説明

データ再生装置

【課題】 記録媒体に記録されるデータのうち正常に再生されるデータのみを読出して再生することが可能なデータ再生装置を提供する。
【解決手段】 CPU7はフラッシュメモリ3から選択情報を取得する。CPU7は選択情報において選択されたデータについてのみデータを再生するための再生指示を出力する。デコーダ部9は再生指示を受けてデータを再生し、再生結果を出力する。再生結果が再生不可を示す場合、CPU7は選択情報を変更する。再生不可となったデータは以後再生されず、再生可能なデータのみが再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体に記録された映像や音楽等の情報を再生するデータ再生装置であり、特に再生可能な情報のみを読出して再生することが可能なデータ再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの高性能化が進み、映像や音声のデータを圧縮してディスク等のメディアに記録することが比較的簡単に実現される。これらのデータを圧縮する圧縮技術の例として、音楽用のMP3(MPEG-1 Audio Layer3)やWMA(Windows(登録商標) Media Audio)、静止画用のJPEG(Joint Photographic Experts Group)、動画用のMPEG4(Moving Picture Experts Group phase 4)などがある。また、ディスクの例として、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)やCD−R(Compact Disc-Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)などがある。
【0003】
ディスクにデータを記録する際にエラーが発生すると、そのデータは正常に再生されない。また、データが記録されたディスクに一旦傷が生じたり汚れが付着したりすると、該当個所に記録されたデータは正常に再生されなくなる。よって、このような問題を回避するための装置および方法が従来から提案される。
【0004】
たとえば特開平8−17149号公報(特許文献1)には、エラー映像記憶手段と、映像再生時にエラー映像を除外した映像情報を読出すよう読出手段に指示を行なう映像読出指令手段とを備える映像再生装置の例が開示される。
【0005】
また、特開平10−269751号公報(特許文献2)には、ライトテストモードにおいてオフトラック等のサーボエラーを検出したときに、そのエラーアドレスをライトテスト終了時にディスク上に記録する手段を備える情報記録再生装置の例が開示される。
【0006】
また、特開2001−332039号公報(特許文献3)には、読出エラー情報を保持しながら指定されたすべてのアドレス領域に対して読出動作を行なうことによって、読出動作を中断しなくても、データ再生時のリアルタイム性を確保することが可能であるとともに誤りデータの再生を抑制することが可能な、ドライブおよびデータ読出方法ならびに情報記録媒体再生装置およびデータ再生方法が開示される。
【0007】
一方、ディスクの大容量化が進み、ディスクには多くのデータが記録される。よって、ディスク装置はディスクに記録された複数のデータの中から指定データを高速に読出すことができなければならない。ディスク上の指定ファイルを高速に読み出すための装置及び方法として、たとえば特開2003−16763号公報(特許文献4)には、記憶部にフォルダアドレスを格納する第1のテーブルと、ファイルに対応するビットが設定された第2のテーブルとを備えることによって、ファイルの数が多い場合においても高速な検索が可能であるディスクアクセス装置およびディスクアクセス方法が開示される。
【特許文献1】特開平8−17149号公報
【特許文献2】特開平10−269751号公報
【特許文献3】特開2001−332039号公報
【特許文献4】特開2003−16763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
個人が各種のデータをディスクに記録する場合、ディスクにはディスク再生装置が音楽データや映像データとして再生できないデータ(たとえばワードプロセッサソフトウェア用のデータ)が記録されている場合がある。また、音楽や映像のデータであってもデータ形式やデータが圧縮されたときのビットレートなどが異なることによって、ディスク再生装置がそのデータを再生できないことがある。
【0009】
