説明

データセンターのための圧縮空気冷却システム

データセンターのコンピュータルーム内の構成要素から熱を除去するためのシステムは、圧縮空気を保持する1つ以上の空気貯蔵容器と、圧縮空気を空気貯蔵容器へ供給する1つ以上の圧縮機と、貯蔵容器のうちの少なくとも1つと流体連通する1つ以上のプレナムとを含む。プレナムのうちの少なくとも1つは、コンピュータルームへ空気を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オンライン小売店、インターネットサービスプロバイダ、検索プロバイダ、金融機関、大学、および他のコンピュータ集約型事業体の組織では、大規模なコンピューティング設備からコンピュータ操作を行うことが多い。かかるコンピューティング設備は、組織の操作を実行するために必要に応じてデータを処理、記憶、および交換するための大量のサーバ、ネットワーク、およびコンピュータ機器を格納および収容する。典型的には、コンピューティング設備のコンピュータルームは、多数のサーバラックを含む。そして、各サーバラックは、多数のサーバおよび関連するコンピュータ機器を含む。
【0002】
コンピュータシステムは一般的に、廃熱を生成する多数の構成要素を含む。かかる構成要素には、プリント回路基板、大容量記憶デバイス、電力供給装置、およびプロセッサが含まれる。例えば、複数のプロセッサを備えるいくつかのコンピュータは、250ワットの廃熱を生成することがある。いくつかの既知のコンピュータシステムは、ラックマウント型構成要素として構成され、次いでその後ラックシステム内に位置付けられる、複数の、かかるより大型のマルチプロセッサコンピュータを含む。いくつかの既知のラックシステムは、40個のかかるラックマウント型構成要素を含み、かかるラックシステムは、それゆえ10キロワットもの廃熱を生成する場合がある。さらに、いくつかの既知のデータセンターは、複数のかかるラックシステムを含む。いくつかの既知のデータセンターは、複数のラックシステムからの廃熱の除去を、一般的には、ラックシステムのうちの1つ以上を通して空気を循環させることによって、促進する方法および装置を含む。データセンターを冷却するために使用されることが多い空気処理および冷却機器は、HVACシステム、冷水システム、蒸発冷却システム、ならびに、冷却塔、ブロワ、冷媒ループ、および可変周波数駆動装置等の関連する構成要素の、種々の組み合わせを含む場合がある。かかる空気処理および冷却機器は、データセンターに相当な費用および複雑性を付加する。さらに、いくつかの場合では、かかる機器は、地方自治体の騒音規制条例下で課せられる騒音制限等の、環境にとって許容可能な限界を超える音響騒音を生じることがある。
【0003】
任意の所与のデータセンターが必要とするコンピューティング能力の量は、業務上の必要性に伴って急速に変化することがある。最も多くの場合、単一場所でコンピューティング能力を増強する必要がある。データセンター内に初期にコンピューティング能力を提供すること、または(例えば、追加のサーバという形で)データセンターの既存の能力を拡張することは、リソース集約的であり、実現するのに数ヶ月かかることがある。データセンターを設計および建設(または、それを拡張し)し、ケーブルを敷設し、ラックおよび冷却システムを据え付けるためには、一般的に、相当な時間およびリソースを必要とされる。電気システムおよびHVACシステム等に対する検査を行って、認可および承認を得るためには、一般的に、さらなる時間およびリソースが必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】一実施形態に従う、圧縮空気を使用するデータセンターのための冷却システムを説明する概要図である。
【図2】床下供給プレナムを含むデータセンターの一実施形態を説明する、概要図である。
【図3】中央ファンおよび蒸発冷却を含むデータセンターの一実施形態を説明する概要図である。
【図4】空気誘導デバイスを有するラックシステムの列を冷却するための、圧縮空気冷却システムの一実施形態を説明する、概要端面図である。
【図5A】共有通路を伴うラックシステムを含むデータセンターの一実施形態を説明する、概要端面図である。
【図5B】共有通路を伴うラックシステムを含むデータセンターのコンピュータルームの概要上面図を説明する。
【図6】圧縮空気冷却システムからラックシステムへ空気を運搬するためのパイプを含む、データセンターの実施形態を説明する図である。
【図7】圧縮空気を使用してデータセンターを冷却する一実施形態を説明する図である。
【0005】
本発明は、種々の修正および変更形式の影響を受け入れる余地がある一方で、その特定の実施形態を例として図面内に示し、本明細書で詳細に記載する。しかしながら、図面およびそれらへの詳細な記述は、本発明を、開示される特定の形式に限定することを意図せず、逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に包含される全ての修正、均等物、および代替を網羅することであるということを理解すべきである。本明細書で使用される見出しは、単に整理を目的とするものであり、記述または特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されることを意味しない。本出願を通して使用される、語句「してもよい(may)」は、強制的な意味(すなわち、「しなければならない」を意味する)ではなく、むしろ許容的な意味(すなわち、「する可能性を有する」を意味する)で使用される。同様に、語句「含む(include)」、「含んでいる(including)」、および「含む(includes)」は、含むことを意味するが、それに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
データセンター内のコンピュータシステムを冷却するために、圧縮空気を使用するシステムおよび方法の種々の実施形態を開示する。一実施形態によると、データセンターのコンピュータルーム内の構成要素から熱を除去するためのシステムは、圧縮空気を保持する1つ以上の空気貯蔵容器と、圧縮空気を空気貯蔵容器に供給する1つ以上の圧縮機と、空気貯蔵容器のうちの少なくとも1つと流体連通する1つ以上のプレナムとを含む。プレナムのうちの少なくとも1つは、コンピュータルームへ空気を供給することができる。
