説明

データ再生装置

【課題】 信号成分が減衰せずに、ジッタを削減できるデータ再生装置を提供する。
【解決手段】 信号を複数の状態に判別する状態検出回路101と、信号の高域を減衰する高域減衰回路102と、状態検出回路101の状態に応じて第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104に重みを設定するゲイン設定回路105とを備え、ジッタの影響を多く受ける状態のときは第2の重み付け回路104の重み付けを大きくし、そうでないときは第1の重み付け回路103の重み付けを大きくすることにより、信号成分を減衰させずにジッタを高い帯域まで削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ再生装置に関し、より詳細には、データ再生装置における再生信号のジッタを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、扱う情報量の増大に伴い、磁気記録再生装置の記憶容量が急速に増大しており、これに対応するため記録媒体の記録密度の増加が図られている。記録密度の増加はデータ品質の悪化を招くことになり、データの信頼性が損なわれることから、最近では磁気記録面に対して、垂直にデータを記録する垂直磁気記録方式が注目されている。
【0003】
垂直磁気記録方式は、従来の水平記録方式に比較して、記録面積が少なくなるという効果を有する一方で、磁気媒体表面の磁性体の粒子の大きさが均一でないことや、同一方向に磁化された粒子群である磁気クラスタに起因する媒体のノイズが課題とされている。このようなノイズへの対策としては、媒体から読み出された信号のジッタを、適応等化を用いて抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図12は、適応等化を用いたジッタ抑制を説明する図である。図12において、記録媒体から読み込まれた信号は、図示しないアンプなどを通して、図示しないAD変換器により適切なタイミングでサンプリングされる。サンプリングされたデジタルデータは、等化回路1201により後段に設けられる2値化回路1204で2値化しやすいよう等化される。この等化を、特にジッタの削減に重点を置いて行う。等化誤差検出回路1202は、ジッタの影響が強いゼロクロス付近についての等化誤差を求める。等化制御回路1203は等化誤差検出回路1202の出力する誤差が最も小さくなるように、等化回路1201の係数を制御する。
【0005】
このように従来のジッタ抑制方法は、ジッタ量を検出し係数を学習するといったフィードバック制御を用いてジッタ抑制を行っている。
【特許文献1】特開平9−73726号公報(第3−8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のジッタ抑制方法では、フィードバックループにおいて、等化回路1201、等化誤差検出回路1202、及び等化制御回路1203による演算の遅延が生じ、この制御系のループゲインを大きくすることが出来なかった。このため、制御できる周波数帯域を広くすることが出来ず、高い周波数帯域のジッタを除けないという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたものであり、高周波数帯域まで広がるジッタを抑制することができるデータ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のデータ再生装置は、記録媒体から読み出された信号を標本化して得られるデジタルサンプリング信号の高域成分を除去する高域減衰回路と、前記デジタルサンプリング信号の状態を検出する状態検出回路と、前記デジタルサンプリング信号に対して重み付けを行う第1の重み付け回路と、前記高域減衰回路から出力される信号に対して重み付けを行う第2の重み付け回路と、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の重み付けを設定するゲイン設定回路と、前記第1の重み付け回路から出力される信号と、前記第2の重み付け回路から出力される信号とを加算する加算回路と、を備え、前記ゲイン設定回路は、前記状態検出回路が出力する状態に応じて、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の各々に対して重み付けを設定するものである。
これにより、高域遮断によってジッタを抑制された信号と、元の再生信号とを信号の状態に応じて異なる重み付けを行い、両者を加算することにより、高域の信号を残したまま、ジッタを削減することが出来る。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のデータ再生装置は、記録媒体から読み出された信号を標本化して得られるデジタルサンプリング信号の高域成分を除去する高域減衰回路と、前記デジタルサンプリング信号の状態を検出する状態検出回路と、前記デジタルサンプリング信号に対して重み付けを行う第1の重み付け回路と、前記高域減衰回路から出力される信号に対して重み付けを行う第2の重み付け回路と、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の重み付けを設定するゲイン設定回路と、前記第1の重み付け回路から出力される信号と、前記第2の重み付け回路から出力される信号とを加算する加算回路と、前記加算回路から出力される信号を等化する等化回路と、前記加算回路から出力される信号、及び前記等化回路から出力される信号により、該等化回路の等化係数を演算する等化係数学習回路と、前記等化係数学習回路から出力される等化誤差により、前記デジタルサンプリング信号におけるジッタ量を検出するジッタ検出回路とを備え、前記ゲイン設定回路は、前記状態検出回路が出力する状態と、前記ジッタ検出回路が出力するジッタ量とに応じて、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の各々に重み付けを設定するものである。
