説明

データ処理装置及びプログラム

【課題】データ処理装置とサーバとの間で汎用的なプロトコルを用いてファイルの送受信を行う場合に、サーバ側からデータ処理装置に格納されたファイル名称をファイル内容別に参照することを可能とする。
【解決手段】 本発明に係るマスタECR2aによれば、PC1から受信されたコマンドがファイル格納メモリのディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、ファイル格納メモリ内のファイルデータをFTPモード別に、そのFTPモードでアクセス可能な内容であるか否かにより分類し、FTPモード別にそのモードでアクセス可能なファイルのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータをPC1に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FTP(File Transfer Protocol)プロトコルを用いてサーバとファイルデータの送受信を行うデータ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ECR(電子式キャッシュレジスタ)やPOS端末等のデータ処理装置の売上データをデータセンタ等にあるサーバに収集し、収集した売上データを集計処理する販売管理システムが提案されている。例えば、特許文献1においては、LANを介して複数のPOS端末から売上データを収集して記憶し、収集した売上データを集計処理するFTPサーバに送信する販売管理支援装置が記載されている。
【特許文献1】特開2003−67847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ECRとサーバとの間でのデータ送受信をFTPを用いて行う場合、サーバからクライアント側のディレクトリを参照するコマンドが用意されており、PC側からECRのディレクトリを参照することができる。しかしながら、このコマンドでは実在のディレクトリ及び各ディレクトリのファイル名称一覧しか参照することができず、ファイル内容別にファイル名称の一覧を参照する等の柔軟性のある使用を行うことができなかった。
【0004】
本発明の課題は、データ処理装置とサーバとの間で汎用的なプロトコルを用いてファイルの送受信を行う場合に、サーバ側からデータ処理装置に格納されたファイル名称をファイル内容別に参照することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
サーバとの間でファイルデータの送受信が可能なデータ処理装置であって、
前記ファイルデータを格納する格納手段と、
前記サーバから送信されてきたコマンドを受信する受信手段と、
前記受信されたコマンドが前記格納手段のディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、前記格納手段に格納されたファイルデータをファイル内容別に分類し、ファイル内容別にそのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、前記作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータを前記サーバに送信する制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、4に記載の発明によれば、サーバとの間でファイルデータの送受信が可能なデータ処理装置において、サーバから送信されてきたコマンドを受信し、受信されたコマンドが格納手段のディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、格納手段に格納されたファイルデータをファイル内容別に分類し、ファイル内容別にそのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータをサーバに送信する。従って、サーバ側からデータ処理装置に格納されたファイル名称をファイル内容別に参照することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、サーバから、作成された仮想ディレクトリのいずれかを指定するコマンド及び指定された仮想ディレクトリのファイル一覧を閲覧するためのコマンドが受信された場合に、指定された仮想ディレクトリの中のファイル名称をサーバに送信する。従って、サーバからファイル内容を指定して、指定されたファイル内容に相当するファイルの名称一覧を得ることが可能となる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、サーバからファイル名称及びファイル名称のファイルデータを要求するコマンドが受信された場合、受信されたファイル名称のファイルデータをサーバに送信する。従って、サーバ側において所望の内容のファイルデータを容易に取得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態におけるECRシステム100の全体構成を示す図である。図1に示すように、ECRシステム100は、PC(Personal Computer)1とマスタECR2aとがLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークN1を介してデータ送受信可能に接続され、マスタECR2aとスレーブECR2bとが店舗内部に構築されたLAN等の内部ネットワークN2を介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。なお、各装置の台数は、特に限定されない。また、PC1とマスタECR2aとの接続、及びマスタECR2aとスレーブECR2bとの接続は、有線接続であってもよいし無線接続であってもよい。
【0011】
PC1は、通信ネットワークN1を介して単数或いは複数店舗のマスタECR2aに接続され、マスタECR2aから店舗の売上データ(例えば、商品の売上個数、売上金額のデータ等)を収集し、売上高の算出や顧客販売動向の経営分析等を行うサーバである。
マスタECR2aは、オペレータの操作に基づいて商品取引の登録処理、点検処理、精算処理、各種設定処理等を行うとともに、店舗内の各スレーブECR2bから売上データの収集を行い、店舗内の売上集計を行うデータ処理装置である。また、マスタECR2aは、FTP変換処理部20を有し、FTPプロトコルによりPC1から送信されるコマンドに応じた処理を実行する。
スレーブECR2bは、操作担当者の操作に基づいて商品取引の登録処理、点検処理、精算処理、各種設定処理等を行うとともに、マスタECR2aからの要求に応じて売上データの送信等を行う。
【0012】
以下、ECRシステム100を構成する各装置について説明する。
まず、PC1について説明する。
図2は、PC1の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、PC1は、CPU11、入力装置12、RAM13、伝送制御部14、表示装置15、記録媒体16aを有する記録装置16を備えて構成され、各装置及び各部はバス17により接続されている。
【0013】
CPU(Central Processing Unit )11は、記録装置16に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM13内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従ってPC1内の各装置及び各部を制御する。また、CPU11は、記録装置16に記憶されている各種処理プログラムを読み出してワークエリアに展開して実行し、ECRシステム100における売上高の算出等の各種処理を実行する。
