説明

データ再生装置,データ再生方法およびそのプログラム

【課題】MPEG2−TS形式のような一部のパケットにのみ時刻情報が付加されているAVデータであっても,映像の伝送時間を維持して違和感のない映像を再生する。
【解決手段】本発明によるデータ再生装置は,AVデータを読み取るデータ読み取り部206と,上記読み取られたAVデータのパケットが,時刻情報が付加された時刻情報パケットであった場合,その時刻情報に基づいて上記時刻情報パケットを出力し,上記読み取られたAVデータのパケットが,上記時刻情報パケット以外の通常パケットであった場合,上記時刻情報パケットから所定時間間隔で上記通常パケットを出力するタイミング制御部208と,上記出力された時刻情報パケットおよび通常パケットを外部に中継するインターフェース部214と,を備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,データ再生装置,データ再生方法およびそのプログラムにかかり,例えば,AVデータのパケットを再生するデータ再生装置,データ再生方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像や音声のAV(Audio and Visual)信号をデジタル化し,デジタル圧縮技術を用いて映像のデータ量を削減するデジタル映像圧縮技術が,AV信号の放送や記憶媒体への蓄積に広く使われている。かかるデジタル映像圧縮技術を用いた例としては,BS(Broadcast Satellite)デジタル放送や地上デジタル放送,また,所謂DVD(Digital Versatile Disc)を用いた映像ソフトといったものがある。
【0003】
上記デジタル映像圧縮技術の代表的な例としてMPEG−2(Motion Picture Experts Group−2)方式がある。ここで,MPEGとは,Motion Picture Experts Groupによって標準化されたデータ圧縮方式の総称である。また,デジタル放送では,圧縮したデジタルデータの伝送方法としてMPEG2−TS(Transport Stream)形式が用いられている。
【0004】
MPEG2−TS形式では,圧縮した映像や音声のデータを,例えば,188バイトのパケットと呼ばれる単位に分割し,そのパケット(TSパケット)単位でデータの伝送を行っている。このようにデータをパケット化することで,複数のチャンネルのデータを多重化して伝送することが容易となる。
【0005】
上記MPEG2−TS形式の放送を記録し,また再生するデータ再生装置が実用化されている。例えば,AV信号として入力された188バイトのパケットを,NULLパケットデータを用いてパディングしつつ記憶媒体に記憶し,MPEGデータの境界とディスクのセクタ境界とを一致させ,ファイルシステム上でも映像の進行を認識することが可能な記憶装置が開示されている(例えば,特許文献1)。かかる技術では,再生時に複雑なディスクアクセスをすることなしにパケットを読み出し,再生処理を行っている。
【0006】
このように,AVデータを分割した188バイトのパケットをファイルに対して単純に連続して記憶することは,デジタル放送の受信機能を有したPC(Personal Computer)などでも広く用いられている。
【0007】
また,所謂AV機器では,MPEG2−TS形式の全パケットに,各パケットの伝送時刻を示すタイムスタンプを付加して記憶し,再生時には,このタイムスタンプを利用してパケットの出力タイミングを制御し,入力時と同じパケット間隔でパケットを出力する技術が知られている(例えば,特許文献2)。このような技術によって,AV機器内部のパケット伝送の早着ないし遅延により,内部バッファの溢れおよび枯渇が生じたり,ストリーム内の時刻情報がずれたりすることを防止することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2005−25919号公報
【特許文献2】特許3119116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし,NULLパケットを挿入し,MPEGデータの境界とディスクのセクタ境界とを一致させるように記憶するPCと,全パケットの伝送時刻を示すタイムスタンプを付加して記憶する上記AV機器のようなデータ再生装置とでは,その記憶形態によって以下の問題が生じる。
【0010】
即ち,データ再生装置では,全パケットのデータにタイムスタンプを付加できるのに対して,PCでは,ハードウェアの制限からタイムスタンプを付加することも管理することもできないので,データ再生装置とPCとではファイル形式が異なることとなり,データの互換性が無くなる。これは,PCとデータ再生装置とを接続し,データ再生装置をPCの周辺機器として利用する場合に特に問題となる。
【0011】
また,PCで記憶したファイルには,出力時刻に関する情報が全パケットに付加されていないので,パケットの出力間隔を正確に把握または制御することが出来ない。従って,PCから外部にはパケットを正確なタイミングで出力することができず,PCからデータ再生装置へのデータ伝送は困難である。MPEG2−TSパケット中には,様々な時刻情報が含まれているが,パケットの伝送時刻が一旦ずれると時刻情報が意味をなさなくなるので,PCからデータ再生装置にデータを伝送する場合にもデコード処理する必要がある。
【0012】
本発明は,従来における上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,全てのパケットに時刻情報が付加されていなくとも,映像の伝送時間を維持して違和感のない映像を再生することが可能な,新規かつ改良されたデータ再生装置,データ再生方法およびそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,AVデータを読み取るデータ読み取り部と;上記読み取られたAVデータのパケットが,時刻情報が付加された時刻情報パケットであった場合,その時刻情報に基づいて上記時刻情報パケットを出力し,上記読み取られたAVデータのパケットが,上記時刻情報パケット以外の通常パケットであった場合,上記時刻情報パケットから所定時間間隔で上記通常パケットを出力するタイミング制御部と;上記出力された時刻情報パケットおよび通常パケットを外部に中継するインターフェース部と;を備えることを特徴とする,データ再生装置が提供される。
【0014】
上記データ再生装置は,デジタル圧縮技術によりデータ圧縮された映像および音声データをパケット化したAVデータを再生する。このAVデータには時刻情報パケットと通常パケットが混在している。上記タイミング制御部は,まず,時刻情報パケットを検知し,その時刻情報に基づいて特定の時刻に当該時刻情報パケットを出力する。また,タイミング制御部は,その時刻情報パケットの間に含まれる通常パケットを時刻情報パケットの出力タイミングを基準に所定時間間隔をおいて順次出力する。かかる構成により,映像の伝送時間を維持して,違和感のない再生映像を得ることができる。