【0007】
一実施形態によると、データセンターは、コンピュータルームと、コンピュータルーム内の1つ以上のコンピュータシステムと、コンピュータシステム内の熱発生構成要素を冷却する冷却システムとを含む。冷却空気システムは、圧縮空気を保持する1つ以上の空気貯蔵容器と、空気貯蔵容器へ圧縮空気を供給する1つ以上の圧縮機と、貯蔵容器のうちの少なくとも1つと流体連通する1つ以上のプレナムとを含む。プレナムのうちの少なくとも1つは、コンピュータルームへ空気を供給する。特定の実施形態では、任意の冷水システムまたは冷媒ループの代わりに、圧縮空気冷却システムがデータセンターで使用されてもよい。
【0008】
一実施形態によると、データセンターのコンピュータルーム内のコンピュータシステムを冷却する方法は、空気を圧縮することと、圧縮空気を1つ以上の容器の中に貯蔵することとを含む。容器からの空気の一部分は、コンピュータルームの中へと導入されてもよい。コンピュータルーム内の空気の一部分は、熱発生構成要素を冷却するために、コンピュータルーム内の1つ以上のコンピュータシステムの熱発生構成要素へと通されてもよい。
【0009】
本明細書で使用される場合、「通路」とは、1つ以上のラックに隣接する空間を意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、システムまたは設備に関して「周囲」とは、システムまたは設備の少なくとも一部分を包囲する空気を意味する。例えば、データセンターに関して周囲空気とは、例えば、データセンターのための空気処理システムの吸気フードの、またはその付近の、データセンターの外の空気であってもよい。
【0011】
本明細書で使用される場合、「コンピューティング」は、計算、データ記憶、データ検索、または通信等、コンピュータによって実施することができる、任意の操作を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ダンパ」は、ダクトまたは他の通路を通る流体の流れを制御(例えば、増大または減少)するように動かすことができる、任意のデバイスまたは構成要素を含む。ダンパの例には、板、ブレード、パネル、もしくは円盤、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。ダンパは、複数の要素を含んでもよい。例えば、ダンパは、ダクトを閉鎖するために同時に回転されることが可能な、互いに平行な関係にある一連の板を含んでもよい。本明細書で使用される場合、ダンパを「位置付ける」とは、開く、閉じる、または部分的に開く等、ダンパを通る所望の流れ特性を達成するために、ダンパの1つ以上の要素を定置する、またはそのままの状態にしておくことを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合「データセンター」は、コンピュータ操作が実行される任意の設備または設備の部分を含む。データセンターは、特定の機能専用の、または多数の機能を果たすサーバを含んでもよい。コンピュータ操作の例には、情報処理、通信、シミュレーション、動作制御が含まれる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「室」は、少なくとも部分的に囲まれた空間を意味する。室は、いかなる形状を有してもよい。室は、1つの小室または1つ以上の小室を有してもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「圧縮空気」は、周囲の圧力を超える圧力まで圧縮された空気を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「圧縮機」は、空気を圧縮するために使用することができる、任意のデバイス。適切な圧縮機の種類の例は、容積式、動的、往復式、軸流、遠心、回転スクリュ、スライドベーン型、またはダイヤフラムを含んでもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「コンピュータシステム」は、種々のコンピュータシステムまたはその構成要素のうちのいずれかを含む。コンピュータシステムの1つの例は、ラックマウント型サーバである。本明細書で使用される場合、コンピュータという用語は、当技術分野でコンピュータと称される集積回路のみに限定されず、プロセッサ、サーバ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理制御装置(PLC)、特定用途向け集積回路、および他のプログラム可能な回路に広く言及し、またこれらの用語は本明細書で交換可能なものとして使用される。種々の実施形態において、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の、コンピュータ可読媒体を含んでもよいが、しかしそれに限定されない。代替的に、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、および/またはデジタル多目的ディスク(DVD)も、使用されてもよい。また、追加の入力チャネルは、マウスおよびキーボード等の操作者インターフェースに関連付けられる、コンピュータ周辺機器も含んでもよい。代替的に、例えば、スキャナを含んでもよい他のコンピュータ周辺機器も使用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、追加の出力チャネルは、操作者インターフェースモニタおよび/またはプリンタを含んでもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「容器」は、種々の形状および寸法のいずれであってもよい。適切な容器には、タンク、シリンダ、管、およびチューブが含まれてもよい。