【0014】
また、CPU11は、記憶装置16に記憶されているFTPサーバプログラムを読み出してワークエリアに展開し、マスタECR2aとFTPプロトコルに基づくファイルデータの送受信を行う。
【0015】
入力装置12は、文字/英数字入力キー、カーソルキー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、ポインティングデバイスであるマウスと、を備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号としてCPU11に出力する。
【0016】
RAM(Random Access Memory)13は、CPU11によって実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0017】
伝送制御部14は、モデム、ターミナルアップアダプタ又はLANアダプタ等により構成され、通信ネットワークN1に接続されたマスタECR2aとの間でデータ送受信を行うためのインターフェースである。
【0018】
表示装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等により構成され、CPU11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0019】
記録装置16は、プログラム、データ等が予め記憶された記録媒体16aを有し、記録媒体16aは、磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体等の不揮発性メモリで構成されている。記録媒体16aは、記録装置16に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、PC1に対応するシステムプログラム、FTPサーバプログラム、各種処理プログラム、これらのプログラムで利用する各種データ等を記憶する。
【0020】
次に、マスタECR2aについて説明する。
図3は、マスタECR2aの機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、マスタECR2aは、CPU21、入力装置22、RAM23、伝送制御部24、表示装置25、印刷装置26、記録媒体27aを有する記録装置27、ドロア28等を備えて構成され、各装置及び各部はバス29により接続されている。
【0021】
CPU21は、制御手段であり、記録装置27に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM23内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従ってECR2の各装置、各部を制御する。また、CPU21は、記録装置27に記憶されているメイン処理プログラム、登録処理プログラム、集計処理プログラム各種FTP変換処理プログラム(PUT処理プログラム、GET処理プログラム、CD処理プログラム、DIR処理プログラム)を始めとする各種処理プログラムを読み出してワークエリアに展開し、後述するメイン処理(図9参照)、登録処理(図10参照)、集計処理(図12参照)、PUT処理(図11参照)、GET(図13参照)、CD処理(図14参照)、DIR処理(図15参照)を始めとする各種処理を実行する。
【0022】
CPU21は、各種FTP変換処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理によりFTP変換処理部20を実現する。
【0023】
また、CPU21は、記憶装置27に記憶されているFTPクライアントプログラムを読み出してワークエリアに展開して実行し、PC1とFTPプロトコルに基づくファイルデータの送受信を行う。
【0024】
入力装置22は、モードキー、テンキー/ファンクションキー及びクラークキー等を備え、各キー操作に応じた操作信号をCPU21に出力する。
モードキーは、売上データを登録する登録モード、返品戻し処理を行う戻しモード、登録された売上データを点検する点検モード(以下、Xモードという)、登録された売上データを読み出すとともに設定データを除く売上データをリセットする精算モード(以下、Zモードという)、マスタECR2a及びスレーブECR2bの各種環境設定を行う設定モード(以下、AUTOPGMモードという)、各動作モードを終了し、動作停止するOFFモードのうち、所望のモードを指定するためのキーである。
テンキー/ファンクションキーは、数値を入力するためのテンキー、文字を入力するための文字キー、各種機能を指示するためのファンクションキーにより構成されている。
クラークキーは、マスタECR2aを操作する操作担当者を区別するためのキーである。
【0025】
RAM23は、CPU21により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各処理において処理中のデータ、処理結果などを一時的に格納するワークエリアを形成する。また、RAM23は、図3に示すように、締め処理された一取引の取引合計金額データを一時的に格納する一取引合計メモリを有する。
【0026】
また、RAM23は、登録に基づく売上データ、売上データを集計した集計データ及び各種設定データ等の各種ファイルデータを格納する格納手段としてのファイル格納メモリを有する。ファイル格納メモリには、図4に示すように、例えば、固定合計器ファイル230、商品の部門別に売上データを格納する部門ファイル231、商品別に売上データを格納するPLU(Price Look Up)ファイル232、売上明細のデータを格納するIDC(Item Data Capture;単品収集)ファイル233、マスタECR2a及び各スレーブECR2bの売上データの集計結果を格納する集計ファイル(例えば、各ECRの部門ファイルを集計した部門集計ファイル等)234、各種設定データを格納する全体設定ファイル235等が格納されている。また、ファイル格納メモリには、集計処理等のJOBにエラーが生じたときにエラーコードを格納するレスポンスファイル236等を有している。
【0027】
以下、ファイル格納メモリに格納されるファイルの一例として、部門ファイル231、集計ファイル234、レスポンスファイル236について図を参照して説明する。
図5は、部門ファイル231のデータ格納例を模式的に示す図である。図5に示すように、部門ファイル231は、部門種別の文字列(キャラクタ)データを格納するキャラクタ領域(以下、フィールド)と、単価データを格納する単価フィールドと、売上個数のデータを格納する売上個数フィールドと、売上金額のデータを格納する売上金額フィールドとを有し、各部門に対するキャラクタ、単価、売上個数及び売上金額を対応付けて1レコードとして格納する。各フィールドのデータは、図5に示すように、固定長であり、データの桁数で格納すべきフィールドを識別することが可能となっている。キャラクタフィールド及び単価フィールドに格納されるデータは、予め定められた設定データであり、売上個数フィールド及び売上金額フィールドに格納されるデータは、該当する部門の商品が登録される毎に累計加算される演算データ(合計器)である。
【0028】
