説明

データ記録ディスク駆動装置で使用されるサーボ書込みシステム

【目的】 データ記録ディスク・ドライブにおいて使用される非侵入型サーボ書込みシステムを提供する。
【構成】 システムがアクチュエータ位置を測定し、半導体レーザ200を用いて基準クロックを生成する。内部位置基準が、アクチュエータ・アーム及びスピンドル・ハブに装着される反射回折格子により提供される。波面再生光学系が、格子内の収差を補正する。光学センサが格子により生成される回折パターンの差分変化を検出し、周波数ドリフトに対する感度を排除する。復号化回路が光学センサ・データをアクチュエータ位置測定値に変換する。制御回路がディスク・ドライブ内のボイス・コイル・モータ118を駆動し、モータがサーボ・パターン発生器内に提供されるサーボ情報を記録するために、書込みトランスジューサを位置決めする。ヘッド・ディスク・アセンブリ・カバー内の透過窓を通じ、サーボ書込み装置が、完全に組立てられて密閉されたドライブに書込む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般にデータ記録ディスク駆動装置に関し、特に、データ記憶ディスクへのトラック位置決め情報の記録に関する。
【0002】
【従来の技術】データ記録ディスク駆動装置は、コンピュータ・システムの大量のデータの記憶に有用である。データは磁気記録面上に、一連の磁場転移として記憶される。こうした転移は、一般に磁気記録ヘッドと呼ばれる磁気トランスジューサにより表面に配置される。トランスジューサは電気エネルギを磁場に変換し、その極性は記録された情報に従いスイッチされる。磁場が除去された後、媒体内には磁化が取り残される。データは媒体内に残される極性反転または転移により、2進情報として記憶される。磁気媒体と共に使用されるトランスジューサは、磁気転移として記憶されたデータを検出する検出器としても機能する。トランスジューサは、磁化された媒体から発する磁場をセンスする。センスされた磁場は、磁場の極性に依存して変化する電気信号に変換される。データが次に電気信号から復号化される。トランスジューサがデータを記録媒体上に配置するとき、トランスジューサはデータを媒体に書込んだと称される。トランスジューサが以前に媒体上に書込まれたデータを検出するとき、トランスジューサはデータを媒体から読出したと称される。一般に、磁気媒体に対してデータを読み書きするシステムは、データを読み書きするために単一のトランスジューサを使用するか、或いは2個のトランスジューサ(一方が読出し用で他方が書込み用)を使用する。
【0003】記録媒体はディスク形式であり、通常はデータが両方の表面上に記録される。ディスク駆動装置の総記憶容量を増加させるために、複数ディスクが提供されることもある。媒体内の中央ホールは、通常、ハブ(hub)と呼ばれる。ハブは記録媒体を回転させるスピンドル・シャフトを通じて、記録媒体をモータに取り付ける手段である。ヘッドはディスクの回転時に生成される空気の移動により、記録媒体の表面上に浮上する。浮上量はデータの保全性に支障を来すヘッドとディスクとの接触の確率を最小化するように、十分に大きくなければならないが、一方で、書込みトランスジューサにより生成される磁場が、記録媒体面内において磁気転移を確立し、媒体内の磁場がトランスジューサによりセンスされるように、十分小さくなければならない。
【0004】ヘッドは記録面に近接して配置され、サスペンションを介して取り付けられるアクチュエータ・アームにより、所望のデータ・トラック上に位置決めされる。アクチュエータ・アームは媒体表面において、ヘッドをハブの近傍の位置(内径(ID))から、リムの近傍の位置(外径(OD)まで、半径方向に移動する。データは一般に媒体表面上のIDとODとの間に、順次同心トラック形式で書込まれる。トラック幅は、通常、書込みトランスジューサの幅よりも僅かに大きい。同心トラックは1つ以上のセクタに細分化される。
【0005】ヘッドはデータを読出しまたは書込むために、所望のデータ・トラック上に正確に位置決めされなければならない。ヘッドの位置決めは、通常、アクチュエータ・アームに取り付けられたボイス・コイル・モータ(VCM)を駆動するアクチュエータ位置決めサーボ制御装置により達成される。アクチュエータ位置決めサーボ制御装置は、予め記録されたトラック及びセクタ識別情報と同様に、ヘッド位置決め情報を利用して、ヘッドをあるトラックから別のトラックに移動し(所望のトラックへのシークと称される)、ヘッドを所望のトラックの中央上のそのトラックに沿う適切なセクタに位置決めする。位置決め情報及び識別情報は1つ以上のディスク表面上に予め記録され、半径方向及び円周方向の両方に変化する磁気パターンから成り、アクチュエータ位置決めサーボ制御装置に、所望のトラック及びセクタに対するヘッドの現相対位置を示すフィードバックを提供する。
【0006】ディスク駆動装置のトラック位置決めアーキテクチャに依存して、トラック位置決め情報が複数表面ディスク駆動装置の単一表面上に予め記録されたり(この場合、通常、専用表面サーボ(dedicated surface servo)と呼ばれる)、或いは各ディスク表面上の複数の半径方向ウェッジ(wedge)内に予め記録されされたりする(この場合、通常、埋込み型セクタ・サーボ(embedded sector servo)と呼ばれる)。専用表面サーボを使用するディスク駆動装置は、サーボ表面上に予め記録された情報を用いてアクチュエータを位置決めする。すなわち、データ・ヘッドの位置がアクチュエータにより、サーボ・ヘッド位置に機械的に連結される。埋込み型セクタ・サーボを用いるディスク駆動装置は、特定のデータ表面上に予め記録された情報をデータ・ヘッドにより読出すことにより、アクチュエータを位置決めする。特定のディスク駆動装置では、これら2つのアーキテクチャの組合わせが使用される。埋込み型セクタ・サーボ・アーキテクチャは、高密度トラック・ピッチを有するディスク駆動装置において好適である。なぜなら、これはデータ・ヘッドの位置精度に影響を及ぼす機械的変動及び熱的変動に敏感でないからである。
【0007】データ・ヘッドは、ユーザ・データがディスク駆動装置に記憶されるか取り出される以前に、所望のデータ・トラック及びデータ・セクタ上に正確に位置決めされなければならない。これはアクチュエータ位置決めシステムが、予め書込まれた位置決め情報及び識別情報を読出し、それを用いてアクチュエータの位置を更新することにより達成される。位置決め情報及び識別情報は、正確にサイズ化され間隔をあけた磁気転移のパターン形式(サーボ・パターンとして知られる)により、ディスク表面上に符号化され、半径方向及び円周方向の両方に正確に記録される。データ読出し及びデータ書込みオペレーションにおいて要求されるヘッド位置精度を可能にするために、これらのサーボ・パターンは復号化される半径方向位置が、データ・トラック幅の小部分内において決定されるように、半径方向において正確に書込まれなければならない。
【0008】サーボ・パターンは更に、サーボ・パターンのトラック間での相対的な円周方向の位置決めが適切に小さく維持されるように、円周方向にも正確に書込まれなければならない。すなわち、ほとんどのサーボ符号化方法では、個々の磁気転移のトラック間における相対的な円周方向の位置決めが、円周方向に間隔を置いた記録転移の小部分に維持されることを要求する。
【0009】これらの正確に位置決めされたサーボ・パターンが、ディスクをディスク駆動装置に組込む以前に、或いはサーボ書込み(servo-writing)と呼ばれる工程により、ディスクがディスク駆動装置に組込まれた後に、ディスク表面上に記録される。どちらの場合にも、サーボ書込みの間に要求される半径方向の位置精度は、通常、ドライブに機械的に結合される外部レーザ干渉計制御式ロータリ・アクチュエータまたはリニア・アクチュエータを用いて獲得される。要求される円周方向位置決め精度及びトラック間における繰返し性は、ディスク表面上に位置決めされるクロック・ヘッドを用いて獲得される。クロック・ヘッドは、ディスク表面上のトラック上にほぼ等しい間隔を置いて予め書込まれた転移を読出す。クロック・ヘッド・リードバック信号のタイミング・ジッタは、通常、狭帯域フェーズ・ロックド・ループを用いて信号を処理することにより低減される。
【0010】適切なクロック・トラック情報が確立されると、サーボ書込み工程が外部アクチュエータ・アームを連続する半径方向の位置に位置決めし、適切な磁気転移を円周方向の複数の位置に書込む。この工程は振動に極めて敏感であるので、ドライブを安定化させるために、大きな高価な花崗岩テーブルが使用されなければならない。工程はまた、アクチュエータを位置決めするために使用される大きなサイズの電気機械的システムのために、周囲温度の変化に極めて敏感である。この障害を最小化するために、工程は通常、温度制御室内で実施される。アクチュエータへの機械的結合を提供するために、また追加のクロック・ヘッドをドライブに挿入するためにドライブは工程の間、クリーン・ルームの環境に晒されるように、開放されたままでなければならない。またサーボ書込み工程の後に実施される最終組立て工程では、カバー・プレートが取り付けられるときに、ドライブのベース・プレートに応力が加わり、それによりスピンドル・シャフト及びアクチュエータ・ピボット軸が傾き、サーボ・パターン間の位置不整合が生じる。従って上述の全ての理由から、サーボ書込み工程はコスト及び誤差の両方の観点から不具合を有する。
【0011】サーボ書込みにおける最近の開発は、上述の問題の幾つかに取り組んでいる。半導体レーザ・ロータリ・エンコーダが、位置基準情報を生成するために使用される。ロータリ・エンコーダは、ディスク駆動装置の外部に露出するピボットを介してアクチュエータ・アームに結合される。ロータリ・エンコーダとピボットとの機械的結合により、結合の保全性が保証される。基準クロックは、ディスク駆動装置の外側に伸びるスピンドル・シャフトの露出部分にのり付けされるパターン化ディスクを用いて生成される。パターン化ディスクは入射光を異なる強度で反射する明暗のセクタを有する。検出強度パターンはクロック信号を生成するために使用される。
【0012】ロータリ・エンコーダ・サーボ書込みシステムは、クリーン・ルーム及び花崗岩テーブルの必要を排除するが、それ自身幾つかの欠点を有する。第1に、半導体レーザ・ロータリ・エンコーダとアクチュエータ・アームとの間で要求される機械的結合が、ディスク駆動装置のコスト及びサーボ書込み工程の複雑化を増大させ、達成される精度を制限する。第2に、基準クロックを生成するスピンドル・シャフトを露出するために、2重の密閉化ベアリングが要求され、やはりディスク駆動装置のコストを押し上げる。第3に、パターン化ディスクにより生成される基準クロックが、高密度ディスク駆動装置で使用できるほど十分に精度がよくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、非侵入型(non-invasive)であり、アクチュエータまたは回転ディスク・スピンドルに対する機械的結合を要求せず、更に新式の高密度データ記録ディスク駆動装置における使用に十分な性能を提供するサーボ書込みシステムが望まれる。本発明はこうしたニーズに応じることを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、精密位置決め信号を提供するために、ディスク駆動装置の外部に配置される半導体レーザ、及びディスク駆動装置内に装着される反射回折格子を使用するサーボ書込みシステムが提供される。第1のレーザがビームを光透過窓を通じ、アクチュエータ・アームに装着された格子に向けて発する。第2のレーザがビームを光透過窓を通じ、スピンドル・シャフトに装着された格子に向けて発する。格子から反射されて戻される回折パターンが、パターンを電気信号に変換する検出光学系に向けられる。アクチュエータ光学系からの信号がアクチュエータ位置復号化回路により受信され、これが受信信号をアクチュエータ位置決め信号に変換する。スピンドル・シャフト光学系からの信号、すなわちクロック信号は、書込みクロック検出回路により受信され、これが受信信号を基準クロック信号に変換する。位置決め信号及び基準クロック信号は、アクチュエータ・アーム及びディスク・スタックの位置を決定するために使用される。回路は次に信号を受信し、これらの信号を使用して、アクチュエータ・アームの位置をディスク表面上のサーボ情報の記録に調整する。
【0015】本発明のサーボ書込みシステムは、アクチュエータ位置決めサブシステムと書込みクロック・サブシステムの2つの主要サブシステムを含む。アクチュエータ位置決めサブシステム自身は、半導体レーザ及びアクチュエータ・アームに装着された回折格子の他に、光学経路の変化を補正する再生光学系、及び格子から反射される回折パターンの位相差を測定する検出光学系を含む。アクチュエータ位置決めサブシステムは更に、測定された位相差を受信して、それらをアクチュエータ・アーム位置を表す信号に変換するアクチュエータ位置信号復号化回路を含む。好適な実施例では、アクチュエータ位置信号復号化回路は、粗動アクチュエータ位置信号を提供する粗動復号化回路と、微動アクチュエータ位置信号を生成する微動復号化回路とを含む。粗動アクチュエータ位置信号及び微動アクチュエータ位置信号は、次にアクチュエータ・アームの位置を決定するために結合(splice)される。
【0016】書込みクロック・サブシステムは、第2の半導体レーザ及びスピンドル・シャフトに装着された回折格子の他に、光学経路の変化を補正する再生光学系、及び格子から反射される回折パターンの位相差を測定する検出光学系を含む。書込みクロック・サブシステムは更に、測定された位相差を受信して、それらを基準クロック信号に変換する書込みクロック検出回路を含む。好適な実施例では、書込みクロック検出回路は、スピンドル・シャフトの回転中心に対する格子中心誤差(grating centration error)を補正するタイミング調整回路の他に、生クロック検出回路を含む。別の実施例では、書込みクロック・サブシステムは、反対側に配置される2重の半導体レーザ/検出光学系により構成される。但し、回折格子は互いに中心を同じくする。2つの基準クロック信号を結合し、格子中心誤差を補正された基準クロック信号を生成するために、ミキサ回路が使用される。
