説明

データ作成装置、及びデータ作成方法

【課題】従来、GPS装置などの位置を特定する方法を持たない装置においては、映像を撮影した地点の位置情報を推定することができなかった。あるいは、その位置に関連した情報をインターネットなどから取得し、利用することができなかった。
【解決手段】同じ位置で撮影した他の映像情報のGPS情報を併用することで、GPS装置を持たない装置でも位置情報を推定することを可能とし、かつ同一位置で撮影した映像情報が存在しない場合でも、任意のデータベースを併用することにより、GPS情報を持たない装置で撮影した位置情報を推定可能とする。更に、位置の推定のために接続するインターネットを介して、映像情報に関連した情報を取得して編集などに利用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS装置などの位置を特定する方法を持たない装置において、位置情報を推定し、データを作成する方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の方法としては、例えば特許文献1に記載されているようなものがあった。携帯電話機103〜104は、GPS機能を備えていても、備えていなくともよい。店舗などの特定の位置107の携帯端末106は、GPS機能で取得した自己位置の位置情報や位置精度情報を保持している。また、携帯電話機103〜105や携帯端末106は、互いに位置情報を近距離無線通信する機能を備えている。いま、携帯電話機103や携帯端末106が携帯電話機105と近距離無線通信可能な範囲内にある状態で、携帯電話機105から近距離無線通信で位置情報要求信号を送信すると、これを受信した携帯電話機103や携帯端末106がその自己位置の位置情報や位置精度情報を送信し、携帯電話機105はこれらを受信して自己位置とその位置精度を算出し、自己位置を推定する。
【特許文献1】特開2005−223436号公報(第21頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来例では、GPS精度の向上や補完を目的として他機器との近距離無線通信などを利用しているため、その機器が近距離無線通信機能を保持することを必須条件として位置情報を推定はできた。しかしながら前記従来の構成では、実時間で現在の位置情報を入手することはできるが、後日別の場所で行われる映像の編集時には位置情報を取得できないという課題があった。
【0004】
また、近距離通信可能な範囲にGPS装置を備えて通信可能な端末などが存在しない場合には位置情報を取得することができないなどの課題があった。
【0005】
更に、撮影を失敗した場合や撮影をし忘れたような場合にはその場所の映像を提供する手段がないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、GPS装置を持つ他の機器で撮影された映像情報と、その映像情報の撮影位置近傍で撮影された可能性のあるインターネット上の映像を利用する。その結果、GPS情報を持たない装置で撮影された映像情報でも、編集作業などの後処理時に位置情報の推定を可能とする方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の課題を解決するため、本発明のデータ作成装置は、第1のメディアに記録されているデータの記録日時情報を抽出する記録日時抽出手段と、第2のメディアに記録されているデータの記録日時情報と位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、記録日時抽出手段で抽出された日時情報と、位置情報抽出手段で抽出された日時情報と位置情報とから、第1のメディアに記録されているデータの位置情報を推定する位置算出手段と、データベースにアクセスするアクセス手段と、アクセス手段を介して、データベースから、位置算出手段で推定された位置情報の近傍で記録されたデータを検索する記録データ検索手段と、位置算出手段で推定された位置情報を基に、第1または第2のメディアの所定の記録位置に、記録データ検索手段で検索されたデータを保存する保存手段と、記録データ検索手段で検索されたデータの位置情報を基に位置算出手段で推定された位置情報を補正する補正手段とを備える。
【0008】