【0015】
上記AVデータは,記憶媒体上に予め記憶されたデータであり,上記記憶媒体のAVデータの連続する2つの時刻情報パケットにおける時刻情報の時刻差,および,上記2つの時刻情報パケット間における通常パケットの数から,上記所定時間間隔を演算する間隔演算部をさらに備えるとしても良い。
【0016】
記憶媒体には予めデータが書き込まれているため,当該データ再生装置においては,一度にもしくは短時間でデータの内容を参照することができる。従って,上記間隔演算部は,実際のAVデータの出力を伴わなくとも,記憶媒体から時刻差および通常パケット数を読み取ることが可能となり,事前に,もしくはデータ伝送経路とは独立して,所定時間間隔もしくはパケットの出力レートを算出できる。かかる演算は,時刻差を通常パケット数+1で除算した結果であっても良い。
【0017】
上記読み取られたAVデータのパケットを一旦保持するデータバッファと;上記データバッファに保持されたAVデータの連続する2つの時刻情報パケットにおける時刻情報の時刻差,および,上記2つの時刻情報パケット間における通常パケットの数から,上記所定時間間隔を演算する間隔演算部をさらに備えるとしても良い。
【0018】
上記データバッファは,少なくとも連続する2つの時刻情報パケットを含むAVデータの一部を一旦保持する。上記間隔演算部は,このデータバッファに保持されている少なくとも2つの時刻情報パケットとその間にある通常パケットを,一度にもしくは短時間に参照することができる。従って,上記間隔演算部は,時刻差および通常パケット数から簡単に所定時間間隔もしくはパケットの出力レートを算出できる。
【0019】
上記間隔演算部は,上記時刻差や通常パケット数の変化に応じて上記所定時間間隔を随時更新するとしても良い。かかる構成により,AVデータの時刻差や通常パケット数が不規則に並べられていたとしても均一した出力間隔を維持でき,より違和感の無い再生映像を得ることができる。
【0020】
上記所定時間間隔は,上記時刻差を通常パケット数+1で除した値より短く設定されるとしても良い。かかる構成により,通常パケットと,その直後に出力される時刻情報パケットとの衝突を防止することができる。
【0021】
また,上記タイミング制御部は,入力されたパケットを一旦保持するパケットバッファと;上記パケットバッファに保持されたパケットが,時刻情報パケットであるか否かを判別するPCRパケット判別部と;上記パケットバッファに保持されたパケットの時刻情報を抽出するPCR抽出部と;クロックを計数するカウンタと;上記時刻情報と上記カウンタの計数値とが一致した時点で出力開始信号を生成する一致検出部と;上記一致検出部からの出力開始信号を基準に上記所定時間間隔で出力開始信号を生成するタイマと;上記PCRパケット判別部の判別に基づいて,上記一致検出部と上記タイマとの出力開始信号を切り替えるタイミング切替部と;上記切り替えられた出力開始信号に応じて上記パケットバッファのパケットを出力する出力制御部と;を備えるとしても良い。
【0022】
AVデータを書き込むデータ書き込み部をさらに備え,上記インターフェース部は,さらに外部機器からのオーティオデータを上記データ書き込み部に中継するとしても良い。
【0023】
このようにデータ再生装置は,外部から入力されるAVデータを記憶する機能も有することができる。かかるインターフェース部およびデータ書き込み部は,AVデータに冗長な時刻情報を付加しないで,入力されたデータ形式のまま記憶媒体に記憶するので,PCで記憶される記憶媒体と互換性をとることができる。
【0024】
また,コンピュータによって,上記データ再生装置として機能するプログラムも提供され,データ再生装置を利用してAVデータを再生するデータ再生方法も提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば,MPEG2−TS形式のような一部のパケットにのみ時刻情報が付加されているAVデータであっても,映像の伝送時間を維持して違和感のない映像を再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
従来のデータ再生装置では,入力されたパケットが,時刻情報を付加されたPCR(Program Clock Reference)パケットであるかどうかに拘わらず,独自に,全パケットに時刻情報を付加して記憶し,また,その時刻情報を利用して再生していた。
【0028】
一方,PCは汎用品である故,ハードウェアが制限されており,記憶するパケットに独自に時刻情報を追加することや,追加された時刻情報を参照する術を持っていなかった。
【0029】
従って,従来のデータ再生装置で記憶された記憶媒体と,PCで記憶された記憶媒体とでは,フォーマットの不一致が生じ,互換性はなかった。
【0030】
(第1の実施形態:データ再生システム)
本実施形態によるデータ再生装置は,デジタル圧縮技術によりデータ圧縮された映像および音声データをパケット化したAVデータを,伝送遅延等の違和感を得ることなく再生する。上記AVデータは,音声および/または映像をデジタル化し,所定のデータ圧縮処理を行ったデータである。上記AVデータには時刻情報パケットと通常パケットが混在している。
【0031】
図1は,本実施形態によるデータ再生システムの接続関係を説明するためのイメージ図であり,図2は,そのデータ再生システムの機能を概略的に示したブロック図である。
【0032】
図1におけるデータ再生システム100は,アンテナ110と,放送受信機120と,テレビモニタ130と,データ再生装置としても機能するHDD(Hard Disk Drive)レコーダ140と,を含んで構成される。
【0033】
上記アンテナ110は,テレビジョン放送タワー150から広域に渡って出力されるテレビジョン放送等の無線電波を受信し,受信した無線信号を電気信号に変換する。
【0034】
上記放送受信機120は,アンテナ110で受信されたAVデータをテレビモニタ130で再生できる形式に変換し,テレビモニタ130に送信する。また,アンテナ110からのAVデータをHDDレコーダ140に記憶するため出力し,かつ,HDDレコーダ140に記憶されたAVデータを入力する。
【0035】
上記テレビモニタ130は,放送受信機120からの映像信号および音声信号を受けて,その映像をモニタ上に,音声をスピーカーに再生する。
【0036】
上記HDDレコーダ140は,放送受信機120から入力されたAVデータを,例えば,HDDやDVDといった記憶媒体に記憶し,また,そのHDDやDVDに記憶されたAVデータを読み取って放送受信機120に出力する。
【0037】