【0017】正確な位置決め情報を検出し補正する光学系及び回路と共に、ディスク駆動装置の外部に配置される半導体レーザを使用することにより、本発明は非侵入型で、アクチュエータまたは回転ディスク・スピンドルへの機械的結合を要求せず、更に高密度ディスク駆動装置において要求される位置決め精度を提供するサーボ書込みシステムを提供する。ディスク駆動装置ハウジングの内部に配置されるシステム部品だけ、すなわち放射状回折格子は軽量且つ安価であり、これらはディスク駆動装置を密閉(seal)する以前の製作工程の間に装着され、サーボ書込みの完了後にドライブ内に残される。
【0018】
【実施例】I.サーボ書込みシステム図1は、データ記録ディスク駆動装置と共に使用される本発明によるサーボ書込みシステムのブロック図を表す。データ記録ディスク駆動装置102は、1つ以上のディスク104、スピンドル・シャフト106、及びスピンドル・モータ108を含むスピンドル・スタックと共に、ハウジング・エンクロージャ103を含む。ディスク駆動装置102は更にスピンドル速度制御装置110、読出し/書込み増幅器144、ハウジング103内に配置され、回折格子120a及び130上にそれぞれ配置される光学的透過窓122及び132、及び1つ以上の磁気記録ヘッド112を含むアクチュエータ、ロータリ・アクチュエータ・アーム114(要求サスペンション・アセンブリを更に含む)、アクチュエータ・アーム・ピボット116(時に"Eブロック"または"Eプレート"とも呼ばれる)、及びボイス・コイル・モータ(VCM)118を含む。
【0019】ハウジング103は一般に精巧なディスク駆動装置コンポーネントを包囲し、それらを汚染及び他の損傷から保護する。ハウジングは通常、ベース部分とカバー部分を含むが、多くの等価な構成が見い出される。しばしば、スピンドル・モータ108は実際にはベースを通じて部分的に実装され、保護ハウジング103と一体化される。全てのこれらの小変更は、図1に示される実施例並びに本発明により包含される点に注意されたい。
【0020】図2はディスク駆動装置102の内部を示す上面図であり、サーボ書込み工程において使用される回折格子を含む様々なコンポーネントのレイアウト及び位置が示される。ドライブ内には上述のスピンドル・スタックの1つ以上のディスク104、ロータリ・アクチュエータ・アーム114、アクチュエータ・アーム・ピボット116及び上述のアクチュエータのボイス・コイル・モータ118、アクチュエータ・クラッシュ・ストップ150及び151、アクチュエータ回折格子120a、及び書込みクロック回折格子130が含まれる。ここで格子はアクチュエータ及びスピンドル・スタックに装着されるが、アクチュエータ位置決めサブシステム及び書込みクロック・サブシステムのいずれも、アクチュエータまたはスピンドル・スタックへの機械的結合を要求しない点に注意されたい。アクチュエータ位置決めサブシステムとアクチュエータとの間、及び書込みクロック・サブシステムとスピンドル・スタックとの間を結ぶために、光学的結合及び電気的結合だけが使用される。これは光学エンコーダがスピンドル・スタック及びアクチュエータに機械的に結合される従来技術との対照的な点である。またアクチュエータ格子はアクチュエータに装着されるように示されるが、小フランジなどのアクチュエータの付属部品または他の露出部分に装着されてもよい。更に格子のいずれかまたは両方が、一時的にサーボ書込みのために装着され、その後除去されてもよい。これにより、幾つかの例では、格子がドライブ内に永久的に取り残される場合(サイズ、重さ及びコスト制限などによる)に可能なよりも、より広い範囲の選択候補から格子を選択することが可能になる。
【0021】再度図1を参照して、サーボ書込みシステムはアクチュエータ位置決めサブシステム、書込みクロック・サブシステム、サーボ書込み制御装置140、及び書込みパターン発生器142を含み、これらはサーボ位置決め情報を正確に符号化するために、協働して特定のパターンの磁気転移を1つ以上のディスク表面上の正確な位置(半径方向及び円周方向の両方において)に書込む。アクチュエータ位置決めサブシステムは、光学アクチュエータ位置センサ124、回折格子120a、光学窓122、アクチュエータ位置センサ信号復号化システム126、アクチュエータ位置制御装置128、アクチュエータVCM118及びアクチュエータ・アーム114を含み、これらは1つ以上の磁気記録ヘッド112を、それらに対応してサーボ書込みされるディスク表面104上において、半径方向に正確に位置決めする。書込みクロック・サブシステムは、光学クロック・センサ134、回折格子130、光学窓132、及び書込みクロック信号処理回路136を含み、これらは正確な書込みクロック・タイミング信号、及びディスク表面に"フェーズ・ロック"されるディスク指標タイミング信号を生成する。
【0022】頑丈な機械機構(図示せず)が、ディスク駆動装置102、光学アクチュエータ位置センサ124、及び光学クロック・センサ134の位置を互いに相対的に固定するために使用される。この機械機構はまた、記録磁気パターンの精度を低下させうる外部の機械的及び熱的障害から隔離される。この機構は、既知の工学原理に従う様々なコンポーネントを用いて構成されるので、ここでは触れないことにする。しかしながら、正確な記録を保証するために、従来技術において必要とされた花崗岩テーブルは不要である点に注意されたい。
【0023】オペレーションに際し、サーボ書込み制御装置140はアクチュエータ位置制御装置128に対して、アクチュエータ114及び取り付けられた記録ヘッド112を、磁気パターンが書込まれるディスク表面上の所望の半径方向位置に位置決めするように指令する。サーボ書込み制御装置140は更に、書込みパターン発生器142、読出し/書込み増幅器144及び1つ以上の磁気ヘッドに対しても、所望の磁気転移パターンを1つ以上のディスク表面上に書込むように指令する。記録される磁気転移の正確な半径方向位置は、記録ヘッドを正確に位置決めするために必要なアクチュエータ半径方向位置信号を生成するアクチュエータ位置決めサブシステムにより制御される。記録磁気転移の正確な円周方向位置は、書込みパターン発生器142に記憶されるデータ・パターンを正確に同期させるために必要なクロック及びディスク指標信号を生成する書込みクロック・サブシステムにより制御される。
【0024】サーボ書込み制御装置140は、書込みクロック・サブシステム及び読出し/書込み増幅器144と協働して、順次、磁気記録ヘッド及びサーボ書込みされるディスク表面を選択する。1つ以上のディスク表面が、所与のディスク回転中にサーボ書込みされることもできる。磁気転移の所望のアンサンブルが、1つ以上のディスク表面上に書込まれるまで、工程は複数の半径方向位置において順次繰返される。このようにして、サーボ位置決め情報を符号化するために要求される正確な半径方向及び円周方向の磁気パターンが記録される。
【0025】ここで、アクチュエータ格子120aの形状の適切な選択により、本発明が、ロータリ・アクチュエータ、リニア・アクチュエータ、或いは平行四辺形構造を用いて形成されるリーフ・スプリング・アクチュエータなどの直線運動及び半径方向運動の組合わせを生成するアクチュエータにも、同様に適用できる点に注意されたい。
【0026】上述のサーボ位置情報は、既知の様々な方法を用いて符号化される。例えば、トラック番号はグレイ・コード(Gray code)を用いて符号化され、微動位置サーボ情報は直角位相バースト・パターン(quadrature burst pattern)を用いて符号化される。全サーボ書込み工程は、非クリーン・ルーム環境において、完全に組立てられ密閉されたディスク駆動装置上で実施される。なぜなら、ディスク駆動装置102への光学的及び電気的アクセスだけが要求されるからである。スピンドル・モータまたはアクチュエータ・アームに対する機械的結合または物理的アクセスは要求されない。また光学アクチュエータ位置センサ、光学書込みクロック・センサ及び新式のディスク駆動装置のコンパクト化が、サーボ書込み工程を機械的及び熱的障害に対して影響を受けにくいものとし、従来のサーボ書込み方法に比較して、こうした障害からの隔離を容易にする。
【0027】II.アクチュエータ位置決めサブシステム図3は、本発明のアクチュエータ位置決めサブシステムを示し、そこには半導体レーザ源200、レーザ・ビーム・デフレクタ206及び検出光学系202及び204から成る光学アクチュエータ位置センサ124、並びに回折格子120a、光学窓122、アクチュエータ位置センサ信号復号化システム126、アクチュエータ位置制御装置128、アクチュエータVCM118、及びアクチュエータ・アーム114が含まれる。後に詳述されるように、このサブシステムは、光学アクチュエータ位置センサ124の設計を変更することにより、120aに置かれる線状格子または放射状格子のいずれかと共に使用することができる。
【0028】A.光学位置センサ光学アクチュエータ位置センサ124は半導体レーザ源200を使用する。一般に、半導体レーザは時間及び温度に関連して波長ドリフトを示し、これは従来の距離センス干渉計においてその有用性を制限する。しかしながら、本発明のアクチュエータ位置センサは、波長ドリフトに敏感ではない。なぜなら、回折格子の位置の測定が格子線ピッチと、+1次及び−1次回折レーザ・ビーム間の相対位相変化とにより決定されるからである。更に運動方向の解析のために2重周波数源ビームを使用する従来のレーザ干渉計位置測定システムと比較して、本発明では運動方向を決定するために、単一周波数レーザ・ビームだけを使用する。
【0029】平面な反射回折格子120aは、アクチュエータ位置センサ124の設計に依存して、直線方向設計または半径方向設計のいずれかである。図4に示される線状回折格子は、一定のピッチ及び深さの平行な格子線を有する。回折格子120aは一般には円弧形状を有し、アクチュエータ位置センサ124から入射するレーザ・ビームの直径を収容するのに十分な幅を有する一方、アクチュエータの振れ角度を収容する長さを有する。格子はアクチュエータ・ピボットの回転中心に一致するポイント230の回りを回転する。図3では、格子はアクチュエータ・ピボットの磁気ヘッド側のアクチュエータ・アーム114に装着されるように示されるが、ボイス・コイル側または同等の効果を有するアクチュエータ上の他の任意の場所に配置されてもよい。
【0030】図5に示される放射状回折格子は、アクチュエータ・ピボット116の回転中心に一致するポイント230に集中する放射状格子線を有する。線状格子は、レーザ・ビームの波長のほぼ2倍のピッチ、及びレーザ・ビームの波長のほぼ4分の1の深さを有する。同様にレーザ・ビームがその表面に入射する半径方向の位置にある放射状格子は、レーザ・ビームの波長のほぼ2倍のピッチ、及びレーザ・ビームの波長のほぼ4分の1の深さを有する。光学位置センサの性能を最大化するために、格子深さ及びデューティ・サイクルが、0次の反射の強度を最小化し、1次の反射の強度を最大化するように選択される。格子ピッチは1次の回折ビームが入射レーザ・ビームから十分に分離されるように十分に大きく、且つ1次の回折ビームを高次の回折ビームから分離する能力を減じるように余り大き過ぎないような、1次の回折角を生成するように選択される。
【0031】所望の特性を有する精密なマスタ格子が、多くの既知の方法により生成され、こうした方法にはホログラフィ、フォトリソグラフィ、Eビーム・リソグラフィ、Eビーム・エッチング及び罫線作成器(ruling engine)が含まれる。所望のサイズ及び形状を有する適当に薄く低コストで、精密な複製格子が次に多くの既知の方法により大量生産されることになる。こうした方法には、2Pフォトポリマ、エポキシ・デュプリケーション、射出成形(injection molding)、及び金属、ガラス、プラスチック及びポリマなどの様々な基板材料上の打出し(emboss)などが含まれる。複製格子は適切な薄い金属膜を付着したり、適切な厚さ及び絶縁定数を有する1つ以上の絶縁層を付着するなどの既知の方法を用いて、所望のレーザ・ビーム波長において高反射率を有するように生成される。格子質量の増加によるアクチュエータ性能に対する潜在的な悪影響を最小化するために、小さな格子を使用し、低密度の基板を選択し、或いは図2R>2に示されるように、アクチュエータ表面に格子を直接複製することが有利である。
【0032】図6は、本発明による線状回折格子と共に使用されるアクチュエータ位置センサ124の詳細な設計を表す断面図である。この設計はレーザ・ビーム源を構成する半導体レーザ200、コリメータ・レンズ304、偏光子306、偏光ビーム・スプリッタ308、及び1/4波長板309と、2つの1X望遠鏡を構成する球面レンズ320及び326、偏光子322及び328、ミラー324及び330と、検出光学系を構成する1/4波長板311、非偏光50%ビーム・スプリッタ310、偏光子312及び316、及び光検出器314及び318を含む。半導体レーザ200については、その魅力的なコスト及びサイズが有利であるが、他のタイプのレーザを選択することも可能である。
【0033】アクチュエータ位置センサ124のオペレーションにおいて、半導体レーザ200は大部分が直線的に偏光されるレーザ光ビームを発し、これがコリメータ・レンズ304により集光され、平行にされる。偏光子306はp偏光ビームを優先的に透過し、偏光ビーム・スプリッタ308が結果のレーザ・ビームを、1/4波長板309を介して、線状回折格子120bに導く。1/4波長板309は、高度に直線的に偏光されたレーザ・ビームを円状に偏光されたレーザ・ビームに偏光する。結果のレーザ・ビームは、回折格子120bに垂直の入射角で入射し、回折される。回折格子120bは、大半のビームを+1次及び−1次のビームに回折するように設計される。格子120bは入力レーザ・ビームに直交する面内に配置され、格子線は+1次及び−1次回折レーザ・ビームがレンズ320及び326にそれぞれ向けられるように方向付けされる。1次回折角はsinθ=±d/λから計算され、ここでdは格子ピッチでλはレーザ波長である。