従来のディスク再生装置は再生できない形式のデータであるにも関わらずそのデータを再生しようとするため、再生時にエラーが発生する。しかし、従来のディスク再生装置はそのデータが過去に再生されたときの結果を保持していない。よって、ディスク再生装置は明らかに再生できないデータであっても再生処理を行なうので、ユーザはディスク再生装置から再生エラーを示す結果が出力されるまで待たされることになる。
【0010】
この発明は上述の課題を解決するものであって、その目的は、記録媒体に記録されるデータのうち正常に再生されるデータのみを読出して再生することが可能なデータ再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は要約すれば、データ再生装置であって、着脱可能な記録媒体に記録された複数のデータを読出す読出部と、記録媒体ごとに設けられる情報であって、データの各々を再生の対象として選択するか否かを示す選択情報を不揮発的に記憶する記憶部と、選択情報に基づいて選択されたデータを再生し、選択されたデータが再生不可の場合には選択されたデータを以後の再生時に選択しないように選択情報を変更する再生部とを備える。
【0012】
再生部は、複数のデータに関するデータ情報を表示する表示部と、データ情報に基づいて再生すべきデータをユーザが選択した場合に、ユーザから送られる選択信号が入力される入力部と、選択信号の入力がない場合には選択されたデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに選択情報を変更し、選択信号が入力される場合には、選択信号に応じてユーザが選択したデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに選択情報を変更する制御回路と、再生指示に応じてデータを再生し、再生結果を出力する再生回路とを含む。
【0013】
この発明の他の局面に従うと、データ再生装置であって、記録媒体に記録された複数のデータを読出す読出部と、データの各々を再生の対象として選択するか否かを示す選択情報を記憶する記憶部と、選択情報に基づいて選択されたデータを再生し、選択されたデータが再生不可の場合には選択されたデータを以後の再生時に選択しないように選択情報を変更する再生部とを備える。
【0014】
好ましくは、再生部は、選択されたデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに選択情報を変更する制御回路と、再生指示に応じてデータを再生し、再生結果を出力する再生回路とを含む。
【0015】
好ましくは、再生部は、複数のデータに関するデータ情報を表示する表示部と、データ情報に基づいて再生すべきデータをユーザが選択した場合に、ユーザから送られる選択信号が入力される入力部と、選択信号に応じてユーザが選択したデータに対する再生指示を出力する制御回路と、再生指示に応じてデータを再生する再生回路とを含む。
【0016】
より好ましくは、制御回路は、再生回路から受けた再生結果が再生不可を示すときに選択情報を変更する。
【0017】
さらに好ましくは、記憶部は、選択情報を不揮発的に記憶する。
【0018】
さらに好ましくは、記録媒体は、着脱可能な記録媒体であり、選択情報は、記録媒体ごとに設けられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明のデータ再生装置によれば、記憶される判定結果を参照して記録媒体から読出すデータが再生可能か否かを判定し、判定結果が再生可能であることを示す場合には再生前にデータを解析して再生可能なデータを再生するので、再生時にエラーが発生せず、あるデータの再生終了時から次のデータの再生開始時までの待ち時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、この発明のデータ再生装置の構成の一例を示す図である。
【0022】
図1を参照して、ディスク再生装置1は、着脱可能なディスク(図示せず)に記録され、映像や音楽などの情報が圧縮された複数のデータを読出す読出部2と、データの各々を再生の対象として選択するか否かを示す選択情報を不揮発的に記憶するフラッシュメモリ3と、選択情報において選択されたデータを再生し、再生不可の場合には選択されたデータを以後の再生時に選択しないように選択情報を変更する再生部4とを備える。
【0023】
読出部2は、ディスクを回転させるためのディスクドライブ5と、ディスクから情報を読出すためにディスクドライブ5を制御するドライブ制御部6とを含む。ディスクドライブ5はたとえばスピンドルモータである。ドライブ制御部6は、モータ制御回路や半導体レーザやピックアップ装置などを含む。ドライブ制御部6で読出されたデータは再生部4に送られる。