上記放送受信機120は,テレビモニタ130と一体形成しても良いし,HDDレコーダ140と一体形成することもできる。さらには,放送受信機120,テレビモニタ130,HDDレコーダ140を全て一体形成することができる。また,HDDレコーダ140で読み取られるAVデータが,放送受信機120を介さずに直接テレビモニタ130に送信されるとしても良い。
【0038】
図2を参照すると,上記放送受信機120は,チューナー122と,インターフェース部124と,デコーダ126とを含んで構成される。
【0039】
上記チューナー122は,アンテナ110にて受信された電波から,所望の周波数帯域を選局し,その周波数帯域の信号をBPF(Band Pass Filter)等により抽出する。また,このようにして抽出された周波数のうち,所望のチャンネルの情報を,MPEG2−TS形式のデータとして抽出する。
【0040】
デジタル放送では,限りあるキャリア(周波数)を有効利用するために,一つの周波数の信号に複数のチャンネルのパケットが多重化されている。チューナー122では,先ず,所定周波数に含まれる信号を復調し,誤り訂正処理などを行い,複数のパケットを生成する。このパケット群には複数のチャンネルの番組が多重化されているので,チューナー122は,そのパケットの中から,所望のチャンネルのパケットのみを抽出してインターフェース部124に出力する。
【0041】
図3は,チューナー122から出力されるMPEG2−TS形式のパケットの伝送形態を示した説明図である。図3(A)は,所定周波数に含まれる全てのパケットを示している。ここでは,AVデータを分割した188バイトのパケット200が受信され,1つの周波数に複数のチャンネルが混在している。チューナー122は,その所定周波数に含まれるパケットが所望する所定チャンネルのパケット202であるかどうかを順次判断し,図3(B)に示すような,所定チャネルのパケット202のみ抽出する。抽出されたパケット202は,図3(B)のように不規則かつ不連続な出力タイミングとなってしまう。
【0042】
上記インターフェース部124は,チューナー122からのパケット202をデコーダ126に伝達し,また,HDDレコーダ140が接続されている場合,HDDレコーダ140にもパケット202を出力する。
【0043】
上記デコーダ126は,インターフェース部124から伝達されたパケット202から映像パケットを抽出し,続いてテレビモニタ130が再生できる形式にデコード処理を行って映像信号を生成し,テレビモニタ130に供給する。
【0044】
また,デコーダ126では,音声パケットも抽出し,続いてデコード処理を行って音声信号を生成し,併せてテレビモニタ130に供給する。
【0045】
上記データ再生システムにおけるデータ再生装置は,HDDレコーダ140を挙げているが,かかる場合に限られず,DVD,CD(Compact Disc),FD(Floppy(登録商標) Disk),MO(Magnetico−optical Disk),フラッシュメモリ,カードメモリ,USBメモリ,RAM,EPROM,不揮発性RAM等の記憶媒体上のAVデータを再生し得る装置であれば良く,DVDレコーダ等様々なAV機器を利用することができる。
【0046】
また,上述のデータ再生システムでは,放送受信機とデータ再生装置との接続を挙げて説明しているが,かかる場合に限られず,撮像装置(ビデオカメラ等)や動画撮像可能なデジタルカメラ等と,データ再生装置とを接続して,上述した機能を実施することもできる。
【0047】
従って,ビデオカメラにデータ再生装置を一体形成し,録画したデータを直接テレビモニタ130で視聴することも可能となる。
【0048】
(データ再生装置200)
次に,HDDレコーダ140を例に挙げて説明したデータ再生装置の詳細な説明を行う。
【0049】
図4は,本実施形態によるデータ再生装置200の概略的な機能を示したブロック図である。かかるデータ再生装置200は,データ再生制御部202と,データ保持部204と,データ読み取り部206と,タイミング制御部208と,間隔演算部210と,データバッファ212と,インターフェース部214と,データ書き込み部216と,リモコン受信部218とを含んで形成される。
【0050】
上記データ再生制御部202は,中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路によりデータ再生装置200全体を管理および制御する。
【0051】
上記データ保持部204は,HDDやDVD等の記憶媒体からなり,外部から入力されるAVデータを記憶することができる。
【0052】
図5は,データ保持部204に記憶されるAVデータのデータ記憶形式を示した説明図である。データ保持部204としてのHDD上には,MPEG−TS形式の188バイト長のパケット150が連続して記憶され,一つのファイルとして管理される。
【0053】
MPEG2−TS方式においては,かかるAVデータをPES(Packetized Elementary Stream)パケットに分割し,このPESパケットのヘッダ部分には,PTS(Present Time Stamp)やDTS(Decord Time Stamp)等の時刻情報が付され,さらに上述したように188バイトのTSパケット150に分割される。
【0054】
また,各パケット150には,パケットの先頭を示す同期バイト152,パケットの種別を識別する13ビットのPID(Packet ID)154,分割されたAVデータを含むパケット本体156等が含まれている。
【0055】
パケット150には,映像データパケット,音声データパケットのほか,PAT(Program Association Table)パケット,PMT(Program Map Table)パケット,PCRパケットなどの種類があり,これらをPID154により識別することが可能である。
【0056】
上記データ読み取り部206は,データ保持部204に記憶されているAVデータの再生処理のためAVデータのパケットを順次読み取り,直接もしくはデータバッファ212を介して,タイミング制御部208に転送する。また,データ読み取り部206は,時刻差やパケット数をデータ保持部204から直接読み取り,データ伝送経路と独立した経路で間隔演算部210に伝達するとしても良い。
【0057】
上記タイミング制御部208は,データ読み取り部206で読み取られたAVデータのパケットが,PCRパケットとして表される,AVデータの再生時刻を含む再生情報が付加された時刻情報パケットであるかどうか判断し,PCRパケットであった場合,その時刻情報に基づいて当該PCRパケットを出力すべき特定の時刻にPCRパケットをインターフェース部214に出力し,PCRパケット以外の通常パケットであった場合,PCRパケットの出力時点から所定時間間隔で通常パケットをインターフェース部214に順次出力する。
【0058】