【0034】球面レンズ320、偏光子322及びミラー324は、+1次回折ビームに対する1X望遠鏡レーザ・ビーム再生光学系を構成する。1X望遠鏡については後に詳述される。一般に+1次回折ビームは、球面レンズ320により、偏光子322を通じてミラー324上に集光され、再平行化ビームとして格子120b上に反射され戻す。偏光子322の機能は、+1次回折ビームのp偏光部分だけを透過することである。同様に球面レンズ326、偏光子328及びミラー330は、−1次回折ビームに対する1X望遠鏡レーザ・ビーム再生光学系を構成する。−1次回折ビームは球面レンズ326により、偏光子328を通じてミラー330上に集光され、再平行化ビームとして格子120b上に反射され戻す。偏光子328の機能は、−1次回折ビームのs偏光部分だけを透過することである。ミラー324、330、偏光子322、328及びレンズ320、326は、戻される+1次及び−1次のビームが格子120b上において、ソース・レーザ・ビームが入射する位置から離れた位置においてオーバラップし、2つのビームが格子から検出光学系に向けて共軸上にあり、且つ結果の波面収差(wavefront aberration)が最小化されるように、配置される。
【0035】格子120bに戻される+1次及び−1次平行化ビームは、格子面に垂直に1/4波長板311に向けて回折される。1/4波長板311、非偏光50%ビーム・スプリッタ310、偏光子312及び316及び光検出器314及び318は、結果のレーザ・ビームの検出光学系を構成する。1/4波長板311は、p偏光+1次レーザ・ビーム及びs偏光−1次レーザ・ビームを、右及び左偏光レーザ・ビームにそれぞれ変換する。結果のレーザ・ビームは直線的に偏光されたレーザ・ビームに等価となり、その偏光方向は+1次と−1次の回折レーザ・ビーム間の相対位相差により決定される。
【0036】結果のレーザ・ビームの半分は、非偏光ビーム・スプリッタ310、偏光子板316を通過し、光検出器318に入射する。光検出器318は、偏光子板316を透過するレーザ・ビーム強度を測定する。結果のレーザ・ビームの他の半分は、非偏光ビーム・スプリッタ310により反射され、偏光子板312を通過して、光検出器314に入射する。光検出器314は、偏光子板312を透過するレーザ・ビーム強度を測定する。
【0037】入力レーザ・ビームに直交する面内にある回折格子120bの運動は、+1次回折レーザ・ビームの位相を−1次回折レーザ・ビームよりも進ませるか、或いは遅らせる。位相が進むか遅れるかは運動の方向により決定される。+1次と−1次の回折レーザ・ビーム間の位相差は、波形サイクル内の格子の変位に直接比例する。
【0038】光検出器314及び318は、回折格子120bの変位に従い正弦波的に変化する電流信号を生成する。2つの偏光子板312及び316は、入射レーザ・ビームに直交する面に対して、それらの偏光方向が45゜回転されるように配置される。この結果、2つの光検出信号間の電気位相シフトはほぼ90゜となり、これにより回折格子120bの運動方向が決定される。似寄った振幅の直角位相電流信号が復号化され、格子位置及び運動方向が決定される。
【0039】アクチュエータ位置センサ124は、格子線に直交する成分を有する格子表面に平行な面内の回折格子120bの運動を検出するためにも使用される。回折格子120bがリニア・アクチュエータに取り付けられ、直線的に移動する場合、レンズ320及び326に入射するレーザ・ビームは不動である。しかしながら、回折格子120bがロータリ・アクチュエータに取り付けられて、円弧をたどる場合、レンズ320及び326に入射するレーザ・ビームもまた、それぞれのレンズの表面上で円弧を描く。従って、ミラー324及び330を透過するレーザ・ビームもまた、それぞれのミラーの表面上で円弧を描くことになる。1X望遠鏡は検出光学系に向けられる結果のレーザ・ビームが共軸上を進むように、回折レーザ・ビームの光学経路の結果の変化を補正する。最大円弧角、従ってアクチュエータの調整可能な最大回転角は、2つの1X望遠鏡を構成するコンポーネントの直径、検出光学系に入射する結果のレーザ・ビームの波面の質、及び格子のサイズにより決定される。実際には、結果のレーザ・ビームの波面の質は、主に、レンズ320及び326の設計、及びソース・レーザ・ビームの波面の質により決定される。
【0040】半導体レーザのレーザ・ビームの安定性は、光学キャビティ(cavity)に反射されて戻されるレーザ・ビームのほんの1部にも敏感であることが知られている。レーザに反射されて戻されるレーザ・ビームの強度を最小化するために、本発明によれば、全ての光学コンポーネントの表面は反射を防止するように被覆される。更に偏光子306、偏光ビーム・スプリッタ308、及び1/4波長板309が、レーザを格子面からの0次レーザ・ビーム反射から分離するように機能する。反射防止コーティングはまた、検出レーザ・ビーム強度を増強し、様々な光学コンポーネントから反射された不要な(spurious)レーザ・ビームを最小化することにより、光検出器により生成される電気信号の信号対雑音比を最適化する役割をする。好適な実施例では、光学アクチュエータ位置センサ124の設計において、比較的大きな直径(0.5mm乃至5mm)の平行化レーザ・ビームが使用され、それにより光学コンポーネントの配置を容易にし、検出光学系に戻される+1次及び−1次のレーザ・ビームの共軸性(collinearity)を最大化し、コンポーネントの位置誤差に対する感度を低減し、格子欠陥に対する感度を低減する。格子欠陥を許容するアクチュエータ光学ヘッドの効果は、より広範な複製方法の選択を可能にし、生産性を向上させることにより、格子コストを低減する。
【0041】図7は、本発明による放射状回折格子(120c)と共に使用されるアクチュエータ位置センサ124の設計を示す。この設計及びオペレーションは、平面ミラー324及び330がルーフ・プリズム(roof prism)424及び430により置換され、線状格子120aが放射状格子120cにより置換された以外は、線状回折格子に関連して上述されたアクチュエータ位置センサと同じである。ルーフ・プリズム424及び430にそれぞれ入射する+1次及び−1次の回折レーザ・ビームは、放射状回折格子上の格子線がロータリ・アクチュエータ・ピボット116の回転中心の真上のポイントに正確に集中すれば、放射状格子が円弧をたどるときに不動である。
【0042】1X望遠鏡が光学収差を十分補正するためには、格子線の集中ポイントがアクチュエータの回転軸と共軸上にあることが重要である。等価的には、2つの1X望遠鏡により決定される平面の方向が、入射レーザ・ビームにより照射される放射状格子線に直交しなければならない。アクチュエータのピボットと放射状格子線の集中ポイントとの間の位置誤差が、放射状格子の回転中に受諾不能なまでに大きくなると、光学ヘッドが電気機械システムにより、放射状格子線に対して直交するように維持され、それにより要求方位が維持される。
【0043】B.アクチュエータ光学位置センサ信号復号化回路アクチュエータ光学位置センサ信号復号化回路126(図1参照)は、信号検出回路、復号化回路、及び復号化アルゴリズムを含む。図8は、アクチュエータ光学位置センサ信号復号化回路に入力される正弦波信号の時間線(timeline)を表す。時間線の縦軸は電流信号を表し、横軸は格子位置目盛りを表す。電流信号520及び521は、アクチュエータ位置をセンスするために線状格子を用いる場合には、光検出器314及び318により生成され、またアクチュエータ位置をセンスするために放射状格子を用いるときには、光検出器414及び418により生成される。電流信号は格子が格子ピッチの1/4に等しい距離移動すると、1サイクルを描く。電流信号は振幅Aq及びAp、DCオフセットBq及びBp、及び位相角φにより完全に表現される。
【0044】光学コンポーネント及び位置公差により、2つの波形に対応するパラメータは、一般に似寄ってはいるが、同一ではない大きさを有し、位相角φはほぼ90゜である。更に信号波形を表現するパラメータは、空間的格子回折効率の変化、波面の質の変化、及び光検出器に戻される+1次及び−1次の回折ビームの共軸からのふれ(deviation)により、ある程度格子位置に依存する。これらのほとんどの効果が、実際のコスト有効な設計においては、ある程度存在する。光学アクチュエータ位置センサ及び格子は、設計のコスト有効性を最大化する一方で、格子位置によるパラメータ変化を最小化するように設計される。またアクチュエータ位置信号復号化回路は、実際の格子及び光学アクチュエータ・ヘッドにより生成される非理想的な信号を補正するように設計される。
【0045】図11は、アクチュエータ光学位置センサ信号復号化回路のブロック図を表す。これには光検出器314及び318、増幅器602及び652、加算増幅器604及び654、アナログ−デジタル変換器(ADC)608及び658、バイアス検出器610及び660、デジタル除算器616及び666、デジタル累算器618及び668、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)622及び672、デジタル−アナログ変換器(DAC)620及び670、直角位相カウンタ674、及び処理ユニット678が含まれる。
【0046】オペレーションに際し、低レベル電流信号520が光検出器314により生成され、増幅器652により増幅される。増幅器652からの結果の信号は加算増幅器654により信号690と加算され、次にADC658によりデジタル化される。DCオフセット・バイアス補正信号690は、DCバイアス・オフセットBqを補正した振幅を有する。同様に、光検出器318により生成された低レベル電流信号521は、増幅器602により増幅される。結果の信号は加算増幅器604により信号692と加算され、次にADC608によりデジタル化される。DCオフセット・バイアス補正信号692は、DCバイアス・オフセットBpを補正した振幅を有する。増幅器604及び654は、要求信号帯域幅を忠実に通過させる一方で、高周波雑音を減衰させる遮断周波数に設定されたロー・パス・フィルタを組込む。ADC608及び658によりサンプリングされる信号680及び682は、それぞれDCバイアス・オフセットが除去された電流信号520及び521を忠実に表現する。結果の信号680及び682が、図10に図式的に示され、ぞれぞれq及びpとラベル付けされる。q信号は横軸上にプロットされ、p信号は縦軸上にプロットされる。p及びq信号は、回折格子120aが格子ピッチの1/4に等しい距離だけ移動されると、楕円534をトレースする。楕円は格子運動の方向に依存して、時計方向または反時計方向にトレースされる。直角位相アップ/ダウン・カウンタは、楕円の回転方向を考慮して、完全な楕円回転の回数をカウントする。
【0047】粗動復号化位置が、完全な楕円回転の回数及び符号を追跡することにより獲得される。この量は、粗動復号化回路(好適な実施例では、図6の直角位相カウンタ674及び加算増幅器654及び604を含む)により測定される。直角位相カウンタ674は、加算増幅器654及び604から、波形520及び521にそれぞれ位相同期した矩形波信号522及び523の形式で入力を受取る。これらの矩形波信号が図9に示される。直角位相カウンタ674は矩形波522及び523の遷移エッジを用いて、完全な楕円回転の総数及び符号をカウントする。カウンタ値は、任意の初期位置に対する格子の粗動位置を提供する。増幅器654及び604内のロー・パス・フィルタの遮断周波数は、高周波雑音を減衰させ、直角位相カウンタ674により要求される帯域幅を通過させるように設定される。遮断周波数は、要求される最大格子速度及び回折格子のピッチから決定される。粗動復号化回路の上述の好適な実施例において、ソフトウェア・ベースのアプローチなどの多くの別の実施例も使用可能であり、こうしたものも本発明の範囲に含まれる点に注意されたい。
【0048】微動復号化位置は、p信号とq信号との間の位相角を測定することにより決定される。信号680及び信号682が等しい最大振幅を有し、それらの間の位相角φが丁度90゜である特殊なケースでは、p及びq信号によりトレースされる曲線534は円となる。この特殊なケースでは、時刻tにおける微動復号化位置xは次式により計算される。
【数1】x(t)=(d/2π)θ(t) (1)
【0049】ここである瞬間の角度θ(t)は次式により計算される。
【数2】


【0050】p及びq信号によりトレースされる曲線534が楕円であるより一般的なケースでは、角度θ(t)は、楕円の形状、方位、及び残余DCオフセットを適切に考慮するより一般的な復号化アルゴリズムを用いて決定される。一般に、p(t)及びq(t)信号は次のように表現される。
【数3】


【0051】式(3)は下記式(4)に変換される。
【数4】


【0052】式(4)内のパラメータcp、cq、dp、bp及びbqは、次のように定義される。
【数5】


【0053】
【数6】


【0054】所与の格子位置において、楕円に最適に適合するパラメータcp、cq、dp、bp及びbqは、次のように決定される。楕円上の複数のデータ・ポイント(pi,qi)が、1つ以上の楕円をスイープ(sweep)するように、格子位置を振動(dither)させることにより捕獲される。測定されたデータ・ポイント(pi,qi)は、次に式(4)及び下記式(7)に繰返し当てはめられる。
【数7】


