説明

データ作成プログラム、データ作成装置、印刷装置及び印刷システム

【課題】印刷言語形式のデータから電子文書形式のデータに変換する場合に、印刷言語形式のデータのうち電子文書形式に対応しないデータが、電子文書形式のデータから失われることを防ぐことができ、電子文書形式に対応しないデータの利用を図ることができるデータ作成プログラム、データ作成装置、印刷装置及び印刷システムを提供する。
【解決手段】データ作成装置4は、印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段400と、その第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段401Aと、その第1のデータのうち、電子文書形式に対応しないデータを、第2のデータに付加する付加手段401Bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ作成プログラム、データ作成装置、印刷装置及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータやホストコンピュータ等の情報処理装置は、ネットワーク回線を介して接続された印刷装置に対して印刷装置が解釈できる印刷言語形式の印刷データを送信し、印刷装置は、情報処理装置から受信した印刷言語形式の印刷データをビットマップ形式の印刷データに変換して、このビットマップ形式の印刷データに基づいて印刷が行われる。
【0003】
また、このような印刷装置の中には、受信した印刷言語形式の印刷データをPDF(Portable Document Format)等の電子文書形式の電子文書データに変換する印刷装置が知られている。(例えば、下記特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−164224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、印刷言語形式のデータから電子文書形式のデータに変換する場合に、印刷言語形式のデータのうち電子文書形式に対応しないデータが、電子文書形式のデータから失われることを防ぐことができ、電子文書形式に対応しないデータの利用を図ることができるデータ作成プログラム、データ作成装置、印刷装置及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換ステップと、前記受付ステップにより受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加ステップと、をコンピュータに実行させるためのデータ作成プログラム。
【0007】
[2]前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記電子文書形式に変換し、当該変換したデータを、前記電子文書形式の第2のデータにおける表示対象となる領域に付加することを特徴とする前記[1]に記載のデータ作成プログラム。
【0008】
[3]前記電子文書形式は、PDF形式であり、前記付加ステップは、前記PDF形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記PDF形式に変換し、当該変換したデータを、前記PDF形式のしおり領域に付加する前記[2]に記載のデータ作成プログラム。
【0009】
[4]前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、データの種類に応じて、前記電子文書形式が有する複数のデータ領域のうちいずれかのデータ領域を選択して付加する前記[1]に記載のデータ作成プログラム。
【0010】
[5]前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記電子文書形式に変換し、当該変換したデータと、当該変換したデータの内容を説明する説明文とを、前記電子文書形式の第2のデータにおける表示対象となる領域に付加することを特徴とする前記[1]に記載のデータ作成プログラム。
【0011】
[6]印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、を備えたデータ作成装置。
【0012】
[7]印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータに基づいて印刷物を出力する印刷手段と、を備えた印刷装置。
【0013】
[8]印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータに基づいて印刷物を出力する第1の印刷手段と、前記変換手段により変換された前記第2のデータに基づいて印刷物を出力する第2の印刷手段とを備えた印刷システム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,6,7,8に係る発明によれば、印刷言語形式のデータから電子文書形式のデータに変換する場合に、印刷言語形式のデータのうち電子文書形式に対応しないデータが、電子文書形式のデータから失われることを防ぐことができ、電子文書形式に対応しないデータの利用を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、電子文書形式に対応しないデータを、電子文書データの表示領域に表示することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、電子文書形式に対応しないデータを、PDF形式の表示領域のしおり領域に表示可能な状態で残すことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、電子文書形式に対応しないデータを、データの種類に整理した状態で残すことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、電子文書形式に対応しないデータと、このデータの内容を説明する説明文とを、電子文書形式の表示領域に残すことができ、ユーザに分かりやすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図2】図2は、第1の端末装置、データ作成装置及び専用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、第2の端末装置の概略構成の一例を示すブロック図である。図3(b)は、共用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、帳票データ、印刷制御情報。印刷ジョブ及び文書データのデータ構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、変換先テーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、書式テーブルの一例を示す図である。
