説明

データ処理装置、シミュレーション装置、データ処理方法、シミュレーション方法、プログラム、記録媒体

【課題】搬送経路内を搬送される柔軟媒体の正確な挙動を求めることができる。
【解決手段】柔軟媒体の搬送経路の断面形状のデータを算出するデータ処理装置において、前記搬送経路を表示する表示部と、前記搬送経路の切断平面の位置を決定する決定部と、前記決定された前記切断平面で、前記搬送経路を切断することで求められる前記断面形状のデータを算出する算出部と、を有するデータ処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送経路において、柔軟媒体の挙動を求めるためのデータ処理装置、シミュレーション装置、データ処理方法、シミュレーション方法、プログラム、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、画像形成装置内の搬送経路を搬送される柔軟媒体(例えば、用紙)の変形挙動をシミュレーションし、適正に搬送されるか否かを確認することで、搬送経路の設計業務を支援するシミュレーション装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの技術は、柔軟媒体を離散的な領域に分割し、各領域において、力学的な運動方程式を構成し、搬送経路の構造物(例えば、ローラ)と柔軟媒体とが接触しているか否かを判定する。接触していると判定された場合には、接触力(司直抗力と接線力である摩擦力の合力)と、エアーや静電気力が作用する場合は、近似式や、液体あるいは電界の構成方程式を有する別の数値シミュレーションで求めた値と、重力を運動方程式の外力として与え、方程式を解くことで、柔軟媒体の挙動を求める。
【0003】
離散的な領域の分割手法の例として、2次元断面において、特許文献1では、有限要素法を用いており、特許文献2ではバネーマスモデルを使用している。3次元変形させる場合であっても、有限要素法であればシェル要素を適用すれば、数値シミュレーションできる。
【0004】
また、特許文献1、2記載のシミュレーション装置は、基本的に、搬送中の柔軟媒体の搬送方向に平行で、該柔軟媒体の垂直な断面内の挙動を求める。従って、3次元変形を扱うシミュレーション演算よりも計算負荷が少なく、様々な設計形状や紙種、誤差因子(形状の公差や紙のカール形状)の条件で、検証が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシミュレーション装置では、ユーザ自身が、搬送経路の断面形状を作成していた。図1にユーザにより作成された搬送経路の断面図の一例を示す。図1の例では、上流搬送部1200、下流搬送部1300の間に、中継ぎコロ1000、中継ぎコロ1100、搬送経路のガイド面1400が配置されている。また、図1には、断面図のx軸、y軸を示す。図2の例では、上流搬送部1200から下流搬送部1300まで、柔軟媒体が搬送される経路である。
【0006】
図2は、中継ぎコロ1000と該中継ぎコロの軸1010を3次元で示したものである。図1は、図2に示した搬送経路の断面図である。図2に示すように、実際は、中継ぎコロ1000はZ軸方向に2つ設けられている。
【0007】
図1を用いた従来のシミュレーション装置で、柔軟媒体の挙動をシミュレーションしたところ、中継ぎコロ1000、中継ぎコロ1100との間の周辺で、柔軟媒体は、つまることなく良好に搬送されるという結果が出た。
【0008】
ところが、図2に示す搬送路を具備する試作機で、柔軟媒体を搬送させたところ、図3に示すように、柔軟媒体Aの両端の部分A1が、2つの中継ぎコロ1000から外れることで、柔軟媒体のつまりが生じていたことが判明した。つまり、従来のシミュレーション装置は、現実の画像形成装置内で柔軟媒体が実際につまることを予見することができなかった。これは、ユーザが、図1に示す断面図を作成したために、柔軟媒体Aの両端の部分A1が通過する中軸コロ1000の軸101Cが断面図に反映されなかったためである。
【0009】
そこで本発明は、搬送経路内を搬送される柔軟媒体の正確な挙動を求めるためのデータ処理装置、およびシミュレーション装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、柔軟媒体の搬送経路の断面形状のデータを算出するデータ処理装置において、前記搬送経路を表示する表示部と、前記搬送経路の切断平面の位置を決定する決定部と、前記決定された前記切断平面で、前記搬送経路を切断することで求められる前記断面形状のデータを算出する算出部と、を有するデータ処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のデータ処理装置、およびシミュレーション装置であれば、搬送経路内を搬送される柔軟媒体の正確な挙動を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のシミュレーション装置により結果を示した図。
