デジタル記録装置及び方法、デジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置
【課題】 44.1kHz系の1ビットデータを、サンプリング周波数が48kHz系の記録装置に記録し再生する際の音質劣化を最小限に抑制する。
【解決手段】 入力端子31からの44.1kHz系の1ビットデータは、1bitIFデコーダ33でデコードされてRAM34に書き込まれ、48kHz系のクロックで読み出されて1bitDataフォーマットエンコーダに送られる。1bitDataフォーマットエンコーダ35では、48kHz系のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従ったPCMデータの1ビットデータ領域に1ビットデータの各ビットを割り当てるように変換される。VCXO52、PLL53、分周器54により、48kHz系クロックに同期がとられた44.1kHz系クロックを生成し、同期がとられた44.1kHz系クロックにより44.1kHz系回路ブロック25の各回路を駆動する。
【解決手段】 入力端子31からの44.1kHz系の1ビットデータは、1bitIFデコーダ33でデコードされてRAM34に書き込まれ、48kHz系のクロックで読み出されて1bitDataフォーマットエンコーダに送られる。1bitDataフォーマットエンコーダ35では、48kHz系のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従ったPCMデータの1ビットデータ領域に1ビットデータの各ビットを割り当てるように変換される。VCXO52、PLL53、分周器54により、48kHz系クロックに同期がとられた44.1kHz系クロックを生成し、同期がとられた44.1kHz系クロックにより44.1kHz系回路ブロック25の各回路を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル記録装置及び方法、デジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置に関し、特に、シグマデルタ(ΣΔ)変調された1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)をPCM(Pulse Code Modulation)デジタル信号(PCMデータ)に変換して記録するためのデジタル記録装置及び方法、記録されたデジタル信号を再生して元の1ビットデジタルオーディオデータを得るためのデジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像・音声信号を記録再生する装置として、ビデオテープを用いるVTR装置が従来より知られており、近年においては、デジタルビデオ(映像)・オーディオ(音声)データを記録再生するデジタルVTR装置が多く用いられるようになっている。また、記録媒体にディスクやメモリ等を用いるものも供給されている。このようなデジタルVTR装置等のデジタル映像機器におけるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数は通常48kHzとなっている。
【0003】
これに対して、CD(Compact Disc)等のようなオーディオ信号をデジタル化して記録再生するフォーマットの場合には、サンプリング周波数が44.1kHzとなっているものが多い。例えばCD−DA(Digital Audio)規格においては、サンプリング周波数が44.1kHz、量子化ビット数が16ビットのPCM(Pulse Code Modulation)デジタル信号(PCMデータ)を用いている。
【0004】
一方、デジタルオーディオ信号の他の方式として、シグマデルタ(ΣΔ)変調と呼ばれる方法が、例えば非特許文献1に提案されている。このΣΔ変調により得られる1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)は、従来のCD等のデジタルオーディオに使用されていたデータのフォーマットに比べて、非常に高いサンプリング周波数と短いデータ語長(例えばサンプリング周波数が44.1kHzの64倍でデータ語長が1ビット)を有しており、伝送可能周波数帯域が広いという特長がある。また、ΣΔ変調により、1ビット信号であっても、64倍というオーバーサンプリング周波数に対して低域であるオーディオ帯域において、高いダイナミックレンジをも確保できる。この長所を生かして高音質の記録再生やデータ伝送に応用することができる。
【0005】
この1ビットΣΔ変調のオーディオ信号は、ソニー株式会社及びフィリップス株式会社が提唱する次世代CD規格としてのいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)におけるDSD(Direct Stream Digital)方式の信号として用いられている。
【0006】
従来技術として、特許文献1には、上記DSD方式の1ビットディジタルオーディオデータ(1ビットデータ)のマスタリング装置が開示され、特許文献2には、ディジタル音楽データ伝送において、伝送される音楽データに関する標本化周波数などの音楽データ情報をディジタル伝送する音楽データ情報伝送方法および装置が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】山崎芳男「AD/DA変換器とディジタルフィルター」、日本音響学会誌46巻3号(1990)第251〜257頁
【特許文献1】特開平9−261071号公報
【特許文献2】特開2001−5499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のようなサンプリング周波数が64×44.1kHz(=2.8224MHz)の1ビットデータを、デジタルVTR装置のようなオーディオサンプリング周波数が48kHzのデジタル映像機器に記録再生しようとすると、1ビットデータを一旦アナログ信号に変換し、48kHzのサンプリング周波数でサンプリングしてPCMデジタルオーディオ信号(PCMデータ)に変換することが必要とされ、これらのアナログ化及びデジタル化の際にフィルタ処理等の信号処理が必要となるため、音質劣化が生じることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、サンプリング周波数が44.1kHz系の1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)を、サンプリング周波数が48kHz系の記録装置に記録し再生する際の音質劣化を最小限に抑制し得るようなデジタル記録装置及び方法、デジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録装置であって、入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと、上記エンコーダからの出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録手段とを有することを特徴としている。
【0011】
ここで、上記第1のサンプリング周波数と上記第2のサンプリング周波数との同期をとって各サンプリング周波数の整数倍のクロックを発生するクロック生成手段をさらに有し、上記クロック生成手段からの第1のサンプリング周波数の整数倍の第1のクロックにて上記入力された1ビットデジタルオーディオデータを上記記憶手段に書き込み、上記第2のサンプリング周波数の整数倍の第2のクロックにて上記記憶手段から1ビットデジタルオーディオデータを読み出すと共に該第2のクロックにより上記エンコーダを駆動することが好ましい。
【0012】
また、上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、上記クロック生成手段は、44.1kHzの512倍の周波数のクロックを発生するマスタークロック発振器と、このマスタークロック発振器からのマスタークロックを5倍に逓倍する逓倍器と、この逓倍器からのクロックを1/2352に分周する分周器とを有して成り、上記マスタークロックを上記第1のクロックとして出力し、上記第2のサンプリング周波数である48kHzの512倍のクロックを上記第2のクロックとして用いることが挙げられる。
【0013】
上記記録手段は、上記マルチビットPCMデータとしての48kHz/24ビットのPCMデータの12チャンネルをデジタルビデオデータと共に記録するものであり、上記48kHz/24ビットのPCMデータの各サンプル24ビットの内の20ビットを上記1ビットデータ領域とし、この1ビットデータ領域を有する48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて上記1ビットデジタルオーディオデータの1チャンネルを割り当てることが挙げられ、この場合、上記48kHz/24ビットのPCMデータに対して上記デジタルビデオデータのフィールドとの対応関係、フィールド内の位置及び割り当てビット数を識別するための識別情報を用い、PCMデータの各サンプル24ビットの内の上記1ビットデータ領域を除く4ビットの3チャンネル分の12ビットの領域に上記識別情報を配置することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上述の課題を解決するために、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録方法であって、上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込む書き込み工程と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と、上記記憶手段から読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換するエンコード工程と、上記エンコードされた出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録工程とを有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上述の課題を解決するために、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換するデジタルデータ変換装置であって、入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダとを有することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生装置であって、上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生手段と、上記再生手段により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生方法であって、上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生工程と、上記再生工程により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコード工程と、上記デコード工程によりデコードされた上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを記憶手段に書き込む書き込み工程と、上記記憶手段から上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程とを有することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って、マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換するデジタルデータ変換装置であって、上記マルチビットPCMデータ内の1ビットデータ領域から読み出されたデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換する際に、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込み、記憶手段から第2のサンプリング周波数に同期したクロックで1ビットデジタルオーディオデータを読み出し、読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換することにより、音質劣化を最小限に抑制して、1ビットデジタルオーディオデータをマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録することが可能となり、記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に用いられる記録再生装置として、デジタルVTR装置の具体例を概略的に示すブロック図である。この図1に示すデジタルVTR装置は、デジタルビデオ(映像)・オーディオ(音声)信号を、テープ状記録媒体であるいわゆるビデオテープ110に対して記録再生するものである。
【0022】
このデジタルVTR装置により記録再生されるデジタルオーディオデータのサンプリング周波数は48kHzとなっているのに対して、本実施の形態においては、サンプリング周波数が44.1KHz系の1ビットデータ(1ビットデジタルオーディオデータ)を、上記デジタルVTR装置に記録するために、サンプリング周波数48kHzのPCMデータにビット並び替えにより変換し、また、再生の際には再び1ビットデータに逆変換する場合を想定している。なお、上記1ビットデータとしては、ソニー株式会社及びフィリップス株式会社が提唱する次世代CD規格としてのいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)におけるDSD(Direct Stream Digital)方式の1ビットΣΔ変調のオーディオ信号データが挙げられ、このDSD方式の1ビットデータのサンプリング周波数は、2.8224MHz(=64×44.1kHz)となっている。