【0055】最適に適合する楕円パラメータは、ある瞬間の測定値p(t)及びq(t)と共に、上記式(1)、(2)及び(4)に従い、ある瞬間の微動格子位置を復号化するために、マイクロプロセッサ678により使用される。マイクロプロセッサ678は、直角位相カウンタのスイッチング・ポイント付近で発生する曖昧性を適当に考慮するように、直角位相カウンタ674から獲得される粗動位置の値と、上記微動復号化アルゴリズムにより決定される微動位置の値とを組合わせる(splice)ことにより、時刻tにおける格子位置を決定する。微動復号化と直角位相カウンタ位置との組合わせは、単一の位置数(position number)を次のように生成する。P信号及びQ信号の各完全なサイクルに対して、カウンタは4カウント分進む。カウンタはP信号及びQ信号の各ゼロ・クロス・ポイントにおいて変化する。微動位置復号化は、P信号及びQ信号の単一サイクルを2N個の要素に分解する。Nは通常、十分な範囲及び分解能を提供するように、6乃至12の範囲で選択される。微動位置は従ってNビットの数により表される。カウンタ値と復号化微動位置との間にタイミング・スキューまたは振幅オフセットが存在しなければ、微動位置復号化の最上位2ビットと、直角位相カウンタの最下位2ビットとは同一である。しかしながら、コスト有効化のために要求されるように、カウンタ値と微動位置復号化がP信号及びQ信号から別々に導出される場合には、タイミング・スキューまたは振幅オフセットが発生しうる。四分区間(quadrant)が図10で定義される。第1の四分区間では、カウンタの最下位2ビット及び微動復号化の最上位2ビットが、値00を有する。第2の四分区間では、これらのビットが値01を有し、第3及び第4の四分区間では、それぞれ値10及び値11を有する。四分区間境界では、カウンタ及び微動復号化はオーバラップする2ビットに対応して、異なる値を生成しうる。この矛盾は、次に示すアルゴリズムにより、カウンタ及び微動位置の値を組合わせることにより解決される。
1)カウンタ値から2を減算する。
2)結果のビットをN−2位置分左にシフトする。ここで、Nは上述のように定義される。
3)微動復号化位置をステップ2の結果に加算する。
4)ステップ3の結果の最下位Nビットを0にセットする。
5)最下位Nビットを微動復号化位置により置換する。
結果の格子位置はアクチュエータ位置制御装置128(図1参照)により使用され、制御装置はアクチュエータ・ボイス・コイルと協働して、1つ以上の磁気記録ヘッド112をそれらの対応するディスク表面上で半径方向に位置決めする。
【0056】図11を再度参照して、上述の計算を実行する微動復号化回路が示される。好適な実施例では、微動復号化回路は加算増幅器604及び654、ADC608及び658、バイアス検出器610及び660、除算器616及び666、RAM622及び672、累算器618及び668、DAC620及び670、及び直角位相カウンタ674を含む。DCバイアス・オフセットBqを相殺するために要求される信号690は、DAC670により提供される。格子位置の関数としてのこの要求信号の振幅は、RAM672により、以前に決定された値を用いて提供される。直角位相カウンタ674は、RAM672に記憶される値がDAC670に渡されるように、RAM672の適切なメモリ・ロケーションをアドレスする役割をする。同様にDCバイアス・オフセットBpを相殺するために要求される信号692は、DAC620により、RAM622に記憶される以前に決定された値を用いて提供される。RAM622はまた直角位相カウンタ674によりアドレスされる。
【0057】信号690及び692のそれぞれの振幅を格子位置の関数として示すRAM672及び622に記憶される値は、回折格子120aを初期最端位置から他の最端位置にスイープすることにより獲得される。格子は最初に、アクチュエータ・ボイス・コイル118及びアクチュエータ114と協働するアクチュエータ・サーボ制御装置128により、初期最端位置に位置決めされる。初期最端位置は、最新のディスク駆動装置内に通常、存在するクラッシュ・ストップ(crash stop)の1つにより決定される。適切な電気駆動をボイス・コイル118に供給することにより、格子は周期的に移動される。位置振幅に関しては、1つ以上の正弦波の電流信号サイクルが光検出器314及び318により生成される。マイクロプロセッサ678の指令により、ADC658は結果の波形680をサンプリングする。サンプリング周波数は、最大及び最小振幅がバイアス検出器660により正確に捕獲されるように、結果の波形680の周波数よりも十分高く設定される。バイアス検出器は最大及び最小値を平均し、電流DCオフセット値B'qを決定する。結果のDCオフセット値B'qの分数(fraction)が、除算器666により累算器668に渡される。累算値がRAM672に記憶され、DAC670に渡される。DACは信号690を生成し、この信号が信号680のDCオフセット値を低減する。この処理は、信号680のDCオフセットがゼロ近傍に低減されるまで、マイクロプロセッサ678の指令の下で繰返される。結果の累算値はRAM672に記憶される。
【0058】上述のシーケンスと同様且つ同時に、マイクロプロセッサ678はADC608に対して、結果の波形682をサンプリングするように指令する。波形682の最大振幅及び最小振幅が、バイアス検出器610により正確に捕獲される。バイアス検出器は最大値及び最小値を平均し、電流DCオフセット値B'pを決定する。結果のDCオフセット値B'pの分数が除算器616により累算器618に渡される。現累算値がRAM622に記憶され、DAC620に渡される。DACは信号692を生成し、この信号が信号682のDCオフセット値を低減する。この処理は、信号682のDCオフセットがゼロ近傍に低減されるまで、マイクロプロセッサ678の指令の下で繰返される。結果の累算値はRAM672に記憶される。ここで除算器666及び616の使用は、ADC658及びADC608、並びにDAC670及びDAC620において利得誤差が存在する場合にも、正しいバイアス・オフセット信号値690及び692に無症候的(asymptomatically)に近づくことを保証する。
【0059】加算増幅器654及び604からの信号出力のDCオフセットが上述の処理により補正されると、直角位相カウンタ674は完全に機能するようになる。直角位相カウンタ674はこの時、粗動位置信号をマイクロプロセッサ678に、また絶対メモリ・アドレスをRAM672及びRAM622に提供する。低利得サーボ制御の下で、また直角位相カウンタ674により提供される粗動位置信号だけを使用することにより、アクチュエータ・サーボ制御装置128はアクチュエータ・ボイス・コイル118及びアクチュエータ114と協働して、回折格子を初期最端位置から他方の最端位置まで徐々にスイープする。この運動の間、マイクロプロセッサ678は直角位相カウンタの支援を受けて、ADC658及び検出器660に信号680の瞬間バイアス値B'qを測定するように指令する。信号B'qは除算器666により除算され、累算器668に記憶される以前の累算値に加算される。結果の累算値がDAC670により使用されて信号690が生成され、この信号が加算増幅器654により、増幅器652からの出力と加算される。累算値はまた、RAM672内の直角位相カウンタ値により決定されるメモリ・アドレスに記憶される。信号520のDCオフセットを補正するために要求される累算値は、各所望の格子位置に対応して、RAM672内に記憶される。上述の処理と同様且つ同時に、信号521のDCオフセットを補正するために要求される累算値が、マイクロプロセッサ678、直角位相カウンタ674、ADC608、バイアス検出器610、除算器616、累算器618、DAC620及びRAM622により、各所望の格子位置に対応して、RAM622内に記憶される。DCオフセット・バイアス値Bq及びBpは、格子位置に従い、狭い範囲に渡り徐々に変化することが期待される。これは、a)回折格子効率の期待される小振幅且つ長い空間周波数の変化、b)格子変換に関する光学位置センサ検出効率の期待される漸進的変化、及びc)格子に入射する所望のレーザ・ビーム領域が、所与の格子位置において照射される欠陥の総面積よりも遥かに大きいこと、による。DCオフセット値の漸進的変化は、図11の除算器666及び616の除算値Nを1より大きくすることにより、RAM622及び672にそれぞれ記憶されるバイアス値Bp及びBqの信号対雑音比を改良する利点から使用される。これはRAM622及び672に走行平均(running average)を記憶する効果を有し、従って雑音に対する感度を低減する。
【0060】微動復号化回路の上述の好適な実施例に関し、他の多くの実施例が使用可能であり、これらについても本発明の範囲に含まれることに注意されたい。例えば、バイアス相殺がハードウェアではなくソフトウェアにより実現され、全ての復号化機能がハードウェアにより実現されてもよい。
【0061】III.書込みクロック・サブチャネル書込みクロック・サブシステムが図12に示され、これは半導体レーザ源700、レーザ・ビーム・デフレクタ706、及び検出光学系702及び704から成る光学クロック・センサ134、格子130、光学窓132、及び書込みクロック信号処理回路136を含む。平面回折格子130が図13に示され、これはレーザ・ビームの直径、及びスピンドル・ハブの回転中心に関する中心公差を収容するのに十分な幅を有する環形形状を有する。格子線は環形の中心に集まる。半径方向の位置にある放射状格子の表面にはレーザ・ビームが入射する。この格子のピッチは、ほぼレーザ・ビームの波長の2倍であり、深さはレーザ・ビームの波長のほぼ1/4である。光学書込みクロック・センサの性能を最大化するために、格子ピッチ及び深さは、p偏光及びs偏光レーザ・ビームの両方の1次回折パターンの効率を最適化且つ等しくするように、且つ他の全ての回折次数の回折効率を最小化するように選択されることが好ましい。小さな格子を使用し、低密度基板を選択するか、或いはスピンドル・ハブ表面に直接格子を複製することが有利である。サブシステムは精密な書込みクロック・タイミング信号、及びディスク面に"フェーズ・ロック"されるディスク指標タイミング信号を生成する。1回転当たりのクロック・サイクルの総数は、放射状格子上の線数により決定される。検出回路は、格子欠陥または回路雑音によるパルス数の過不足が補正されるように、設計される。サーボ書込み装置により生成される記録磁気標識の正確な円周方向の位置が、パターン発生器142に記憶されたデータ・パターンを正確に刻時するための要求クロック信号、及びディスク指標信号を生成する書込みクロック・システムにより制御される。
【0062】A.光学書込みヘッド・センサ図14は、放射状格子と共に使用されるように構成され、本発明による基準書込みクロックを生成する光学書込みクロック・センサの詳細を表す断面図である。
【0063】測定システムは半導体レーザ700、コリメータ・レンズ804、偏光子822及び824、偏光ビーム・スプリッタ806、球面レンズ808、814及び820、光検出器826、1/4波長板810及び816、コーナ・キューブ・リフレクタ812及び818、及び放射状格子130を含む。オペレーションに際し、レーザ・ダイオード700により生成されたレーザ・ビームがコリメータ804、偏光子822、及び偏光ビーム・スプリッタ806を通過する。偏光子822及び偏光ビーム・スプリッタ806は任意のS偏光成分の進行を妨げ、P偏光成分をレンズ820に向けて通過させる。結果のビームは実質的に(約5%以内)、レンズ820により、放射状格子130上のスポット830に集光される。好適な実施例では、レンズ820に入射するビームはレンズ820の光軸から約1.5mmオフセットされるため、格子から反射される0次のビームが、復路においてレンズ820の通過後に、入射レーザ・ビームから約3mmオフセットされる。その結果、帰りのビームがレーザ・ダイオード802に戻ることが容易に防止され、キャビティにフィード・バックされる光に対するダイオード・レーザの既知の感度が回避される。格子からのP偏光0次反射ビームは、偏光ビーム・スプリッタ806によっても通過され、光検出器826の性能を低下させないように、光検出器826に向けては反射されない。
【0064】+1次及び−1次の回折レーザ・ビームが、格子からそれぞれの波面再生光学系の方向に発生する。特に、結果の+1次回折レーザ・ビームは、球面レンズ808を通過し、その後平行化され、次に1/4波長板810を通過し、コーナ・キューブ・リフレクタ812により反射され、再度、1/4波長板810及びレンズ808を通過して戻る。レンズ808は実質的に結果のビームを格子上のスポット830に集光する。結果のビームは、格子130によりレンズ820に向けて回折される。レンズ820はビームを再平行化し、それを偏光ビーム・スプリッタ806に導く。同様に結果の−1次回折レーザ・ビームは、球面レンズ814を通過し、その後平行化されて、1/4波長板816を通過し、コーナ・キューブ・リフレクタ818により反射され、再度1/4波長板816及びレンズ814を通過して戻る。レンズ814は実質的に結果のビームを格子上のスポット830に集光し、従ってこのビームは、他の光学系のセットによりスポット830に戻された+1次のビームとオーバ・ラップされる。結果のビームは格子130によりレンズ820に向けて回折される。レンズ820はビームを再平行化し、それを偏光ビーム・スプリッタ806に導く。
【0065】光学コンポーネントの光学配置は、結果の平行化+1次及び−1次回折ビームが共線上を一致して進むように決定される。1/4波長板810及び816は、結果のビームをs偏光する役割をする。結合されたレーザ・ビームは干渉縞を生じ、その強度は放射状格子が回転されると変化する。偏光ビーム・スプリッタ806は結合ビームを偏光子824に、続いて光検出器826に導く。偏光子824は、s偏光光ビームを光検出器826に通過させる一方、p偏光光ビームに対する偏光ビーム・スプリッタ806の消衰能力(extinction capability)を増大させる役割をする。光検出器826により生成された電気信号は、時間の正弦波関数であり、放射状格子上の回折線及びスピンドル回転に同期される。1ライン・ピッチの格子の回転は、電気信号の完全な4サイクルを生じる。結果の信号は、スピンドル回転に同期する高精度及び反復基準書込みクロック信号を生成するように、続いて処理される。