図6は、集計ファイル234の一例として部門集計ファイルのデータ格納例を模式的に示す図である。図6に示すように、部門集計ファイルは、通信ネットワークN2に接続された全てのECRにおける各部門ファイル231の売上個数のデータをレコード毎に集計した結果を格納する売上個数フィールドと、通信ネットワークN2に接続された全てのECRにおける各部門ファイル231の売上金額のデータをレコード毎に集計した結果を格納する売上個数フィールドを有する。
【0029】
ここで、マスタECR2a及び各スレーブECR2bに格納される同一名称のファイルにおいて、各フィールドの位置関係及び対応する各フィールドの桁数は同一である。また、マスタECR2a及び各スレーブECR2bに格納される同一名称のファイルにおいて、各レコードの格納領域は対応している。例えば、マスタECR2aに格納されている部門ファイル231において、図5に示すように「部門01」に関するデータが1レコード目であれば、全てのスレーブECR2bにおいても「部門01」に関するデータが1レコード目に格納されている。また、各ECRのそれぞれのファイルを集計した集計ファイルにおいても各レコードの格納領域は対応している。例えば、部門ファイル231の各レコードと部門集計ファイルの各レコードは対応しており、部門集計ファイルの1レコード目には全ECRの部門ファイル231の1レコード目を集計した結果が格納される。
【0030】
集計ファイル234としては、その他、例えば各ECRの固定合計器230を集計した固定合計器集計ファイル、各ECRのPLUファイル232を集計したPLU集計ファイル、売上金額を時間帯別に集計する時間帯ファイル等が挙げられる。
【0031】
なお、ファイル格納メモリの各ファイルのデータは、図5の部門ファイル231で説明したのと同様に全て固定長であり、データの桁数により各ファイル内で格納すべきフィールドを識別することが可能となっている。
【0032】
図7は、レスポンスファイル236のデータ格納例を示す模式図である。レスポンスファイル236は、各ジョブ(以下、JOB)の起動結果を示すデータを格納するものであり、JOB毎に生成される。例えば、図7は、図12に示す集計処理のJOB起動結果を格納するレスポンスファイル236であり、異常終了した各ECRを識別するためのECRidと、そのECRで発生したエラーの種類を示すエラーコード(例えば、登録操作中でデータ送信不可能であれば「00」等)を対応付けて記憶する。なお、本実施の形態においては、JOBが異常終了したときのみをJOB起動結果として格納することとするが、JOBが正常終了したことを示す正常コードを設け、正常及び異常の双方の結果をレスポンスファイル236に格納するようにしてもよい。
【0033】
また、RAM23は、後述するCD処理(図14参照)で指定されるFPTモードの種別(Xモード、Zモード、AUTOPGMモード、JOBモード、モード指定なし)を格納するFTPモード格納メモリを有している。FTPモードとは、FTPプロトコルに基づきPC1から受信したコマンドに対する処理(後述するGET処理(図13参照)等)を行う際に適用する動作モードである。
【0034】
また、RAM23は、DIR(ディレクトリ)テーブルを格納している。このDIRテーブルは、図8に示すように、RAM23のファイル格納メモリに格納された各ファイルの内容が、各FTPモードにおいてPC1からアクセス(読み出し及び/又は書き込み)可能な内容であるか否かを一覧にしたテーブルである。DIRテーブルに示すように、各ファイルのファイル内容により各FTPモードにおいてPC1からアクセス可能なファイルが予め定められている。AUTOPGMモードでは、ファイル内容に設定データが含まれるファイルにアクセス可能である。Xモードでは、ファイル内容に演算データが含まれるファイルにアクセス可能である。Zモードでは、ゼロクリア可能な演算データが含まれるファイルにアクセス可能である。JOBモード(詳細後述)では、レスポンスファイル236のみアクセス可能である。
【0035】
なお、DIRテーブルの内容は、CPU21により、時間帯により書き換えられる。例えば、午前中は単価データの変更ができない場合、午前中はDIRテーブルにおいてAUTOPGMモードで部門ファイル231及びPLUファイル232へのアクセスは不可能と書き換えられ、アクセスが不可能であることが表示される。また、営業時間中はPC1からの精算を受け付けない場合、所定の時間帯になるまでZモードでの各ファイルへのアクセスは不可能と書き換えられ、アクセスが不可能であることが表示される。
【0036】
さらに、RAM23には、後述するGET処理で転送待ちの変換データを一時的に格納する転送待ちメモリ、入力装置22のクラークキーの操作に応じて、現在の操作担当者の担当者コードを格納する担当者メモリ等を有する。
【0037】
図3に戻り、伝送制御部24は、受信手段及び送信手段として、モデム、ターミナルアップアダプタ又はLANアダプタ等により構成され、通信ネットワークN1を介してPC1とデータ送受信を行うための第1のI/F(インターフェース)と、LANアダプタ等により構成され、通信ネットワークN2を介して各スレーブECR2bとデータ送受信を行うための第2のI/F(インターフェース)とを有している。
【0038】
表示装置25は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU21から入力される各種指示に従って各種演算結果、プログラム内容、設定ガイダンス等の表示を行う。
【0039】
印刷装置26は、例えば、サーマルプリンタであり、レシート用、ジャーナル用(商品登録内容の記録用)のロール紙を有し、CPU21から入力される指示に従って、各ロール紙に対して各種売上データ、小計データ等の金額データを売上明細として印刷する。
【0040】
記録装置27は、プログラムやデータ等が予め記憶された記録媒体27aを有し、この記録媒体は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体等の不揮発性メモリで構成されている。記録媒体27aは、記録装置27に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、マスタECR2aに対応するシステムプログラム、FTPクライアントプログラム、マスタ処理プログラム、登録処理プログラム、集計処理プログラム、各種FTP変換処理プログラムをはじめとする各種処理プログラム、これらのプログラムで利用する各種データ等を予め記憶する。
【0041】
ドロア28は、現金を収納する引出しである。
【0042】
スレーブECR2bの機能的構成は、上述したマスタECR2aと同様であるので同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、本実施の形態において、スレーブECR2bはPC1とのファイル転送を実施しないため、記録装置27にFTPクライアントプログラム及びFTP変換処理プログラムを記憶している必要はなく、また、伝送制御部24に通信ネットワークN1に接続するためのインターフェースを備えてなくてもよい。
【0043】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図9は、マスタECR2aのCPU21により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aの電源ON時にCPU21と記録装置27に記憶されているメイン処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0044】