【0024】
フラッシュメモリ3は選択情報の他に、たとえばディスク再生装置1の動作を制御するための各種プログラムを記憶してもよい。なお、フラッシュメモリ3はこの発明における記憶部であるが、記憶部はフラッシュメモリに限定される必要はなく、たとえば不揮発性の記憶装置であればEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やハードディスクであってもよい。また、選択情報を記憶する記憶部は電源が常時供給されるのであれば、たとえばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置であってもよい。
【0025】
再生部4は、各部の動作を集中的に制御および監視するためのCPU(Central Processing Unit)7と、ドライブ制御部6から送られるデータやCPU7の処理結果を一時的に格納するためのRAM8と、RAM8に記憶されるデータを復号して再生するデコーダ部9と、曲名やファイル名などディスクに記録されたデータに関する情報を表示する表示部10と、表示部10に表示された情報に基づいて再生すべきデータをユーザが選択した場合に、たとえばリモコン(図示せず)や操作ボタン(図示せず)等の手段によってユーザから送られる指示(選択信号)が入力される指示入力部11とを含む。ディスク再生装置1における各ブロックは内部バス12によって接続される。
【0026】
なお、CPU7は選択情報において選択されたデータやユーザによって選択されたデータに対する再生指示を出力し、デコーダ部9から受けた再生結果が再生不可を示す場合に選択情報を変更する。また、CPU7の動作の詳細な説明は後述する。
【0027】
デコーダ部9はCPU7から再生指示を受け、選択されたデータを再生して再生結果を出力する。
【0028】
この発明におけるデータ再生装置の処理を要約すると次のとおりである。CPU7はフラッシュメモリ3から選択情報を取得する。CPU7は選択情報において選択されたデータについてのみデータを再生するための再生指示を出力する。デコーダ部9は再生指示を受けてデータを再生し、再生結果を出力する。再生結果が再生不可を示す場合、CPU7は選択情報を変更する。再生不可となったデータは以後再生されず、再生可能なデータのみが再生される。
【0029】
図2は、図1のフラッシュメモリ3に記憶される選択情報の一例を示す図である。
【0030】
図2を参照して、図示されないディスク(ディスクDISC1とする)にはFILE1〜10の10個のデータファイル(以下、単に「ファイル」と称する)が記録されているものとする。ファイルリストFL1はディスクDISC1に記録されているファイル名の一覧を示したものである。
【0031】
図1のフラッシュメモリ3にはデータD1とデータD2とが記憶される。データD1およびデータD2は選択情報に相当する。データD1は過去に再生されたディスクのディスク名と各ディスク名に対応する識別子とを含む。データD2はデータD1が有する識別子と、識別子に対応するファイル名と、各ファイルに対して再生可否が判定された結果を示すフラグとを含む。ファイルが再生不可であればフラグは「0」を示し、ファイルが再生可能であればフラグは「1」を示す。よって図2に示される例では、ディスクDISC1に記録されたファイルのうち、ファイルFILE2、FILE6が再生不可能なファイルである。
【0032】
ファイルリストFL2は図1のCPU7がディスクDISC1の選択情報を取得して再生可能と判定したファイルを示す。ファイルリストFL2はファイルリストFL1からFILE2,FILE6の2つのファイル名が除かれたファイルリストになる。
【0033】
図3は、図1のディスク再生装置1の処理を詳細に示すフローチャートである。
【0034】
図3を参照して、まずステップS1では図1のディスク再生装置1に挿入されたディスクの種別が判定されるディスク種別判定処理が行なわれる。説明の便宜上、以下ではディスクがCD−ROMか否かが判定されるものとする。
【0035】
ステップS1において、CPU7は挿入されたディスクがCD−ROMであるか否かを判定するためドライブ制御部6に識別信号を出力する。ドライブ制御部6は識別信号を受けると、たとえばDVD用半導体レーザとCD用半導体レーザのうちCD用半導体レーザを選択する。CD用半導体レーザはディスクに対してレーザ光を照射し、ピックアップ装置はディスクが反射した光を受ける。ピックアップ装置は受けた光を電気信号に変換して検出結果として出力する。