さらに、従来の課題を解決するため、本発明のデータ作成方法は、第1のメディアに記録されているデータの記録日時情報を抽出する記録日時抽出ステップと、第2のメディアに記録されているデータの記録日時情報と位置情報を抽出する位置情報抽出ステップと、記録日時抽出ステップで抽出された日時情報と、位置情報抽出ステップで抽出された日時情報と位置情報とから、第1のメディアに記録されているデータの位置情報を推定する位置算出・推定ステップと、データベースから、位置算出・推定ステップで推定された位置情報の近傍で記録されたデータを検索する記録データ検索・補正ステップと、位置算出・推定ステップで推定された位置情報を基に、第1または第2のメディアの所定の記録位置に、記録データ検索・補正ステップで検索されたデータを保存する保存ステップとを有する。
【発明の効果】
【0009】
GPS装置を持たない機器での撮影位置情報を推定することが可能となり、かつその地点でユーザが撮影していない情報を同時に取得して利用できるようになる。
【0010】
位置算出手段を設け、GPS情報を持たない装置の撮影位置を推定する手段として、その映像情報を撮影した時刻と近傍の時刻にGPS装置を持つ他の機器で撮影された映像情報とその位置情報を利用することで撮影位置情報を推定する。あるいは撮影位置を特定したい映像情報を撮影した時刻近傍の時間に、他の機器で撮影された映像情報がない場合、その時刻前後の時間にGPS装置を持つ他の機器で撮影された映像情報とその位置情報を利用して特定したい映像情報の位置を推定する。
【0011】
また、位置情報抽出手段を設け、必要に応じてその位置情報の推定精度を向上するために推定に利用した位置情報近傍のインターネット上の情報を利用することで撮影位置情報を補正する。更にインターネット上の情報へのアクセスは、位置情報の補正をするのみではなく、映像情報として撮影し忘れた情報の取得機会をも提供し、ユーザが撮影した映像情報とそれを補完するインターネット上の情報を組み合わせた新たな映像編集が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるデータ分類方法のブロック図である。図1において、図7と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。記録日時抽出手段1において、GPS装置を持たない第1の機器によって第1のメディアに記録された情報、例えばムービーで撮影した映像データ10から、例えば記録を開始した時刻T1である2008年1月1日 7時00分00秒といった記録日時情報30を取得する。
【0014】
位置情報抽出手段2において、GPS装置を持つ第2の機器によって第2のメディアに記録された情報、例えばGPS機能付き携帯電話のデジタルカメラ機能によって撮影された複数のJPEG形式の静止画ファイルからなる映像データ20などから、その映像データの撮影時刻情報31と共に、例えばGPS装置によって取得された航法データから算出された撮影位置情報40を取得し、それを組にした参照位置情報45として出力する。例えば、撮影位置情報40は撮影位置の緯度と経度を百分率表記した(35.655646, 139.756749)として算出されて出力される。
【0015】
位置算出手段3では、記録日時抽出手段からの記録日時情報30の時刻と、位置情報抽出手段から入力される複数の撮影時刻情報31の比較照合を行い、記録日時情報と一致する撮影時刻情報が存在した場合には、その撮影時刻情報を含む参照位置情報45から撮影位置情報40を取得して特定位置情報50として出力する。
【0016】
図2の平面へのマッピング例1を併用して説明すると、例えば位置情報抽出手段2からは、以下の3つの参照位置情報45が出力される。撮影時刻情報31としてT2(n−2)=2008年1月1日 6時00分00秒、撮影位置情報40としてP2(n−2)=(緯度、経度)=(35.655646, 139.756749)と、撮影時刻情報 T2(n−1)=2008年1月1日 7時00分00秒、撮影位置情報 P2(n−1)=(35.657057, 139.748379)と、撮影時刻情報 T2(n+1)=2008年1月1日 8時00分00秒、撮影位置情報 P2(n+1)=(35.660051, 139.735451)であう。この3つの参照位置情報45が存在する状態で、記録日時抽出手段1から時刻T1である2008年1月1日 7時00分00秒という記録日時情報30が入力された場合、位置算出手段では、3つの撮影時刻情報との照合により、T2(n−1)=2008年1月1日 7時00分00秒が一致するため、その参照位置情報での撮影位置情報 P2(n−1)=(35.657057, 139.748379)を特定位置情報50として出力する。
【0017】
記録データ検索手段4において、特定位置情報50を利用してインターネット接続で接続されたデータベースを参照し、その特定位置情報に関連する情報を検索・取得し、検索データ60と共に出力する。例えば(緯度、経度)=(35.657057, 139.748379)という特定位置情報を利用して、その座標の地名である「増上寺」という文字列情報を検索データとして取得する。この場合には補正位置情報は不要なため生成されない。