【図7】図7は、印刷ジョブの生成処理及び印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、文書データの作成処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、文書データ表示画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、文書データの表示処理及び印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11(a)は、出力データの送信処理の動作の一例を示すフローチャートである。図11(b)は、出力データに基づく印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図13】図13は、専用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態に係るデータ作成装置は、印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータを解析する解析手段と、前記解析手段により解析された前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、を備える。
【0021】
「印刷言語形式」とは、印刷に用いられるデータ形式であって、印刷手段で解釈可能なデータ形式である。この印刷言語形式は、例えば、ページ記述言語のPS(Post Script)や、プリントデータフォーマットのLCDS(Line Conditioned Date Steam)やIPDS(Intelligent Printer Data Stream)が挙げられ、印刷手段のメーカー各社によって、様々な種類の印刷言語が提案されている。なお、PDF文書形式等は、稀に印刷に用いられる形式としても利用されることがあるが、ここでは、表示に用いられる形式ではなく、印刷に用いられるデータ形式を、印刷言語形式と定義する。
【0022】
「電子文書形式」とは、表示に用いられる形式であって、表示画面に表示を行う表示手段が解釈可能なデータ形式である。電子文書形式は、例えば、PDF文書(Portable Document Format)、ワード文書(Microsoft Office Word )、エクセル文書(Microsoft Office Excel)が挙げられ、これらは、それぞれ、専用のアプリケーションによって解釈され、表示画面に表示されるものである。
【0023】
上記構成において、印刷言語形式に従って記述された第1のデータが受け付けられると、第1のデータのうち、電子文書データ形式に対応するデータである場合に、そのデータは、その電子文書データ形式に変換されて、第2のデータとして生成される一方、電子文書データ形式に対応しないデータである場合に、そのデータは、前記第2のデータに付加される。従って、電子文書データ形式に対応しないデータが電子文書データ形式に変換する際に第2のデータから失われることがないため、この電子文書データの、印刷、表示、保存等を行う場合に、第1のデータと第2のデータとの間でデータの可逆性が成立することになる。
【0024】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの概略構成の一例を示す全体図である。この印刷システム1Aは、帳票データ11を印刷する印刷指示を受け付けて、印刷ジョブ12を生成する第1の端末装置2Aと、印刷ジョブ12に基づく印刷処理を行う専用プリンタ3Aと、印刷ジョブ12を変換して文書データ13を作成するデータ作成装置4と、文書データ13の表示、編集及び印刷指示等を行う第2の端末装置2Bと、文書データ13に基づく印刷処理を行う共用プリンタ3Bと、第1及び第2の端末装置2A,2B、専用プリンタ3A、共用プリンタ3B及びデータ作成装置4を相互に接続するネットワーク5とから構成されている。
【0025】
ここで、印刷ジョブ12は、本発明の印刷言語形式のデータの一例として用いられており、文書データ13は、本発明の電子文書形式のデータの一例として用いられている。
【0026】
なお、図1に例示した印刷システム1Aは、第1及び第2の端末装置2A,2B、専用プリンタ3A、共用プリンタ3Bをそれぞれ1つ備えるが、複数備えていてもよい。
【0027】
(ネットワーク)
ネットワーク5は、有線通信(電気ケーブル、光ケーブル等)及び無線通信(電波、赤外線等)等によりデータの送受信を行うLAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット等の通信網である。
【0028】
(各装置の構成)
図2は、第1の端末装置、データ作成装置及び専用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
(第1の端末装置)
第1の端末装置2Aは、この第1の端末装置2Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部20と、各種のプログラムやデータ等を記憶する、例えば、ROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部21と、データ入力の操作を受け付ける、例えば、キーボード、マウス等により実現される入力部22と、各種の画面等を表示する、例えば、液晶ディスプレイ等により実現される表示部23と、ネットワーク5に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカード等により実現される通信部24とを備える。