入力装置22のモードキーにより登録モードが指定され、登録モードで入力が行われると(ステップS1)、図10に示す登録処理が実行される(ステップS2)。
【0045】
図10は、マスタECR2aのCPU21により実行される登録処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aのCPU21と記録装置27に記憶されている登録処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0046】
まず、入力装置22により入力が行われると、当該入力が商品登録の指示であるか否かが判断され、商品登録の指示であると判断された場合(ステップT1;YES)、この商品登録が一取引の最初の商品登録であるか否かが判断され、一取引の最初の商品登録であると判断された場合は(ステップT2;YES)、RAM23の一取引合計メモリがクリアされる(ステップT3)。次いで、固定合計器ファイル230、部門ファイル231、PLUファイル232等の各種売上データファイルが更新され(ステップT4)、商品の名称(商品コード)、金額等の商品データが印刷装置26によりレシート及びジャーナルに印刷されるとともに、表示装置25に表示され(ステップT5)、商品の金額がRAM23の一取引合計メモリに加算され(ステップT6)、処理はステップT1に戻る。
【0047】
一方、ステップT1において入力装置22からの入力が商品登録の指示ではないと判断されると(ステップT1;NO)、当該入力が締め処理の指示であるか否かが判断され、締め処理の指示であると判断された場合は(ステップT7;YES)、締め処理が実行される(ステップT8)。即ち、一取引合計メモリに格納されている一取引合計金額が読み出され、表示装置25に表示される。また、受領金額に基づき、つり銭金額の算出等も行われる。締め処理が終了すると、印刷装置26によりレシートが発行され(ステップT9)、処理は図9のステップS1に戻る。
【0048】
図9のステップS1において、入力装置22により登録モードでの入力が行われず(ステップS1;NO)、その他の動作モードでの入力が行われた場合(ステップS3;YES)、入力に基づき他の動作モードでの処理が実行される(ステップS4)。
【0049】
一方、登録モードでの入力及び他のモードでの入力がなく、非処理状態である場合(ステップS3;NO)、伝送制御部24を介してPC1からFTPプロトコルに基づきコマンドが受信されたか否かが判断され、受信されていなければ(ステップS5;NO)、処理はステップS1に戻る。PC1からのコマンドが受信されたと判断された場合(ステップS5;YES)、受信されたコマンドが判断され、受信されたコマンドがPUTコマンドであると判断されると(ステップS6;YES)、図11に示すPUT処理が実行され(ステップS7)、処理はステップS1に戻る。
【0050】
受信されたコマンドがPUTコマンドではなく(ステップS6;NO)、GETコマンドであると判断されると(ステップS8;YES)、図13 に示すGET処理が実行され(ステップS9)、処理はステップS1に戻る。
【0051】
受信されたコマンドがGETコマンドではなく(ステップS8;NO)、CDコマンドであると判断されると(ステップS10;YES)、図14に示すCD処理が実行され(ステップS11)、処理はステップS1に戻る。
【0052】
受信されたコマンドがCDコマンドではなく(ステップS10;NO)、DIRコマンドであると判断されると(ステップS12;YES)、図15 に示すDIR処理が実行され(ステップS13)、処理はステップS1に戻る。
【0053】
受信されたコマンドがDIRコマンドではないと判断されると(ステップS12;YES)、受信された他コマンドに応じた処理が実行され(ステップS14)、処理はステップS1に戻る。
【0054】
以下、PC1からのFTPプロトコルに基づくコマンドに応じて実行されるPUT処理、GET処理、CD処理、DIR処理のそれぞれについて説明する。
〔PUT処理〕
まず、PUT処理について説明する。
図11は、マスタECR2aのCPU21により実行されるPUT処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aのCPU21と記録装置27に記憶されているPUT処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0055】
まず、PC1よりPUTコマンドとともに受信されたファイルデータの内容が解析され(ステップP1)、解析の結果、受信されたファイルデータの内容がJOB起動コマンドであると判断された場合(ステップP2;YES)、受信されたファイル内のコマンドの種類が判別され(ステップP3)、判別されたコマンドの種類に応じた処理(JOB)が起動され(ステップP4)、処理は図4のステップS1に戻る。
【0056】
例えば、PC1から「PUT JOBSEND.TXT」というファイルが受信され、その内容を解析した結果、「J 21 X 11 REPORT」という固定合計器ファイル230の集計処理を示すJOB起動コマンドであった場合、固定合計器ファイル230の集計処理が起動される。このように、PC1側からFTPプロトコルによりJOB起動コマンドを記述したファイルデータをECR2aに送信することにより、PC1からECR2aにJOB起動をかけることが可能となる。
【0057】
図12は、JOB起動コマンドにより起動される処理の一例として、集計処理を示すフローチャートである。
まず、集計タイミングであるか否かが判断され(ステップT11)、集計タイミングである場合(ステップT11;YES)、各スレーブECR2bからコマンドで指定されたファイルの売上データが収集され、累計加算される(ステップT12)。より詳細には、各スレーブECR2bに対して、JOB起動コマンドにより指定されたファイル(例えば、上述の「J 21 X 11 REPORT」の場合は、固定合計器ファイル230)の売上データの収集コマンドが送信される。各スレーブECR2bにおいては、売上データの収集コマンドが受信されると、指定されたファイルから売上データが読み出されてマスタECR2aに送信され、読み出された売上データが指定されたファイルから消去(ゼロクリア)される。各スレーブECR2bから指定されたファイルの売上データが受信されると、受信された売上データ及びマスタECR2aの指定されたファイルの売上データが集計ファイル234の対応するフィールドに累計加算される。
【0058】
売上データの集計が正常終了すると(ステップT13;YES)、本処理は終了する。何れかのスレーブECR2bの電源がOFFであったり、登録処理中であったり又は通信エラーが生じたり等により、売上データが受信できず売上データの集計が異常終了した場合(ステップT13;NO)、RAM23のレスポンスファイル236に異常終了したスレーブECR2bの識別コード(id)及び異常状態に応じたエラーコードが格納され(ステップT14)、本処理は終了する。
【0059】
一方、集計タイミングではない場合(例えば、営業時間中である場合等)には(ステップT11;NO)、集計タイミングではないことを示すエラーコードがレスポンスファイル236に格納され(ステップT15)、本処理は終了する。
【0060】
なお、PC1から起動可能なJOBは、上述の集計処理のほかに、例えば、操作者の登録を受け付けなくするZロック処理、Zロックを解除するZロック解除処理、バッチメンテナンス処理、自動的に電源をON/OFFするオートパワーON/OFF処理等を行うことができる。
【0061】