【0023】
この図1において、ビデオ入力端子101に入力されたデジタルビデオデータは、圧縮符号化部102に送られて圧縮符号化され、記録系103に送られる。また、オーディオ入力端子111に入力されたデジタルオーディオデータは、音声処理部10の記録音声処理回路部10aに送られて記録のための音声処理が施され、記録系103に送られる。記録系103では、圧縮符号化部102からの圧縮ビデオデータ及び記録音声処理回路部10aからのデジタルオーディオデータに対して所定の記録フォーマットに従った記録信号に変換し、記録アンプ104を介して回転ヘッド105に供給することにより、ビデオテープ110の斜めの記録トラック(ヘリカルトラック)に記録する。
【0024】
図2は、ビデオテープ110上の記録フォーマットの一例を示し、ビデオテープ110には、テープ走行方向である長手方向に対して傾斜した記録トラック115が順次形成される。この具体例では、互いに隣接する2本の記録トラック115における記録アジマスは互いに異なるようにされている。記録トラック115の走査開始側及び走査終了側の領域は、それぞれビデオデータ領域ARVU,ARVLとされ、これらのビデオデータ領域ARVU,ARVLに挟まれた領域は、オーディオデータ領域ARAとされている。
【0025】
この図2に示すビデオテープ110の記録トラック115を、図1の回転ヘッド105により走査することにより得られた再生信号は、再生アンプ106で増幅されて再生系107に送られ、波形等化や復調処理を含む信号再生処理が施され、デジタルビデオデータが伸長復号部108に、デジタルオーディオデータが音声処理部10の再生音声処理回路部10bに送られる。伸長復号部108では、ビデオ記録の際の圧縮符号化部102における圧縮符号化処理の逆の処理としての伸長復号処理が施され、得られたデジタルビデオデータが出力端子109より取り出される。再生音声処理回路部10bでは、記録音声処理回路部10aにおける処理の逆の処理が施され、得られたデジタルオーディオデータが出力端子119より取り出される。
【0026】
ここで、上記デジタルVTR装置において記録再生されるデジタルオーディオデータの規格の一例として、サンプリング周波数が48kHzで24ビットのPCMデータを12チャンネル記録再生するものを想定している。本実施の形態は、上述したように、サンプリング周波数が64×44.1kHz(=2.8224MHz)の1ビットデータを、サンプリング周波数48kHz/24ビットのPCMデータ記録枠にビット並び替えにより変換し、後述するように12チャンネルのオーディオチャンネルの3チャンネル分の記録枠を用いて記録するものである。
【0027】
すなわち、上記デジタルVTR装置の本来の48kHz/24ビットのPCMオーディオ記録再生のための音声処理部は、図3に示す音声処理部10’のような構成を有しているのに対し、本実施の形態の音声処理部は、図4に示すように、44.1KHz系の1ビットデジタルオーディオデータを48kHz系のPCMデータ(PCMデジタルオーディオデータ)にビット並び替えにより変換し、また逆変換するための構成が付加された音声処理部10となっている。先ず、図3の音声処理部10’及び図4の音声処理部10の共通部分としての48kHz/24ビットのPCMデータを記録再生するための構成について説明する。
【0028】
図3、図4において、入力端子11には48kHz/24ビットのPCMデータが入力される。この例におけるPCMデータは、デジタルオーディオ規格であるAES/EBU(Audio Engineering Society/European Broadcasting Union)規格の一つのAES3フォーマット(AES−3id−2001)に従って伝送されており、信号伝送には同軸ケーブルが用いられ、入力端子11にはBNCコネクタが用いられている。入力端子11からのPCMデータは、AES3入力バッファ12を介してAES3デコーダ13に送られ、AES3デコーダ13にてAES3規格のフォーマットからVTR記録用のPCMデータフォーマットに変換された後、出力端子14を介して取り出されて、図1の記録系103に送られる。
【0029】
図1の再生系107からのPCMデータは、図3、図4の入力端子16を介してAES3エンコーダ17に送られて、AES3規格のフォーマットのPCMデータに変換され、AES3出力バッファ18を介し出力端子19より取り出される。出力端子19にはBNCコネクタが用いられ、信号伝送には同軸ケーブルが用いられる。
【0030】
入力端子21には、デジタルVTR装置のPCMデータのオーディオクロックとして、48kHz×512の周波数のクロック信号が入力され、AES3デコーダ13、AES3エンコーダ17、及びメータインターフェース22に供給される。メータインターフェース22には、AES3デコーダ13からのPCMデータ及び入力端子16からのPCMデータが入力され、デジタルVTR装置のオーディオレベルメータ表示のためのメータ用データを出力して出力端子23に送っている。
【0031】
なお、図3、図4に示す例において、音声処理部10(10’)の主要回路は、例えばいわゆるFPGA(Field Programmable Gate Array)20(20’)により構成されており、ブロック24(24’)は48kHz系回路部を、ブロック25は44.1kHz系回路部それぞれ示している。
【0032】
次に、図4の音声処理部10において、図3の構成から付加された部分について説明する。
【0033】
図4の入力端子31には、上記サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータ(1ビットデジタルオーディオデータ)が入力される。この1ビットデータは、上述したようなソニー株式会社及びフィリップス株式会社のいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)に用いられるDSD(Direct Stream Digital)方式の1ビットΣΔ変調のオーディオ信号データであり、信号伝送には上記1ビットデータを伝送可能な規格(1bitIF)が用いられる。ここで1ビットデータ伝送規格(1bitIF)の具体例としては、ソニー株式会社が提示するデジタルオーディオ伝送規格であるSDIF(Sony Digital Interface Format)規格のSDIF−3を用いることができる。このSDIF−3の規格は、特性インピーダンス75Ωの同軸ケーブルとBNCコネクタを用いて送受信を行い、入出力レベルは、図5の(A)に示すようにTTLレベルである。なお、図5の(B)は、上記AES3の入出力レベルを示し、正負の値をとる。
【0034】
この図5の(A)、(B)に示すように、1ビットデータ伝送規格(1bitIF)とAES3とは、入出力レベルは異なるものの、いずれも同軸ケーブル及びBNCコネクタを用いるものであるため、入力端子31を、上記1ビットデータの入力とPCMデータの入力とに共用できる。また、出力端子46も同様にBNCコネクタを用い、1ビットデータの出力とPCMデータの出力とに共用できる。
【0035】
入力端子31に入力された1ビットデータ又はPCMデータは、1bitIF/AES3入力バッファ32に送られる。この1bitIF/AES3入力バッファ32は、例えば図6の(A)に示すように、BNCコネクタを用いた入力端子31からのデータを、1bitIF入力バッファ32aと、AES3入力バッファ32bとに送り、1bitIF入力バッファ32aからの出力を切換スイッチ32cの被選択端子aに、AES3入力バッファ32bからの出力を切換スイッチ32cの被選択端子bにそれぞれ送るように構成され、切換スイッチ32cは、入力端子37からの1ビットデータ/PCMデータ入力切換制御信号により切換制御される。切換スイッチ32cからの出力データは、図4の1bitIFデコーダ33、AES3デコーダ38に送っている。なお、1bitIF/AES3入力バッファ32を共通化し、入力信号に対する閾値レベルを切換選択するようにしてもよい。この場合、例えば、1ビットデータ入力時には閾値レベルを1.5Vに、PCMデータ入力時には閾値レベルを0Vにそれぞれ切換制御すればよい。
【0036】
また、BNCコネクタを用いた出力端子46に接続される1bitIF/AES3出力バッファ45についても同様に、例えば図6の(B)に示すように構成できる。図6の(B)の例では、図4の切換スイッチ29からのデータを、1bitIF出力バッファ45aと、AES3入力バッファ45bとに送り、1bitIF入力バッファ45aからの出力を切換スイッチ45cの被選択端子aに、AES3入力バッファ45bからの出力を切換スイッチ45cの被選択端子bにそれぞれ送り、切換スイッチ32cからの出力データを出力端子46に送っている。切換スイッチ45cは、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御される。この1bitIF/AES3出力バッファ45についても共通化し、出力レベルを切換選択するようにしてもよい。この場合、例えば、1ビットデータ出力時にはDCオフセットを1.5V、ゲインを3Vppに切り換え、PCMデータ出力時にはDCオフセットを0V、ゲインを1Vppに切り換えればよい。
【0037】
図4に戻って、1bitIF/AES3入力バッファ32からの1ビットデータは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFデコーダ33に送られて1bitIFの伝送規格のデコードが行われ、RAM(例えばデュアルポートRAM)34に送られる。RAM34では、44.1kHz系から48kHz系へのクロック周波数の変換が行われ、RAM34からのデータが48kHz系回路ブロック24の1bitDataフォーマットエンコーダ35に送られる。この1bitDataフォーマットエンコーダ35では、後述するように1ビットデータを48kHzPCMデータの記録枠に記録するためのビット並び替えによるデータ変換が行われ、変換出力データが切換スイッチ28の被選択端子aに送られる。また、1bitIF/AES3入力バッファ32からのPCMデータは、48kHz系回路ブロック24のAES3デコーダ38に送られ、AES3の伝送規格のデコードが行われた後、切換スイッチ28の被選択端子bに送られる。切換スイッチ28は、入力端子37からの1ビットデータ/PCMデータ入力切換制御信号により切換制御され、切換スイッチ28からの出力データが出力端子36より出力され、図1の記録系103に送られる。
【0038】
図1の再生系107からのデータは、図4の入力端子41を介して、48kHz系回路ブロック24の1bitDataフォーマットデコーダ42、AES3エンコーダ47に送られる。1bitDataフォーマットデコーダ42は、48kHzPCMデータとして記録された1ビットデータ(PCM記録枠に記録されたデータ)を元の1ビットデータに戻すものであり、上記1bitDataフォーマットエンコーダ35の逆変換処理を行う。クロック周波数は48kHz系のままであり、RAM(例えばデュアルポートRAM)43により、44.1kHz系のクロック周波数に変換される。RAM43からのデータは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFエンコーダ44に送られ、所定の1bitIF伝送規格(例えばソニー株式会社が提示する上記SDIF−3規格)のフォーマットのデータに変換される。1bitIFエンコーダ44からのデータは、切換スイッチ29の被選択端子aに送られる。また、AES3エンコーダ47では、入力端子41からのデータが上記AES3伝送規格のフォーマットのPCMデータに変換され、切換スイッチ29の被選択端子bに送られる。切換スイッチ29は、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御され、切換スイッチ29からのデータは、1bitIF/AES3出力バッファ45に送られる。
【0039】
次に、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータと、サンプリング周波数48kHzのPCMデータとのクロック同期について説明する。概略的には、44.1kHz系のマスタークロックを逓倍し分周することで48kHzのクロックを生成し、この48kHzのクロックをデジタルVTR装置のオーディオクロックと同期させ、入出力する1ビットデータを並べ替えて48kHzのPCMデータとして(PCM記録枠のデータとして)記録再生している。
【0040】
図4の入力端子51には、上述したデジタルVTR装置のPCMデータの記録のための48kHzのオーディオクロックが入力されており、この48kHzクロックが水晶発振器であるVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)52に供給され、VCXO52は44.1kHzの512倍(=22.5792MHz)の周波数のマスタークロックを発生する。VCXO52からのマスタークロックは、PLL(Phase Locked Loop)回路53に送られて5倍の周波数(112.896MHz)のクロックとされ、分周器54で1/2352されることで48kHzのクロックとなり、これがVCXO52に送られて、入力端子51からの48kHzクロックとの同期がとられる。PLL回路53は周波数を5倍に逓倍する逓倍器として用いられており、これらのVCXO52,PLL回路53、分周器54により、デジタルVTR装置のPCMデータ記録用の48kHzクロックに同期した44.1kHzクロックを生成するクロック生成手段が構成されている。
【0041】