これにより、高域遮断によってジッタを抑制された信号と、元の再生信号とを信号の状態に応じて異なる重み付けを行い、両者を加算することにより、高域の信号を残したまま、ジッタを削減することが出来る。また、ジッタ削減の後に等化を行うことにより、歪みの少ない信号が得られる。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載のデータ再生装置は、請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、前記状態検出回路が検出する状態は、前記デジタルサンプリング信号がゼロクロス付近である状態か、ゼロクロス付近でない状態かのいずれかであることを特徴とするものである。
これにより、ジッタの影響が大きいゼロクロス付近の状態の信号と、ジッタの影響が小さいゼロクロス付近でない状態の信号に、異なる重み付けを行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載のデータ再生装置は、請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、前記状態検出回路は、前記デジタルサンプリング信号の連続する複数のサンプルと、予測されるパターンとの誤差を演算する複数のパターン誤差検出回路と、前記複数のパターン誤差検出回路から出力される複数の誤差信号の大きさを比較し、誤差が最小であるパターンを検出する誤差最小パターン検出回路とを備え、前記誤差が最小であるパターンを前記デジタルサンプリング信号の状態として検出するものである。
これにより、1つのサンプルのみを用いて状態を検出する場合よりも、より詳細で確かな状態判別を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載のデータ再生装置は、請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、前記高域減衰回路は、伝達関数が(1+2・D+D・D)・Aである、ここで、・は乗算を表し、Dは遅延演算子であり、Aは任意の値である、ことを特徴とするものである。
これにより、高域遮断によってジッタが抑制された信号を生成することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載のデータ再生装置は、請求項2に記載のデータ再生装置において、前記ジッタ検出回路は、ゼロクロス付近である状態の等化誤差と、ゼロクロス付近でない状態の等化誤差を、各々ゼロクロス付近である状態のジッタ量、ゼロクロス付近でない状態のジッタ量として検出し、前記ゲイン設定回路は、前記ゼロクロス付近である状態のジッタの大きさと、前記ゼロクロス付近でない状態のジッタの大きさとを比較し、その比較結果と、各々のジッタの大きさとに基づいて、前記第1の重み付け回路及び、前記第2の重み付け回路への重み付けを決定するものである。
これにより、より適切な重み付けを設定できるので、ジッタを一層効果的に削減することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるデータ再生装置によれば、高域遮断によってジッタを抑制された信号と、元の再生信号とに対して信号の状態に応じて異なる重み付けを行い、両者を加算することにより、高域の信号を残したまま、ジッタを削減することが可能となる。
【0015】
また、ジッタ削減の後に等化を行うこととしたので、歪みの少ない信号が得られるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかるデータ再生装置の実施の形態を、図面とともに詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるデータ再生装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1によるデータ再生装置100は、状態検出回路101と、高域減衰回路102と、第1の重み付け回路103と、第2の重み付け回路104と、ゲイン設定回路105と、加算回路106と、等化回路107と、2値化回路108とを有している。
【0018】
状態検出回路101は、サンプリングされたデジタル信号S1が、現在どのような状態であるかを検出するものである。高域減衰回路102は、サンプリングされたデジタル信号S1の高域部分を減衰するものである。第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104はそれぞれ、入力された信号に重み付けを行うものである。ゲイン設定回路105は、デジタル信号S1の状態に基づいて、第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104に対して所定の重みを設定するものである。加算回路106は、二つの重み付け回路の出力信号を加算するものである。等化回路107は、加算回路106の出力信号をフィルタリングするものである。2値化回路108は、等化回路107の出力信号を2値化するものである。
【0019】
次に、動作について説明する。
図1において、記録媒体から読み出された信号は、図示しないアンプによりその振幅が調整された後、前段等化器(図示せず)により、パーシャルレスポンス クラス1(PR(1、1))型か、それに近い型に等化され、図示しないAD変換回路により適切なタイミングでサンプリングされる。サンプリングされたデジタル信号S1は、状態検出回路101、高域減衰回路102、及び第1の重み付け回路103に入力される。
【0020】
状態検出回路101は、デジタル信号S1の状態を検出し、ゲイン設定回路105へ出力する。また、高域減衰回路102は、デジタル信号S1の高域部分を減衰させて、第2の重み付け回路104に入力する。
【0021】
ゲイン設定回路105は、状態検出回路101から入力されたデジタル信号S1の状態に基づいて、第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104へ重みをそれぞれ設定する。例えば、デジタル信号S1の状態がゼロクロス付近である場合は、第1の重み付け手段103の重みを0.2、第2の重み付け手段104の重みを0.8というように設定する。