【図2】搬送経路の一部を示した図。
【図3】用紙の両端が詰まったことを示す図。
【図4】本実施例のシミュレーション装置の機能構成例を示した図。
【図5】本実施例の表示部の一例を示した図。
【図6】搬送経路の全体を示した図。
【図7】本実施例のデータ処理装置の処理フローを示した図。
【図8】本実施例の切断平面を示した図。
【図9】本実施例の入力部1の機能構成例を示した図。
【図10】本実施例の用紙と搬送経路の基準を定める場合に、表示部に表示させる図。
【図11】他の実施形態の切断平面を示した図。
【図12】表示制御部の処理フローを示した図。
【図13】本実施例のシミュレーション装置の出力例
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、柔軟媒体は、柔軟性のある媒体であり、例えば、紙、糸、繊維、皮革、などの媒体である。画像形成とは、文字や図形、パターンなどの画像を記録媒体に付与することや、単に液滴(インク)を記録媒体に着弾させることも意味する。以下では、柔軟媒体を用紙として説明し、ブロック図において同じ機能を持つ構成部おいて同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
[ハードウェア構成]
図1は、本実施例のシミュレーション装置のブロック図である。図1に示されるように、本発明に係るシミュレーション装置は、ユーザにより情報が入力されるための入力部1と、各種処理のための演算、論理判定などを行うCPU2と、計算結果および入力情報等を表示する表示部3と、処理手順を含むプログラムが格納されるプログラムメモリ4と、各種処理で生じたデータを格納するデータメモリ5と、シミュレーションにより得られたデータが保存されている外部記憶装置6とが、バス7を介して接続されている。バス7を介して、CPU2の制御の対象となる構成要素の指示用アドレス信号、各構成要素の制御のためのコントロール信号、各構成機器相互間でやり取りされるデータ転送が行われる。
【0014】
入力部1は、データやコマンドキー入力するためのキーボード、タプレット、マウスなどである。CPU2は、各処理手段を実行してバス7に接続された各構成要素を制御する。表示部3はディスプレイなどで構成される。一方、プログラムメモリ4は、ROMであってもよいし、外部記憶装置6などからプログラムがロードされるRAMであってもよい。データメモリ5は、通常、RAMで構成される。外部記憶装置6は通常、HDDで構成される。外部記憶装置6には、3DCADデータや、用紙のデータなどが格納されている。
【0015】
また、シミュレーションの実行によって各時刻毎のデータが順次保存されていくため、データファイルのサイズは、計算した時刻の数に比例するように大きくなる。そこで、本発明によるシミュレーション装置では、ある時刻における用紙の変位図などを描画する際には、その都度、外部記憶装置6に保存されているデータファイルをアクセスし、データを読み込む。この外部記憶装置6には、前述されたように本発明の各種処理手順を、ここから読み出すようにしてもよい。上記のように構成することにより、用紙の拳動をシミュレーションした結果データを、効果的に表示し可視化することができる。
【0016】
プログラムメモリ4には、描画領域10に幾何形状を描画する描画手段41と、描画された幾何形状を操作領域13において操作するための操作手段42と、操作手段42を選択し実行するためのインターフェース43と、シミュレーションのための入力情報またはシミュレーション結果の情報を表示領域12へ表示させる表示手段44が備えられている。
【0017】
図5に表示部3の一例を示す。本実施例の表示部3は、幾何形状を描画するための描画領域10と、この描画された幾何形状を操作するための操作領域13と、シミュレーションのための入力情報またはシミュレーション結果の情報を表示する表示領域12とが画面上に設けられている。
【0018】