VCXO52からの22.5792MHz(=44.1kHz×512)のクロックは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFデコーダ33及び1bitIFエンコーダ44と、RAM34、43に送られると共に、44.1kHz系回路ブロック25の分周器55に送られて、これらの回路を駆動する。分周器55は、22.5792MHzのクロックを1/512に分周することで、44.1kHzのクロックを生成し、ワードシンク出力バッファ56を介して、出力端子57より44.1kHzのクロックを取り出すようにしている。なお、ワードシンク出力バッファ56については、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御されて、PCMデータ出力時には48kHzのワードシンク、もしくはAES3エンコードされたPCMデータを出力するように構成してもよい。
【0042】
上記入力端子21からの48kHz×512の周波数のクロックは、上述したAES3デコーダ13、AES3エンコーダ17、及びメータインターフェース22に供給されるのみならず、1bitDataフォーマットエンコーダ35、AES3デコーダ38、1bitDataフォーマットデコーダ42、及びAES3エンコーダ47に送られて、これらの回路を駆動する。
【0043】
ところで、従来と同様に、1ビットデータをフィルタ処理などによりマルチビットPCMデータに変換した後、サンプリング周波数を48kHzに変換することも可能である。図4の例では、1bitIFデコーダ33からの1ビットデータを、1bitData to PCM コンバータ61によりサンプリング周波数が44.1kHzのマルチビットPCMデータに変換し、サンプリングレートコンバータ62によりマルチビットPCMデータのサンプリング周波数を48kHzに変換し、切換スイッチ63の被選択端子aに送っている。切換スイッチ63の被選択端子bには、上記AESデコーダ13からのPCMデータが供給され、切換スイッチ63からの出力データが出力端子14に送られる。切換スイッチ63は、入力端子65からの1ビットデータ/PCMデータ変換入力切換制御信号により切換制御される。また、RAM43からの1ビットデータを、1bitData to PCM コンバータ61によりサンプリング周波数が44.1kHzのマルチビットPCMデータに変換し、サンプリングレートコンバータ62によりサンプリング周波数を48kHzに変換し、切換スイッチ67の被選択端子aに送っている。切換スイッチ67の被選択端子bには、入力端子16からのPCMデータが供給され、切換スイッチ67からの出力データがAESエンコーダ17に送られる。この切換スイッチ67は、入力端子66からの1ビットデータ/PCMデータ変換出力切換制御信号により切換制御される。1bitData to PCM コンバータ61及びサンプリングレートコンバータ62には、VCXO52からの22.5792MHz(=44.1kHz×512)のクロックが供給され、サンプリングレートコンバータ62には入力端子21からの48kHz×512のクロックも供給される。
【0044】
以上のような構成の音声処理部10を有するデジタルVTR装置において、出力端子36(又は14)からのPCMデータ(デジタルオーディオデータ)は、図1の記録系103に送られて、デジタルビデオデータと共に、ビデオテープ110上に図2に示すような記録トラック115を順次形成するように記録される。従って、記録されるPCMデータについても、ビデオ信号のフィールド/フレーム周波数との関係を考慮する必要がある。
【0045】
デジタルビデオ信号のフィールド周波数としては、NTSC方式のテレビジョン放送システム圏において多く用いられる60Hz(60フィールド/秒)と、59.94Hz(59.94フィールド/秒)とがあり、PAL方式のテレビジョン放送システム圏においては50Hz(50フィールド/秒)が多く用いられる。また、映画(24コマ/秒)との対応を考慮して、フレーム周波数を24Hz(24フレーム/秒)や、23.98Hz(23.98フレーム/秒)とするものも知られている。
【0046】
フィールド周波数が60Hzの場合、図7の(A)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、47040(=2822400/60)ビットとなり、各フィールド当たり47040ビットを等しく割り当てればよい。
【0047】
これに対してフィールド周波数が59.94Hzの場合には、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、47087.04(=2822400/59.94)ビットとなる。ここで、1フィールド当たり0.04ビットの端数は、25フィールドで1ビットとなることから、図7の(B)に示すように、25フィールドを1周期として1177176(=47087.04×25)ビットを割り当てればよく、1周期25フィールドの内の1フィールドには47088ビットを割り当て、24フィールドにはそれぞれ47087ビット割り当てればよい。これらのフィールドの識別は、25フィールド周期で1個の“0”と24個の“1”とが繰り返されるようなフィールドID(識別情報)を用い、フィールドIDが“0”のフィールドには47088ビットを、フィールドIDが“1”のフィールドには47087ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0048】
次に、フィールド周波数が50Hzの場合には、図8の(A)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、56448(=2822400/50)ビットとなり、各フィールド当たり56448ビットを等しく割り当てればよい。
【0049】
また、フレーム周波数が24Hz(フィールド周波数48Hz)の場合には、図8の(B)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フレーム当たり117600(=2822400/24)ビットとなり、1フィールド当たりでは58800(=117600/2)ビットとなるから、各フィールド当たりでは58800ビットを等しく割り当てればよい。
【0050】
これに対して、フレーム周波数が23.98Hz(フィールド周波数47.96Hz)の場合には、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フレーム当たり、117717.6(=2822400/23.98)ビットとなり、1フィールド当たりでは58858.8(=117717.6/2)ビットとなる。ここで、1フィールド当たり0.8ビットの端数は、5フィールドで4ビットとなることから、図8の(C)に示すように、5フィールドを1周期とし、1周期5フィールドの内の1フィールドには58858ビットを割り当て、4フィールドにはそれぞれ58859ビット割り当てればよい。これらのフィールドの識別には、5フィールド周期で1個の“0”と4個の“1”とが繰り返されるようなフィールドID(fieldID)を用い、フィールドIDが“0”のフィールドには58858ビットを、フィールドIDが“1”のフィールドには58859ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0051】
次に、図4の1bitDataフォーマットエンコーダ35におけるデータ変換処理の具体例として、上述したようにフィールド毎に割り当てられる1ビットデータ(サンプリング周波数2.8224MHz)を並べ替えて48kHzのマルチビットPCMデータに変換する処理について説明する。
【0052】
フィールド周波数が上記60Hzの場合、サンプリング周波数48kHzのPCMデータは、1フィールド当たり800(=48000/60)サンプルとなる。この800サンプルを、図9に示すように1セグメント5サンプルの160セグメントに分割し、各セグメントに識別のためのセグメント識別情報、すなわちセグメントID(SegmentID:0〜159)を付している。ここで、図9の(A)はフィールドパルスを、図9の(B)はPCMデータのサンプリングパルスをそれぞれ示し、図9の(C)は、1フィールドを1セグメント5サンプルの160セグメントに分割したものを示している。なお、1セグメント5サンプルとは、正確には1セグメントの長さが5サンプリング周期という意味である。フィールド周波数が60Hzの場合には、上述したように、1フィールド当たりそれぞれ47040ビットの1ビットデータを等しく割り当てればよいが、各セグメント当たりでは、294(=47040/160)ビットとなる。この294ビットを1セグメントの5サンプリング周期に割り当てるには、1サンプリング周期を58ビットとし、残りの4サンプリング周期をそれぞれ59ビットずつとすればよい。具体的には、サンプリング周期識別用の情報であるサンプリング周期ID(FsID)を用い、5サンプリング周期を1周期として1個の“1”と4個の“0”とを繰り返すようにし、サンプリング周期IDが“1”のサンプリング周期には58ビットを、サンプリング周期IDが“0”のサンプリング周期には59ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0053】
本実施の形態のデジタルVTR装置の規格上では、上述したように48kHz/24ビットのデジタルオーディオPCMデータを12チャンネル分記録再生可能であるが、上記1ビットデータの1チャンネル分の記録再生には、1サンプリング周期当たり、58ビットあるいは59ビットが必要であることから、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用い、24×3=72ビットの内から、上記58ビットあるいは59ビットを1ビットデータ用に割り当てるようにしている。
【0054】
図10は、このような3チャンネルのPCMデータの1サンプリング周期分(24ビットデータの3サンプル分)を示しており、図10の(A)に示すサンプリング周期IDが“1”(FsID=1)の3チャンネル分のサンプル(3サンプル)には58ビットの1ビットデータ(D)を割り当て、図10の(B)に示すサンプリング周期IDが“0”(FsID=0)の3サンプルには59ビットの1ビットデータ(D)を割り当てている。例えば、1サンプル24ビットの内のLSBから20ビットを1ビットデータ用の領域とし、3チャンネル分の計60ビットの1ビットデータ領域に対して、図10の(A)のFsID=1のサンプリング周期では、第1チャンネル(1ch)に20ビット、第2チャンネル(2ch)に19ビット、第3チャンネル(3ch)に19ビットをそれぞれ割り当てることで、計58ビットとしている。また、図10の(B)のFsID=0のサンプリング周期では、第1チャンネル(1ch)に20ビット、第2チャンネル(2ch)に20ビット、第3チャンネル(3ch)に19ビットをそれぞれ割り当てることで、計59ビットとしている。また、1サンプル24ビットの内のMSBからの4ビットの3チャンネル分(計12ビット)については、上記セグメントID(SegmentID)用の8ビット(S0〜S7)、サンプリング周期ID(FsID)用の2ビット(F0,F1)、フィールドID(fieldID)用の2ビット(f0,f1)にそれぞれ割り当てている。
【0055】
以上説明したように、図4の1bitDataフォーマットエンコーダ35において、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータの1チャンネル分を、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分に変換している。なお、1bitDataフォーマットエンコーダ35からのデータは、切換スイッチ28、出力端子36を介して、図1の記録系103に送られ、デジタルビデオデータと共にビデオテープ110上に記録されることは既に説明した通りである。このように、1ビットデータの1チャンネル分を、PCMデータの3チャンネルを用いて記録再生でき、1ビットデータの例えばステレオ左右の2チャンネル分を記録再生するためには、48kHz/24ビットのPCMデータの6チャンネル分を用いればよい。
【0056】
また、以上の説明は、1ビットデータの1チャンネルを48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネルに記録する例であるが、PCMデータの3チャンネルに記録されたデータを1ビットデータとして再生する際には、上述と逆の操作を行えばよい。すなわち、1ビットデータの1チャンネル分に対応するPCMデータの3チャンネルの再生データを図4の1bitDataフォーマットデコーダ42に供給し、上記セグメントID、サンプリング周期ID、フィールドIDを用いて、各サンプルの24ビットの内の上記20ビットの1ビットデータ領域から、20ビット又は19ビットを取り出し、図4のRAM43に書き込み、サンプリング周波数2.8224MHzで各ビットを順次読み出すことにより、1ビットデータを再生することができる。
【0057】
次に、上記図7の(B)に示したような、フィールド周波数が59.94Hzの場合には、サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり47087.04(=2822400/59.94)ビットとなるから、25フィールドを1周期とし、1周期25フィールドの内の1フィールド(fieldID=0)には47088ビットを割り当て、24フィールド(fieldID=1)にはそれぞれ47087ビット割り当てることになる。ただし、サンプリング周波数48kHzのPCMデータをフィールド周波数59.94Hzの各フィールドに割り当てるには、25フィールドで20020サンプル(サンプリング周期)、すなわち、5フィールドで4004サンプルとなることから、1周期5フィールドの内の1フィールド(5fieldID=0)に800サンプルを、4フィールド(5fieldID=1〜4)に801サンプルをそれぞれ割り当てるようにすればよい。