【0030】
このような第1の端末装置2Aは、例えば、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機等の情報処理装置により構成されている。
【0031】
記憶部21には、帳票データ11の他に、帳票データ用アプリケーション210及びプリンタドライバ211等が記憶されている。帳票データ用アプリケーション210は、例えば、ワープロ、表計算、会計、販売管理及び生産管理等のアプリケーションである。この帳票データ11は、例えば、PDF形式のデータ、ワード文書形式のデータ、エクセル文書形式のデータ等、第1の端末装置2Aの表示部23に表示されるデータ形式が用いられている。
【0032】
制御部20は、帳票データ用アプリケーション210に従って動作することにより、帳票データ11を表示部23の表示画面に表示し、その表示画面上で入力部22により入力された内容に基づいて帳票データ11を更新する。
【0033】
また、制御部20は、プリンタドライバ211に従って動作することにより、帳票データ11に対する印刷指示を、印刷条件としての印刷制御情報とともに受け付けると、ジョブ管理情報を生成する。そして、制御部20は、それら帳票データ11、印刷制御情報及びジョブ管理情報に基づいて、帳票データ11をページ記述言語で記述した印刷ジョブ12として生成し、その印刷ジョブ12をデータ作成装置4に送信する。なお、印刷制御情報及びジョブ管理情報の詳細は後述する。
【0034】
(専用プリンタ)
専用プリンタ3Aは、この専用プリンタ3Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部30と、第1の端末装置2Aから送信された印刷ジョブ12を解析し、その解析結果を基に、例えば、ビットマップ等の画像データに展開(ラスタライズ)する展開処理部31Aと、画像データに基づく可視像を印刷用紙等の記録媒体に形成し、印刷制御情報に従って印刷物120を印刷出力する印刷部(第1の印刷手段)32と、ネットワーク5に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカード等により実現される通信部33とを備える。なお、専用プリンタ3Aは、本実施の形態の一例であり、共用のプリンタとして用いることもできる。
【0035】
例えば、印刷部32により印刷出力された印刷物120は、画像データに基づく可視像が印刷された印刷用紙122A〜122Cの間に、それらを3ヶ所の配布先に仕分けするためのレポート用紙121A〜121Cが挿入されている。すなわち、レポート用紙121Aとレポート用紙121Bとの間の印刷用紙122Aは、配布先Aに配布され、レポート用紙121Bとレポート用紙121Cとの間の印刷用紙122Bは、配布先Bに配布され、レポート用紙121Cの背面に位置する印刷用紙122Cは、配布先Cに配布される印刷物である。また、レポート用紙121A〜121C及び印刷用紙122A〜122Cは、配布先単位でそれぞれオフセット量が異なる状態でオフセット出力される。
【0036】
(データ作成装置)
データ作成装置4は、このデータ作成装置4の各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部40と、各種のプログラムやデータ等を記憶する、例えば、ROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部41と、ネットワーク5に接続されてデータの送受信を行う、例えば、ネットワークインタフェースカード等により実現される通信部42とを備える。
【0037】
このようなデータ作成装置4は、例えば、コンピュータ、サーバ、ワークステーション(WS)等により構成されている。
【0038】
記憶部41には、文書データ13の他に、データ作成プログラム410、変換先テーブル411及び書式テーブル412等が記憶されている。変換先テーブル411及び書式テーブル412の詳細は後述する。なお、データ作成プログラム410は、ハードディスクやCD−ROM等の情報記憶媒体によって提供することができ、また、インターネット等のデータ通信ネットワークを介して提供することもできる。
【0039】
制御部40は、データ作成プログラム410に従って動作することにより、受付手段400、データ作成手段401及び出力手段402等として機能する。受付手段400は、本発明の受付手段の一例として用いられている。
【0040】
受付手段400は、帳票データ11と印刷制御情報がページ記述言語に従ってレコードとして記述された印刷ジョブ12を専用プリンタ3Aから受け付ける。なお、受付手段400は、印刷ジョブ12を第1の端末装置2Aから受け付けるようにしてもよい。
【0041】
データ作成手段401は、印刷ジョブ12を解析し、印刷ジョブ12に含まれるレコードのうち、PDF形式に対応するレコードについては、PDF形式に変換する変換手段401Aと、PDF形式に対応しないレコードについては、変換先テーブル411及び書式テーブル412に基づいてページ記述言語形式のまま印刷ジョブ12に付加する付加手段401Bとにより構成され、変換手段401Aと付加手段401Bにより文書データ13が作成される。変換手段401Aは、本発明の変換手段の一例として用いられており、付加手段401Bは、本発明の付加手段の一例として用いられている。
【0042】
出力手段402は、文書データ13に対する印刷要求を受け付けると、文書データ13に基づいて出力データを生成し、その出力データを共用プリンタ3Bに送信する。印刷要求には、例えば、文書データ13を特定するファイル名等のデータ特定情報と、出力先のプリンタを示すプリンタ名等のプリンタ特定情報等が含まれている。なお、出力先のプリンタがPDF形式の文書を直接解釈可能なプリンタの場合には、出力データを作成せずに送信するように構成してもよい。
【0043】
(第2の端末装置)
図3(a)は、第2の端末装置の概略構成の一例を示すブロック図である。第2の端末装置2Bは、第1の端末装置2Aと同様に、情報処理装置により構成されており、制御部20、記憶部21、入力部22、表示部23及び通信部24を備える。記憶部21には、文書データ用アプリケーション212が記憶されている。
【0044】