容器は、単一の内容積(単一タンク等)、または1つ以上の内容積(複数のタンク等)を形成してもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「乾燥デバイス」とは、空気から水分を除去することができる任意のデバイスを意味する。いくつかの実施形態では、乾燥デバイスは乾燥剤を含む。乾燥剤は、種々の形態をとってもよく、敷き詰められたもの、ブロック、またはフィルタに埋め込まれたものを含む。いくつかの実施形態では、乾燥デバイスは雫受けを含んでもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「データセンターモジュール」は、データセンターに対してコンピューティングリソースを提供することができる1つ以上のコンピュータシステムを含むか、またはそれを格納および/または物理的に支持するのに好適であるモジュールを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「蒸発冷却」とは、液体の蒸発による空気の冷却を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、要素は、少なくとも1つの動作条件の間に流体が要素間を流れることができる場合に「流体連通」する。流体連通は、制御されてもよい。例えば、弁が、互いに流体連通する2つの要素間に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、中間要素が、互いに流体連通する要素間に提供されてもよい。プレナムは、互いに流体連通する空気圧縮機とデータルームとの間に提供されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「フリークーリング」は、空気処理システムが、外部源(設備の外の空気等)からの空気、および/または、コンピュータルームから戻された空気を少なくとも部分的に引き込み、空気処理サブシステム内での積極的な冷却なしにその空気を電子機器に強制的に送る操作を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「機械的冷却」とは、蒸気圧縮冷凍システムで起こるもの等の、少なくとも1つの流体に機械的作業を行うことを含む処理による、空気の冷却を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「モジュール」は、互いに物理的に連結される構成要素または構成要素の組み合わせである。モジュールは、コンピュータシステム、ラック、ブロワ、ダクト、配電ユニット、消化システム、および制御システム等の機能的要素またはシステム、ならびにフレーム、筐体、または容器等の構造的要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、モジュールは、データセンターから離れた現地外の場所で事前に組み立てられる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「プレナム」は、空気を分配するために使用することができる室を意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ラック」は、ラック、容器、フレーム、または、1つ以上のコンピュータシステムを含む、または物理的に支持することができる、他の要素または要素の組み合わせを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ルーム」は、部屋または建物の空間を意味する。本明細書で使用される場合、「コンピュータルーム」は、ラックマウント型サーバ等のコンピュータシステムが操作される、建物の部屋を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「空間」は、空間、面積、または容積を意味する。
【0030】
図1は、一実施形態に従う、圧縮空気の貯蔵を含むデータセンターのための冷却システムを説明する、概要図である。データセンター100は、データセンターコンピューティング設備102および冷却システム104を含む。冷却システム104は、圧縮機106、乾燥デバイス108、圧縮空気貯蔵タンク112、圧縮空気貯蔵室114、および混合プレナム116を含む。データセンターコンピューティング設備102は、ラック122内のコンピュータシステム120を含む。
【0031】
圧縮機106は、周囲の空気を吸い込み、その空気を圧縮する。圧縮空気は、乾燥デバイス108を通される。乾燥デバイス108は、圧縮空気から水を除去および/または収集してもよい。いくつかの実施形態では、乾燥デバイスのうちの1つ以上は、デシケータデバイスであってもよい。乾燥デバイスは、例えば、シリカ等の、デシカント材を含んでもよい。ある特定の実施形態では、乾燥デバイスは、圧縮機106と圧縮空気貯蔵タンク112との間の乾燥デバイスの代わりに、またはそれに追加して、圧縮空気貯蔵タンク112の中に設置されてもよい。例えば、圧縮空気貯蔵タンク112のうちの1つ以上は、雫受けを含んでもよい。雫受け等の、乾燥デバイス内に蓄積された水は、水を冷却システム104から取り除くために定期的に抜き取られてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、乾燥デバイスは、1つ以上のフィルタと直列に組み込むか、またはそれと直列して定置されてもよい。フィルタは、圧縮空気から不純物を除去することができる。例えば、フィルタは、圧縮処理中に圧縮機106内の圧縮空気の中へ漏出した、油等の、任意の潤滑剤を除去してもよい。フィルタはまた、圧縮機の中へと吸い込まれた源の空気中に存在する不純物を除去してもよい。例えば、フィルタは、煙、スモッグ、および、空中の工業および/または農業活動副産物等、圧縮機の中へと吸い込まれた外気とともに導入される汚染物質を除去してもよい。
【0033】
圧縮機106からの圧縮空気は、圧縮空気貯蔵タンク112の中に蓄積されてもよい。弁130は、圧縮空気貯蔵タンク112から外への空気の制御を可能にする。弁130は、手動で、自動で、またはその組み合わせで制御されてもよい。いくつかの実施形態では、制御システム134は、弁130を制御するために使用される。