【0058】
図11は、このようなフィールド周波数59.94Hzのフィールドに対するサンプリング周波数48kHzのPCMデータのサンプル(サンプリング周期)の割り当てを示すものであり、図11の(A)はフィールドパルスを、図11の(B)はPCMデータのサンプリングパルスをそれぞれ示している。図11の(C)は、1周期25フィールドの内の1フィールド(fieldID=0)に800サンプル(サンプリング周期)を割り当てる場合を示し、図11の(D)は、残りの24フィールド(fieldID=1)の各フィールドにそれぞれ800もしくは801サンプル(サンプリング周期)を割り当てる場合を示している。
【0059】
図11の(C)に示すfieldID=0のフィールドには、800サンプル(サンプリング周期)、すなわち上述した1セグメント5サンプリング周期のセグメントを160セグメント(SegmentID=0〜159)割り当て、その内の48セグメントの各セグメントに1ビットデータの295ビットをそれぞれ割り当て、残りの112セグメントの各セグメントに1ビットデータの294ビットをそれぞれ割り当てることで、fieldID=0のフィールドに1ビットデータの47088ビットを割り当てるようにしている。
【0060】
1周期25フィールドの内の残りの24フィールド(fieldID=1)には、図11の(D)に示すように800もしくは801サンプル(サンプリング周期)を割り当てている。これは、上記1セグメントが5サンプリング周期の160セグメント(SegmentID=0〜159)に、1サンプリング周期からなるセグメントを1セグメント(SegmentID=160)付加することで実現している。この場合、SegmentID=0〜159の160セグメントの内の、47セグメントの各セグメントに1ビットデータの295ビットをそれぞれ割り当て、残りの113セグメントの各セグメントに1ビットデータの294ビットをそれぞれ割り当てると共に、SegmentID=160の1セグメントには1ビットデータを割り当てない(0ビットとする)ことで、fieldID=1のフィールドに1ビットデータの47087ビットを割り当てるようにしている。
【0061】
ここで、1セグメント5サンプリング周期のセグメントに294ビットを割り当てるには、上記図9と共に説明したように、1サンプリング周期(FsID=1)を58ビットとし、残りの4サンプリング周期(FsID=0)をそれぞれ59ビットずつとすればよい。1セグメントに295ビットを割り当てるには、5サンプリング周期全てをFsID=0としてそれぞれ59ビットずつ割り当てればよい。801サンプルあった場合には、801サンプル目であるSegmentID=160の1セグメントにはサンプリング周期IDがFsID=3のサンプリング周期を1つ割り当て、1ビットデータを含まない(0ビットとする)ようにしている。
【0062】
図12の(A)は、上記サンプリング周期IDが“1”(FsID=1)の場合の3チャンネル分のPCMデータ(24ビット×3サンプル)を示し、同様に、図12の(B)はFsID=0の場合を、図12の(C)はFsID=3の場合をそれぞれ示している。図12の(A)、(B)は、上述した図10の(A)、(B)と同様であるため、説明を省略する。図12の(C)の1サンプル24ビットの3チャンネル分については、各チャンネルのMSBからの4ビット分(計12ビット)は、上記図10の(A)、(B)や図12の(A)、(B)と同様に、セグメントID(SegmentID)用の8ビット(S0〜S7)、サンプリング周期ID(FsID)用の2ビット(F0,F1)、フィールドID(fieldID)用の2ビット(f0,f1)にそれぞれ割り当てているが、各チャンネルのLSBからの20ビット分(計60ビット)については、1ビットデータを割り当てない(0ビット)ようにしている。
【0063】
以上のようなビット割り当てを行うことにより、フィールド周波数59.94Hzの場合には、1フィールド当たり47087.04ビットの割合で、すなわち、25フィールドに対して1ビットデータの1177176ビットを割り当てることができる。この場合も、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータの1チャンネルを、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて記録再生することができる。
【0064】
また、上記図8に示したような、フィールド周波数が50Hzの場合や、フレーム周波数が24Hzあるいは23.98Hzの場合についても、上記フィールド当たりのビット割り当てを考慮し、各サンプリング周期毎のビット割り当てを調整することにより、48kHz/24ビットのPCMデータの何チャンネルかを用いて1ビットデータを記録再生することができる。
【0065】
上述したような本発明の実施の形態によれば、44.1kHz系の1ビットデータを、サンプリング周波数が48kHz系のデジタルVTR装置に記録し再生する際の音質劣化を最小限に抑制することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に用いられる記録再生装置の一例としてのデジタルVTR装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】デジタルVTR装置により記録されるビデオテープ上の記録フォーマットの一例を示す図である。
【図3】デジタルVTR装置の従来の音声処理部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に用いられるデジタルVTR装置の音声処理部の構成例を示すブロック図である。
【図5】データ伝送規格に基づく入出力レベルの具体例を示す波形図である。
【図6】異なる2つのデータ伝送規格を切換可能な入力バッファ及び出力バッファの一例を示すブロック図である。
【図7】フィールド周波数が60Hz及び59.94Hzの場合の1ビットデータのフィールド毎の割り当てを説明するための図である。
【図8】フィールド周波数が50Hz、フレーム周波数が24Hz及び23.98Hzの場合の1ビットデータのフィールド毎の割り当てを説明するための図である。
【図9】フィールド周波数が60Hzの場合の1フィールド内の各サンプリング周期毎の1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図10】フィールド周波数が60Hzの場合の1サンプリング周期内の3チャンネル分である3サンプルに対する1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図11】フィールド周波数が59.94Hzの場合の1フィールド内の各サンプリング周期毎の1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図12】フィールド周波数が59.94Hzの場合の1サンプリング周期内の3チャンネル分である3サンプルに対する1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
10 音声処理部、 24 48kHz系回路ブロック、 25 44.1kHz系回路ブロック、 33 1bitIFデコーダ、 34,43 RAM、 35 1bitDataフォーマットエンコーダ、 42 1bitDataフォーマットデコーダ、 44 1bitIFエンコーダ、 52 VCXO、 53 PLL、 54,55 分周器
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル記録装置及び方法、デジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置に関し、特に、シグマデルタ(ΣΔ)変調された1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)をPCM(Pulse Code Modulation)デジタル信号(PCMデータ)に変換して記録するためのデジタル記録装置及び方法、記録されたデジタル信号を再生して元の1ビットデジタルオーディオデータを得るためのデジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像・音声信号を記録再生する装置として、ビデオテープを用いるVTR装置が従来より知られており、近年においては、デジタルビデオ(映像)・オーディオ(音声)データを記録再生するデジタルVTR装置が多く用いられるようになっている。また、記録媒体にディスクやメモリ等を用いるものも供給されている。このようなデジタルVTR装置等のデジタル映像機器におけるデジタルオーディオ信号のサンプリング周波数は通常48kHzとなっている。
【0003】
これに対して、CD(Compact Disc)等のようなオーディオ信号をデジタル化して記録再生するフォーマットの場合には、サンプリング周波数が44.1kHzとなっているものが多い。例えばCD−DA(Digital Audio)規格においては、サンプリング周波数が44.1kHz、量子化ビット数が16ビットのPCM(Pulse Code Modulation)デジタル信号(PCMデータ)を用いている。
【0004】
一方、デジタルオーディオ信号の他の方式として、シグマデルタ(ΣΔ)変調と呼ばれる方法が、例えば非特許文献1に提案されている。このΣΔ変調により得られる1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)は、従来のCD等のデジタルオーディオに使用されていたデータのフォーマットに比べて、非常に高いサンプリング周波数と短いデータ語長(例えばサンプリング周波数が44.1kHzの64倍でデータ語長が1ビット)を有しており、伝送可能周波数帯域が広いという特長がある。また、ΣΔ変調により、1ビット信号であっても、64倍というオーバーサンプリング周波数に対して低域であるオーディオ帯域において、高いダイナミックレンジをも確保できる。この長所を生かして高音質の記録再生やデータ伝送に応用することができる。
【0005】
この1ビットΣΔ変調のオーディオ信号は、ソニー株式会社及びフィリップス株式会社が提唱する次世代CD規格としてのいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)におけるDSD(Direct Stream Digital)方式の信号として用いられている。
【0006】
従来技術として、特許文献1には、上記DSD方式の1ビットディジタルオーディオデータ(1ビットデータ)のマスタリング装置が開示され、特許文献2には、ディジタル音楽データ伝送において、伝送される音楽データに関する標本化周波数などの音楽データ情報をディジタル伝送する音楽データ情報伝送方法および装置が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】山崎芳男「AD/DA変換器とディジタルフィルター」、日本音響学会誌46巻3号(1990)第251〜257頁
【特許文献1】特開平9−261071号公報
【特許文献2】特開2001−5499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のようなサンプリング周波数が64×44.1kHz(=2.8224MHz)の1ビットデータを、デジタルVTR装置のようなオーディオサンプリング周波数が48kHzのデジタル映像機器に記録再生しようとすると、1ビットデータを一旦アナログ信号に変換し、48kHzのサンプリング周波数でサンプリングしてPCMデジタルオーディオ信号(PCMデータ)に変換することが必要とされ、これらのアナログ化及びデジタル化の際にフィルタ処理等の信号処理が必要となるため、音質劣化が生じることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、サンプリング周波数が44.1kHz系の1ビットデジタルオーディオデータ(1ビットデータ)を、サンプリング周波数が48kHz系の記録装置に記録し再生する際の音質劣化を最小限に抑制し得るようなデジタル記録装置及び方法、デジタル再生装置及び方法、並びにデジタルデータ変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録装置であって、入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと、上記エンコーダからの出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録手段とを有することを特徴としている。
【0011】
ここで、上記第1のサンプリング周波数と上記第2のサンプリング周波数との同期をとって各サンプリング周波数の整数倍のクロックを発生するクロック生成手段をさらに有し、上記クロック生成手段からの第1のサンプリング周波数の整数倍の第1のクロックにて上記入力された1ビットデジタルオーディオデータを上記記憶手段に書き込み、上記第2のサンプリング周波数の整数倍の第2のクロックにて上記記憶手段から1ビットデジタルオーディオデータを読み出すと共に該第2のクロックにより上記エンコーダを駆動することが好ましい。
【0012】
また、上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、上記クロック生成手段は、44.1kHzの512倍の周波数のクロックを発生するマスタークロック発振器と、このマスタークロック発振器からのマスタークロックを5倍に逓倍する逓倍器と、この逓倍器からのクロックを1/2352に分周する分周器とを有して成り、上記マスタークロックを上記第1のクロックとして出力し、上記第2のサンプリング周波数である48kHzの512倍のクロックを上記第2のクロックとして用いることが挙げられる。
【0013】
