説明

データ記録再生装置及びデータ記録装置

【課題】データの記録及び再生を適切に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】制御部30は、複数チャネルのTSストリームを順次記憶装置5に記録する間に、あるチャネルのTSストリームを記憶装置5内から読み出す際には、記録対象のTSストリームのうち、読み出し対象のTSストリームと同じチャネルのTSストリームを記録した後に続いて読み出し対象のTSストリームを読み出す。あるいは、制御部30は、当該同じチャネルのTSストリームが存在しない場合には、記録対象のTSストリームが記録される、記憶装置5の複数の部分記憶領域において、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域と位置的に最も近い部分記憶領域に記録されるTSストリームを記録した後に続いて読み出し対象のTSストリームを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの記録が可能なデータ記録装置及びデータの記録及び再生が可能なデータ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データの記録及び再生が可能なデータ記録再生装置に関して、従来から様々な技術が提案されている。例えば特許文献1,2には、放送番組データの記録及び再生を行うデジタル放送受信機に関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、HDD(Hard Disk Drive)での記憶領域を複数の領域に適切に分割し、当該複数の領域に複数のストリームデータをそれぞれ記録することで、HDDの記録動作時のヘッド移動量を少なくし、無駄なオーバーヘッド時間を低減する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、記録媒体に記録される複数系統のデータがそれぞれ入力される複数の入力バッファのそれぞれでのデータ蓄積量と、記録媒体から読み出された複数系統のデータがそれぞれ入力される複数の出力バッファのそれぞれでのデータ蓄積量とに基づいて、記録媒体にアクセス可能な適切な系統を選択し、これによって、複数系統のデータの記録及び読み出しを同時に実現する技術が提案されている。
【0005】
なお、非特許文献1,2には、地上デジタルテレビジョン放送に関する規格が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−10148号公報
【特許文献2】特開2001−291318号公報
【非特許文献1】ARIB TR-B14 Version2.8(Fascicle2)
【非特許文献2】ARIB STB-B31 Version1.6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1の技術では、複数のストリームデータをHDDに記録している間に、記録済みのストリームデータをHDDから読み出す場合には、データの記録処理とは無関係に、指定されたストリームデータがHDDから読み出されるため、データの読み出しタイミングによっては、HDDに設けられているディスク型の記録媒体において、読み出し対象のデータが記録されている領域と、その直前にデータ記録が行われていた領域とが位置的に大きく離れていることがあり、記録動作から読み出し動作に移行する際のヘッド移動量が大きくなる。そのため、無駄なオーバーヘッド時間が増大する。その結果、ストリームデータの記録及び再生を適切に行えないことがある。
【0008】
また、記録媒体によっては、その領域内でアクセススピードが異なることがあり、特許文献2の技術のように、各バッファのデータ蓄積量を考慮して記録媒体に対するアクセス制御を行うだけでは、データレートが異なる複数のストリームデータを適切に記録できないことがある。
【0009】
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、データの記録及び再生を適切に行うことが可能な技術を提供することを第1の目的とする。また、データレートが異なる複数のストリームデータを適切に記録することが可能な技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の第1のデータ記録再生装置は、記憶装置と、前記記憶装置にデータを記録するとともに、前記記憶装置内のデータを読み出すことが可能な制御部とを備え、前記記憶装置は、記録媒体と、前記記録媒体の記録面上を移動して、当該記録媒体に対してデータの記録およびデータの読み出しを行うヘッドとを有し、前記記録媒体の記録面はN個(N≧2)の部分記憶領域を有し、前記制御部は、入力されるN個のチャネルのデータを前記N個の部分記憶領域にそれぞれ記録し、前記制御部は、記録対象データたるM個(2≦M≦N)のチャネルのデータを順次前記記憶装置に記録する間に、読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みデータを前記記憶装置内から読み出す場合には、前記記録対象データのうち、前記読み出し対象データと同じチャネルのデータを前記記憶装置に記録した後に続いて前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す、あるいは、当該同じチャネルのデータが存在しない場合には、前記記録対象データが記録される前記部分記憶領域において、前記読み出し対象データが記録されている前記部分記憶領域と位置的に最も近い前記部分記憶領域に記録されるデータを前記記憶装置に記録した後に続いて前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す。
【0011】
また、この発明の第2のデータ記録再生装置は、N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力される、記憶容量が可変のN個の入力バッファ部と、前記N個のチャネルのストリームデータにそれぞれ対応して設けられた、記憶容量が可変のN個の出力バッファ部と、記憶装置と、前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録するとともに、前記記憶装置内から記録済みの前記ストリームデータを読み出して、当該ストリームデータに対応する前記出力バッファ部に入力する制御部とを備え、前記制御部は、前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、前記記憶装置に対して転送要求信号を出力し、当該転送要求信号を受け取った前記記憶装置は、転送要求確認信号を前記制御部に出力し、当該転送要求確認信号を受け取った前記制御部は、読み出し対象の前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出し、前記制御部は、前記転送要求信号を出力してから前記転送要求確認信号を受け取るまでの時間を待機時間として算出し、前記制御部は、前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する記録サイクルを繰り返して実行する場合において、前記記憶装置から読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みの前記ストリームデータを複数回読み出す際には、前記待機時間がしきい値時間よりも小さいときには、前記記録サイクルのそれぞれにおいて1回分の前記読み出し対象データを読み出し、前記待機時間が前記しきい値時間よりも大きいときには、前記読み出し対象データが入力される前記出力バッファ部の記憶容量と、前記M個のチャネルの前記ストリームデータのうち最後に記録されるべきストリームデータが入力されている前記入力バッファ部の記憶容量とを増加させて、前記最後に記録されるべきストリームデータの記録を実行せずに2回分の前記読み出し対象データを読み出す前記記録サイクルと、前記読み出し対象データの読み出しを実行せずに2回分の前記最後に記録されるべきストリームデータを記録する前記記録サイクルとを交互に実行する。
【0012】
また、この発明の第3のデータ記録再生装置は、N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力されるN個の入力バッファ部と、記憶装置と、前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録するとともに、前記記憶装置内から記録済みの前記ストリームデータを読み出す制御部とを備え、前記ストリームデータは、第1データレートを有する低レートデータと、当該低レートデータと同じ情報を高品位で示す、当該第1データレートよりも高い第2データレートを有する高レートデータとを含み、前記制御部は、前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、前記記憶装置に対して転送要求信号を出力し、当該転送要求信号を受け取った前記記憶装置は、転送要求確認信号を前記制御部に出力し、当該転送要求確認信号を受け取った前記制御部は、読み出し対象の前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出し、前記制御部は、前記転送要求信号を出力してから前記転送要求確認信号を受け取るまでの時間を待機時間として算出し、前記制御部は、前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する間に、読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みの前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、前記待機時間がしきい値時間よりも小さいときには、前記読み出し対象データに含まれる第1データ量の前記高レートデータを読み出し、前記待機時間が前記しきい値時間よりも大きいときには、前記読み出し対象データに含まれる、前記第1データ量よりも少ない第2データ量の前記低レートデータを読み出す。
【0013】
また、この発明のデータ記録装置は、N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力されるN個の入力バッファ部と、前記ストリームデータのデータレートを判定するデータレート判定部と、記憶装置と、前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録する制御部とを備え、前記制御部は、前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する際、前記データレートが高い前記ストリームデータほど、前記記憶装置の記憶領域においてデータアクセススピードが大きい領域に記録する。
【発明の効果】
【0014】
この発明の第1のデータ記録再生装置によれば、読み出し対象データと同じチャネルのデータを記録した後に続いて、あるいは読み出し対象データが記録されている部分記憶領域と位置的に最も近い部分記憶領域に記録されるデータを記録した後に続いて、読み出し対象データを記憶装置から読み出すため、読み出し対象データを記憶装置から読み出す際のヘッドの移動量を小さくすることができる。その結果、記録動作と読み出し動作との間の無駄なオーバーヘッド時間を低減することができ、データの記録及び再生を適切に行うことができる。
【0015】
また、この発明の第2のデータ記録再生装置によれば、読み出し時の待機時間が大きい場合には、該当する入力バッファ部及び出力バッファ部の記憶容量を増加させるとともに、読み出し対象のストリームデータの2回分の読み出しを行う記録サイクルと、最後に記録されるべきストリームデータの2回分の記録を行う記録サイクルとを交互に行っているため、入力バッファ部及び出力バッファ部のデータオーバーフローを抑制しつつ、複数チャネルのストリームデータの記録と、ストリームデータの再生とを同時に適切に行うことができる。
【0016】
また、この発明の第3のデータ記録再生装置によれば、読み出し時の待機時間が大きい場合には、データ量の少ない低レートデータを読み出しているため、読み出し時間を短縮することができる。よって、入力バッファ部のデータオーバーフローの発生を抑制しつつ、複数チャネルのストリームデータの記録と、ストリームデータの再生とを同時に適切に行うことができる。また、低レートデータを読み出しているため、読み出すデータ量を少なくしても、高レートデータの場合と同じ情報を再生できる。
【0017】
また、この発明のデータ記録装置によれば、データレートが高いストリームデータほど、記憶装置の記憶領域においてアクセススピードが大きい領域に記録されるため、記録対象のM個のチャネルのストリームデータを短時間で記録することができる。よって、入力バッファ部でのデータオーバーフローの発生を抑制でき、データレートの異なる複数チャネルのストリームデータを取りこぼしなく適切に記憶装置に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
<デジタル放送受信機の構成>
図1は本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。本実施の形態1に係るデジタル放送受信機は、例えば、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)によって規定されている上記非特許文献1,2の規格を満足する地上デジタルテレビジョン放送の受信機であって、ストリームデータの記録及び再生機能を備えている。つまり、本デジタル放送受信機はデータ記録再生装置として機能する。
【0019】
図1に示されるように、本実施の形態1に係るデジタル放送受信機は、復調・復号部1と、入力バッファ装置2と、制御部30と、記憶装置5と、出力バッファ装置7と、出力データ選択部9と、データ選択部11と、MPEGデコーダ部12とを備えている。
【0020】
復調・復号部1は、受信したデジタル放送信号DBSに対して復調処理及び復号処理を行う。デジタル放送信号DBSは、MPEG−2 TS(Transport Stream)方式で伝送されるN個(Nは2以上の整数)のチャネルのTSストリームを含んでおり、復調・復号部1は、当該N個のチャネルのTSストリームに対して復調処理及び復号処理を行って出力する。各TSストリームには放送番組データが含まれている。
【0021】
入力バッファ装置2は、N個の入力バッファ部IB−1〜IB−Nを備えており、当該N個の入力バッファ部IB−1〜IB−Nには、復調・復号部1から出力されるN個のTSストリームがそれぞれ入力される。以後、入力バッファ部IB−1〜IB−Nを総称して「入力バッファ部IB」と呼ぶ。
【0022】
各入力バッファ部IBは、例えば、第1及び第2入力バッファを備えるダブルバッファ構造となっている。入力バッファ部IBでは、第1入力バッファにTSストリームが入力され、当該第1入力バッファがバッファフル状態となると、第2入力バッファに切り替わって、当該第2入力バッファにTSストリームが入力される。そして、後述するように、第2入力バッファにTSストリームが入力されている間に第1入力バッファから全データが読み出されて、その後、第2入力バッファがバッファフル状態となると、エンプティ状態の第1入力バッファにTSストリームが入力される。このような構成により、入力バッファ部IBは、入力されるTSストリームデータをバースト的に出力することが可能である。以後、第1及び第2入力バッファを総称して「入力バッファ」と呼ぶ。
【0023】
制御部30は、記録要求部3と、入力データ選択部4と、記憶装置制御部6と、再生要求部8と、マイクロプロセッサ10とを備えており、入力バッファ装置2内のTSストリームを記憶装置5に記録するとともに、記憶装置5内からTSストリームを読み出して出力バッファ装置7に出力する。
【0024】
入力データ選択部4は、記録要求部3の制御により、N個の入力バッファ部IB−1〜IB−Nのいずれか一つからTSストリームを読み出して記憶装置制御部6に出力する。記憶装置制御部6は、マイクロプロセッサ10の制御により動作を行う。記憶装置制御部6は、入力データ選択部4から入力されたTSストリームを記憶装置5に記録するとともに、記憶装置5から記録済みのTSストリームを読み出して出力バッファ装置7に出力する。記憶装置5は例えばHDDである。
【0025】
出力バッファ装置7は、N個のチャネルのTSストリームにそれぞれ対応して設けられたN個の出力バッファ部OB−1〜OB−Nを備えている。以後、出力バッファ部OB−1〜OB−Nを総称して「出力バッファ部OB」と呼ぶ。制御部30の記憶装置制御部6は、記憶装置5から読み出したTSストリームを、それに対応する出力バッファ部OBに出力する。出力バッファ部OBは、例えば、1つの出力バッファを備えるシングルバッファ構造となっている。
【0026】
出力データ選択部9は、制御部30の再生要求部8の制御によって、N個の出力バッファ部OB−1〜OB−Nのいずれか一つからTSストリームを読み出してそれに対応するデータレートで出力する。データ選択部11は、入力データ選択部4から出力されるTSストリームと、出力データ選択部9から出力されるTSストリームとのどちらか一方を選択して出力する。MPEGデコーダ部12は、データ選択部11から出力されるTSストリームを所定の伸張方式でデコードして、映像信号及び音声信号を出力する。そして、本デジタル放送受信機に接続された図示しない表示装置には、MPEGデコーダ部12から出力される映像信号及び音声信号が入力されて、当該表示装置ではあるチャネルの放送番組が放映される。
【0027】
<デジタル放送受信機の概略動作>
次に、本実施の形態1に係るデジタル放送受信機の概略動作について説明する。まず、TSストリームを記録する場合の本デジタル放送受信機の動作について説明する。本デジタル放送受信機に対してユーザから放送番組の記録要求が通知され、少なくとも一つの入力バッファ部IBの一方の入力バッファ、例えば第1入力バッファがバッファフル状態となると、入力バッファ装置2はバッファフル情報を記録要求部3に通知する。このバッファフル情報には、入力バッファがバッファフル状態となっている入力バッファ部IBを特定する情報が含まれている。したがって、入力バッファ装置2で複数の入力バッファ部IBが同時にバッファフル状態となると、当該複数の入力バッファ部IBを特定する情報がバッファフル情報に含まれる。バッファフル情報を受け取った記録要求部3は、当該バッファフル情報をマイクロプロセッサ10に通知する。
【0028】
マイクロプロセッサ10は、受け取ったバッファフル情報で特定される、バッファフル状態の入力バッファ部IBのいずれか一つを選択して、選択した入力バッファ部IB内のTSストリームを記録対象データとする。そして、マイクロプロセッサ10は、記録要求部3に対して選択した入力バッファ部IBを特定する情報を通知するとともに、記録対象データに応じた記録制御情報を記憶装置制御部6に出力する。この記録制御情報には、記憶装置5の記憶領域において、記録対象データを記録すべき領域を特定するアドレス情報が含まれている。記録要求部3は、マイクロプロセッサ10から通知された入力バッファ部IB内のTSストリームを出力するように入力データ選択部4を制御する。
【0029】
記憶装置制御部6は、記録制御情報を受け取ると、当該記録制御情報とともに記録要求信号を記憶装置5に対して出力する。記録要求信号を受け取った記憶装置5は、記録する準備が完了すると、記憶装置制御部6に対して記録要求確認信号を出力する。そして、記録要求確認信号を受け取った記憶装置制御部6は、記憶装置5における記憶領域の所定領域に対して、入力データ選択部4から入力される記録対象データを記録する。これにより、あるチャネルのTSストリームが、入力バッファ部IBの入力バッファが記憶したデータ量だけ記憶装置5に記録される。
【0030】
入力バッファ部IBでは、第1入力バッファ内のデータが記憶装置5に記録されている間、第2入力バッファにTSストリームが入力される。入力バッファ部IBにおいて、第1入力バッファ内のデータがすべて記憶装置5に記録された後、第2入力バッファがバッファフル状態となると、同様にして、当該第2入力バッファ内のTSストリームが記憶装置5に入力される。入力バッファ部IBでは、第2入力バッファ内のデータが記憶装置5に記録されている間には、第1入力バッファにTSストリームが入力される。そして、第2入力バッファ内のデータがすべて記憶装置5に記録された後、第1入力バッファがバッファフル状態となると、当該第1入力バッファ内のTSストリームが記憶装置5に入力される。以後、同様に動作して、最終的には、1つの放送番組分のTSストリームが記憶装置5に記録される。
【0031】
このように、本実施の形態1では、入力バッファがバッファフル状態となるたびに、当該入力バッファ内のデータが記憶装置5に記憶される。つまり、各チャネルのTSストリームは、入力バッファの記憶容量単位で記憶装置5に記録される。
【0032】
次にTSストリームを再生する場合の本デジタル放送受信機の動作について説明する。本デジタル放送受信機に対して、記録している番組の再生要求がユーザから通知されると、マイクロプロセッサ10は、記憶装置制御部6に対して再生制御情報を出力する。この再生制御情報には、記憶装置5の記憶領域において、読み出し対象である、あるチャネルのTSストリームが記憶されている領域を特定するアドレス情報が含まれている。記憶装置制御部6は、再生制御情報を受け取ると、当該再生制御情報とともに転送要求信号を記憶装置5に対して出力する。転送要求信号を受け取った記憶装置5は、データを転送する準備が完了すると、記憶装置制御部6に対して転送要求確認信号を出力する。そして、転送要求確認信号を受け取った記憶装置制御部6は、記憶装置5における記憶領域の所定領域から、読み出し対象のTSストリームを読み出して、それに対応する出力バッファ部OBに出力する。
【0033】
出力バッファ部OBはバッファフル状態となると、その旨を再生要求部8に通知する。再生要求部8は、TSストリームの読み出しを停止する旨をマイクロプロセッサ10を通じて記憶装置制御部6に通知し、記憶装置制御部6は、TSストリームの読み出しを停止する。そして再生要求部8は、出力データ選択部9を制御して、バッファフル状態となった出力バッファ部OBからTSストリームを読み出してデータ選択部11に一定のデータレートで出力する。再生要求部8は、出力バッファ部OBがエンプティ状態となると、TSストリームの読み出しを再開する旨をマイクロプロセッサ10を通じて記憶装置制御部6に通知する。記憶装置制御部6は、所望のデータ量のTSストリームを読み出していなければ、記憶装置5から再度読み出し対象のTSストリームを読み出す。その後、出力バッファ部OBがバッファフル状態となると、同様にして、TSストリームの読み出しが停止するとともに、出力バッファ部OB内のデータが一定のデータレートでデータ選択部11に入力される。以後同様に動作する。
【0034】
出力データ選択部9から出力されるTSストリームは、データ選択部11を通じて、MPEGデコーダ部12に入力される。そして、MPEGデコーダ部12から映像信号及び音声信号が出力されて、図示しない表示装置に入力される。これにより、あるチャネルの放送番組が放映される。
【0035】
このように、本実施の形態1では、出力バッファ部OBがバッファフル状態となると、記憶装置5に対するデータ読み出しが停止して、当該出力バッファ部OB内のデータが再生される。そして、当該出力バッファ部OBがエンプティ状態となると、記憶装置5に対するデータ読み出しが再開する。したがって、再生対象のTSフレームは、出力バッファ部OBの記憶容量単位で記憶装置5から読み出される。本実施の形態1では、入力バッファ部IBの各入力バッファの記憶容量と、出力バッファ部OBの記憶容量とは同じに設定されているため、TSフレームは、入力バッファの記憶容量単位で読み出されて再生される。なお、再生要求部8から直接記憶装置制御部6に対して、データ読み出しの停止及び再開を通知しても良い。
【0036】
<複数チャネルのデータの同時記録中のデータ再生>
本実施の形態1では、記憶装置5の記憶領域において、複数チャネルのTSストリームをどの領域に記録するかを工夫するとともに、当該複数チャネルのTSストリームをどの順番で記録するかを工夫することによって、複数チャネルのTSストリームを同時に適切に記録することができる。そして、TSストリームを再生するタイミングを適切に制御することによって、複数チャネルのTSストリームを記録している間にTSストリームを再生することができる。以下にこのことについて詳細に説明する。
【0037】
図2は記憶装置5の概略構成を示す図である。図2に示されるように、HDDたる記憶装置5は、ディスク型の記録媒体5aと、記録媒体5aの記録面上を移動して、当該記録媒体5aに対してデータの記録およびデータの読み出しを行うヘッド5bとを備えている。本実施の形態1では、図2に示されるように、記録媒体5aの記録面は、中心を同じとする半径の異なるリング状のN個の部分記憶領域MR−1〜MR−Nに仮想的に分割されている。N個の部分記憶領域MR−1〜MR−Nは、外周から中心に向かってこの順に配置されている。そして、N個の部分記憶領域MR−1〜MR−Nに、N個のチャネルのTSストリームがそれぞれ記録される。
【0038】
本例では、N個のチャネルには1ch〜Nchまでの番号がそれぞれ付与されており、チャネル1ch〜NchのTSストリームを、部分記憶領域MR−1〜MR−Nにそれぞれ記録する。入力バッファ装置2においては、入力バッファ部IB−1〜IB−Nに、チャネル1ch〜NchのTSストリームがそれぞれ入力される。出力バッファ装置7においては、出力バッファ部OB−1〜OB−Nに、記憶装置5から読み出されるチャネル1ch〜NchのTSストリームがそれぞれ入力される。以後、部分記憶領域MR−1〜MR−Nを総称して「部分記憶領域MR」と呼ぶ。
【0039】
図3は記憶装置5における記録媒体5aでのアドレスマップを示す図である。図3は、N=4であって、チャネル1ch〜4chまでのTSストリームを記憶装置5に記録する場合のアドレスマップである。したがって、図3の例では、記録媒体5aの記録面は4つの部分記憶領域MR−1〜MR−4に分割される。
【0040】
本実施の形態1では、記録媒体5aにおいては、LBA(Logical Block Addressing)方式でアドレスが定められている。したがって、図3に示されるように、記録媒体5aの記録面では、最外周から中心に向かって番号が大きくなるようにアドレス(セクタアドレス)が割り当てられている。そして、部分記憶領域MR−1〜MR−4のそれぞれにおいては、アドレスの最小値から放送番組単位で連続してTSストリームが記録される。
【0041】
図3の例では、最外周の部分記憶領域MR−1には、チャネル1chにおける、番組AのTSストリーム1ch−A、番組BのTSストリーム1ch−B及び番組CのTSストリーム1ch−Cがアドレスの最小値から順に記録されており、その隣の部分記憶領域MR−2には、チャネル2chにおける、番組AのTSストリーム2ch−A、番組BのTSストリーム2ch−B及び番組CのTSストリーム2ch−Cがアドレスの最小値から順に記録されている。また、部分記憶領域MR−3には、チャネル3chにおける、番組AのTSストリーム3ch−A、番組BのTSストリーム3ch−B及び番組CのTSストリーム3ch−Cがアドレスの最小値から順に記録されており、最内周の部分記憶領域MR−4には、チャネル4chにおける、番組AのTSストリーム4ch−A、番組BのTSストリーム4ch−B及び番組CのTSストリーム4ch−Cがアドレスの最小値から順に記録されている。
【0042】
ここで、HDDの性能を示す指標として、データアクセス時間が知られている。一般的に、データアクセス時間は、ヘッドの移動時間(以後、「シーク時間」と呼ぶ)と、回転待ち時間と、データ転送時間との和で表される。データアクセス時間は、変動量の大きいシーク時間及びデータ転送時間によって大きく変動する。したがって、HDDにアクセスする際には、シーク時間及びデータ転送時間が問題となる。
【0043】
記録媒体5aにおいて、全トラックでの線記録密度が同じであれば、所定量のデータを転送するために必要なデータ転送時間は、外周領域をアクセスする場合よりも内周領域をアクセスする場合の方が大きくなる。したがって、アドレス先頭から所定領域をアクセスする際のデータアクセス時間(例えばアドレス先頭から512バイト分のデータに対するリードアクセス時間)は、アドレス後尾から所定領域をアクセスする際のデータアクセス時間(例えばアドレス先頭から512バイト分のデータに対するリードアクセス時間)よりも小さくなる。よって、図3の例において、記録済みのTSストリーム1ch−A,2ch−A,3ch−A,4ch−Aのデータ量が同じ場合には、これらのTSストリームを読み出す時間は、TSストリーム1ch−A,2ch−A,3ch−A,4ch−Aの順で大きくなり、TSストリーム1ch−Aは最短で読み出すことができる。
【0044】
また、シーク時間は、記録媒体5aに対して連続してアクセスする場合には、ほとんど問題とならない。図3の例において、TSストリーム1ch−Aに対するリードアクセスからTSストリーム2ch−Aに対するリードアクセスに変更する際に発生するシーク時間S12と、TSストリーム1ch−Aに対するリードアクセスからTSストリーム4ch−Aに対するリードアクセスに変更する際に発生するシーク時間S14とを比較すると、必ずS12<S14となる。1回のデータアクセスが終了して、次のデータアクセスを実行する際、記録媒体5aにおいて、次のデータアクセス領域が、終了したデータアクセス領域に位置的に近いほどシーク時間が短くなる。
【0045】
また、本実施の形態1に係る記憶装置5には、一般的なHDDと同様に、キャッシュメモリが内蔵されており、このキャッシュメモリは記録媒体5aにデータを書き込む際に使用される。記憶装置5に対して時分割で複数の番組データをライトしており、例えば図3の例においてTSストリーム1ch−Cの記録からTSストリーム2ch−Cの記録に切り替わる場合、ヘッド5bが移動中で記録媒体5aにデータをライトできない間でも、TSストリーム2ch−Cを、一旦記憶装置5内のキャッシュメモリにライトすることができるため、ライトアクセスでのヘッド5bの移動時間の悪影響を少なくすることができる。
【0046】
これに対して、記録済みのTSストリームに対してリードアクセスを行う際にはキャッシュメモリは使用されないため、ヘッド5bが移動中で記録媒体5aにリードできない間は、記憶装置5に対するリードアクセスは待機状態となり、データアクセス時間が増加してしまう。
【0047】
これらのことから、ライトアクセス及びリードアクセスともに、出来るだけシーク時間がかからないアクセスにする必要がある。そこで、本実施の形態1では、チャンネル1ch〜4chのTSストリームを同時に記録する際には、チャネル1chの所定量のデータ、チャネル2chの所定量のデータ、チャネル3chの所定量のデータ及びチャネル4chの所定量のデータをこの順で記録する記録サイクルを繰り返して実行する。このように、各記録サイクルにおいて、アドレス先頭からアドレス後尾に向かう方向に沿って順番に複数チャネルのTSストリームを記録領域に記録することによって、言い換えれば、最外周の部分記憶領域MR−1から最内周の部分記憶領域MR−Nに向かう方向に沿って、複数チャネルのデータを複数の部分記憶領域MRに記録することによって、シーク時間を最短にすることができる。
【0048】
