説明

データ伝送システム

【課題】複数のデータ・フレーミング・プロトコルおよび/または複数のデータ伝送速度をサポートしうるデータ・フレーマを実現する。
【解決手段】送信元データ・ストリームに潜在する少なくとも2つの異なるデータ・フレーミング・プロトコルをサポートしうるデータ・フレーマは少なくとも2つのフレーミング回路および該フレーミング回路に接続されたコントローラを備えている。フレーミング回路の各々は前記各フレーミング回路に付随する異なるデータ・フレーミング・プロトコルに従って前記送信元データ・ストリームからユーザ・データを抽出するように構成されている。前記コントローラは適切に、(i) 前記送信元データ・ストリームを受信して少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルのうちのどちらが前記送信元データ・ストリームに対応しているかを自動的に判断し、(ii)前記送信元データ・ストリームの前記判断したデータ・フレーミング・プロトコルと前記第1のデータ・フレーミング・プロトコルおよび前記第2のデータ・フレーミング・プロトコルのうちの一方との間の一致に応答して、前記送信元データ・ストリームを前記第1のフレーミング回路および前記第2のフレーミング回路のうちの一方に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にデータ伝送システムに関し、特に少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルを自動的にサポートしうるデータ・フレーマに関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られていることだが、通信ネットワークを介して送信元と送信先との間で情報を転送するのに依拠するデータ通信プロトコルは通常、送信元と送信先との間でデータを同期させるためにフレーミング・アーキテクチャを用いている。データ・フレームは様々なセクション、たとえばメッセージ・セクションと当該メッセージ・セクションに付随する情報セクション(たとえばフレーミング・データ)とに分割することができる。情報セクションはたとえばフレーム境界を特定したり、通信ネットワーク経路を維持したりするために使用する。情報セクションは通常、データ・フレームのヘッダ部および/またはトレーラ部に存在する。(「Aおよび/またはB」は「AおよびB、A、またはB」を表わす。)データ通信プロトコルが異なると、通信ネットワークを介してデータを送信するのに異なるフレーム構成を使用する場合が多い。
【0003】
データ・フレーマは一般にデータ伝送システムのデータ・リンク層で機能する装置である。システムの受信側で使用する場合、フレーマは入来するデータ・ストリームから事前設定のフォーマットまたはプロトコルのデータ・フレームを検索する。事前設定のプロトコルを用いてフレーム境界を特定したら、引き続く処理段において有効なユーザ・データをフレーム内で突き止める。送信側では、フレーマはユーザ・データを事前設定のプロトコルに対応するフレームに構成して、通信ネットワークを介した伝送の用に供する。
【0004】
既存のフレーマは一般に単一のフレーミング・プロトコルしか処理することができない。既存のフレーマは特定のプロトコル用の機能をすべて実行するから、当該特定のプロトコルに適合しない受信データ・ストリームは有効であると確認されない。同様に、送信データは単一の所定プロトコルに従ってしかフレーミングされない。また、所定のプロトコルには様々なデータ伝送速度に応じて変種が存在する場合が多い。フレーマは一般に目標データ伝送速度用に最適化されている。したがって、データ伝送速度が変わると通常、所望のデータ伝送速度の所定プロトコルに対応するようにフレーマの設定を手動で変更しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、複数のフレーミング・プロトコルおよび/または複数のデータ伝送速度をサポートしうるフレーマを実現することは好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はたとえばデータ伝送システムにおいて使用するマルチ・プロトコル・フレーマ(以下、単にフレーマともいう)を形成する手法を提供するものである。前記マルチ・プロトコル・フレーマは伝送媒体(たとえば光ファイバ・ネットワーク)から受信した入力データ・ストリームの特定のデータ伝送プロトコルを自動的に検出することができる。前記フレーマは、該フレーマが特定のプロトコルを検出したら、前記検出したプロトコルに従って、前記入力データ・ストリームから有効なデータを抽出し、および/または有効なデータをフレーミングして前記伝送媒体を介した伝送の用に供するように構成されている。したがって、本発明に係る手法を用いると、複数のデータ伝送プロトコルを自動的に処理しうるだけでなく、当該プロトコルを先験的に知っている必要を無くすことのできるデータ・フレーマを実現することができる。
【0007】
本発明の一側面によると、送信元データ・ストリームに潜在する少なくとも2つの異なるデータ・フレーミング・プロトコルをサポートしうるデータ・フレーマは少なくとも2つのフレーミング回路および該フレーミング回路に接続されたコントローラを備えている。フレーミング回路の各々は前記各フレーミング回路に付随する異なるデータ・フレーミング・プロトコルに従って前記送信元データ・ストリームからユーザ・データを抽出するように構成されている。前記コントローラは適切に、(i) 前記送信元データ・ストリームを受信して少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルのうちのどちらが前記送信元データ・ストリームに対応しているかを自動的に判断し、(ii)前記送信元データ・ストリームの前記判断したデータ・フレーミング・プロトコルと前記第1のデータ・フレーミング・プロトコルおよび前記第2のデータ・フレーミング・プロトコルのうちの一方との間の一致に応答して、前記送信元データ・ストリームを前記第1のフレーミング回路および前記第2のフレーミング回路のうちの一方に転送する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明はマルチ・プロトコル・フレーマを形成する手法を提供するものである。ここでは、光ファイバ・ネットワークを介してデータを伝送するための次に示すプロトコル群を特に参照してマルチ・プロトコル・フレーマを説明する。すなわち、SONET(synchronous optical network:光同期伝送網)/SDH(synchronous digital hierarchy:同期ディジタル・ハイアラーキ)プロトコル、イーサネット(R)WAN(wide area network)プロトコル、イーサネット(R)LAN(local area network)プロトコル、ファイバ・チャネルWANプロトコル、およびファイバ・チャネルLANプロトコルである。しかしながら認識すべき点を挙げると、本発明はこれらの、またはすべての特定のデータ伝送プロトコルおよび/または通信媒体に限定されない。
【0009】
SONET標準の詳細はたとえばANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)文書T1.105−1995、T1.105.02−1995、T1.105.04−1995、およびT1.105.09−1996に記載されている。WAN同期標準はたとえばANSI T1TR3GPP 27.103−300に記載されている。同様に、LANプロトコル標準の概要はたとえばISO(International Organization for Standardization: 国際標準化機構)/IEC(International Electrical Commission:国際電気標準会議)文書TR 8802−1:2001、ISO/IEC 10038−1993、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会)文書802.7−1989およびIEEE 802.1q−1998に記載されている。ファイバ・チャネル標準はたとえば「ファイバ・チャネル−物理的および信号的インタフェース(Fibre Channel - Physical and Signaling Interface) 」(ANSI X3.230−1994)に記載されている。したがって、ここでは既存のデータ伝送プロトコルの詳細な説明は提示しない。