上記記録手段は、上記マルチビットPCMデータとしての48kHz/24ビットのPCMデータの12チャンネルをデジタルビデオデータと共に記録するものであり、上記48kHz/24ビットのPCMデータの各サンプル24ビットの内の20ビットを上記1ビットデータ領域とし、この1ビットデータ領域を有する48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて上記1ビットデジタルオーディオデータの1チャンネルを割り当てることが挙げられ、この場合、上記48kHz/24ビットのPCMデータに対して上記デジタルビデオデータのフィールドとの対応関係、フィールド内の位置及び割り当てビット数を識別するための識別情報を用い、PCMデータの各サンプル24ビットの内の上記1ビットデータ領域を除く4ビットの3チャンネル分の12ビットの領域に上記識別情報を配置することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上述の課題を解決するために、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録方法であって、上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込む書き込み工程と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と、上記記憶手段から読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換するエンコード工程と、上記エンコードされた出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録工程とを有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上述の課題を解決するために、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換するデジタルデータ変換装置であって、入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダとを有することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生装置であって、上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生手段と、上記再生手段により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生方法であって、上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生工程と、上記再生工程により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコード工程と、上記デコード工程によりデコードされた上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを記憶手段に書き込む書き込み工程と、上記記憶手段から上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程とを有することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って、マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換するデジタルデータ変換装置であって、上記マルチビットPCMデータ内の1ビットデータ領域から読み出されたデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換する際に、第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込み、記憶手段から第2のサンプリング周波数に同期したクロックで1ビットデジタルオーディオデータを読み出し、読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換することにより、音質劣化を最小限に抑制して、1ビットデジタルオーディオデータをマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録することが可能となり、記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に用いられる記録再生装置として、デジタルVTR装置の具体例を概略的に示すブロック図である。この図1に示すデジタルVTR装置は、デジタルビデオ(映像)・オーディオ(音声)信号を、テープ状記録媒体であるいわゆるビデオテープ110に対して記録再生するものである。
【0022】
このデジタルVTR装置により記録再生されるデジタルオーディオデータのサンプリング周波数は48kHzとなっているのに対して、本実施の形態においては、サンプリング周波数が44.1KHz系の1ビットデータ(1ビットデジタルオーディオデータ)を、上記デジタルVTR装置に記録するために、サンプリング周波数48kHzのPCMデータにビット並び替えにより変換し、また、再生の際には再び1ビットデータに逆変換する場合を想定している。なお、上記1ビットデータとしては、ソニー株式会社及びフィリップス株式会社が提唱する次世代CD規格としてのいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)におけるDSD(Direct Stream Digital)方式の1ビットΣΔ変調のオーディオ信号データが挙げられ、このDSD方式の1ビットデータのサンプリング周波数は、2.8224MHz(=64×44.1kHz)となっている。
【0023】
この図1において、ビデオ入力端子101に入力されたデジタルビデオデータは、圧縮符号化部102に送られて圧縮符号化され、記録系103に送られる。また、オーディオ入力端子111に入力されたデジタルオーディオデータは、音声処理部10の記録音声処理回路部10aに送られて記録のための音声処理が施され、記録系103に送られる。記録系103では、圧縮符号化部102からの圧縮ビデオデータ及び記録音声処理回路部10aからのデジタルオーディオデータに対して所定の記録フォーマットに従った記録信号に変換し、記録アンプ104を介して回転ヘッド105に供給することにより、ビデオテープ110の斜めの記録トラック(ヘリカルトラック)に記録する。
【0024】
図2は、ビデオテープ110上の記録フォーマットの一例を示し、ビデオテープ110には、テープ走行方向である長手方向に対して傾斜した記録トラック115が順次形成される。この具体例では、互いに隣接する2本の記録トラック115における記録アジマスは互いに異なるようにされている。記録トラック115の走査開始側及び走査終了側の領域は、それぞれビデオデータ領域ARVU,ARVLとされ、これらのビデオデータ領域ARVU,ARVLに挟まれた領域は、オーディオデータ領域ARAとされている。
【0025】
この図2に示すビデオテープ110の記録トラック115を、図1の回転ヘッド105により走査することにより得られた再生信号は、再生アンプ106で増幅されて再生系107に送られ、波形等化や復調処理を含む信号再生処理が施され、デジタルビデオデータが伸長復号部108に、デジタルオーディオデータが音声処理部10の再生音声処理回路部10bに送られる。伸長復号部108では、ビデオ記録の際の圧縮符号化部102における圧縮符号化処理の逆の処理としての伸長復号処理が施され、得られたデジタルビデオデータが出力端子109より取り出される。再生音声処理回路部10bでは、記録音声処理回路部10aにおける処理の逆の処理が施され、得られたデジタルオーディオデータが出力端子119より取り出される。
【0026】
ここで、上記デジタルVTR装置において記録再生されるデジタルオーディオデータの規格の一例として、サンプリング周波数が48kHzで24ビットのPCMデータを12チャンネル記録再生するものを想定している。本実施の形態は、上述したように、サンプリング周波数が64×44.1kHz(=2.8224MHz)の1ビットデータを、サンプリング周波数48kHz/24ビットのPCMデータ記録枠にビット並び替えにより変換し、後述するように12チャンネルのオーディオチャンネルの3チャンネル分の記録枠を用いて記録するものである。
【0027】
すなわち、上記デジタルVTR装置の本来の48kHz/24ビットのPCMオーディオ記録再生のための音声処理部は、図3に示す音声処理部10’のような構成を有しているのに対し、本実施の形態の音声処理部は、図4に示すように、44.1KHz系の1ビットデジタルオーディオデータを48kHz系のPCMデータ(PCMデジタルオーディオデータ)にビット並び替えにより変換し、また逆変換するための構成が付加された音声処理部10となっている。先ず、図3の音声処理部10’及び図4の音声処理部10の共通部分としての48kHz/24ビットのPCMデータを記録再生するための構成について説明する。
【0028】
図3、図4において、入力端子11には48kHz/24ビットのPCMデータが入力される。この例におけるPCMデータは、デジタルオーディオ規格であるAES/EBU(Audio Engineering Society/European Broadcasting Union)規格の一つのAES3フォーマット(AES−3id−2001)に従って伝送されており、信号伝送には同軸ケーブルが用いられ、入力端子11にはBNCコネクタが用いられている。入力端子11からのPCMデータは、AES3入力バッファ12を介してAES3デコーダ13に送られ、AES3デコーダ13にてAES3規格のフォーマットからVTR記録用のPCMデータフォーマットに変換された後、出力端子14を介して取り出されて、図1の記録系103に送られる。
【0029】
図1の再生系107からのPCMデータは、図3、図4の入力端子16を介してAES3エンコーダ17に送られて、AES3規格のフォーマットのPCMデータに変換され、AES3出力バッファ18を介し出力端子19より取り出される。出力端子19にはBNCコネクタが用いられ、信号伝送には同軸ケーブルが用いられる。
【0030】
入力端子21には、デジタルVTR装置のPCMデータのオーディオクロックとして、48kHz×512の周波数のクロック信号が入力され、AES3デコーダ13、AES3エンコーダ17、及びメータインターフェース22に供給される。メータインターフェース22には、AES3デコーダ13からのPCMデータ及び入力端子16からのPCMデータが入力され、デジタルVTR装置のオーディオレベルメータ表示のためのメータ用データを出力して出力端子23に送っている。
【0031】
なお、図3、図4に示す例において、音声処理部10(10’)の主要回路は、例えばいわゆるFPGA(Field Programmable Gate Array)20(20’)により構成されており、ブロック24(24’)は48kHz系回路部を、ブロック25は44.1kHz系回路部それぞれ示している。
【0032】
次に、図4の音声処理部10において、図3の構成から付加された部分について説明する。
【0033】
図4の入力端子31には、上記サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータ(1ビットデジタルオーディオデータ)が入力される。この1ビットデータは、上述したようなソニー株式会社及びフィリップス株式会社のいわゆるスーパーオーディオCD(SACD)に用いられるDSD(Direct Stream Digital)方式の1ビットΣΔ変調のオーディオ信号データであり、信号伝送には上記1ビットデータを伝送可能な規格(1bitIF)が用いられる。ここで1ビットデータ伝送規格(1bitIF)の具体例としては、ソニー株式会社が提示するデジタルオーディオ伝送規格であるSDIF(Sony Digital Interface Format)規格のSDIF−3を用いることができる。このSDIF−3の規格は、特性インピーダンス75Ωの同軸ケーブルとBNCコネクタを用いて送受信を行い、入出力レベルは、図5の(A)に示すようにTTLレベルである。なお、図5の(B)は、上記AES3の入出力レベルを示し、正負の値をとる。
【0034】
この図5の(A)、(B)に示すように、1ビットデータ伝送規格(1bitIF)とAES3とは、入出力レベルは異なるものの、いずれも同軸ケーブル及びBNCコネクタを用いるものであるため、入力端子31を、上記1ビットデータの入力とPCMデータの入力とに共用できる。また、出力端子46も同様にBNCコネクタを用い、1ビットデータの出力とPCMデータの出力とに共用できる。
【0035】
入力端子31に入力された1ビットデータ又はPCMデータは、1bitIF/AES3入力バッファ32に送られる。この1bitIF/AES3入力バッファ32は、例えば図6の(A)に示すように、BNCコネクタを用いた入力端子31からのデータを、1bitIF入力バッファ32aと、AES3入力バッファ32bとに送り、1bitIF入力バッファ32aからの出力を切換スイッチ32cの被選択端子aに、AES3入力バッファ32bからの出力を切換スイッチ32cの被選択端子bにそれぞれ送るように構成され、切換スイッチ32cは、入力端子37からの1ビットデータ/PCMデータ入力切換制御信号により切換制御される。切換スイッチ32cからの出力データは、図4の1bitIFデコーダ33、AES3デコーダ38に送っている。なお、1bitIF/AES3入力バッファ32を共通化し、入力信号に対する閾値レベルを切換選択するようにしてもよい。この場合、例えば、1ビットデータ入力時には閾値レベルを1.5Vに、PCMデータ入力時には閾値レベルを0Vにそれぞれ切換制御すればよい。
【0036】