制御部20は、文書データ用アプリケーション212に従って動作することにより、文書データ13を表示部23に表示する。この文書データ13を表示部23に表示することにより、ユーザによって、文書データ13が確認されることとなる。制御部20は、表示部23の表示画面上で入力部22により文書データ13に対する印刷指示を受け付けると、その文書データ13の印刷要求をデータ作成装置4に送信する。
【0045】
(共用プリンタ)
図3(b)は、共用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。共用プリンタ3Bは、専用プリンタ3Aと同様の制御部30、印刷部32(第2の印刷手段)及び通信部33の他に、データ作成装置4から送信された出力データを解析し、その解析結果を基に画像データに展開する展開処理部31Bとを備える。
【0046】
(データ構成)
図4は、帳票データ、印刷制御情報、印刷ジョブ及び文書データのデータ構成の一例を示す図である。
【0047】
(帳票データ)
帳票データ11は、第1の端末装置2Aの帳票データ用アプリケーション210により作成された印刷対象データである。帳票データ11は、例えば、文書、写真、図表等を含み、可変(バリアブル)印刷用のデータでもよい。
【0048】
印刷制御情報110は、帳票データ11を印刷する際の印刷条件を記録した情報である。印刷制御情報110は、帳票データ11に基づく印刷物120を、例えば、2つの配布先A,Bにそれぞれ配布する場合には、その配布先毎に印刷条件が指定された第1の印刷制御情報111Aと、第2の印刷制御情報111Bとからなる。第1及び第2の印刷制御情報111A,111Bは、電子文書形式には対応しないデータの一例として用いられている。
【0049】
第1及び第2の印刷制御情報111A,111Bの各々は、複数の印刷制御項目を有し、その印刷制御項目毎に項目値が指定されている。印刷制御項目としては、例えば、綴じ位置を指定する「綴じ代」、印刷時に使用する用紙トレイを指定する「用紙トレイ」、レポート用紙の印刷時に外部トレイの使用有無を指定する「外部トレイ使用」、両面印刷又は片面印刷を指定する「両面/片面プリント」、可視像が印刷された出力面を表又は裏のいずれかで出力するかを指定する「出力面方向」、丁合(製本)を行う否かを指定する「丁合」、コピー部数を指定する「コピー部数」、及び区切り単位で印刷物をオフセットするか否かを指定する「出力オフセット」等が挙がられる。
【0050】
また、第1及び第2の印刷制御情報111A,111Bの各々には、レポート用紙を挿入することを示す情報であって、例えば、配布先の配布先名等が指定された区切り情報が含まれている。
【0051】
ジョブ管理情報112は、帳票データ11に対する印刷指示が行われた際に生成される情報である。ジョブ管理情報112は、複数のジョブ管理項目を有し、そのジョブ管理項目毎に項目値がそれぞれ指定されている。ジョブ管理項目として、例えば、印刷ジョブを特定する、名称、番号及びそれらの組み合わせ等からなる「ジョブID」、及び印刷指示を行ったユーザを特定する「ユーザID」等が挙げられる。
【0052】
(印刷ジョブ)
印刷ジョブ12は、専用プリンタ3Aで解釈可能なページ記述言語で記述されている。印刷ジョブ12は、第1の端末装置2Aのプリンタドライバ211により、上述の帳票データ11、印刷制御情報110及びジョブ管理情報112に基づいて生成されたデータである。
【0053】
印刷ジョブ12には、帳票データ11に基づく印刷対象レコードP1〜P250と、第1の印刷制御情報111Aに基づく第1の区切りレコードL及び印刷制御レコードA1〜A8と、第2の印刷制御情報111Bに基づく第2の区切りレコードL及び印刷制御レコードB1〜B8と、ジョブ管理情報112に基づくジョブ管理レコードJ1,J2等が含まれている。
【0054】
印刷対象レコードP1〜P250は、帳票データ11の各ページに対応して記述されたレコードである。区切りレコードL,Lは、区切り情報を記述したレコードである。印刷制御レコードA1〜A8は、配布先Aに対する印刷制御項目毎の項目値を記述したレコードである。印刷制御レコードB1〜B8は、配布先Bに対する印刷制御項目毎の項目値を記述したレコードである。
【0055】
なお、図4の例では、第1の区切りレコード(L)123A、印刷制御レコード(A1〜A8)124A、印刷対象レコード(P1〜P100)125A、第2の区切りレコード(L)123B、印刷制御レコード(B1〜B8)124B、印刷対象レコード(P101〜P250)125B、ジョブレコード(J1,J2)126の順に記録されているが、レコードの記録順は、これに限られない。
【0056】
(文書データ)
文書データ13は、帳票データ11の表示内容を確認する、又は、帳票データ11を汎用性のある文書として保存する等を行うために生成される電子文書形式のデータである。また、文書データ13は、データ作成装置4のデータ作成手段401により作成されたデータであり、第2の端末装置2Bの文書データ用アプリケーション212により表示、編集及び印刷指示等が可能なデータである。なお、本実施の形態では、文書データ13は、PDF形式であるが、独自の形式でもよいし、これらに限られない。
【0057】
文書データ13は、印刷対象データ領域130と、印刷非対象データ領域131とを有する。印刷対象データ領域130は、表示画面上に表示される表示対象であって、可視像として印刷物120に印刷される印刷対象となるデータを記録するデータ領域である。印刷非対象データ領域131は、印刷対象ではないが表示対象となるデータを記録するデータ領域である。
【0058】
印刷対象データ領域130には、印刷対象レコードP1〜P250からPDF形式に変換された印刷対象データp1〜p250が記録される。
【0059】
印刷非対象データ領域131は、複数の領域に分割されており、しおり領域132、注釈領域133、コメント領域134及びマーク領域135等を有する。
【0060】
印刷非対象データ領域131には、区切りレコードL,L、印刷制御レコードA1〜A8,B1〜B8、及びジョブ管理レコードJ1,J2が、変換先テーブル411及び書式テーブル412に基づいてそれぞれ変換された区切り情報l,l、印刷制御情報a1〜a8,b1〜b8、及びジョブ管理情報j1、j2が記録される。
【0061】
