手段とをさらに備え、
前記制御手段は、
ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できないと判断されたときに、
前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断された場合であって、該サイマル放送に基づくテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって、前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できると判断されたときに、該サイマル放送のチャンネルに切り替えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
放送局から配信される各チャンネルのアナログ放送信号を受信するアナログ放送信号受信手段と、
前記アナログ放送信号受信手段によって受信可能なアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内に、ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルに基づくテレビジョン番組のサイマル放送があるか否かを判断する第2サイマル放送有無判断手段とをさらに備え、
前記アナログ信号出力手段は、前記アナログ放送受信手段によって受信されたアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組をアナログ信号で外部出力でき、
前記制御手段は、
ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号を外部出力できないと判断されたときに、
前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送がないと判断された場合、又は、前記第1サイマル放送有無判断手段によって、前記デジタル放送信号受信手段によって受信可能なデジタル放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたときであって、該サイマル放送に基づくテレビジョン番組が、前記アナログ信号出力可否判断手段によって前記アナログ信号出力手段を用いてアナログ信号で外部出力できないと判断された場合、
前記第2サイマル放送有無判断手段によって、前記アナログ放送信号受信手段よって受信可能なアナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内に、前記ユ−ザによって選局されたデジタル放送信号のチャンネルで放送されているテレビジョン番組のサイマル放送があると判断されたとき、該アナログ放送信号に基づくテレビジョン番組内のサイマル放送のチャンネルに切り替えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−49729(P2012−49729A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188790(P2010−188790)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】