【0022】
第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104は、それぞれ、上記サンプリングされたデジタル信号S1と、高域減衰回路102により高域部分を減衰された信号S2とに対して重み付けを行い、加算回路106へ出力する。加算回路106は、入力された二つの信号を加算し、等化回路107へ出力する。
【0023】
等化回路107は、後段の2値化回路108で2値化しやすいように、加算回路106の出力信号S3をフィルタリングし、再度PR(1、1)型に等化する。等化回路107の出力信号S4は、2値化回路108に入力され、2値化回路108は、該フィルタリングされた信号を、最尤復号法により2値化する。
【0024】
以上の動作における信号処理について、図6を用いて説明する。
図6(a)はジッタの無いデジタル信号S1を表す図である。上述のようにデジタル信号S1は、PR(1,1)型に等化されているので3値になっているのがわかる。図6(b)はジッタがある場合のデジタル信号S1を表す図である。ジッタによって振幅方向のずれが生じており、特に、3値の内、上側と下側の誤差より、ゼロクロス(中間値)の誤差の方が大きいことがわかる。これは、ゼロクロス付近の方が、信号の傾きが大きく、ジッタの影響を大きく受けるためである。
【0025】
図6(c)は、高域減衰回路102の出力信号S2、すなわち、ジッタのあるデジタル信号S1に、高域減衰を適用した信号を表す図である。高域減衰を適用すると、ジッタによる振幅のずれ量が減少するが、信号の高域成分も減衰するので、S/Nは良化しない。
【0026】
図6(d)は、加算回路106の出力信号S3、すなわち、ジッタの影響が大きいゼロクロス付近の信号は高域減衰した信号の比率を大きくし、ゼロクロス付近でない信号は、元のデジタル信号S1の比率を大きくして、両信号を合成した信号を表す図である。図6から明らかなように、加算回路106の出力信号S3は、信号の減衰が抑えられ、かつ、ジッタの影響が削減されたものとなる。また、この信号処理では、フィードバックによる遅延も生じないので、高帯域に存在するジッタも抑制できる。
【0027】
次に、本実施の形態1のデータ再生装置100の詳細な構成、及び動作について説明する。
まず、状態検出回路101について説明する。
【0028】
状態検出回路101は、デジタル信号S1が現在どのような状態にあるかを判断する回路である。デジタル信号S1は、上述のように、図示しない前等化器によって、PR(1,1)か、それに近い型に等化されており、AD変換回路によるサンプリングが適切に行われているとすれば、その信号は図2に示すように3値になる。状態検出回路101によるデジタル信号S1の状態判断は、例えば、この3値をそれぞれ状態A,状態B,状態Cとして検出し、デジタル信号S1がゼロクロス付近であるか否かを判断することができる。このような判断は、例えば、状態Aと状態Bとを所定の閾値で判別し、同様に状態Bと状態Cとを所定の閾値で判別することにより行うことができる。
【0029】
また、状態検出回路101によるデジタル信号S1の状態判断は、上記3値を用いた状態判断の他、デジタル信号S1の連続するサンプル値と、予測される複数の信号パターンとの誤差を演算し、その演算結果のうち、誤差が最小であったパターンを、デジタル信号S1の状態として出力しても良い。以下、予測される複数の信号パターンとの誤差演算によりデジタル信号S1の状態判断を行なう状態検出回路101について説明する。
【0030】
図3は、状態検出回路101の構成を表す図である。図3において、状態検出回路101は、パターン誤差検出回路301と、誤差最小パターン検出回路302とを有している。
【0031】
パターン誤差検出回路301は、予測される複数の信号パターンと入力されるデジタル信号S1との誤差を、予測される複数の信号パターン毎に演算するものであり、予測信号パターンの数に応じて、n個のパターンPn誤差検出回路301(n)を備えている。ここで、本実施の形態1では、連続する3つのサンプルを用いて状態判断を行うこととしており、この場合予測信号パターンの数は、3の3乗=27種類となる。つまり、パターン誤差検出回路301は、27個のパターンPn誤差検出回路301(n)を備えている。
【0032】
図4(a)は、パターンPn誤差検出回路301(n)の構成を表す図である。
パターンPn誤差検出回路301(n)は、遅延器401,402と、減算器403,404,405と、絶対値演算器406,407,408と、加算器409とを有しており、パターンPn誤差検出回路301(n)に入力されたデジタル信号S1は遅延器401,402を使って連続する3つのサンプル値について評価できる構成になっている。
【0033】
次に、状態検出回路101の動作について説明する。
状態検出回路101に入力したデジタル信号S1は、パターンPn誤差検出回路301(1)〜(27)にそれぞれ入力される。
【0034】
各パターンPn誤差検出回路301(1)〜(27)では、デジタル信号S1が、順次遅延器401と402に入力される。そして、入力されたデジタル信号S1、遅延器401の出力、及び遅延器402の出力は、それぞれ減算器403、減算器404、減算器405へ入力される。減算器403、減算器404、減算器405のもう一つの入力端子には連続する3つのサンプルの推定値X,推定値Y,推定値Zが入力される。
【0035】
ここで、この推定値X,推定値Y,推定値Zはパターンによって異なる。例えば図4(b)のパターンP22の場合は、推定値X,推定値Y,推定値Zへの入力はそれぞれ、図4(b)の目標値C,目標値B,目標値Aとなる。また、図4(b)のパターンP18の場合は、推定値X,Y,Zはそれぞれ目標値B,目標値C,目標値Cとなる。上述のように、連続する3つのサンプルを用いる場合、パターンは全部で3の3乗=27種類ある。表1にすべてのパターンに対応する推定値の例を示す。