図5に示されているように、シミュレーション結果のデータの表示部3は、例えば、ディスプレイ画面の一例である。8はディスプレイ全体であり、マルチウィンドウのOSを使用し、結果麦示するためのプログラムによりウィンドウ9が生成されている。このウィンドウ9中にはメニュー領域11、計算結果の表示に必要な描画領域10と、計算に関した情報表示領域12と描画操作領域13がある。これらにより、計算による各時間毎の用紙の変形状態やガイド板の状態を描画領域10にて描画し、その時の各種数値情報などを情報表示領域12に表示することで計算結果を効果的に可視化することができる。
【0019】
ここでは、一つのウィンドウ内に各領域10〜13を区切ったが、それぞれの領域は分割されてウィンドウ内に分散されていても良い。また、各領域毎に一つの子ウィンドウを生成して、ウィンドウ間にてデータをやり取りすることで前述した機能を持たせても良い。
[実施形態1]
次に実施形態1のデータ処理装置について説明する。実施形態1で説明するデータ処理装置では、搬送経路の断面形状をユーザが選択する。以下、各構成部の各処理について、詳細に説明する。また、実施形態1、後述する実施形態2の処理フローを図7に示す。
<入力部1>
まず、表示部3の描画領域10にシミュレーション対象である搬送経路の全体図が3次元で電子的に表示される。この3次元の搬送経路の全体図を図6に示す。図6の記載では、用紙の搬送経路のガイド面1400や、中継ぎコロ1100、中継ぎコロ1000などが含まれている。そして、ユーザは、用紙詰まりが起こると想定される対象箇所αを入力部1で選択する。上述のように入力部1とは、例えば、マウスである。そして選択の手法は、ユーザが該マウスで、対象箇所αを選択する。この説明では、対象箇所αは、中継ぎコロ1000近辺であるとする。入力部1から、対象箇所αが選択されると、対象箇所αが、描画領域10に表示される。
【0020】
図2は、対象箇所αの一例となる。ここで、図2に示すように、本実施例のx軸、y軸、z軸について説明する。本実施形態のデータ処理装置は、用紙が詰まるか否かが判定される対象となる断面形状のデータを求めるものである。本実施形態では、求めるべき断面形状はx軸、y軸で表されるとする(例えば、図1参照)。なお、本実施形態では、用紙の搬送方向をy軸方向とする。そして、このx軸、y軸に対応する軸をz軸とする。z軸方向とは、3次元の搬送経路の幅方向である。
<決定部200>
次に、決定部200は、表示部3の描画領域10に表示された3次元の搬送経路(図2参照)を切断するための切断平面の位置を決定する。該切断平面は、表示部3の描画領域10に電子的に、表示される。
【0021】
ここで、本実施形態のデータ処理装置は、表示部3の描画領域10に表示された3次元の搬送経路を該切断平面で切断して、断面形状を生成する。上述のように、断面形状はx軸、y軸で表示される。従って、本実施例では、切断平面の位置とは、z軸の座標を意味する。
【0022】
ここで、決定部200による、断面形状の位置の決定手法については様々あるが、実施形態1ではユーザが決める例とする。また、決定部200は、用紙の位置やサイズ(実施形態2で詳細を説明)で断面形状の位置を決定しても良い。また、事前に、ユーザは、断面形状の位置の決定手法を(A)ユーザが決めるか、(B)用紙の位置やサイズで決めるか、のどちらかを設定しておく必要がある。CPU2が、(A)ユーザが決めるか、(B)用紙の位置やサイズで決めるか、のどちらに設定されているかを判断する(ステップS102)。実施形態1では、(A)ユーザが決める設定になっている場合について説明する(ステップS102のYes)。
【0023】
ユーザが断面形状の位置(つまり、断面形状のz軸座標)を決める際の、描画領域10に表示される画像の一例を図8に示す。この例では、z軸上に、ドット220が示され、このドット220が、断面形状のz軸座標を示す。
【0024】
また、図9に入力部1の機能構成例を示す。入力部1には、平面入力部102、柔軟媒体基準入力部104、サイズ入力部106、柔軟媒体属性情報入力部110とが含まれている。
【0025】
そして、ユーザは、平面入力部102(例えば、キーボード)から断面形状のz軸座標を入力する(ステップS103)。そして、決定部200は、入力された切断平面の位置を、データの生成対象となる断面形状を求める切断平面の位置として決定する(ステップS110)。
<算出部210>
入力されたz軸座標の値に応じて、図8記載のドット220がz軸上を移動する。そして、算出部210が、3次元の前記搬送経路の対象箇所αを、入力されたz軸の座標についての切断平面で切った断面形状のデータを算出する(ステップS112)。この断面形状のデータの算出手法については、例えば、公知技術である「3Dモデルのサーフェス(表面の式)と切断平面の式の連立方程式を解くことで得られる交線」手法を用いればよい。
