説明

デジタルAVコンテンツ移動システム

【課題】2つの記録再生装置間におけるデジタルAVコンテンツ移動において、移動元機器から移動先機器へのデジタルAVコンテンツ移動が安全かつ確実に行い、更に移動制御を行う為の専用コントローラ機器が不要とする。
【解決手段】デジタルAVコンテンツ移動元機器と移動先機器において、移動元機器のコンテンツ移動情報管理手段205がデジタルAVコンテンツの移動状態を移動情報として管理し、デジタルAVコンテンツ移動が中断され再開する時に、前記移動情報を基にデジタルAVコンテンツの移動を再開することで、切れ目なくデジタルAVコンテンツの移動を行うことを可能とする。また、通信バス帯域などの条件により、移動方式選択手段213が最適なデジタルAVコンテンツ移動における移動方式を選択することで、通信帯域不足に陥った場合であってもデジタルAVコンテンツの移動を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツプロバイダから配信されるデジタルAVコンテンツを記録し、その記録されたデジタルAVコンテンツを別の記録媒体に移動する際の移動動作確認と移動動作制御についてのデジタルAVコンテンツに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波放送のデジタル化が進む中、デジタルAV機器の普及が加速している。これらデジタルAV機器において、コンテンツプロバイダから配信されるデジタルAVコンテンツの品質を下げることなくデジタル記録することは、ユーザにとって魅力的である一方、本来保護されるべきデジタルAVコンテンツが不正にデジタルコピーされ流出する危険性が指摘されている。デジタルAVコンテンツ製作者やコンテンツプロバイダにとって著作権を大きく侵害され、結果大きな損害となり得るこの問題は無視できないものである。
【0003】
このような問題を回避するために、コンテンツプロバイダから配信されるデジタルAVコンテンツには、デジタルコピーを制限するための仕組みが導入され、実用化されている。
【0004】
しかしながら、この仕組みを利用しデジタルAVコンテンツの保護を行うと、ユーザは一度記録したコンテンツを他の機器へバックアップすることができなくなる。つまり、機器に搭載されているハードディスクなどに一度記録したデジタルAVコンテンツのバックアップを取れないため、記録したデジタルAVコンテンツで既に飽和しているハードディスクにさらに番組記録しようとするには、大切なデジタルAVコンテンツを消さなければならず利便性が低いと言わざるを得ない。
【0005】
そのため、一度記録したデジタルAVコンテンツのバックアップは取れない代わりに、或る記録媒体に記録したデジタルAVコンテンツを他の記録媒体に移動し退避するための「デジタルAVコンテンツ移動」の構成が提案され、さまざまなデジタルAV機器で利用されている(特許文献1を参照)。
【0006】
前記特許文献1に記載の構成を利用することによって、ユーザは自由にデジタルAVコンテンツの移動を行うことが可能となる。しかし、デジタルAVコンテンツ移動中に、機器の電源が切断されたり移動途中の経路での問題が発生してしまうと、デジタルAVコンテンツの一部もしくは全部を消失してしまいユーザは二度とそのデジタルAVコンテンツを参照できなくなる可能性がある。ユーザにとってみれば、一度記録したデジタルAVコンテンツを気軽に他の媒体に移動する事ができないためにユーザの利便性を損なうという課題が生じる。
【0007】
この課題を解決するために、移動元機器と移動先機器が高速汎用バスで接続された環境において、移動元機器および移動先機器を管理するコントローラ機器を用意することにより、確実にデジタルAVコンテンツの移動を行うものがある(特許文献2を参照)。
【0008】
前記特許文献2に記載の従来のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、次のような方法によって、デジタルAVコンテンツの移動時に発生したトラブルによって起こり得るデータ消失を防止している。
【0009】
図30は、従来のデジタルAVコンテンツ移動システムの構成図である。
【0010】
また図31は、移動中のデジタルAVコンテンツの状態を示した図である。
【0011】
図30および図31を参照しながら、従来のデジタルAVコンテンツ移動システムについて説明する。
【0012】
記録媒体100を有するチューナー(図示せず)内蔵機器であるデジタルAVコンテンツ送信機器101と、記録媒体102を有するデジタルAVコンテンツ受信機器103と、デジタルAVコンテンツ送信機器101とデジタルAVコンテンツ受信機器103とによるデジタルAVコンテンツの移動動作を制御するデジタルAVコンテンツ移動コントローラ104と、セットトップボックス(以降、STBと称する)114とが、通信バス105で接続されている。
【0013】
デジタルAVコンテンツ移動コントローラ104は、デジタルAVコンテンツ送信機器101の動作を管理する移動元制御部106と、デジタルAVコンテンツ受信機器103の動作を管理する移動先制御部107と、デジタルAVコンテンツにおける移動済み位置と再生可能位置を管理する位置管理部108を備えている。またデジタルAVコンテンツ送信機器101は、記録媒体100から移動対象となるデジタルAVコンテンツを読み出し、前記バス105上へ送信するデジタルAVコンテンツ管理部109と、デジタルAVコンテンツ移動コントローラ104の動作を監視する制御元監視部110とを備えている。制御元監視部110は、特定の条件に合うコマンドのみを実行するコマンド実行制限部111を備えている。
【0014】
ユーザ操作によりデジタルAVコンテンツの移動を開始すると、デジタルAVコンテンツ送信機器101は読出デジタルAVコンテンツ116を再生し、またデジタルAVコンテンツ受信機器103は再生された読出デジタルAVコンテンツ116を書込デジタルAVコンテンツ117として記録することによりデジタルAVコンテンツの移動動作を行う。デジタルAVコンテンツ116移動中に、デジタルAVコンテンツ送信機器101もしくはデジタルAVコンテンツ受信機器103のうち何れかに異常が発生すると、移動元制御部106もしくは移動先制御部107のうち何れかが異常を検出し、位置管理部108がデジタルAVコンテンツ移動済み位置を更新し、デジタルAVコンテンツ移動動作を中断する。この時、位置管理部108はデジタルAVコンテンツの移動済み位置を基に、デジタルAVコンテンツの先頭方向に所定の時間ΔTだけ巻き戻った位置を再生可能位置として設定する。再びデジタルAVコンテンツの移動が可能な状態に復帰すると、デジタルAVコンテンツ送信機器101は、再生可能位置からデジタルAVコンテンツを再生しデジタルAVコンテンツの移動動作を再開する。デジタルAVコンテンツ受信機器103はΔTをのりしろ115として書込デジタルAVコンテンツ117中に形成し記録媒体102に記録することにより、デジタルAVコンテンツ移動動作中断によるデジタルAVコンテンツ消失を防止するとしている。
【0015】
また、記録媒体100から読み出したデジタルAVコンテンツを記録媒体102への移動動作中において、コマンド実行制限部111は、デジタルAVコンテンツ移動コントローラ104以外からのコマンドを拒絶することにより、使用者の意図に反するデジタルAVコンテンツ移動中断を防止するとしている。
【0016】
ここで特許文献2では、ΔTを通常再生における1分以下であると定め、また移動動作中のデジタルAVコンテンツにおいて、記録媒体100から読み出されてから通常再生における1分を経過した部分については、記録媒体100から順次再生不可能に設定するともしている。
【特許文献1】特開2000−149417号公報
【特許文献2】特開2005−158056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら前記従来の構成では、デジタルAVコンテンツ移動動作の中断/再開によって次のような課題が生じる。
【0018】
デジタルAVコンテンツ移動動作の中断/再開を複数回発生すると、移動動作再開の度に移動後のデジタルAVコンテンツにのりしろが形成されてしまい、記録媒体100に記録されているデジタルAVコンテンツを記録媒体102へそのままの形で退避するという、本来の目的を達成できない。ユーザーにとってみれば気軽にコンテンツ移動を利用することができず、使い勝手が良くない。
【0019】
また何らかの原因によりデジタルAVコンテンツ移動中断され、再開されるまでの間にSTB114がデジタルAVコンテンツ受信機器103へ衛星番組放送コンテンツを通信バス105へ送出した場合に、再びデジタルAVコンテンツ送信機器101がデジタルAVコンテンツ移動動作を再開しようとしたとき、デジタルAVコンテンツ移動に必要な通信バス105上の帯域が取れなくなり、デジタルAVコンテンツ移動を行うためにSTB114からの前記衛星番組放送コンテンツ送出を停止しなければならず、結果使い勝手が良くない。
【0020】