【表1】

【0036】
各減算器403,404,405によって演算された推定値とサンプル値との誤差は、それぞれ絶対値演算器406,407,408へ入力され、それぞれの絶対値が算出される。絶対値演算器406,407,408の出力は加算器409にて加算され、連続する3つのサンプル値と、連続する3つの推定値(パターン)との誤差の大きさが算出される。パターンPn誤差検出回路301(1)〜(27)は、算出した誤差量を、誤差最小パターン検出回路302に出力する。
【0037】
誤差最小パターン検出回路302は、パターンPn誤差検出回路301(1)〜(27)から出力される各誤差量をそれぞれ比較し、誤差が最小であるパターンを、デジタル信号S1の状態として出力する。例えばパターンP1の誤差が56、パターンP2の誤差が78、パターンP3の誤差が9、パターンP4の誤差が67、その他のパターンの誤差が全て50より大きい場合、パターンP3を表す値を出力する。このような構成にすることで、1つのサンプルのみを用いて状態を検出する場合よりもユークリッド距離を長くすることができるので、より詳細で確かな状態判別を行うことが可能となる。
【0038】
次に、高域減衰回路102について図5を用いて説明する。
図5は、高域減衰回路102の構成を表す図である。高域減衰回路102は、図5に示すようなFIR(Finite impulse response)フィルタで構成されている。高域減衰回路102に入力されたデジタル信号S1は、遅延器501,502を用いて、連続する3つのサンプルのタップ入力となる。各タップ入力は乗算器503,504,505へ入力され、各乗算器503,504,505のもう一方の入力端子には、係数A,係数B,係数Cが入力される。各乗算器503,504,505の出力は加算器506へ入力され高域減衰回路102の出力S2となる。係数A,係数B,係数Cは高域減衰特性になるような値が設定される。本実施例では〔1,2,1〕/4を設定する。つまり、係数Aは1/4、係数Bは2/4、係数Cは1/4を設定する。この係数を設定した高域減衰回路102を通過したデジタル信号S1は、高域成分が減衰される。
【0039】
次にゲイン設定回路105について図1、図3、図4を用いて説明する。
図1において、ゲイン設定回路105は、状態検出回路101から入力されたデジタル信号S1の状態に応じて、第1の重み付け回路103と、第2の重み付け回路104へ重みを設定する。
【0040】
ここで、ゲイン設定回路105は、状態検出回路101が、図2の様に閾値を用いて状態A,B,Cを判別する場合は、各状態A,B,Cに応じて、第1の重み付け回路103と、第2の重み付け回路104へ重みを設定する。例えば、デジタル信号S1の状態が状態Aまたは状態Cの場合は、第1の重み付け回路103の重みを0.7、第2の重み付け回路104の重みを0.3とし、入力デジタル信号S1の比率を大きく設定する。また、デジタル信号S1の状態が状態Bの時には、第1の重み付け回路103の重みを0.2、第2の重み付け回路104の重みを0.8というように、高域減衰回路102の出力信号S2の比率を大きく設定する。
【0041】
一方、状態検出回路101が、図3、図4のようにパターン検出によりデジタル信号S1の状態判断を行う場合は、デジタル信号S1がゼロクロスした場合、つまり、推定値X,Y,Zとして、目標値A,B,C、目標値A,B,B、目標値A,B,A、目標値C,B,A、目標値C,B,B、及び目標値C,B,Cのいずれかをとるパターンの場合に、第1の重み付け回路103の重みを0.2、第2の重み付け回路104の重みを0.8というように、高域減衰回路102の出力信号S2の比率を大きく設定する。それ以外の場合は第1の重み付け回路103の重みを0.7、第2の重み付け回路104の重みを0.3というように、入力デジタル信号S1の比率を大き設定する。これら第1の重み付け回路103、第2の重み付け回路104の重みは、後述する等化回路107の出力の等化誤差が小さくなるように設定する。たとえば、最小2乗法などで繰り返し計算を行っても良い。
【0042】
次に、第1の重み付け回路103、及び第2の重み付け回路104について説明する。
【0043】
第1の重み付け回路103は、デジタル信号S1に、第1の重み付け回路103に設定されている重みをつけて出力する。つまり、『重み付け回路出力=重み付け回路入力×重み』となる。第2の重み付け回路104は、高域減衰回路102の出力信号S2に、第2の重み付け回路104に設定されている重みをつけて出力する。
【0044】
次に、等化回路107について図7を用いて説明する。
等化回路107は、加算回路106の出力信号S3の特性をPR(1,1)型に戻すものである。すなわち、加算回路106の出力信号S3は、上記信号処理によって、信号成分の減衰を抑えつつ、ジッタの影響が削減されたものとなっているが、元のデジタル信号S1と、高域を減衰したデジタル信号S2とを合成したものであるため、PR(1,1)型の特性からずれたものとなっている。等化回路107は、このずれた特性をPR(1,1)型に戻すものである。
【0045】
図7は、等化回路107の構成を示すブロック図である。
等化回路107は、図7に示すように、FIRフィルタにより構成されており、本実施の形態1では、5タップのFIRフィルタを用いている。具体的には、遅延器701,702,703,704と、乗算器705,706,707,708,709と、加算器710とにより構成される。なお、フィルタの係数は、等化回路107の出力がPR(1、1)型に戻るように設定される。
【0046】
次に、等化回路107の動作を説明する。
加算回路106の出力信号S3は、遅延器701,702,703,704に順次入力されて、5つのタップ入力が生成される。各タップ入力は、乗算器705,706,707,708,709それぞれの一方の端子に入力される。乗算器705,706,707,708,709それぞれの他方の入力端子には、図示しないレジスタから係数I、J、K、L、Mが設定される。これらの係数I、J、K、L、Mは、デジタル信号S3の特性をPR(1、1)型にするためのものであり、例えば、実際の信号とその目標値とからウィーナーフィルタ(Wiener Filter)係数を求めて設定することができる。