また、BNCコネクタを用いた出力端子46に接続される1bitIF/AES3出力バッファ45についても同様に、例えば図6の(B)に示すように構成できる。図6の(B)の例では、図4の切換スイッチ29からのデータを、1bitIF出力バッファ45aと、AES3入力バッファ45bとに送り、1bitIF入力バッファ45aからの出力を切換スイッチ45cの被選択端子aに、AES3入力バッファ45bからの出力を切換スイッチ45cの被選択端子bにそれぞれ送り、切換スイッチ32cからの出力データを出力端子46に送っている。切換スイッチ45cは、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御される。この1bitIF/AES3出力バッファ45についても共通化し、出力レベルを切換選択するようにしてもよい。この場合、例えば、1ビットデータ出力時にはDCオフセットを1.5V、ゲインを3Vppに切り換え、PCMデータ出力時にはDCオフセットを0V、ゲインを1Vppに切り換えればよい。
【0037】
図4に戻って、1bitIF/AES3入力バッファ32からの1ビットデータは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFデコーダ33に送られて1bitIFの伝送規格のデコードが行われ、RAM(例えばデュアルポートRAM)34に送られる。RAM34では、44.1kHz系から48kHz系へのクロック周波数の変換が行われ、RAM34からのデータが48kHz系回路ブロック24の1bitDataフォーマットエンコーダ35に送られる。この1bitDataフォーマットエンコーダ35では、後述するように1ビットデータを48kHzPCMデータの記録枠に記録するためのビット並び替えによるデータ変換が行われ、変換出力データが切換スイッチ28の被選択端子aに送られる。また、1bitIF/AES3入力バッファ32からのPCMデータは、48kHz系回路ブロック24のAES3デコーダ38に送られ、AES3の伝送規格のデコードが行われた後、切換スイッチ28の被選択端子bに送られる。切換スイッチ28は、入力端子37からの1ビットデータ/PCMデータ入力切換制御信号により切換制御され、切換スイッチ28からの出力データが出力端子36より出力され、図1の記録系103に送られる。
【0038】
図1の再生系107からのデータは、図4の入力端子41を介して、48kHz系回路ブロック24の1bitDataフォーマットデコーダ42、AES3エンコーダ47に送られる。1bitDataフォーマットデコーダ42は、48kHzPCMデータとして記録された1ビットデータ(PCM記録枠に記録されたデータ)を元の1ビットデータに戻すものであり、上記1bitDataフォーマットエンコーダ35の逆変換処理を行う。クロック周波数は48kHz系のままであり、RAM(例えばデュアルポートRAM)43により、44.1kHz系のクロック周波数に変換される。RAM43からのデータは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFエンコーダ44に送られ、所定の1bitIF伝送規格(例えばソニー株式会社が提示する上記SDIF−3規格)のフォーマットのデータに変換される。1bitIFエンコーダ44からのデータは、切換スイッチ29の被選択端子aに送られる。また、AES3エンコーダ47では、入力端子41からのデータが上記AES3伝送規格のフォーマットのPCMデータに変換され、切換スイッチ29の被選択端子bに送られる。切換スイッチ29は、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御され、切換スイッチ29からのデータは、1bitIF/AES3出力バッファ45に送られる。
【0039】
次に、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータと、サンプリング周波数48kHzのPCMデータとのクロック同期について説明する。概略的には、44.1kHz系のマスタークロックを逓倍し分周することで48kHzのクロックを生成し、この48kHzのクロックをデジタルVTR装置のオーディオクロックと同期させ、入出力する1ビットデータを並べ替えて48kHzのPCMデータとして(PCM記録枠のデータとして)記録再生している。
【0040】
図4の入力端子51には、上述したデジタルVTR装置のPCMデータの記録のための48kHzのオーディオクロックが入力されており、この48kHzクロックが水晶発振器であるVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)52に供給され、VCXO52は44.1kHzの512倍(=22.5792MHz)の周波数のマスタークロックを発生する。VCXO52からのマスタークロックは、PLL(Phase Locked Loop)回路53に送られて5倍の周波数(112.896MHz)のクロックとされ、分周器54で1/2352されることで48kHzのクロックとなり、これがVCXO52に送られて、入力端子51からの48kHzクロックとの同期がとられる。PLL回路53は周波数を5倍に逓倍する逓倍器として用いられており、これらのVCXO52,PLL回路53、分周器54により、デジタルVTR装置のPCMデータ記録用の48kHzクロックに同期した44.1kHzクロックを生成するクロック生成手段が構成されている。
【0041】
VCXO52からの22.5792MHz(=44.1kHz×512)のクロックは、44.1kHz系回路ブロック25の1bitIFデコーダ33及び1bitIFエンコーダ44と、RAM34、43に送られると共に、44.1kHz系回路ブロック25の分周器55に送られて、これらの回路を駆動する。分周器55は、22.5792MHzのクロックを1/512に分周することで、44.1kHzのクロックを生成し、ワードシンク出力バッファ56を介して、出力端子57より44.1kHzのクロックを取り出すようにしている。なお、ワードシンク出力バッファ56については、入力端子48からの1ビットデータ/PCMデータ出力切換制御信号により切換制御されて、PCMデータ出力時には48kHzのワードシンク、もしくはAES3エンコードされたPCMデータを出力するように構成してもよい。
【0042】
上記入力端子21からの48kHz×512の周波数のクロックは、上述したAES3デコーダ13、AES3エンコーダ17、及びメータインターフェース22に供給されるのみならず、1bitDataフォーマットエンコーダ35、AES3デコーダ38、1bitDataフォーマットデコーダ42、及びAES3エンコーダ47に送られて、これらの回路を駆動する。
【0043】
ところで、従来と同様に、1ビットデータをフィルタ処理などによりマルチビットPCMデータに変換した後、サンプリング周波数を48kHzに変換することも可能である。図4の例では、1bitIFデコーダ33からの1ビットデータを、1bitData to PCM コンバータ61によりサンプリング周波数が44.1kHzのマルチビットPCMデータに変換し、サンプリングレートコンバータ62によりマルチビットPCMデータのサンプリング周波数を48kHzに変換し、切換スイッチ63の被選択端子aに送っている。切換スイッチ63の被選択端子bには、上記AESデコーダ13からのPCMデータが供給され、切換スイッチ63からの出力データが出力端子14に送られる。切換スイッチ63は、入力端子65からの1ビットデータ/PCMデータ変換入力切換制御信号により切換制御される。また、RAM43からの1ビットデータを、1bitData to PCM コンバータ61によりサンプリング周波数が44.1kHzのマルチビットPCMデータに変換し、サンプリングレートコンバータ62によりサンプリング周波数を48kHzに変換し、切換スイッチ67の被選択端子aに送っている。切換スイッチ67の被選択端子bには、入力端子16からのPCMデータが供給され、切換スイッチ67からの出力データがAESエンコーダ17に送られる。この切換スイッチ67は、入力端子66からの1ビットデータ/PCMデータ変換出力切換制御信号により切換制御される。1bitData to PCM コンバータ61及びサンプリングレートコンバータ62には、VCXO52からの22.5792MHz(=44.1kHz×512)のクロックが供給され、サンプリングレートコンバータ62には入力端子21からの48kHz×512のクロックも供給される。
【0044】
以上のような構成の音声処理部10を有するデジタルVTR装置において、出力端子36(又は14)からのPCMデータ(デジタルオーディオデータ)は、図1の記録系103に送られて、デジタルビデオデータと共に、ビデオテープ110上に図2に示すような記録トラック115を順次形成するように記録される。従って、記録されるPCMデータについても、ビデオ信号のフィールド/フレーム周波数との関係を考慮する必要がある。
【0045】
デジタルビデオ信号のフィールド周波数としては、NTSC方式のテレビジョン放送システム圏において多く用いられる60Hz(60フィールド/秒)と、59.94Hz(59.94フィールド/秒)とがあり、PAL方式のテレビジョン放送システム圏においては50Hz(50フィールド/秒)が多く用いられる。また、映画(24コマ/秒)との対応を考慮して、フレーム周波数を24Hz(24フレーム/秒)や、23.98Hz(23.98フレーム/秒)とするものも知られている。
【0046】
フィールド周波数が60Hzの場合、図7の(A)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、47040(=2822400/60)ビットとなり、各フィールド当たり47040ビットを等しく割り当てればよい。
【0047】
これに対してフィールド周波数が59.94Hzの場合には、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、47087.04(=2822400/59.94)ビットとなる。ここで、1フィールド当たり0.04ビットの端数は、25フィールドで1ビットとなることから、図7の(B)に示すように、25フィールドを1周期として1177176(=47087.04×25)ビットを割り当てればよく、1周期25フィールドの内の1フィールドには47088ビットを割り当て、24フィールドにはそれぞれ47087ビット割り当てればよい。これらのフィールドの識別は、25フィールド周期で1個の“0”と24個の“1”とが繰り返されるようなフィールドID(識別情報)を用い、フィールドIDが“0”のフィールドには47088ビットを、フィールドIDが“1”のフィールドには47087ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0048】
次に、フィールド周波数が50Hzの場合には、図8の(A)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり、56448(=2822400/50)ビットとなり、各フィールド当たり56448ビットを等しく割り当てればよい。
【0049】
また、フレーム周波数が24Hz(フィールド周波数48Hz)の場合には、図8の(B)に示すように、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フレーム当たり117600(=2822400/24)ビットとなり、1フィールド当たりでは58800(=117600/2)ビットとなるから、各フィールド当たりでは58800ビットを等しく割り当てればよい。
【0050】
これに対して、フレーム周波数が23.98Hz(フィールド周波数47.96Hz)の場合には、上記サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フレーム当たり、117717.6(=2822400/23.98)ビットとなり、1フィールド当たりでは58858.8(=117717.6/2)ビットとなる。ここで、1フィールド当たり0.8ビットの端数は、5フィールドで4ビットとなることから、図8の(C)に示すように、5フィールドを1周期とし、1周期5フィールドの内の1フィールドには58858ビットを割り当て、4フィールドにはそれぞれ58859ビット割り当てればよい。これらのフィールドの識別には、5フィールド周期で1個の“0”と4個の“1”とが繰り返されるようなフィールドID(fieldID)を用い、フィールドIDが“0”のフィールドには58858ビットを、フィールドIDが“1”のフィールドには58859ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0051】
次に、図4の1bitDataフォーマットエンコーダ35におけるデータ変換処理の具体例として、上述したようにフィールド毎に割り当てられる1ビットデータ(サンプリング周波数2.8224MHz)を並べ替えて48kHzのマルチビットPCMデータに変換する処理について説明する。
【0052】
フィールド周波数が上記60Hzの場合、サンプリング周波数48kHzのPCMデータは、1フィールド当たり800(=48000/60)サンプルとなる。この800サンプルを、図9に示すように1セグメント5サンプルの160セグメントに分割し、各セグメントに識別のためのセグメント識別情報、すなわちセグメントID(SegmentID:0〜159)を付している。ここで、図9の(A)はフィールドパルスを、図9の(B)はPCMデータのサンプリングパルスをそれぞれ示し、図9の(C)は、1フィールドを1セグメント5サンプルの160セグメントに分割したものを示している。なお、1セグメント5サンプルとは、正確には1セグメントの長さが5サンプリング周期という意味である。フィールド周波数が60Hzの場合には、上述したように、1フィールド当たりそれぞれ47040ビットの1ビットデータを等しく割り当てればよいが、各セグメント当たりでは、294(=47040/160)ビットとなる。この294ビットを1セグメントの5サンプリング周期に割り当てるには、1サンプリング周期を58ビットとし、残りの4サンプリング周期をそれぞれ59ビットずつとすればよい。具体的には、サンプリング周期識別用の情報であるサンプリング周期ID(FsID)を用い、5サンプリング周期を1周期として1個の“1”と4個の“0”とを繰り返すようにし、サンプリング周期IDが“1”のサンプリング周期には58ビットを、サンプリング周期IDが“0”のサンプリング周期には59ビットをそれぞれ割り当てるように制御すればよい。