【0026】
算出された断面形状のデータは、表示制御部220に入力される。そして、表示制御部220は、入力された断面形状のデータなどに基づき、用紙の挙動を求める。表示制御部220による用紙の挙動の求め方については後述する。
【0027】
また、ユーザは、対象箇所αにおいて、用紙詰まりが起こりやすいと想定される箇所について、複数の断面形状について調べる場合がある。その場合には、この複数のz軸座標を入力すればよい。
【0028】
この実施形態1のデータ処理装置であれば、ユーザが所望する位置の搬送経路の断面形状のデータを算出できる。そして、実施形態1のシミュレーション装置であれば、算出された断面形状について、用紙の挙動をシミュレーションできる。従って、ユーザは、軸1010(図3参照)近辺の断面図についての用紙の挙動をシミュレーションできることから、正確に、用紙詰まりなどを認識できる。
[実施形態2]
実施形態1では、断面形状のz軸座標をユーザ自身が決める例を説明した。実施形態2では、挙動を求める対象である用紙のサイズや位置などで、決める例を説明する。処理の流れを図7の処理フローを用いて説明する。また、以下の説明では、用紙の両端箇所の挙動(つまり、図3に示す用紙の両端が引っかかるか否か)を求めるための断面形状のデータを算出する例を説明する。
【0029】
ステップS101の処理を経て、ステップS102で、CPU2は、(B)切断平面の位置を用紙で決める、と判断する。
【0030】
まず、ユーザは、柔軟媒体基準入力部104から、用紙Aの、搬送経路に対しての基準が入力される。具体的には、柔軟媒体基準入力部104から、まず用紙の基準を入力する(ステップS104)。例えば、用紙の中央または用紙の端部などを用紙の基準として入力する。通常は、用紙の中央または用紙の端部を基準とすればよい。
【0031】
次に、ユーザは、柔軟媒体基準入力部104から、搬送経路の基準を設定する(ステップS106)。ステップS104で設定された用紙の基準に合わせて搬送経路の基準を設定すればよい。柔軟媒体基準入力部104により、基準が入力される際の描画領域10に表示される図面の一例を図10に示す。用紙の基準を決めた後は、図10に示すように、z軸に沿った矢印B方向に搬送経路を移動させて、用紙の、搬送経路に対しての基準が決められる。
【0032】
用紙の、搬送経路に対しての基準が決定されると、次に、ユーザは、サイズ入力部106から、用紙のサイズが入力する。例えば、情報表示領域12に用紙のサイズである「A4」「B4」などが表示され、ユーザが、この用紙のサイズの中から、用紙サイズを選択できるようにすればよい。また、情報表示領域12に用紙サイズを表示させなくても、入力部1から用紙サイズを入力できるようにしてもよい。
【0033】
用紙サイズの入力の際の、描画領域10に表示される画像について、図10を用いて説明する。ユーザが用紙サイズを変更する度に、用紙Aの両端のz軸座標が変更される。この変更は、ユーザが視認できるように、描画領域10に表示させればよい。
【0034】
そして、決定部200は、柔軟媒体基準入力部104に入力された基準と、サイズ入力部106に入力されたサイズとに基づいて、切断平面の位置を決定する(ステップS110)。上述のように、本実施形態では、用紙の両端箇所の挙動を求めるための断面形状のデータを算出する例であるから、決定部200は、用紙Aの両端の位置(z軸座標)を、切断平面の位置(z軸座標)として決定する。つまり、図11に示すように、2つの切断平面P、Qが存在することになる。また、切断平面のP、Qに対応するz軸座標示すドット220、221も表示される。
【0035】
なお、用紙の両端だけではなく、他の用紙詰まりが生じ易い箇所(例えば、用紙の中央部分)についての挙動を調べたい場合には、該用紙の中央を切断平面の位置として決定しても良い。
【0036】
そして、算出部210は、この2つの切断平面P、Qで、搬送経路を切断した場合の、断面形状のデータを算出する(ステップS112)。そして、表示制御部220は、入力された切断平面のデータなどに基づき、用紙の挙動を求める。
【0037】
この実施形態2であれば、自動的に、例えば、用紙の両端の箇所についての、搬送経路の断面形状を表示させることができる。従って、ユーザは、例えば、用紙の両端の挙動を容易に認識できる。
<表示制御部220の処理>
次に、算出部210から断面形状のデータを受信した表示制御部220の処理内容について説明する。表示制御部220の処理フローを図12に示す。まず、算出部210が、算出した断面形状のデータが、表示制御部220に入力される。断面形状のデータとは、例えば、搬送経路の形状や座標値などからなる搬送経路データである。