【0047】
各乗算器705,706,707,708,709は、それぞれのタップ入力と係数とを乗算し、これら演算値は、加算器710にて加算されて等化回路107の出力S4となる。
【0048】
次に、2値化回路108について説明する。
2値化回路108は最尤復号によって最も確からしいデータ系列を出力する。最尤復号とは信号系列間に相関関係があるときに、エラーレートの向上を得られる復号回路で、確率が最も高いデータを復号する。本実施例ではPR(1,1)という信号系列の相関が存在するので、エラーレートの向上が得られる。
【0049】
このように、本実施の形態1によるデータ再生装置は、デジタル信号S1と、高域成分を減衰した該デジタル信号S1とに対して、デジタル信号S1の状態に応じて重み付けを行い、これら重み付けが行われた信号を加算することとしたので、信号の減衰を抑えつつ、ジッタの影響を削減することができる。また、ジッタの影響を削減した後に所定の等化特性を持たせることとしたので、歪みの少ない信号を得ることができる。
【0050】
特に、本実施の形態1のように、ゼロクロス付近に高域減衰した信号の影響を大きく取れば、HDD(Hard Disk Drive)への記録と再生に用いられる垂直記録方式や、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などへの記録と再生に用いられる光記録再生方式、あるいは、DDS(Digital Data Storage)などへの記録と再生に用いられる、長手記録方式と積分再生方式の組み合わせ等による積分再生方式において好ましい効果を得ることができる。
【0051】
また、ゼロクロス付近以外に高域減衰した信号の影響を大きく取れば、HDD(Hard Disk Drive)への記録と再生に用いられる、長手記録方式等による微分再生方式において好ましい効果が得られる。
【0052】
なお、本実施の形態1では、加算回路106の出力信号S3の特性を、等化回路107でPR(1,1)型に戻しているが、他の型に等化しても良い、この場合、2値化回路108は等化した型に合う復号回路にする必要がある。たとえば、NPML(Nise Predictive Maximum−Likelihood)を用いる場合にはノイズを白色化するように等化を行うことで、エラーレートの向上を図ることが可能となる。
【0053】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2によるデータ再生装置の構成を示す図である。
本発明の実施の形態2によるデータ再生装置800は、上記実施の形態1によるデータ再生装置100の等化回路107とゲイン設定回路105を、それぞれ、等化回路801とゲイン設定回路804に置換え、さらに等化係数学習回路802と、ジッタ検出回路803とを追加したものである。その他の構成要素については、実施の形態1のデータ再生装置と同一のものであり、このため、実施の形態1と同一の構成要素については、同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0054】
等化回路801は、加算回路106の出力S5を等化するものであり、等化係数学習回路802で演算される係数で加算回路106の出力S5を等化する。等化回路801は、図7に示す実施の形態1の等化回路107と同じ構成を有している。ただし、図7の係数I,J,K,L,Mは等化係数学習回路802にて設定される係数を用いる。等化係数学習回路802は、等化回路801にて用いられる係数を演算するものである。ジッタ検出回路803は、デジタル信号S1のジッタ量を検出するものである。ゲイン設定回路804は、第1の重み付け回路103、及び第2の重み付け回路104へ重みを設定するものであり、状態検出回路101にて検出されるデジタル信号S1の状態と、ジッタ検出回路803から出力されるジッタ量とに基づいて重みの設定を行う。
【0055】
次に、動作について説明する。
状態検出回路101は、入力デジタル信号S1の状態を、図2のように状態A,B,Cのいずれかに判別し、ゲイン設定回路804に出力する。ゲイン設定回路804は、デジタル信号S1の状態に応じて第1の重み付け回路103、第2の重み付け回路104に重みを設定するが、このときの重みの値は、デジタル信号S1の状態がA,B,Cのいずれの場合であっても、第1の重み付け回路103に1.0、第2の重み付け回路104に0.0を設定する。つまり、高域減衰回路102の出力信号S2は用いない。
【0056】
第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104の出力は、加算回路106で加算された後、等化回路801へ入力され、等化係数学習回路802から出力される係数を用いて等化される。
【0057】
等化係数学習回路802は、等化回路への入力信号S5と、等化回路801の出力信号S6とに基づいて、最適な等化係数を演算して等化回路801へ出力する一方で、ジッタ検出回路803に対して、ジッタ量検出に必要となる各種パラメータ値を出力する。
【0058】
ジッタ検出回路803は、デジタル信号S1の各状態に対応する、ジッタによる振幅方向の誤差量(ジッタ量)を検出し、ゲイン設定回路804に出力する。ゲイン設定回路804は、ジッタ検出回路803で検出された各状態のジッタ量を解析し、第1の重み付け回路103と、第2の重み付け回路104へ重みを設定する。そして、第1の重み付け回路103と第2の重み付け回路104は、それぞれ、デジタル信号S1と、高域減衰回路102の出力信号S2とに対して重み付けを行う。以降、上述した動作が行われ、2値化回路108による最尤復号により、尤も確からしいデータが復号される。
【0059】
なお、上記動作において、図示しない制御回路は、等化係数学習回路802が最適な係数を演算すると、等化係数学習回路802の等化係数の更新を停止させ、ゲイン設定回路804が適切な重みの組み合わせを設定すると、等化係数学習回路802の等化係数の更新を再開させる制御を行っている。