図11に戻り、ステップP1における解析の結果、受信されたファイル内容がJOB起動コマンドではないと判断された場合(ステップP2;NO)、受信されたファイルデータのファイル名称から、受信されたファイルデータの書き込み先となるファイルが判別され(ステップP5)、受信されたファイル内のデータ内容から受信されたデータを書き込むフィールドが判別され(ステップP6)、受信されたファイル内のデータが予め定められたECR形式のデータに変換され(ステップP7)、RAM23のワークエリアに一時記憶される(ステップP8)。例えば、PC1から部門ファイルのファイル名称「FILE005.txt」をファイル名称とするファイルが受信された場合、ファイル名称に基づいて、書き込み先のファイル名称がRAM23に格納されている部門ファイル「FILE005.DAT」、であり、テキストデータからバイナリデータへの変換が必要であることが判別される。また、受信したファイル内の各データの内容、具体的には各データの長さ、データの種類(キャラクタか数字データか等)に基づき各データを書き込むフィールドが決定される。
【0062】
変換後、ステップP5、6で判別された書き込み先ファイルの書き込み先フィールドに、RAM23に一時記憶された変換データが書き込まれるとともに(ステップP9)、RAM23に一時記憶された変換データが伝送制御部24の第2のI/Fを介して、各スレーブECR2bに対し、書き込み先ファイル及びフィールドを識別可能に送信され(ステップP10)、処理は図9のステップS1に戻る。
【0063】
上記のように、PC1側からFTPプロトコルによるPUTコマンドを用いて、マスタECR2aに対し、マスタECR2a及びスレーブECR2bに格納されたファイルに書き込むべきデータ(例えば、設定データ等)を送信することにより、ECR側でECR形式のデータに変換し、書き込むべき領域、すなわち、書き込むべきファイル名称及びフィールドを判断して書き込むので、PC1からFTP等の汎用プロトコルを用いて容易にマスタECR2a及びスレーブECR2bに設定データの書き込みを行うことが可能となる。
【0064】
〔GET処理〕
次に、GET処理について説明する。
図13は、マスタECR2aのCPU21により実行されるGET処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aのCPU21と記録装置27に記憶されているGET処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0065】
ここで、GETコマンドは、PC1側からマスタECR2aに格納されているファイルデータを取得したい場合に送信するコマンドであり、マスタECR2a側においては、予めPC1からCDコマンドによりFTPモードが指定されていれば、PC1から要求されたファイルのうちFTPモードに応じたデータを送信することができる。
【0066】
まず、PC1よりGETコマンドとともに受信されたファイル名称を示すデータの内容が判別されるとともに(ステップG1)、FTPモード格納メモリに記憶されているFTPモードが判別される(ステップG2)。FTPモード格納メモリには、PC1から送信されるCDコマンドにより指定されたFTPモードを示すデータが格納されている(図14参照)。ステップG2において判別されたFTPモードがXモード又はZモードである場合(ステップG3;YES)、RAM23のファイル格納メモリに格納されているファイルのうち、ステップG1で判別されたファイル名称のファイルに演算データが格納されているか否かが判断され、演算データが格納されている場合(ステップG4;YES)、判別されたファイルから演算データが読み出されてワークエリアに一時記憶され(ステップG5)、処理はステップG14に移行する。
【0067】
ステップG4において、ステップG1で判別されたファイル名称のファイルに演算データが格納されていないと判断された場合(ステップG4;NO)、モードエラーであることを示すファイルが作成されワークエリアに一時記憶され(ステップG6)、処理はステップG14に移行する。
【0068】
ステップG2において判別されたFTPモードがXモードでもZモードでもない場合(ステップG3;NO)、FTPモードがAUTOPGMモードであるか否かが判別され、AUTOPGMモードである場合(ステップG7;YES)、ステップG1で判別されたファイル名称のファイルに設定データが格納されているか否かが判断され、設定データが格納されている場合(ステップG8;YES)、判別されたファイルから設定データが読み出されてワークエリアに一時記憶され(ステップG9)、処理はステップG14に移行する。
【0069】
一方、ステップG8において、ステップG1で判別されたファイル名称のファイルに設定データが格納されていないと判断された場合(ステップG8;NO)、モードエラーであることを示すファイルが作成されワークエリアに一時記憶され(ステップS10)、処理はステップG14に移行する。
【0070】
一方、ステップG2において判別されたFTPモードがAUTOPGMモードでなく(ステップG7;NO)JOBモードである場合(ステップG11;YES)、レスポンスファイル361が読み出され(ステップG12)、処理はステップG14に移行する。
【0071】
一方、ステップG2において判別されたFTPモードがJOBモードではない場合(ステップG11;NO)、すなわち、モード指定なしである場合、ステップG1で判別されたファイル名称のファイルから全データが読み出されてワークエリアに一時記憶され、処理はステップG14に移行する。
【0072】
ステップG14においては、ワークエリアに読み出されたデータがPC1から指定されたファイル形式に変換され、RAM23の転送エリアに格納される(ステップG15)。PC1から指定されたファイル形式は、GETコマンドとともに受信されたファイル名称を示すデータの識別子で判断される。例えば、「GET FILE05.TXT」が受信された場合、読み出されたデータがテキスト形式のファイルに変換される。そして、伝送制御部24の第1のI/Fを介して転送エリアに格納されているファイルデータがPCに送信される(ステップG16)。FTPモードがZモードである場合には(ステップG17;YES)、さらに、ステップG5で読み出された演算データが記憶されていた元ファイルから、その演算データがゼロクリア(消去)されることにより精算が行われ(ステップG18)、処理は図9のステップS1に戻る。
【0073】
上記のように、GET処理では、操作者がPC1側から取得したいファイルの名称及び形式を指定することで、PC1において取得したいデータを所望のファイル形式で受信することが可能となる。また、予めFTPモードを指定しておけば、ユーザが必要なデータ(例えば、売上データ等の演算データのみ等)を選んで受信することが可能となる。例えば、「GET FILE05.TXT」を指定した場合、予めFTPモードをX又はZモードにしておけば、図5に示す部門ファイル231の演算データ、すなわち、売上個数及び売上金額のみをPC側で取得可能となり、予めFTPモードをAUTOPGMモードにしておけば、図5に示す部門ファイル231の設定データ、すなわち、キャラクタ及び単価のみをPC1側で取得可能となる。また、FTPモードをZモードにし、例えば、部門集計ファイルの売上データ等を指定すれば、PC1側からその売上データを精算してPC1側に収集させることが可能となる。
【0074】
〔CD処理〕
次に、CD処理について説明する。