【0066】B.検出回路光検出器826の出力において生成される生の基準書込みクロック(以降では生クロックと称す)のある瞬間の周波数は、その瞬間のスピンドル回転速度と、基準書込みクロック光学ヘッドからのレーザ・ビームにより照射される放射状格子の平均ピッチとにより決定される。スピンドル回転軸に対する放射状格子130の中心誤差が、レーザ・ビームにより照射される平均放射状格子ピッチ、従って生クロックの瞬間周波数を変調する。結果の変調は正弦波であり、その周波数はスピンドル回転周波数に等しい。振幅は格子中心誤差により決定され、位相は基準書込みクロック光学ヘッドの位置に対する格子中心誤差の方向により決定される。周波数変調の振幅及び位相の両方が各スピンドル回転に対応して繰返される。例えば10mmの格子半径では、格子の100μmの位置誤差による1%の中心誤差により、生クロックの1%の周波数変調振幅が生じる。生クロック周波数はまた、格子線ピッチの円周方向の不均一性の他に、繰返し及び非繰返しスピンドル・ランアウトによっても変調される。
【0067】電子雑音とは別に、上述の効果が組合わされて、繰返し及び非繰返し誤差を生クロックに追加する。スピンドル及び格子の適切な設計及び製造により、これらの寄与を小さくすることが可能である。しかしながら、ほとんどの実際のアプリケーションでは、格子中心誤差による寄与をも小さくすることは、コスト的に不都合である。本発明は、格子中心誤差による生クロックの繰返し変調を多大に低減する2つのアプローチを提供する。第1のアプローチは、生クロック変調の繰返し振幅及び位相を正確に測定し、それを補正する回路にもとづく。第2のアプローチは、格子の反対側に名目上は同一格子半径により配置される2つの書込みクロック光学ヘッドを利用して、2つの生クロックを生成する。2つのクロック信号は電子的に混合され、補正された書込み基準クロック(以降では補正クロックと称す)を生成する。
【0068】図15は、第1のアプローチにおける生クロック検出及び補正回路のブロック図を示す。生クロック検出回路は光検出器826、バンド・パス自動利得制御増幅器900、矩形波発生器901、位相検出器902、フィルタ904、電圧制御発振器(VCO)906、及びデジタル除算器(DD)907を含む。格子中心誤差による周波数変調の振幅及び位相は、測定回路と共にこれらの回路を用いて測定される。測定回路はアナログ−デジタル変換器(ADC)930、エッジ検出器926、デジタル・カウンタ928、RAMアドレス発生器(RAM−AG)929、及び処理ユニット932を含む。生クロックの補正は、RAM934に記憶される情報を使用する直角位相タイミング調整発生器と、生クロック検出回路とにより達成される。直角位相タイミング調整発生器はエッジ検出器926、デジタル・カウンタ928、RAM−AG929、RAM934、処理ユニット932、直角位相鋸波発生器(QSG)908、ピーク検出器910及び920、乗算デジタル−アナログ変換器(M−DAC)912及び922、比較器914及び924、及びパルス・セレクタ916を含む。補正書込みクロック発生器は、位相検出器940、フィルタ942、VCO944、及びデジタル除算器946を含む。
【0069】オペレーションに際し、光検出器826からの生クロックが増幅器900に渡される。増幅器900は信号を矩形波発生器901に渡す以前に、その信号をバンド・パス・フィルタリングし、自動利得制御する。バンド・パス・フィルタの帯域幅は要求される書込み基準クロック情報が基本周波数成分により伝送されるために、比較的狭い。所望のバンドパス・フィルタ帯域幅は、主に期待格子中心誤差及びスピンドルRPM変化により決定される。自動利得制御は、矩形波発生器901及び後段の位相検出器902の性能に悪影響を及ぼしうる円周方向の光学格子効率変化を補正する。矩形波発生器901、位相検出器902、フィルタ904、及びVCO906は一体で、従来のフェーズ・ロックド・ループとして機能し、格子130上の格子線に同期する生クロック信号を生成する。フェーズ・ロックド・ループはまた、電子雑音の影響を低減し、増幅器900の出力信号内に発生するゼロ・クロスの過不足を補正する機能を果たす。例えば格子欠陥はゼロ・クロスの過不足につながり、その結果、指標カウンタがディスク・スピンドルと同期しなくなる。
【0070】VCO906からの生クロックは、格子線及びスピンドル回転に正確に同期される。生クロックのタイミング・ジッタは、光検出器826からの電気信号の高い信号対雑音比、及び生クロック検出回路により提供される雑音及び格子欠陥の影響の低減作用により、元来非常に小さい。要求される生クロック周波数が生クロック検出回路内または外で、既知の方法を用いて除算または乗算される。
【0071】生クロック周波数変調の振幅及び位相が、次のようにして測定される。生クロックの遷移エッジがエッジ検出器926により検出され、デジタル・カウンタ928によりカウントされる。特にデジタル・カウンタ928は、完全な1スピンドル回転当たりの遷移総数をカウントすることにより、静的スピンドル指標を生成する。完全な1スピンドル回転当たりの遷移総数は、格子線の数及び生クロック検出回路において実行される周波数の除算または乗算により決定される。遷移エッジは更に、ADC930及びRAMアドレス発生器(RAM−AG)929にも渡される。ADC930は遷移エッジを用い、データ獲得タイミングを決定する一方、RAM−AG929はそれらを用い、RAM934の適切なデータ・アドレスを決定する。所与のスピンドル回転において、VCO906へのある瞬間の入力、従ってDD907のその瞬間の出力周波数が、ADC930により同期してサンプリングされ、記憶及び処理のために処理ユニット932に渡される。処理ユニット932は、複数の完全なスピンドル回転から得られたデータを用い、格子の偏心誤差による周波数変調の最適な振幅及び位相を計算する。この計算は既知の統計的原理を用いて実行されるので、ここではその詳細については触れないことにする。所与のスピンドル回転において取得されるデータ・サンプル数と同様、完全なスピンドル回転数が任意のスピンドル速度変化を補正し、雑音を平均化するように選択される。処理ユニット932は最適な振幅及び位相を利用し、格子中心誤差を補正するために各生クロック・サイクルに対応して要求される同期タイミング調整を計算する。同期タイミング調整の適切な表現が、RAM934に記憶され、RAM−AG929を用いてアドレスされる。RAM934に記憶された値は、次に、直角位相タイミング調整発生器により、瞬間タイミング調整を実施するために使用される。
【0072】直角位相タイミング調整発生器の機能は、QSG908、ピーク検出器910及び920、M−DAC912及び922、及び比較器914及び924により提供される。QSG908は、DD907からの生のクロックと同期する直角位相鋸歯状波形を生成する。図16のタイミング図は、生クロック1000、鋸歯状波形1010及び1040、並びに比較器914及び924からのそれぞれの出力波形1001及び1002を表す。波形1010の順次サイクルに対応するM−DAC912の出力は、水平線1020、1021及び1022により示される。比較器914は、鋸歯状波形振幅がM−DAC912の事前設定出力1020、1021及び1022に等しくなると、それぞれ順次パルス1030、1031及び1032を有する波形1001を生成する。同様に波形1040の順次サイクルに対応するM−DAC922の出力が、水平線1050、1051及び1052により示される。比較器924は、鋸歯状波形振幅がM−DAC922の事前設定出力1050、1051及び1052に等しくなると、それぞれ順次パルス1060、1061及び1062を有する波形1002を生成する。図16に示される例では、生クロックは16単位の周期を有し、比較器の出力は18単位の周期を有する。同様にM−DAC912及び922からの出力順次値の適切な選択により、比較器914及び924からの出力値は生クロックよりも小さな周期を有することもできる。従って、RAM934内の値の適切な順序をプログラムすることにより、波形1001及び1002のパルス周期は、生クロック周期がスピンドル回転に従い変化しても、一定に保たれる。
【0073】生クロックの各サイクルに対応するM−DAC912の出力値は、RAM934に記憶されるデジタル値により決定され、ピーク検出器910の出力を用いて、前の鋸歯状波形のピークに正規化される。同様に生クロックの各サイクルに対応するM−DAC922の出力値も、RAM934に記憶されるデジタル値により決定され、ピーク検出器920の出力を用いて、前の鋸歯状波形のピークに正規化される。M−DAC912及び922、及びピーク検出器910及び920により提供される正規化は、生クロック周波数変化により生じる鋸歯状波形の振幅変化がサイクル毎に補正されることを保証する。RAMアドレス発生器929の指令の下で、RAM934の出力値を同期して変化することにより、比較器914及び924からの出力パルスが、所与の鋸歯状波形サイクルの始まりと終りの間のどこかに配置される。従って、波形1001及び1002のパルスの位置は、波形サイクル内でサイクル毎に連続的且つ予測的に移動され、格子中心誤差による周波数変化を補正する。
【0074】原理的には、QSG908により生成される鋸歯状波形が理想に近ければ、すなわち、QSG908からの鋸歯状波形が、所望の最小遅延間隔よりも極めて小さく、範囲全体を通じて高度に線形である最大から0までの遷移時間を有すれば、波形1001または1002のいずれかが補正クロックを提供する。しかしながら、この要求はQSGを実現するために使用されるコンポーネントの性能要求及びコストを不必要に増加させ、またその設計を複雑にする。本発明によれば、直角位相鋸波発生器の使用、及びパルス・セレクタ916により、波形1001または1002の一方からパルスを適切に選択することにより、範囲全体に渡る線形性要求と同様に、遷移タイミング要求が多大に緩和される。直角位相波形に対する唯一残された重要な要求は、波形の中央部分が高度に線形であり、それらの傾きがよく一致していることである。これらの要求は既知の技術を用いて、コスト有効に達成される。補正されたクロックは、パルス・セレクタ916、及び位相検出器940、フィルタ942、VCO944及びデジタル除算器946から構成されるフェーズ・ロックド・ループにより生成される。
【0075】通常のフェーズ・ロックド・ループ・アプリケーションでは、VCO906の線形性は重要ではない。しかしながら、本発明ではVCO906の線形性は非常に重要である。なぜなら、これは生クロックの周波数変調の振幅及び位相を正確に測定するために使用されるからである。VCOの電圧対周波数変換特性は、矩形波発生器に対して、所望の動作範囲に渡る正確に知れた周波数を有する複数の波形を供給することにより、測定される。入力周波数は、例えば水晶制御クロックにより生成される。VCO906の入力における結果の電圧は、ADC930により、各入力周波数に対して複数回サンプリングされる。サンプリング値は次に直線に近似され、既知の設計手法により電圧対周波数変換特性が計算される。
【0076】生クロック検出及び補正を実現する第2の手法が図17に示され、ここでは(格子中心の反対側に)180゜離れて配置される2つの別々のクロック・ヘッドを使用する。この手法によれば、書込みクロック・サブシステムは、光学クロック・ヘッド1100及び1150、格子130、生クロック検出回路1130及び1140、書込みクロック・ミキサ1160及び補正書込みクロック発生器1170を含む。光学クロック・ヘッド1100は、半導体レーザ1102、偏光ビーム・スプリッタ1103及び光検出器1104を含む。同様に光学クロック・ヘッド1150は、半導体レーザ1152、偏光ビーム・スプリッタ1153及び光検出器1154を含む。光学クロック・ヘッドの完全な設計が、上述の図14に示される。各ヘッドはそれぞれのクロック検出回路に結合される。クロック検出回路1130及び1140の設計は、図15に示される設計と等価であり、増幅器900、矩形波発生器901、位相検出器902、フィルタ904及びVCO906を含む。クロック検出回路1130及び1140により生成される2つの同期された生格子クロックは、ミキサ1160で結合され、次の出力信号が生成される。
【数8】cos(f1)x cos(f2)= 0.5[cos(f1+f2)+ cos(f1−f2)]
【0077】補正書込みクロック発生器1170は、ハイ・パス・フィルタを用いて差分周波数項を除去し、残りの加算周波数項を処理して、コンポジット書込みクロックを生成する。上記結合の相殺効果により、結果のコンポジット・クロックは格子中心誤差に起因する1次周波数誤差を示さない。残りの2次の項の大きさは1次の項よりもはるかに小さく、中心誤差の2乗に比例する。1%の格子中心誤差の最悪のケースでは、この手法は、結果の補正書込み基準クロック周波数に最大0.01%の誤差を生じ、これはほとんどのサーボ書込みアプリケーションにおいて十分なオーダである。
【0078】幾つかのアプリケーションは、基準クロック周波数の完全な修正を必要としない。多くの例では、少量の情報だけが同期して書込まれるように要求される。例えばデータ記録ディスク上にセクタ・サーボ・パターンを書込む際、任意の単一のサーボ・セクタがトラック間アライメントの同期クロックにより書込まれるが、同期要求はサーボ・セクタ間で緩和される。こうしたケースでは、実際に基準クロック周波数を訂正することなく、サーボ・セクタ間の時間が修正されれば十分である。非補正書込み基準クロックを用いて、測定セクタ長を較正するために、水晶制御基準クロックが使用され、その結果、等しい長さのセクタが生成される。較正精度はスピンドルRPM制御精度に相応していればよく、スピンドルRPM制御精度自身は、複数スピンドル回転中に取得される平均データにより必要に応じて改良される。
【0079】IV.波面再生光学系上述のアクチュエータ位置センサ及び基準書込みクロック発生器に含まれる反射回折格子は、線状及び放射状に配置された回折パターンをそれぞれ設けられる。入射光ビームに対して格子が回転すると、反射回折パターンの位相が入射ビームの位相に対してシフトする。この位相シフトが適切な光検出器により測定され、アクチュエータ位置及び基準書込みクロック信号を正確に決定するバイアスを提供する。