【0060】
次に、本実施の形態2のデータ再生装置800の詳細な構成、及び動作について説明する。
【0061】
まず、等化係数学習回路802について説明する。
等化係数学習回路802は、LMSアルゴリズムを用いて最適な等化の係数を演算するものである。ここで、LMSアルゴリズムとは、入力信号値と等化目標値d(n)との二乗誤差が最小となるように係数を演算していく方法であり、その演算式は、以下の(1)式、及び(2)式により表される。
h(n+1)=h(n)+(1/2)μe(n)u(n) …(1)
e(n)=d(n)−uT(n)h(n) …(2)
【0062】
上記(1),(2)式において、h(n)は更新前のフィルタ係数ベクトルを、h(n+1)は更新後のフィルタ係数ベクトルを、μはステップサイズパラメターを、e(n)は、n番目の繰り返し時の誤差信号を、u(n)はn番目の繰り返し時のタップ入力ベクトルを、d(n)は望みの応答を、uT(n)はタップ入力ベクトルの転置をそれぞれ表す。
【0063】
LMSアルゴリズムを動作させると、誤差信号e(n)が最小、つまり等化誤差を最小にするように係数ベクトルh(n)が最適値h0に近づいていく。このアルゴリズムを用いるには、等化器の入出力信号と等化目標値d(n)(望みの応答)が必要となる。本実施の形態2の等化係数学習回路802は、等化器の入出力信号として等化回路801の入出力信号S5と出力信号S6を用い、また、等化回路801の出力信号S6を用いて等化目標値d(n)を生成し、これらの値を用いて最適等化係数を算出する。
【0064】
図9は、等化係数学習回路802の構成を表す図である。等化係数学習回路802は、等化目標値d(n)を生成する等化目標生成回路901と、誤差信号e(n)を演算する等化誤差演算回路902と、更新後のフィルタ係数ベクトルh(n+1)を演算する等化係数演算回路903とを有している。
【0065】
次に、等化係数学習回路802の動作について説明する。
まず、等化目標生成回路901は、等化回路801の出力信号S6を入力し、等化目標値d(n)を生成する。等化目標値d(n)は、多くの方法により生成することができ、例えば、等化回路801の出力信号S6を図2に示すように所定の閾値で状態A,B,Cに判別し、各状態の等化目標値d(n)を目標値A,B,Cと定めることにより、それぞれの状態に応じた等化目標値d(n)を生成することができる。生成された等化目標値d(n)は、等化誤差演算回路902に出力される。
【0066】
等化誤差演算回路902は、上記(2)式に従い、誤差信号e(n)を演算する。ここで、誤差信号e(n)は、上記式(2)から明らかなように、等化目標生成回路901で生成した等化目標値d(n)と、等化回路801の出力信号uT(n)h(n)との差である。等化誤差演算回路902は、かかる減算処理を行い、その演算結果を等化係数演算回路903に出力する。
【0067】
等化係数演算回路903は、等化回路801への入力信号S5と誤差信号e(n)に基づいて、更新後のフィルタ係数ベクトルh(n+1)を演算する。具体的には、上記式(1)の演算を、等化回路801の入力信号S5から生成される等化回路801のタップ入力u(n)と、等化誤差演算回路902の出力である誤差信号e(n)と、等化係数演算回路903で過去(現在)に出力している等化係数である更新前のフィルタ係数ベクトルh(n)と、適応等化の制御が発散しないように任意に設定されるステップサイズパラメターμとを用いて行う。そして、演算結果である等化係数を等化回路801に出力する。また、等化係数学習回路802は、等化係数の演算過程で算出された等化目標値d(n)と誤差信号e(n)とをジッタ検出回路803に出力する。
【0068】
次に、ジッタ検出回路803について図10を用いて説明する。
【0069】
図10は、ジッタ検出回路803の構成を表す図である。
図10に示すように、ジッタ検出回路803は、ジッタ判別回路1001と、上側ジッタ量演算回路1002と、ゼロクロスジッタ量演算回路1003と、下側ジッタ量演算回路1004とを有している。
【0070】
ジッタ判別回路1001は、等化目標値d(n)に応じて、等化誤差e(n)を上側ジッタ量演算回路1002、ゼロクロスジッタ量演算回路1003、下側ジッタ量演算回路1004へ振り分けるものである。上側ジッタ量演算回路1002、ゼロクロスジッタ量演算回路1003、及び下側ジッタ量演算回路1004は、ジッタの定量解析を行うものである。
【0071】
次に、ジッタ検出回路803の動作について説明する。
ジッタ検出回路803へ入力された等化誤差e(n)と等化目標値d(n)は、ジッタ判別回路1001へ入力される。ジッタ判別回路1001は、等化目標値d(n)に応じて、等化誤差e(n)を上側ジッタ量演算回路1002、ゼロクロスジッタ量演算回路1003、及び下側ジッタ量演算回路1004へ振り分ける。例えば、図2における状態A、B、Cの等化目標値d(n)を目標値A、B、Cとする。そして、等化目標値d(n)がC、B、A、Aの順番で入力され、等化誤差がe(1)、e(2)、e(3)、e(4)の順番で入力されたとすると、目標値Cが入力されたときの誤差e(1)は、状態C、つまり3値の内、下側の誤差であることがわかる。同様に、目標値Bが入力されたときの誤差e(2)は、状態Bつまり3値の中心(ゼロクロス)の誤差であることがわかる。このように誤差を判別し、上側ジッタ量演算回路1002、ゼロクロスジッタ量演算回路1003、又は下側ジッタ量演算回路1004へ振り分ける。
【0072】
上側ジッタ量演算回路1002、ゼロクロスジッタ量演算回路1003、及び下側ジッタ量演算回路1004は、振り分けられた誤差の大きさ(絶対値)の一定期間、例えば100個、の平均を求めて出力することで、ジッタによる振幅方向の各状態に対する誤差量を求め、ゲイン設定回路804に出力する。
【0073】
次にゲイン設定回路804について説明する。