【0053】
本実施の形態のデジタルVTR装置の規格上では、上述したように48kHz/24ビットのデジタルオーディオPCMデータを12チャンネル分記録再生可能であるが、上記1ビットデータの1チャンネル分の記録再生には、1サンプリング周期当たり、58ビットあるいは59ビットが必要であることから、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用い、24×3=72ビットの内から、上記58ビットあるいは59ビットを1ビットデータ用に割り当てるようにしている。
【0054】
図10は、このような3チャンネルのPCMデータの1サンプリング周期分(24ビットデータの3サンプル分)を示しており、図10の(A)に示すサンプリング周期IDが“1”(FsID=1)の3チャンネル分のサンプル(3サンプル)には58ビットの1ビットデータ(D)を割り当て、図10の(B)に示すサンプリング周期IDが“0”(FsID=0)の3サンプルには59ビットの1ビットデータ(D)を割り当てている。例えば、1サンプル24ビットの内のLSBから20ビットを1ビットデータ用の領域とし、3チャンネル分の計60ビットの1ビットデータ領域に対して、図10の(A)のFsID=1のサンプリング周期では、第1チャンネル(1ch)に20ビット、第2チャンネル(2ch)に19ビット、第3チャンネル(3ch)に19ビットをそれぞれ割り当てることで、計58ビットとしている。また、図10の(B)のFsID=0のサンプリング周期では、第1チャンネル(1ch)に20ビット、第2チャンネル(2ch)に20ビット、第3チャンネル(3ch)に19ビットをそれぞれ割り当てることで、計59ビットとしている。また、1サンプル24ビットの内のMSBからの4ビットの3チャンネル分(計12ビット)については、上記セグメントID(SegmentID)用の8ビット(S0〜S7)、サンプリング周期ID(FsID)用の2ビット(F0,F1)、フィールドID(fieldID)用の2ビット(f0,f1)にそれぞれ割り当てている。
【0055】
以上説明したように、図4の1bitDataフォーマットエンコーダ35において、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータの1チャンネル分を、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分に変換している。なお、1bitDataフォーマットエンコーダ35からのデータは、切換スイッチ28、出力端子36を介して、図1の記録系103に送られ、デジタルビデオデータと共にビデオテープ110上に記録されることは既に説明した通りである。このように、1ビットデータの1チャンネル分を、PCMデータの3チャンネルを用いて記録再生でき、1ビットデータの例えばステレオ左右の2チャンネル分を記録再生するためには、48kHz/24ビットのPCMデータの6チャンネル分を用いればよい。
【0056】
また、以上の説明は、1ビットデータの1チャンネルを48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネルに記録する例であるが、PCMデータの3チャンネルに記録されたデータを1ビットデータとして再生する際には、上述と逆の操作を行えばよい。すなわち、1ビットデータの1チャンネル分に対応するPCMデータの3チャンネルの再生データを図4の1bitDataフォーマットデコーダ42に供給し、上記セグメントID、サンプリング周期ID、フィールドIDを用いて、各サンプルの24ビットの内の上記20ビットの1ビットデータ領域から、20ビット又は19ビットを取り出し、図4のRAM43に書き込み、サンプリング周波数2.8224MHzで各ビットを順次読み出すことにより、1ビットデータを再生することができる。
【0057】
次に、上記図7の(B)に示したような、フィールド周波数が59.94Hzの場合には、サンプリング周波数が2.8224MHzの1ビットデータは、1フィールド当たり47087.04(=2822400/59.94)ビットとなるから、25フィールドを1周期とし、1周期25フィールドの内の1フィールド(fieldID=0)には47088ビットを割り当て、24フィールド(fieldID=1)にはそれぞれ47087ビット割り当てることになる。ただし、サンプリング周波数48kHzのPCMデータをフィールド周波数59.94Hzの各フィールドに割り当てるには、25フィールドで20020サンプル(サンプリング周期)、すなわち、5フィールドで4004サンプルとなることから、1周期5フィールドの内の1フィールド(5fieldID=0)に800サンプルを、4フィールド(5fieldID=1〜4)に801サンプルをそれぞれ割り当てるようにすればよい。
【0058】
図11は、このようなフィールド周波数59.94Hzのフィールドに対するサンプリング周波数48kHzのPCMデータのサンプル(サンプリング周期)の割り当てを示すものであり、図11の(A)はフィールドパルスを、図11の(B)はPCMデータのサンプリングパルスをそれぞれ示している。図11の(C)は、1周期25フィールドの内の1フィールド(fieldID=0)に800サンプル(サンプリング周期)を割り当てる場合を示し、図11の(D)は、残りの24フィールド(fieldID=1)の各フィールドにそれぞれ800もしくは801サンプル(サンプリング周期)を割り当てる場合を示している。
【0059】
図11の(C)に示すfieldID=0のフィールドには、800サンプル(サンプリング周期)、すなわち上述した1セグメント5サンプリング周期のセグメントを160セグメント(SegmentID=0〜159)割り当て、その内の48セグメントの各セグメントに1ビットデータの295ビットをそれぞれ割り当て、残りの112セグメントの各セグメントに1ビットデータの294ビットをそれぞれ割り当てることで、fieldID=0のフィールドに1ビットデータの47088ビットを割り当てるようにしている。
【0060】
1周期25フィールドの内の残りの24フィールド(fieldID=1)には、図11の(D)に示すように800もしくは801サンプル(サンプリング周期)を割り当てている。これは、上記1セグメントが5サンプリング周期の160セグメント(SegmentID=0〜159)に、1サンプリング周期からなるセグメントを1セグメント(SegmentID=160)付加することで実現している。この場合、SegmentID=0〜159の160セグメントの内の、47セグメントの各セグメントに1ビットデータの295ビットをそれぞれ割り当て、残りの113セグメントの各セグメントに1ビットデータの294ビットをそれぞれ割り当てると共に、SegmentID=160の1セグメントには1ビットデータを割り当てない(0ビットとする)ことで、fieldID=1のフィールドに1ビットデータの47087ビットを割り当てるようにしている。
【0061】
ここで、1セグメント5サンプリング周期のセグメントに294ビットを割り当てるには、上記図9と共に説明したように、1サンプリング周期(FsID=1)を58ビットとし、残りの4サンプリング周期(FsID=0)をそれぞれ59ビットずつとすればよい。1セグメントに295ビットを割り当てるには、5サンプリング周期全てをFsID=0としてそれぞれ59ビットずつ割り当てればよい。801サンプルあった場合には、801サンプル目であるSegmentID=160の1セグメントにはサンプリング周期IDがFsID=3のサンプリング周期を1つ割り当て、1ビットデータを含まない(0ビットとする)ようにしている。
【0062】
図12の(A)は、上記サンプリング周期IDが“1”(FsID=1)の場合の3チャンネル分のPCMデータ(24ビット×3サンプル)を示し、同様に、図12の(B)はFsID=0の場合を、図12の(C)はFsID=3の場合をそれぞれ示している。図12の(A)、(B)は、上述した図10の(A)、(B)と同様であるため、説明を省略する。図12の(C)の1サンプル24ビットの3チャンネル分については、各チャンネルのMSBからの4ビット分(計12ビット)は、上記図10の(A)、(B)や図12の(A)、(B)と同様に、セグメントID(SegmentID)用の8ビット(S0〜S7)、サンプリング周期ID(FsID)用の2ビット(F0,F1)、フィールドID(fieldID)用の2ビット(f0,f1)にそれぞれ割り当てているが、各チャンネルのLSBからの20ビット分(計60ビット)については、1ビットデータを割り当てない(0ビット)ようにしている。
【0063】
以上のようなビット割り当てを行うことにより、フィールド周波数59.94Hzの場合には、1フィールド当たり47087.04ビットの割合で、すなわち、25フィールドに対して1ビットデータの1177176ビットを割り当てることができる。この場合も、サンプリング周波数2.8224MHz(=64×44.1kHz)の1ビットデータの1チャンネルを、48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて記録再生することができる。
【0064】
また、上記図8に示したような、フィールド周波数が50Hzの場合や、フレーム周波数が24Hzあるいは23.98Hzの場合についても、上記フィールド当たりのビット割り当てを考慮し、各サンプリング周期毎のビット割り当てを調整することにより、48kHz/24ビットのPCMデータの何チャンネルかを用いて1ビットデータを記録再生することができる。
【0065】
上述したような本発明の実施の形態によれば、44.1kHz系の1ビットデータを、サンプリング周波数が48kHz系のデジタルVTR装置に記録し再生する際の音質劣化を最小限に抑制することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に用いられる記録再生装置の一例としてのデジタルVTR装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】デジタルVTR装置により記録されるビデオテープ上の記録フォーマットの一例を示す図である。
【図3】デジタルVTR装置の従来の音声処理部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に用いられるデジタルVTR装置の音声処理部の構成例を示すブロック図である。
【図5】データ伝送規格に基づく入出力レベルの具体例を示す波形図である。
【図6】異なる2つのデータ伝送規格を切換可能な入力バッファ及び出力バッファの一例を示すブロック図である。
【図7】フィールド周波数が60Hz及び59.94Hzの場合の1ビットデータのフィールド毎の割り当てを説明するための図である。
【図8】フィールド周波数が50Hz、フレーム周波数が24Hz及び23.98Hzの場合の1ビットデータのフィールド毎の割り当てを説明するための図である。
【図9】フィールド周波数が60Hzの場合の1フィールド内の各サンプリング周期毎の1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図10】フィールド周波数が60Hzの場合の1サンプリング周期内の3チャンネル分である3サンプルに対する1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図11】フィールド周波数が59.94Hzの場合の1フィールド内の各サンプリング周期毎の1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【図12】フィールド周波数が59.94Hzの場合の1サンプリング周期内の3チャンネル分である3サンプルに対する1ビットデータの割り当てを説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
10 音声処理部、 24 48kHz系回路ブロック、 25 44.1kHz系回路ブロック、 33 1bitIFデコーダ、 34,43 RAM、 35 1bitDataフォーマットエンコーダ、 42 1bitDataフォーマットデコーダ、 44 1bitIFエンコーダ、 52 VCXO、 53 PLL、 54,55 分周器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録装置であって、
入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと、
上記エンコーダからの出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録手段と
を有することを特徴とするデジタル記録装置。
【請求項2】
上記第1のサンプリング周波数と上記第2のサンプリング周波数との同期をとって各サンプリング周波数の整数倍のクロックを発生するクロック生成手段をさらに有し、
上記クロック生成手段からの第1のサンプリング周波数の整数倍の第1のクロックにて上記入力された1ビットデジタルオーディオデータを上記記憶手段に書き込み、上記第2のサンプリング周波数の整数倍の第2のクロックにて上記記憶手段から1ビットデジタルオーディオデータを読み出すと共に該第2のクロックにより上記エンコーダを駆動することを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項3】
上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、