図14は、マスタECR2aのCPU21により実行されるCD処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aのCPU21と記録装置27に記憶されているCD処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0075】
PC1からCDコマンド及びFTPモードの種別を示すデータが受信されると、受信された動作モードの名称がRAM23のFTPモード格納メモリに記憶され(ステップC1)、処理は図9のステップS1に戻る。
【0076】
RAM23のFTP格納メモリに記憶されたFTPモードは、PC1から受信した他コマンドに対する処理を行う際に参照され、このFTPモードに応じた処理が実行される。
例えば、PC1より「CD AUTOPGM」というCDコマンド及びFTPモードを示すデータが受信された場合、FTPモード格納メモリに「AUTOPGM」を示すデータが記憶される。これにより、上述したGET処理では、指定されたファイル名称のファイルの設定データのみを読み出してPC1に送信するという、設定モードに応じた処理を行うことが可能となる。
【0077】
次に、DIR処理について説明する。
図15は、マスタECR2aのCPU21により実行されるDIR処理を示すフローチャートである。当該処理は、マスタECR2aのCPU21と記録装置27に記憶されているDIR処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0078】
PC1から、RAM23のファイル格納メモリのディレクトリを閲覧するためDIRコマンドが受信されると、RAM23に格納されているDIRテーブルが参照され(ステップD1)、DIRテーブルに基づき、ファイル格納メモリに格納されている各ファイルのファイルデータが各FTPモードでアクセス可能な内容であるか否かにより分類され、FTPモード別に、そのモードでアクセス可能なファイル名称のデータを格納する仮想ディレクトリが作成される(ステップD2)。次いで、FTPモード格納メモリに記憶されている現在のFTPモードに対応する仮想ディレクトリ内のファイル名称のデータがPC1で出力可能な形式に変換される(ステップD3)。そして、伝送制御部24の第1のI/Fを介してその変換されたデータがPC1に送信され(ステップD4)、処理は図9のステップ1に戻る。
【0079】
なお、CDコマンドによりFTPモードが指定されずにDIRコマンドが受信された場合は、図16(a)に示すように、ステップD3において、ステップD2で作成された仮想ディレクトリの名称を示すデータがPC1で出力可能な形式に変換され、PC1に送信される。
【0080】
PC1側では、DIRコマンドによりマスタECR2aの現在のFTPモードでアクセス可能なファイルのファイル名称のデータを取得することができるので、表示装置やプリンタ等で受信したデータを出力することにより、PC1の操作者は、マスタECR2aの現在のFTPモードでアクセス可能なファイル名称の一覧を閲覧することが可能となる。
【0081】
例えば、図16(b)に示すように、PC1からCDコマンドでAUTOPGMモードを指定した後にDIRコマンドを送信すると、AUTOPGMモードでアクセス可能なファイル名称の一覧を表示することが可能となる。同様にして、Xモード、Zモード、JOBモードでアクセス可能なファイル名称の一覧を表示することが可能となる。
【0082】
〔FTPコマンドを用いた処理シーケンス例〕
以下、図17を参照してFTPプロトコルによるコマンドの送受信を用いたPC1とマスタECR2aとの処理シーケンスの一例について説明する。図17においては、PC1からCDコマンドによりマスタECR2aにFTPモードを指定し、DIRコマンドにより、指定したFTPモードでアクセス可能なファイル名の一覧を取得して表示し、GETコマンドによりファイル名称を指定することにより、指定されたファイルの内容を取得して表示するシーケンスである。
【0083】
PC1において、操作者により入力装置12を介してCDコマンド及びFTPモードが入力されると(ステップA1)、入力されたCDコマンド及びFTPモードのデータがマスタECR2aに送信される(ステップA2)。
【0084】
マスタECR2aにおいては、伝送制御部24の第1のI/Fを介してCDコマンドが受信されると(ステップA3)、図14で説明したCD処理が実行され、CDコマンドとともに受信されたFTPモードのデータがFTPモード格納メモリに記憶される(ステップA4)。
【0085】
マスタECR2のFTPモードを変更させた後、PC1において、操作者により入力装置12を介してDIRコマンドが入力されると(ステップA5)、伝送制御部14を介してマスタECR2aにDIRコマンドが送信される(ステップA6)。
【0086】
マスタECR2aにおいては、伝送制御部24の第1のI/Fを介してDIRコマンドが受信されると(ステップA7)、図15に示すDIR処理が実行され、FTPモード格納メモリに記憶されているFTPモードでアクセス可能なファイル名称のデータが作成され、PC1に送信される(ステップA8)。
【0087】
PC1においては、マスタECR2aからファイル名称のデータが受信されると(ステップA9)、表示装置15に、ファイル名称の一覧が表示される(ステップA10)。操作者により入力装置12を介してGETコマンド及びファイル名称が入力されると(ステップA11)、入力されたGETコマンド及びファイル名称のデータがマスタECR2aに対して送信される(ステップA12)。
【0088】
マスタECR2aにおいて、GETコマンド及びファイル名称のデータが受信されると(ステップA13)、図13で説明したGET処理が実行され、GETコマンドとともに受信されたファイル名称に対応するファイルからFTPモードに応じたデータが読み出され、指定されたファイル形式のファイルデータに変換され、PC1に送信される(ステップA14)。
【0089】
PC1において、ファイルデータが受信されると(ステップA15)、ファイルデータの内容が表示装置15に表示される(ステップA15)。
【0090】
以上の手順により、PC1側からマスタECR2aの必要なファイルデータを取得して表示装置15に表示させることができる。
【0091】
〔集計処理起動時のマスタECR2aとスレーブECR2bのシーケンス例〕
PC1からPUTコマンドにより各種ファイルの集計処理起動が受信された場合、マスタECR2aはスレーブECR2bから売上データを収集する必要がある。図18は、PC1からマスタECR2aに対してPUTコマンドにより集計処理起動が行われた際の、PC1、マスタECR2a及びスレーブECR2b間の処理シーケンスの一例を示すものである。以下、図18の処理シーケンスについて説明する。なお、スレーブECR2bは1台として図示するが、マスタECR2aは、通信ネットワークN2に接続された各スレーブECR2bと同様のシーケンスを行う。
【0092】
PC1において、操作者により入力装置12を介して集計処理起動コマンド、すなわち、PUTコマンド及び集計処理起動コマンドが格納された起動用ファイルの名称が入力されると(ステップB1)、PUTコマンド及び入力された名称の起動用ファイルのデータが、マスタECR2aに送信される(ステップB2)。
【0093】