したがって、本発明の目的は、このような課題を鑑みてなされたものであり、デジタルAVコンテンツの移動元となる移動元機器と、デジタルAVコンテンツの移動先となる移動先機器とが同一バス上に接続されたデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、デジタルAVコンテンツ移動中にケーブル抜けなどの事故が発生しデジタルAVコンテンツ移動が中断され再開した場合、中断前後で切れ目が発生し、正しくデジタルAVコンテンツの移動を完了することができないことを防止し、移動元機器から移動先機器へのデジタルAVコンテンツ移動が安全かつ確実、更に移動制御を行う為の専用コントローラ機器が不要となるデジタルAVコンテンツ移動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、移動元記録再生機器と移動先記録再生機器とが所定の通信バスで接続され、移動元記録再生機器から移動先記録再生機器へ、移動対象のデジタルAVコンテンツを移動させるデジタルAVコンテンツ移動システムであって、移動元記録再生機器は、移動元記録媒体と、移動元記憶素子と、移動元記録媒体に記録されたデジタルAVコンテンツを読み出し移動元記憶素子に送信するように移動元記録再生機器を制御する移動元制御部とを備え、移動先記録再生機器は、移動先記録媒体と、移動先記憶素子と、移動先記憶素子に受信されたデジタルAVコンテンツを読み出し移動先記憶媒体に書き込むように移動先記録再生機器を制御する移動先制御部とを備え、移動元制御部は、移動先記録再生機器がデジタルAVコンテンツを一度に受信処理可能な移動先記憶素子のサイズを問い合わせる問合手段と、デジタルAVコンテンツを第一のサイズに分割してセグメントを形成し、さらにセグメントを移動先記憶素子のサイズを越えない第二のサイズに分割してブロックを形成する分割手段と、移動元記録媒体に記録されたデジタルAVコンテンツのセグメントおよびブロックに関する移動情報を生成し管理する移動情報管理手段と、移動元記録媒体に記録されたデジタルAVコンテンツを読み出す読出手段と、読み出したデジタルAVコンテンツのうちコンテンツ保護部分を暗号化する暗号手段と、通信バスへデジタルAVコンテンツのデータを送信する送信手段とを備え、移動先制御部は、通信バスからデータを受信する受信手段と、受信手段によって受信した暗号化されたコンテンツ保護部分を復号化する復号手段と、復号手段により復号化されたコンテンツ保護部分を含むデジタルAVコンテンツを移動先記録媒体へ記録する記録手段と、受信したデジタルAVコンテンツを移動先記録媒体へ記録する際に、セグメント毎に記録情報を生成し、移動元記録再生機器に通知する記録情報通知手段とを備え、移動情報管理手段が、受信した記録情報を基に移動情報を更新し更新された移動情報を移動元記録媒体に記録しながらデジタルAVコンテンツの移動動作を行う。
【0022】
第2の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元制御部が、記録情報通知手段により通知された記録情報に基づいて移動先記録媒体への記録に失敗した所定のセグメントに含まれる所定のブロックのみを移動先記録再生機器へ再送する再送手段を備える。
【0023】
第3の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第2の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、再送手段は、所定のブロックの移動動作に所定の回数失敗すると、該当ブロックの再送処理を一時中止する再送制限を設ける。
【0024】
第4の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1,2または3の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元制御部は、デジタルAVコンテンツを送信する際に、複数の移動方式の中から一つの移動方式を選択する移動方式選択手段を備える。
【0025】
第5の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、セグメントは、実再生時間における60秒以内に収まる大きさであり、且つコンテンツ保護領域(著作権保護領域)かそうでない領域かの何れか一方のみを含む。
【0026】
第6の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元制御部は、記録情報通知手段により通知された記録情報を基に、コンテンツ保護領域のセグメントに含まれる一つ以上のブロックを、移動元記録媒体から再生不可にする再生禁止手段を備える。
【0027】
第7の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1,2,3,4,5または6の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、セグメントは、一つ以上のブロックによって構成されている。
【0028】
第8の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1,2,3,4,5,6または7の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元記録再生機器ないし移動先記録再生機器が、放送番組受信用のチューナーを備えている。
【0029】
第9の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元記録媒体および移動先記録媒体は、ランダムアクセス可能な記録媒体である。
【0030】
第10の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動先制御部は、ブロックの記録失敗時に記録動作を繰り返すリトライ手段を備える。
【0031】
第11の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第10の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、リトライ手段は、所定の回数リトライ動作を繰り返したらリトライ動作を終了するリトライ制限を設けた。
【0032】
第12の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1,2,3,4,5,6,7または8の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、移動元制御部は、デジタルAVコンテンツの移動動作を開始すると、デジタルAVコンテンツの移動先機器を限定する移動先機器限定手段を備える。
【0033】
第13の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムは、第1の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムにおいて、通信バスが、IEEE1394規格準拠の高速シリアルバスである。
【発明の効果】
【0034】
本発明のデジタルAVコンテンツ移動システムによれば、移動元制御部は、移動元記録媒体に記録されたデジタルAVコンテンツのセグメントおよびブロックに関する移動情報を生成し管理する移動情報管理手段等を備え、移動先制御部は、受信した移動対象のデジタルAVコンテンツを移動先記録媒体へ記録する際に、セグメント毎に記録情報を生成し、移動元記録再生機器に通知する記録情報通知手段等を備え、移動情報管理手段が、受信した記録情報を基に移動情報を更新し更新された移動情報を移動元記録媒体に記録しながらデジタルAVコンテンツの移動動作を行うので、デジタルAVコンテンツの移動動作が中断された場合でも中断前までに移動を完了したセグメントを把握し、デジタルAVコンテンツの移動動作が再開されても移動途中のセグメントから確実に再開することができる。
【0035】
その結果、デジタルAVコンテンツ移動の際にデジタルAVコンテンツ移動が中断され再開したときに、従来のようなのりしろを形成することがないため、元のデジタルAVコンテンツと同じ状態で移動先記録再生機器に移動することができるデジタルAVコンテンツ移動システムを提供することができる。
【0036】
また、本発明において、第2の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元制御部が、記録情報通知手段により通知された記録情報に基づいて移動先記録媒体への記録に失敗した所定のセグメントに含まれる所定のブロックのみを移動先記録再生機器へ再送する再送手段を備えることによって、セグメント移動中にコンテンツ動作が中断されても、セグメントの先頭から再送せずに移動に失敗した前記所定のブロックから再送することができ、移動中断発生による移動動作の処理軽減を図ることができる。
【0037】
また、本発明において、第3の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、再送手段は、所定のブロックの移動動作に所定の回数失敗すると、該当ブロックの再送処理を一時中止する再送制限を設けることで、移動元記録再生機器がデジタルAVコンテンツにおける同じ箇所を再送し続ける動作から抜け出せなくなることを防止する。
【0038】
また、本発明において、第4の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元制御部は、デジタルAVコンテンツを送信する際に、複数の移動方式の中から一つの移動方式を選択する移動方式選択手段を備えることによって、通信バスを効率的に使用し、デジタルAVコンテンツ移動を確実に行う。
【0039】
すなわち、本発明によって、デジタルAVコンテンツ移動時に、所定の通信バスが帯域不足であった場合でも、複数の移動方式から最適な一つを選択することで、デジタルAVコンテンツの効率的な移動を行うデジタルAVコンテンツ移動システムを提供することができる。
【0040】
また、本発明において、第5の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、セグメントは、実再生時間における60秒以内に収まる大きさであり、且つ著作権保護領域かそうでない領域かの何れか一方のみを含むことが好ましい。
【0041】
また、本発明において、第6の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元制御部は、記録情報通知手段により通知された記録情報を基に、コンテンツ保護領域のセグメントに含まれる一つ以上のブロックを、移動元記録媒体から再生不可にする再生禁止手段を備えることにより、コンテンツ保護領域とそうでない領域が混在しているデジタルAVコンテンツであっても、移動元記録媒体に記録されているコンテンツ保護領域のみを再生不可にすることにより、コンテンツ保護領域の不正な複製を防止する。
【0042】