【0034】
図1に示す実施形態では、冷却システム104は、3つの圧縮機106および6つの圧縮空気貯蔵タンク112を含む。冷却システムは、しかしながら、任意の数の圧縮機、貯蔵タンク、乾燥デバイス、および他の要素を含んでもよい。それに加え、要素の順序および配置は、他の実施形態では変化してもよい。一実施形態では、冷却システムは、1つのみの圧縮機および1つのみの貯蔵タンクを含む。
【0035】
冷却システム104の動作中、圧縮空気は、圧縮空気貯蔵タンク112のうちの1つ以上から放出されてもよく、圧縮空気貯蔵室114の中へと放出されてもよい。圧縮空気貯蔵タンク112からの空気は、圧縮空気貯蔵室114の中で空気が膨張するのに伴って冷える場合がある。圧縮空気貯蔵室114からの空気は、混合プレナム116の中へと導入されてもよい。圧縮されたものからの空気は、空気が混合プレナム116の中へと膨張するのに伴ってさらに冷える場合がある。外気も、外気孔136を通じて、混合プレナム116の中へと同様に導入されてもよい。圧縮空気および外気は、混合プレナム116内で混合されてもよい。圧縮空気貯蔵タンク112からの空気は、圧縮中に水分が除去されるため、乾燥していることがある。加湿デバイス138は、混合プレナム116内で空気に水分を加えてもよい。混合プレナム116からの空気は、コンピュータルーム102へ供給され、ラック122の中のコンピュータシステム120を冷却してもよい。いくつかの実施形態では、空気の全部または一部分は、混合プレナム116へと戻されてもよい。
【0036】
図2は、床下供給プレナムを含むデータセンターの一実施形態を説明する、概要図である。データセンター150は、コンピューティング設備152および冷却システム154を含む。冷却システム154は、コンピューティング設備152から熱を除去してもよい。図2に説明する実施形態では、冷却システム154は、圧縮空気サブシステム156を含む。圧縮空気サブシステム156は、冷却用空気をコンピューティング設備152へ提供してもよい。
【0037】
説明の目的のために、3つの圧縮空気サブシステム156を図2に示す(明瞭化のために、正面の空気処理サブシステム156のみの詳細を示す)。しかしながら、冷却システム154内の圧縮空気サブシステム156の数は変化してもよい。加えて、圧縮機、貯蔵タンク、貯蔵室の数は、実施形態ごとに(また、所与の実施形態内で、サブシステムごとに)変化してもよい。いくつかの実施形態では、冷却システム154は、多数の圧縮空気サブシステム156を含む。別の実施形態では、冷却システム154は、ただ1つの圧縮空気サブシステム156のみを含む。複数の圧縮空気サブシステムおよび/または複数のコンピューティング設備を備える設備では、クロスオーバダクトが提供されてもよく(例えば、供給側に、戻り側に、またはその双方に)、圧縮空気サブシステムからの冷却用空気を、データセンターの内部で、またはデータセンター間で、分配および/または向きを変更することを可能にする。圧縮空気サブシステムは、共通して制御されても、別個に制御されても、またはその組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、データセンターのための圧縮空気サブシステム全体のうちの一部のみが、外気孔をともなって提供される。例えば、データセンターでの圧縮空気サブシステムの半分が、外気孔および戻り空気孔の双方を有してもよく、一方、データセンターでの圧縮空気サブシステムのもう半分は戻り空気孔のみを有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、圧縮空気システムの部分は、データセンターから離れた場所にあってもよい。例えば、圧縮機および/または圧縮空気貯蔵タンクは、データセンターから離れた場所で操作および維持されてもよい。圧縮空気は、タンクで運搬されてもよく、または別離した場所からデータセンターへパイプで送られてもよい。
【0039】
各圧縮空気サブシステム156は、供給ダクト158および戻りダクト160によって、データセンター154へ連結されてもよい。冷却用空気は、圧縮空気サブシステム156から、供給ダクト158を通って床下プレナム162へと流れてもよい。床下プレナム162から、冷却用空気は、ルーム166内の通路165の中へと流れ制限デバイス164を通過してもよい。冷却用空気は、ラック170の中へと、およびコンピュータシステム168にわたって、通されてもよい。空気がラック170内のコンピュータシステム168によって加熱された後、空気は、戻りダクト160を通過してもよい。空気は、1つ以上の圧縮空気サブシステムを通して再循環されてもよく、または、排気孔172を通してシステムから排出されてもよい。排気孔172は、排気ダンパ174を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、カーテンおよび/またはダクトが、ラック170の中へと進行する相対的に冷たい空気を、ラック170から出てくる加熱された空気から遮断してもよい。
【0041】
圧縮空気サブシステム156は、圧縮機180、圧縮空気貯蔵タンク182、圧縮空気貯蔵室184、および混合プレナム186を含む。圧縮機180、圧縮空気貯蔵タンク182、および/または圧縮空気貯蔵室184は、混同プレナム186と同じ建物内にあってもよく、または異なる建物内にあってもよい。
【0042】
乾燥デバイス190は、圧縮空気貯蔵タンク182の中に提供される。弁192は、圧縮空気貯蔵タンク182と圧縮空気貯蔵室184との間に提供される。弁192は、圧縮空気貯蔵タンク182から圧縮空気貯蔵室184への空気の流れを制御するように操作されてもよい。
【0043】
各圧縮空気サブシステム156は、圧縮空気放出弁200、外気ダンパ204、および戻り空気孔206、および戻り空気ダンパ208を含んでもよい。圧縮空気放出弁200、外気ダンパ204、および戻り空気ダンパ208は、混合プレナム186の中への空気の流れを制御してもよい。特定の実施形態では、圧縮空気貯蔵室184から混合プレナム186の中への空気の流れは、弁の代わりにダンパによって制御されてもよい。