【0010】
フレーマを含むデータ伝送システムにおいて、送信元と送信先との間でデータを伝送するのに使用するフレーミング・フォーマットを決める1つの方法は、フレーマの外部からデータ伝送プロトコルを手動で設定することである。しかし、これには従来、送信元が使用しているプロトコルを先験的に知っている必要があった。また、入来するデータ・ストリームのプロトコルが変化したときには常に、入来するデータが有効であることを確認するために、フレーマに関連付けられた設定を入来するプロトコルに対応するように手動で変更する必要もある。
【0011】
手動による介入なしに、そして送信元が使用しているデータ・フレーミング・プロトコルを先験的に知る必要なしにプロトコルを変更することを可能にするために、本発明は受信したデータ・ストリームのプロトコルを自動的に検出し、そのプロトコルが使用しているフレーミング・アーキテクチャを自動的に追跡する手法を提供する。フレーマの受信側でプロトコルを検出したら、その検出したプロトコルに対応するようにフレーマの送信側を自動的に設定することができる。このように、本発明に従って形成したフレーマは手動による介入なしに自身の動作を自動的に決定することができるから好都合である。また、本発明に係るデータ・フレーマはデータ・フレーミング・プロトコルをユーザ選択可能な制御信号に応じて変更する能力も備えている。
【0012】
図1は本発明に従って形成した典型的なデータ伝送システムを示す図である。図示したデータ伝送システム100はCDR(clock and data recovery:クロックとデータの復元)回路102、一対のマルチ・プロトコル高速フレーマ104、106、一対の媒体アクセス制御(media access controller:MAC)112、114、およびスイッチャ/ルータ116を備えているのが望ましい。CDR回路102は伝送媒体、たとえばデータを伝送する光ファイバ・ネットワーク118に接続されている。CDR回路102は入来するデータ・ストリームまたは外出するデータ・ストリームをそれぞれ少なくとも部分的に、適切に直列化し、および/または非直列化する。システムの受信側では、一方のフレーマ104がCDR回路102から入力データ・ストリーム120を受信するように適切に構成されている。入力データ・ストリーム120は複数の未決プロトコルのうちの1つのデータ・フレームから成る。システムの送信側では、他方のフレーマ106がCDR回路102へ出力データ・ストリーム122を送信するように適切に構成されている。入力データ・ストリーム120と同様に、出力データ・ストリーム122は複数のプロトコルのうちの1つのデータ・フレームから成り、入力データ・ストリームのプロトコルと一致しているのが望ましい。
【0013】
受信側では、マルチ・プロトコル・フレーマ104は入力データ・ストリーム120のプロトコルを自動的に検出し、そこから有効なデータを抽出するように構成されているのが望ましい。プロトコルが確認できたら、検出したプロトコルに対応する所定のフレーム内で、有効なデータを容易に突き止めることができる。フレーマ104はSONET/SDH型のデータをスイッチャ/ルータ116に供給して伝送の用に供する第1の出力124を備えているのが望ましい。また、フレーマ104はイーサネット(R)/ファイバ・チャネル型のデータをMAC(媒体アクセス制御)112に供給する第2の出力130も備えているのが望ましい。MAC112はスイッチャ/ルータ116に適切に接続されている。MAC112はシステム内のスイッチ・ルーティングを評価するように少なくとも部分的に機能する。
【0014】
送信側では、マルチ・プロトコル・フレーマ106はスイッチャ/ルータ116からSONET/SDH型データ126を直接に、またはMAC114を介してスイッチャ/ルータ116からイーサネット(R)/ファイバ・チャネル型データ128を受信するように構成されているのが望ましい。いずれの場合でも、スイッチャ/ルータ116から受信するデータは、受信側のマルチ・プロトコル・フレーマ104が検出したプロトコルを用いて送信側のマルチ・プロトコル・フレーマ106がフレーミングしたものであるのが望ましい。次いで、フレーミングしたデータは出力データ・ストリーム122としてCDR回路102に送り、光ファイバ・ネットワーク118を介して送信先へ伝送する。
【0015】
次に、図2を参照する。図2は本発明の一側面に従い受信側のオペレーション用に構成されたマルチ・プロトコルの高速フレーマを示す図である。説明を容易するために、マルチ・プロトコル・フレーマ200はいくつかの機能ブロック、たとえばプロトコル追跡・フレーム同期エンジン202、SONET/SDHフレーミング・ブロック204、およびイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208で構成されているのが望ましい。認識すべき点を挙げると、これらの機能ブロックの各々はそれに対応する個別回路、たとえばDSP(digital signal processor)または等価の処理装置で実現することができる。あるいは、単一の回路を用いて複数の機能ブロックを実現することもできる。また、当業者が理解しうるように、本発明によれば、フレーマに付随する少なくとも1つの機能ブロックをプロセッサで実行するソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現することも考えられる。
【0016】
プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202はたとえば光ファイバ・ネットワークからそれに提供される入力データ・ストリーム226を受信し、その入力データ・ストリーム中にフレーム同期パターンがないか検索するのが望ましい。たとえば、WANプロトコルの場合、データ・ストリームは同期トランスポート信号(STS)の開始を示すフレーミング・バイトA1、A2を含んでいる。あるいは、LANプロトコルの場合、データ・ストリームはLAN型データ・フレームの開始を示す66ビットごとの01/10ビット・シーケンスを含んでいる。プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202は複数のステート・マシン210、212を備えているのが望ましい。ステート・マシン210、212の各々は入力データ・ストリーム226から異なる所定のプロトコルを適切に検出するように構成されている。本発明によれば、プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202に追加のステート・マシン(図示せず)を付加して、それに対応する追加のデータ伝送プロトコルを検出するようにすることも考えられる。これにより、フレーマのプロトコル検出機能が拡大する。
【0017】
ステート・マシン210、212は各々、入力データ・ストリーム226を受信し、実質的に並列に動作し、入力データ・ストリームを実質的に走査し、それに付随する所定のプロトコル標準に従うデータ・フレームを検出するのが望ましい。並列に動作することにより、ステート・マシン210、212は入力データ・ストリームから未決のプロトコルをより迅速に検出することが可能になる。したがって、本発明に従って形成したデータ・フレーマの速度は顕著に改善されている。ステート・マシンの一方がその構成されたプロトコルに対応する特定のデータ・フレームを検出したら(当該ステート・マシンは「インフレーム(in-frame)」状態または「追跡(lock)」状態にあると言われる)、このインフレーム状態が終了するまで、他方のステート・マシンは無効にする、あるいはシャットオフする。不使用のステート・マシンを無効にすることにより、フレーマの消費電力を低減することができる。