また、本発明において、第7の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、セグメントは、一つ以上のブロックによって構成されていることが好ましい。
【0043】
また、本発明において、第8の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元記録再生機器ないし移動先記録再生機器が、放送番組受信用のチューナーを備えていることが好ましい。
【0044】
また、本発明において、第9の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元記録媒体および移動先記録媒体は、ランダムアクセス可能な記録媒体であり、例えばハードディスクドライブや記録型DVDのようなランダムアクセス可能な記録媒体であることが好ましい。
【0045】
また、本発明において、第10の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動先制御部は、ブロックの記録失敗時に記録動作を繰り返すリトライ手段を備え、第11の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、リトライ手段は、所定の回数リトライ動作を繰り返したらリトライ動作を終了するリトライ制限を設けことにより、移動先記録再生機器が記録動作の繰り返しから抜け出せなくなることを防止する。
【0046】
また、本発明において、第12の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、移動元制御部は、デジタルAVコンテンツの移動動作を開始すると、デジタルAVコンテンツの移動先機器を限定する移動先機器限定手段を備えることによって、デジタルAVコンテンツ移動動作の”中断→再開”が発生しても、移動開始時に指定した機器以外への移動を防止することができる。
【0047】
また、本発明において、第13の発明のデジタルAVコンテンツ移動システムでは、通信バスが、IEEE1394規格準拠の高速シリアルバスであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態にかかわるデジタルAVコンテンツ移動システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0049】
はじめに、IEEE1394規格におけるノード間でのデータ転送の形態ついて、図面を参照しながら説明する。ここで、前記ノードとは、IEEE1394バスに接続されている機器の総称であり、前記ノードには、IEEE1394バスの初期化毎にノードIDと呼ばれる一意の識別番号が付与され、前記ノードIDよって識別する。
【0050】
IEEE1394規格では、映像や音声データなどのリアルタイム性の要求されるストリームデータの転送に特化したアイソクロナス転送方式と、通常のデータ転送に用いられる非同期転送方式の二種類のデータ転送方式が規定されている。送信データは、パケットと呼ばれる基本単位に分割されIEEE1394バスへ送出される。図2は、IEEE1394におけるパケットの基本構成図であり、ヘッダ部、ヘッダCRC部、データ部、データCRC部から成る。
【0051】
パケット送信機器(以降、送信ノードと称する)が前記所定のパケットを送出する時、はじめに、ヘッダ部に所定の設定を行う。前記所定の設定については、アイソクロナス転送方式と非同期転送方式により異なる。次に、データ部に送信データを設定する。最後に、前記ヘッダCRC部および前記データCRC部に前記ヘッダ部および前記データ部の設定値に係る所定の値を設定し、IEEE1394バスへ送出する。なお、CRCとは連続データの誤り検出可能な誤り検出方法であり、CRC値の算出方法およびCRC値を用いたデータ誤り検出方法については、本発明と関わらないため詳細は省略する。
【0052】
前記アイソクロナス転送方式は、125マイクロ秒周期で規則的に前記パケットの送信を行うことによりリアルタイム性を保障する転送方式である。アイソクロナス転送方式において、送信ノードは、送信データを所定のパケットに分割し、パケット中にアイソクロナスチャンネルと呼ばれる識別番号を付加し送信する。パケット受信機器(以降、受信ノードと称する)は、前記アイソクロナスチャンネルを指定しパケットを受信するが、認識パケット(以降、ACKと称する)は返さないため、送信ノードは、受信ノードが確実に送信パケットの受信を完了したかそうでないかの確認を行わない。
【0053】
また、パケット送信に必要な帯域は、アイソクロナス・リソース・マネージャ(以降、IRMと称する)と呼ばれるノードが管理している。IEC61883−1規格において、前記送信ノードがパケット送信時、予めIRMに対し必要な帯域やアイソクロナスチャンネルを獲得し、論理的なコネクション確立後に送信すると規定されており、必要な帯域やアイソクロナスチャンネルを確保できなかったりコネクション確立に失敗した場合は、通常、パケットを送信してはならない。ここで、前記必要な帯域やアイソクロナスチャンネルの獲得方法や前記論理的なコネクション確立方法の詳細な実施の形態については、本発明と直接的に関わらないため省略する。
一方、前記非同期転送方式は、バスの空き時間を利用して非同期的な通信を行う転送方式である。前記非同期転送方式では、IEEE1212規格準拠のアドレッシングとControl and Status Register(以降、CSRと称する)アーキテクチャをサポートする。前記非同期転送方式では、前記ヘッダ部に、前記CSRアーキテクチャにより標準化されているレジスタと受信ノードとを指定して送信する。
【0054】
また非同期転送方式では、二種類のトランザクションが規定されている。第一のトランザクションはユニファイド・トランザクションと呼ばれ、トランザクション処理を要求サブアクション期間内で行うものである。第二のトランザクションはスプリット・トランザクションと呼ばれ、トランザクション処理を二回のサブアクションに分けて行うものである。前記サブアクションとは、パケット転送プロセスを示すものである。
【0055】
ここで、前記ユニファイド・トランザクションについて、図3および図5を参照しながら説明する。図3は、前記ユニファイド・トランザクションのシーケンスを示す図である。図3において、130は送信ノード、131は受信ノード、132は前記送信ノード130から送出される要求パケット、133は前記パケット132に対するACK、134は前記要求パケット132送信プロセスである要求サブアクション期間をそれぞれ示している。また、図5において150は、ACK名称と、一意なACK識別値であるACKコードの一覧である。
【0056】
前記ユニファイド・トランザクションでは、図3に示すように要求サブアクション期間134中にステップS1からステップS4迄の一連の処理が行われる。
【0057】
ステップS1では、送信ノード130が受信ノード131へ要求パケット132を送信する。
【0058】
ステップS2では、受信ノード131は送信ノード130から送信された要求パケット132を受信する。
【0059】
ステップS3では、受信ノード131は送信ノード130へACK133を返す。
【0060】
ステップS4では、送信ノード130はACK133を受信しトランザクションを完了する。ステップS4において、ACK133がack_completeであればトランザクション成功であり、そうでなければトランザクション失敗である(ユニファイド・トランザクションにおいて、ack_pendingを返すことはない)。トランザクション失敗の場合は、再度前記ステップS1から行う。
【0061】
次に、前記スプリット・トランザクションについて、図4、図5、図6を参照しながら説明する。
【0062】
図4は、前記スプリット・トランザクションのステップを示す図である。図4において、140から144は、図3の130から133と同等であるので説明を省略する。145は要求パケット142に対する応答パケット、146は応答パケット145を受信した送信ノード140からのACK、147は応答パケット145送信プロセスである応答サブアクション期間をそれぞれ示している。
【0063】
図5においてACK名称/ACKコード一覧150についても同様であるので説明を省略する。
【0064】
図6において151は、レスポンス名称とrcodeの種類との対応を示す、レスポンス名称/rcode一覧である。
【0065】
前記スプリット・トランザクションでは、図4に示すように要求サブアクション期間144中にステップS11からステップS14迄の一連の処理を行う。ここで、図4においてステップS11からステップS14の処理は、図3のステップS1からステップS4と同一処理であるので説明を省略する。ステップS14において、ACK143がack_pendingであれば、続いて応答サブアクション期間147が発生する。応答サブアクション期間147では図4におけるステップS15からステップS18を行う。
【0066】
ステップS15では、受信ノード141が送信ノード140へ応答パケット145を送信する。応答パケット145には、rcodeと呼ばれる応答パケット145の結果を示すレスポンスコードが含まれている。
【0067】
ステップS16では、送信ノード140は受信ノード141から送信された応答パケット145を受信する。
【0068】
ステップS17では、送信ノード140は受信ノード141へACK146を返す。
【0069】
ステップS18では、受信ノード141は、ACK146を受信しトランザクションを完了する。ステップS18において、応答パケット145がresp_complete且つACK146がack_completeであればトランザクション成功であり、そうでなければトランザクション失敗である。トランザクション失敗の場合は再度ステップS11から行う。
【0070】
このように、非同期転送方式では、前述二つのトランザクションを場合に応じて使い分け、要求又は応答パケットに対して必ずACKが返され、それによりトランザクションの成功/失敗を判別してデータ転送の信頼性を保障(保証)している。
(実施の形態1)
次に、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0071】
図1は、本実施の形態1におけるデジタルAVコンテンツの移動機能を有する記録再生機器同士の機器接続構成図である。
【0072】
図1において、移動元HDDレコーダA1(本実施の形態に於いて、”GUID=12341394:000000A1”であるとする)と移動先HDDレコーダA2(本実施の形態に於いて、”GUID=12341394:000000A2” であるとする)が、IEEE1394バス200で相互に接続されている。
【0073】
移動元HDDレコーダA1は、デジタルAVコンテンツが記録されているランダムアクセス可能な移動元HDD201、IEEE1394規格準拠の装置と通信するための移動元IEEE1394インターフェイス202、移動元HDDレコーダA1を制御する移動元制御部203、所定のデータの一時格納用メモリ(移動元記憶素子)である送信RAM204により構成されている。
【0074】
また移動先HDDレコーダA2は、デジタルAVコンテンツを記録するためのランダムアクセス可能な移動先HDD301、IEEE1394規格準拠の装置と通信するための移動先IEEE1394インターフェイス302、移動先HDDレコーダA2を制御する移動先制御部303、所定のデータの一時格納用メモリ(移動先記憶素子)である受信RAM304により構成されている。
【0075】
制御部203は、移動先HDDレコーダA2の一度に受信処理可能な受信RAM304のサイズ(以降、許容サイズと称する)を問い合わせる問合手段207、デジタルAVコンテンツから所定の大きさの第一の分割データ(以降、セグメントと称する)を形成し、セグメントから受信RAM304のサイズを越えない所定の大きさの第二の分割データ(以降、ブロックと称する)を形成する分割手段208、HDD201に記録されている移動対象となるデジタルAVコンテンツ(以降、移動デジタルAVコンテンツと称する)と、移動デジタルAVコンテンツから生成されたセグメント、ブロックを基に、移動情報を生成し管理する移動情報管理手段205、移動先HDD301への記録に失敗したブロックのみを再送する再送手段206、移動元HDD201に記録されたデジタルAVコンテンツを読み出す読出手段209、読出手段209により読み出されたデジタルAVコンテンツを暗号化する暗号手段210、所定の送信データを移動先IEEE1394インターフェイス202を介してIEEE1394バス200へ送信する送信手段211、デジタルAVコンテンツの移動先機器を限定する移動先機器限定手段212、複数の移動方式の中から一つの移動方式を選択する移動方式選択手段213、移動済みのコンテンツ保護領域ブロックを移動元HDD201から再生禁止する再生禁止手段214と、を有する。
【0076】
制御部303は、所定のデータを移動先IEEE1394インターフェイス302を介してIEEE1394バス200から受信する受信手段309、受信手段309により受信した暗号化されたデジタルAVコンテンツを復号化する復号手段305、復号手段305によって復号化されたデジタルAVコンテンツまたは受信手段309により受信した暗号化されていないデジタルAVコンテンツを移動先HDD301に記録する記録手段306、移動先HDD301への記録失敗時に所定の回数だけ記録動作を繰り返すリトライ手段307、リトライ手段307により所定のブロックで構成されるセグメントの書込みリトライが所定の回数に達したかもしくは移動先HDD301への記録に成功したことを示す記録情報を移動先IEEE1394インターフェイス302を介して移動元HDDレコーダA1に通知する記録情報通知手段308と、を有する。
【0077】
図7において408は対象デジタルAVコンテンツを移動する際に使用する移動方式に関する値の一覧である。本実施の形態においては、アイソクロナス転送方式では”0”と定義し、非同期転送方式では”1”と定義する。
【0078】
図8において404は対象デジタルAVコンテンツから形成されるセグメント毎およびブロック毎の移動状態の値を示すステータス一覧である。本実施の形態においては、移動が完了していない「未完」状態であれば”0”、移動が完了した「完了」状態であれば”1”と定義する。
【0079】
図9において405は対象デジタルAVコンテンツから形成されるブロック識別用のブロック識別情報のデータ構造である。「ブロックID」にはブロック識別用の一意な値が格納される。「ブロックステータス」にはステータス一覧404で定義する移動状態の値の何れかが格納される。「ブロックサイズ」には該当ブロックのサイズが格納される。
【0080】
図10において403は対象デジタルAVコンテンツから形成されるセグメント識別用のセグメント識別情報のデータ構造である。「セグメントID」にはセグメント識別用の一意な値が格納される。「CCI」には該当セグメントのCCI(Copy Control Information)が格納される。「セグメントステータス」にはステータス一覧404で定義する移動状態の値の何れかが格納される。「セグメントオフセット」には該当セグメントの開始位置が格納される。「セグメントサイズ」には該当セグメントのセグメントサイズが格納される。「未送信ブロック数」には該当セグメントを形成する未送信ブロック数が格納される。「ブロック識別情報リスト」には該当セグメントを形成するブロックのブロック識別情報に関する値が格納される。
【0081】
図11において402は移動元HDDレコーダA1の移動元制御部203が移動情報管理手段205を用いて生成する移動情報のデータ構造である。「対象コンテンツID」には対象デジタルAVコンテンツのコンテンツIDが格納される。「移動先機器GUID」には移動先HDDレコーダA2のGUIDが格納される。「移動先機器許容サイズ」には移動先HDDレコーダA2の許容サイズが格納される。「移動方式」には移動方式408で定義される値の何れかが格納される。「未送信セグメント数」には対象デジタルAVコンテンツを形成する未送信セグメント数が格納される。「セグメント識別情報リスト」には対象デジタルAVコンテンツを形成するセグメントの先頭セグメントIDと終端セグメントIDが格納される。
【0082】
ここで移動元HDDレコーダA1から移動先HDDレコーダA2へのデジタルAVコンテンツの移動処理について図面を参照しながら説明する。
【0083】
図12は移動元HDDレコーダA1から移動先HDDレコーダA2へのデジタルAVコンテンツの移動処理(ステップS200からステップS211)について示す図である。
【0084】
図13において160は移動処理中のデジタルAVコンテンツのコンテンツIDが格納される移動リストである。移動リスト160は移動元HDD201に生成されているものとし移動リスト160のサイズは移動中のデジタルAVコンテンツ数によって可変である。またコンテンツIDとは、移動元HDD201に記録されているデジタルAVコンテンツに付与されている一意の値である。
【0085】
図14において、500はコンテンツID=”1234”、CCI=”1”とCCI=”0”との部分を含む再生時間200秒、全体サイズ400MバイトのデジタルAVコンテンツである。501は分割手段208によってデジタルAVコンテンツ500からセグメントを形成した第一の形態である。502は第一の形態501中のセグメントID=”0”のセグメントである。503はセグメント502からブロックを形成した第二の形態である。504は第二の形態503中のブロックID=”2”のブロックである。505は第二の形態503中のブロックID=”3”のブロックである。506は第二の形態503中のブロックID=”4”のブロックである。
【0086】
ユーザからの操作により、移動デジタルAVコンテンツ(本実施の形態において、デジタルAVコンテンツ500であるとする)と移動対象機器(本実施の形態において、移動先HDDレコーダA2であるとする)が確定すると、ステップS200に移る。
【0087】
ステップS200では、移動リスト160にデジタルAVコンテンツ500のコンテンツIDが存在するかを確認し、コンテンツIDが存在しなければ(ステップS200においてNO)、新規移動開始と判断しステップS201に移る。コンテンツIDが存在すれば(ステップS200においてYES)、移動再開と判断しステップS205に移る。
【0088】
ステップS201では、移動元制御部203は移動リスト160へデジタルAVコンテンツ500のコンテンツID=”1234”を追加し、ステップS202へ移る。移動リスト160にデジタルAVコンテンツ500のコンテンツIDを追加した状態が図15の161である。
【0089】
ステップS202では、移動元制御部203はデジタルAVコンテンツ500からセグメントとブロックを形成し、ステップS203へ移る。ステップS202の詳細は以降で述べる。
【0090】
ステップS203では、移動元制御部203はステップS202で形成したデジタルAVコンテンツ500のセグメントとブロックからセグメント識別情報とブロック識別情報をそれぞれ生成し、ステップS204へ移る。ステップS203の処理の詳細は以降で述べる。
【0091】
ステップS204では、移動元制御部203はステップS203で生成したセグメント識別情報とブロック識別情報からデジタルAVコンテンツ500の移動情報を生成し、ステップS205へ移る。ステップS204の処理の詳細は以降で述べる。
【0092】
ステップS205では、移動元制御部203はデジタルAVコンテンツ500をセグメント毎にブロック単位で移動する分割移動処理を行う。ステップS205の処理の詳細は以降で述べる。
【0093】
ステップS206では、移動元制御部203はデジタルAVコンテンツ500の分割移動に成功したかを確認し、分割移動に失敗していれば(ステップS206においてNO)移動処理を失敗終了する(ステップS207)。分割移動に成功していれば(ステップS206においてYES)、ステップS208へ移る。
【0094】
ステップS208では、移動元制御部203はデジタルAVコンテンツ500にコンテンツ保護対象部分が含まれているかを確認する。コンテンツ保護対象部分が含まれていれば(ステップS208においてYES)、移動元制御部203は再生禁止手段214を用いて移動元HDD201からデジタルAVコンテンツ500におけるコンテンツ保護部分、つまりCCI(Copy Control Information)=”1”の部分を消去しステップS210へ移る。コンテンツ保護対象部分が含まれていない、つまりCCI=”0”ならば(ステップS208においてNO)、そのままステップS210に移る。
【0095】
ここでCCIとは、コンテンツコピー制御のための情報であり、記録媒体に一度記録されたデジタルAVコンテンツにおけるCCIは”Copy Freely(=0)”か”No More Copies(=1)”かの何れか一方もしくは両方を含む。
【0096】
ステップS210では、デジタルAVコンテンツ500の移動情報を移動元HDD201から消去し、ステップS211へ移る。
【0097】
ステップS211では、移動リスト161からデジタルAVコンテンツ500コンテンツID=”1234”を削除する。削除した状態の移動リストが160である。
【0098】
また、各ステップS200からステップS211において、IEEE1394バス200の接続が外れたり移動先HDDレコーダA2の電源切断などが発生するとデジタルAVコンテンツ500の移動が直ちに中断され、またユーザからの操作などによる再開要請があれば再びステップS200から処理される。このとき移動元HDD201には、中断中のデジタルAVコンテンツ500のコンテンツID=”1234”が登録された移動リスト161とデジタルAVコンテンツ500の移動情報がそれぞれ残っているので、中断時の状態からデジタルAVコンテンツ500の移動を再開するため、デジタルAVコンテンツを消失することなく移動を再開することができる。
【0099】
以上でデジタルAVコンテンツの移動処理を終了する。
【0100】
ここで、ステップS202のデジタルAVコンテンツ500からセグメントを形成しさらにセグメントからブロックを形成する分割処理について、図面を参照しながら説明する。
【0101】
図16において400は移動元HDDレコーダA1が移動先HDDレコーダA2の許容サイズをIEEE1394規格に準じたパケットで問合せるための問合せコマンド(ctype=”0”、opcode=”0”、operand[0]=”0x12”)である。
【0102】
図17において401は移動先HDDレコーダA2が移動元HDDレコーダA1へ許容サイズを移動元HDDレコーダA1同様IEEE1394規格に準じたパケットで通知する問合せレスポンス(opcode=”0”、operand[0]=”0x12”、limit_size=移動先HDDレコーダA2の許容サイズ)である。
【0103】
図18は、ステップS202の分割処理の手順(ステップS300からステップS303)を示している。
【0104】
図18においてステップS300では、移動元制御部203は移動情報管理手段205を用いてデジタルAVコンテンツ500の移動情報が生成されているかを確認する。移動情報が生成されていれば(ステップS300においてYES)、デジタルAVコンテンツ500の移動再開処理と判断し分割処理を終了する。移動情報が生成されていなければ(ステップS300においてNO)、デジタルAVコンテンツ500の新規移動処理開始と判断しステップS301に移る。
【0105】
ステップS301では、移動元制御部203は問合手段207を用いて移動先HDDレコーダA2の許容サイズを問合せる、問合せコマンド400を送信する。本実施の形態においては、移動先HDDレコーダA2の許容サイズを40Mバイトと定める。
【0106】
移動先HDDレコーダA2において問合せコマンドを受信後、移動先制御部303は問合せコマンド400に対する問合せレスポンス401のlimit_sizeに許容サイズである”40960”(単位はKバイト)を設定(図19において411)し、移動元HDDレコーダA1へ送信する。
【0107】
再び移動元HDDレコーダA1において移動元制御部203は、移動情報402の「移動先機器許容サイズ」に問合せレスポンス411のlimit_sizeに設定されている許容サイズである”40960”(単位はKバイト)を格納する。
【0108】
以上でステップS301を終了しステップS302へ移る。
【0109】
ステップS302では、デジタルAVコンテンツ500からセグメントを形成する。
【0110】
セグメント形成について図面を参照しながら説明する。図14において、移動元制御部203は分割手段208を用いてデジタルAVコンテンツ500からCCIが”1”もしくは”0”の何れか一方を有し、かつ、一つのセグメントが60秒以内となるように形成する(デジタルAVコンテンツ500の場合、この条件で分割を行なうと5つのセグメントが形成される)。
【0111】
次に、先頭のセグメントから順にセグメントIDである”0”、”1”、”2”、”3”、”4”を付与する(図14において第一の形態501)。以上でステップS302を終了しステップS303へ移る。
【0112】
ステップS303では、ステップS302で形成した各セグメントからブロックを形成する。
【0113】
ブロック形成について図14を参照しながら説明する。図14において、移動元制御部203は分割手段208を用いてセグメント502から許容サイズである”40960”(単位はKバイト)以下のサイズになるようにブロック504、ブロック505、ブロック506をそれぞれ形成し、ブロック504、ブロック505、ブロック506それぞれにブロックIDである”2”、”3”、”4”を付与する。(図14において第二の形態503)。他のセグメントについても同様にブロックを形成する。
【0114】
以上でステップS302を終了する。
【0115】
以上でステップS202の分割処理の説明を終わる。
【0116】
ここで、ステップS203のセグメント識別情報とブロック識別情報を生成する識別情報生成処理について、図面を参照しながら説明する。
【0117】
図20は、ステップS203の識別情報生成処理(ステップS310からステップS311))を示している。
【0118】
ステップS310では、移動元制御部203は、分割手段208を用いてステップS302で形成したブロック504のブロック識別情報を生成する(識別情報は405(図9)に示すデータ構造をとる)。ブロック識別情報において「ブロックID」にブロック504のブロックIDである”2”を格納し、「ブロックステータス」に移動未完を示す”0”を格納し、ブロックサイズにブロック504のブロックサイズである”40960”(単位はKバイト)を格納し、ブロック504に関するブロック識別情報生成を終わる。ブロック505、ブロック506についても同様に行う。図21において520、521、522は、ブロック504、ブロック505、ブロック505からそれぞれ生成されたブロック識別情報である。
【0119】
以上でステップS310を終了しステップS311へ移る。
【0120】
ステップS311では、移動元制御部203は、分割手段208を用いてステップS302で形成したセグメント502のセグメント識別情報を生成する(セグメント識別情報は403(図10)に示すデータ構造をとる)。セグメント識別情報において「セグメントID」にセグメント502のセグメントIDである”0”を格納し、「CCI」にセグメント502のCCI値である”1”を格納し、「セグメントステータス」にセグメント移動未完を示す”0”を格納し、「セグメントオフセット」にセグメント502のセグメントオフセット値である”0”を格納し、「セグメントサイズ」にセグメント502のセグメントサイズである”102400”(単位はKバイト)を格納し、「未送信ブロック数」にセグメント502を形成するブロック数である”3”を格納し、「ブロック識別情報リスト」にセグメント502を形成するブロックの先頭ブロックIDである”2”と終端ブロックIDである”4”を格納し、セグメント502に関するセグメント識別情報の生成を終わる。図21において523はセグメント502のセグメント識別情報である。またデジタルAVコンテンツ500を形成する他のセグメントについても同様に行う。
【0121】
以上でステップS311を終了する。
【0122】
以上でステップS203の識別情報生成処理の説明を終わる。
【0123】
ここで、ステップS204の移動情報生成処理について、図面を参照しながら説明する。
【0124】
ステップS204では、ステップS203で生成したブロック識別情報とセグメント識別情報から、デジタルAVコンテンツ500の移動情報を生成する。
【0125】
移動元制御部203は、移動情報管理手段205を用いてステップS203で生成したブロック識別情報とセグメント識別情報を基に移動情報を生成する(移動情報は402(図11)に示すデータ構造をとる)。移動情報において「対象コンテンツID」にデジタルAVコンテンツ500のコンテンツIDである”1234”を格納し、「移動先機器GUID」に移動先HDDレコーダA2のGUIDである”12341394:000000A2”を格納し、「移動方式」にアイソクロナス転送方式を示す”1”を格納し、「移動先機器許容サイズ」に移動先HDDレコーダA2の許容サイズ”40960”(単位はKバイト)を格納し、「未送信セグメント数」にデジタルAVコンテンツ500を形成するセグメント数である”5”を格納し、「セグメント識別情報リスト」にデジタルAVコンテンツ500を形成するセグメントの先頭セグメントIDである”0”と終端セグメントIDである”4”を格納し、デジタルAVコンテンツ500に関する移動情報の生成を終わる。図21において524はデジタルAVコンテンツ500の移動情報である。
【0126】
以上でステップS204の移動情報生成処理の説明を終わる。
【0127】
ここで、ステップS205のデジタルAVコンテンツをセグメント毎にブロック単位で移動する分割移動処理について、図面を参照しながら説明する。
【0128】
図22において406は対象セグメントの送信を開始するセグメント送信開始コマンドである。図23において407はセグメント送信開始コマンド406に対するセグメント送信開始レスポンスである。図24において409は移動先HDD301に記録失敗したブロックの情報を含む記録情報を問合せる記録情報問合せコマンドである。図25において410は記録情報問合せコマンドのレスポンスであり記録情報を含む記録情報問合せレスポンスである。
【0129】
図26は、ステップS205の分割移動処理の手順を示している。
【0130】
本ステップS205の分割移動処理開始時点での移動情報は524、セグメント識別情報は523、ブロック識別情報は520、521、522である。
【0131】
ステップS400では、まず変数seg_num(未送信セグメント数カウント用の変数)に移動情報524の「未送信セグメント数」を設定し、ステップS401に移る。
【0132】
ステップS401では、ステップS400で設定したseg_num回数分、ステップS412までの処理を繰り返し行う第一のループ処理を開始する。
【0133】
ここで、第一のループ処理について説明する。
【0134】
ステップS402では、変数index(セグメントID管理用の変数)に、移動情報の「セグメント識別情報リスト」に記載されている先頭セグメントのセグメントIDを設定し、ステップS403に移る。
【0135】
ステップS403では、セグメントIDがindexであるセグメント識別情報の「セグメントステータス」をチェックし、「セグメントステータス」が”1”なら(ステップS403においてYES)indexをインクリメントし(ステップS404)ステップS403に戻る。そうでないなら(ステップS403においてNO)変数retry(再送回数管理用の変数)に”0”を設定し(ステップS405)ステップS406に移る。
【0136】
ステップS406では、セグメントIDがindexであるセグメント移動処理を行い、移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報をそれぞれ更新し移動元HDD201に保存する。ステップS406の詳細は以降で説明する。ステップS406の処理が終わるとステップS407に移る。
【0137】
ステップS407では、セグメントIDが変数indexであるセグメント識別情報の「未送信ブロック数」を確認する。
【0138】
「未送信ブロック数」が”0”でない時、セグメントID=indexとなるセグメントを構成するブロックの送信に失敗したならば(ステップS407においてNO)S408の再送処理に移る。
【0139】
ステップS408では、変数retryを確認し、変数retryが”3”未満であれば(ステップS408においてYES)変数retryをインクリメントし(S409)ステップS406へ戻り再送処理を行う(このときステップS406では、移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報を基に、送信に失敗したブロックつまりブロック識別情報の「ブロックステータス」が”0”のブロックを再送する処理を行う)。そうでないなら再送処理を終えてステップS412へ移る。尚、本実施形態においては変数retryの比較演算を”3”(セグメント再送処理は3回迄)としているが、仕様に応じて規定してよい。
【0140】
再びステップS407において、「未送信ブロック数」が”0”の時つまりセグメントIDがindexであるセグメントを構成する全てのブロックの送信に成功したならば(ステップS407においてYES)、セグメントの送信完了を示すためにセグメントIDがindexであるセグメント識別情報の「セグメントステータス」に”1”を設定し(ステップS410)、移動情報の「未送信セグメント数」をデクリメントし変数seg_numをデクリメントし(ステップS411)、S412に移る。
【0141】
S412では、変数indexをインクリメントすることで次のセグメントをチェックする準備を行う。
【0142】
以上S401からS412の処理を繰り返し行い、デジタルAVコンテンツを構成する全てのセグメントの送信を終え、ステップS413に移る。
【0143】
ステップS413では、移動情報の「未送信セグメント数」が”0”かどうかを確認する。「未送信セグメント数」が”0”すなわち全てのセグメントの移動を完了していれば分割移動処理成功とする。「未送信セグメント数」が”0”でない、すなわち全てのセグメントの移動を完了していなければ分割移動失敗とする。
【0144】
続いてステップS406のセグメント移動処理について図面を参照しながら説明する。
【0145】
図27は、ステップS406のセグメント移動処理(ステップS450からステップS469)について示した図である。
【0146】
ステップS450では、ブロックカウント用の変数countに”0”を設定しステップS451に移る。
【0147】
ステップS451では、セグメントの送信を移動先HDDレコーダA2へ通知するためのセグメント送信開始コマンド(ctype=”0”、opcode=”0”、operand[0]=”0x13”、seg_id=送信対象セグメントのセグメントID、seg_ofs=送信対象セグメントのオフセット、seg_size=送信対象セグメントのセグメントサイズ、blk_id[n]=送信ブロックのブロックID(nは可変))を送信し、移動先HDDレコーダA2からのセグメント送信開始レスポンス(opcode=”0”、operand[0]=”0x13”)を受信しステップS452へ移る。図22の406はセグメント送信開始コマンドのフォーマットである。また図23の407はセグメント送信開始レスポンスのフォーマットである。
【0148】
ステップS452からステップS459では、セグメントを構成するブロックの数分、つまりセグメント識別情報の「未送信ブロック数」に設定された数分のブロック転送を行う、第二のループ処理とする。
【0149】
ステップS453では、移動元制御部203は、読出手段209を用いて移動元HDD201から当該ブロックを読み出し、それを送信RAM204へ書き込み、ステップS454に移る。
【0150】
ステップS454では、セグメント識別情報の「CCI」が”0”かどうかを判定し、「CCI」が”0”でなければ(ステップS454においてNO)暗号手段210により所定の暗号化方式で送信RAM204上のブロックを暗号化し(ステップS455)ステップS456へ移る。「CCI」が”0”であれば(ステップS454においてYES)送信RAM204上のブロックを暗号化せずにステップS456へ移る。
【0151】
ステップS456では、移動情報の「移動方式」を判定し、「移動方式」が”0”であれば(ステップS456においてYES)移動先HDDレコーダA2へ送信RAM204上のブロックをアイソクロナス転送方式で送信し(ステップS458)ステップS459へ移る。そうでなければ(ステップS456においてNO)移動先HDDレコーダA2へ送信RAM204上のブロックを非同期転送方式で送信し(ステップS457)ステップS459へ移る。移動方式は図2〜6で説明したとおりである。
【0152】
ステップS459では、変数countをインクリメントすることで次のブロックの送信準備を行う。以上ステップS452からステップS459を繰り返すことにより、所定のセグメントを構成する全てのブロックの送信を行い、ステップ460へ移る。
【0153】
ここで、セグメントを構成する全てのブロックを受信した移動先HDDレコーダA2は受信手段309を用いて移動先IEEE1394インターフェイス302から受信RAM304へ前記パケット化された送信ブロックを受信する。移動先制御部303は、受信RAM304に受信したブロックのCCIを確認しCCIが"0"すなわち"Copy Freely"でなければ復号手段305を用いて所定の復号化方式で復号化し記録手段306を用いて移動先HDD301へ記録する。そうでなければそのまま記録手段306を用いて移動先HDD301へ記録する。移動先HDD301への記録に失敗したブロックが存在すれば、移動先制御部303はリトライ手段307を用いて所定の回数だけ再記録を行う。再記録の回数が所定の回数を超えると記録に失敗したとし、対象ブロックの記録を中断する。ユーザ操作などによる再開要請があれば、ステップS205の分割移動処理から再開する。
【0154】
ステップS460では、移動先HDDレコーダA2へ記録情報問合せコマンド(ctype=”0”、opcode=”0”、operand[0]=”0x14”)を送信し、移動先HDDレコーダA2からの記録情報問合せレスポンス(opcode=”0”、operand[0]=”0x14”、blk_id[m]=記録失敗したブロックID(mは可変))を受信し記録情報を生成しステップS461へ移る。
【0155】
ステップS461では、ブロックカウント用の変数countに”0”を設定しステップS462に移る。
【0156】
ステップS462からステップS467では、当該セグメントが保護対象であった場合に、当該セグメントを構成するブロックのうち第二のループ処理で移動に成功したブロック(ステップS460において、記録情報には移動先HDD301への記録に失敗したブロックのブロックIDが書き込まれている。すなわち、記録情報に記録されていないブロックIDが移動先HDD301への記録に成功したブロックのIDとなる。)を移動元HDD201から再生禁止にする、第三のループ処理とする。
【0157】
ステップS463では、該当ブロックのブロックIDが記録情報に記録されているかを判定する。記録されていなければ(ステップS463にてNO)ステップS464に移る。記録されていれば(ステップS463にてYES)ステップS467に移る。
【0158】
ステップS464では、該当ブロックのブロック識別情報の「ブロックステータス」を移動完了を示す”1”に設定し、ステップS465に移る。
【0159】
ステップS465では、該当ブロックを含むセグメントのセグメント識別情報の「CCI」を判定する。「CCI」が”0”でなければ(ステップS465にてNO)再生禁止手段214により該当ブロックを再生禁止にし(ステップS466)、ステップS467に移る。「CCI]が”0”であれば(ステップS465にてYES)該当ブロックが”CopyFreely”であるのでそのままステップS467に移る。
【0160】
ステップS467では、変数countをインクリメントし次のブロックの再生禁止処理の準備を行う。
【0161】
前記第二のループ処理と、前記第三のループ処理を終えると、次のステップS468へ移る。
【0162】
ステップS468では、現在のセグメント識別情報の「未送信ブロック数」の値から移動に成功したブロック数を減じた結果をセグメント識別情報の「未送信ブロック数」に書込みステップS469に移る。
【0163】
ステップS469では、現在の移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報を移動元HDD201に更新保存しセグメント移動処理を完了する。
【0164】
以上でステップS406のセグメント移動処理についての説明を終える。
【0165】
ここで、再送処理について、デジタルAVコンテンツ500を用いてステップS205の分割移動処理の成功例と失敗例を踏まえて説明する。
【0166】
ステップS400では、デジタルAVコンテンツ500の移動情報は524、セグメント502のセグメント識別情報は523、ブロック504のブロック識別情報は520、ブロック505のブロック識別情報は521、ブロック506のブロック識別情報は522、変数seg_num=”5”である。
【0167】
ステップS401では、変数seg_num=”5”のため条件が成立し第一のループ処理に移る。
【0168】
ステップS402では、変数index=”0”となる。
【0169】
ステップS403では、セグメント識別情報523の「セグメントステータス」=”0”のためNOが選択されステップS405に移る。
【0170】
ステップS405では、変数retry=”0”となる。
【0171】
ステップS406では、セグメント502の送信を行う。ここで、ブロックID=”4”であるブロック506の送信中にバスリセットが発生しバスリセットが完了時にバスの帯域が取れなかったとする。移動元制御部203は移動方式選択手段213を用いて非同期転送方式を選択し移動情報524の「移動方式」を”1”にし、移動先機器限定手段212を用いて移動情報524の「移動先機器GUID」=”12341394:000000A2”の機器をIEEE1394バス200上から探し出す。続いてブロック506の送信を再開しここでブロック506の送信に失敗したとする。
【0172】
ステップS406を終了しステップS407に移った時点で、ブロック識別情報520が図28に示す525に、ブロック識別情報521が図28に示す526に、ブロック識別情報522が図28に示す527に、セグメント識別情報523が図28に示す528に、移動情報524が図28に示す529に更新され移動元HDD201に記録されている。ステップS407では、セグメント識別情報528の「未送信ブロック数」=”1”のためNOが選択されステップS408へ移る。
【0173】
ステップS408では、変数retry=”0”のためYESが選択されステップS409に移る。
【0174】
ステップS409では、変数retryがインクリメントされ変数retry=”1”となりステップS406へ戻る。
【0175】
ここまでの処理をシーケンス1とする。
【0176】
以降、送信失敗例と成功例に分けて説明する。
【0177】
まず送信失敗例について説明する。
【0178】
ステップS406では、セグメント502の送信を行う。ここで、ブロックID=”4”であるブロック506の送信に失敗するとステップS407において再びNOが選択され、ステップS408において再びYESが選択されステップS409において変数retryがインクリメントされ変数retry=”2”となりステップS406へ戻る。本例では、この処理を変数retry=”3”になるまで繰り返したとする。
【0179】
ステップS408では、変数retry=”3”のためNOが選択されステップS412に移る。
【0180】
ステップS412では、indexがインクリメントされindex=”1”となり、セグメント502の送信処理を終え再びステップS401に戻り次のセグメント移動処理に移る。以降のセグメント送信においては送信失敗が発生しなかったとし、ステップS413に移る。
【0181】
ステップS413では、移動情報529の「未送信セグメント数」が”1”であるため、NOが選択され分割移動処理は失敗となる。以上で失敗例を終了する。
【0182】
続いて成功例を説明する。シーケンス1後の状態において、ステップS406で、セグメント502の送信を行う。ここで、ブロックID=”4”であるブロック506の送信に成功したとする。この時、ステップS406ではブロック識別情報527が図29に示す530に、セグメント識別情報528が図29に示す531に、移動情報529が図29に示す532に更新される。
【0183】
ステップS407では、セグメント識別情報531の「未送信ブロック数」が”0”のためYESが選択されステップS410へ移る。
【0184】
ステップS410では、セグメント識別情報531の「セグメントステータス」を”1”に更新され移動元HDD201に保存し、ステップS411に移る。
【0185】
ステップS411では、移動情報529の「未送信セグメント数」がデクリメントされ”4”に更新され移動元HDD201に保存し、ステップS412に移る。
【0186】
ステップS412では、変数indexをインクリメントしindex=”1”となり、セグメント502の送信処理を終え再びステップS401に戻り次のセグメント移動処理に移る。以降のセグメント送信においても送信失敗が発生しなかったとし、ステップS413に移る。
【0187】
ステップS413では、移動情報529の「未送信セグメント数」が”0”であるため、NOが選択され分割移動処理は成功となる。以上で成功例を終了する。
【0188】
以上でデジタルAVコンテンツの移動処理の説明を終える。
【0189】
以上のように、本実施の形態によると、デジタルAVコンテンツの移動動作中、何らかの事故により移動動作が中断されても、中断直前までに更新されていた対象デジタルAVコンテンツの移動情報、移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報、移動リストをそれぞれ参照することで、中断直前の状態から対象デジタルAVコンテンツの移動動作を再開することが可能であり、対象デジタルAVコンテンツの消失などを防止することができる。
【0190】
また、本実施の形態によると、デジタルAVコンテンツの一部の移動に失敗した場合であっても、更新された移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報をそれぞれ参照することで移動に失敗した部分のみ再送し、デジタルAVコンテンツの再送処理に伴うデータ転送量を軽減することができる。
【0191】
また、本実施の形態によると、複数の移動方式の中から最適な移動方式を選択する移動方式選択手段を設けることにより、アイソクロナス帯域が少ない場合であっても、非同期転送方式による移動処理に切り替えるなどし、通信バスを効率的に使用することができる。
【0192】
また、本実施の形態によると、コンテンツ保護対象部分とそうでない部分とを含むデジタルAVコンテンツの移動動作であっても、コンテンツ保護対象部分のみを移動元機器から消去することにより、コンテンツ保護領域の不正コピーを防止することができる。
【0193】
また、本実施の形態によると、通信バス上の機器接続形態が変化しても移動先機器限定手段により正しい移動先機器を見つけ出すことにより、誤って別の機器にデジタルAVコンテンツを移動してしまう誤動作を防止し、安全に移動動作を再開することができる。
【0194】
また、本実施の形態によると、セグメントの移動動作に所定の回数失敗すると、該当セグメントの再送処理を一時中止する再送制限を設けることで、移動元記録再生機器がデジタルAVコンテンツの移動動作における再送動作から抜け出せなくなることを防止することができる。
【0195】
また、本実施の形態によると、該当ブロックの記録失敗時に記録動作を繰り返すリトライ手段を備え、さらにリトライ手段に所定の回数リトライ動作を繰り返したらリトライ動作を終了するリトライ制限を設けることにより、移動元記録再生機器が記録動作から抜け出せなくなることを防止する。
本実施の形態では、所定のコマンドを特定するための一例として、デジタルAVコンテンツ移動先機器の許容サイズを取得する問合コマンドおよび問合レスポンスにopcode=0、operand[0]=0x12を使用し、セグメント送信開始コマンドおよびセグメント送信開始レスポンスにopcode=0、operand0=0x13を使用し、記録情報問合せコマンドおよび記録情報問合せレスポンスにopcode=0、operand0=0x14と定義したが、1394TAで規格化されているAV/Cコマンドセット規格中で定義済み以外の値であればどの値を使用しても良い。
【0196】
また、本実施の形態では、問合コマンドおよび問合レスポンス、セグメント送信開始コマンドおよびセグメント送信開始レスポンス、記録情報問合せコマンドおよび記録情報問合せレスポンスにAV/Cコマンドセットを用いたが、同等の機能を有するコマンドセットであれば、他のものを用いても良い。
【0197】
また、本実施の形態では、移動元記録媒体および移動先記録媒体がHDDであったが、ランダムアクセス可能な記録媒体であれば、例えばDVD−RAMやBlue−rayディスクやSDカードなどの記録媒体であっても良い。
【0198】
また、本実施の形態では、暗号手段および復号手段における暗号化/復号化方式を特定していないが、DTCPなどのコンテンツ保護可能な暗号化/復号化方式であっても良い。
【0199】
また、本実施の形態では、通信バスとしてIEEE1394を例に説明を行ったが、この限りではない。
【0200】
また、本実施の形態では、移動元機器と移動先機器それぞれにチューナーを備えていないが、この限りではない。
【0201】
また、本実施の形態では、一つの移動元機器から一つの移動先機器へのデジタルAVコンテンツ移動動作に関するものであったが、複数の移動元機器から一つの移動先機器へのデジタルAVコンテンツ移動動作に関するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明にかかるデジタルAVコンテンツ移動システムは、IEEE1394などの高速シリアル通信バスに接続された2つ以上の記録再生装置間でのデジタルAVコンテンツ移動システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の実施の形態におけるデジタルAVコンテンツ移動システムの構成図
【図2】非同期パケットおよびアイソクロナスパケットの構造概要図
【図3】ユニファイド・トランザクションの説明図
【図4】スプリット・トランザクションの説明図
【図5】ACKコード一覧を示す図
【図6】レスポンスコード一覧を示す図
【図7】移動方式一覧を示す図
【図8】セグメントステータス/ブロックステータス一覧を示す図
【図9】ブロック識別情報フォーマットを示す概念図
【図10】セグメント識別情報フォーマットを示す概念図
【図11】移動情報フォーマットを示す概念図
【図12】本発明の実施の形態におけるデジタルAVコンテンツ移動シーケンス図である。
【図13】移動リストを示す概念図
【図14】本発明の実施の形態におけるデジタルAVコンテンツ分割例を示す説明図
【図15】移動リスト(デジタルAVコンテンツ500のコンテンツID追加後)を示す概念図
【図16】許容サイズ問合せコマンドフォーマットを示す図
【図17】許容サイズ問合せレスポンスフォーマットを示す図
【図18】ステップS202の分割処理のフロー図
【図19】許容サイズ問合せレスポンスフォーマット(limit_size設定時)を示す図
【図20】ステップS203の識別情報生成処理をフロー図
【図21】移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報(ステップS310完了時)を示す図
【図22】セグメント送信開始コマンドフォーマットを示す図
【図23】セグメント送信開始レスポンスフォーマットを示す図
【図24】記録情報問合せコマンドフォーマットを示す図
【図25】記録情報問合せレスポンスフォーマットを示す図
【図26】ステップS205の分割移動処理のフロー図
【図27】ステップS406セグメント移動処理のフロー図
【図28】移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報(ステップS406失敗時)を示す図
【図29】移動情報、セグメント識別情報、ブロック識別情報(ステップS406成功時)を示す図
【図30】従来のデジタルAVコンテンツ移動システムの構成図
【図31】従来の移動中のデジタルAVコンテンツの状態図
【符号の説明】
【0204】
A1 移動元HDDレコーダ
A2 移動先HDDレコーダ
200 IEEE1394バス
201 移動元HDD
202 移動元IEEE1394インターフェイス
203 移動元制御部
204 送信RAM
205 移動情報管理手段
206 再送手段
207 問合手段
208 分割手段
209 読出手段
210 暗号手段
211 送信手段
212 移動先機器限定手段
213 移動方式選択手段
214 再生禁止手段
301 移動先HDD
302 移動先IEEE1394インターフェイス
303 移動先制御部
304 受信RAM
305 復号手段
306 記録手段
307 リトライ手段
308 記録情報通知手段
309 受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動元記録再生機器と移動先記録再生機器とが所定の通信バスで接続され、前記移動元記録再生機器から前記移動先記録再生機器へ、移動対象のデジタルAVコンテンツを移動させるデジタルAVコンテンツ移動システムであって、
前記移動元記録再生機器は、移動元記録媒体と、移動元記憶素子と、前記移動元記録媒体に記録された前記デジタルAVコンテンツを読み出し前記移動元記憶素子に送信するように前記移動元記録再生機器を制御する移動元制御部とを備え、
前記移動先記録再生機器は、移動先記録媒体と、移動先記憶素子と、前記移動先記憶素子に受信された前記デジタルAVコンテンツを読み出し前記移動先記憶媒体に書き込むように前記移動先記録再生機器を制御する移動先制御部とを備え、
前記移動元制御部は、
前記移動先記録再生機器が前記デジタルAVコンテンツを一度に受信処理可能な前記移動先記憶素子のサイズを問い合わせる問合手段と、
前記デジタルAVコンテンツを第一のサイズに分割してセグメントを形成し、さらに前記セグメントを前記移動先記憶素子のサイズを越えない第二のサイズに分割してブロックを形成する分割手段と、
前記移動元記録媒体に記録された前記デジタルAVコンテンツの前記セグメントおよびブロックに関する移動情報を生成し管理する移動情報管理手段と、
前記移動元記録媒体に記録された前記デジタルAVコンテンツを読み出す読出手段と、
読み出した前記デジタルAVコンテンツのうちコンテンツ保護部分を暗号化する暗号手段と、
前記通信バスへ前記デジタルAVコンテンツのデータを送信する送信手段とを備え、
前記移動先制御部は、
前記通信バスから前記データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した暗号化された前記コンテンツ保護部分を復号化する復号手段と、
前記復号手段により復号化された前記コンテンツ保護部分を含む前記デジタルAVコンテンツを前記移動先記録媒体へ記録する記録手段と、
受信した前記デジタルAVコンテンツを前記移動先記録媒体へ記録する際に、前記セグメント毎に記録情報を生成し、前記移動元記録再生機器に通知する記録情報通知手段とを備え、
前記移動情報管理手段が、受信した前記記録情報を基に前記移動情報を更新し前記更新された移動情報を前記移動元記録媒体に記録しながらデジタルAVコンテンツの移動動作を行うことを特徴とするデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項2】
前記移動元制御部が、前記記録情報通知手段により通知された記録情報に基づいて前記移動先記録媒体への記録に失敗した所定の前記セグメントに含まれる前記所定のブロックのみを前記移動先記録再生機器へ再送する再送手段を備える請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項3】
前記再送手段は、所定のブロックの移動動作に所定の回数失敗すると、該当ブロックの再送処理を一時中止する再送制限を設ける請求項2記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項4】
前記移動元制御部は、前記デジタルAVコンテンツを送信する際に、複数の移動方式の中から一つの移動方式を選択する移動方式選択手段を備える請求項1,2または3記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項5】
前記セグメントは、実再生時間における60秒以内に収まる大きさであり、且つコンテンツ保護領域かそうでない領域かの何れか一方のみを含む請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項6】
前記移動元制御部は、前記記録情報通知手段により通知された前記記録情報を基に、コンテンツ保護領域のセグメントに含まれる前記一つ以上のブロックを、移動元記録媒体から再生不可にする再生禁止手段を備える請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項7】
前記セグメントは、前記一つ以上のブロックによって構成されている請求項1,2,3,4,5または6記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項8】
前記移動元記録再生機器ないし前記移動先記録再生機器が、放送番組受信用のチューナーを備えている請求項1,2,3,4,5,6または7記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項9】
前記移動元記録媒体および前記移動先記録媒体は、ランダムアクセス可能な記録媒体である請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項10】
前記移動先制御部は、前記ブロックの記録失敗時に記録動作を繰り返すリトライ手段を備える請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項11】
前記リトライ手段は、所定の回数リトライ動作を繰り返したらリトライ動作を終了するリトライ制限を設けた請求項10記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項12】
前記移動元制御部は、前記デジタルAVコンテンツの移動動作を開始すると、前記デジタルAVコンテンツの移動先機器を限定する移動先機器限定手段を備える請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。
【請求項13】
前記通信バスが、IEEE1394規格準拠の高速シリアルバスである請求項1記載のデジタルAVコンテンツ移動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−310988(P2007−310988A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141040(P2006−141040)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】