上記クロック生成手段は、44.1kHzの512倍の周波数のクロックを発生するマスタークロック発振器と、このマスタークロック発振器からのマスタークロックを5倍に逓倍する逓倍器と、この逓倍器からのクロックを1/2352に分周する分周器とを有して成り、上記マスタークロックを上記第1のクロックとして出力し、
上記第2のサンプリング周波数である48kHzの512倍のクロックを上記第2のクロックとして用いることを特徴とする請求項2記載のデジタル記録装置。
【請求項4】
上記記録フォーマットのマルチビットPCMデータの各サンプルの一部のビットの複数チャンネル分を上記1ビットデータ領域として用いることを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項5】
上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、
上記記録手段は、上記マルチビットPCMデータとしての48kHz/24ビットのPCMデータの12チャンネルをデジタルビデオデータと共に記録するものであり、
上記48kHz/24ビットのPCMデータの各サンプル24ビットの内の20ビットを上記1ビットデータ領域とし、この1ビットデータ領域を有する48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて上記1ビットデジタルオーディオデータの1チャンネルを割り当てることを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項6】
上記48kHz/24ビットのPCMデータに対して上記デジタルビデオデータのフィールドとの対応関係、フィールド内の位置及び割り当てビット数を識別するための識別情報を用い、PCMデータの各サンプル24ビットの内の上記1ビットデータ領域を除く4ビットの3チャンネル分の12ビットの領域に上記識別情報を配置することを特徴とする請求項5記載のデジタル記録装置。
【請求項7】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録方法であって、
上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込む書き込み工程と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と、
上記記憶手段から読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換するエンコード工程と、
上記エンコードされた出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録工程と
を有することを特徴とするデジタル記録方法。
【請求項8】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換するデジタルデータ変換装置であって、
入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと
を有することを特徴とするデジタルデータ変換装置。
【請求項9】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生装置であって、
上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、
上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生手段と、
上記再生手段により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、
上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段と
を有することを特徴とするデジタル再生装置。
【請求項10】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生方法であって、
上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、
上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生工程と、
上記再生工程により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコード工程と、
上記デコード工程によりデコードされた上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを記憶手段に書き込む書き込み工程と、
上記記憶手段から上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と
を有することを特徴とするデジタル再生方法。
【請求項11】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って、マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換するデジタルデータ変換装置であって、
上記マルチビットPCMデータ内の1ビットデータ領域から読み出されたデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、
上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段と
を有することを特徴とするデジタルデータ変換装置。
【請求項1】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録装置であって、
入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと、
上記エンコーダからの出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録手段と
を有することを特徴とするデジタル記録装置。
【請求項2】
上記第1のサンプリング周波数と上記第2のサンプリング周波数との同期をとって各サンプリング周波数の整数倍のクロックを発生するクロック生成手段をさらに有し、
上記クロック生成手段からの第1のサンプリング周波数の整数倍の第1のクロックにて上記入力された1ビットデジタルオーディオデータを上記記憶手段に書き込み、上記第2のサンプリング周波数の整数倍の第2のクロックにて上記記憶手段から1ビットデジタルオーディオデータを読み出すと共に該第2のクロックにより上記エンコーダを駆動することを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項3】
上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、
上記クロック生成手段は、44.1kHzの512倍の周波数のクロックを発生するマスタークロック発振器と、このマスタークロック発振器からのマスタークロックを5倍に逓倍する逓倍器と、この逓倍器からのクロックを1/2352に分周する分周器とを有して成り、上記マスタークロックを上記第1のクロックとして出力し、
上記第2のサンプリング周波数である48kHzの512倍のクロックを上記第2のクロックとして用いることを特徴とする請求項2記載のデジタル記録装置。
【請求項4】
上記記録フォーマットのマルチビットPCMデータの各サンプルの一部のビットの複数チャンネル分を上記1ビットデータ領域として用いることを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項5】
上記第1のサンプリング周波数は2.8224MHz(=64×44.1kHz)、上記第2のサンプリング周波数は48kHzであり、
上記記録手段は、上記マルチビットPCMデータとしての48kHz/24ビットのPCMデータの12チャンネルをデジタルビデオデータと共に記録するものであり、
上記48kHz/24ビットのPCMデータの各サンプル24ビットの内の20ビットを上記1ビットデータ領域とし、この1ビットデータ領域を有する48kHz/24ビットのPCMデータの3チャンネル分を用いて上記1ビットデジタルオーディオデータの1チャンネルを割り当てることを特徴とする請求項1記載のデジタル記録装置。
【請求項6】
上記48kHz/24ビットのPCMデータに対して上記デジタルビデオデータのフィールドとの対応関係、フィールド内の位置及び割り当てビット数を識別するための識別情報を用い、PCMデータの各サンプル24ビットの内の上記1ビットデータ領域を除く4ビットの3チャンネル分の12ビットの領域に上記識別情報を配置することを特徴とする請求項5記載のデジタル記録装置。
【請求項7】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録媒体に記録するデジタル記録方法であって、
上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを入力して記憶手段に書き込む書き込み工程と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と、
上記記憶手段から読み出された1ビットデジタルオーディオデータを、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に各ビットを並べて配置するように変換するエンコード工程と、
上記エンコードされた出力データを上記記録フォーマットに従って記録媒体に記録する記録工程と
を有することを特徴とするデジタル記録方法。
【請求項8】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って変換するデジタルデータ変換装置であって、
入力された上記第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれる記憶手段と、
上記記憶手段から上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで上記1ビットデジタルオーディオデータを読み出して、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換するエンコーダと
を有することを特徴とするデジタルデータ変換装置。
【請求項9】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生装置であって、
上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、
上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生手段と、
上記再生手段により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、
上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段と
を有することを特徴とするデジタル再生装置。
【請求項10】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って記録された記録媒体を再生するデジタル再生方法であって、
上記記録媒体には、上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録され、
上記記録媒体の上記記録フォーマットに従うマルチビットPCMデータを読み出す再生工程と、
上記再生工程により再生された上記マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域からのデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコード工程と、
上記デコード工程によりデコードされた上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータを記憶手段に書き込む書き込み工程と、
上記記憶手段から上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータを読み出す読み出し工程と
を有することを特徴とするデジタル再生方法。
【請求項11】
第1のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが、記録媒体に記録するための第2のサンプリング周波数のマルチビットPCMデータの記録フォーマットに従って、マルチビットPCMデータ内に設けられた1ビットデータ領域に上記1ビットデジタルオーディオデータの各ビットを並べて配置するように変換されて記録されたデータを元の1ビットデジタルオーディオデータに逆変換するデジタルデータ変換装置であって、
上記マルチビットPCMデータ内の1ビットデータ領域から読み出されたデータを上記1ビットデジタルオーディオデータのデータ列に戻して上記第2のサンプリング周波数に同期したクロックで出力するデコーダと、
上記デコーダからの上記第2のサンプリング周波数の1ビットデジタルオーディオデータが書き込まれ、上記第1のサンプリング周波数に同期したクロックで元の1ビットデジタルオーディオデータが読み出される記憶手段と
を有することを特徴とするデジタルデータ変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−299942(P2008−299942A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143923(P2007−143923)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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