印刷制御情報a1〜a8,b1〜b8は、配布先毎に区別可能な状態、すなわち、区切り情報に関連付けられて、印刷非対象データ領域131に記録される。また、ジョブ管理データj1、j2は、配布先毎に区別されることなく記録される。なお、印刷制御情報a1〜a8,b1〜b8、及びジョブ管理データj1、j2が記録されるデータ領域は、データ作成手段401により変換先テーブル411に基づいて選択される。また、印刷制御情報a1〜a8,b1〜b8、及びジョブ管理データj1、j2の書式は、書式テーブル412に従って記録される。
【0062】
(変換先テーブル)
図5は、変換先テーブルの一例を示す図である。データ作成装置4に記憶された変換先テーブル411は、印刷制御情報及びジョブ管理情報を文書データ13の印刷非対象データ領域131に記録する際に、印刷制御情報及びジョブ管理情報の項目の種類に応じて、しおり領域132、注釈領域133、コメント領域134及びマーク領域135のうちいずれのデータ領域に記録するかを指定するテーブルである。なお、印刷制御情報及びジョブ管理情報の項目の種類にかかわらず、予め定められた領域に固定的に記録するようにしてもよい。
【0063】
変換先テーブル411には、印刷制御情報及びジョブ管理情報の項目毎に、変換先のデータ領域が指定されている。図5の例では、「○」印が変換先のデータ領域を示す。また、変換先が指定されていない、すなわち、「○」印が付いていない項目は、デフォルトの項目に対応するデータ領域に記録される。例えば、項目「綴じ代」に対して「注釈」の欄に「○」印がついているため、データ作成手段401は、項目「綴じ代」に係る印刷制御情報を注釈領域133に記録すると決定する。
【0064】
(書式テーブル)
図6は、書式テーブルの一例を示す図である。データ作成装置4に記憶された書式テーブル412は、印刷制御情報及びジョブ管理情報を印刷非対象データ領域131に記録する際の書式を定義したテーブルである。
【0065】
書式テーブル412には、印刷制御情報及びジョブ管理情報の項目毎に、変換先のデータ領域に記録する際の書式と、その項目に対して取り得るパラメータを示す項目値とが定義されている。例えば、印刷制御項目「綴じ代」に対して項目値「短辺」と指定されていた場合には、データ作成手段401は、「BD=S」という文字列を生成し、その生成した文字列を変換先テーブル411により決定された注釈領域133に記録する。
【0066】
(第1の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る印刷システム1Aの動作の一例を図7〜図11を参照して説明する。
【0067】
(1)印刷ジョブの生成処理及び印刷処理
図7は、印刷ジョブの生成処理及び印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。第1の端末装置2Aの制御部20は、ユーザの操作に応じて帳票データ用アプリケーション210を起動し、例えば、帳票データ11に対する印刷制御情報を入力する入力画面を表示部23に表示する。そして、制御部20は、その入力画面上でユーザにより印刷制御情報が入力されることにより帳票データ11の印刷指示を受け付ける(S1)。
【0068】
次に、制御部20は、その印刷指示を受け付けると、プリンタドライバ211を起動して、その印刷指示を行ったユーザを示すユーザIDと新規発行したジョブID等からなるジョブ管理情報を生成する。そして、制御部20は、帳票データ11、印刷制御情報及びジョブ管理情報に基づいて印刷ジョブ12を生成する。そして、制御部20は、その生成した印刷ジョブ12を通信部24を介して専用プリンタ3Aに送信する(S2)。
【0069】
次に、専用プリンタ3Aの制御部30は、その印刷ジョブ12を通信部33を介して受信すると、展開処理部31A及び印刷部32によりその印刷ジョブ12に基づく印刷処理を行う(S10)。
【0070】
具体的には、展開処理部31Aは、印刷ジョブ12を解析し、印刷ジョブ12に含まれる印刷対象レコード、区切りレコード及び印刷制御レコードの内容を取得する。そして、展開処理部31Aは、その印刷対象レコードに対して展開処理を行い、例えば、ビットマップデータ等の画像データを生成する。そして、印刷部32は、印刷制御レコード及び区切りレコードから区切り情報及び印刷制御情報を取得し、その印刷制御情報及び区切り情報に従ってその画像データを印刷用紙等の記録媒体に印刷し、印刷物120を出力する。
【0071】
そして、制御部30は、受信した印刷ジョブ12を通信部33を介してデータ作成装置4に送信する(S11)。なお、制御部30は、印刷処理を行う前に印刷ジョブ12をデータ作成装置4に送信するようにしてもよい。また、第1の端末装置2Aが、専用プリンタ3A及びデータ作成装置4の双方に印刷ジョブ12を送信するようにしてもよい。
【0072】
(2)印刷ジョブから文書データへの生成処理
データ作成装置4の受付手段400は、専用プリンタ3Aから印刷ジョブ12を通信部42を介して受け付けると(図7:S20)、データ作成手段401は、その印刷ジョブ12から文書データ13を作成する文書データの作成処理を行う(S21)。以下に、ステップS21の詳細について図8を参照して説明する。上記ステップS20は、本発明の受付ステップの一例として用いられている。
【0073】
図8は、文書データの作成処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、データ作成手段401は、印刷ジョブ12に記録されている複数のレコードをレコード単位で処理すべく、例えば、レコードの記録順に1つのレコードを選択し、そのレコードを処理対象レコードとして読み込む(S100)。
【0074】
次に、データ作成手段401は、その処理対象レコードが区切りレコードであるか否かを判定する(S110)。
【0075】
データ作成手段401は、処理対象レコードが区切りレコードと判定した場合には(S110:Yes)、その区切りレコードの内容として区切り情報を取得し、その取得した区切り情報を印刷非対象データ領域131に記録する(S111)。
【0076】