【0036】
次にステップS2において、CPU7は検出結果を受け、ディスクがCD−ROMであるか否かを判定する。ステップS2においてCPU7はディスクがCD−ROMであると判定すればステップS3においてディスク(CD−ROM)からディスク名を取得する。一方、ステップS2においてCPU7はディスクがCD−ROMではないと判定すれば、ステップS4において、ディスク再生装置に挿入されたディスクがCD−ROMを除いた各種のディスク(たとえばDVDやCD−Rなど)のいずれであるかを判定する処理(別種ディスク判定処理)を行なう。
【0037】
ステップS3に続きステップS5では、CPU7はフラッシュメモリ3に記憶されているディスク名を検索する。次にステップS6において、CPU7はディスク名が既にフラッシュメモリ3に記憶されていると判定すれば、ステップS11において再生処理を行なう。ステップS11における再生処理については後述する。
【0038】
一方、ステップS6において、CPU7はディスク名がフラッシュメモリ3に記憶されていないと判定すればステップS7においてファイル名に含まれる拡張子を取得する。
【0039】
さらにステップS7において、CPU7は取得した拡張子が再生可能な種類の拡張子であるか否かを判定する。たとえばディスク再生装置1がMP3形式で圧縮された音楽データを再生することができる場合、CPU7は取得した拡張子の中に「MP3」という拡張子が存在するか否かを判定する。
【0040】
ステップS7において再生可能な種類の拡張子が存在する場合、ステップS8においてCPU7は再生可能な種類の拡張子を含むファイル名を抽出する。一方、ステップS7において再生可能な種類の拡張子が存在しない場合、ステップS9においてディスクに再生可能なデータが記録されていないことをユーザに知らせるためのエラー表示処理が行なわれる。エラー表示処理において、CPU7は表示部10にエラー表示指示を送り、表示部10は、たとえば「読み取りエラー」等の表示を行なう。
【0041】
ステップS8に続きステップS10において、CPU7はフラッシュメモリ3にディスク名、識別子、ファイル名およびフラグを転送する。フラッシュメモリ3は図2に示されるデータD1、D2の形式に従ってこれらの情報を記憶する。なお、ステップS7、S8における処理は、該当のディスクがディスク再生装置で初めて再生される場合に行なわれる処理であるので、フラッシュメモリ3に記憶されるフラグは初期値に設定される必要がある。よってステップS10においてフラグはデータが再生可能であることを示す「1」に設定される。
【0042】
ステップS10に続き、CPU7はステップS11において再生処理を行なう。
【0043】
図4は、図3のステップS11における再生処理を示すフローチャートである。
【0044】
図4を参照して、ステップS21ではCPU7は処理状態がファイルリスト取得状態であるか否かを判定する。CPU7の処理状態は、たとえば図1のRAM8に記憶され、CPU7によって更新されるものとする。なお、「ファイルリスト取得状態」とは後述するように、フラッシュメモリ3に記憶される選択情報に基づいて、CPU7が再生処理の対象となるファイルのリストをフラッシュメモリ3から取得する処理を行なっている状態を示す。
【0045】
ステップS21において処理状態がファイルリスト取得状態である場合、ステップS22においてCPU7はフラッシュメモリ3からファイルリストを取得する。ファイルリストとは、あるディスクに記録されたファイルのうち再生可能なファイルのファイル名の一覧であり、たとえば図2に示されるファイルリストFL2である。
【0046】
ステップS22に続いてステップS23では、CPU7は処理状態を再生可能判定状態に設定する。「再生可能判定状態」とは、再生対象のデータが再生可能であるか否かを判定する処理(再生可能判定処理)が行なわれている状態である。処理状態が再生可能判定状態に設定されると、処理は再びステップS21に戻る。
【0047】
一方、ステップS21において処理状態がファイルリスト取得状態でない場合、ステップS24においてCPU7は処理状態が再生可能判定状態か否かを判定する。処理状態が再生可能判定状態である場合、ステップS25においてCPU7はファイルが再生可能か否かを判定し、判定した結果が再生不可であれば選択情報を変更する再生可能判定処理を行なう。再生可能判定処理の詳細は後述する。
【0048】