かかるPCRパケットは,例えば,映像時間の100msecに少なくとも1つ含まれるとしても良い。上記タイミング制御部208によって,映像の伝送時間を維持することができ,違和感のない再生映像を得ることが可能となる。
【0059】
上記間隔演算部210は,データ保持部204のAVデータの連続する2つのPCRパケットにおける時刻情報の時刻差,および,上記2つのPCRパケット間における通常パケットの数から,所定時間間隔を演算する。かかる演算は,時刻差を通常パケット数+1で除算して行われるとしても良い。
【0060】
詳細には,間隔演算部210は,データ保持部204からのパケット群を一旦データバッファ212に保持して,そのパケット群からPCRパケットに関する時刻差および通常パケット数を抽出し,所定時間間隔もしくはパケットの出力レートを算出する。
【0061】
また,データ保持部204には予めAVデータが記憶されているため,データ読み取り部206はその内容を一度に参照することができる。従って,データ読み取り部206で時刻差および通常パット数を直接抽出し,単一のビットレートに頼ることなく,実際のデータ量からパケットの出力タイミングを求めることも可能である。
【0062】
このようにして,パケットの出力タイミングを正確に制御することができ,パケット間隔が部分的に開いてしまう問題を回避できる。
【0063】
また,所定時間間隔は,PCRパケット間の時刻差を,通常パケット数+1で除した値より短く(例えば,1〜2割程度)設定されるとしても良い。かかる構成により,出力される通常パケットと,その直後のPCRパケットとの衝突を防止することができ,PCRパケットの出力が保証される。
【0064】
間隔演算部210は,上記時刻差や通常パケット数の変化に応じて上記所定時間間隔を随時更新するとしても良い。例えば,AVデータの時刻差や通常パケット数が不規則に並べられている場合においても出力レートが一定であると,PCRパケットの間に規定値より多い通常パケットが含まれていた場合,通常パケットとその直後のPCRパケットとで衝突が起こり,映像が欠落したり,映像出力タイミングが遅延したりする原因となる。かかる出力レートを随時調整する構成により,時刻差に応じた出力間隔を維持でき,より違和感の無い再生映像を得ることができる。
【0065】
但し,データ保持部204に記憶されているAVデータのPCRパケットと通常パケットとの並びに規則性があり,かつ,その出力レートが一定であることが予め分かっている場合,間隔演算部210の機能を停止,もしくは不使用とすることもできる。
【0066】
上記インターフェース部214は,上記出力されたPCRパケットおよび通常パケットを外部に中継する
【0067】
上記データ書き込み部216は,外部機器(周辺機器)からインターフェース部214に入力されたAVデータをデータ保持部204に書き込む。
【0068】
上記リモコン受信部218は,リモートコントローラから,ユーザの所望するチャンネルや,AVデータの録画や再生に関する指令を受けて,データ再生制御部202に伝達する。データ再生制御部202は,かかる指令に応じて,各機能を遂行する。
【0069】
上述した各構成により,デジタル圧縮技術によりデータ圧縮された映像および音声データをパケット化したデータであり,PCRパケットと通常パケットが混在するAVデータをデータ保持部204に記憶し,また,再生することができる。このようなAVデータの記憶と再生の動作を以下で簡単に説明する。
【0070】
ユーザがデータ再生システムにおいて,テレビジョン放送を受信している際,視聴しているテレビ番組の録画を行う場合を想定する。ユーザは,放送中の映像を録画するため,リモコン(図示せず)を用いデータ再生装置に対し録画準備の指示,例えばチャンネル変更を行う。リモコンから出力された指令信号は,データ再生装置内のリモコン受信部218で受信され,データ再生制御部202に録画準備指令が入力される。
【0071】
データ再生制御部202は,インターフェース部214を録画モードに切り替え,データ書き込み部216に対して録画準備を指示し,さらに,インターフェース部214を介して,例えば,放送受信機120に対しストリームデータの送出を要求する。
【0072】
このとき,放送受信機120では,チューナー122で受信したストリームデータが,インターフェース部124を介してデコーダ126に供給されており,このストリームデータがデコーダ126によりデコードされてテレビモニタ130に表示されている。
【0073】
放送受信機120内のインターフェース部124は,データ再生装置200からのストリームデータの送出要求を受け,デコーダに供給しているストリームデータをデータ再生装置200側にも供給する。
【0074】
放送受信機120のインターフェース部124と,データ再生装置200のインターフェース部214との間におけるインターフェースには,IEEE1394で規定されたデジタルインターフェースを使用することが可能であり,図3(B)で示したようなMPEG2−TS形式のTSパケットのまま伝送することができる。
【0075】
データ再生装置200側では,放送受信機120から入力されたストリームデータが,データ再生装置200の入出力端子を通じてインターフェース部214に入力され,パケット形式でデータ書き込み部216へ入力される。
【0076】
その後,ユーザが,録画開始をリモコンで指示すると,リモコンからの信号がリモコン受信部218で受信され,データ再生制御部202に入力される。データ再生制御部202は,録画開始指示に従って,かかるストリームデータの録画処理を指示し,データ書き込み部216は,インターフェース部214から入力されたパケットを連続データとしてファイルに変換し,データ保持部204に記憶していく。
【0077】
所望するストリームの終了時に,ユーザは,リモコンを介して録画の停止指令を行う。これに応じてデータ再生制御部202が,データ書き込み部216を制御し,パケットの書き込みを完了した後,データ保持部204の,例えばHDDにおけるファイル管理情報領域を書き換え,記憶した情報をファイルとしてファイル管理情報に登録する。
【0078】
以上の処理により,外部から入力されたパケット群をデータ保持部204としてのHDD上にファイルとして記憶することが出来る。HDD上のデータ形式は,図5に示したように188バイトのパケットが連続した形となる。
【0079】
続いて,データ保持部204に記憶されたAVデータの再生処理に関して説明する。
【0080】
ユーザは,リモコンを操作することにより,再生するAVデータを選択して,再生開始の指示を行う。リモコン受信部218は,かかる再生開始の信号を受信すると,データ再生制御部202に再生開始指令を伝達する。
【0081】
データ再生制御部202は,再生開始指令に従い,インターフェース部214を再生モードに切り替え,インターフェース部214を介して放送受信機120をストリームデータの入力モードに切り替える。即ち,放送受信機120内のインターフェース部124は,データ再生装置200から受信するパケットをデコーダ126に供給するように動作を切り替える。