そして、データ作成手段401は、その処理対象レコードが最終レコードであるか否かを判定する(S140)。データ作成手段401は、最終レコードでないと判定した場合には(S140:No)、上記ステップS100に戻り、現在の処理対象レコードの次に記録されたレコードを処理対象レコードとして読み込む(S100)。また、データ作成手段401は、最終レコードであると判定した場合には(S140:Yes)、文書データの作成処理を終了する。
【0077】
一方、上記ステップS110において、データ作成手段401は、区切りレコードでないと判定した場合には(S110:No)、その処理対象レコードが印刷制御レコードであるか否かを判定する(S120)。
【0078】
データ作成手段401は、処理対象レコードが印刷制御レコードであると判定した場合には(S120:Yes)、その印刷制御レコードの内容として印刷制御項目及び項目値からなる印刷制御情報を取得する。そして、データ作成手段401は、その取得した印刷制御情報の印刷制御項目に対する変換先を変換先テーブル411を参照して決定する(S121)。
【0079】
次に、データ作成手段401は、書式テーブル412において、その印刷制御項目に対応する書式を参照し、その書式に従ってその印刷制御項目及び項目値を記述した文字列を生成する。そして、付加手段401Bは、その生成した文字列を、上記ステップS111で取得した区切り情報に関連付けた状態で、上記ステップS121で変換先と決定したデータ領域に付加する(S122)。そして、データ作成手段401は、上記ステップS140の最終レコードの判定処理に進む。上記ステップS122は、本発明の付加ステップの一例として用いられている。
【0080】
一方、上記ステップS120において、データ作成手段401は、印刷制御レコードでないと判定した場合には(S120:No)、その処理対象レコードは、帳票データ11に基づく印刷対象レコードであることから、変換手段401Aは、その印刷対象レコードをPDF形式に変換し、その変換した印刷対象データを印刷対象データ領域130に記録する(S130)。上記ステップS130は、本発明の変換ステップの一例として用いられている。
【0081】
そして、データ作成手段401は、上記ステップS140の最終レコードの判定処理に進む。
【0082】
上記のようにして、データ作成手段401は、印刷ジョブ12に記録された全レコードを処理し、レコードの種類に応じて文書データ13の各データ領域にそのレコードを記録することにより文書データ13を作成し、その作成した文書データ13を記憶部41に記憶する。
【0083】
(3)文書データの表示処理
図10は、文書データの表示処理及び印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。第2の端末装置2Bの制御部20は、ユーザによる文書データ13の表示指示を受け付けると(S200)、文書データ用アプリケーション212を起動し、データ作成装置4に文書データ13の送信要求を送信する(S201)。そして、データ作成装置4の制御部40は、その送信要求を受信すると、その送信要求に応じて記憶部41に記憶されている文書データ13を送信する(S202)。
【0084】
次に、第2の端末装置2Bの制御部20は、その文書データ13を受信すると、その文書データ13に基づいて表示部23に文書データ表示画面を表示する(S203)。
【0085】
図9は、文書データ表示画面の一例を示す図である。この文書データ表示画面14には、表示指示がされた文書データの印刷対象データ領域130に記録されたデータを画面右側に表示する印刷対象テータ用のウィンドウ140と、印刷非対象データ領域131に記録されたデータを画面左側に表示する印刷非対象データ用のウィンドウ143とが設けられている。
【0086】
印刷対象テータ用のウィンドウ140には、その中央部に印刷対象テータに基づく文書140aが表示されている。また、文書140aの下部に、現在表示中の文書140aのページと総ページ数を示すページ欄141と、文書140aのページを前のページに変更する前ページボタン142Aと、文書140aのページを次にページに変更する次ページボタン142Bとが設けられている。
【0087】
印刷非対象データ用のウィンドウ143には、しおり領域132、注釈領域133、コメント領域134及びマーク領域135にそれぞれ対応したタブボタン144A〜144Dが設けられ、タブボタン144A〜144Dにより選択されたデータ領域に記録された印刷制御情報を表示するサブウィンドウ145が設けられている。なお、図9の例では、タブボタン144Aによりしおり領域が選択されている。
【0088】
サブウィンドウ145には、印刷制御情報が配布先単位でそれぞれ記述された説明文146A〜146Cが文字列として表示されている。説明文146A〜146Cの各々は、区切り情報の内容を説明する配布先147、及び区切りページ148と、印刷制御情報の内容を説明する出力面方向149A及びコピー部数149Bとからなる文字列である。
【0089】
例えば、説明文146Aは、配布先147の文字列「A支店」によりA支店を配布先とする用紙レポートが挿入されるとともに、区切りページ148の「P.1」によりその用紙レポートが文書140aの1ページ目の前に挿入されることを示す。また、説明文146Aは、A支店に配布する印刷物、すなわち、1ページから100ページまでの文書140aを印刷する際の印刷制御情報として、出力面方向149Aの文字列「FU=DN」により出力面方向(FU)が下(DN)であり、コピー部数149Bの文字列「CP=2」によりコピー部数(CP)が1部(1)であることを示す。
【0090】
(4)文書データの印刷処理
第2の端末装置2Bの制御部20は、その文書データ表示画面14上でユーザからその文書データ13に対する印刷指示を受け付けると(図10:S210)、その文書データ13の印刷要求をデータ作成装置4に送信する(S211)。
【0091】
次に、データ作成装置4の出力手段402は、その印刷要求を受信すると、その印刷要求のデータ特定情報により特定される文書データ13に基づいて出力データを生成し、その出力データをプリンタ特定情報により特定される共用プリンタ3Bに送信する(S212)。以下に、ステップS212の詳細を図11(a)を参照して説明する。
【0092】