【0038】
また、柔軟媒体属性情報入力部110から、柔軟媒体属性情報が入力される(ステップS202)。柔軟媒体属性経路とは、用紙の属性を示した情報であり、用紙のヤング率やシート厚さ・幅などから決まる剛性や密度などの各種特性データなどである。柔軟媒体属性情報は、直接キーボードやポインティングデバイスなどでプログラムの中から指定するようなプログラム構造にしても良い。
【0039】
表示制御部220は、断面形状のデータおよび柔軟媒体属性情報の入力後、所定の変数などに値を代入する等によって、搬送ガイドとシート物のモデリングを行う(ステップS204)。本実施例では、初期状態から任意時間後のシート物の状態を順次計算していく。例えば時刻に相当する第n十1ステップの計算は、第nステップ後の結果を元に行われる(ステップS206)。この計算は、非線形解析であるために結果が収束するまで反復して行われる。
【0040】
さらに、表示制御部220は、用紙と搬送経路との接触を判定し(ステップS208)、これを基に全体の連立方程式が作成する(ステップS220)。これは計算過程ではマトリックス演算となり、シート物あるいは搬送ガイドの任意位置での変位 (もしくは新規座標値)と両者が接触していればそこで作用し合う接触力(抗力と摩擦力)が計算される。一つの時刻での計算が終了した後、結果(データ)をファイルに書き出す(ステップS214)。もし、終了時刻に達していれば終了し(ステップS216のYes)、達していなければ(ステップS216のNo)、次の時間ステップΔtを再設定し(ステップS218)、次の時刻での計算を行う。また、反復計算でも収束しないと判断した場合は(ステップS212のNo)、このステップで使用した時間ステップをより小さく再設定し、収束するまで繰り返す必要がある。
【0041】
この処理により、得られる結果のデータは用紙あるいは搬送経路の任意位置での変位(もしくは変形後の座標値)と、両者が接触していればその作用位置とそこで作用し合う接触力ベクトル(抗力と摩擦力)となる。また、この解析モデルとして3次元解析、2次元解析に区別を設ける必要はない。
【0042】
そして、表示制御部220は、図13に示すような用紙の挙動を、描画領域10に表示させる。実施形態1,2で説明したように、本実施例のデータ処理装置は、中継コロ1000の軸1010付近の断面形状を得ることが出来るので、本実施例のシミュレーション装置は、軸1010付近での用紙の挙動を表示することができ、結果として、軸10101付近での用紙詰まりについても、ユーザは認識できる。
[その他の実施形態について]
上述した各実施形態を例に説明した本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0043】
また、本発明は、前述した各実施形態において説明した各モジュールの機能を実現するソフトウェア・プログラムを、上述した設計支援システムとして動作するシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0044】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0045】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0046】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0047】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0048】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0049】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0050】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0051】
1 入力部
2 CPU
3 表示部
4 プログラムメモリ
5 データメモリ
6 外部記憶装置
7 バス
10 描画領域
12 情報表示領域
13 操作領域
41 描画手段
42 操作手段
43 インターフェース
44 表示手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特許第3839568号公報