【0018】
保存手段では、検索データ60及び特定位置情報50あるいは補正位置情報70をメディアのデータ10と関連付けて保存する。例えば第1のメディアに記録されたムービーで撮影された映像データ10は「増上寺」で撮影された映像と類推され、「増上寺」という文字列情報、(緯度、経度)=(35.657057, 139.748379)という特定位置情報50に関連づけられて例えばPCのHDD内に分類されて保存される。
【0019】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるデータ分類方法のブロック図である。図3において、図1と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。位置算出・推定手段6では、記録日時抽出手段からの記録日時情報30の時刻と、位置情報抽出手段から入力される複数の撮影時刻情報31の比較照合を行い、もし記録日時情報と一致する撮影時刻情報が存在しない場合には、記録日時情報の時刻と最も近い前後2つの時刻である撮影時刻情報31を持つ参照位置情報45から2つの撮影位置情報を取得し、時刻の差を考慮した加重平均により撮影位置情報を推定して推定位置情報51として出力する。
【0020】
次に一致する撮影時刻情報が存在しない場合の推定位置情報の推定方法について、図4のマッピング例2を併用して説明する。例えば、位置情報抽出手段からの参照位置情報はマッピング例1と同じで、記録日時抽出手段からの時刻T1(n)が2008年1月1日 7時45分00秒である場合、T1(n)はT2(n+1)、T2(n−1)、T2(n−2)のいずれとも一致しない。また時刻が新しいほど大きい時刻とすると、T2(n+1) > T1(n) > T2(n−1)となるため、特定したい位置P1(n)はP2(n+1)とP2(n−1)の間にある可能性が高いと考える。P1(n)を特定するために例えば下記式の加重平均により仮の推定位置 P1(n)を定める
【0021】
【数1】

【0022】
この推定位置P1(n)及び、特定位置情報の候補領域となる半径rの値を推定位置情報51として出力する。この時半径rの決め方としては、固定値を利用したり、単位時間当たりの位置の移動量に比例させたり、|T2(n+1)−T2(n−1)|に比例させたりする方法が考えられるが、いづれの方法を利用してもその効果は変わらない。
例えば本例の場合P1(n)=(35.658625, 139.745415)、半径r=1Kmと算出されたとして以下説明を行う。
【0023】
記録データ検索・補正手段6において、推定位置情報51を利用してインターネット接続で接続されたデータベースを参照し、位置情報の補正が必要と判定した場合には補正位置情報70を加えてその特定位置情報に関連する情報を検索・取得し、検索データ60と共に出力する。
【0024】
推定位置情報が入力された場合に、記録データ検索・補正手段で補正位置情報を算出する一例について、図5を併用して説明する。入力された推定位置情報の推定位置P1(n)及び半径rから機器1が時刻T1(n)に存在していた可能性の高い候補領域が求められる。図5の場合(緯度、経度)=(35.658625, 139.745415)、半径r=1Kmの円内が候補領域となる。ここでInternet上のデータベースに接続をして、この円内になる、映像や音声、静止画やテキスト、地図情報などを検索して特定の座標位置に関連付けされたデータの多い位置を検索して探す。これは旅行などの場合には特定の観光スポットなどに関連した情報が集中する傾向を利用するための方法であり、他の利用シーンにおいてはInternetを利用した他の類推方法を利用しても同等の効果が得られる。図5の場合座標(35.658625, 139.745415)に検索データが集中して見つかったため、この座標位置をP1(n)‘とし、補正位置情報70とする。そしてこの座標の地名である「東京タワー」という文字列を検索データ60として出力する。
【0025】
(実施の形態3)
実施の形態3は実施の形態2において検索データとして保存するデータの種類を追加したものであり、その一例について図3及び5を利用して以下に記述する。
【0026】
記録データ検索・補正手段7で推定位置情報51に関連した検索データ60をインターネット上のデータベースから検索をする。その際、推定位置情報を補正して補正位置情報70を作成するために取得する検索データ60としては、例えば、座標情報や地名情報、文字情報、音声情報、あるいは静止画情報や動画などの映像情報が得られる。これらの情報の内、その地の歴史などを説明した文字情報や、その地に因んだ音楽、あるいはその地で他者が作成してアップロードした静止画や動画なども検索データ60として補正位置情報と共に保存する。
【0027】
この様にインターネット上にアップロードされた様々な情報やデータを利用できるため、第1のメディアや第2のメディアデータとして撮影できなかった位置や、撮影できなかったアングルや方向の撮影データあるいは、記録年月や季節の違う撮影データも取得が可能となり、撮影編集時に従来ではできなかった映像データの補完をすることも可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、GPS装置などの位置を特定する方法を持たない装置において記録された元情報に対して、インターネットに接続することでその記録位置情報を推定し、付加することができると共に、その記録位置の近傍で他の手段によって記録された従来の方法では入手し得なかった類似のデータを、元情報の補完情報として利用することができるので、音声、静止画、動画及び文章化された文字などの加工、編集、整理をするソフトウェアや装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1のブロック図
【図2】実施の形態1の平面へのマッピング例を表した図
【図3】実施の形態2のブロック図
【図4】実施の形態2の平面へのマッピング例を表した図
【図5】実施の形態2の位置情報の補正例を表した図
【符号の説明】
【0030】
1 記録日時抽出手段
2 位置情報抽出手段
3 位置算出手段
4 記録データ検索手段
5 保存手段
6 位置算出・推定手段
7 記録データ検索・補正手段
10 第1のメディアのデータ
20 第2のメディアのデータ
30 記録日時情報
31 撮影時刻情報
40 参照位置情報
45 参照位置情報
50 特定位置情報
51 推定位置情報
60 検索データ
70 補正位置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメディアに記録されているデータの記録日時情報を抽出する記録日時抽出手段と、
第2のメディアに記録されているデータの記録日時情報と位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記記録日時抽出手段で抽出された日時情報と、前記位置情報抽出手段で抽出された日時情報と位置情報とから、第1のメディアに記録されているデータの位置情報を推定する位置算出手段と、
データベースにアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段を介して、データベースから、前記位置算出手段で推定された位置情報の近傍で記録されたデータを検索する記録データ検索手段と、
前記位置算出手段で推定された位置情報を基に、第1または第2のメディアの所定の記録位置に、記録データ検索手段で検索されたデータを保存する保存手段を備えることを特徴とするデータ作成装置。
【請求項2】
前記記録データ検索手段で検索されたデータの位置情報を基に前記位置算出手段で推定された位置情報を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のデータ作成装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記記録データ検索手段で検索されたデータの位置情報を基に、第1または第2のメディアの所定の記録位置に、前記補正手段で補正された位置情報に関連するデータを保存することを特徴とする、請求項2に記載のデータ作成装置。
【請求項4】
第1のメディアに記録されているデータの記録日時情報を抽出する記録日時抽出ステップと、
第2のメディアに記録されているデータの記録日時情報と位置情報を抽出する位置情報抽出ステップと、
前記記録日時抽出ステップで抽出された日時情報と、前記位置情報抽出ステップで抽出された日時情報と位置情報とから、第1のメディアに記録されているデータの位置情報を推定する位置算出・推定ステップと、
データベースから、前記位置算出・推定ステップで推定された位置情報の近傍で記録されたデータを検索する記録データ検索・補正ステップと、
前記位置算出・推定ステップで推定された位置情報を基に、第1または第2のメディアの所定の記録位置に、前記記録データ検索・補正ステップで検索されたデータを保存する保存ステップとを有することを特徴とするデータ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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