図11(a)は、出力データの送信処理の動作の一例を示すフローチャートである。データ作成装置4の出力手段402は、出力データの送信先のプリンタ情報を取得する(S300)。プリンタ情報は、例えば、そのプリンタが解釈可能なヘッダを示すヘッダ種別情報や、そのプリンタが実行可能な印刷制御情報を示すプリンタ機能情報等である。
【0093】
次に、出力手段402は、そのプリンタ情報のヘッダ種別情報に基づいて、出力データに付与するヘッダの種別を決定する(S301)。
【0094】
次に、出力手段402は、その決定した種別に従って、変換先テーブル411及び書式テーブル412等を含むヘッダを生成し、そのヘッダと文書データ13とからなる出力データを生成する(S302)。そして、出力手段402は、その出力データを共用プリンタ3Bに送信する(S303)。
【0095】
そして、図10において、共用プリンタ3Bの制御部30は、その出力データを通信部33を介して受信すると、展開処理部31B及び印刷部32によりその出力データに基づく印刷処理を行う(図10:S213)。以下に、ステップS213の詳細を図11(b)を参照して説明する。
【0096】
図11(b)は、出力データに基づく印刷処理の動作の一例を示すフローチャートである。共用プリンタ3Bの制御部30が、出力データを受信すると(S400)、展開処理部31Bは、その出力データに含まれるヘッダを解析する(S401)。
【0097】
次に、展開処理部31Bは、ヘッダの解析結果として取得した変換先テーブル411及び書式テーブル412に基づき、その出力データに含まれる文書データ13の印刷非対象データ領域131から印刷制御情報及び区切り情報を取得する(S402)。
【0098】
次に、展開処理部31Aは、文書データ13の表示データ領域131に記録されたデータに対して展開処理を行い、画像データを生成する(S403)。
【0099】
そして、印刷部32は、その生成された画像データを印刷制御情報及び区切り情報に従って記録媒体に印刷し、印刷物120を出力する(S404)。
【0100】
以上のようにして、データ作成装置4により印刷ジョブ12から文書データ13が作成され、その文書データ13は、第2の端末装置2Bにより表示出力される。また、文書データ13に対する印刷指示がされると、共用プリンタ3Bにより文書データ13に含まれる印刷制御情報に従って印刷処理が行われる。このため、専用プリンタ3Aによる印刷物と同様の印刷物が、共用プリンタ3Bにより出力される。
【0101】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態に係る印刷システム1Aでは、データ作成装置4により印刷ジョブから文書データ13が作成された。これに対し、本実施の形態に係る印刷システム1Bでは、専用プリンタ3Aが、データ作成装置4に備えられたデータ作成機能を有し、印刷ジョブを変換して文書データ13を作成する。
【0102】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムの概略構成の一例を示す全体図である。この印刷システム1Bは、第1の実施の形態と同様の第1及び第2の端末装置2A,2B、共用プリンタ3B、ネットワーク5の他に、印刷ジョブに基づく印刷処理を行うとともに、文書データ13を作成する専用プリンタ3Aとから構成されている。
【0103】
(専用プリンタ)
図13は、専用プリンタの概略構成の一例を示すブロック図である。この専用プリンタ3Aは、第1の実施の形態と同様の制御部30、展開処理部31A、印刷部32及び通信部33の他に、各種のプログラムやデータ等を記憶する、例えば、ROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部34を備える。
【0104】
記憶部34には、文書データ13の他に、データ作成プログラム340、変換先テーブル341及び書式テーブル342等が記憶されている。なお、データ作成プログラム340、変換先テーブル341及び書式テーブル342は、第1の実施の形態に係るデータ作成プログラム410、変換先テーブル411及び書式テーブル412にそれぞれ相当するため、詳細な説明を省略する。なお、データ作成プログラム340は、ハードディスクやCD−ROM等の情報記憶媒体によって提供することができ、また、インターネット等のデータ通信ネットワークを介して提供することもできる。
【0105】
制御部30は、データ作成プログラム340に従って動作することにより、受付手段300、変換手段301Aと付加手段301Bにより構成されたデータ作成手段301及び出力手段302等として機能する。なお、各手段300〜302は、第1の実施の形態に係る受付手段400、データ作成手段401及び出力手段402にそれぞれ相当するため、詳細な説明を省略する。
【0106】
(第2の実施の形態の動作)
上記構成において、専用プリンタ3Aの受付手段300は、第1の端末装置2Aから印刷ジョブを受け付けると、データ作成手段301を構成する変換手段301A及び付加手段301Bは、図8のフローチャートに従って、その印刷ジョブに基づく文書データの作成処理を行い、印刷ジョブを変換して文書データ13を作成する。制御部30は、その作成した文書データ13を記憶部34に記憶する。また、展開処理部31A及び印刷部32は、その印刷ジョブに基づく印刷処理を行い、印刷物120を出力する。
【0107】
その後、第2の端末装置2Bは、専用プリンタ3Aに記憶された文書データ13に対する表示指示を受け付けた場合には、表示処理を行い、図9と同様の文書データ表示画面を表示する。
【0108】
また、第2の端末装置2Bは、文書データ13に対する印刷指示を受け付けた場合には、印刷要求を専用プリンタ3Aに送信し、専用プリンタ3Aの出力手段302は、共用プリンタ3Bに出力データを送信する。そして、共用プリンタ3Bの展開処理部31A及び印刷部32は、その出力データに基づく印刷処理を行い、専用プリンタ3Aと同様の印刷物120を出力する。なお、印刷要求を受け付けた専用プリンタ3Aは、出力データを送信することなく、自己の印刷部32で印刷処理を行うようにしてもよい。
【0109】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、上記各実施の形態では、受付手段、データ作成手段及び出力手段を、制御部とデータ作成プログラムによって実現したが、それらの一部または全部を特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific IC)等のハードウェアによって実現してもよい。