【特許文献2】特許第4366096号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟媒体の搬送経路の断面形状のデータを算出するデータ処理装置において、
前記搬送経路を表示する表示部と、
前記搬送経路の切断平面の位置を決定する決定部と、
前記決定された前記切断平面で、前記搬送経路を切断することで求められる前記断面形状のデータを算出する算出部と、を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記切断平面の位置が入力される平面入力部を有し、
前記決定部は、前記入力された切断平面の位置を、前記データの生成対象となる前記断面形状を求める切断平面の位置として決定することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記柔軟媒体の、前記搬送経路に対しての基準が入力される柔軟媒体基準入力部と、
前記柔軟媒体のサイズが入力されるサイズ入力部と、を有し、
前記決定部は、前記柔軟媒体基準入力部に入力された基準と、前記サイズ入力部に入力されたサイズとに基づいて、前記切断平面の位置を決定することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記柔軟媒体の両端を前記切断平面の位置として決定することを特徴とする請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載のデータ処理装置と、
前記柔軟媒体の属性を示す柔軟媒体属性情報が入力される柔軟媒体属性情報入力部と、
前記データ処理装置で算出された切断形状のデータおよび前記柔軟媒体属性情報に基づいて、前記柔軟媒体の挙動を前記表示部に表示させる表示制御部とを有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項6】
柔軟媒体の搬送経路の断面形状のデータを算出するデータ処理方法において、
前記搬送経路の切断平面の位置を決定する決定工程と、
前記決定された前記切断平面で、前記表示部に表示された前記搬送経路を切断することで求められる前記断面形状のデータを算出する算出工程と、を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
前記切断平面の位置が入力される平面入力工程を有し、
前記決定工程は、前記入力された切断平面の位置を、前記データの生成対象となる前記断面形状を求める切断平面の位置として決定することを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。
【請求項8】
前記柔軟媒体の、前記搬送経路に対しての基準が入力される柔軟媒体基準入力工程と、
前記柔軟媒体のサイズが入力されるサイズ入力工程と、を有し、
前記決定工程は、前記柔軟媒体基準入力工程で入力された基準と、前記サイズ入力工程で入力されたサイズとに基づいて、前記切断平面の位置を決定することを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。
【請求項9】
前記決定工程は、前記柔軟媒体の両端を前記切断平面の位置として決定することを特徴とする請求項8記載のデータ処理方法。
【請求項10】
請求項1〜4何れかに記載のデータ処理方法の各工程と、
前記柔軟媒体の属性を示す柔軟媒体属性情報が入力される柔軟媒体属性情報入力工程と、
前記データ処理方法で算出された切断形状のデータおよび前記柔軟媒体属性情報に基づいて、前記柔軟媒体の挙動を前記表示部に表示させる表示制御工程とを有することを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項11】
請求項1〜4何れかに記載のデータ処理装置をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項5に記載のシミュレーション装置をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項11記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
請求項12記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−180842(P2011−180842A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44599(P2010−44599)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】