たとえばディスクの初回再生時には、ディスクに記録されたファイルが拡張子のみによって判断されて再生可能であると選択情報に設定されている。また、選択情報では再生不可と示されるファイルであってもユーザにより再生対象のファイルに指定される可能性がある。これらの場合に、ファイルが再生されるとエラーが発生する可能性がある。よって再生エラーが生じないように再生可能判定処理が行なわれる。
【0049】
ステップS25に続いてステップS26ではCPU7は処理状態を再生開始処理状態に設定する。処理状態が再生開始処理状態に設定されると、処理は再びステップS21に戻る。
【0050】
ステップS24において処理状態が再生可能判定状態でない場合、ステップS27においてCPU7は処理状態が再生開始処理状態か否かを判定する。再生開始処理状態とは、ユーザが映像や音楽を視聴するための再生処理が行なわれる状態である。
【0051】
処理状態が再生開始処理状態であれば、ステップS28においてCPU7は再生開始処理を行なう。再生開始処理においてCPU7はファイルの再生を開始するための指示を出力する。デコーダ部9はCPU7から指示を受けるとデータの再生を開始する。ステップS28に続いてステップS29ではCPU7は処理状態を再生処理待ち状態に設定する。ステップS29での処理が終了すると処理は再びステップS21に戻る。
【0052】
ステップS27において処理状態が再生開始処理状態でない場合、ステップS30においてCPU7は処理状態が再生終了待ち状態か否かを判定する。「再生終了待ち状態」とは、ファイルが再生されている状態である。ステップS30において処理状態が再生終了待ち状態である場合、処理は再びステップS21に戻る。
【0053】
一方、ステップS30において処理状態が再生終了待ち状態でない場合、ステップS31においてCPU7は再生が終了したか否かを判定する。
【0054】
ステップS31においてファイルの再生が終了していない場合、処理はステップS21に戻る。一方、ステップS31において再生が終了した場合、ステップS32においてCPU7はファイルリスト中のすべてのファイルの再生が終了したか否かを判定する。
【0055】
ステップS32において、再生されていないファイルが残っている場合(ステップS32においてNOの場合)、ステップS33においてCPU7は次のファイルの番号を指定し、ステップS34において処理状態を再生可能判定状態に設定する。処理状態が再生可能判定状態に設定されると、処理はステップS21に戻る。
【0056】
一方、ステップS32においてすべてのファイルの再生が終了した場合、ステップS35においてCPU7は再生停止処理を行なう。ステップS35に続いてステップS36ではCPU7は処理状態を停止状態に設定する。
【0057】
図5は、図4のステップS22におけるファイルリスト取得処理を示すフローチャートである。
【0058】
図5を参照して、処理が開始されるとまずステップS41においてCPU7はフラッシュメモリ3を検索し、挿入されたディスクに記録されているすべてのファイルのファイル名が含まれるファイルリストを表示するよう表示部10に指示する。表示部10はCPU7から指示を受けてファイルリストを表示する。ファイルリストはユーザが再生可能なファイルと再生不可能なファイルとを容易に区別することができるよう、たとえば再生可能なファイルと再生不可能なファイルとで色を変えて表示される。
【0059】
次にステップS42において、CPU7は選択信号が入力されたか否かによって、ユーザがファイルを選択したか否かを判定する。ステップS42においてユーザがファイルを選択していない場合、ステップS43においてCPU7はフラッシュメモリ3を検索し、該当のファイル名に対するフラグを取得し、そのファイルが再生可能であるか否かを判定する。一方、ユーザがファイルを選択した場合、指示入力部11は受けた選択信号をCPU7に送る。ステップS44においてCPU7は選択信号に応じてユーザが選択したファイル名を含むファイルリストを作成する。
【0060】
ステップS43に続いてステップS45ではCPU7はフラッシュメモリ3に記憶されているフラグを参照してディスクに記録されたすべてのファイルを再生するか否かを判定する。ステップS45においてすべてのファイルを再生する場合にはステップS46においてCPU7はそのディスクのすべてのファイル名が含まれたファイルリストを作成する。
【0061】
ステップS43において再生不可と判定されたファイルが存在する場合、処理はステップS45からステップS47に進む。ステップS47においてCPU7はフラグが再生可能を示すファイル名のみからなるファイルリストを作成する。
【0062】