【0082】
また,データ再生制御部202は,再生開始指示に従って,データ保持部204から所望のファイルを読み取る。読み取ったファイルは,188バイトのパケット形式で抽出され,直接もしくはデータバッファ212を介して,タイミング制御部208に入力される。タイミング制御部208は,時刻情報に矛盾が生じないようパケットの出力タイミングを制御し,所定のタイミングでパケットを出力する。以下に,タイミング制御部208の詳細な動作を説明する。
【0083】
(タイミング制御部208)
図6は,タイミング制御部208の概略的な機能ブロックを表したブロック図である。ここで,タイミング制御部208は,パケット入力端子300と,パケットバッファ302と,PCRパケット判別部304と,PCR抽出部306と,カウンタ308と,一致検出部310と,タイマ312と,パラメータ入力端子314と,タイミング切替部316と,出力制御部318と,パケット出力端子320とを含んで構成される。
【0084】
データ読み取り部206から入力されたパケットは,パケット入力端子300を介してパケットバッファ302に一時的に保持される。PCRパケット判別部304,および,PCR抽出部306は,パケットバッファ302に入力された上記パケットの内容を解析する。
【0085】
上記PCRパケット判別部304は,パケットバッファ302に入力されたパケットが,時刻情報パケットとしてのPCRパケットであるか,それ以外の通常パケットであるかを判別する。
【0086】
上記PCR抽出部306は,パケットバッファ302に入力されたパケットに付随する,時刻情報としてのPCR値を抽出する。かかるパケットがPCRパケットの場合,PCR抽出部306は,抽出したPCR値を一致検出部310に転送する。かかるパケットがPCRパケットではない場合,そのPCR値は意味を持たないこととなる。
【0087】
上記カウンタ308は,例えば27MHzのクロックを用いて,PCRと同期可能な形式のカウント値を計数する。カウンタ308は,このように計数したカウント値を一致検出部310に伝達する。
【0088】
上記一致検出部310は,PCR抽出部306から入力されたPCR値と,カウンタ308で生成されたカウント値とを比較し,その値が一致した時点で,タイミング切替部316にパケット出力開始信号を出力する。
【0089】
上記タイマ312は,一致検出部310からの出力開始信号を基準に所定の周期でパケット出力開始信号をタイミング切替部316に出力する。かかるタイマ312によるパケット出力開始信号の出力周期は,パラメータ入力端子314を介してデータ再生制御部202から制御することが可能である。
【0090】
上記タイミング切替部316は,出力制御部318に対して,PCRパケット判別部304が判別対象パケットをPCRパケットと判別した場合,そのPCRパケットを一致検出部310の出力開始信号に応じて出力させ,PCRパケット判別部304がPCRパケット以外の,例えば通常パケットであると判断した場合,そのパケットをタイマ312の出力開始信号に応じて出力させる。
【0091】
以下に,タイミング制御部208の詳細な動作を説明する。
【0092】
図7A,Bは,タイミング切替部316によるパケットの出力タイミングを説明するためのタイミングチャートである。図7Aは,パケット入力端子300に入力されるパケットのタイミングを,図7Bは,パケット出力端子320から出力されるパケットのタイミングを示している。
【0093】
AVデータの再生が開始されると,タイミング制御部208では,データ保持部204からAVデータのパケットを読み取る。かかる読み取りタイミングは,図7Aのように所定数(ここでは4つ)のパケット毎に読み取られるとしても良いし,所定間隔で1つずつ読み取られても良いが,遅くとも本来出力すべきパケットのレートより速いタイミングで読み取り,パケットバッファ302に保持される。かかるパケットの読み取り時には,そのパケットがPCRパケットであるか,それ以外のパケットであるかは問われない。
【0094】
パケットバッファ302は,データ保持部204からパケット350を一つ取得する。PCRパケット判別部304は,そのパケットがPCRパケットであるかどうかを判別する。図7Aにおいては,斜線が入っているパケットをPCRパケットとする。従って,PCRパケット判別部304は,パケット350をPCRパケットであると判別し,タイミング切替部316にその旨伝達する。
【0095】
タイミング切替部316は,PCRパケット判別部304からの信号を受けて,タイミング切替部316のタイミング入力を一致検出部310側に切り替える。その結果,一致検出部310から出力されるパケットの出力開始信号が出力制御部318に入力される。
【0096】
また,PCR抽出部306は,PCRパケット判別部304と並行して,パケットバッファ302が取得したパケットのPCR値を抽出し,一致検出部310に転送する。一致検出部310は,PCR抽出部306で抽出されたPCR値と,カウンタ308で生成されたカウント値とを比較し,両者が一致した時点でタイミング切替部316に出力開始信号を出力する。このようにしてパケット(PCRパケット)350は,PCR値とカウント値が一致した時点,即ち,PCRパケットが本来出力されるべき時点(図7Bにおける時刻T)でパケット出力端子320から出力される。
【0097】
パケットバッファ302は,データ保持部204から次のパケット352を取得する。PCRパケット判別部304は,上記同様に,そのパケットがPCRパケットであるかどうかを判別する。かかるパケット352は,PCRパケットではない通常パケットなので,PCRパケット判別部304は,タイミング切替部316にその旨伝達する。
【0098】
タイミング切替部316は,PCRパケット判別部304からの信号を受けて,タイミング切替部316のタイミング入力をタイマ312側に切り替える。その結果,タイマ312から出力されるパケットの出力開始信号が出力制御部318に入力される。
【0099】
タイマ312は,直前のパケット(ここでは,パケット350)から所定時間間隔kだけ待機し,所定時間間隔kに到達すると,タイミング切替部316にパケットの出力開始信号を出力する。このようにしてパケット352は,PCRパケットであるパケット350から所定時間間隔kを空けた時点でパケット出力端子320から出力される。
【0100】
このように,PCRパケットを除いた通常パケットの出力間隔は,タイマ312によって制御される。ここで,パケットの出力間隔は,PCRパケットを含めほぼ均一であることが望ましい。また,パケット間隔が短すぎると両装置のインターフェース部124,214や,放送受信機120のデコーダ126に負担がかかり,パケットの伝送中にバッファが溢れてしまう可能性があるため,パケット同士の間隔はなるべく長い方が良い。
【0101】
従って,PCRパケットを除いたパケットの間隔kは,以下のようにして求めることができる。即ち,時間間隔kは再生ストリームデータのビットレートを1パケット分のビット数で除したものと考えることができる。ここで,ビットレートは,MPEGストリーム中のsequence_extension内に記載されているbit_rate情報を使用することができる。
【0102】
しかし,任意のパケットに関して,部分的にビットレートが高く,かつ,PCRパケットの間に存在するパケットの数が多い場合には,PCRパケットの出力タイミングが遅くなる可能性がある。PCRパケットの出力タイミングが本来の出力タイミングよりも遅くなると,ストリームデータ上のPCR値がずれてしまうので,演算値kよりも若干短い間隔でパケットを出力することが望ましい。
【0103】
また,パケット間隔kは,実際に記憶されているストリームデータから求めるとしても良い。かかる演算に関しては後述の実施形態で説明する。
【0104】
パケット352出力後も,上記同様に,パケットバッファ302は,データ保持部204から次のパケット354を取得し,かかるパケット354がPCRパケットでないことが把握されると,パケット354は,直前のパケット352から所定時間間隔kを隔てて,パケット出力端子320に出力される。このような処理がパケットの取得毎に繰り返され,1つのPCRパケットから所定時間間隔kをおいて複数の通常パケットが出力される。
【0105】
そして,次のPCRパケットであるパケット356がPCRパケット判別部304に認識されると,パケット(PCRパケット)356は,PCR値とカウント値が一致した時点,即ち,PCRパケットが本来出力されるべき時点(図7Bにおける時刻T)でパケット出力端子320から出力される。このようにして図7Bのようにパケットの出力タイミングが均一化され,テレビモニタ130で違和感のない再生映像を得ることができる。
【0106】
また,図7Bに示したパケットの出力タイミングは,図3(B)に示したパケット出力タイミングとは異なっているが,時刻情報を含んでいるPCRパケットの出力タイミングが正確に制御されているため,図7Bに示したパケットを受信した放送受信機120では,時刻情報がずれることなく常に正しいパケット受信時刻を再現することができ,デコード処理に支障が生じることはない。
【0107】
図7A,Bの例では,説明の簡略化のためパケット数を少なくして説明しているが,その数は図7A,Bのような場合に限定されず,PCRパケット間に数千から数万のパケットが存在するとしても良い。
【0108】
(間隔演算部210)
次に,パケットを出力する時間間隔kをAVデータのPCRパケットを利用して求める構成を説明する。
【0109】
間隔演算部210は,上述したように,データバッファ212に保持された,データ保持部204からのAVデータの連続する2つのPCRパケットにおけるPCR値の時刻差,および,前後2つのPCRパケット間における通常パケットの数から,所定時間間隔を演算する。
【0110】
図8は,上記所定時間間隔の演算を説明するためのデータバッファ212の保持パケットを示した説明図である。ここでは,データバッファ212に入力されたパケット順に数値が割り振られている。
【0111】
本実施形態においては,例えば,16個のパケットをデータ保持部204から一度に読み取り,間隔演算部210はかかるパケット群からPCRパケットを抽出する。この結果,データバッファ212には,3つのPCRパケット400,402,404が存在することが認識される。
【0112】
続いて,間隔演算部210は,直近のPCRパケットを2つ選択し(400,402),そのPCRパケット400,402のPCR値を参照する。ここでPCRパケット400のPCR値には,tの時刻が含まれ,PCRパケット402のPCR値には,tの時刻が含まれているとする。
【0113】
次に,間隔演算部210は,上記2つのPCRパケット間にあるパケット(通常パケット)の数を計数する。ここでは,PCRパケット間406に5つのパケットが存在している。
【0114】
続いて,間隔演算部210は,PCR値の時刻差t−tを,前後2つのPCRパケット間における通常パケットの数5に1を加えた数値6で除す(割る)。これによって,所定時間間隔kが導出される。また,所定時間間隔kは,時刻差t−tを通常パケット数5+1で除した値より短く設定されるとしても良い。これは,除算後の小数点の切り捨て,もしくは一様(1〜2割)に減算することによって実施される。かかる処理により,出力される通常パケットと,その直後のPCRパケットとの衝突を容易に防止することができる。このようにして求めた所定時間間隔kは,ストリームファイルに関連した管理情報として,ファイルに記憶されるとしても良い。
【0115】
このような所定時間間隔kの演算は,実際にストリームデータを再生している最中に行われるとしても良いし,再生開始時もしくは再生開始前に所定時間間隔kを求める目的において行われるとしても良い。ここで,所定時間間隔kは,伝送に問題が生じない程度に高速化することも可能であり,インターフェース部124,214やデコーダ126の最大ビットレートから演算した値に予め設定することもできる。
【0116】
上記のようにして求めた所定時間間隔kは,データ再生制御部200によってタイミング制御部208内のタイマ312に設定され,パケットの出力間隔が制御される。従って,タイミング制御部208に入力されたストリームファイル内のパケットが,図7Bに示したような間隔で出力されることとなる。
【0117】
タイミング制御部208から出力されたパケットは,インターフェース部214を介して外部の放送受信機120に伝送され,放送受信機120側のインターフェース部124からデコーダ126に入力される。上記パケットは,デコーダ126において所定の映像信号にデコードされたのち,テレビモニタ130にて表示が行われる。
【0118】
以上のようにして,所定割合のパケットのみが出力タイミングを有するストリームデータ(ストリームファイル)であっても,各パケットの出力タイミングをほぼ一定に保って出力することができる。また,PCRパケットの出力タイミングは,ストリーム中の時刻情報と同期して出力されるので,正確な時刻情報を有したストリームの出力を実現することが可能となる。
【0119】
これにより,放送受信機120におけるインターフェース部124やデコーダ126での時刻情報の管理が正しく行われ,パケットを蓄積するバッファの管理が容易になり,データ再生装置200での再生に問題を生じることがなくなる。
【0120】
また,本実施形態では,図7Aや図8に示したようにAVデータのパケットが規則的に並んでいる場合だけでなく,PCRパケットと通常パケットが不規則に並べられている場合であっても,パケットの適切な出力タイミングを提供できる。
【0121】
上記間隔演算部210が,データバッファ212に保持された,データ保持部204のAVデータの連続する2つのPCRパケットにおけるPCR値の時刻差,および,前後2つのPCRパケット間における通常パケットの数から,所定時間間隔を演算する上記の処理は,時刻差もしくは通常パケット数が変化している限り,常に継続される。
【0122】
従って,視聴するAVデータが,時刻差や通常パケットの数が不規則なAVデータであったとしても,その時々に応じた最適の所定時間間隔kを導出することができ,その所定時間間隔kによって,タイミング制御部208は,パケットの最適な出力レートを提供することが可能となる。こうして,均一した出力間隔を維持でき,より違和感の無い再生映像を得ることができる。
【0123】
また,データ保持部204の記憶内容には,独自の時刻情報等が付されず,PCで記憶した状態と同じになるので,PCとのフォーマットに関する互換性を維持できる。こうして,PCで記憶した記憶媒体をそのままデータ再生装置で利用でき,逆も可能となる。
【0124】
また,上述したデータ再生装置として機能するプログラムやこのプログラムを記憶した記憶媒体も提供される。
【0125】
(第2の実施形態:データ再生装置の変形例)
また,上述したデータ再生装置200は,放送受信機120と一体形成することができる。
【0126】
図9は,データ再生装置200の変形例を示すブロック図である。データ再生装置200の変形例であるデータ再生装置300は,チューナー122と,デコーダ126と,データ再生制御部202と,データ保持部204と,データ読み取り部206と,タイミング制御部208と,間隔演算部210と,データバッファ212と,データ書き込み部216と,リモコン受信部218とを含んで構成される。
【0127】
上記の構成要素は,第1の実施形態における構成要素と実質的に機能が同一なので重複説明を省略し,ここでは,その機能において相違する点のみ説明する。
【0128】
上記データ再生装置300は,放送受信機としてのチューナー122とデコーダ126を備え,アンテナ110で受信されたAVデータをテレビモニタ130で再生できる形式に変換しテレビモニタ130に送信する。同時に,データ再生装置300は,アンテナ110で受信されたAVデータを記憶し,また,その記憶したAVデータを再生することができる。
【0129】
かかる構成では,タイミング制御部208によって出力タイミングが調整されたパケットが,データの付加等何ら加工されることなく,デコーダ126を介して直接テレビモニタ130に送信されることから,低コストかつ信頼性の高い映像再生を行うことが可能となる。
【0130】
また,データ再生装置300の出力時点でタイミング調整されているため,テレビモニタ130以外の例えばパーソナルコンピュータに接続した場合においても,違和感のない映像を得ることが可能である。
【0131】
(第3の実施形態:データ再生方法)
図10は,第3の実施形態におけるデータ再生方法の流れを示したフローチャートである。
【0132】
先ず,ユーザのリモコン操作により,記憶されたAVデータの再生が開始されると(S500),データ読み取り部206がAVデータを読み取り(S502),タイミング制御部208は,その読み取られたAVデータのパケットを挙げ,そのパケットが,PCRパケットであった場合,そのPCR値に基づいてPCRパケットを出力し,そのパケットが,通常パケットであった場合,PCRパケットから所定時間間隔で通常パケットを出力する(S504)。
【0133】
かかる所定時間間隔は,データ保持部204のAVデータの連続する2つのPCRパケットにおけるPCR値の時刻差を2つのPCRパケット間における通常パケットの数+1で除することによって求められる。この所定時間間隔は,時刻差や通常パケット数の変化に応じて随時更新されるとしても良い。
【0134】
そして,インターフェース部214は,タイミング制御部208から出力されたPCRパケットおよび通常パケットを外部に中継する(S506)。
【0135】
続いて,上記出力タイミング調整(S504)の処理を詳細に説明する。
【0136】
図11は,第3の実施形態における出力タイミングの調整方法の流れを示したフローチャートである。ここでは,パケットバッファ302に入力されたパケットの出力タイミングを,各々のパケットの種類に応じて決定している。
【0137】
先ず,記憶されたAVデータの再生が開始されると(S550),パケットバッファ302は,データ保持部204からのパケットを一つ取得する(S552)。
【0138】
次に,PCRパケット判別部304は,取得したパケットがPCRパケットかどうかの判別を行う(S554)。取得したパケットが,PCRパケットの場合,PCRパケット判別部304は,タイミング切替部316の出力タイミングの入力として,一致検出部310側を選択し,一致検出部310から出力されるパケット出力開始信号が出力制御部318に入力されるように制御する。
【0139】
これと並行して,PCR抽出部306は,パケットバッファ302で取得したパケットのPCR値を抽出し,一致検出部310に入力する。一致検出部310は,PCR抽出部で抽出されたPCRの値と,カウンタで生成したカウント値とを比較し,両者が一致するまで待機する(S556)。PCR値とカウント値が一致すると,一致検出部310からパケット出力開始信号が出力され,タイミング切替部316を介して出力制御部318に入力される。
【0140】
また,取得したパケットが,PCRパケット以外の通常パケットであった場合,PCRパケット判別部304は,タイミング切替部316の出力タイミングの入力として,タイマ312側を選択し,タイマ312から出力されるパケット出力開始信号が出力制御部318に入力されるように制御する。
【0141】
これと並行して,タイマ312は,直前のPCRパケットから上記で求めた所定時間間隔分待機し(S558),所定時間間隔が経過するとタイマ312からパケット出力開始信号が出力され,タイミング切替部316を介して出力制御部318に入力される。
【0142】
出力制御部318は,タイミング切替部316からの出力開始信号に応じてパケットの出力を行い(S560),記憶されたAVデータの再生が終了するまで,かかる処理を繰り返す。
【0143】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0144】
例えば,上述した実施形態においては,PCRパケット間の通常パケットを均一にならすことで映像の再生スピードを維持することを述べているが,かかる場合に限られず,例えば,NULLパケットの補充を適宜行い,所定時間間隔が一定,かつ,PCRパケット間に通常パケット以外の残余間隔がある場合等に対応することも可能である。
【0145】