マスタECR2aにおいては、伝送制御部24の第1のI/Fを介してPUTコマンド及び起動用ファイルが受信されると(ステップB3)、図11で説明したPUT処理が実行され、起動用ファイル内で指定されたファイルの集計処理が起動され(ステップB4)、現在集計処理可能なタイミングであるか否かが判断される(ステップB5)。例えば、所定の時刻、例えば、店舗が閉店して締めが終了する時刻になるまでは、集計処理は起動不可能となっている。集計処理可能なタイミングでなければ(ステップB6;YES)、その旨を示すエラーコードがレスポンスファイル236に記憶される。集計可能なタイミングである場合(ステップB5;YES)、スレーブECR2bに対して、指定されたファイルの売上データ収集コマンドが送信される(ステップB7)。
【0094】
スレーブECR2bにおいて、マスタECR2aから売上データ収集コマンドが受信されると(ステップB8)、売上データの送信が可能な状態であるか否かが判断され、送信可能である場合(ステップB9;YES)、マスタECR2aに指定されたファイルの売上データが送信され、そのファイルの売上データがゼロクリアされて精算が行われる(ステップB10)。売上データの送信が不可能な状態(例えば、電源がOFF状態、登録操作中状態)である場合(ステップB9;NO)、状態に応じたエラーコードがマスタECR2aに対して送信される(ステップB11)。
【0095】
マスタECR2aにおいて、売上データが正常に受信されると(ステップB12;YES)、受信された売上データが指定されたファイルに対応する集計ファイルおいて累計加算される(ステップB13)。売上データが正常に受信されず、エラーコードが受信された場合(ステップB12;NO)、送信元のスレーブID及び受信されたエラーコードがレスポンスファイル236に記憶される(ステップB14)。
【0096】
PC1から処理結果受信コマンド、すなわち、GETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称が入力されると(ステップB15)、マスタECR2aに対しGETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称のデータが送信される(ステップB16)。
【0097】
マスタECR2aにおいて、PC1からGETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称のデータが受信されると(ステップB17)、GET処理が行われ、レスポンスファイル236が読み出され、PC1で出力可能な形式に変換され、PC1に送信される(ステップB18)。
【0098】
PC1においては、レスポンスファイル236が受信されると、表示装置15に表示される(ステップB19)。レスポンスファイルにエラーコードが含まれていなければ(ステップB20;NO)、本処理は終了する。エラーコードが含まれている場合には(ステップB20;YES)、マスタECR2aに対し、エラーコードに対応するスレーブECR2bへの再度の売上データ収集処理の起動コマンドをデータとする起動用ファイルが生成され、PUTコマンドとともに送信される(ステップB21)。
【0099】
マスタECR2aにおいて、PC1からPUTコマンド及び起動用ファイルのデータが受信されると(ステップB22)、起動用ファイルの内容に基づき、スレーブECR2bに対して再度売上データ収集コマンドが送信される(ステップB23)。スレーブECR2bにおいて、売上収集コマンドが受信されると、ステップB8からの処理が再度実行される。
【0100】
以上のシーケンスにより、PC1は、マスタECR2aに対し、エラーのスレーブECR2bがなくなるまで、繰り返しデータ収集を行わせることが可能となる。
【0101】
〔変形例〕
図19は、上述した一連の処理の変形例として、FTPによりPC1からマスタECR2aに対してJOB起動コマンドを送信した際に、マスタECR2aにおいて、マスタECR2aの現在の操作担当者が、JOBの実行を許可された担当者であるか否かを判別する担当者判別手段を追加し、許可された担当者でなければPC1からのJOB起動をエラーとするシーケンスを示すものである。
【0102】
PC1において、操作者により入力装置12を介してJOB起動コマンド、すなわち、PUTコマンド及びJOB起動コマンドが格納されたファイルの名称が入力されると(ステップE1)、PUTコマンド及び入力された名称の起動用ファイルのデータが、マスタECR2aに送信される(ステップE2)。
【0103】
マスタECR2aにおいては、伝送制御部24の第1のI/Fを介してPUTコマンド及び起動用ファイルが受信されると(ステップE3)、現在のマスタECR2aにおける操作担当者(クラークキーで指定され、担当者メモリに担当者コードが記憶されている操作担当者)が起動用ファイルにより指定されたJOBの実行を許可された担当者であるか否かが判断され、指定されたJOBの実行が許可された担当者である場合(ステップE4;YES)、起動用ファイルのコマンドに従ってJOBが起動される(ステップE5)。現在の操作担当者が起動用ファイルにより指定されたJOBの実行を許可された担当者ではない場合(ステップE4;NO)、レスポンスファイル236に担当者エラーを示すエラーコードが格納される(ステップE6)。
【0104】
PC1において、操作者から入力装置12を介して処理結果受信コマンド、すなわち、GETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称が入力されると(ステップE7)、マスタECR2aに対しGETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称のデータが送信される(ステップE8)。
【0105】
マスタECR2aにおいて、PC1からのGETコマンド及びレスポンスファイルのファイル名称のデータが受信されると(ステップE9)、GET処理が実行され、レスポンスファイル236が読み出され、PC1で出力可能な形式に変換され、PC1に送信される(ステップE10)。
【0106】
PC1においては、レスポンスファイル236が受信されると、レスポンスファイルの内容が表示装置15に表示され(ステップE11)、本処理は終了する。
【0107】
上記のシーケンスにより、マスタECR2a側の操作担当者が、例えば店舗責任者等、PC1から指定されたJOBの実行を許可された担当者である場合にのみJOBを実行させることが可能となり、一般の店員等の誤操作によるJOBの不正終了等を防止することが可能となる。なお、上記変形例では、JOB起動コマンドが受信された際に担当者が許可された担当者であるか否かを判別することとしたが、売上データの消去(クリア)の伴うZモードへの移行が指示された際に、同様にして担当者の制限を行っても良い。
【0108】
以上説明したように、本発明に係るマスタECR2aによれば、PC1から送信されてきたコマンドを受信し、受信されたコマンドがRAM23のファイル格納メモリのディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、ファイル格納メモリに格納されたファイルデータをFTPモード別に、そのFTPモードでアクセス可能な内容であるか否かにより分類し、FTPモード別にそのモードでアクセス可能なファイルのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータをPC1に送信する。従って、PC1側から、マスタECR2aに格納されたファイル名称を各FTPモードでアクセス可能なファイル内容別に参照することが可能となる。
【0109】