CPU7はステップS44,S46,S47のそれぞれに示される処理を行なった後、ステップS48において、作成したファイルリストの中で再生すべきファイルの番号を決定する。番号はたとえばリストの先頭から順に決定される。また、ランダム再生の場合であれば番号はリストの中からランダムに決定される。あるいはプログラム再生の場合であれば番号は予めユーザによって指定された順序に従って決定される。
【0063】
図6は、図4のステップS25における再生可能判定処理を示すフローチャートである。
【0064】
図6を参照して、処理が開始されると、まずステップS51において、ファイル判定処理が行なわれる。CPU7は図5のステップS48において再生すべきファイルが決定されたことに応じてデコーダ部9に再生指示を送る。デコーダ部9は再生指示を受けて、データを再生し、再生結果を出力する。
【0065】
なお、デコーダ部9はユーザには再生音声や再生画像が出力されないように仮に再生させた結果を再生結果として出力してもよいし、再生結果を出力するまでの時間を短縮するため、再生指示を受けて取得した圧縮形式やビットレート(たとえば圧縮形式がMP3でありビットレートが128kbps)等の情報を再生結果として出力してもよい。CPU7はデコーダ部9から再生結果を受け該当のファイルが再生可能であるか否かを判定する。
【0066】
次にステップS52においてCPU7はファイルが再生可能と判定すれば処理を終了する。再生可能と判定されたファイルは図4のステップS28において再生開始処理が行なわれると再生される。
【0067】
一方、ステップS52においてCPU7はファイルが再生不可と判定する場合、ステップS53においてフラッシュメモリ3に記憶されている該当のファイルのフラグを再生不可を示す「0」に設定する。再生不可能と判定されたファイルは再生されない。
【0068】
図5のステップS44において作成されたファイルリストにはユーザが選択したファイルのファイル名が含まれているので、再生できないファイルがリストに含まれる可能性がある。この場合でもステップS51〜S53の処理によって再生できないファイルについては、フラッシュメモリ3に記憶されている選択情報のフラグは再生不可を示す「0」に設定される。つまり、ステップS51〜S53の処理においてユーザが選択したファイルの再生結果が再生不可である場合にも選択情報は更新される。
【0069】
また、ディスクの記録面に付着した埃や汚れを除去することによって、以前には再生できなかったファイルが再生可能になる場合がある。このようなファイルに対する選択情報を更新するため、たとえばステップS52でファイルが再生可能と判定される場合(ステップS52においてYESの場合)に、ステップS52に続いてフラグを再生可能を示す「1」に変更する処理が追加されてもよい。
【0070】
ステップS53に続いてステップS54では、CPU7は次に判定処理を行なうファイルの番号を設定する。ステップS54での処理が終了すると再びステップS51においてファイル判定処理が行なわれる。
【0071】
なお、実施の形態1の説明においてこの発明のデータ再生装置の適用例としてディスク再生装置を説明したが、このディスクはDVD等の再生装置に着脱可能なディスクであると限定される必要はなく、たとえばハードディスクであってもよい。データ再生装置がハードディスクに記録されたデータを再生する場合、図2のデータD1にはディスク名に代えて、たとえばファイルの格納場所を示すフォルダ名が記憶されてもよい。また、記録媒体はディスクに限定される必要はなく、たとえばメモリカード等であっても、この発明のデータ再生装置は同様に適用可能である。
【0072】
また、ディスクの記録面に生じた傷によってファイルの再生ができなくなる場合や、汚れの除去によってファイルの再生が可能になる場合がある。これらの場合に対応して選択情報を随時更新するためには、たとえば図4のステップS31とステップS32との間にファイルの再生結果に応じて選択情報のフラグを更新する処理を追加すればよい。
【0073】
以上のように実施の形態1によれば、フラッシュメモリに予め記憶されたファイルの再生結果に基づいて再生可能なファイルのリストを作成し、さらにそのリストに従って該当のファイルが再生可能か否かを予め判定した上でデータを再生することによって、再生不可能なデータを再生し続けるという問題が発生しないので、再生開始までの待ち時間を短縮することが可能になる。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明のデータ再生装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図1のフラッシュメモリ3に記憶される選択情報の一例を示す図である。