【0080】新式のディスク駆動装置では、ロータリ・アクチュエータと共に線状回折格子からの回折パターンを使用することが流行であるが、これに関する問題は、アクチュエータがピボットの回りを回転するとき、回折レーザ・ビームが入射レーザ・ビームに対して回転(偏向(yaw))することである。光学系設計は最大±20゜のアクチュエータ回転を可能にする必要がある。一方、線状回折格子の代わりに放射状格子を使用する場合には、回折レーザ・ビームは回転しない。しかしながら、放射状回折格子に関する問題は、入射レーザ・ビーム下の変化しうる格子線ピッチにより生じる回折パターンの多少の波面収差である。通常の光学系では、+及び−次数の回折パターンが入射ソース・レーザ・ビームの近傍の格子内のスポットに反射して戻され、次に格子表面に垂直に位相検出用の光検出器に向けて回折される。結果のレーザ・ビームの+と−の次数の回折パターンの結合は、実質的な波面収差を示す。これは位置検出システムの性能を低下させる回折縞の明暗を生じる。これは更に、格子に対する光学系の位置誤差に非常に敏感な検出システムにしてしまう。なぜなら、2つの大きく分散した結果のレーザ・ビームは、格子の回転時に共線上に正確に維持されなければならないからである。
【0081】線形格子の回転から生じる大きな偏向角に対処する従来技術は存在しない。放射状格子による角度位置センスに関する従来技術は、回折パターンの結果の波面収差を補正しないか、収差を最小化するように格子表面に取り付けられた円柱レンズを用いて、光をスリットに集光するか、或いは分散したレーザ・ビームを複雑な光学系を用いて再平行化するかのいずれかである。2番目の設計は、非常に小さな有効範囲を有するだけでなく、格子に関連する重さ及びコストを多大に増加させる重大な欠点を有し、上述のディスク駆動装置における使用を非効果的にする。後者の設計は、分散した波面の非点収差(astigmatism)を除去する円柱レンズを使用する。より詳細には、+次数の回折レーザ・ビームに対して、この設計はレーザ・ビームを屈曲させるウェッジ・プリズム(wedge prism)、収差を補正する1対の円柱レンズ、結果のレーザ・ビームを反射するコーナ・キューブ、レーザ・ビームを再度屈曲させる第2のウェッジ・プリズム、及び結果のレーザ・ビームを回折格子に戻す以前に、光を共役波面(conjugated wavefront)に変換する2番目の対の円柱レンズを使用する。2つのウェッジ・プリズム、2つのセットの円柱レンズ、及び平行化された+次数の回折ビームを格子の所望の位置に適切な角度で戻すために要求されるコーナ・キューブ・リフレクタの位置合わせが結果的に非常に困難である。加えて−次数の回折ビームに対応して、格子に戻される結果のレーザ・ビームが、+次数の回折ビームと共線上を一致して進み且つ平行化されるように、第2のセットの同一の光学系を位置合わせすることは、極めて困難である。いずれのケースにも、位置合わせが達成されたとしても、通常の取り扱い及び使用の間に、全ての光学コンポーネントの配置を適切に維持することは非常に困難である。従って、この設計は多数の光学コンポーネント、光学コンポーネントを位置合わせするために要求される機械的ステージの複雑性、及び適切な配置を達成及び維持する困難度のために、実際のアプリケーションとしては非実用的である。
【0082】最後の1つの従来アプローチ、すなわち、放射状格子に入射する非常に小さな直径のレーザ・ビームを使用するアプローチは、放射状格子により生じる光学波面収差を最小化するために有効である。しかしながら、ほとんどの実際のアプリケーションでは、レーザ・ビームの直径を低減することは好ましくない。なぜなら、検出システムが格子欠陥に非常に敏感になるからである。こうした格子欠陥は、低コストで大量生産される格子内には必ず存在する。
【0083】この章では、上述の光学問題を克服し、光学測定システムが線状または放射状回折格子のいずれかに対する相対位置を正確に測定することを可能にする、本発明の再生光学系に注目する。この再生光学系は、放射状格子により導出される光学波面収差の他に、線状格子により導出される変化しうる偏向角を補正する。放射状格子に対応する再生光学系の設計は、完全な360度の角度範囲を有するが、線状格子に対応する再生光学系の設計は、実際の光学コンポーネントにより決定される制限された角度範囲を有する。
【0084】線状回折格子に対応する再生光学系の設計は、入射レーザ・ビームの一方の側に配置される第1の球面レンズ及び第1の平面ミラー・リフレクタと、入射レーザ・ビームの他方の側に配置される第2の球面レンズ及び第2の平面ミラー・リフレクタとを含む。平面ミラー・リフレクタは、正面リフレクタまたは背面リフレクタのいずれかである。第1の球面レンズ及び平面ミラー・リフレクタは、線状回折格子からの+次数の回折レーザ・ビームを受取り、第2の球面レンズ及び平面ミラー・リフレクタは、−次数の回折レーザ・ビームを受取る。次に、これらはそれぞれのレーザ・ビームが平行化されて一致するように、ビームを格子に折り返す。再生光学系は格子からの2次の回折の際に、結果のレーザ・ビームが共線上を入射ソース・レーザ・ビームと平行に、しかし変位して進むように配置される。入射ソース・レーザ・ビームと結果のレーザ・ビームとの空間的な分離は、上述したように検出工程を支援する。結果のレーザ・ビームは、格子の大きな回転角に渡り、共軸上を進むように設計される。許容回転角は、主にレンズの光学アパーチャ及びミラーのサイズにより決定される。この設計は、少数の光学コンポーネント、光学コンポーネントの位置合わせに要求される機械的ステージの複雑化の低減、及び適切な位置合わせの達成及び維持の容易性により、実際のアプリケーションにおいて非常に有効である。
【0085】放射状回折格子に対応する再生光学系の設計は、平面ミラーがルーフ・プリズムまたはルーフ・ミラー(2つの平坦な反射面が互いに直交方向を向く)により置換される以外は、線状格子の場合の上述の光学系と同様である。この再生光学系は、入射レーザ・ビームの一方の側に配置される第1の球面レンズ及び第1のルーフ・リフレクタ、及び入射レーザ・ビームの他方の側に配置される第2の球面レンズ及び第2のルーフ・リフレクタを含む。第1の球面レンズ及びルーフ・リフレクタは、放射状格子からの+次数の回折レーザ・ビームを受取り、第2の球面レンズ及びルーフ・リフレクタは、−次数の回折レーザ・ビームを受取る。次に、これらはそれぞれのレーザ・ビームが平行化されて一致するように、ビームを格子に折り返す。この光学系は格子からの2次の回折の際に、結果のレーザ・ビームが共線上を入射ソース・レーザ・ビームと平行に、しかし変位して進むように配置される。入射ソース・レーザ・ビームと結果のレーザ・ビームとの空間的な分離は、この場合にも検出工程を支援する。結果のレーザ・ビームは、格子が放射状格子線が集中するポイントに配置されるピボット・ポイントの回りを回転する限り、格子の回転に際し、共軸上を進むように設計される。この設計は、放射状格子により導出される波面収差を完全に補正し、少数の光学コンポーネント、光学コンポーネントの位置合わせに要求される機械的ステージの複雑化の低減、格子の位置誤差に対する許容差、及び適切な位置合わせの達成及び維持の容易性により、実際のアプリケーションにおいて非常に有効である。
【0086】図18は、線状格子をメトリック(測定基準)として使用するように設計された光学測定システムを表し、ここでは"リニア・ヘッド"として参照され、−IX望遠鏡波面再生光学系の特徴を示す。光学ヘッド1202はレーザ光源1204及び検出器1206を含む。反射回折格子1208は、上述のように、その上面1210に線状パターンが配置され、その下面1212はアクチュエータまたはスピンドル・スタックに取り付けられる。再生光学系は、光軸1226に沿って配置される球面レンズ1214及び平面ミラー・リフレクタ1216、並びに光軸1228に沿って配置される球面レンズ1220及び平面ミラー・リフレクタ1222を含む。
【0087】再生光学系の幾何は、−1の屈折力(power)の望遠鏡の効果を生成するように確立される。特に、球面レンズ1214及び平面ミラー・リフレクタ1216の中心は、光軸1226として示される回折ビーム経路の公称中心線に沿って配置される。球面レンズ1214は、回折格子1208上のスポット1230と1232との間の中心点から、光軸に沿って距離f離れた位置に配置される。距離fは、球面レンズ1214の焦点距離に等しく設定される。更に平面ミラー・リフレクタ1216は、球面レンズ1214から光軸に沿って距離f離れた位置に配置される。球面レンズ1214及び平面ミラー・リフレクタ1216と同様に、球面レンズ1220及び平面ミラー・リフレクタ1222が、回折格子1208から球面レンズ1220の焦点距離分ずつ増分した位置に配置され、それらの中心は光軸1228として示される回折ビーム経路の公称中心線上に配置される。
【0088】オペレーションに際し、レーザ源1204から発生するレーザ・ビームは、線状回折格子1208上のスポット1230に直角の入射角で入射する。結果の+及び−次数の回折レーザ・ビームが、それぞれの波面再生光学系の方向に現れる。特に結果の+次数の回折レーザ・ビームは球面レンズ1220を通過し、平面ミラー1222上に集光され、折り返し反射され、レンズ1220を通過するとビームが再度平行化され、回折格子1208上のスポット1232に導かれる。格子は次に、結果のビームを検出器1206の方向に回折する。平面ミラー1222及びレンズ1220の上述の設計及び配置は、結果のビームをソース・レーザ・ビームに平行に、しかしそこから変位させて進行させる。同時に−次数の回折レーザ・ビームは球面レンズ1214を通過し、平面ミラー1216上に集光され、折り返し反射され、レンズ1214を通過すると、再度ビームが平行化され、回折格子1208上のスポット1232に導かれる。格子は次に、結果のビームを検出器1206の方向に回折する。平面ミラー1216及びレンズ1214の上述の設計及び配置は、結果のビームが+次数の回折ビームと一致し且つ共軸上を進行して、検出器1206に導かれるようにする。2つの結果の+及び−次数の波面は、完全に再生され平行化された光ビームに結合され、検出器1206の方向に現れる。
【0089】上述の設計は、再生光学系が光学ヘッドに対する線状格子の偏向角の影響を受けにくいようにする。これは、線状回折格子をアクチュエータに実装するとき、及びアクチュエータ位置測定において、光学ヘッドをディスク駆動装置に対して位置決めするときの正確な位置合わせを不要にする。ロータリ・アクチュエータを使用するディスク駆動装置では、この設計は、線状格子を使用するロータリ・アクチュエータの位置を正確に測定する手段を提供する。実際には、図18に示される再生光学系は、線ピッチの範囲を有する線状回折格子と一緒に使用され、最大約±20゜の偏向角感度を提供する。許容可能偏向角は、ミラー1216及び1222のサイズの他に、開口数(numerical aperture)、"フラット・フィールド"性能、及びレンズ1214及び1220のテレシントリシティ(telecintricity)により制限される。この設計の性能は、光学コンポーネントにより導出される偏光状態の変化に敏感である。なぜなら光学検出方法が、従来の"単一周波数干渉計"または"円偏光干渉計"にもとづくからである。従ってレーザ・ビームの偏光状態を保持する光学コンポーネントを選択することが好ましい。
【0090】図19は、放射状格子と共に使用される波面再生光学系を含む光学測定システムを表し、ここでは"ラジアル・ヘッド"として参照される。この実施例は、測定のメトリックとして放射状格子を使用する。この設計は、平面ミラー・リフレクタ1216及び1222が、ルーフ・リフレクタ1316及び1322と置換される以外は、図18に示されるものと同様である。ルーフ・リフレクタ1316及び1322は、それぞれ1318及び1324で示されるルーフ・エッジを含む。
【0091】オペレーションに際し、レーザ源1304から発生するレーザ・ビームは、放射状回折格子1308上のスポット1330に直角の入射角で入射する。結果の+及び−次数の回折レーザ・ビームが、それぞれの波面再生光学系の方向に現れる。特に、結果の+次数の回折レーザ・ビームは球面レンズ1320を通過すると、格子上のスポット1330からの結果の分散波面が、フーリエ変換波面に変化し、ルーフ・リフレクタ1322に導かれる。ルーフ・リフレクタ1322はビーム伝播方向を反転し、そのルーフ・エッジに関して像を反転させる。ビームは再度レンズ1320を通過すると、再度波面がフーリエ変換され、放射状回折格子1308上のスポット1332に導かれる。スポット1330から生じるビームの2重のフーリエ変換に加え、ルーフ・リフレクタ1322による反射及びルーフ軸回りの反転(flipping)により、反対方向に進行する以外は、その波面がスポット1330における波面と同一のビーム・スポットが1332に生成される。格子状のスポット1330から去る回折ビームは、格子の放射方向に関して反対称(anti-symmetric)である波面を有するので、スポット1332に戻るビームは、スポット1330の波面の複素共役(complex conjugate)に相当する波面を有する。
【0092】同時に、−次数の回折レーザ・ビームは球面レンズ1314及びルーフ・リフレクタ1316を通過し、これらは同様に発散波面を再び形成し、結果のレーザ・ビームをスポット1332に導く。2つの結果の+及び−次数の波面が再度回折し、完全に再生された平行光ビームに結合して、光学ヘッド1302の検出器1306の方向に現れる。収差はそれ自身、格子中心を通過する放射状線に関して反対称であり、格子線が2つのビーム・スポットを2分するので、波面再生光学系の作用は、交軸(transverse axis)に関して反対称の波面に対する位相共役光学系を提供する。格子上のスポット1332に戻るビームは、格子上のスポット1330から去るビームの波面と共役の波面を有するので、検出器1306に戻るビームは、格子により2度目に回折された後、再度平行化される。