【0110】
また、上記各実施の形態で使用されるプログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでもよく、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。
【0111】
また、上記各実施の形態における印刷システムは、各装置が有する機能やデータ等を印刷システム全体として備えていればよく、例えば、変換先テーブル及び書式テーブル等のデータが別の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0112】
また、上記各実施の形態において、データ作成装置及び専用プリンタのデータ作成手段により作成された文書データは、自己の記憶部に記憶されたが、例えば、別の記憶装置に記憶されてもよいし、電子メールに添付されて第1及び第2の端末装置に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1A,1B…印刷システム、2A,2B…端末装置、3A…専用プリンタ、3B…共用プリンタ、4…データ作成装置、5…ネットワーク、11…帳票データ、12…印刷ジョブ、13…文書データ、14…文書データ表示画面、20…制御部、21…記憶部、22…入力部、23…表示部、24…通信部、30…制御部、31…記憶部、31A,31B…展開処理部、32…印刷部、33…通信部、34…記憶部、40…制御部、41…記憶部、42…通信部、110…印刷制御情報、111A,111B…印刷制御情報、112…ジョブ管理情報、120…印刷物、121A〜121C…レポート用紙、122A〜122C…印刷用紙、123A,123B…区切りレコード、124A,124B…印刷制御レコード、125A,125B…印刷対象レコード、126…ジョブレコード、130…印刷対象データ領域、131…印刷非対象データ領域、131…表示データ領域、132…しおり領域、133…注釈領域、134…コメント領域、135…マーク領域、140…ウィンドウ、140a…文書、141…ページ欄、142A…前ページボタン、142B…次ページボタン、143…ウィンドウ、144A〜144D…タブボタン、145…サブウィンドウ、146A〜146C…説明文、147…配布先、148…区切りページ、149A…出力面方向、149B…コピー部数、210…帳票データ用アプリケーション、211…プリンタドライバ、212…文書データ用アプリケーション、300…受付手段、301…データ作成手段、301A…変換手段、301B…付加手段、302…出力手段、340…データ作成プログラム、341…変換先テーブル、342…書式テーブル、400…受付手段、401…データ作成手段、401A…変換手段、401B…付加手段、402…出力手段、410…データ作成プログラム、411…変換先テーブル、412…書式テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加ステップと、
をコンピュータに実行させるためのデータ作成プログラム。
【請求項2】
前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記電子文書形式に変換し、当該変換したデータを、前記電子文書形式の第2のデータにおける表示対象となる領域に付加することを特徴とする請求項1に記載のデータ作成プログラム。
【請求項3】
前記電子文書形式は、PDF形式であり、
前記付加ステップは、前記PDF形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記PDF形式に変換し、当該変換したデータを、前記PDF形式のしおり領域に付加する請求項2に記載のデータ作成プログラム。
【請求項4】
前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、データの種類に応じて、前記電子文書形式が有する複数のデータ領域のうちいずれかのデータ領域を選択して付加する請求項1に記載のデータ作成プログラム。
【請求項5】
前記付加ステップは、前記電子文書形式に対応しないデータを、当該データの内容を示すデータとして前記電子文書形式に変換し、当該変換したデータと、当該変換したデータの内容を説明する説明文とを、前記電子文書形式の第2のデータにおける表示対象となる領域に付加することを特徴とする請求項1に記載のデータ作成プログラム。
【請求項6】
印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、
を備えたデータ作成装置。
【請求項7】
印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータに基づいて印刷物を出力する印刷手段と、
を備えた印刷装置。
【請求項8】
印刷に用いられる形式の印刷言語形式で記述された第1のデータを受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、表示に用いられる形式の電子文書形式に対応するデータを、前記電子文書形式で記述された第2のデータとして変換する変換する変換手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータのうち、前記電子文書形式に対応しないデータを、前記第2のデータに付加する付加手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1のデータに基づいて印刷物を出力する第1の印刷手段と、
前記変換手段により変換された前記第2のデータに基づいて印刷物を出力する第2の印刷手段と、
を備えた印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−176614(P2010−176614A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21383(P2009−21383)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】