ゲイン設定回路804は、ジッタ検出回路803で検出された各状態のジッタ量を解析し、適切な重み付けを設定するものである。以下、ゲイン設定回路804におけるジッタ量の解析、及び重みの設定方法について、図11を用いて説明する。
【0074】
図11はジッタが存在する場合のアイパターンを表す図である。図11において、サンプリング点では3値に分かれているのが観察できる。この3値は、状態A,B,Cに対応している。また、図11から明らかなように、ジッタがある場合には、上側の雑音(状態A)や下側の雑音(状態B)よりも、ゼロクロス付近の雑音(状態C)の方が大きくなっていることがわかる。
【0075】
ゲイン設定回路804は、ジッタ量の解析として、第1の解析と第2の解析とを行う。第1の解析は、上側のジッタ量、ゼロクロス付近のジッタ量、及び下側のジッタ量の全てが、図示しないレジスタに設定される第1の設定値より小さいか否かを判断するものであり、また、第2の解析は、上側のジッタ量がゼロクロス付近のジッタ量より小さく、その差分値が、図示しないレジスタに設定される第2の設定値より大きいか否か、または、下側のジッタ量がゼロクロス付近のジッタ量より小さく、その差分値が前記第2の設定値より大きいか否かを判断するものである。
【0076】
ゲイン設定回路804は、第1の解析の結果、上側(状態A)のジッタ量、ゼロクロス付近(状態B)のジッタ量、及び下側(状態C)のジッタ量の全てが、前記第1の設定値より小さい場合は、現在の重み、すなわち、第1の重み付け回路103の1.0と第2の重み付け回路104の0.0の設定を維持する。これは、ジッタ量が少なく、これ以上重みを変更する必要が無い場合である。この例では状態A,B,Cの全てにおいて、第1の重み付け回路103に1.0、第2の重み付け回路104に0.0を設定する。
【0077】
これに対して、第1の解析の結果、上側のジッタ量、ゼロクロス付近のジッタ量、及び下側のジッタ量の全てが、前記第1の設定値より大きい場合は、第2の解析の結果を参照する。そして、第2の解析の結果、前記第2の設定値より大きい場合には、重みを変更する。これは、各状態のジッタ量が大きい原因がジッタによるものである可能性が大きく、重みを変更してジッタの影響を削減する場合である。例えば、状態A,Cにおいて、第1の重み付け回路103に0.9、第2の重み付け回路104に0.1を設定し、状態Bにおいて、第1の重み付け回路103に0.5、第2の重み付け回路104に0.5を設定する。一方、第2の解析の結果、前記第2の設定値より小さい場合には、現在の設定を維持する。これは、各状態A,B,Cのジッタ量が大きい原因がジッタ以外によるものである可能性が大きいので、これ以上重みを変更する必要が無い場合である。この例では状態A,B,Cの全てにおいて、第1の重み付け回路103に1.0、第2の重み付け回路104に0.0を設定する。
【0078】
以上のように、ゲイン設定回路804において、ジッタが原因で雑音が大きい場合は、重みを変更することで、ジッタの影響を削減できる。各状態A,B,Cに対する重みの組み合わせは、予め数種類テーブルで持っておいて、最もジッタの影響を削減できる重みの組み合わせを選択するようにしても良い。このようにすることで、適切な重みを設定できジッタの影響を削減できる。
【0079】
このように、本実施の形態2によるデータ再生装置800では、等化係数学習回路802と、ジッタ検出回路803を設けることとしたので、等化回路801にて最適な係数を用いて等化を行うことができ、また、ゲイン設定回路804では、入力されたデジタル信号S1の状態とジッタ検出回路803にて検出されたジッタ量に基づいて、適切な重みを設定することができる。これにより、入力されるデジタルサンプリング信号を減衰させずに、ジッタを高い帯域まで精度よく削減することができ、また、ジッタ削減後の再度の等化により、歪みの少ない信号を得ることができる。
【0080】
特に、本実施の形態1のように、ゼロクロス付近に高域減衰した信号の影響を大きく取れば、HDD(Hard Disk Drive)への記録と再生に用いられる垂直記録方式や、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などへの記録と再生に用いられる光記録再生方式、あるいは、DDS(Digital Data Storage)などへの記録と再生に用いられる、長手記録方式と積分再生方式の組み合わせ等による積分再生方式において好ましい効果を得ることができる。
【0081】
また、ゼロクロス付近以外に高域減衰した信号の影響を大きく取れば、HDD(Hard Disk Drive)への記録と再生に用いられる、長手記録方式等による微分再生方式において好ましい効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明にかかるデータ再生装置は、信号成分を減衰させずに、ジッタを高い帯域まで削減することができる効果を有し、垂直磁気記録方式の再生装置として有用である。また、ジッタの削減が必要な光ディスク装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1によるデータ再生装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1による状態検出回路を説明するための図
【図3】本発明の実施の形態1による状態検出回路の構成例を示す図である。
【図4】(a)は状態検出回路の詳細な構成を示す図である。(b)は本発明の実施の形態1による状態検出回路を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態1による高域減衰回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1によるジッタの削減を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態1、及び実施の形態2による等化回路の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるデータ再生装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2による等化係数学習回路の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2によるジッタ検出回路の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2によるジッタを説明するための図である。
【図12】従来のデータ再生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
101 状態検出回路
102 高域減衰回路
103 第1の重み付け回路
104 第2の重み付け回路
105 ゲイン設定回路
106 加算回路
107 等化回路
108 2値化回路
301 パターン誤差検出回路
301(1)〜301(n) パターンPn誤差検出回路
302 誤差最小パターン検出回路
401、402、501、502、701〜704 遅延器
403、404、405 減算器
406、407、408 絶対値演算器
409、506、710 加算器
503〜505、705〜709 乗算器
801 等化回路
802 等化係数学習回路
803 ジッタ検出回路
804 ゲイン設定回路
901 等化目標生成回路
902 等化誤差検出回路
903 等化係数演算回路
1001 ジッタ判別回路
1002 上側ジッタ量演算回路
1003 ゼロクロスジッタ量演算回路
1004 下側ジッタ量演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から読み出された信号を標本化して得られるデジタルサンプリング信号の高域成分を除去する高域減衰回路と、
前記デジタルサンプリング信号の状態を検出する状態検出回路と、
前記デジタルサンプリング信号に対して重み付けを行う第1の重み付け回路と、
前記高域減衰回路から出力される信号に対して重み付けを行う第2の重み付け回路と、
前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の重み付けを設定するゲイン設定回路と、
前記第1の重み付け回路から出力される信号と、前記第2の重み付け回路から出力される信号とを加算する加算回路と、を備え、
前記ゲイン設定回路は、前記状態検出回路が出力する状態に応じて、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の各々に重み付けを設定する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
記録媒体から読み出された信号を標本化して得られるデジタルサンプリング信号の高域成分を除去する高域減衰回路と、
前記デジタルサンプリング信号の状態を検出する状態検出回路と、
前記デジタルサンプリング信号に対して重み付けを行う第1の重み付け回路と、
前記高域減衰回路から出力される信号に対して重み付けを行う第2の重み付け回路と、
前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の重み付けを設定するゲイン設定回路と、
前記第1の重み付け回路から出力される信号と、前記第2の重み付け回路から出力される信号とを加算する加算回路と、
前記加算回路から出力される信号を等化する等化回路と、
前記加算回路から出力される信号、及び前記等化回路から出力される信号により、該等化回路の等化係数を演算する等化係数学習回路と、
前記等化係数学習回路から出力される等化誤差により、前記デジタルサンプリング信号におけるジッタ量を検出するジッタ検出回路と、を備え、
前記ゲイン設定回路は、前記状態検出回路が出力する状態と、前記ジッタ検出回路が出力するジッタ量とに応じて、前記第1の重み付け回路、及び前記第2の重み付け回路の各々に重み付けを設定する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、
前記状態検出回路が検出する状態は、前記デジタルサンプリング信号がゼロクロス付近である状態か、ゼロクロス付近でない状態かのいずれかである、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、
前記状態検出回路は、
前記デジタルサンプリング信号の連続する複数のサンプルと、予測されるパターンとの誤差を演算する複数のパターン誤差検出回路と、
前記複数のパターン誤差検出回路から出力される複数の誤差信号の大きさを比較し、誤差が最小であるパターンを検出する誤差最小パターン検出回路と、を備え
前記誤差が最小であるパターンを前記デジタルサンプリング信号の状態として検出する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のデータ再生装置において、
前記高域減衰回路は、伝達関数が(1+2・D+D・D)・Aである、
ここで、・は乗算を表し、Dは遅延演算子であり、Aは任意の値である、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
請求項2に記載のデータ再生装置において、
前記ジッタ検出回路は、ゼロクロス付近である状態の等化誤差と、ゼロクロス付近でない状態の等化誤差を、各々ゼロクロス付近である状態のジッタ量、ゼロクロス付近でない状態のジッタ量として検出し、
前記ゲイン設定回路は、前記ゼロクロス付近である状態のジッタの大きさと、前記ゼロクロス付近でない状態のジッタの大きさとを比較し、その比較結果と、各々のジッタの大きさとに基づいて、前記第1の重み付け回路及び、前記第2の重み付け回路への重み付けを決定する、
ことを特徴とするデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−164396(P2006−164396A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354401(P2004−354401)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】