図4はチャネル1ch〜4chにおける番組CのTSストリーム1ch−C〜4ch−Cを同時に記録する際の記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。ここで、一例として、TSストリーム1ch−C〜4ch−Cが全て同じデータレートDR(単位はbps:bit per second)であるとすると、入力バッファ装置2での各入力バッファの記憶容量がBT(bit)の場合には、各入力バッファにおいて、データ入力が開始してからバッファフル状態となるまでのバッファフル時間Ftは、Ft=BT/DR(秒)となる。また、記憶装置5に対するデータアクセススピードをHS(bits/sec)とすると、データ容量BTのデータを記憶装置5に記録する時間Wtは、Wt=BT/HS(秒)となる。そして、例えば、地上デジタルテレビジョン放送の場合にはDR=24Mbpsとなり、HS=160Mbit/sec、BT=16Mbitとすると、Ft=16M/24M=667msec、Wt=16M/160M=100msecとなり、Ft≒6×Wtとなる。図4では、このような条件でのアクセスタイミングを示している。
【0049】
復調・復号部1から、チャネル1ch〜4chの番組CのTSストリーム1ch−C〜4ch−Cが出力されて、入力バッファ部IB−1〜IB−4のそれぞれの第1入力バッファがバッファフル状態となると、マイクロプロセッサ10は、まず、チャネル1chに対応した入力バッファ部IB−1を選択する。そうすると、入力データ選択部4からは、入力バッファ部IB−1における第1入力バッファ内のTSストリーム1ch−Cが出力されて、当該TSストリーム1ch−Cは記憶装置5に記録される。
【0050】
入力バッファの記憶容量分だけのTSストリーム1ch−Cの記録が終了すると、記憶装置制御部6は、その旨をマイクロプロセッサ10に通知する。マイクロプロセッサ10は、次にチャネル2chに対応した入力バッファ部IB−2を選択する。そうすると、入力データ選択部4からは、入力バッファ部IB−2における第1入力バッファ内のTSストリーム2ch−Cが出力されて、当該TSストリーム2ch−Cは記憶装置5に記録される。
【0051】
入力バッファの記憶容量分だけのTSストリーム2ch−Cの記録が終了すると、記憶装置制御部6は、その旨をマイクロプロセッサ10に通知する。マイクロプロセッサ10は、次にチャネル3chに対応した入力バッファ部IB−3を選択する。そうすると、入力データ選択部4からは、入力バッファ部IB−3における第1入力バッファ内のTSストリーム3ch−Cが出力されて、当該TSストリーム3ch−Cは記憶装置5に記録される。
【0052】
入力バッファの記憶容量分だけのTSストリーム3ch−Cの記録が終了すると、記憶装置制御部6は、その旨をマイクロプロセッサ10に通知する。マイクロプロセッサ10は、次にチャネル4chに対応した入力バッファ部IB−4を選択する。そうすると、入力データ選択部4からは、入力バッファ部IB−4における第1入力バッファ内のTSストリーム4ch−Cが出力されて、当該TSストリーム4ch−Cは記憶装置5に記録される。
【0053】
その後、入力バッファ部IB−1〜IB−4の各第2入力バッファがバッファフル状態となると、入力バッファ部IB−1〜IB−4の第2入力バッファに蓄積された4チャネル分のTSストリームは、同様にして、時分割で順に記憶装置5に記録される。
【0054】
ここで、図4に示されるように、あるチャネルのTSストリームの記録終了から、その次のチャネルのTSストリームの記録開始までに必要なオーバーヘッド時間をSWtとすると、入力バッファ部IB1−IB−4内の4チャネル分のTSストリームを記録する際に必要な時間は(4×Wt+4×SWt)となる。本実施の形態1では、(4×Wt+4×SWt)<Ftに設定されている。そして、入力バッファ部IB−1〜IB−4のそれぞれでは、第1入力バッファがバッファフル状態となると、すぐに第2入力バッファにTSストリームが入力される。したがって、入力バッファ部IB−1〜IB−4のそれぞれでは、第1入力バッファがバッファフル状態となってからバッファフル時間Ft経過後に、第2入力バッファがバッファフル状態となる。つまり、入力バッファ部IB−1〜IB−4における第1入力バッファ内の4チャネル分のTSストリームを記録した後に、入力バッファ部IB−1〜IB−4における各第2入力バッファがバッファフル状態となる。したがって、入力バッファ部IB−1〜IB−4における第1入力バッファ内の4チャネル分のTSストリームを記録している間において、入力バッファ装置2でデータオーバーフローが発生することはなく、入力バッファ部IB−1〜IB−4における第2入力バッファによって、TSストリーム1ch−C〜4ch−Cを適切にバッファリングすることができる。なお、オーバーヘッド時間SWtには、記憶装置5内におけるデータ記録時の動作設定時間やシーク時間などが含まれている。
【0055】
以上のように、本実施の形態1では、複数チャネルのTSストリームを順に所定量だけ記録する記録サイクルを繰り返して実行することによって、当該複数チャネルのTSストリームを同時に記録している。記憶装置5に対してこのようなリードアクセスを行っている際に、あるチャネルのTSストリームを記憶装置5から読み出そうとすると、問題が発生することがある。例えば、アドレス後尾付近の記憶領域に、あるチャネルのTSストリームを記録した後に、アドレス先頭付近の記憶領域に記録されている、他のチャネルのTSストリームを読み出す際には、ヘッド5bの移動量がほぼ最大となり、シーク時間はほぼ最大時間となってしまう。その結果、バッファフル時間Ft内に、複数チャネル分のTSストリームの記録の終了が難しくなり、入力バッファ装置2でデータオーバーフローが発生する可能性が高くなる。以下にこのことついて詳細に説明する。
【0056】
図5は、TSストリーム3ch−Cを記録している最中にTSストリーム1ch−Aの再生要求がユーザーからあった場合において、TSストリーム3ch−Cのライトアクセス終了後すぐにTSストリーム1ch−Aのリードアクセスを開始する場合の記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。マイクロプロセッサ10は、TSストリーム1ch−Aの再生要求がユーザーから通知されると、TSストリーム3ch−Cの記録が終了した後に、記憶装置制御部6に対してTSストリーム1ch−Aを読み出し対象とする旨を通知し、記憶装置制御部6は記憶装置5からTSストリーム1ch−Aを読み出して、それに対応する出力バッファ部OB−2に出力する。そして、出力バッファ部OB−2がバッファフル状態となり、当該出力バッファ部OB−2内のTSストリーム1ch−Aが出力されると、マイクロプロセッサ10は、TSストリーム3ch−Cの後に記録されるべきTSストリーム4chを記憶装置制御部6に記録させる。
【0057】
図5の例では、TSストリーム3ch−Cを記録する部分記憶領域MR−3に対するライトアクセスから、TSストリーム1ch−Aが記録されている部分記憶領域MR−1に対するリードアクセスへと切り替わることから、ヘッド5bを大きく移動させる必要があり、シーク時間が大きくなる。その結果、ライトアクセス終了からリードアクセス開始までに必要なオーバーヘッド時間SWRtが大きくなる(SWRt>>SWt)。また、図5の例では、TSストリーム1ch−Aが記録されている部分記憶領域MR−1に対するリードアクセスから、TSストリーム4ch−Aを記録する部分記憶領域MR−4に対するライトアクセスへと切り替わることから、リードアクセス終了からライトアクセス開始までに必要なオーバヘッド時SRWtも大きくなる(SRWt>>SWt)。したがって、バッファフル時間Ft内に全てのアクセスを完了することが困難になってくる。
【0058】
これは、TSストリームの読み出しが、その前後においてシーク時間が大きくなるタイミングで行われた結果である。そこで、本実施の形態1では、TSストリーム3ch−Cを記録中に、ユーザからTSストリーム1ch−Aの再生要求があった場合であっても、TSストリーム1ch−Aの読み出しを、TSストリーム3ch−Cの記録終了後すぐに行うのではなく、その後に実行されるTSストリーム1ch−Cの記録が終了するまで待って、その直後に実行する。このアクセス制御は、マイクロプロセッサ10が記録要求部3及び記憶装置制御部6を制御することによって実現できる。このように、制御部30が、記録対象のTSストリームが記録媒体5aの記録面のどの領域に記録されるのかを判別しながら、できるだけ短いシーク時間となるように、TSストリームの読み出しタイミングを制御することによって、バッファフル時間Ft内に全てのアクセスを確実に終了することができる。その結果、入力バッファ装置2でデータオーバーフローが発生することを防止できる。
【0059】
図6は、TSストリーム1ch−Aの再生を、TSストリーム1ch−Cの記録が終了した直後に行うようにした場合の記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。本実施の形態1では、TSストリームの読み出しは、そのチャネルと同じチャネルのTSストリームの記録が終了した後に行われているため、図6に示されるように、オーバーヘッド時間SWRtは図5の場合と比較して短くなっている。さらに、本実施の形態1では、あるチャネルのTSストリームを読み出した後には、それが記録されていた記憶領域と位置的に最も近い記憶領域に記録されるべきチャネルのTSストリームを記録しているため、リードアクセス終了からライトアクセス開始までに必要なオーバーヘッド時間SRWtも図5の場合と比較して短くなっている。よって、各記録サイクルにおいて、4チャネル分のデータ記録と1チャネル分のデータ再生とに必要なトータルアクセス時間が、図5の場合と比較して短くなり改善されている。
【0060】
図7は、入力バッファ装置2にチャネル2ch〜4chの3チャンネル分のTSストリームのみが入力されており、当該3チャネル分のTSストリームを同時に記録している間に、チャネル1chの記録済みTSストリームを再生する場合の記録装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。
【0061】
本実施の形態1では、各記録サイクルにおいて、記録対象の複数チャンネルのTSストリームの中に、読み出し対象のTSストリームと同じチャネルのデータが含まれていない場合には、制御部30は、記録対象のTSストリームが記録される部分記憶領域MRのうち、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域MRと位置的に最も近い部分記憶領域MRに記録されるべきTSストリームの記録が終了した直後に、読み出し対象のTSストリームの読み出しを実行する。そして、制御部30は、記録対象のTSストリームが記録される部分記憶領域MRのうち、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域MRと位置的に最も近い部分記憶領域MRが2つ存在する場合には、その中でアドレスの先頭により近い部分記憶領域MRに記録されるべきTSストリームの記録が終了した直後に、読み出し対象のTSストリームの読み出しを実行する。言い換えれば、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域MRと位置的に最も近い2つの部分記憶領域MRに記録されるTSストリームのうち、時間的に先に記録されるTSストリームの記録が終了した直後に、読み出し対象のTSストリームの読み出しを実行する。
【0062】
図7の例では、読み出し対象のTSストリーム1ch−Aが記録されている部分記憶領域MR−1と位置的に最も近い部分記憶領域MRは部分記憶領域MR−2だけであるため、当該部分記憶領域MR−2に記録されるべきTSストリーム2ch−Cの記録が終了した直後に、TSストリーム1ch−Aの読み出しが実行されている。これにより、読み出し動作を開始する前のヘッド5bの移動量だけではなく、読み出し動作終了後のヘッド5bの移動量も低減できる。よって、図7に示されるように、オーバーヘッド時間SWRt,SRWtの両方を短縮できる。
【0063】
また、他の例として、チャネル1ch,3ch,4chの3チャンネル分のTSストリームを同時に記録している間に、チャネル2chの記録済みTSストリームを再生する場合には、記録対象のTSストリームが記録される部分記憶領域MR−1,MR−3,MR−4のうち、読み出し対象のチャネル2chのTSストリームが記録されている部分記憶領域MR−2と位置的に最も近い部分記憶領域MRは、部分記憶領域MR−1,MR−3の2つ存在するため、この場合には、これらの部分記憶領域MR−1,M−R3にそれぞれ記録されるチャネル1ch,3chのTSストリームのうち最も先に記録されるもの、つまり、チャネル1chのTSストリームを記録した後に続いて、チャネル2chのTSストリームを読み出す。これにより、リードアクセスを含めた、部分記憶領域MR−1,MR−2,MR−3,MR−4に対するアクセスが、アドレス先頭からアドレス後尾に向かう方向に沿って実行されるようになり、リードアクセスを開始する前のヘッド5bの移動量だけではなく、リードアクセス終了後のヘッド5bの移動量も低減できる。
【0064】
以上のように、本実施の形態1では、読み出し対象のTSストリームと同じチャネルのTSストリームを記録した後に続いて、あるいは、当該同じチャネルのTSストリームが存在しない場合には、記録対象のTSストリームが記録される部分記憶領域MRのうち、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域MRと位置的に最も近い部分記憶領域MRに記録されるTSストリームを記録した後に続いて、読み出し対象のTSストリームを記憶装置5から読み出すため、記憶装置5からTSストリームを読み出す際のヘッド5bの移動量を小さくすることができる。つまり、シーク時間を短くすることができる。その結果、無駄なオーバーヘッド時間を低減することができ、TSストリームの記録及び再生を適切に行うことができる。
【0065】
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。本デジタル放送受信機では、復調・復号部1から出力される複数チャネルのTSストリームのデータレートが異なっている場合であっても、当該複数チャネルのTSストリームを適切に同時に記録することが可能である。本デジタル放送受信機は、構成としては、上述の実施の形態1に係るデジタル放送受信機において、データレートPMT判定部15をさらに備えるものである。以下に、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態2に係るデジタル放送受信機ついて説明する。
【0066】
データレートPMT判定部15は、復調・復号部1から出力される各TSストリームのデータレートを、それに含まれる所定の情報に基づいて判定する。
【0067】
上記の非特許文献1に記載されているように、MPEG−2 TS方式で伝送されるTSストリームには、PMT(Program Map Table)が含まれている。このPMTの第1ループには、デジタルコピー制御記述子が記述されており(非特許文献1の「30.3.1」及び「30.3.2.2」参照)、その中に“maximum_bit_rate”と呼ばれる情報が含まれている。maximum_bit_rateは、それを含むTSストリームの最大データレートを特定する情報であって、maximum_bit_rateを使用してTSストリームの最大データレートを判定することができる。
【0068】
データレートPMT判定部15は、復調・復号部1から出力される、復調処理後のTSストリームから、まずPAT(Program Association Table)を取得し、その中に含まれる所定の情報を使用してTSストリームからPMTを抽出する。そして、データレートPMT判定部15は、抽出したPMTからその第1ループ内のmaximum_bit_rateを抽出し、当該maximum_bit_rateに基づいてTSストリームの最大データレートを取得する。データレートPMT判定部15は、入力される全てのTSストリームに対してmaximum_bit_rateを抽出し、番組ごとの最大データレートを判別する。
【0069】
次に本実施の形態2に係るデジタル放送受信機での記録動作について説明する。入力バッファ装置2に含まれる複数の入力バッファ部IBの入力バッファでは、それらがすべて同一の記憶容量であるとすると、データレートが最も高いTSストリームが入力されるバッファが最も早くバッファフル状態となる。
【0070】
例えば、入力バッファ部IB−1の入力バッファに入力されるチャネル1chにおける番組CのTSストリーム1ch−Cのデータレートが40Mbps、入力バッファ部IB−2の入力バッファに入力されるチャネル2chにおける番組CのTSストリーム2ch−Cのデータレートが20Mbps、入力バッファの記憶容量が16Mbitとすると、入力バッファ部IB−1の入力バッファにおけるバッファフル時間Ft(以後、「バッファフル時間Ft1」と呼ぶ)は0.4秒となり、入力バッファ部IB−2の入力バッファにおけるバッファフル時間Ft(以後、「バッファフル時間Ft2」と呼ぶ)は0.8秒となる。また、記憶装置5に対するデータアクセススピードHSを仮に160Mbit/secとすると、16Mbitのデータを記録する時間Wtは0.1秒となる。本実施の形態2では、各入力バッファ部IBはダブルバッファ構造となっているため、この例では、TSストリーム1ch−Cを0.4秒ごとに、TSストリーム2ch−Cを0.8秒ごとに、それぞれ所定量だけ記憶装置5に記録することになる。
【0071】
これらのことから、TSストリーム1ch−C,2ch−Cを同時に記録する際には、図9に示されるように、0.4秒間隔でTSストリーム1ch−Cを記録しながら、入力バッファ部IB−2がバッファフル状態となったときにTSストリーム2ch−Cのライトアクセスを挿入することになる。
【0072】
しかしながら、一般的なHDDの場合には全トラックでの線記録密度が同じであるため、記憶装置5に対するデータアクセススピードHSは、記録媒体5aの記録面の外周領域と内周領域とでは異なり、外周領域及び内周領域に対するデータアクセススピードHSをそれぞれ「データアクセススピードHS(外周)」及び「データアクセススピードHS(内周)」とすると、HS(外周)>HS(内周)となる。つまり、部分記憶領域MR−1〜MR−Nに対するデータアクセススピードHSはこの順で低くなる。
【0073】
上記例において、例えば、TSストリーム1ch−Cを内周領域に記録し、その内周領域に対するデータアクセススピードHS(内周)を45Mbit/secとすると、TSストリーム1ch−Cの1回の記録データ量である16Mbitのデータを記録する時間Wt1(内周)は0.35秒(≒16M/45M)となる。一方で、TSストリーム2ch−Cを外周領域に記録し、当該外周領域に対するデータアクセススピードHS(外周)を160Mbit/secとすると、TSストリーム2ch−Cの1回の記録データ量である16Mbitのデータを記録する時間Wt2(外周)は0.1秒となる。この場合の記録装置5に対するアクセスタイミングを図10に示す。
【0074】
図10に示されるように、TSストリーム2ch−Cの記録が挿入された後の、TSストリーム1ch−Cの記録については、バッファフル時間Ft1内に、1回分のデータ量を記録できなくなっている。この場合には、TSストリーム1ch−Cの1回分の記録が終了するまでに、その次の記録対象データが入力されている入力バッファ部IB−1の入力バッファではデータオーバーフローを発生し、TSストリーム1ch−Cの一部のデータがバッファリングされずに欠損してしまう。したがって、次回のTSストリーム1ch−Cの記録は不連続データの記録となってしまう。
【0075】
そこで、本実施の形態2では、データレートPMT判定部15で判定されたデータレートが高いTSストリームほど、データアクセススピードHSが大きい部分記憶領域MRに記録されるように、マイクロプロセッサ10が記録要求部3及び記憶装置制御部6を制御する。
【0076】
図11は、上記例において、データレートの高いTSストリーム1ch−Cを記録面におけるデータアクセススピードが大きい外周領域(例えば部分記憶領域MR−1)に記録し、データレートの低いTSストリーム2ch−Cを記録面におけるデータアクセススピードが小さい内周領域(例えば部分記憶領域MR−N)に記録した場合のアクセスタイミングを示す図である。図11に示されるように、TSストリーム1ch−Cの1回の記録に必要な時間Wt1(外周)は、TSストリーム2ch−Cの1回の記録に必要な時間Wt2(内周)よりも短くなり、TSストリーム1ch−Cの1回分の記録は、常にバッファフル時間Ft1内に終了している。したがって、入力バッファ部IB−1でのデータオーバーフローの発生を抑制でき、TSストリーム1ch−Cを連続して記録することができる。
【0077】
以上のように、データレートの高いTSストリームほど、データアクセススピードが大きい部分記憶領域MRに記録することによって、入力バッファ部IBでのデータオーバーフローの発生を抑制でき、データレートの異なる複数チャネルのTSストリームを取りこぼしなく適切に記憶装置5に記録することができる。
【0078】
実施の形態3.
図12は本発明の実施の形態3に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。本実施の形態3では、上述の実施の形態2とは異なる方法で、TSストリームのデータレートを判定する。本実施の形態3にデジタル放送受信機は、上述の実施の形態2に係るデジタル放送受信機において、基本的には、データレートPMT判定部15の代わりにデータレート同期バイト判定部16を備えるものである。以下に、実施の形態2との相違点を中心に本実施の形態3に係るデジタル放送受信機について説明する。
【0079】
復調・復号部1から出力される、地上デジタルテレビジョン放送のTSストリームは、複数のTSパケット(1パケット=188バイト)で構成されている。そして、TSパケットには、有効TSパケットと無効TSパケット(ヌルTSパケット)との2種類が存在している。有効TSパケットと無効TSパケットとの違いは、同期バイト(1バイト)を除いた187バイトのデータの中身によって判別できる。地上デジタルテレビジョン放送においては、TSストリームのデータレートに応じて、当該TSストリームにおける単位時間あたりの有効TSパケット数が変化するため、単位時間あたりの有効TSパケット数を求めることによって、TSストリームのデータレートを判定することができる。
【0080】
本実施の形態3に係るデータレート同期バイト判定部16は、有効TSパケットの同期バイト(既知データ)を検出することによって、TSストリームに含まれる、所定時間内の有効TSパケット数を取得する。そして、データレート同期バイト判定部16は、取得した有効TSパケット数に基づいて、TSストリームのデータレートを判定する。その後、データレート同期バイト判定部16は、復調・復号部1から出力されたTSストリームから無効TSパケットを除去して、有効TSパケットのみを含むTSストリームを出力する。
【0081】
図13,14は番組P1,P2の復調処理後のTSストリームの構成をそれぞれ示す図である。図13に示されるように、番組P1のTSストリームにおける単位時間Ta内の有効TSパケット数は“3”である。一方で、図14に示されるように、番組P2のTSストリームにおける単位時間Ta内の有効TSパケット数は“2”となっている。この場合には、(番組P1のTSストリームのデータレート)>(番組P2のTSストリームのデータレート)となる。したがって、番組P1のTSストリームは、記録媒体5aの記録面の外周領域に記録され、番組P2のTSストリームは、記録媒体5aの記録面の内周領域に記録される。
【0082】
以上のように、本実施の形態3に係るデジタル放送受信機では、所定時間内の有効TSパケット数を取得し、そのTSパケット数に基づいてTSストリームのデータレートを判定するため、PMTを抽出する際に通常必要となる複雑なハードウェアが不要となる。よって、簡単にTSストリームのデータレートを判定することができる。
【0083】
実施の形態4.
図15は本発明の実施の形態4に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。本実施の形態4にデジタル放送受信機は、上述の実施の形態1に係るデジタル放送受信機において、構成としては、入力バッファ装置2及び出力バッファ装置7の替わりに、それぞれ入力バッファ装置20及び出力バッファ装置22を設けて、さらに待機時間算出部21を設けたものである。
【0084】
上述の実施の形態1では、読み出し対象のTSストリームと同じチャネルのTSストリームを記録した後に続いて、あるいは、読み出し対象のTSストリームが記録されている部分記憶領域MRと位置的に最も近い部分記憶領域MRに記録されるチャネルのTSストリームを記録した後に続いて、読み出し対象のTSストリームを記憶装置5から読み出すアクセス制御を行うことによって、バッファフル時間Ft内に全てのアクセスが確実に完了することを可能としている。しかしながら、このようなアクセス制御を行った場合であっても、リードアクセスからライトアクセスに切り替わる際のシーク時間が長い場合には、バッファフル時間Ft内で全てのアクセスが終了しない場合がある。
【0085】
そこで、本実施の形態4では、実施の形態1に係るアクセス制御を改良するとともに、入力バッファ装置及び出力バッファ装置の記憶容量を可変とすることによって、より確実にバッファフル時間Ft内に全てのアクセスが完了するようにしている。以下に、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態4に係るデジタル放送受信機について説明する。
【0086】
入力バッファ装置20は、N個の可変入力バッファ部VIB−1〜VIB−Nを備えており、当該N個の可変入力バッファ部VIB−1〜VIB−Nには、復調・復号部1から出力されるN個のTSストリームがそれぞれ入力される。以後、可変入力バッファ部VIB−1〜VIB−Nを総称して「可変入力バッファ部VIB」と呼ぶ。
【0087】
各可変入力バッファ部VIBは、マイクロプロセッサ10の制御によってその記憶容量を変化させる。可変入力バッファ部VIBは、第1乃至第3入力バッファを備えており、その動作モードとしては、第1及び第2入力バッファのみが機能するダブルバッファモードと、第1乃至第3入力バッファのすべてが機能するトリプルバッファモードの2種類がある。可変入力バッファ部VIBは、ダブルバッファモードにおいては、上述の入力バッファ部IBと同様に動作する。トリプルバッファモードにおいては、第1入力バッファにTSストリームが入力され、当該第1入力バッファがバッファフル状態となると、第2入力バッファに切り替わって、当該第2入力バッファにTSストリームが入力される。そして、第1及び第2入力バッファがともにバッファフル状態となると、第3入力バッファに切り替わって、当該第3入力バッファにTSストリームが入力される。第3入力バッファがバッファフル状態となると、第1入力バッファに切り替わって、当該第1入力バッファにTSストリームが入力される。可変入力バッファ部VIBは、通常はダブルバッファモードで動作し、マクロプロセッサ10から変更通知があるとトリプルバッファモードで動作する。以後、第1乃至第3入力バッファを総称して「入力バッファ」と呼ぶ。
【0088】
出力バッファ装置22は、N個のチャネルのTSストリームにそれぞれ対応して設けられたN個の可変出力バッファ部VOB−1〜VOB−Nを備えている。以後、可変出力バッファ部VOB−1〜VOB−Nを総称して「可変出力バッファ部VOB」と呼ぶ。記憶装置制御部6は、記憶装置5から読み出したTSストリームを、それに対応する可変出力バッファ部VOBに出力する。
【0089】
各可変出力バッファ部VOBは、第1及び第2出力バッファを備えている。可変出力バッファ部VOBの動作モードには、第1出力バッファのみが機能するシングルバッファモードと、第1及び第2出力バッファがともに機能するダブルバッファモードの2種類がある。可変出力バッファ部VOBは、シングルバッファモードにおいては、上述の出力バッファ部OBと同様に動作する。ダブルバッファモードにおいては、第1出力バッファにTSストリームが入力され、当該第1出力バッファがバッファフル状態となると、第2出力バッファに切り替わって、当該第2出力バッファにTSストリームが入力される。そして、第2出力バッファがバッファフル状態となると、第1出力バッファに切り替わって、当該第1出力バッファにTSストリームが入力される。以後、第1及び第2出力バッファを総称して「出力バッファ」と呼ぶ。
【0090】
待機時間算出部21は制御部30に設けられている。上述のように、記憶装置制御部6は、記憶装置5にデータを記録する際には、転送要求信号を記憶装置5に対して出力する。そして、記憶装置5は、データを転送する準備が完了すると、記憶装置制御部6に対して転送要求確認信号を出力する。待機時間算出部21は、記憶装置制御部6が転送要求信号を出力してから転送要求確認信号を受け取るまでの時間を待機時間として算出する。この待機時間には、シーク時間も含まれていることから、待機時間は、シーク時間が大きくなるとそれに応じて増加する。待機時間算出部21は、算出した待機時間をマイクロプロセッサ10に出力する。マイクロプロセッサ10は、待機時間がしきい値時間よりも大きいと、該当する可変入力バッファ部VIB及び可変出力バッファ部VOBの記憶容量を増加させるとともに、記憶装置制御部6に記憶装置5に対するアクセス方法を変更させる。
【0091】
ここで、上述の実施の形態1で説明したが、記憶装置5はキャッシュメモリを備えているため、複数チャネルのTSストリームを記録する場合、例えば、チャネル1chのTSストリームの記録の後にチャネル2chのTSストリームを記録する場合には、ヘッド5bが移動中で記録媒体5aにチャネル2chのTSストリームがライトできない間でも、それをキャッシュメモリにライトすることができるため、ライトアクセス開始時でのヘッド5bの移動時間の悪影響を少なくすることができる。
【0092】
しかしながら、チャネル1chのTSストリームを記録した後に、チャネル1chあるいはチャネル2chのTSストリームを再生する場合には、ヘッド5bが移動中で記録媒体5aにリードできない時間は、そのままオーバーヘッド時間となって、全体システムの動作効率を悪化させる。
【0093】
特に、複数チャネルのTSストリームを記録している間にTSストリームを再生する場合には、リード時のシーク時間によって、リードアクセスを実行した後に続くライトアクセスが所望のタイミングで終了しない可能性が高くなり、TSストリームを連続的に記録できないことがある。
【0094】
図16は上述の実施の形態1に係るデジタル放送受信機での記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。図16の例では、TSストリーム1ch−C〜3ch−Cを同時記録している間に、TSストリーム2ch−Aを再生する際のアクセスタイミングを示している。図16に示されるように、ライトアクセス終了からそれに続くリードアクセス開始までに必要なオーバヘッド時SWRtは、ライトアクセス終了からそれに続くライトアクセス開始までに必要なオーバーヘッド時間SWtよりも非常に大きくなっている。このような場合において、リードアクセスが挿入された後の、TSストリーム3ch−Cの記録が、入力バッファでのバッファフル時間Ft内に完了できなくなり、入力バッファでTSストリーム3ch−Cがオーバーフローとなり、TSストリーム3ch−Cの記録データが不連続となる。
【0095】
この図16の例では、チャネル2chのTSストリームの再生が挿入された場合の例ではあるが、チャネル1chのTSストリームの再生を挿入する場合でも、チャネル3chのTSストリームの再生を挿入する場合でも、再生時のオーバーヘッド時間が長ければ、結局は、記録サイクルにおいて最後に記録されるチャネル3chのTSストリームの記録に不連続性が発生することになる。
【0096】
記憶装置5に対してアクセスを行う際には、まず記憶装置制御部6が転送要求信号や記録要求信号などのアクセス要求信号を記憶装置5に出力し、記憶装置5では、ヘッド5bの移動が完了するために必要な時間を含む所定の時間が経過した後に、転送要求確認信号や記録要求確認信号などの、記憶装置制御部6からのアクセス要求に対するアクセス要求確認信号を出力する。これにより、記憶装置制御部6の記憶装置5に対するアクセスが開始されるようになる。記憶装置制御部6がアクセス要求信号を出力してから、記憶装置5からアクセス要求確認信号を受け取るまでの待機時間は、オーバーヘッド時間に含まれる時間であって、シーク時間と記憶装置5内のキャッシュメモリによるキャッシュ効果によって変動し、リードアクセス開始時に最も大きくなると考えられる。
【0097】
そこで、本実施の形態4に係るデジタル放送受信機では、待機時間算出部21で算出されるリードアクセス開始時の待機時間に応じて、マイクロプロセッサ10が、所定の可変入力バッファ部VIB及び可変出力バッファ部VOBの記憶容量を変化させるとともに、記憶装置制御部6に対して記憶装置5に対するアクセス制御を変更させる。これにより、オーバーヘッド時間SWRtが長い場合であっても、TSストリームを再生しつつ複数チャネルのTSストリームを確実に記録することができる。以下にこの動作について詳細に説明する。
【0098】
図17は本実施の形態4に係るデジタル放送受信機での記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。図17は、3チャネル分のTSストリーム1ch−C〜3ch−Cを記録している間にTSストリーム2ch−Aを再生する際のアクセスタイミングを示している。
【0099】
図17に示されるように、TSストリーム1ch−C〜3ch−Cを入力バッファの記憶容量分だけこの順に記録する記録サイクルが繰り返して実行されている際に、ユーザからチャネル2chにおける番組AのTSストリーム2ch−Aの再生要求がマイクロプロセッサ10に通知されると、実施の形態1と同様に、記憶装置制御部6は、マイクロプロセッサ10の制御によって、読み出し対象のTSストリーム2ch−Aと同じチャネルのTSストリーム2ch−Cが記録された直後に、TSストリーム2ch−Aを記憶装置5から読み出そうとする。このとき、記憶装置制御部6は、リードアクセス開始時の待機時間を算出して、マイクロプロセッサ10に通知する。
【0100】
マイクロプロセッサ10は、受け取った待機時間を所定のしきい値時間と比較し、その比較結果に基づいて、記録サイクル中にTSストリーム2ch−Aに対するリードアクセスが挿入された場合であっても、当該記録サイクルにおいて最後に記録されるべきTSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時間Ft内に終了できるかどうかを判定する。マイクロプロセッサ10は、入力バッファにおけるバッファフル時間Ftと、TSストリームの記録チャンネル数とを把握しているため、TSストリーム2ch−Aに対するリードアクセスが挿入された場合であっても、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時間Ft内に終了できるかどうかを判定することができる。マイクロプロセッサ10は、受け取った待機時間が所定のしきい値時間より大きい場合には、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時Ft内に終了できないと判定し、それ以下の場合にはバッファフル時間Ft内に終了できると判定する。
【0101】
マイクロプロセッサ10において、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時Ft内に終了できると判定されると、記憶装置制御部6は、マイクロプロセッサ10の制御により、記憶装置5からTSストリーム2ch−Aを読み出して、それに対応する可変出力バッファ部VOBに入力する。このとき、可変出力バッファ部VOBはシングルバッファモードで動作しているため、図16の場合と同様に、一つの出力バッファの記憶容量分だけTSストリーム2ch−Aが記憶装置5から読み出される。その後、記憶装置制御部6は、実施の形態1と同様にして、記録サイクルにおいて最後に記録すべきTSストリーム3ch−Cを記憶装置5に記録する。
【0102】
これに対して、マイクロプロセッサ10において、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時間Ft内に終了できないと判定されると、マイクロプロセッサ10は、読み出し対象のTSストリーム2ch−Aが入力される可変出力バッファ部VOBの動作モードをシングルバッファモードからダブルバッファモードに変更するとともに、記録サイクルにおいて最後に記録されるべきTSストリーム3ch−Cが入力されている可変入力バッファ部VIBの動作モードをダブルバッファモードからトリプルバッファモードに変更する。そして、記憶装置制御部6は、記憶装置5からTSストリーム2ch−Aを読み出して、それに対応する可変出力バッファ部VOBに入力する。このとき、この可変出力バッファ部VOBはダブルバッファモードで動作しているため、その記憶容量が2倍に増加している。図17に示されるように、記憶装置制御部6は、2回分のデータ量のTSストリーム2ch−Aを記憶装置5から読み出して、対応する可変出力バッファ部VOBに入力する。その後、記憶装置制御部6は、本来であれば、TSストリーム3ch−Cを記録するはずであるが、ここでは、TSストリーム3ch−Cの記録を行わない。TSストリーム3ch−Cが入力されている可変入力バッファ部VIBはトリプルバッファモードとなっているため、TSストリーム3ch−Cの記録が行われなくても、当該可変入力バッファ部VIBでデータオーバーフローが発生することはない。
【0103】
TSストリーム2ch−Aが入力される可変出力バッファ部VOBでは、第1出力バッファがバッファフル状態となると、その後は第2出力バッファにTSストリーム2ch−Aが入力される。出力データ選択部9は、第1出力バッファがバッファフル状態となると、第1出力バッファ内のデータを一定レートで出力し、その後、第2出力バッファがバッファフル状態となると、第2出力バッファ内のデータを一定レートで出力する。
【0104】
バッファフル時間Ftが経過して次の記録サイクルが開始すると、記憶装置制御部6は、TSストリーム1ch−C,2ch−Cを順次記憶装置5に記録する。その後、記憶装置制御部6は、TSストリーム2ch−Aの読み出しを行わずに、2回分のデータ量のTSストリーム3ch−Cを記憶装置5に記録する。TSストリーム3ch−Cが入力されている可変入力バッファ部VIBでは2つの入力バッファがバッファフル状態となっているため、記憶装置制御部6は、2つの入力バッファの記憶容量分のTSストリーム3ch−Cを記録する。
【0105】
以後、TSストリーム2ch−Aの再生が終了するまで、この動作を繰り返して実行する。
【0106】
3チャネル分のTSストリームを記録している間にあるチャネルのTSストリームの再生が挿入される際には、実施の形態1では、図16に示されるように、バッファフル時間Ft内の全オーバーヘッド時間は(SWt×2+SWRt)となり、システム破綻を生じている。これに対して、本実施の形態4では、図17に示されるように、TSストリーム2ch−Aの再生を2回連続して行っているため、全オーバーヘッド時間が(SWt+SWRt)となり、実施の形態1よりも低減している。そして、次のバッファフル時間Ft内には、TSストリーム2ch−Aの再生を行わずに、TSストリーム1ch−C,2ch−Cを順次記録した後にTSストリーム3ch−Cの記録を2回連続して行っているため、このバッファフル時間Ft内での全オーバーヘッド時間は(SWt×2)となり、十分に小さくなっている。
【0107】
以上のように、本実施の形態4に係るデジタル放送受信機では、リード開始時の待機時間が大きい場合には、該当する可変入力バッファ部VIBと可変出力バッファ部VOBの記憶容量を増加させるとともに、読み出し対象データを2回分読み出す記録サイクルと、最後に記録されるTSストリームを2回分記録する記録サイクルとを繰り返して実行しているため、入力バッファ装置20及び出力バッファ装置22でのデータオーバーフローの発生を抑制しつつ、複数チャネルのTSストリームの記録と、あるチャネルのTSストリームの再生とを同時に行うことができる。したがって、データの取りこぼしなくTSストリームを記録できるとともに、連続してTSストリームを再生することができる。
【0108】
実施の形態5.
