説明

データ変換装置及び画像処理装置

【課題】 所定のバスとこれとは異なる他のバスとを用いているときに、それぞれの時点における所定のバスからのデータ転送、他のバスからのデータの読み出しについて、それぞれの取り扱いライン数を正確に把握できるようにする。
【解決手段】 ビデオIF変換デバイス108は、カウンタ207がPCIバスからの1ライン分のデータ転送の完了をカウントし、カウンタ208が非PCIバスの1ライン分のデータの読み出しの完了をカウントし、このカウンタ207、カウンタ208のカウント値はPCIバスから読み出し可能である。そのため、それぞれの時点におけるPCIバスからのデータ転送、非PCIバスからのデータの読み出しについて、それぞれの取り扱いライン数を正確に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換装置、及びこのデータ変換装置を備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホストコンピュータ(システム制御ユニット)、プリンタユニット、ファクシミリ及びスキャナユニット等の画像処理を対象とする機器が汎用バスを介して接続するようにし、汎用バスを介してこれらの機器の制御信号や画像データ信号の転送がなされるようにした技術が開示されている。このような技術により、プリンタユニット及びスキャナユニットがコンピュータの端末機器と同じ概念で取り扱うことができるという利点を得られる。すなわち、メーカ独自のインターフェースを用いた場合には、これらの機器のインターフェースの手直しが必要であったが、その必要がなくなり、極めて汎用性のある複合型画像処理装置を提供できる等の利点がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−283759公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタ、スキャナ、ファクシミリ及び複写機等の画像処理装置では、それらを複合化するために各機器の仕様に合わせてシステムコントローラを作り変える必要がある。このようにして複合化された画像処理装置は煩雑になるおそれがある。また、複合化された各画像処理装置の共通部分が無駄となり、複合化された画像処理装置が高価なものになるという不具合もある。
【0005】
そこで、前述の特許文献1では、ホストコンピュータ(システム制御ユニット)、プリンタユニット、ファクシミリ及びスキャナユニット等の画像処理を対象とする機器が汎用バスを介して接続するようにし、汎用バスを介してこれらの機器の制御信号や画像データ信号の転送がなされるようにしている。
【0006】
しかしながら、伝送距離的問題、従来資産の適用等の理由から、画像処理装置を前述の汎用バスではなく、専用バスで接続したい場合もある。この場合は、汎用バスと専用バスの変換装置を用いることで対応可能であるが、特許文献1では、変換装置の使用までは言及していない。
【0007】
汎用バス/専用バスの変換装置の代表的な構成としては、2ライン分のラインバッファを備え、これを緩衝用バッファとして使用する方法がある。このような構成の場合、画像データのライト側は、1ライン分以上ライトバッファが空いているときにライトを開始し、
画像データのリード側は、1ライン分以上、未読のデータがライトバッファに存在する場合にリードを開始するという動作をすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような構成においては、汎用バスから専用バスへ画像データを流した場合、汎用バス側では3ライン目のデータを処理しようとしているが、専用バス側では、まだ1ライン目も処理していない等、タイミングのずれが発生し、ソフト制御を行うための情報を正確に把握することが難しくなるという不具合がある。
【0009】
本発明の目的は、所定のバスとこれとは異なる他のバスとを用いているときに、それぞれの時点における所定のバスからのデータ転送、他のバスからのデータの読み出しについて、それぞれの取り扱いライン数を正確に把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定のバスの信号を他のバスの信号に変換して前記他のバスに出力するデータ変換装置において、転送ライン数をカウントする第1及び第2のカウント手段を備え、前記第1のカウント手段は、前記所定のバスからの1ライン分のデータ転送の完了をカウントし、前記第2のカウント手段は、前記他のバスの1ライン分のデータの読み出しの完了をカウントし、前記第1及び第2のカウント手段の値を前記所定のバス又は他のバスを介して読み出し可能とする手段を備えている、ことを特徴とするデータ変換装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、データ変換装置は、第1のカウント手段が所定のバスからの1ライン分のデータ転送の完了をカウントし、第2のカウント手段が他のバスの1ライン分のデータの読み出しの完了をカウントし、この両カウント手段のカウント値は所定のバスから読み出し可能であるため、それぞれの時点における所定のバスからのデータ転送、他のバスからのデータの読み出しについて、それぞれの取り扱いライン数を正確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明を実施するための最良の一形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態であるデジタル複写機1の電気的な接続のブロック図である。このデジタル複写機1は本発明の画像処理装置を実施するものである。
【0014】
符号100は汎用バスであるPCI(Periheral Component Interconnect)バスであり、このPCIバス100には、例えば電子写真方式、インクジェット方式などで用紙などの媒体上に画像を形成するプロッタ101と、原稿の画像を読み取るスキャナ102と、デジタル複写機1の各部を集中的に制御するメインコントローラ103と、本発明のビデオインターフェース変換装置を実施するビデオインターフェース(IF)変換デバイス108とが接続されている。デジタル複写機1では、スキャナ102での読取画像によるプロッタ101への画像形成による複写の他、スキャナ102による原稿の画像の読取り、プロッタ101への用紙などの媒体上への画像形成も独立して行なうことができる。
【0015】
前述のようにメインコントローラ103はデジタル複写機1の装置全体の制御を行う。これを補足するものとして、デジタル複写機1では、PCIバス100にオプション104,105や、サブ・コントローラ106を追加することができる。オプション104及び105は、PCIバスインターフェースを備え、電気的に、そのままPCIバスに接続することができるが、サブ・コントローラ106は、所定の専用バスである非PCIバス107をインターフェースとするため、本発明のデータ変換装置を実施するビデオIF変換デバイス108を介してPCIバス100に接続する構成としている。
【0016】
図2は、ビデオIF変換デバイス108の内部構成を示すブロック図である。
【0017】
PCIインターフェース部201は、PCIバス100とインターフェースするためのインターフェース部であり、非PCIバス107から入力されたデータはPCIインターフェース部201から出力される(非PCIバス107側へデータを出力するように構成した場合には、そのデータはPCIインターフェース部201から入力される)。また、ビデオIF変換デバイス108を構成するチップ内部のカウンタ207,208(後述)の値も、PCIインターフェース部201を介してPCIバス100からリード/ライト・アクセスすることが可能である。
【0018】
非PCIバスインターフェース部202は、非PCIバス107とインターフェースするためのビデオ・インターフェース・バスである。
【0019】
符号203はメモリであり、静止画の画像データ1ライン分の容量を備えているラインバッファである。このメモリ203は奇数(1,3,5,…)ライン目のデータの緩衝用に使用される。
【0020】
同様に、メモリ204は、静止画の画像データ1ライン分の容量を持つラインバッファである。このメモリ204は偶数(2,4,6,…)ライン目のデータの緩衝用に使用される。
【0021】
全体制御部205は、ビデオIF変換デバイス108の全体の制御を行う。すなわち、メモリ203,204をデータの緩衝用に使用して、PCIインターフェース部201、非PCIバスインターフェース部202を介して、PCIバス100のデータを非PCIバス107のデータに変換して非PCIバス107に出力し、逆に、非PCIバス107のデータをPCIバス100のデータに変換してPCIバス100に出力する。
【0022】
全体制御部の符号206は起動レジスタであり、ここにPCIバス100から1をライトすることで転送が開始される。この転送が完了した時点、あるいは異常状態を検出した時点で自動的に0にクリアされる。また、PCIバス100からここに0をライトすることで転送を強制終了することができる。
【0023】
符号207は第1のカウント手段となるカウンタであり、非PCIバス100側の処理が画像データの何ライン目まで完了したかを示す。この内容がクリアされるのは、起動レジスタ206に新規に1を設定したときである。
【0024】
符号208も第2のカウント手段となるカウンタであり、PCIバス100側の処理が画像データの何ライン目まで完了したかを示す。この内容がクリアされるのは、起動レジスタ206に新規に1を設定したときである。
【0025】
次に、ビデオIF変換デバイス108の具体的な動作について説明する。図3は、かかる動作を説明するタイミングチャートである。
【0026】
なお、本例では、非PCIバス107からPCIバス100へのデータの転送の例で説明する。また、図3において、PSYNC_N,LSYNC_N,VD_Nは、非PCIバス107側の信号であり、PSYNC_Nは原稿1ページ分の画像データの転送が行われていることを示す負論理の信号、LSYNC_Nは、画像データのラインの先頭を示す負論理の信号、VD_Nは負論理のデータである。
【0027】
ビデオIF変換デバイス108は、全体制御部205の制御により次のように動作する。
【0028】
まず、(1)の時点で、起動レジスタ206にPCIバス100から1をライトすることでVEN=1となり、データの転送が開始される。このタイミングで、カウンタ207、カウンタ208の内容が0に初期化される。
【0029】
このようにカウンタ207、カウンタ208の値のクリア条件はPCIバス100からからライトする。そのため、次回起動時まで、カウンタ値が保持される。
【0030】
また、カウンタ207、カウンタ208のレジスタ内容の初期値を、PCIバス100側から設定可能にしているので、カウンタ207、カウンタ208の最大値等を実際にそのライン数までカウントさせなくても実現でき、ハードウエア開発上の検証作業の効率化が図れる。
【0031】
さらに、転送完了時にカウンタ値を確認しようとしても0しか読めず、デバッグが困難になるということが回避できる。
【0032】
(2)VEN=1となった結果として、PSYNC_N=0となり、また、LSYNC_N=0となることで、1ページ分のデータ転送が開始される。
【0033】
(3)非PCIバス107側の1ライン分のデータの転送が完了したので、カウンタ207が+1だけインクリメントされて1となる。
【0034】
(4)PCIバス100上では、このタイミングで1ライン目のデータの読み出しが完了したので、カウンタ2が+1だけインクリメントされて1となる。
【0035】
(5)非PCIバス107上では、最後のラインのデータ転送が完了したので、PSYNC_N=1となり、カウンタ207は+1だけインクリメントされ、トータルの転送ライン数nを2,3,4,…のように示している。
【0036】
(6)PCIバス100上での最後のラインの読み出しが完了したので、カウンタ208は+1だけインクリメントされ、トータルの転送ライン数nを1,2,3,…のように示している。また、1ページ分の原稿の画像データの転送が完了したので、VEN=1となる。
【0037】
また、カウンタ207、カウンタ208は、PCIバス100からライト可能な構成とされているので、VEN=1の設定後、カウンタ207、カウンタ208に適切な値を設定すれば、その値を現在の値として、画像データ1ライン分の転送完了を検出した時点で、現在の値に対して+1だけインクリメントしていく。
【0038】
このように、ビデオIF変換デバイス108は、カウンタ207がPCIバス100からの1ライン分のデータ転送の完了をカウントし、カウンタ208が非PCIバス107の1ライン分のデータの読み出しの完了をカウントし、このカウンタ207、カウンタ208のカウント値はPCIバス100から読み出し可能であるため、それぞれの時点におけるPCIバス100からのデータ転送、非PCIバス107からのデータの読み出しについて、それぞれの取り扱いライン数を正確に把握することができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、画像データを扱う所定の処理を実行する画像処理装置の一例として、デジタル複写機1にビデオIF変換デバイス108を備えた例で説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、データ変換装置であるビデオIF変換デバイス108をプリンタ、スキャナなどのさまざまな画像処理装置に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態であるデジタル複写機のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるビデオIF変換デバイスの構成を説明するブロック図である。
【図3】ビデオIF変換デバイスの動作例について説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 画像処理装置
100 所定のバス
107 他のバス
108 データ変換装置
207 第1のカウント手段
208 第2のカウント手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のバスの信号を他のバスの信号に変換して前記他のバスに出力するデータ変換装置において、
転送ライン数をカウントする第1及び第2のカウント手段を備え、
前記第1のカウント手段は、前記所定のバスからの1ライン分のデータ転送の完了をカウントし、
前記第2のカウント手段は、前記他のバスの1ライン分のデータの読み出しの完了をカウントし、
前記第1及び第2のカウント手段の値を前記所定のバス又は他のバスを介して読み出し可能とする手段を備えている、
ことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項2】
前記所定のバス及び前記他のバスは、一方がPCIバスであり他方が非PCIバスである、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ変換装置。
【請求項3】
前記所定のバス及び前記他のバスは、一方が汎用バスであり他方が専用バスである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ変換装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のカウント手段の値のクリア条件を前記所定のバス側からライトする手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの一に記載のデータ変換装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のカウント手段の初期値は前記所定のバス側から設定する手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの一に記載のデータ変換装置。
【請求項6】
画像データを扱う所定の処理を実行する画像処理装置において、
前記所定のバス及び前記他のバスとなる複数種類のバスと、
請求項1〜5のいずれかの一に記載のデータ変換装置と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−13585(P2006−13585A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183475(P2004−183475)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】