【図3】図1のディスク再生装置1の処理を詳細に示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS11における再生処理を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS22におけるファイルリスト取得処理を示すフローチャートである。
【図6】図4のステップS25における再生可能判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 ディスク再生装置、2 読出部、3 フラッシュメモリ、4 再生部、5 ディスクドライブ、6 ドライブ制御部、7 CPU、8 RAM、9 デコーダ部、10 表示部、11 指示入力部、12 内部バス、D1,D2 データ、DISC1 ディスク、FL1,FL2 ファイルリスト、S1〜S54 ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な記録媒体に記録された複数のデータを読出す読出部と、
前記記録媒体ごとに設けられる情報であって、前記データの各々を再生の対象として選択するか否かを示す選択情報を不揮発的に記憶する記憶部と、
前記選択情報に基づいて選択されたデータを再生し、前記選択されたデータが再生不可の場合には前記選択されたデータを以後の再生時に選択しないように前記選択情報を変更する再生部とを備え、
前記再生部は、
前記複数のデータに関するデータ情報を表示する表示部と、
前記データ情報に基づいて再生すべきデータをユーザが選択した場合に、前記ユーザから送られる選択信号が入力される入力部と、
前記選択信号の入力がない場合には前記選択されたデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに前記選択情報を変更し、前記選択信号が入力される場合には、前記選択信号に応じて前記ユーザが選択したデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに前記選択情報を変更する制御回路と、
前記再生指示に応じてデータを再生し、前記再生結果を出力する再生回路とを含む、データ再生装置。
【請求項2】
記録媒体に記録された複数のデータを読出す読出部と、
前記データの各々を再生の対象として選択するか否かを示す選択情報を記憶する記憶部と、
前記選択情報に基づいて選択されたデータを再生し、前記選択されたデータが再生不可の場合には前記選択されたデータを以後の再生時に選択しないように前記選択情報を変更する再生部とを備える、データ再生装置。
【請求項3】
前記再生部は、
前記選択されたデータに対する再生指示を出力して受けた再生結果が再生不可を示すときに前記選択情報を変更する制御回路と、
前記再生指示に応じてデータを再生し、前記再生結果を出力する再生回路とを含む、請求項2に記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記再生部は、
前記複数のデータに関するデータ情報を表示する表示部と、
前記データ情報に基づいて再生すべきデータをユーザが選択した場合に、前記ユーザから送られる選択信号が入力される入力部と、
前記選択信号に応じて前記ユーザが選択したデータに対する再生指示を出力する制御回路と、
前記再生指示に応じてデータを再生する再生回路とを含む、請求項2に記載のデータ再生装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記再生回路から受けた再生結果が再生不可を示すときに前記選択情報を変更する、請求項4に記載のデータ再生装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記選択情報を不揮発的に記憶する、請求項2から5のいずれか1項に記載のデータ再生装置。
【請求項7】
前記記録媒体は、着脱可能な記録媒体であり、
前記選択情報は、前記記録媒体ごとに設けられる、請求項6に記載のデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−107580(P2006−107580A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290257(P2004−290257)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】