【0018】
プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202がWAN型プロトコルの入力データ・ストリームを特定したら、ステート・マシン210(これはこの例ではデータ・ストリーム226からWAN型プロトコルを検出するのに使用している)は自身がインフレーム状態にあることを示す制御信号を生成するのが望ましい。ステート・マシン210が生成したインフレーム制御信号はステート・マシン212を適切に無効にし、および/または入力データ・ストリームをステート・マシン210に付随する引き続く処理回路に適切に転送するのに使用する。入力データ・ストリームのプロトコルを特定したら、インフレームのステート・マシン(たとえば210)は継続して入力データ・ストリーム226を定期的にモニタしインフレーム状態が継続しているか否かを判断するのが望ましい。認識すべき点を挙げると、ステート・マシンがインフレーム状態になり、データ伝送プロトコルが既知であることを示すと、検出したプロトコルに対応するフレーム境界は容易に判定することができる。したがって、当業者が理解しうるように、インフレーム状態が継続しているか否かを判断するには、ステート・マシンは予期するフレーム境界がないか入力データ・ストリームをモニタするだけでよい。
【0019】
ステート・マシン210は以前にWAN型プロトコルとして特定された入力データ・ストリームを線214を介してSONET/SDHフレーミング・ブロック204へ転送する。SONET/SDHフレーミング・ブロック204は入来するデータ・ストリームがSONET/SDHプロトコルであるかWIS(WAN interface sublayer: WANインタフェース副層)プロトコルであるかを判断する。これらは当業者に知られているように、それぞれSONET/SDH標準とWIS標準(たとえばANSI T1.416−1999)によって規定されている。これを行うために、SONET/SDHフレーミング・ブロック204は入力データ・ストリーム中の少なくとも1つの所定バイト位置を検出するように構成されている。たとえば、SONET/SDHフレーミング・ブロック204は、SONET/SDHプロトコルでは使用されているがWISプロトコルでは不使用で特定の論理レベル、たとえば論理“0”に設定されているいくつかのオーバーヘッド・バイトを適切に検出する。認識すへき点を挙げると、本発明によれば、特定のプロトコルを特定する、あるいは少なくとも2つのプロトコルを分別するのに別の手法を用いることもできる。
【0020】
SONET/SDHフレーミング・ブロック204に入来するデータ・ストリーム214が純粋のSONET/SDHプロトコルであると判断したら、SONET/SDHフレーミング・ブロック204は当該データ・ストリームをたとえば線222を介して引き続く処理回路(たとえば図1のスイッチャ/ルータ116)に転送するのが望ましい。あるいは、データ・ストリーム214がSONET/SDHプロトコルとして認識されない場合には、SONET/SDHフレーミング・ブロック204に含まれるWISブロック228が当該データ・ストリームを線218を介してステート・マシン212に転送し、さらなる処理の用に供する。WISフレームは実質的に複数のイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレームを含んでいるから、WISデータ・ストリーム218はLAN型プロトコルに従ってさらに処理することができる。
【0021】
プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202が入力データ・ストリームがLAN型プロトコルであると特定したら、ステート・マシン212はインフレーム制御信号を生成するのが望ましい。ステート・マシン212が生成したインフレーム制御信号は上述したようにステート・マシン210と同一の方法で使用して、ステート・マシン210およびそれに付随するすべての不使用の回路(たとえばSONET/SDHフレーミング・ブロック204)を適切に無効にし、および/または、データ・ストリームをステート・マシン212に付随する引き続く回路に転送する。上述したように、入力データ・ストリーム226のプロトコルを特定したら、インフレームのステート・マシン(たとえば212)は継続して定期的にデータ・ストリームをモニタしてインフレーム状態を継続しているか否かを判断するのが望ましい。
【0022】
ステート・マシン212はLAN型プロトコルであるとすでに判断されたデータ・ストリームをイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に含まれるスクランブラ/デスクランブラ206に適切に転送する。スクランブラ/デスクランブラ206は、データ・ストリームにおいて十分なビット遷移(たとえば“0”から“1”へまたは“1”から“0”へ)を実現するために以前にスクランブルされた入来するフレームからペイロード・フィールドとオーバーヘッド・フィールドを抽出するように構成されているのが望ましい。当業者が理解しうるように、受信器フェーズ・ロック・ループを用いた光ファイバ・システムでは、受信器フェーズ・ロック・ループがジッタの少ない受信データからクロック信号を復元しうるように、データ・ストリームは一般に所定数のビット遷移を含むようにエンコードする必要がある。上述したように、WISフレームは実質的に複数のイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレームを含んでいるから、WISデータ・ストリーム218はイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208によってさらに処理することができる。また、スクランブラ/デスクランブラ206はエラー検出および/またはエラー訂正のためにデータをエンコード/デコードする機能も備えている。たとえば、LAN型プロトコルでは、受信データの66ビットごとに実データは64ビットしかない。したがって、デスクランブラは66ビットのデータ・ストリーム216を64ビットのデータ・ストリーム224に(たとえば66ビット/64ビット・デコーダを用いて)変換するように構成されているのが望ましい。
【0023】
イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208は入来するデータ・ストリーム216がイーサネット(R)標準とファイバ・チャネル標準でそれぞれ規定されているイーサネット(R)・プロトコルであるのかファイバ・チャネル・プロトコルであるのかを判断するのが望ましい。イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208は次に示す様々な手法を用いてイーサネット(R)・プロトコルとファイバ・チャネル・プロトコルとを分別するように構成することができる。すなわち、順序付セット信号方式(ordered set signaling)、SOF(start-of-file:ファイル開始)・EOF(end-of-file:ファイル終了)認識方式、OFC(open fiber control: 開放ファイバ制御)信号方式などである。これらについては下で詳述する。また、本発明で使用するのに好適な別の分別手法も同様に考えられる。
【0024】
当業者が理解しうるように、ファイバ・チャネル・プロトコルの文脈における順序付セット(ordered set)はデータと第1の伝送キャラクタとしての特別キャラクタとを含む4バイトの伝送ワードである。順序付セットはたとえばフレーム・デリミタ、基本信号、基本シーケンスなどである。順序付セットを少なくとも部分的に使用すると、ファイバ・チャネル制御情報とデータとを区別しうるとともに、ビットとワードの同期をとる機能(これはワード境界の位置合わせの確立も行う)を実現することができる。IEEE標準802.3aeに従うフレーム信号方式(FSIG)は、ファイバ・チャネル・コードの順序付セットを送るのに使用されるとともに、常に特別なキャラクタK28.2で開始する。順序付セットのバイト0の位置に存在するこの特別なキャラクタK28.2は常にファイバ・チャネルの順序付セット・データ(たとえばK28.2−Dx1.y1−Dx2.y2−Dx3.y3)を示し、次いで適切なファイバ・チャネルの順序付セット(たとえばK28.5−Dx1.y1−Dx2.y2−Dx3.y3)に逆変換される。
【0025】
イーサネット(R)・プロトコルとファイバ・チャネル・プロトコルとを区別する別の手法がSOF・EOF認識方式である。フレーム・デリミタのSOFとEOFは所定フレームの内容の直前と直後にそれぞれ付される。SOFとEOFはイーサネット(R)とファイバ・チャネルでは扱いが異なる。たとえば、ファイバ・チャネルでは、SOFおよびEOFの双方用に特定の順序付セットを使用する。これに対して、イーサネット(R)では、SOFおよびEOF用に単一の制御キャラクタしか使用しない。また、ファイバ・チャネル・プロトコルでは4バイトの順序付セットを使用しているから、デリミタSOFおよびEOF用の制御キャラクタは常に同じバイト位置に存在する。しかし、イーサネット(R)・プロトコルでは、同じバイト位置に存在するのはSOFキャラクタのみであり、EOFキャラクタは任意のバイト位置に存在しうる。これらの相違点は、たとえば10ギガヘンツ(GHz)ファイバ・チャネル標準文書第1.0版第14節第53頁以降(2001年3月10日)、および10GHzイーサネット(R)標準文書IEEE 802.3aeドラフト2.3第48.3節第296頁以降に記載されている。
【0026】
特に、イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に存在する66ビット/64ビット・デコーダ(図示せず)を出たバイトと、イーサネット(R)・プロトコルおよびファイバ・チャネル・プロトコルに固有の予期されるSOFキャラクタおよびEOFキャラクタとを実質的に同時に比較するのが望ましい。SOF制御キャラクタとEOF制御キャラクタを適切に位置合わせしたファイバ・チャネルの順序付セットおよび/または順序付シーケンスを検出したら、イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に含まれるステート・マシンはSOF終端処理とEOF終端処理を適切に行ったデータ・パケットをカウントし始め、ユーザ設定可能なカウント値までカウントして偽ファイバ・チャネルを検出しえないようにするのが望ましい。ファイバ・チャネルのセットを検出しない場合、あるいはデータ・ストリーム中でファイバ・チャネル・プロトコル用とは違ったバイト位置すなわち予期しないバイト位置でEOF制御キャラクタを検出した場合、イーサネット(R)・データであると推定する。この例では、イーサネット(R)に固有のステート・マシンが、SOFキャラクタが適切なバイト位置にないか検索したのち、適切にフォーマットされたイーサネット(R)・パケットをユーザ設定可能な最大値までカウントし始めるのが望ましい。
【0027】
本発明では、データ・ストリーム中の単一のパケット・エラーに起因する「グリッチ(glitch: 瞬間的な異常)」および/または他の異常の影響をフレーマがあまり受けないように、上述した最大カウント値を使用してプロトコル決定プロセスにヒステリシスを実現するのが望ましい。本発明によれば、このようなヒステリシスの実現に様々な手法を用いることができる。たとえば、イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に「有効パケット」カウンタ(図示せず)を備える。この有効パケット・カウンタは所定のカウント値に初期化する。ある期間経過後、イーサネット(R)またはファイバ・チャネルのSOFおよび/またはEOFのフォーマットがエラーであることが分かった場合、有効パケット・カウンタに付随するカウント値を1だけインクリメントまたはデクリメントして、単一のパケット・エラーではイーサネット(R)/ファイバ・チャネル決定プロセスが不所望に「グリッチ」する、すなわち別のプロトコルを使用するように切り替えることがないようにする。また、当業者が理解しうるように、有効パケット・カウンタとともに比較器(図示せず)を用いてカウンタの値と所定のカウント値とを比較して、プロトコルを変更する必要があるか否か(たとえば許容できない個数のパケット・エラーが検出されたか否か)を判断してもよい。さらに本発明によれば、エラー・レートが十分に低いプロトコルが見つからない場合、フレーマは特定のプロトコルに付随する標準によって決められた方法またはユーザが決めた方法で、LOL(loss of link: リンク損失)を表示する。
【0028】
認識すべき点を挙げると、上述したものの他に本発明のプロトコル決定機能およびプロトコル切り替え機能を実現するために使用しうる様々な方法が存在する。たとえば、本発明の別の側面によれば、イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208ははじめにファイバ・チャネル・プロトコルを探索するのではなく、はじめにイーサネット(R)・プロトコルを探索してもよい。こうするためには、イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208をEOF制御キャラクタの変動しうる位置を検出しうるように構成する。あるいは、SOFとイーサネット(R)のプリアンブル・キャラクタとを用いて、ファイバ・チャネル・プロトコルに対応するSOFの順序付セットの定義とは異なる独自の疑似順序付セット(pseudo-ordered set)を規定してもよい。
【0029】
また上述したように、本発明によれば、OFC信号手法を用いてイーサネット(R)・プロトコルとファイバ・チャネル・プロトコルとを分別してもよい。OFC信号手法はデータ伝送システム100のCDR回路(図1参照)で使用するが、単一のファイバを介して複数のデータ・ストリームを伝送する850ナノメートル(nm)の波長分割多重(WDM)型ファイバ・チャネル・リンクを構築する際に使用するOFCに依存している。たとえばOFC機能の場合、ファイバ・チャネル・リンクは、高速フロント・エンド回路が生成しCDR回路102のOFC回路が処理する信号を用いてレーザ対応信号(たとえばLaser_En)を生成する。当業者が理解しうるように、このレーザ対応信号は高速フロント・エンド回路が信号を検出するときには“H”論理レベルである。イーサネット(R)・プロトコルもSONETプロトコルもこの信号を使用していないから、レーザ対応信号が“H”論理レベルになるリンクはすべて自動的にファイバ・チャネル・リンクであると考えられる。
【0030】
例示のみを目的として、図3は本発明により、入来するデータ・ストリームのプロトコルを判断するために図2のマルチ・プロトコル・フレーマが用いる判定ツリー300を示す図である。上述したように、入来するデータ・ストリームがWAN型プロトコルであるかLAN型プロトコルであるかをノード302で判断する。WAN型プロトコルを検出したら,フレーマはそのWAN型プロトコルのデータ・ストリーム320をノード304へ転送する。ノード304では、データ・ストリーム320がSONET/SDHプロトコルであるかWISプロトコルであるかを判断する。SONET/SDHプロトコルを検出したら、SONET/SDH型データ・ストリーム310を所定の送信先へ転送する。同様に、ノード304で、データ・ストリーム320がWISプロトコルであると判断したら、WISプロトコル型データ・ストリーム324をノード308へ転送し、さらなる処理の用に供する。ノード308では、データ・ストリーム324がイーサネット(R)・プロトコルであるかファイバ・チャネル・プロトコルであるかを適切に判断する。ノード308で受信するデータ・ストリームは以前にWAN型プロトコルであると判断されているから、ノード308はイーサネット(R)WANプロトコル型データ・ストリーム316、またはファイバ・チャネルWANプロトコル型データ・ストリーム318を各所定の送信先へ出力する。
【0031】
ノード302で入来するデータ・ストリームがLAN型プロトコルであると判断したら、そのLAN型プロトコルのデータ・ストリーム322をノード306へ転送してさらなる処理の用に供する。ノード306では、データ・ストリーム322がイーサネット(R)・プロトコルであるかファイバ・チャネル・プロトコルであるかを判断する。ノード306で受信するデータ・ストリームは以前にLAN型プロトコルであると判断されているから、ノード306はイーサネット(R)LANプロトコル型データ・ストリーム312、またはファイバ・チャネルLANプロトコル型データ・ストリーム314を各所定の送信先へ出力する。認識すべき点を挙げると、ノード306と308は各々、所定のデータ・ストリームに対してイーサネット(R)・プロトコルとファイバ・チャネル・プロトコルとを分別するように少なくとも部分的に機能する。したがって、ノード306と308は同じまたは同様の機能ブロック(たとえば図2のブロック208)で実現することができる。
【0032】
本発明に係るマルチ・プロトコル・フレーマが処理するプロトコルの個数と種別が変化すると、それに合わせて判定ツリー300も変化する。また、当業者が理解しうるように、図示した判定ツリー300と同じように送信側オペレーション用に構成した判定ツリーもマルチ・プロトコル・フレーマ用に規定することができる。
【0033】
次に、図4を参照する。図4は送信側オペレーション用に構成した本発明によるマルチ・プロトコル高速フレーマ400を示す図である。マルチ・プロトコル・フレーマ400は図2に示した受信側のマルチ・プロトコル・フレーマと同様に、プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202、SONET/SDHフレーミング・ブロック204、およびイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208を備えている。認識すべき点を挙げると、これらの機能ブロックの各々はそれに対応する個別回路、たとえばDSP(digital signal processor)などで実現することができる。あるいは、単一の回路を用いて複数の機能ブロックを実現することもできる。また当業者が理解しうるように、本発明によれば、フレーマに付随する少なくとも1つの機能ブロックを、プロセッサ上で実行するソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現することができる。
【0034】
送信オペレーションの間、マルチ・プロトコル・フレーマ400はSONET/SDH型の送信元に由来する第1のデータ・ストリーム402とイーサネット(R)/ファイバ・チャネル型の送信元に由来する第2のデータ・ストリーム404とを(必ずしも同時並行的ではなく)受信する。第1のデータ・ストリーム402はSONET/SDHフレーミング・ブロック204に転送する。SONET/SDHフレーミング・ブロック204は受信したデータを適切に処理してSONET/SDHプロトコル型出力データ・ストリーム408を生成する。プロトコル追跡・フレーム同期エンジン202に含まれている第1のステート・マシン210はWAN型プロトコルに従ってデータを処理するように構成されているのが望ましい。ステート・マシン210はSONET/SDHプロトコル型データ・ストリーム408を受信しWAN型プロトコルのフレームを生成して光ファイバ・ネットワーク414(または別の通信媒体)を介した所定送信先への送信の用に供する。
【0035】
イーサネット(R)/ファイバ・チャネル型の送信元に由来するデータ・ストリーム404はイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に転送する。イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208は受信したデータを適切に処理してイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型の出力データ・ストリーム406を生成する。イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型データ・ストリーム406はイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック208に含まれているスクランブラ/デスクランブラ206でエンコードして、当該データ・ストリーム中に十分なビット遷移(たとえば“0”から“1”へまたは“1”から“0”へ)を実現するのが望ましい。このプロセスは「スクランブル」と呼ばれている。上述したように、受信器フェーズ・ロック・ループを用いた光ファイバ・システムでは、データ・ストリームは一般に所定数のビット遷移を含むようにエンコードし、受信器フェーズ・ロック・ループがジッタの少ない受信データからクロック信号を復元しうるようにする必要がある。
【0036】
(たとえば受信側フレーマまたは送信元データ・ストリーム自身が判断した結果)送信元データ・ストリーム404の送信先プロトコルがWAN型プロトコルである場合、スクランブラ/デスクランブラ206はエンコード済みイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型データ・ストリームを生成する。このデータ・ストリームはプロトコル追跡・フレーム同期エンジン202に含まれる第2のステート・マシン212を通じてSONET/SDHフレーミング・ブロック204に含まれるWISブロック228に転送するのが望ましい。WISブロック228は受信したデータ・ストリーム410をWISプロトコルに従って処理する。そして、SONET/SDHブロック204がさらに処理してSONET/SDHプロトコル型の出力データ・ストリーム408を生成する。このSONET/SDHプロトコル型データ・ストリーム408はステート・マシン210が受信し、WAN型プロトコルのフレームを生成して光ファイバ・ネットワーク414を介した所定送信先への伝送の用に供する。ステート・マシン212が出力したデータ・ストリームを光ファイバ・ネットワーク414またはWISブロック228へ選択的に転送しうるように、フレーマ400にはマルチプレクサ(MUX)412が設けられている。また、(たとえばステート・マシン212が出す)LAN型データ・ストリームまたは(たとえばステート・マシン210が出す)WIS型データ・ストリームを光ファイバ・ネットワーク414へ選択的に転送しうるように第2のMUX416も設けられている。
【0037】
送信元データ・ストリーム404がLAN型プロトコルである場合、スクランブラ/デスクランブラ206はエンコード済みイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型データ・ストリーム406を生成する。このデータ・ストリーム406はプロトコル追跡・フレーム同期エンジン202に含まれる第2のステート・マシン212に転送する。第2のステート・マシン212はLAN型プロトコルでデータを処理するのが望ましい。第2のステート・マシン212はエンコード済みイーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型データ・ストリーム406を受信して適切なLAN型プロトコルのフレームを生成し、光ファイバ・ネットワーク414を介した所定送信先への伝送の用に供する。この例では、出力データ・ストリームはWISブロック228を通過してさらなる処理を受けることはない。
【0038】
認識すへき点を挙げると、上述したように、送信オペレーションの間に出力すべきプロトコルは受信側フレーマに付随するステート・マシンが生成する制御信号(たとえばインフレーム制御信号)または他の手段によって決まる。あるいは当業者が理解しうるように、本発明によれば、送信先プロトコルに関する情報はフレーマ400が受信する入来データ・ストリーム中にエンコードすることも考えられる。また、送信側フレーマ400が使用するプロトコルはユーザ選択可能である。
【0039】
図面ではマルチ・プロトコル・フレーマが特定のプロトコルに対応する、プロトコル固有の機能ブロックを備えているものとして示したが、これらのブロックのうちの少なくとも1つを複数のプロトコルが共用してもよい。たとえば、スクランブラ/デスクランブラはプロトコルに無関係であるのが望ましいから、受信した各プロトコル用に使用することができる。同様に、エンコーダ/デコーダ機能は(たとえばファイバ・チャネル・プロトコルにおける)マッピング制御順序付セットや(たとえばイーサネット(R)・プロトコルにおける)マッピング制御キャラクタなどの小さな変更を除いて実質的に同一である。したがって、これらのプロトコルのデコードおよび/またはエンコードは僅かな変更を加えた同じハードウェアを用いて行うことができる。
【0040】
また、入来するデータ・ストリームのプロトコルが分かったら、不使用プロトコルに付随する機能ブロックはパワーダウンするか、無効にできる点が好都合である。これにより、フレーマの全消費電力を顕著に低減することができる。たとえば、WISフレームのオーバーヘッドはSONET/SDHのオーバーヘッドの一部である。したがって、イーサネット(R)/ファイバ・チャネルWAN型データ・ストリームを受信している間、SONET/SDH機能ブロックの少なくとも一部を無効にすることができる。
【0041】
受信したデータ・ストリームのプロトコルに関する情報は(たとえばデータ・リンク層における)引き続くデータ処理に使用できるから、本発明の別の側面によるマルチ・プロトコル・フレーマは検出したプロトコルに付随する情報を、たとえばさらなるプロトコル固有の処理を可能にするように提示するように構成されているのが望ましい。これはたとえばシリアル管理インタフェース(たとえばMDIO(multiplexed data input/output)/MDC(multiplexed data clock)インタフェース)を介して、あるいはインタフェースにおいて、コード済みのデータを使用している場合にはインバンド(in-band)を介して実現することができる。すべてのデータをIP(Internet Protocol)フォーマットで伝送する場合には、送信側を適切な出力フォーマットにスイッチすることができる。様々なプロトコルが出すIPデータを1つのスイッチに適切に供給することができるのは、スイッチ入力にFIFO(first-in first-out)バッファ(または等価のバッファ装置)が備わっている場合である。バッファリングすることにより、データ・フレーマは入来するデータ・ストリームのデータ伝送速度の小さな偏差を処理することが可能になる。当業者が理解しうるように、所定のプロトコルのデータ伝送速度の許容できる偏差はたとえば特定のプロトコルに対応する標準に記載されている。
【0042】
図1とともに上述したCDR回路について。光ファイバ・ネットワークに由来するデータをフレーマが受信する前に、入来するデータ・ストリームのクロックとデータを復元する必要がある。下の表1に示すように、ここで述べた様々なプロトコルのデータ伝送速度は異なるが、本発明に係るマルチ・プロトコル・フレーマはそれらを復元することができる。
【0043】
【表1】



【0044】
表1において、「XAUI」なる用語は10ギガビット・アタッチメント・ユニット・インタフェースのことである。また、すべてのデータ伝送速度の単位はギガビット毎秒(Gbs)である。フレーマが適切に機能するように、CDR回路はこの範囲内のすべての周波数を追跡しうるように構成する必要がある。また、マルチ・プロトコル・フレーマに追加のプロトコルおよび/またはデータ伝送速度を含める場合には、CDR回路はそれら追加の周波数もカバーするように構成する必要がある。
【0045】
CDR回路が問題の周波数範囲で動作しうることを保証するために用いうる様々な方法がある。1つの手法はたとえばPLL(phase lock loop)回路を備えることにより入来する周波数を自動的に追跡しうるようにCDR回路を構成することである。別の実施形態では、選定する周波数範囲として狭い帯域幅を複数備えるようにCDR回路を構成してもよい。当業者が理解しうるように、マルチ・プロトコル・フレーマがCDR回路から受信するデータ・ストリームに有用な情報が何もない場合には、CDR回路における周波数帯域幅の変更を指令してCDR回路が入来する周波数を追跡しうるように本発明に係るフレーマを構成してもよい。この手順はフレーマがデータ・ストリーム中に、サポートされているプロトコル群のうちの1つに対する有効なフレーミング・シーケンスを検出するまで繰り返すことができる。
【0046】
図5に示すように、ここで説明した本発明に係るマルチ・プロトコル高速フレーマはコントローラまたはプロセッサ502、メモリ504、およびユーザ・インタフェース506を備えた処理装置500によって全体的にあるいは部分的に実現することができる。認識すべき点を挙げると、ここで使用している「プロセッサ」なる用語はすべての処理装置、たとえば中央処理装置(CPU)および/または処理回路(たとえばDSP(digital signal processor)、マイクロプロセッサ、コントローラなど)を備えたものを意味している。また、理解すべき点を挙げると、「プロセッサ」なる用語は複数の処理装置を指し、1つの処理装置に付随する様々な構成要素を他の処理装置が共用してもよい。ここで使用する「メモリ」なる用語はプロセッサ(すなわちCPU)に付随するメモリおよび他のコンピュータ読み取り可能な媒体、たとえばRAM(random access memory)、ROM(read only memory)、固定記憶媒体(たとえばハード・ディスク駆動装置)、着脱可能記憶媒体(たとえばディスケット)、フラッシュ・メモリなどを含むことを意図している。さらに、ここで使用する「ユーザ・インタフェース」なる用語はたとえばプロセッサにデータを入力する少なくとも1つの入力装置(たとえばキーボード、マウスなど)および/またはプロセッサに付随する結果を表示する少なくとも1つの出力装置(たとえばモニタなど)を含むことを意図している。
【0047】
したがって、本発明に係る方法を実行する命令またはコードを含むアプリケーション・プログラム(またはそのソフトウェア・コンポーネント)は付随する少なくとも1つの記憶媒体(たとえばROM、固定記憶装置、着脱可能記憶装置など)に格納することができ、使用すべきときには(たとえばRAMに)全体的または部分的にロードし、プロセッサ502によって実行することができる。いずれにしても、認識すべき点を挙げると、図1と図2に示した構成要素のうちの少なくとも1つは様々な形態のハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせ、たとえば付随するメモリ、ASIC(application-specific integrated circuit)、機能回路などを備えた少なくとも1つのDSP(digital signal processor)として実現することができる。
【0048】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、理解すべき点を挙げると、本発明はそれら正確な実施形態に限定されず、特許請求の範囲の範囲の内で当業者は様々な他の変形と変更をなしうる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るマルチ・プロトコル高速フレーマのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一側面に従って形成した受信側マルチ・プロトコル・フレーマを示すブロック図である。
【図3】本発明により、入来するデータ・ストリームのプロトコルを判断する、図2に示すマルチ・プロトコル・フレーマが使用する典型的な判定ツリーを示すブロック図である。
【図4】本発明に従って形成した送信側マルチ・プロトコル・フレーマを示すブロック図である。
【図5】本発明に係る方法を実現する一般化したデータ処理システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
100 データ伝送システム
102 CDR回路
104 マルチ・プロトコル高速フレーマ
106 マルチ・プロトコル高速フレーマ
112 媒体アクセス制御(MAC)
114 媒体アクセス制御(MAC)
116 スイッチャ/ルータ
118 光ファイバ・ネットワーク
120 入力データ・ストリーム
122 出力データ・ストリーム
124 第1の出力
126 SONET/SDH型データ
128 イーサネット(R)/ファイバ・チャネル型データ
130 第2の出力
200 マルチ・プロトコル・フレーマ
202 プロトコル追跡・フレーム同期エンジン
204 SONET/SDHフレーミング・ブロック
206 スクランブラ/デスクランブラ
208 イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・フレーミング・ブロック
210 ステート・マシン
212 ステート・マシン
214 入力データ・ストリーム
216 データ・ストリーム
218 データ・ストリーム
224 データ・ストリーム
228 WIS
310 SONET/SDH型データ・ストリーム
312 イーサネット(R)LANプロトコル型データ・ストリーム
314 ファイバ・チャネルLANプロトコル型データ・ストリーム
316 イーサネット(R)WANプロトコル型データ・ストリーム
318 ファイバ・チャネルWANプロトコル型データ・ストリーム
320 WAN型プロトコルのデータ・ストリーム
322 LAN型プロトコルのデータ・ストリーム
324 WISプロトコル型データ・ストリーム
400 マルチ・プロトコル・フレーマ
402 第1のデータ・ストリーム
404 第2のデータ・ストリーム
406 イーサネット(R)/ファイバ・チャネル・プロトコル型出力データ・ストリーム
408 SONET/SDHプロトコル型出力データ・ストリーム
410 データ・ストリーム
412 マルチプレクサ(MUX)
414 光ファイバ・ネットワーク
416 マルチプレクサ(MUX)
500 処理装置
502 コントローラまたはプロセッサ
504 メモリ
506 ユーザ・インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元データ・ストリームに潜在する少なくとも2つの異なるデータ・フレーミング・プロトコルをサポートしうるデータ・フレーマであって、
前記少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルのうちの第1のものに従って前記送信元データ・ストリームからユーザ・データを選択的に抽出するように構成された第1のフレーミング回路と、
前記少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルのうちの第2のものに従って前記送信元データ・ストリームからユーザ・データを選択的に抽出するように構成された第2のフレーミング回路と、
前記第1のフレーミング回路、少なくとも第2のフレーミング回路、および少なくとも1つのコントローラに接続されたコントローラであって、前記第1のフレーミング回路および前記第2のフレーミング回路が、(i)前記送信元データ・ストリームを受信して前記少なくとも2つの異なるデータ・フレーミング・プロトコルのうちのどれが前記送信元データ・ストリームに対応するかを自動的に判断し、(ii) 前記送信元データ・ストリームの前記判断したデータ・フレーミング・プロトコルと前記第1のデータ・フレーミング・プロトコルおよび前記第2のデータ・フレーミング・プロトコルのうちの一方との一致に応答して、前記送信元データ・ストリームを前記第1のフレーミング回路および前記第2のフレーミング回路のうちの一方に転送する、コントローラと
を備えた
データ・フレーマ。
【請求項2】
前記フレーミング回路の各々が少なくとも1つのステート・マシンを備え、
前記少なくとも1つのステート・マシンが、前記送信元データ・ストリームに対応するデータ・フレーミング・プロトコルがそれに付随するデータ・フレーミング・プロトコルと実質的に一致するか否かを判断し、
前記少なくとも1つのステート・マシンの各々がそれに対応する異なる個別のデータ・フレーミング・プロトコルを備えている、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項3】
前記フレーミング回路に付随する前記ステート・マシンの各々が、前記送信元データ・ストリームに対応するデータ・フレーミング・プロトコルを実質的に同時並行的に確認する、
請求項2に記載のデータ・フレーマ。
【請求項4】
前記コントローラが、前記送信元データ・ストリームに対応する判断済みデータ・プロトコルと一致しないデータ・フレーミング・プロトコルに付随する少なくとも1つのステート・マシンを適切に無効にするように構成されている、
請求項2に記載のデータ・フレーマ。
【請求項5】
前記第1のデータ・フレーミング・プロトコルがWAN型プロトコルであり、
前記第2のデータ・フレーミング・プロトコルがLAN型プロトコルである、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項6】
前記第1のデータ・フレーミング・プロトコルがSONET/SDH型プロトコルであり、
前記第2のデータ・フレーミング・プロトコルがイーサネット(R)型プロトコルおよびファイバ・チャネル型プロトコルのうちの一方である、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項7】
さらに、
前記コントローラと前記第1のフレーミング回路および前記第2のフレーミング回路のうちの少なくとも一方との間に適切に接続されたスクランブラ/デスクランブラを備え、
前記スクランブラ/デスクランブラが、
第1のモードのオペレーションにおいて、送信先データ・ストリームに所定のビット遷移を選択的に挿入するように構成されており、
第2のモードのオペレーションにおいて、前記送信元データ・ストリームから所定のビット遷移を選択的に除去するように構成されている、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項8】
前記コントローラがさらに適切に、
(iii)前記フレーミング回路のうちの少なくとも1つのものの状態を検出し、前記少なくとも1つのフレーミング回路が、前記送信元データ・ストリームの前記判断したデータ・フレーミング・プロトコルに対応し予期されるフレーム境界がないか前記送信元データ・ストリームをモニタし、
(iv) 前記予期されるフレーム境界が、前記モニタした送信元データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記送信元データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定める、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項9】
前記コントローラがさらに適切に、
(iii)前記フレーミング回路のうちの少なくとも1つのものの状態を検出し、前記少なくとも1つのフレーミング回路が、前記送信元データ・ストリームの前記判断したデータ・フレーミング・プロトコルに対応し予期されるフレーム境界がないか前記送信元データ・ストリームをモニタし、
(iv) 前記予期されるフレーム境界が、前記送信元データ・ストリームの所定数の連続フレームに対して、前記モニタした送信元データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記送信元データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定める、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項10】
前記コントローラがさらに、前記データ・フレーマに提示されるユーザ選択可能な制御信号に応答して、前記データ・フレーマのデータ・フレーミング・プロトコルを変更するように構成されている、
請求項1に記載のデータ・フレーマ。
【請求項11】
送信元と送信先との間でデータを伝送する方法であって、
前記送信元から入力データ・ストリームを受信するステップと、
前記入力データ・ストリームに潜在する少なくとも2つのデータ・フレーミング・プロトコルから前記入力データ・ストリームに対応するデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に決定するステップと、
第1のモードのオペレーションにおいて、前記入力データ・ストリームに対応する前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに従ってデータを抽出するステップと、
第2のモードのオペレーションにおいて、前記入力データ・ストリームに対応する前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに従ってデータをフレーミングするステップと
を備えた
方法。
【請求項12】
さらに、
前記入力データ・ストリームの前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに対応する予期されるフレーム境界がないか前記入力データ・ストリームをモニタするステップと、
前記予期されるフレーム境界が、前記モニタした入力データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記入力データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定めるステップと
を備えた、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
前記入力データ・ストリームの前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに対応する予期されるフレーム境界がないか前記入力データ・ストリームをモニタするステップと、
前記予期されるフレーム境界が、前記入力データ・ストリームの所定数の連続フレームに対して、前記モニタした入力データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記入力データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定めるステップと
を備えた、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記データ・フレーミング・プロトコルのうちの第1のものがWAN型プロトコルであり、
前記データ・フレーミング・プロトコルのうちの第2のものがLAN型プロトコルである、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記データ・フレーミング・プロトコルのうちの第1のものがSONET/SDH型プロトコルであり、
前記データ・フレーミング・プロトコルのうちの第2のものがイーサネット(R)型プロトコルおよびファイバ・チャネル型プロトコルのうちの一方である、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
第1のモードのオペレーションにおいて、出力データ・ストリームに少なくとも1つの所定のビット遷移を選択的に挿入するステップと、
第2のモードのオペレーションにおいて、前記入力データ・ストリームから少なくとも1つの所定のビット遷移を選択的に除去するステップと
を備えた、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
送信元と送信先との間でデータを伝送する装置であって、前記装置は送信元データ・ストリームに潜在する少なくとも2つの異なるデータ・フレーミング・プロトコルをサポートすることができ、
適切に、
(i)前記送信元データ・ストリームを受信し、
(ii) 前記送信元データ・ストリームに対応するデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に決定し、
(iii)第1のモードのオペレーションにおいて、前記送信元データ・ストリームに対応する前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに従ってデータを抽出し、
(iv) 第2のモードのオペレーションにおいて、前記送信元データ・ストリームに対応する前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに従ってデータをフレーミングする
少なくとも1つのプロセッサを備えている
装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに適切に、
(v) 前記送信元データ・ストリームの前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに対応し予期されるフレーム境界がないか前記送信元データ・ストリームをモニタし、
(vi)前記予期されるフレーム境界が、前記モニタした送信元データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記送信元データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定める、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに適切に、
(v) 前記送信元データ・ストリームの前記決定したデータ・フレーミング・プロトコルに対応し予期されるフレーム境界がないか前記送信元データ・ストリームをモニタし、
(vi)前記予期されるフレーム境界が、前記送信元データ・ストリームの所定数の連続フレームに対して、前記モニタした送信元データ・ストリームに対応するフレーム境界と実質的に一致しない場合、前記送信元データ・ストリームに対応する新たなデータ・フレーミング・プロトコルを自動的に定める、
請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに適切に、
(v) 第1のモードのオペレーションにおいて、送信先データ・ストリームに少なくとも1つの所定のビット遷移を選択的に挿入し、
(vi)第2のモードのオペレーションにおいて、前記送信元データ・ストリームから少なくとも1つの所定のビット遷移を選択的に除去する、
請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2005−508106(P2005−508106A)
【公表日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−501107(P2003−501107)
【出願日】平成14年5月28日(2002.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2002/016952
【国際公開番号】WO2002/098035
【国際公開日】平成14年12月5日(2002.12.5)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】