【0093】リニア・ヘッドに関しては、ラジアル・ヘッドにおける光学検出機構が、リニア・ヘッドの場合のそれと同じであるので、ビームの偏光状態に対する光学コンポーネントの作用は重要である。このことは、ルーフ・リフレクタとして使用される通常の反射コーティングが、偏光状態を保持しない事実により、一層複雑化する。しかしながら、問題は直角プリズムの内部反射に対して、既知の270゜位相コーティングを採用することにより、比較的、直接的に解決される。例えば780nmのレーザ波長に対する270゜偏光回転コーティングは、BK−7ガラス・プリズムの直角表面上に、薄膜コーティングを次の順序、すなわち23.45nmのTiO2、245.68nmのMgF2、16.60nmのTiO2、121.11nmのMgF2の順で付着することにより形成される。直角プリズムの2つの脚上にこのコーティングを適用し、プリズムの斜面をルーフ・リフレクタの入射面として使用することにより、入射光ビームの偏光状態は光ビームが脚にぶつかる度に270゜増加される。光ビームがこうしたルーフ・リフレクタを通過すると、その偏光状態は540゜増加され、これは偏光状態の循環特性により、偏光状態の180゜の変化と等価になる。偏光状態の結果の180゜回転は、本発明において使用される信号検出方法にとって不都合ではない。なぜなら、これは単に、光ビームの循環性を反転する(左から右に、または右から左に)に過ぎないからである。
【0094】本発明の再生光学系は、反射回折格子上の2つのビーム・スポットのサイズ及び分離を変更するように容易に適応化される。例えばレーザ/検出器アセンブリにより生成及び検出されるよりも、間隔をより接近した小さな直径のビームが格子表面において要求される場合、ビーム・コンプレッサが使用される。ビーム・コンプレッサは、レーザ/検出器アセンブリと格子との間に中心軸に沿って配置される。様々なタイプのレーザ・ビーム・コンプレッサの設計が知られており、本発明に容易に適用できる。その1例が図20に示されており、ここではビーム・コンプレッサ1400が2個のレンズ1401及び1402を含み、これらはそれぞれの焦点距離f1及びf2の和に等しい距離だけ離される。スポット直径d及びスポット分離hは、レンズ1401と1402の焦点距離の比率γにより低減される。すなわちγ=|f2|/|f1|=h2/h1=d2/d1であり、ここでh1、d1及びh2、d2は、ビーム・コンプレッサが図1818に示されるレーザ/検出器アセンブリ1202とリニア・ヘッドの格子1208との間、または図19に示されるレーザ/検出器アセンブリ1302とラジアル・ヘッドの格子1308との間に配置される以前及び以後の、それぞれのビーム分離及びビーム直径を表す。所与の光学ヘッド設計及びサイズにおいて、ビーム・コンプレッサの使用は、本発明を様々な格子サイズ、従って様々なディスク駆動装置サイズに適応化する。
【0095】V.結論上述のサーボ・パターンの書込みに対する適用に加え、本発明のサーボ書込みシステムは、磁気記録ヘッド112及び読出し/書込み回路144からのリードバック信号を分析することにより、ディスク上に記録されたサーボ情報の質及び精度を確認するためにも使用することができる。サーボ書込み工程の間、または工程の完了後に検証が実施される。アクチュエータ位置サブシステムはまた、リニア・アクチュエータ・ディスク駆動装置におけるアクチュエータ位置を決定する(または質を確認する)ためにも、使用することができる。この場合には、格子は矩形の帯形状に選択される。
【0096】より一般的には、本発明は、例えばフォトリソグラフィ露光装置で使用されるレジストレーション・システム、ロボット・アーム位置決めシステム、コンピュータ制御の下で動作する工具装置、直線または回転変換ステージ、或いは大体が移動を担う他の機械装置などの、ディスク駆動装置以外で使用される位置決めシステムにおける測定及び制御にも容易に適用することができる。
【0097】本発明は、特に好適な実施例に関連して述べられてきたが、当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなしに、上述の説明及び図面に対する様々な変更が可能であり、こうした変更についても、本発明の範疇に含まれるものである。
【0098】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0099】(1)データ記録ディスク駆動装置内のアクチュエータの位置を測定するシステムであって、上記アクチュエータに入射する光ビームを発するレーザと、上記アクチュエータに装着され、上記入射光ビームを回折する反射回折格子と、上記格子から反射される回折パターンの位相差を測定する検出光学系と、上記検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を上記アクチュエータ位置を表す信号に変換するアクチュエータ位置信号復号化回路と、を含む、システム。
(2)上記アクチュエータ位置信号復号化回路が、上記受信位相差を上記アクチュエータの運動の方向を表す信号に変換する、上記(1)記載のシステム。
(3)上記検出光学系が、+1次回折レーザ・ビームと−1次回折レーザ・ビームとの位相差を測定する、上記(1)記載のシステム。
(4)上記レーザが半導体レーザである、上記(1)記載のシステム。
(5)上記回折格子が線状格子パターンを含む、上記(1)記載のシステム。
(6)上記回折格子が、格子線が該アクチュエータの運動方向に垂直になるように、上記アクチュエータ上の該アクチュエータの移動範囲の中間点の近傍に位置決めされる、上記(5)記載のシステム。
(7)上記アクチュエータがロータリ・アクチュエータであり、上記回折格子が放射状格子パターンを含む、上記(1)記載のシステム。
(8)上記放射状格子線の集合点が上記アクチュエータのピボット・ポイントに一致する、上記(6)記載のシステム。
(9)上記検出光学系が、上記格子運動により生じる上記回折レーザ・ビームの角度変化を補正する再生光学系を含む、上記(3)記載のシステム。
(10)上記検出光学系が、上記回折レーザ・ビームの光学波面収差を補正する再生光学系を含む、上記(3)記載のシステム。
(11)上記復号化回路が粗動アクチュエータ位置信号を提供する粗動復号化回路を含む、上記(1)記載のシステム。
(12)上記粗動復号化回路が直角位相カウンタを含む、上記(8)記載のシステム。
(13)上記復号化回路が微動アクチュエータ位置信号を提供する微動復号化回路を含む、上記(8)記載のシステム。
(14)上記微動復号化回路がマイクロプロセッサを含む、上記(10)記載のシステム。
(15)上記粗動アクチュエータ位置信号及び上記微動アクチュエータ位置信号が、上記アクチュエータの位置を決定するために結合される、上記(10)記載のシステム。
(16)上記復号化回路が、直角位相信号を生成する手段と、上記直角位相信号のパラメータを測定する手段と、上記測定パラメータと上記受信位相差とから、上記微動アクチュエータ位置信号を計算する手段と、を含む、上記(1)記載のシステム。
(17)上記測定パラメータが振幅、DCオフセット・バイアス及び位相差を含む、上記(13)記載のシステム。
(18)上記データ記録ディスク駆動装置がハウジング・エンクロージャにより密閉され、上記レーザが上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記光ビームが上記ハウジング・エンクロージャ内に配置される少なくとも1つのアパーチャを通じ、上記ディスク駆動装置に出入りする、上記(1)記載のシステム。
(19)上記少なくとも1つのアパーチャが光透過材料により覆われる、上記(14)記載のシステム。
(20)上記レーザが上記データ記録ディスク駆動装置に取り付けられる、上記(1)記載のシステム。
(21)上記光ビームが平行化される、上記(1)記載のシステム。
(22)回転スピンドル・スタックを有するデータ記録ディスク駆動装置において基準クロックを生成するシステムであって、上記スピンドル・スタックに入射する光ビームを発するレーザと、上記スピンドル・スタックに装着され、上記入射光ビームを回折する反射回折格子と、上記格子から反射される回折パターンの位相差を測定する検出光学系と、上記検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を上記基準クロック信号に変換するクロック検出回路と、を含む、システム。
(23)上記クロック検出回路が、上記受信位相差を上記スピンドル・スタック上の指標位置を表す信号に変換する、上記(19)記載のシステム。
(24)上記検出光学系が、+1次回折レーザ・ビームと−1次回折レーザ・ビームとの位相差を測定する、上記(19)記載のシステム。
(25)上記レーザが半導体レーザである、上記(19)記載のシステム。
(26)上記回折格子が放射状格子パターンを含む、上記(19)記載のシステム。
(27)上記検出光学系が、上記回折レーザ・ビームの光学波面収差を補正する再生光学系を含む、上記(21)記載のシステム。
(28)上記光ビームが上記格子表面に集光され、上記検出光学系が上記回折レーザ・ビームを再平行化する再生光学系を含む、上記(21)記載のシステム。
(29)上記検出回路が格子中心誤差を補正する生クロック検出回路及びタイミング調整回路を含む、上記(19)記載のシステム。
(30)上記第1のレーザに対して上記回折格子中心の反対側に配置され、上記回折格子に入射する第2の光ビームを発する第2のレーザと、上記格子から反射される上記第2の回折パターンの位相差を測定する第2の検出光学系と、上記第2の検出光学系に結合され、上記第2の測定位相差を受信し、該位相差を第2の基準クロック信号に変換する第2のクロック検出回路と、上記第1及び上記第2のクロック検出回路に結合され、上記第1及び上記第2の基準クロック信号を結合して、上記格子中心誤差を補正するための基準クロック信号を生成するミキサ回路と、を含む、上記(19)記載のシステム。
(31)上記データ記録ディスク駆動装置がハウジングにより格納され、上記レーザが上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記光ビームが上記ハウジング内に配置される少なくとも1つのアパーチャを通じ、上記ディスク駆動装置に出入りする、上記(19)記載のシステム。
(32)上記少なくとも1つのアパーチャが光透過材料により覆われる、上記(27)記載のシステム。
(33)上記レーザが上記データ記録ディスク駆動装置に取り付けられる、上記(19)記載のシステム。
(34)上記光ビームが平行化される、上記(19)記載のシステム。
(35)上記光ビームが上記格子表面に集光される、上記(19)記載のシステム。
(36)上記反射回折格子が、上記スピンドル・スタック回転軸を中心とする完全な環形形状である、上記(19)記載のシステム。
(37)データ記録ディスクと該データ記録ディスクの中心に取り付けられるスピンドル・シャフトとを有するスピンドル・モータを含むスピンドル・スタックと、上記データ記録ディスク上で位置決めされるアクチュエータに取り付けられるデータ記録ヘッドとを格納するハウジングを有するデータ記録ディスク駆動装置において、サーボ情報を書込むシステムであって、上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記アクチュエータに入射する光ビームを発する第1の半導体レーザと、上記アクチュエータに装着され、上記第1の半導体レーザからの上記入射光ビームを回折する第1の反射回折格子と、上記第1の格子から反射された回折パターンの位相差を測定する第1の検出光学系と、上記第1の検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を上記アクチュエータ位置を表す信号に変換するアクチュエータ位置信号復号化回路と、上記アクチュエータ位置復号化回路及び上記アクチュエータに結合され、上記アクチュエータの位置を調整するサーボ制御回路と、上記データ記録ヘッドに結合され、該データ記録ヘッドが上記データ記録ディスク上に書込むサーボ情報を提供するサーボ・パターン発生器と、を含む、システム。
(38)上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記スピンドル・スタックに入射する光ビームを発する第2の半導体レーザと、上記スピンドル・スタックに装着され、上記第2の半導体レーザからの上記入射光ビームを回折する第2の反射回折格子と、上記第2の格子から反射された回折パターンの位相差を測定する第2の検出光学系と、上記第2の検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を基準クロック信号に変換するクロック検出回路と、上記サーボ制御回路、サーボ・パターン発生器及び上記クロック検出回路に結合され、上記サーボ情報の書込みを調整するサーボ書込み制御回路と、を含む、上記(32)記載のシステム。
(39)上記光ビーム及び上記回折パターンが、上記ハウジング・エンクロージャ内に配置される少なくとも1つのアパーチャを通じ、上記格納されたデータ記録ディスク駆動装置に出入りする、上記(33)記載のシステム。
(40)上記第1及び上記第2の半導体レーザが、上記データ記録ディスク駆動装置に取り付けられる、上記(33)記載のシステム。
(41)少なくとも1つの上記光ビームが平行化される、上記(33)記載のシステム。
(42)上記第2の反射回折格子が、上記スピンドル・スタック回転軸を中心とする完全な環形形状である、上記(33)記載のシステム。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、非侵入型であり、アクチュエータまたは回転ディスク・スピンドルに対する機械的結合を要求せず、更に新式の高密度データ記録ディスク駆動装置における使用に十分な性能を提供するサーボ書込みシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーボ書込みシステムの機能コンポーネントのブロック図である。
【図2】本発明によるデータ記録ディスク駆動装置内の格子の配置を表す図である。
【図3】本発明のアクチュエータ位置決めサブシステムのブロック図である。