なお,本明細書のデータ再生方法における各工程は,必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく,並列的あるいは個別に実行される処理(例えば,並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は,データ再生装置およびその方法にかかり,例えば,AVデータのパケットを再生するデータ再生装置およびその方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】第1の実施形態によるデータ再生システムの接続関係を説明するためのイメージ図である。
【図2】データ再生システムの機能を概略的に示したブロック図である。
【図3】チューナーから出力されるMPEG2−TS形式のパケットの伝送形態を示した説明図である。
【図4】第1の実施形態によるデータ再生装置の概略的な機能を示したブロック図である。
【図5】データ保持部に記憶されるAVデータのデータ記憶形式を示した説明図である。
【図6】タイミング制御部の概略的な機能ブロックを表したブロック図である。
【図7A】タイミング切替部によるパケットの出力タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図7B】タイミング切替部によるパケットの出力タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図8】所定時間間隔の演算を説明するためのデータバッファの保持パケットを示した説明図である。
【図9】データ再生装置の変形例を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態におけるデータ再生方法の流れを示したフローチャートである。
【図11】第3の実施形態における出力タイミングの調整方法の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0148】
200,300 データ再生装置
206 データ読み取り部
208 タイミング制御部
210 間隔演算部
212 データバッファ
124,214 インターフェース部
216 データ書き込み部
302 パケットバッファ
304 PCRパケット判別部
306 PCR抽出部
308 カウンタ
310 一致検出部
312 タイマ
316 タイミング切替部
318 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AVデータを読み取るデータ読み取り部と;
前記読み取られたAVデータのパケットが,時刻情報が付加された時刻情報パケットであった場合,その時刻情報に基づいて前記時刻情報パケットを出力し,前記読み取られたAVデータのパケットが,前記時刻情報パケット以外の通常パケットであった場合,前記時刻情報パケットから所定時間間隔で前記通常パケットを出力するタイミング制御部と;
前記出力された時刻情報パケットおよび通常パケットを外部に中継するインターフェース部と;
を備えることを特徴とする,データ再生装置。
【請求項2】
前記AVデータは,記憶媒体上に予め記憶されたデータであり,
前記記憶媒体のAVデータの連続する2つの時刻情報パケットにおける時刻情報の時刻差,および,前記2つの時刻情報パケット間における通常パケットの数から,前記所定時間間隔を演算する間隔演算部をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載のデータ再生装置。
【請求項3】
前記読み取られたAVデータのパケットを一旦保持するデータバッファと;
前記データバッファに保持されたAVデータの連続する2つの時刻情報パケットにおける時刻情報の時刻差,および,前記2つの時刻情報パケット間における通常パケットの数から,前記所定時間間隔を演算する間隔演算部をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記間隔演算部は,前記時刻差や通常パケット数の変化に応じて前記所定時間間隔を随時更新することを特徴とする,請求項2または3のいずれかに記載のデータ再生装置。
【請求項5】
前記所定時間間隔は,前記時刻差を通常パケット数+1で除した値より短く設定されることを特徴とする,請求項2または3のいずれかに記載のデータ再生装置。
【請求項6】
前記タイミング制御部は,
入力されたパケットを一旦保持するパケットバッファと;
前記パケットバッファに保持されたパケットが,時刻情報パケットであるか否かを判別するPCRパケット判別部と;
前記パケットバッファに保持されたパケットの時刻情報を抽出するPCR抽出部と;
クロックを計数するカウンタと;
前記時刻情報と前記カウンタの計数値とが一致した時点で出力開始信号を生成する一致検出部と;
前記一致検出部からの出力開始信号を基準に前記所定時間間隔で出力開始信号を生成するタイマと;
前記PCRパケット判別部の判別に基づいて,前記一致検出部と前記タイマとの出力開始信号を切り替えるタイミング切替部と;
前記切り替えられた出力開始信号に応じて前記パケットバッファのパケットを出力する出力制御部と;
を備えることを特徴とする,請求項1に記載のデータ再生装置。
【請求項7】
AVデータを書き込むデータ書き込み部をさらに備え,
前記インターフェース部は,さらに外部機器からのオーティオデータを前記データ書き込み部に中継することを特徴とする,請求項1に記載のデータ再生装置。
【請求項8】
コンピュータが,
AVデータを読み取るデータ読み取り部と;
前記読み取られたAVデータのパケットが,時刻情報が付加された時刻情報パケットであった場合,その時刻情報に基づいて前記時刻情報パケットを出力し,前記読み取られたAVデータのパケットが,前記時刻情報パケット以外の通常パケットであった場合,前記時刻情報パケットから所定時間間隔で前記通常パケットを出力するタイミング制御部と;
前記出力された時刻情報パケットおよび通常パケットを外部に中継するインターフェース部と;
として機能することを特徴とする,プログラム。
【請求項9】
AVデータを読み取る工程と;
前記読み取られたAVデータのパケットが,時刻情報が付加された時刻情報パケットであった場合,その時刻情報に基づいて前記時刻情報パケットを出力し,前記読み取られたAVデータのパケットが,前記時刻情報パケット以外の通常パケットであった場合,前記時刻情報パケットから所定時間間隔で前記通常パケットを出力する工程と;
前記出力された時刻情報パケットおよび通常パケットを外部に中継する工程と;
を含むことを特徴とする,データ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−150845(P2007−150845A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343994(P2005−343994)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】