【0044】
圧縮空気放出弁200、外気ダンパ204、および戻り空気ダンパ208は、ルーム166へ供給される空気の混合を制御するように調節されてもよい。例えば、暑い日には、ルーム166内のコンピュータシステムを冷却するための空気の全てが、圧縮空気放出弁200を通して圧縮空気貯蔵室184から供給され、かつ/または、空気が、戻り空気ダンパ208を通してルーム166から戻されるように、外気ダンパ204は閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、圧縮空気と再循環された空気との混合は、混合プレナム内の空気の温度を上昇させる、または一定に保つように、制御されてもよい。
【0045】
ある特定の実施形態では、圧縮空気貯蔵室と混合プレナムとの間の空気流は、ダンパの代わりに、またはダンパに加えて、弁を経由して制御されてもよい。
【0046】
フィルタ210および加湿器212は、混合プレナム186内に提供される。フィルタ210は外気孔202および戻り空気孔206を通して受容される空気を、濾過することができる。加湿器212は、空気がルーム166へ供給される前に、混合プレナム186内の空気を加湿してもよい。
【0047】
制御ユニット220は、圧縮空気サブシステム156内のデバイスを制御するようにプログラムされてもよい。制御ユニット220は、圧縮機180、弁192、加湿器212、圧縮空気放出弁200、外気ダンパ204、戻り空気ダンパ208、および排気ダンパ174に連結される。制御ユニット220は、温度検出器222、224、226、228、および229、ならびに圧力検出器230および232と、データ通信をする。一実施形態において、全ての圧縮空気サブシステム156は、共通の制御ユニット(例えば、制御ユニット220)で制御される。他の実施形態では、各圧縮空気サブシステム156に対して、または圧縮空気サブシステム156の部分集合に対して、別個の制御装置が提供される。圧縮空気サブシステム156の中のデバイスは、自動で、手動で、またはその組み合わせで、制御されてもよい。各制御システムは、データセンター内の気温、圧力、流速、および湿度等の条件を測定し、測定した条件に基づいて、空気混合、空気源、および流速等の、その圧縮空気サブシステムに対する冷却システムパラメータを調節してもよい。
【0048】
図2に示す実施形態において、圧縮空気サブシステム156は、空気を、供給ダクト158を通して床下プレナム162の中へと強制的に送る。他の実施形態では、冷却用空気は、床下プレナムを通ることなく、供給ダクトを通して、ルーム166へ直接に強制的に送られてもよい。一実施形態において、床下プレナムは、圧縮空気冷却システムのための混合プレナムとして機能する場合がある。種々の実施形態において、流れ制限デバイス164は、ルーム166内の種々のラック170間での冷却用空気の流速および分配を制御するように、選択されてもよい。一実施形態では、圧縮空気サブシステムは、コンピュータルーム内のラックの中へ、0.1インチ水柱の静水圧を生成するように、操作されてもよい。
【0049】
冷却システム154の蓄積動作モードの間、弁192は、完全に閉じられてもよい。圧縮機180は、空気を圧縮するように操作されてもよい。圧縮機180からの圧縮空気は、圧縮空気貯蔵タンク182の中に蓄積されてもよい。乾燥デバイス190は、圧縮空気貯蔵タンク182から水分を吸収および/または除去してもよい。
【0050】
冷却システム154の冷却動作モードの間、弁192は、圧縮空気が圧縮空気貯蔵室184の中へと放出されることを可能にするように、開いていてもよい。圧縮空気貯蔵タンク182からの圧縮空気が圧縮空気貯蔵室184の中へと放出されるのに伴って、空気は膨張してもよい。圧縮空気貯蔵室184からの圧縮空気は、混合プレナム186の中へと導入されてもよい。圧縮空気貯蔵室186からの空気が混合プレナム186へと進入するのに伴って、空気はさらに膨張してもよい。外気は、外気孔202を通して混合プレナム186の中へと導入されてもよい。外気および圧縮空気は、混合プレナム186内で混合されてもよい。
【0051】
混合プレナム186内での空気の混合は、供給ダクト158の入口での空気圧が、床下プレナム162内の圧力よりも高くなるように、制御されてもよい。混合プレナム186からの空気は、供給ダクト158を通り床下プレナム162の中へと流れてもよい。床下プレナム162からの空気は、ルーム166内の通路165を通過し、ラック170内のコンピュータシステム168を通り、ラックから上方へと外へ出て、戻りダクト160の中へと入る。いくつかの実施形態では、空気は、自然対流等によって、ルーム166を通して通風される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム168内のファン240は、冷却システム154とルーム166との間で、およびコンピュータシステム168内の熱発生構成要素を横切って、空気の循環を引き起こし、または推進する。特定の実施形態では、しかしながら、冷却システムはいかなるファンも有しなくてもよく、流れは、冷却システムの中への圧縮空気の放出を制御することによって、生成されてもよい。
【0052】
特定の実施形態では、制御ユニットは、少なくとも1つのプログラマブル論理制御装置を含む。PLCは、他の物の中でもとりわけ、一般的な操作条件の必要性に応じて、データセンターを通して気流を導くための操作者からの命令信号に基づき、空気冷却システム内の弁またはダンパを開閉してもよい。代替的に、PLCは、弁またはダンパを完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間で調整し、気流を調整してもよい。
【0053】
制御システムは、温度測定デバイスを含んでもよく、一実施形態では、これは熱電対である。代替的に、温度測定デバイスは、測温抵抗体(RTD)および本明細書に記載される冷却動作を容易にする任意のデバイスを含むが、それに限定されない。例えば、熱電対は、混合プレナム内の空気の温度の測定を促進するために、混合プレナムの内部に位置付けられてもよい。
【0054】
種々の実施形態において、冷却システムの1つ以上の圧縮空気サブシステムの動作は、1つ以上の条件に応じて制御されてもよい。例えば、制御装置は、温度や湿度等、1つ以上の所定の条件が満たされると、圧縮空気サブシステムのための空気源を、戻り空気から外気へと切り替えるようにプログラムされてもよい。
【0055】
図3は、蒸発冷却を含むデータセンターの一実施形態を説明する概要図である。データセンター300は、コンピューティング設備302および圧縮空気冷却システム304を含む。冷却システム304は、圧縮空気サブシステム306を含む。圧縮空気サブシステム306は、図2に関して上述した冷却空気システム154と類似していてもよい。冷却システム304も、ファン310、可変周波数ドライブ312、および蒸発冷却装置314も含む。ファン310は、可変周波数ドライブ312に連結する。可変周波数ドライブ312は、制御ユニット316に連結する。VFD214は、制御ユニット316からの制御信号を受信し、その後ファン310の回転速度を調整してもよい。圧縮空気放出弁200、外気ダンパ204、戻り空気ダンパ208、および排気ダンパ174も同様に、図2に関して先に述べたものと類似の方法で、制御ユニット316を介して調整され、サブシステム306を通る気流を調整してもよい。空気は、混合プレナム320から蒸発冷却装置314を通して吸い込まれてもよい。蒸発冷却装置314は、空気が蒸発冷却装置を通過する際に、空気中へ液体を蒸発させてもよい。蒸発冷却装置314からの空気は、供給ダクト158を通り、床下プレナム162内へと通過してもよい。空気は、床下プレナム162から、ルーム166の中へ入り、ラック170を通過し、ラック170内のコンピュータシステム168から熱を除去してもよい。加熱された空気は、ラックの外へ流れ、天井孔320を通って上がり、天井プレナム322の中へ入り、戻りダクト160を通って戻ってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、データセンターは、ラックシステムの一部または全部の上に空気誘導デバイスを備える、複数のラックシステムを含む。空気誘導デバイスは、ラックシステムのうちのいくつかへ進入する、またはそれから出る空気を、データセンター内の空気空間、および/または、データセンター内の他のラックシステムを通過する空気から、分離してもよい。いくつかの実施形態では、空気誘導デバイスは、ラックシステム列中のラックシステムから出る空気を、その列に隣接する通路内の空気から分離する。図4は、空気誘導デバイスを有するラックシステムの列を冷却するための、圧縮空気冷却システムの一実施形態の概要端面図を説明する。データセンター330は、コンピュータルーム332、圧縮空気冷却システム334、床下室335、およびプレナム336を含む。プレナム336は、コンピュータルーム332の天井338の上にある。
【0057】
コンピュータルーム332は、列342内のラックシステム340、および列346内のラックシステム344を含む。通路348は、列342と列346との間に形成される。通路350および352は、コンピュータルーム332の壁と、列342および列346との間に、それぞれ形成される。ラックシステム340および344は、空気誘導デバイス354を含む。
【0058】
ラックシステム340および344内のサーバから熱を除去するために、圧縮空気冷却システム334は、空気が、コンピュータルーム332内へ流れ込み、またラックシステム340および344を通って流れるように、操作されてもよい。空気は、開口部356を通して床下室335の中へと強制的に送られてもよい。床下室335からの空気は、孔358および360を通して、コンピュータルーム332の中へと入ってもよい。孔358からの空気は、通路350内へ、および列342の手前側を通ってラックシステム340内へと流れてもよい。孔360からの空気は、通路348内へ、また列346の手前側を通ってラックシステム344内へと流れてもよい。空気は、ラックシステム340および344内のサーバを通って、空気誘導デバイス354の中へと流れてもよい。空気誘導デバイス354内の加熱された空気は、接続ダクト362を通してプレナム336へ導かれてもよい。列342のラックシステム340上の空気誘導デバイス354は、ラックシステム340から出る加熱された空気を、通路348内の空気から分離してもよい。
【0059】
データセンターのいくつかの実施形態では、圧縮空気冷却システムのための混合プレナムは、コンピュータルームの天井を通して空気を交換してもよい。図5Aは、共有通路を伴うラックシステムを含むデータセンターの一実施形態の、概要端面図を説明する。図5Bは、図5Aに示すコンピュータルームの、概要上面図を説明する。データセンター380は、コンピュータルーム382および圧縮空気冷却システム384を含む。圧縮空気冷却システム384は、混合プレナム386を含む。コンピュータルーム382は、列390内のラックシステム388を含む。一実施形態において、コンピュータルーム382は、データセンターモジュール内に含まれる。空気誘導デバイス392は、ラックシステム388に連結される。圧縮空気冷却システム384は、空気を、供給孔394から、また中央通路396内へと流れさせる。中央通路396からの空気は、ラックシステム388内へと流れる。空気誘導デバイス392は、ラックシステム388から出る空気を、空気誘導デバイス392の最上部を通して誘導する。戻り空気孔397は、空気誘導デバイス392から排出される空気を含む、空気を、コンピュータルーム382の外へと吸い込んでもよい。
【0060】
図6は、圧縮空気冷却システムからラックシステムへ空気を運搬するためのパイプを含む、データセンターの実施形態を説明する。データセンター400は、コンピュータルーム402および圧縮空気冷却システム404を含む。コンピュータルーム402は、ラック408内のコンピュータシステム406を含む。パイプ410は、混合プレナム412をラック414と接続する。図6に説明するように、一実施形態では、コンピュータシステム406のそれぞれに対して、別個のパイプ410が提供されてもよい。動作中、混合プレナム412からの空気は、パイプ410を通ってラック408の中へ、またコンピュータシステム406を横切って、流れてもよい。コンピュータシステムによって加熱された空気は、空気誘導デバイス416の中へ流れ、プレナム418へと流れ、混合プレナム412へと戻ってもよい。特定の実施形態では、種々のパイプ410を通した空気の流れを制御および/または調整するために、流れ制御デバイスが使用されてもよい。特定の実施形態では、パイプ410は、急速着脱式デバイスを使用してラックに連結されてもよい。
【0061】
図7は、圧縮空気を使用してデータセンターを冷却する一実施形態を説明する。440で、空気は圧縮される。いくつかの実施形態において、空気は、その空気が使用されるデータセンターで圧縮されてもよい。他の実施形態では、空気は、異なる場所で圧縮され、データセンターへと運搬されてもよい。
【0062】
442で、圧縮空気が貯蔵される。いくつかの実施形態において、空気の圧縮および貯蔵タンク内への蓄積は、冷却動作が開始される前に実行されてもよい。他の実施形態では、空気の圧縮は、冷却動作中に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、空気圧縮機は、貯蔵タンク内の空気の圧力および/または量が所定の水準に到達するまで、動作し続けてもよい。空気の圧力または量が所定の水準に到達すると、空気圧縮機は停止されてもよい。
【0063】
444で、データセンター内のラックマウント型コンピューティングシステムに対する動作基準が確立される。動作基準には、例えば、ラックシステム内のサーバに対する標的動作温度範囲、動作圧力、または流速が含まれてもよい。
【0064】
446で、圧縮空気冷却システムが作動される。一実施形態では、1つ以上の貯蔵タンクからの圧縮空気は、圧縮空気貯蔵室の中へと放出されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵タンクの外への空気の膨張は、空気の温度を低下させる場合がある。圧縮空気貯蔵室からの空気は、447において、混合プレナム内へと膨張されてもよい。空気は、圧縮空気貯蔵室から混合プレナム内へと通過する際に、さらに膨張してもよく、これは空気の温度をさらに低下させる場合がある。いくつかの実施形態では、圧縮空気室からの空気は、外気またはコンピュータルームから戻された空気等の、他の空気源と混合される。ある特定の実施形態では、圧縮空気室からの空気は、空気の温度を上昇させる、または一定に保つために、戻り空気と混合される。
【0065】
448で、プレナム内の空気へ水が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、空気への水の添加は、空気の温度を低下させる場合がある。ある特定の実施形態では、水は、図3に関して上述したように、蒸発冷却システムに添加されてもよい。
【0066】
450で、プレナムからの空気が、データセンター内の熱発生構成要素へ供給される。例えば、空気は、図2に関して上述したように、床下を通ってラックマウント型コンピュータシステムへ供給されてもよい。
【0067】
452で、システムが動作している間に、コンピュータルーム内の空気の1つ以上の特性が測定される。いくつかの実施形態において、測定される特性は、混合プレナムまたは供給プレナム内の空気の温度を含む。他の実施形態では、測定される特性は、ラックを通して、またはラック内の特定のサーバを通して流れる空気の、気流速度を含む。他の測定される特性には、種々の場所における空気の温度、圧力、または湿度が含まれる。
【0068】
454で、測定された特性および動作基準に基づいて、1つ以上の動作パラメータを調整するかどうかの決定が成される。測定された空気特性および動作基準が、調節が必要であると示す場合、456で動作パラメータが調節される。例えば、サーバを通る流速が遅すぎる場合、貯蔵室(図2に関して上述した、圧縮空気貯蔵室184等)からの流れを制御する弁を、圧縮空気貯蔵室からの空気を増大させるように、より開いた位置へ動かしてもよい。測定された空気特性および動作基準が、調節は必要ないと示す場合、458で、動作パラメータを調節することなく動作は継続される。圧縮空気冷却システムの動作パラメータの調節は、手動で、自動で、またはその組み合わせで、達成されてもよい。
【0069】
別の例として、外気が所定の温度および/または湿度限界を超えると、圧縮空気冷却が作動され、または、コンピュータルームへの圧縮空気の流れが増大されてもよい。反対に、外気が所定の温度または湿度条件を下回ると、圧縮空気冷却は動作を停止し、またはコンピュータルームへの圧縮空気の流れが減少されてもよい。
【0070】
460で、圧縮空気貯蔵タンク内の圧力水準および/または貯蔵タンク内の圧縮空気の量が、監視されてもよい。462で、貯蔵された空気の圧力および/または量が、所定の閾値水準よりも下がっていないかの決定が成されてもよい。空気の圧力および/または量が、所定の水準よりも下がった場合、貯蔵タンクを再充填するために圧縮機が作動されてもよい。圧縮空気貯蔵タンクの監視および再充填は、手動で、自動で、またはその組み合わせで、実施されてもよい。
【0071】
ある特定の実施形態では、圧縮空気サブシステムを動作させるための条件は、時間に関連していてもよい。例えば、データセンターが屋外圧縮機を有し、その騒音水準が所在地の夜間騒音規制条例を越える場合、空気圧縮機は日中に動作し、次いでその後、夜間は停止されてもよい。別の例として、データセンターが従来型の空気処理システムを有し、その騒音水準が所在地の夜間騒音規制条例を越えるが、建物内に設置された圧縮機を備える圧縮空気冷却システムも同様に有する場合、従来型の空気処理システムは、夜間は停止され、圧縮空気冷却システムが始動されてもよい。このようにして、圧縮空気冷却システムは、データセンターが、従来型の冷却機器のみを有するデータセンターよりも高いデューティーサイクルを有することを、可能にする場合がある。
【0072】
いくつかの実施形態において、圧縮機は、データセンターの冷却の間、継続して動作してもよい。他の実施形態では、冷却動作中は、冷却のための圧縮空気は全て圧縮空気貯蔵タンク内に蓄積された空気からもたらされ、圧縮機は停止してもよい。
【0073】
上述の実施形態はかなり詳細に記載されてきたが、上述の開示を完全に理解すれば、多数の変形および修正が当業者には明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、全てのかかる変形および修正を包含するように解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンターのコンピュータルーム内の構成要素から熱を除去するためのシステムであって、
圧縮空気を保持するように構成される1つ以上の空気貯蔵容器と、
前記空気貯蔵容器のうちの少なくとも1つへ圧縮空気を供給するように構成される1つ以上の圧縮機と、
前記少なくとも1つの貯蔵容器と流体連通する1つ以上のプレナムであって、前記プレナムのうちの少なくとも1つは、コンピュータルームへ空気を供給するように構成される、プレナムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記プレナムのうちの少なくとも1つと前記貯蔵容器のうちの少なくとも1つとの間で流体連通する、少なくとも1つの圧縮空気室をさらに備え、前記圧縮空気室は、前記少なくとも1つのプレナムへ空気を供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
1つ以上の弁と、前記1つ以上の弁のうちの少なくとも1つに連結される制御システムとをさらに備え、前記制御システムは、前記弁を制御して、前記プレナムのうちの少なくとも1つへの圧縮空気の流れを制御するように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
外気が前記プレナムのうちの少なくとも1つへ進入することを可能にするように構成される、1つ以上の外気孔をさらに備え、前記プレナムは、圧縮空気を前記外気の少なくとも一部分と混合するように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プレナムのうちの少なくとも1つは、前記コンピュータルームから空気を戻すように構成される1つ以上の戻り空気孔を備え、前記プレナムは、圧縮空気を前記コンピュータルームから戻される前記空気の少なくとも一部分と混合するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記圧縮空気の少なくとも一部分から水を除去するように構成される、少なくとも1つの乾燥デバイスをさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記空気が前記コンピュータルームへ進入する前に前記空気の中へ水分を導入するように構成される、少なくとも1つの加湿デバイスをさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記空気が前記コンピュータルームへ進入する前に前記空気を冷却するように構成される、少なくとも1つの蒸発冷却システムをさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記圧縮空気が前記コンピュータルームへ進入する前に、前記圧縮空気の少なくとも一部分から不純物を濾過するように構成される、少なくとも1つのフィルタをさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピュータルーム内の少なくとも1つのコンピュータシステムを通して空気を移動させるように構成される、1つ以上のファンをさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
データセンターのコンピュータルーム内のコンピュータシステムを冷却する方法であって、
空気を圧縮することと、
前記圧縮空気の少なくとも一部分を、1つ以上の容器に貯蔵することと、
前記容器からの空気の少なくとも一部分を前記コンピュータルームへ導入することと、
前記空気の一部分を、前記コンピュータルーム内の少なくとも1つのコンピュータシステムの少なくとも1つの熱発生構成要素をわたって流し、前記少なくとも1つの熱発生構成要素を冷却することと、
を含む、方法。
【請求項12】
圧縮空気の一部分を外気と混合することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
圧縮空気の一部分を、前記コンピュータルームから戻される空気と混合することをさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピュータルームから戻される空気の少なくとも一部分を、外へ排気することをさらに含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮空気を前記コンピュータルームへ導入する前に、前記圧縮空気の少なくとも一部分を加湿することをさらに含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−521590(P2013−521590A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557264(P2012−557264)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/028002
【国際公開番号】WO2011/123228
【国際公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(507303550)アマゾン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】