【図4】アクチュエータ位置決めサブシステムと共に使用される線状回折格子を表す図である。
【図5】アクチュエータ位置決めサブシステムと共に使用される放射状回折格子を表す図である。
【図6】本発明による線状格子と共に使用されるアクチュエータ位置センサの断面図である。
【図7】本発明による放射状格子と共に使用されるアクチュエータ位置センサの断面図である。
【図8】アクチュエータ位置センサの光検出器からの出力アナログ信号を示す図である。
【図9】直角位相サイクル・カウンタ入力を表す図である。
【図10】アクチュエータ位置センサにより使用される微動位置決め情報を表す図である。
【図11】本発明のサーボ書込みシステムのアクチュエータ位置復号化回路のブロック図である。
【図12】本発明の基準書込みクロック・サブシステムのブロック図である。
【図13】書込みクロック・サブシステムと共に使用される放射状回折格子を表す図である。
【図14】本発明による放射状格子と共に使用される基準クロック・センサの断面図である。
【図15】本発明のサーボ書込みシステムの書込みクロック検出回路のブロック図である。
【図16】直角位相鋸波発生器により生成される波形のタイミング図である。
【図17】2個の光学クロック・ヘッド及び電子ミキサを使用する書込みクロック・サブシステムの別の実施例のブロック図である。
【図18】線状回折格子と共に使用される波面再生光学系の断面図である。
【図19】放射状回折格子と共に使用される波面再生光学系の断面図である。
【図20】本発明の波面再生光学系と共に使用されるビーム・コンプレッサの断面図である。
【符号の説明】
102 ディスク駆動装置
103 ハウジング・エンクロージャ
104 ディスク
106 スピンドル・シャフト
108 スピンドル・モータ
110 スピンドル速度制御装置
112 磁気記録ヘッド
114 ロータリ・アクチュエータ・アーム
116 アクチュエータ・アーム・ピボット
118 ボイス・コイル・モータ(VCM)
120a アクチュエータ回折格子
120b、1208 線状回折格子
120c、1308 放射状回折格子
122、132 透過窓
124 光学アクチュエータ位置センサ
126 アクチュエータ位置センサ信号複合化システム
128 アクチュエータ位置制御装置
130 書込みクロック回折格子
134 光学クロック・センサ
136 書込みクロック信号処理回路
140 サーボ書込み制御装置
142 書込みパターン発生器
144 読出し/書込み回路
150、151 アクチュエータ・クラッシュ・ストップ
200、700、1102、1152 半導体レーザ
202、204、702、704 検出光学系
206、706 レーザ・ビーム・ディフレクタ
230 ポイント
304、404、804 コリメータ・レンズ
306、312、316、322、328、406、412、416 偏光子
308、408、806、1103、1153 偏光ビーム・スプリッタ
309、311、409、411、810、816 1/4波長板
310、410 非偏光ビーム・スプリッタ
314、318、414、418、826、1104、1154 光検出器
320、326、420、426、808、814、820、1220、1214、1314、1320 球面レンズ
324、330 ミラー
422、428、822、824 偏光子
424、430 ルーフ・プリズム
520、521 電流信号
522、523 矩形波
534 楕円
602、652、900 増幅器
604、654 加算増幅器
608、658、930 アナログ−デジタル変換器(ADC)
610、660 バイアス検出器
616、666 デジタル除算器
618、668 デジタル累算器
620、670 デジタル−アナログ変換器(DAC)
622、672、934 ランダム・アクセス・メモリ(RAM)
674 直角位相カウンタ
678、932 処理ユニット
680、682 波形
690、692 DCオフセット・バイアス補正信号
812、818 コーナ・キューブ・リフレクタ
830、1230、1232、1330、1332 スポット
900 バンド・パス自動利得制御増幅器
901 矩形波発生器
902、940 位相検出器
904、942 フィルタ
906、944 電圧制御発振器(VCO)
907、946 デジタル除算器(DD)
908 直角位相鋸波発生器(QSG)
910、920 ピーク検出器
912、922 乗算デジタル−アナログ変換器(M−DAC)
914、924 比較器
916 パルス・セレクタ
926 エッジ検出器
928 デジタル・カウンタ
929 RAMアドレス発生器(RAM−AG)
1000 生クロック
1001、1002 出力波形
1010、1040 鋸歯状波形
1020、1021、1022、1050、1051、1052 水平線、事前設定出力
1030、1031、1032、1060、1061、1062 順次パルス
1100、1150 光学クロック・ヘッド
1103 偏向ビーム・スプリッタ
1130、1140 生クロック検出回路
1160 書込みクロック・ミキサ
1170 補正書込みクロック発生器
1202、1302 光学ヘッド、レーザ/検出アセンブリ
1204、1304 レーザ光源
1206 検出器
1210 上面
1212 下面
1216、1222 平面ミラー・リフレクタ
1226、1228 光軸
1316、1322 ルーフ・リフレクタ
1318、1324 ルーフ・エッジ
1400 ビーム・コンプレッサ
1401、1402 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】データ記録ディスク駆動装置内のアクチュエータの位置を測定するシステムであって、上記アクチュエータに対して実質的に一定の入射角で入射する光ビームを発するレーザと、上記アクチュエータに装着され、上記入射光ビームを回折する反射回折格子と、サーボ書込みの間上記アクチュエータの運動の方向及び大きさを示す上記回折されたビームから第1及び第2の信号を生成する検出光学系と、上記復号化回路は粗動アクチュエータ位置情報を得るための粗動復号化回路と微動アクチュエータ位置情報を得るための微動復号化回路とを含み、上記検出光学系に結合され上記第1及び第2の信号を受信してそれからサーボ書込み中の上記アクチュエータの位置を示す位置信号を生成するアクチュエータ位置信号復号化回路とを含み、上記粗動復号化回路及び上記微動復号化回路は、上記粗動及び微動アクチュエータ位置情報を決定する際に、上記第1及び第2の信号を加工処理し、上記アクチュエータの位置信号を上記粗動及び微動アクチュエータ位置情報の両方から生成することを特徴とするシステム。
【請求項2】上記検出光学系が、+1次回折レーザ・ビームと−1次回折レーザ・ビームとの位相差を測定する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】上記レーザが半導体レーザである、請求項1記載のシステム。
【請求項4】上記回折格子が線状格子パターンを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】上記回折格子が、格子線が該アクチュエータの運動方向に垂直になるように、上記アクチュエータ上の該アクチュエータの移動範囲の中間点の近傍に位置決めされる、請求項4記載のシステム。
【請求項6】上記アクチュエータがロータリ・アクチュエータであり、上記回折格子が放射状格子パターンを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】上記放射状格子線の集合点が上記アクチュエータのピボット・ポイントに一致する、請求項5記載のシステム。
【請求項8】上記検出光学系が、上記格子運動により生じる上記回折レーザ・ビームの角度変化を補正する再生光学系を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項9】上記検出光学系が、上記回折レーザ・ビームの光学波面収差を補正する再生光学系を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項10】上記復号化回路が粗動アクチュエータ位置信号を提供する粗動復号化回路を含む、請求項B1記載のシステム。
【請求項11】上記粗動復号化回路が直角位相カウンタを含む、請求項B7記載のシステム。
【請求項12】上記復号化回路が微動アクチュエータ位置信号を提供する微動復号化回路を含む、請求項B7記載のシステム。
【請求項13】上記微動復号化回路がマイクロプロセッサを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項14】上記粗動アクチュエータ位置信号及び上記微動アクチュエータ位置信号が、上記アクチュエータの位置を決定するために結合される、請求項9記載のシステム。
【請求項15】上記復号化回路が、直角位相信号を生成する手段と、上記直角位相信号のパラメータを測定する手段と、上記測定パラメータと上記受信位相差とから、上記微動アクチュエータ位置信号を計算する手段と、を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】上記測定パラメータが振幅、DCオフセット・バイアス及び位相差を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項17】上記データ記録ディスク駆動装置がハウジング・エンクロージャにより密閉され、上記レーザが上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記光ビームが上記ハウジング・エンクロージャ内に配置される少なくとも1つのアパーチャを通じ、上記ディスク駆動装置に出入りする、請求項1記載のシステム。
【請求項18】上記少なくとも1つのアパーチャが光透過材料により覆われる、請求項13記載のシステム。
【請求項19】上記レーザが上記データ記録ディスク駆動装置に取り付けられる、請求項1記載のシステム。
【請求項20】上記光ビームが平行化される、請求項1記載のシステム。
【請求項21】データ記録ディスクと該データ記録ディスクの中心に取り付けられるスピンドル・シャフトとを有するスピンドル・モータを含むスピンドル・スタックと、上記データ記録ディスク上で位置決めされるアクチュエータに取り付けられるデータ記録ヘッドとを格納するハウジングを有するデータ記録ディスク駆動装置において、サーボ情報を書込むシステムであって、上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記アクチュエータに対して実質的に一定の入射角で入射する光ビームを発する第1の半導体レーザと、上記アクチュエータに装着され、上記第1の半導体レーザからの上記入射光ビームを回折する第1の反射回折格子と、サーボ書込みの間上記アクチュエータの運動の方向及び大きさを示す上記回折されたビームから第1及び第2の信号を生成する第1の検出光学系と、上記第1の検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を上記アクチュエータ位置を表す信号に変換するアクチュエータ位置信号復号化回路と、上記復号化回路は粗動アクチュエータ位置情報を得るための粗動復号化回路と微動アクチュエータ位置情報を得るための微動復号化回路とを含み、上記検出光学系に結合され上記第1及び第2の信号を受信してそれからサーボ書込み中の上記アクチュエータの位置を示す位置信号を生成するアクチュエータ位置信号復号化回路と上記アクチュエータ位置復号化回路及び上記アクチュエータに結合され、上記アクチュエータの位置を調整するサーボ制御回路と、上記データ記録ヘッドに結合され、該データ記録ヘッドが上記データ記録ディスク上に書込むサーボ情報を提供するサーボ・パターン発生器と、を含み、上記粗動復号化回路及び上記微動復号化回路は、上記粗動及び微動アクチュエータ位置情報を決定する際に、上記第1及び第2の信号を加工処理し、上記アクチュエータの位置信号を上記粗動及び微動アクチュエータ位置情報の両方から生成することを特徴とするシステム。
【請求項22】上記ディスク駆動装置の外部に配置され、上記スピンドル・スタックに入射する光ビームを発する第2の半導体レーザと、上記スピンドル・スタックに装着され、上記第2の半導体レーザからの上記入射光ビームを回折する第2の反射回折格子と、上記第2の格子から反射された回折パターンの位相差を検出する第2の検出光学系と、上記第2の検出光学系に結合され、上記測定位相差を受信し、該位相差を基準クロック信号に変換するクロック検出回路と、上記サーボ制御回路、サーボ・パターン発生器及び上記クロック検出回路に結合され、上記サーボ情報の書込みを調整するサーボ書込み制御回路と、を含む、請求項21記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図6】
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【図7】
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【図18】
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【図19】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図20】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2001−43643(P2001−43643A)
【公開日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−190872(P2000−190872)
【分割の表示】特願平7−99269の分割
【出願日】平成7年4月25日(1995.4.25)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレ−ション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION