説明

データ装置

【課題】バッテリ切れに起因して、メディア記録動作が異常終了した際に、メディアの記録状態を保護することができないという課題がある。
【解決手段】外部装置151との間で操作命令を送受信する送受信部102と、駆動バッテリの残容量を検出する残容量検出部107と、記録媒体106へのアクセスを制御する記録媒体制御部103と、記録媒体106上のデータ管理情報領域を判別する管理情報領域判別部104と、駆動バッテリの残容量が所定の閾値以下となった場合において、受信した書込命令中の書込対象アドレスがデータ管理情報領域の場合は、書込命令を実行してその結果を送信し、データ管理情報領域以外の場合は、書込命令を実行せず、外部装置151に対して書込命令を受け付けない旨の応答を送信する制御部110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCバッテリ駆動状態にてUSB等のデジタルI/Fを介してPC等の外部装置とのデータ送受信を行うデータ装置に関するものであり、特にバッテリ残量が低下した際に、記録媒体上のデータの整合性を確保するデータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリで駆動し、外部装置とデータの送受信を行うデータ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1では、バッテリ残量と記録メディアへの転送レートを連動させ、バッテリ残量が多いときは転送レートを上げてデータのスループットを向上させ、バッテリ残量が少ないときは転送レートを下げて消費電力を低減することにより、バッテリの持続時間を向上させるデータ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10―320889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、バッテリ残量に連動して、転送レートを制御し、バッテリ残量が少ない状態での消費電力を抑制する効果は得られるが、バッテリ切れに起因して、メディア記録動作が異常終了した際に、メディアの記録状態を保護することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明のデータ装置は、外部装置との間で操作命令を送受信する送受信部と、駆動バッテリの残容量を検出する残容量検出部と、記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、前記記録媒体制御部を用いて前記記録媒体上のデータ管理情報領域を判別する管理情報領域判別部と、前記駆動バッテリの残容量が所定の閾値以下となった場合において、前記送受信部により前記記録媒体への書込命令を受信した際に、前記書込命令中の書込先アドレスが前記データ管理情報領域の場合は、前記書込命令を実行してその結果を前記外部装置に送信し、書込先アドレスがデータ管理情報領域以外の場合は、前記書込命令を実行せず、前記外部装置に対して前記書込命令を受け付けない旨の応答を送信する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
以上のように、本発明のデータ装置によれば、バッテリ切れに起因するメディア記録動作の異常終了が発生した場合にも、メディアの記録状態を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0007】
(実施の形態1)
(1−1.構成)
図1は本発明の実施の形態1におけるデータ装置の構成を示すブロック図である。図1において、データ装置100は、USBケーブル153を用いて、ホスト装置151と接続される。
【0008】
データ装置100は、USB Bレセプタクル101と、送受信部102と、記録媒体制御部103と、管理情報領域判別部104と、SDメモリカードコネクタ105と、SDメモリカード106と、残容量検出部107と、DCバッテリ接続端子108と、DCバッテリ109と、システムコントローラ110と、表示部113と、システムバス114とを備える。
【0009】
USB Bレセプタクル101は、ホスト装置151との間でUSB接続を行うためのUSB接続コネクタである。なお、本実施の形態1では、データ装置100は、ホスト装置151とUSB接続する形態について説明するが、外部装置との接続はUSBに限定するものではなく、IEEE1394、SATA、イーサネット(登録商標)(LAN)、無線LAN等、USB以外の通信プロトコルを用いてもよい。
【0010】
送受信部102は、USB Bレセプタクル101を介して、外部装置151との間で、データの送受信を行う。
【0011】
SDメモリカード106は、ホスト装置151から送信されるデータを記録する記録媒体である。本実施の形態1では、記録媒体としてSDメモリカードを用いる形態について説明するが、記録媒体はSDメモリカードに限るものではなく、SDHCメモリカードや、マルチメディアカード(MMC)、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)、メモリースティック(MS)、xDピクチャカード(xD)等であっても構わない。更に、リムーバブルメディアに限らず、ハードディスク(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の内蔵型ストレージであってもよい。
【0012】
SDメモリカードコネクタ105は、SDメモリーカード106を着脱可能である。SDメモリカードコネクタ105は、機械的及び電気的にSDメモリーカード106と接続可能である。
【0013】
記録媒体制御部103は、SDメモリーカードコネクタ105を介して、SDメモリカード106からのデータの読出しや、SDメモリカード106へのデータの書込みを制御する。
【0014】
管理情報領域判別部104は、記録媒体制御部103を用いて、SDメモリカード106上の特定の領域が、データを書き込むデータ領域か、データ領域を管理するためのファイルに関する情報等を格納するデータ管理領域かを判別する。
【0015】
DCバッテリ109は、データ装置105を駆動するための電源である。DCバッテリ接続端子108は、データ装置105にDCバッテリ109を接続するための端子であり、DCバッテリ接続端子108を介して、DCバッテリ109はデータ装置105に電源を供給する。
【0016】
前容量検出部107は、DCバッテリ109の残容量を検出する。残容量検出部107は、例えばDCバッテリ109から供給される電圧等の変化を基に、DCバッテリ109の残容量を検出する。
【0017】
システムコントローラ110は、データ装置100全体を制御する制御手段であり、CPU111とメモリ112とを含む。システムコントローラ110は、CPU111上でソフトウェアを動作させることで実現できる。メモリ112は、システムコントローラ110のワークメモリとして機能する。メモリ112は、例えば、DRAM、強誘電体メモリなどで実現できる。システムバス114は、システムコントローラ110と各ブロックとの間で情報をやりとりするためのI/Fに用いられるシステムバスである。
【0018】
表示部113は、SDメモリカード106から読み出したデータを表示可能である。また、表示部113は、ユーザに対する各種メッセージを表示可能である。表示部113は、液晶モニタ等で実現可能であり、また外部モニタ装置への出力インタフェースであってもよい。
【0019】
ホスト装置151は、USB Aレセプタクル152を備える。USB Aレセプタクル152は、データ装置100との間でUSB接続を行うためのUSB接続コネクタである。ホスト装置151は、USB Aレセプタクル152を介して、内部等に保持する各種データを、データ装置100に対して送信する。
(1−2.本発明の構成との対応関係)
USB Bレセプタクル101及び送受信部102からなる構成は、本発明の送受信部の一例である。残容量検出部107は、本発明の残容量検出部の一例である。記録媒体制御部103及びSDメモリカードコネクタ105からなる構成は、本発明の記録媒体制御部の一例である。管理情報領域判別部104は、本発明の管理情報領域判別部の一例である。システムコントローラ110は、本発明の制御部の一例である。表示部113は、本発明の表示部の一例である。
(2.データ装置のバッテリ残容量低下時の動作)
データ装置100において、DCバッテリ108の残容量が低下した場合の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0020】
残容量検出部107は、DCバッテリ108の残容量を検出する(S201)。残容量が予め設定された一定の閾値を下回ると(S202でYes)、残容量検出部107はシステムコントローラ110に対して、DCバッテリ108が残容量僅少状態に陥ったことを通知する。
【0021】
管理情報領域判別部104は、記録媒体制御部103が、SDメモリカードコネクタ105に接続されたSDメモリカード106から取得したメモリカード固有情報に基づき、接続対象のメモリカード種別を識別する。本実施の形態1では、SDメモリカード105が接続されているため、SDメモリカードという判別を行う。管理情報領域判別部104は、SDメモリカードという識別結果に従って、当該メモリカードに適用されているファイルシステムを識別する。管理情報領域判別部104は、SDメモリカードの場合は、FAT12/16ファイルシステムが適用されていると認識し、FAT12/16ファイルシステムの管理情報領域に該当する論理ブロックアドレス(LBA)を算出する(S203)。
【0022】
一方、SDメモリカードコネクタ105にSDHCメモリカードが接続されている場合には、管理情報領域判別部104は、当該メモリカードに適用されているファイルシステムとして、FAT32ファイルシステムが適用されていると認識し、FAT32ファイルシステムの管理情報領域に該当する論理ブロックアドレス(LBA)を算出する。
【0023】
USBケーブル153を介して接続されたホスト装置151は、データ装置100に対してUSBマスストレージクラス仕様に準拠したRAWレベルのストレージ制御コマンドを発行する。このとき、データ装置100とホスト装置151との間のコマンド通信には、機器間で独自に定義されたコマンドではなく、例えば、SCSIコマンドのような標準化された汎用コマンドセットが用いられる。SCSIコマンドセットをサポートした場合、リード時には、READコマンド(コマンドコード0x28)、ライト時には、WRITEコマンド(コマンドコード0x2A)が、開始LBAとセクタ数をパラメータとして、ホスト装置151からデータ装置100に対して発行される。
【0024】
システムコントローラ110は、送受信部102において、ホスト装置151からのコマンド受信の有無を確認する(S204)。システムコントローラ110は、送受信部102でコマンドの受信を確認すると(S204で有)、コマンドがWRITEコマンドであるか否かを判断する(S205)。システムコントローラ110は、WRITEコマンドを受信した場合(S205でYes)、コマンド中の開始LBAとセクタ数を確認し、書込み対象のアドレスが、管理情報領域判別部104で判別したファイルシステムの管理情報領域を含むか否かを識別する(S206)。
【0025】
システムコントローラ110は、書込み対象のアドレスが、ファイルシステムの管理情報を含む場合(S206でYes)は、記録媒体制御部103はSDメモリカード106に対する書き込みを実行し(S207)、送受信部102を介して、ホスト装置151に対して当該WRITEコマンドの実行結果を送信する(S208)。、
このように、データ装置100は、DCバッテリ108の残容量僅少状態において、ホスト装置151からWRITEコマンドを受信した場合に、書込み対象のアドレスがファイルシステムの管理情報領域を含む場合はそのコマンドを実行することによって、コマンドが実行されないことによりSDメモリカード106上のファイルシステムの管理情報に不整合が生じ、既に書込み済みのデータを含めて、SDメモリカード106のデータの取得が不可能になる状況を回避することができる。
【0026】
また、ファイルシステムの管理情報領域に関するWRITEコマンドの場合、通常のデータ領域への書込みと比較して、管理情報領域へ書込むデータ量は小さいため、バッテリ残容量を判定する際の閾値を適切に設定することにより、書込み途中でバッテリ残容量がゼロとなる状況を回避することができる。
【0027】
一方、システムコントローラ110は、書込み対象のアドレスが、ファイルシステムの管理情報を含まない場合(S206でNo)は、記録媒体制御部103を用いたSDメモリカード106に対する書き込み動作を実行せず、送受信部102を介して、ホスト装置151に対して当該WRITEコマンドが実行されなかったことを通知するために、コマンド通信の中断を示す応答(STALL応答)を送信する(S209)。このとき、表示部113は、DCバッテリ108の残容量僅少状態で管理情報領域に対するWRITEコマンドが、失敗したことをユーザに通知するためのメッセージ(警告メッセージ等)を表示する(S210)。
【0028】
このように、データ装置100は、DCバッテリ108の残容量僅少状態において、ホスト装置151からWRITEコマンドを受信した場合に、書込み対象のアドレスがファイルシステムの管理情報領域を含まない場合は、書込みを実行せずに応答を返すことによって、書込み途中でDCバッテリ108の残容量がなくなり、SDメモリカード106内部のデータに不整合が生じ、書込み済みのデータを含めて、SDメモリカード106のデータの取得が不可能になる状況を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にかかるデータ装置は、バッテリ切れに起因するメディア記録動作の異常終了が発生した場合にも、メディアの記録状態を保護することができるので、デジタルビデオカメラ等のような、バッテリ駆動時にUSB等のデジタルI/Fを介してPC等のホスト機器とのデータ通信を行う用途において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデータ装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるバッテリ残容量低下時のデータ装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0031】
100 データ装置
101 USB Bレセプタクル
102 送受信部
103 記録媒体制御部
104 管理情報領域判別部
105 SDメモリカードコネクタ
106 SD/SDHCメモリカード
107 残容量検出部
108 DCバッテリ接続端子
109 DCバッテリ
110 システムコントローラ
111 CPU
112 メモリ
113 表示部
114 システムバス
151 外部装置
152 USB Aレセプタクル
153 USBケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で操作命令を送受信する送受信部と、
駆動バッテリの残容量を検出する残容量検出部と、
記録媒体へのアクセスを制御する記録媒体制御部と、
前記記録媒体制御部を用いて前記記録媒体上のデータ管理情報領域を判別する管理情報領域判別部と、
前記駆動バッテリの残容量が所定の閾値以下となった場合において、前記送受信部により前記記録媒体への書込命令を受信した際に、前記書込命令中の書込先アドレスが前記データ管理情報領域の場合は、前記書込命令を実行してその結果を前記外部装置に送信し、書込先アドレスがデータ管理情報領域以外の場合は、前記書込命令を実行せず、前記外部装置に対して前記書込命令を受け付けない旨の応答を送信する制御部と、
を備えるデータ装置。
【請求項2】
前記管理情報判別手段は、
前記記録媒体の種別に基づき、前記記録媒体上の前記データ管理情報領域を判別する
請求項1記載のデータ装置。
【請求項3】
前記書込命令は、
特定の外部装置との間でのみ定義される専用命令ではなく、特定の外部装置に依存しない汎用命令である
請求項1または2に記載のデータ装置。
【請求項4】
前記制御部が前記書込命令を受け付けない際に、前記書込命令を受け付けない旨の表示を行う表示部を、
さらに備える請求項1から3のいずれかに記載のデータ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−217946(P2010−217946A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60507(P2009−60507)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】