説明

デバイスを初期設定状態に復元するための装置、方法及び記録媒体

【課題】リセット機構によって状態をリセットすることができリセット機構の乱用を防ぐ。
【解決手段】ハードディスクドライブ400は、デバイスと関連する各種データを格納し、第1のパーティション402と第2のパーティション404を含む。第1のパーティション402に格納されているデータは、システムのリセット動作が行われるとクリアされる。第2のパーティション404に格納されているデータは、システムのリセット動作が行われてもクリアされない。第1のパーティション402は保存アプリケーションデータ、デバイス構成情報などを格納する。第2のパーティション404は、デバイスとのユーザインタフェースを実施するコンソールアプリケーション416を格納する。第2のパーティション404はさらに、システムリセット動作を実行するリセットアプリケーション420を格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスを初期設定状態に復元するための装置、方法及び記録媒体に関し、より詳細には、電子デバイス内のディスクドライブまたはその他のストレージデバイスに格納されているデータをリセットすることに係るデバイスを初期設定状態に復元するための装置、方法及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市場に出回っているゲームシステム(Gaming systems)は、ディスクドライブからゲームディスク、音楽CD(compact disc [disk])、および映画DVD(digital video disc [disk])を再生することができる。たとえば、ソニーのゲームシステムPlaystation(登録商標)2は、コンソールに挿入されたディスクからゲーム、音楽、およびビデオタイトルを再生する機能を備えている。これらのゲームシステムは、その内部データ記憶容量が限られている。通常、この内部データ記憶域は、現地時間、ユーザ固有の言語設定などのシステムおよび構成情報を格納するために使用される。保存されているゲームデータやその他のゲーム特有のデータなどのその他のデータは、一般に、ゲームコンソールの外部にあるメモリデバイスに格納される。たとえば、ハンドヘルドゲームコントローラに挿入されたメモリユニットにゲーム情報を格納し、後でゲームコンソールから取り出すことができる。既存のゲームシステムは、保存されたゲームおよびその他の情報を格納するためのノンリムーバル内蔵ハードディスクドライブを備えていない。
【0003】
新世代のビデオゲームシステムは、ゲーム機能を高めるハードディスクドライブと、オンラインゲームを容易にするブロードバンドによる接続性を備える。こうした追加機能とともに、ハードディスクドライブを使用して、相当量のデータ(たとえば、複数のゲームタイトルおよびゲームシステムの複数のユーザから集まった保存ゲームデータ)をビデオゲームシステム内に格納することができる。この新しい内蔵記憶能力は、ハードディスクドライブ上のソフトウェアまたはデータの破損に関する新しい問題を生じている。ビデオゲームシステムをメーカーに返送し、ソフトウェアおよび/またはデータ破損を修復してもらうことは、ユーザにとって、かなりの期間そのゲームシステムを利用できないという点で不便である。
【0004】
いくつかの文献に上述のような従来の技術に関連した技術内容が開示されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,214,695号明細書
【特許文献2】米国特許第5,564,011号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】David D. Langan and Thomas J. Scott, "A Methodology for Fast PC Hard Disk State Restoration," University of South Alabama & Western Illinois University, 1992, pp. 1105-1110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、ハードディスクドライブを既知の状態にリセットできる、ゲームシステムおよびその他のデバイス用の、リセット機構が求められている。さらに、リセット機構の乱用を防ぐことが求められる。このような乱用は、何時間もの保存されているゲーム情報、デバイス設定情報、ハイスコアなどの削除を引き起こす恐れがある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、リセット機構によって状態をリセットすることができリセット機構の乱用を防ぐことができる、デバイスを初期設定状態に復元するための装置、方法及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ゲームシステムなどのデバイスは、プロセッサと各種データを格納するためのハードディスクドライブを備える。ハードディスクドライブは、第1のパーティションと第2のパーティションに分ける。第1のパーティションに格納されているデータは、システムのリセット動作が行われるとクリアされる。第2のパーティションに格納されているデータは、システムのリセット動作が行われてもクリアされない。第1のパーティションは、デバイス上で実行されている1つまたは複数のアプリケーションにより生成され保存されたデータを格納する。第2のパーティションは、アプリケーションプログラムおよびその他の種類の読み取り専用データを含む。
【0010】
特定の実施形態では、ゲームコンソールはゲームコンソールに組み込まれているハードディスクドライブの第1のパーティションから起動される。ハードディスクドライブの第1のパーティションは読み取り専用として指定される。ゲームコンソールが動作している間に生成されるデータは、ハードディスクドライブの第2のパーティション上に格納される。
【0011】
他の実施形態では、シリアル番号をゲームコンソールに割り当てる。隠しコードをゲームコンソールに装備されているストレージデバイスに格納する。シリアル番号および関連する隠しコードについては、後で参照できるようにデータベースに格納されている。パスコードアルゴリズムを隠しコードに適用することによりパスコード(passcode)を生成する。パスコードにより、ゲームコンソールをリセットするのに必要な一連の制御入力を識別する。
【0012】
説明される実施形態では、デバイスに関してテクニカルサポートエージェント(technical support agent)とコンタクトを取る。デバイスのシリアル番号をテクニカルサポートエージェントに提示する。テクニカルサポートエージェントからパスコードを受け取る。それから、そのパスコードをデバイスに適用し、デバイス内の隠しコードからパスコードを計算することにより適用されたパスコードを検証する。適用されたパスコードが検証されると、そのデバイスは工場初期設定状態にリセットされる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、リセット機構によって状態を初期設定状態にリセットすることができるとともに、リセット機構の乱用を防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の例示的なゲームシステムの図である。
【図2】本発明の実施形態のゲームシステムのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の図1のゲームシステムがネットワーク経由で他のコンソールおよびサービスに接続されているネットワークゲームシステムの図である。
【図4】本発明の実施形態の2つの分離されているパーティションを含む例示的なハードディスクドライブの図である。
【図5】本発明の実施形態のシリアル番号が設定されているゲームシステムに隠しコードを割り当てるプロセスの流れ図である。
【図6】本発明の実施形態のハードディスクドライブを工場初期設定状態にリセットするプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図面において同様の機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明の重複は省略する。
【0016】
ここで説明している特定の例ではゲームシステムを取り上げているが、本発明の方法および装置は、工場初期設定状態にリセットすることが可能なハードディスクドライブまたはその他の記憶機構を備える任意のデバイスに応用することができる。ハードディスクドライブまたはその他の記憶機構は、読み取り専用として保護されている(つまり、リセット動作時に消去されない)ブート可能領域(bootable region)と読み書き機能を備えリセット動作時に消去される第2のパーティションに分割される。
【0017】
図1は、ゲームシステム例100の図である。ゲームシステム100は、ゲームコンソール102およびコントローラ104aおよび104bで表されるように最大4台までのコントローラを備える。ゲームコンソール102は、内蔵ハードディスクドライブ、および光記憶ディスク108で表されるようにさまざまな形態のポータブルストレージメディアをサポートするポータブルメディアドライブ106を装備する。適切なポータブルストレージメディアの例として、DVD、CD−ROM(read only memory)、ゲームディスク、などがある。
【0018】
ゲームコンソール102は、前面に4つのスロット110を備え、最大4台までのコントローラをサポートするが、スロットの個数と配列は修正することができる。電源ボタン112およびイジェクトボタン114も、ゲームコンソール102の前面に配置される。電源ボタン112で、ゲームコンソールの電源をオンオフし、イジェクトボタン114でポータブルメディアドライブ106のトレイの開閉を行い、記憶ディスク108の抜き差しを行う。
【0019】
ゲームコンソール102は、A/Vインタフェースケーブル120によりテレビまたはその他の表示装置(図示せず)に接続される。電源ケーブル122はゲームコンソールに電力を供給するためのケーブルである。ゲームコンソール102はさらに、インターネットなどのネットワークにアクセスできるようにケーブルまたはモデムコネクタ124によって表されるようなブロードバンド機能を備える構成にできる。
【0020】
各コントローラ104a、104bは、有線または無線インタフェースでコンソール102に結合される。図に示されている実施形態では、コントローラはUSB(Universal Serial Bus)互換性があり、シリアルケーブル130a、130bを介してコンソール102に接続される。コンソール102は、さまざまなユーザ対話機構を備えることができる。図1に示されているように、各コントローラ104a、104bは、サムスティック(thumbsticks)132a、132bおよび132c、Dパッド(D−pad)134、ボタン136、および2つのトリガ138を備える。これらの機構は、単に代表的なものだけであり、他の周知のゲーム機構を図1に示されているものの代わりに使用したり、追加したりすることができる。
【0021】
メモリユニット(MU)140をコントローラ104a、104bまたはゲームコンソール102に装着して、ポータブルストレージを増設することができる。ユーザは、メモリユニット140を使用して、ゲームパラメータを格納し、他のコンソールでのプレイのためにそれらをポート(port)ですることができる。たとえば、ユーザは特定のゲームコンソールを使用してゲームをメモリユニット140に保存し、別のゲームコンソール上で実行されるゲームでその保存されているゲームデータを使用することができる。説明される実施形態では、各コントローラは2つのメモリユニット140を収納するように構成されるが、他の実施形態では2つより多いまたは少ないユニットを使用することができる。任意の個数のメモリユニット140を収納できるように特定のゲームコンソール102を構成できる。
【0022】
ゲームシステム100は、たとえば、ゲーム、音楽、およびビデオを再生することができる。別のストレージを用意することで、ハードディスクドライブ、またはドライブ106内のポータブルメディア108、オンラインソース、またはメモリユニット140からタイトルを再生することができる。ゲームシステム100で再生できる一例として以下のものがある。
【0023】
1.CDディスク、DVDディスク、ハードディスクドライブ、またはオンラインソースから再生されるゲームタイトル。
【0024】
2.ポータブルメディアドライブ106内のCD、ハードディスクドライブ上のファイル(たとえば、Windows(登録商標) Media Audio(WMA)形式)、またはオンラインストリーミングソースから再生されるデジタル楽曲。
【0025】
3.ポータブルメディアドライブ106内のDVDディスク、ハードディスクドライブ上のファイル(たとえば、Active Streaming形式)、またはオンラインストリーミングソースから再生されるデジタルオーディオ/ビデオ。
【0026】
図2は、ゲームシステム100の機能コンポーネントをさらに詳しく示している。ゲームコンソール102は、中央演算処理装置(CPU)200および、フラッシュROM204、RAM(random access memory)206、ハードディスクドライブ208、およびポータブルメディアドライブ106をはじめとする各種メモリにプロセッサからアクセスできるようにするメモリコントローラ202を備える。CPU200は、データを一時的に保存しておくためのレベル1キャッシュ210とレベル2キャッシュ212を備えているため、メモリアクセスサイクル数を減らすことができ、処理速度および効率を改善することができる。
【0027】
CPU200、メモリコントローラ202、および各種メモリデバイスは、シリアルおよびパラレルバス、メモリバス、周辺機器バス、およびさまざまなバスアーキテクチャを使用するプロセッサまたはローカルバスなどで相互接続されている。たとえば、このようなアーキテクチャとしては、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカルバス、およびMezzanineバスとも呼ばれるPCI(Peripheral Component Interconnect)バスがある。
【0028】
適切な1つの実施形態として、CPU200、メモリコントローラ202、ROM 204、およびRAM 206が共通モジュール214に組み込まれている。この実施形態では、ROM 204はPCI(Peripheral Component Interconnect)バスおよびROMバス(図にはいずれも示されていない)を介してメモリコントローラ202に接続されているフラッシュROMとして構成されている。RAM 206は、別のバス(図示せず)を介してメモリコントローラ202により独立に制御される複数のDDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic RAM)として構成される。ハードディスクドライブ208およびポータブルメディアドライブ106は、PCIバスおよびATA (AT Attachment)バス216を介してメモリコントローラに接続される。
【0029】
3Dグラフィックス処理ユニット220およびビデオエンコーダ222は高速で高解像度のグラフィックス処理を実行するためのビデオ処理パイプラインを形成する。データは、デジタルビデオバス(図示せず)を介してグラフィックス処理ユニット220からビデオエンコーダ222に伝送される。オーディオ処理ユニット224およびオーディオCODEC(コーダ/デコーダ)226は高忠実度およびステレオ処理機能を持つ対応するオーディオ処理パイプラインを形成する。オーディオデータは、通信リンク(図示せず)を介してオーディオ処理ユニット224とオーディオCODEC226との間でやり取りされる。ビデオおよびオーディオ処理パイプラインは、データをA/V(オーディオ/ビデオ)ポート228に出力し、このデータがテレビまたはその他の表示装置に送信される。図に示されている実施形態では、ビデオおよびオーディオ処理コンポーネント220〜228はモジュール214に装着されている。
【0030】
モジュール214にはさらに、USBホストコントローラ230およびネットワークインタフェース232が実施される。USBホストコントローラ230は、バス(たとえば、PCIバス)を介してCPU 200とメモリコントローラ202に結合され、周辺機器コントローラ104a〜104dのホストとして使用される。ネットワークインタフェース232は、ネットワーク(たとえば、インターネット、ホームネットワークなど)にアクセスするための機能を備え、Ethernet(登録商標)カード、モデム、Bluetooth(登録商標)モジュール、ケーブルモデムなど、さまざまな有線または無線インタフェースコンポーネントのいずれかである。
【0031】
ゲームコンソール102は、2つのデュアルコントローラサポートサブアセンブリ240aおよび240bを備え、各サブアセンブリは104a〜104dの2つのゲームコントローラをサポートする。フロントパネルI/0サブアセンブリ242は、ゲームコンソールの外面に露出している電源ボタン112およびイジェクトボタン114、さらにLED(発光ダイオード)またはその他のインジケータの機能をサポートする。サブアセンブリ240a、240b、および242は、1つまたは複数のケーブルアセンブリ244を介してモジュール214に結合される。
【0032】
8個のメモリユニット140a〜140hは、4つのコントローラ104a〜104dに接続可能であるように示されている、つまりコントローラ1つに2つのメモリユニットが接続されるように示されている。各メモリユニット140a〜140hを使って、ゲーム、ゲームパラメータ、およびその他のデータを格納するためのストレージを増設することができる。メモリユニット140a〜140hは、コントローラに装着すると、メモリコントローラ202によりアクセスすることができる。さらに、1つまたは複数のメモリユニット140a〜140hをゲームコンソール102に差し込んで、メモリコントローラ202からアクセスすることができる。
【0033】
システム電源モジュール250は、ゲームシステム100のコンポーネントに電力を供給する。ファン252により、ゲームコンソール102内の回路類が冷却される。
【0034】
ゲームコンソール102は、ユーザがさまざまなエンターテインメントエリア内を移動するために一貫したユーザインタフェースとナビゲーション階層を備える統一メディアポータルモデル(uniform media portal model)を実装している。ポータルモデルは、ポータブルメディアドライブ106に挿入されるメディアタイプに関係なくゲームデータ、オーディオデータ、ビデオデータなどの複数の異なるメディアタイプのコンテンツにアクセスするための好都合な方法を提供する。
【0035】
統一メディアポータルモデルを実施するために、コンソールユーザインタフェース(UI)アプリケーション262をハードディスクドライブに208に格納する。ゲームコンソールの電源が入ると、コンソールアプリケーション262のさまざまな部分がRAM206および/またはキャッシュ210、212にロードされ、CPU200上で実行される。コンソールアプリケーション262は、ユーザがゲームコンソール上で利用できる異なるメディアタイプへナビゲートするときに一貫したユーザ体験を提供するグラフィカルユーザインタフェースを表示する。そのため、ハードディスクドライブ208(およびそこに格納されているデータ)は初期化プロセスの重要な一部である。ハードディスクドライブ208が正しく機能していない場合、ゲームシステム100は正常に起動しないことがある。ハードディスクドライブ208はさらに、システムのリセットアプリケーション260を備え、これはハードディスクドライブを既知の状態(例えば、ゲームコンソール102が工場を出たときのと同じ状態)にリセットすることができる。
【0036】
ゲームシステム100は、単にシステムをテレビまたはその他の表示装置に接続するだけでスタンドアロンシステムとして作動させることができる。このスタンドアロンモードでは、ゲームシステム100を使って1人または複数のプレーヤーがゲームを実行したり、映画を観賞したり、音楽を聞いたりすることができる。しかし、ネットワークインタフェース232を通じて利用可能になるブロードバンド接続性を統合することにより、ゲームシステム100はさらに、より大きなネットワークゲームコミュニティへの参加者として動作させることが可能になる。
【0037】
図3は、ネットワーク302を介して複数のゲームシステム100a〜100gを相互接続する例示的なネットワークゲーム環境300を示している。ネットワーク302は、さまざまなデータ通信ネットワークを表す。これは、公開部分(例えば、インターネット)、さらにプライベート部分(たとえば、住宅向けローカルエリアネットワーク(LAN))、さらに公開部分とプライベート部分の組み合わせを含むことができる。ネットワーク302は、有線メディアおよび無線メディアの両方を含むさまざまな従来の通信メディアのうち1つまたは複数を使用して実施することができる。さまざまな通信プロトコルを使用して、公開プロトコルおよび専用プロトコルの両方を含めてネットワーク302を介してデータを通信することができる。このようなプロトコルの例として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、IPX/SPX(Internet Packet Exchange/Sequential Packet Protocol)、NetBEUI(NetBIOS Extended User Interface)などがある。
【0038】
ゲームシステム100a〜100gに加えて、ネットワーク302を介して1つまたは複数のオンラインサービス304−1〜304−nにアクセスすることで、参加者向けに、オンラインゲームの主催、ダウンロード可能な音楽またはビデオファイルの提供、ゲーム競技の主催、ストリーミングオーディオ/ビデオファイルの提供などさまざまなサービスを提供するようにできる。ネットワークゲーム環境300は、さらに、個々のプレーヤーおよび/またはゲームシステム100a〜100gの認証を互いに行いまたオンラインサービス304−1〜304−nと行う役割を果たす鍵配布センタ306を伴うことができる。配布センタ306は、複数のプレーヤー間でゲームを形成したりオンラインサービス304−1〜304−nからサービスを購入したりするために使用できる鍵およびサービスチケットを有効な参加者に配布する。
【0039】
ネットワークゲーム環境300はさらに、1つまたは複数のテクニカルサポートセンタおよび/またはシステム310を含むこともできる。テクニカルサポートセンタ310は、ゲームシステムのユーザからの質問に答え、発生した問題の診断を行う1つまたは複数のカスタマーサポートエージェントを提供することができる。テクニカルサポートセンタ310は、個々のゲームコンソールに関する情報(たとえば、シリアル番号や関連情報)またはゲームコンソールに関する一般的な問題および推奨解決策が収められた1つまたは複数のデータベース312にアクセスすることができる。データベース312を直接テクニカルサポートサーバーに結合したり、ネットワークに結合されている他のデバイスからアクセスできるようにネットワーク302に結合したりすることができる。
【0040】
ネットワークゲーム環境300は、個別のゲームシステム100から利用できる他のメモリソース、つまりオンラインストレージを導入する。ポータブルストレージメディア108、ハードディスクドライブ208、メモリユニット140a〜140hに加えて、ゲームシステム100−1はオンラインサービス304−nのリモートストレージ308の例に示されているように、ネットワーク302を介してリモートストレージロケーションに用意されているデータファイルにアクセスすることもできる。
【0041】
図4は、(「保存データパーティション」402および「コンソールパーティション」404と呼ばれる)2つの分離されているパーティションを含むハードディスクドライブ400の例の図である。以下でさらに詳しく述べるように、各パーティション402、404は特定の種類のデータを格納し、またたとえばコンソールパーティション内のデータが変更されたり削除されたりしないようにする特定のデータアクセスポリシーを備える。図4に示されているパーティションは一例である。他の実施形態では、ハードディスクドライブはパーティションをいくつでも含むことができる。
【0042】
保存データパーティション402は、たとえば、保存ゲームAデータ406および保存ゲームBデータ408、システム設定データ410、システムユーティリティ412、およびシステムデータファイル414を含む。保存ゲームデータ406および408は、ハイスコア、すでに保存されているゲーム、およびハードディスクドライブ400上にダウンロードされたかまたは他の何らかの手段でインストールされている追加ゲームのレベルまたは機能を含むことができる。システム設定データ410は、現在の日付、現在の時刻、好ましい言語、ハードディスクドライブ400がインストールされているゲームシステムと関連するその他の設定を含む。システムユーティリティ412は、ゲームシステムのユーザ側でハードディスクドライブ400に、ダウンロードするかまたは他の何らかの手段でインストールするか、またはコンソールパーティション404から保存データパーティション402にコピーすることができる。システムデータファイル414は、システムユーティリティ412または他のシステムユーティリティまたはシステムアプリケーションにより生成することができる。例えば、データが主に保存データパーティション402からアクセスされるように、定期的に使用されるシステムデータ414をコンソールパーティション404から保存データパーティション402にコピーすることができる。
【0043】
コンソールパーティション404は、たとえば、コンソールアプリケーション416、1つまたは複数のシステムユーティリティ418、リセットアプリケーション420、および1つまたは複数のシステムデータファイル422を含む。コンソールアプリケーション416は、他のアプリケーション(ゲーム、音楽アプリケーション、およびムービーアプリケーションなど)に加えてゲームシステムによって実行される。コンソールアプリケーションは、ユーザインタフェースの実施、設定操作の実行、およびさまざまな管理機能の実行など、ゲームシステムを操作するのに必要な各種機能を実行する。システムユーティリティ418は、ディスク領域使用度およびメモリ領域使用度の管理など、ゲームシステム内の各種機能を実行する。リセットアプリケーション420は、保存データパーティション402に格納されているすべての情報およびデータの削除を含む、工場初期設定のセッティングにゲームシステムをリセットする。リセットアプリケーション420の操作の詳細について以下で説明する。システムデータファイル422は、ゲームシステムの動作時に、コンソールアプリケーション416などの1つまたは複数のアプリケーションにより使用される。
【0044】
図5は、シリアル番号が設定されているゲームシステムに隠しコードを割り当てるプロセス500の流れ図である。ゲームシステムの製造時に、シリアル番号がゲームコンソールに割り当てられる(ブロック502)。通常、それぞれのゲームコンソールに割り当てられるシリアル番号は一意である。隠しコードがゲームコンソールに格納される(ブロック504)。この隠しコードは、一般には、ゲームコンソールのユーザからはアクセスできず、ハードディスクドライブのコンソールパーティションまたはその他の不揮発性メモリデバイスなどの不揮発性メモリに格納される。後述のように、隠しコードを使用して、ゲームコンソールのハードディスクドライブを工場初期設定状態にリセットするパスコードを生成する。隠しコードは必ずしも一意ではない。隠しコードは、一般にはゲームコンソールのユーザからはアクセスできず、したがってユーザはまずテクニカルサポートエージェントに連絡しないとゲームコンソールをリセットすることはできない。このコードを隠すことにより、悪意のあるユーザが他のユーザのゲームコンソールをリセットし、多数の保存ゲームやハイスコアなどを削除するのを防止することができる。
【0045】
ゲームコンソールのシリアル番号および関連する隠しコードは、メーカーにより(ブロック506)または他の事業体により保守されるデータベース(またはその他のデータストレージメカニズム)に格納される。たとえば、ゲームコンソールのシリアル番号および関連する隠しコードはデータベース312に格納することができる(図3)。たとえば、テクニカルサポートエージェントがこのデータベースにアクセスして特定のゲームコンソールと関連する隠しコードを識別することができる。パスコードアルゴリズムを隠しコードに適用することによりパスコードが生成される(ブロック508)。パスコードは、ゲームコンソールに結合されているコントローラに対する一連のボタン押し下げまたはその他の制御入力を表す。パスコードは、ボタン押し下げまたはその他の制御入力をいくつでも含むことができるが、代表的なパスコードは3〜8回のボタン押し下げまたはその他の制御入力のシーケンスを含む。他の実施形態では、パスコードは、ゲームコンソール自体への一連のボタン押し下げまたはその他の制御入力を表すことができる。パスコードの例を以下に示す。
【0046】
ボタンB−左トリガ−上Dパッド−ボタンY
左サムスティック−ボタンA−上サムスティック−下サムスティック
上Dパッド−右サムスティック−左トリガ−ボタンX−右トリガ
隠しコードをパスコードに変換するのにさまざまな種類のアルゴリズムを使用できる。たとえば、隠しコード内の各文字を特定の制御入力に変換する。
【0047】
パスコードは、シリアル番号および関連する隠しコードとともにデータベースに格納される(ブロック510)。データベースはさらに、特に複数のアルゴリズムを使用してパスコードを生成する場合に、パスコードの生成に使用するアルゴリズムに関する情報を格納することもできる。そうしてから、ゲームシステムは販売店に出荷されるか、または他の何らかの手段によりエンドユーザに配布できるようにされる(ブロック512)。
【0048】
図6は、ハードディスクドライブを工場初期設定状態にリセットするプロセス600の流れ図である。最初に、ゲームシステムのユーザはゲームシステムに問題が生じた後にテクニカルサポート部門に連絡する(ブロック602)。たとえば、デバイスをオンにできない、動作に一貫性がない、不適切な動作である、アプリケーションの実行中に「フリーズ」するなどの問題がある。テクニカルサポートエージェントは、問題に関する情報をゲームシステムのユーザから入手し、問題を診断する(ブロック604)。診断された問題の解決方法に、ゲームシステムをリセットする方法が含まれない場合、ゲームシステムのユーザに、さまざまなプロシージャまたは動作を実行するかどうかを尋ねる(ブロック608)。
【0049】
診断された問題の解決策にゲームシステムをリセットする方法が含まれる場合、テクニカルサポートエージェントはユーザのゲームコンソールのシリアル番号を要求する(ブロック610)。或いは、テクニカルサポートエージェントがユーザのゲームコンソールのシリアル番号を問題の診断の前に入手することができる。その後、テクニカルサポートエージェントは図5に関して上で述べたデータベースのような、データベースからシリアル番号と関連するパスコードを取り出す(ブロック612)。テクニカルサポートエージェントは、次に、ゲームシステムのユーザに対して、コンソールアプリケーションの特定の画面に進み、テクニカルサポートエージェントがユーザに提供したパスコードを入力するよう指示する(ブロック614)。そのパスコードを受け入れる特定の画面は、パスコードを入力できることを必ずしも示さない標準的なシステム設定画面(または他の画面)とすることもできる。ブロック616で、ゲームシステムは適切なパスコードが入力されたことを確認し、そのパスコードが正しい場合に、ゲームコンソールのハードディスクドライブを工場初期設定状態にリセットする。
【0050】
図6に示されているように、ブロック616は618〜624のラベルが付けられた4つの別々のブロックを表す。具体的には、プロセス600はゲームコンソールの不揮発性メモリに格納されている隠しコードを取り出す(ブロック618)。次に、プロセスは隠しコードと、図5に関して上で述べたのと同じアルゴリズムを使用してパスコードを計算し、ゲームシステムのユーザが入力した一連のボタンの押し下げまたはその他の制御入力と突き合わせてパスコードを確認する(ブロック620)。ユーザが適切なパスコードを入力した場合、ハードディスクドライブの保存データパーティション内のすべてのデータが削除される(ブロック622)。ただし、ハードディスクドライブのコンソールパーティション内のデータは削除されない。保存データパーティション内のデータの削除は、ハードディスクドライブのコンソールパーティション内に格納されているリセットアプリケーション420を実行することにより行われる。必要ならば、ハードディスクドライブの保存データパーティションから古いデータが削除された後、データファイルおよび/またはシステムユーティリティがコンソールパーティションから保存データパーティションにコピーされる(ブロック624)。この時点で、ゲームコンソールを再起動することができ、ゲームコンソールは工場出荷時のゲームコンソールと同様に機能する。
【0051】
本発明は構造的機能および/または方法論的ステップに固有の用語で説明されているが、特許請求の範囲で定義される発明は、説明した特定の機能またはステップに必ずしも限られないことは理解されるであろう。むしろ、特定の機能および動作は特許請求の範囲の発明を実施する実施形態として開示されている。
【符号の説明】
【0052】
100 ゲームシステム例
102 ゲームコンソール
104a、104b コントローラ
106 ポータブルメディアドライブ
108 光記憶ディスク
110 スロット
112 電源ボタン
114 イジェクトボタン
120 A/Vインタフェースケーブル
124 モデムコネクタ
130a、130b シリアルケーブル
132a、132b、132c サムスティック
134 Dパッド
136 ボタン
138 トリガ
140 メモリユニット
200 CPU
202 メモリコントローラ
204 フラッシュROM
206 RAM
208 ハードディスクドライブ
210 レベル1キャッシュ
212 レベル2キャッシュ
214 共通モジュール
216 ATAバス
220 3Dグラフィックス処理ユニット
222 ビデオエンコーダ
224 オーディオ処理ユニット
226 オーディオCODEC
230 USBホストコントローラ
240a、240b デュアルコントローラサポートサブアセンブリ
242 フロントパネルのI/0サブアセンブリ
244 ケーブルアセンブリ
260 リセットアプリケーション
262 UIアプリケーション
300 ネットワークゲーム環境例
302 ネットワーク
304−1〜304−n オンラインサービス
306 配布センタ
308 リモートストレージ
310 テクニカルサポート
312 データベース
400 ハードディスクドライブ
402 保存データパーティション
404 コンソールパーティション
406 保存ゲームAデータ
408 保存ゲームBデータ
410 システム設定データ
412 システムユーティリティ
414 システムデータファイル
416 コンソールアプリケーション
418 システムユーティリティ
420 リセットアプリケーション
422 システムデータファイル
500 隠しコードを割り当てるプロセス
600 工場初期設定状態にリセットするプロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
方法を行うように構成されているプロセッサであって、前記方法は、
前記装置に格納された隠しコードを取り出すことであって、前記隠しコードは前記装置のエンドユーザによって見ることができないことと、
前記装置から複数のアルゴリズムからパスコードを計算するためのパスコードアルゴリズムを取り出すことと、
前記パスコードアルゴリズムで前記隠しコードに基づいて前記パスコードを計算することと、
前記装置に結合されたゲームコントローラから一連のボタン操作を受けることと、
前記一連のボタン操作が前記パスコードに合致するかを判定することと、
前記一連のボタン操作が前記パスコードに合致する場合に前記装置を工場初期設定状態にリセットすることと
を備える、プロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記装置に関連する前記隠しコードを格納するように構成されているストレージデバイスと、
前記プロセッサに結合され、前記装置に関連する各種データを格納するように構成されているハードディスクであって、システムリセット動作時にクリアされる第1のパーティションと、システムリセット動作時にクリアされない第2のパーティションとを備えたハードディスクドライブと
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記装置に結合されたメモリをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記プロセッサに結合され、ストレージディスクと通信するように構成されたポータブルメディアドライブをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記ハードディスクドライブの第2のパーティションに格納され、前記プロセッサで実行可能なコンソールアプリケーションであって、前記装置に対するユーザインタフェースを実施するように構成されたコンソールアプリケーションをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記ハードディスクドライブの第2のパーティションに格納され、前記プロセッサで実行可能なリセットアプリケーションであって、システムリセット動作を実施するように構成されたリセットアプリケーションをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、ゲームコンソールであることを特徴とする装置。
【請求項7】
方法であって、
デバイスに関してテクニカルサポートエージェントに連絡を取ることと、
前記テクニカルサポートエージェントにデバイスのシリアル番号を提供することと、
前記テクニカルサポートエージェントからパスコードを受け取ることと、
前記パスコードを前記デバイスに適用することであって、前記デバイスが複数のパスコード生成アルゴリズムの1つを適用することによって前記デバイス中の隠しコードからパスコードを計算することによって前記適用されたパスコードを検証することであって、前記隠しコードはエンドユーザにアクセス可能でないか、可視でなく、生成され、前記デバイスのシリアル番号が割当てられ、さらに前記パスコードは前記デバイスをリセットするために要求される一連のゲームコントローラ入力を識別することと、
前記適用されたパスコードがうまく検証される場合に前記デバイスを工場初期設定状態にリセットすることと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記パスコードが検証されない場合に前記デバイスの現在の状態を維持することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記デバイスをリセットすることは、前記デバイスに収容されたハードディスクの第1のパーティション中のデータを削除することを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記デバイスは、ゲームコンソールであることを特徴する方法。
【請求項11】
実行されると、請求項7に記載の方法を行うコンピュータ実行可能命令を格納した1つまたは複数のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項12】
実行されると、
ゲームコンソールに格納された隠しコードを取り出すこととであって、前記隠しコードは生成され、デバイスに割当てられることと、
複数のパスコードアルゴリズムの1つを適用することによって前記隠しコードに基づいてパスコードを計算することと、
前記装置に結合されたゲームコントローラから一連のボタン操作を受け取ることであって、前記ゲームコントローラはゲームをするための入力を受け取ることと、
前記一連のボタン操作が前記パスコードに合致するかを判定することであって、前記パスコードが前記ゲームコントローラの一連のボタン操作を表すことと
前記一連のボタン操作が前記パスコードに合致する場合に前記ゲームコンソールを工場初期設定状態にリセットすることと
を前記ゲームコンソールに指令するコンピュータ実行可能命令を格納するゲームコンソールのためのコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能媒体であって、
前記ゲームコンソールを工場初期設定状態にリセットすることは、前記ゲームコンソールに統合されたハードディスクドライブの保存データパーティションに格納されたデータを削除することを備えることを特徴とするコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項14】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能媒体であって、
前記ハードディスクドライブの前記保存データパーティションは、保存されたゲームデータを備えることを特徴とするコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項15】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能媒体であって、
前記ハードディスクドライブの前記保存データパーティションは、ゲームコンソールの設定を備えることを特徴とするコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項16】
請求項12に記載のコンピュータ読取り可能媒体であって、
実行されると、前記一連のユーザ入力が前記ゲームコンソールに関連する前記パスコードに合致しない場合に前記ゲームコンソールの現在の状態を維持することを前記ゲームコンソールに指令するコンピュータ実行可能命令をさらに格納することを特徴とするコンピュータ読取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−104668(P2009−104668A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27767(P2009−27767)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【分割の表示】特願2003−102085(P2003−102085)の分割
【原出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】