また、マスタECR2aは、PC1から、作成されたFTPモード別の仮想ディレクトリのいずれかを指定するコマンド及び指定された仮想ディレクトリのファイル一覧を閲覧するためのコマンドが受信された場合に、指定されたいずれかのFTPモードの仮想ディレクトリの中のファイル名称をPC1に送信する。従って、PC1からFTPモードを指定して、指定されたFTPモードで閲覧可能なファイル内容に相当するファイルの名称一覧を得ることが可能となる。
【0110】
また、マスタECR2aは、PC1からファイル名称及びファイル名称のファイルデータを要求するコマンドが受信された場合、受信されたファイル名称のファイルデータをPC1に送信する。従って、PC1側において所望の内容のファイルデータを容易に取得することが可能となる。
【0111】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係るECRシステム100の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0112】
例えば、上記実施の形態においては、予めFPTモードを指定しておけば、GET処理において、受信されたファイル名称に対応するファイルデータのなかから指定されたFPTモードに応じたデータのみが読み出されることとしたが、例えば、PC1からファイル名称を指定するときに、ファイル名称に所望のデータを示す識別符号を付加して送信し、マスタECR2a側では、PC1から受信したファイル名称に対応するファイルから識別符号に応じたデータのみを読み出してPC1に送信するようにしてもよい。例えば、ファイル名称として「FILE005X.TXT」が指定された場合、部門ファイル231(FILE005.DAT)のうち、Xモードでアクセス可能な売上個数及び売上金額のデータのみをPC1に送信するようにしてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態においては、本発明のデータ処理装置をECRとして説明したが、複数のPOS端末を備えるPOSシステムのサーバとPOS端末との間でのファイルデータの送受信を行う際に本発明を適用するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施の形態では、ディレクトリの例で説明したが、同義語の「フォルダ」を本発明は含む。この場合、マスタECR2aの仮想フォルダの名称をPC1から参照できるようにすればよい。
【0115】
その他、ECRシステム100の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係るECRシステム100の全体構成を示す図ある。
【図2】図1のPC1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1のマスタECR2aの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図3のRAM23のファイル格納メモリに格納されるファイルの一例を示す図である。
【図5】図3の部門ファイル231のデータ格納例を示す図である。
【図6】図3の部門集計ファイル234のデータ格納例を示す図である。
【図7】図3のレスポンスファイル236のデータ格納例を示す図である。
【図8】図1のRAM23に格納されるDIRテーブルの一例を示す図である。
【図9】図3のCPU21により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図10】図3のCPU21により実行される登録処理を示すフローチャートである。
【図11】図3のCPU21により実行されるPUT処理を示すフローチャートである。
【図12】図3のCPU21により実行される集計処理を示すフローチャートである。
【図13】図3のCPU21により実行されるGET処理を示すフローチャートである。
【図14】図3のCPU21により実行されるCD処理を示すフローチャートである。
【図15】図3のCPU21により実行されるDIR処理を示すフローチャートである。
【図16】図1のPC1におけるDIRコマンドの入力とその結果表示される仮想ディレクトリの例を示す図である。
【図17】FTPプロトコルによるコマンドの送受信を用いた、本発明によるPC1とマスタECR2aとの処理シーケンスの一例を示す図である。
【図18】PC1からマスタECR2aに対してPUTコマンドにより集計処理起動が行われた際の、PC1、マスタECR2a及びスレーブECR2b間の処理シーケンスの一例を示す図である。
【図19】マスタECR2aの現在の操作担当者がJOBの実行を許可された担当者であるか否かを判別する担当者判別手段を追加した場合のPC1とマスタECR2aのシーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0117】
100 ECRシステム
1 PC
2a マスタECR
2b スレーブECR
11 CPU
12 入力装置
13 RAM
14 伝送制御部
15 表示装置
16 記録装置
16a 記録媒体
17 バス
21 CPU
22 入力装置
23 RAM
24 伝送制御部
25 表示装置
26 印刷装置
27 記録装置
27a 記録媒体
28 ドロア
29 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとの間でファイルデータの送受信が可能なデータ処理装置であって、
前記ファイルデータを格納する格納手段と、
前記サーバから送信されてきたコマンドを受信する受信手段と、
前記受信されたコマンドが前記格納手段のディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、前記格納手段に格納されたファイルデータをファイル内容別に分類し、ファイル内容別にそのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、前記作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータを前記サーバに送信する制御手段と、
を備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記サーバから前記作成された仮想ディレクトリのいずれかを指定するコマンド及び前記指定された仮想ディレクトリのファイル一覧を閲覧するためのコマンドが受信された場合に、前記指定された仮想ディレクトリの中のファイル名称を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記サーバからファイル名称及び前記ファイル名称のファイルデータを要求するコマンドが受信された場合、前記受信されたファイル名称のファイルデータを前記サーバに送信することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
サーバとの間でファイルデータの送受信が可能なデータ処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記サーバから送信されてきたコマンドを受信する機能と、
前記受信されたコマンドが前記ファイルデータを格納する格納手段のディレクトリを閲覧するためのコマンドである場合、前記格納手段に格納されたファイルデータをファイル内容別に分類し、ファイル内容別にそのファイル名称を格納する仮想ディレクトリを作成し、前記作成した仮想ディレクトリの名称を示すデータを前記サーバに送信する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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