図18は本発明の実施の形態5に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。本実施の形態5にデジタル放送受信機は、構成としては、上述の実施の形態1に係るデジタル放送受信機において、入力バッファ装置2の替わりに特殊入力バッファ装置25を設けて、さらに上述の待機時間算出部21を設けたものである。以下に、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態5に係るデジタル放送受信機について説明する。
【0109】
特殊入力バッファ装置25は、N個の入力バッファ部SIB−1〜SIB−Nを備えており、当該N個の入力バッファ部SIB−1〜SIB−Nには、復調・復号部1から出力されるN個のTSストリームがそれぞれ入力される。以後、入力バッファ部SIB−1〜SIB−Nを総称して「入力バッファ部SIB」と呼ぶ。
【0110】
各入力バッファ部SIBは、上述の入力バッファ部IBと同様に、第1及び第2入力バッファを備えるダブルバッファ構造となっている。ただし、後述するように、本実施の形態5に係る入力バッファ部SIBは、TSストリームの記憶方法が入力バッファ部IBとは異なる。
【0111】
地上デジタルテレビジョン放送では、非特許文献2の第2章に記載されているように、1チャネルが13セグメントに分割されており、セグメント単位で変調方式を変更でき、1チャネルでA、B及びCの最大3階層のデータを含むTSストリームを伝送することが可能となっている。そして、限定受信方式では、1セグメントを使用して、複数のTSパケットで構成されるA階層データが伝送され、12セグメントを使用して、複数のTSパケットで構成されるB階層データが伝送される。B階層データは、ハイビジョン映像を示す高レートデータであり、A階層データは低レートデータとなっている。
【0112】
また、地上デジタルテレビジョン放送では、A階層データとB階層データとで品位が大幅に異なるものの同じ映像を示すサイマル放送が行われており、MPEGデコーダ部12でデコードするデータがB階層データの場合には高品位な映像が再生され、A階層データの場合には低品位な映像が再生される。
【0113】
本実施の形態5に係る特殊入力バッファ装置25の入力バッファ部SIBは、TSストリームに含まれるTSパケットを、階層別にまとめて記憶する。復調・復号部1は、TSストリームを出力する際に、当該TSストリームに含まれるTSパケットがどの階層に属するかの情報を同時に出力するため、TSストリームに含まれるTSパケットがどの階層のデータであるのかを判別することができる。入力バッファ部SIBは、入力されるTSストリームに対してTSパケット毎に時間情報を付加し、A階層及びB階層(C階層がTSストリームに含まれる場合はC階層も)の全ての有効TSパケットを、階層毎にまとめてバッファリングする。そして、入力バッファ部SIBは、入力バッファがバッファフル状態となると、入力データ選択部4の制御により、その中のすべての有効TSパケットを出力する。
【0114】
入力バッファ部SIBは、有効TSパケットを階層毎にまとめてバッファリングする際、アドレス先頭からアドレスが増える方向に高レートのB階層データ(C階層があるときはC階層データも一緒に)を保存し、アドレス後尾からアドレスが減る方向に低レートのA階層データを保存する。そして、入力バッファ部SIBは、データを後段ブロックに出力する際には、アドレス先頭からアドレスが増加する方向でB階層データをまず出力し、その後、アドレス後尾からアドレスが減少する方向でA階層データを出力する。したがって、記憶装置5では、B階層データが記録された後にA階層データが記録される。
【0115】
入力バッファ部SIBの入力バッファに記憶されるB及びA階層のデータの割合は、毎回ほぼ同じと考えられるので、入力バッファでは、全記憶容量の12/13がB階層データとなり、1/13がA階層データとなる。
【0116】
次に、本実施の形態5に係るデジタル放送受信機での記録再生動作について説明する。図19は記憶装置5に対するアクセスタイミングを示す図である。図19は、3チャネル分のTSストリーム1ch−C〜3ch−Cを記録している間にTSストリーム2ch−Aの再生動作が挿入された場合のアクセスタイミングを示している。
【0117】
図19に示されるように、TSストリーム1ch−C〜3ch−Cを、入力バッファの記憶容量分だけこの順に記録する記録サイクルが繰り返して実行されている際に、ユーザからTSストリーム2ch−Aの再生要求がマイクロプロセッサ10に通知されると、実施の形態1と同様に、記憶装置制御部6は、読み出し対象のTSストリーム2ch−Aと同じチャネルのTSストリーム2ch−Cが記録された直後に、TSストリーム2ch−Aを記憶装置5から読み出そうとする。このとき、記憶装置制御部6は、リードアクセス開始時の待機時間を算出して、マイクロプロセッサ10に通知する。
【0118】
実施の形態4と同様に、マイクロプロセッサ10は、受け取った待機時間を所定のしきい値時間と比較し、その比較結果に基づいて、記録サイクルにおいて最後に記録されるべきTSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時間Ft内に終了できるかどうかを判定する。マイクロプロセッサ10において、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時Ft内に終了できると判定されると、記憶装置制御部6は、記憶装置5からTSストリーム2ch−Aを読み出して、それに対応する出力バッファ部OBに入力する。このとき、記憶装置制御部6は、記録されているTSストリーム2ch−Aのうち高レートのB階層データのみを、入力バッファの記憶容量BTの(12/13)倍のデータ量だけ読み出す。ここで、上述の実施の形態1では、出力バッファ部OBがバッファフル状態となって初めて当該出力バッファ部OBからデータが出力されていたが、本実施の形態5では、記憶装置制御部6は出力バッファ部OBに対するデータの出力が終了すれば、マイクロプロセッサ10経由で、データ出力が終了した旨を再生要求部8に通知し、それ受けた再生要求部8は、出力データ選択部9を制御して、出力バッファ部OBからデータを出力させる。出力バッファ部OBからは高レートでB階層データが出力され、図示しない表示装置には高品位の映像が表示される。
【0119】
一方で、マイクロプロセッサ10において、TSストリーム3ch−Cの記録がバッファフル時間Ft内に終了できないと判定されると、記憶装置制御部6は、TSストリーム2ch−Aの再生レートを落とすために、マイクロプロセッサ10の制御により、記録されているTSストリーム2ch−AのうちA階層データのみを、入力バッファの記憶容量BTの(1/13)倍のデータ量だけ記憶装置5から読み出して、対応する出力バッファ部OBに出力する。記憶装置制御部6は出力バッファ部OBに対するデータ出力が終了すれば、マイクロプロセッサ10経由で、データ出力が終了した旨を再生要求部8に通知し、それ受けた再生要求部8は、出力データ選択部9を制御して、出力バッファ部OBからデータを出力させる。出力バッファ部OBからは低レートでA階層データが出力され、図示しない表示装置には低品位の映像が表示される。
【0120】
記憶装置制御部6は、TSストリーム2ch−Aを所定データ量読み出すと、記録サイクルにおいて最後に記録されるべきTSストリーム3ch−Cを記憶装置5に記録する。以後の記憶サイクルでも同様の動作が実行される。
【0121】
上述の実施の形態1のように、入力バッファの記憶容量BT分、TSストリーム2ch−Aを読み出す場合の読み出し時間をTnとすると、上述のA階層データのみを読み出す際の読み出し時間は(Tn/13)となり、TSストリーム2ch−Aに対する読み出し時間が大きく低減される。本実施の形態5では、再生動作が挿入されることによって発生する、待機時間を含んだオーバーヘッド時間SWRtは、実施の形態1と比較して変化しないが、再生時間が大幅に短縮されるため、図19に示されるように、バッファフル時間Ft内に、最後に記録されるTSストリーム3ch−Cの記録が可能となる。
【0122】
なお、複数チャネルのTSストリームを再生する際には、少なくとも一つのチャネルのTSストリームについて同様にしてA階層データを再生すればよい。
【0123】
また、TSストリームを記録する際には、A階層データを除いたB階層データのみを記録することによって、記録時間を(12/13)倍に短縮することができる。その結果、記録及び再生に必要な時間をさらに短縮できる。
【0124】
以上のように、本実施の形態5に係るデジタル放送受信機では、読み出し時の待機時間が大きい場合には、低レートのA階層データを少ないデータ量で読み出しているため、TSストリームに対する読み出し時間を短縮することができる。そのため、特殊入力バッファ装置25でのデータオーバーフローの発生を抑制しつつ、複数チャネルのTSストリームの記録と、ストリームデータの再生とを同時に適切に行うことができる。また、A階層データの読み出すデータ量を少なくしても、A階層データは低レートデートであるため、高レートのB階層データを再生する場合と同じ情報を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る記憶装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る記憶装置のアドレスマップを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1での記憶装置に対するアクセスタイミングと比較されるアクセスタイミングを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2での記憶装置に対するアクセスタイミングと比較されるアクセスタイミングを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2での記憶装置に対するアクセスタイミングと比較されるアクセスタイミングを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図13】ある番組のTSストリームの構成を示す図である。
【図14】ある番組のTSストリームの構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態4での記憶装置に対するアクセスタイミングと比較されるアクセスタイミングを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態4での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態5に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施の形態5での記憶装置に対するアクセスタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0126】
2,20 入力バッファ装置、5 記憶装置、5a 記録媒体、5b ヘッド、7,22 出力バッファ装置、15 データレートPMT判定部、16 データレート同期バイト判定部、25 特殊入力バッファ装置、30 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と、
前記記憶装置にデータを記録するとともに、前記記憶装置内のデータを読み出すことが可能な制御部と
を備え、
前記記憶装置は、記録媒体と、前記記録媒体の記録面上を移動して、当該記録媒体に対してデータの記録およびデータの読み出しを行うヘッドとを有し、
前記記録媒体の記録面はN個(N≧2)の部分記憶領域を有し、
前記制御部は、入力されるN個のチャネルのデータを前記N個の部分記憶領域にそれぞれ記録し、
前記制御部は、
記録対象データたるM個(2≦M≦N)のチャネルのデータを順次前記記憶装置に記録する間に、読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みデータを前記記憶装置内から読み出す場合には、
前記記録対象データのうち、前記読み出し対象データと同じチャネルのデータを前記記憶装置に記録した後に続いて前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す、あるいは、当該同じチャネルのデータが存在しない場合には、前記記録対象データが記録される前記部分記憶領域において、前記読み出し対象データが記録されている前記部分記憶領域と位置的に最も近い前記部分記憶領域に記録されるデータを前記記憶装置に記録した後に続いて前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す、データ記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記録再生装置であって、
前記N個の部分記憶領域は、所定方向に沿って順番に配置されており、
前記制御部は、
前記記録対象データたる前記M個のチャネルのデータを前記所定方向に沿って順番にM個の前記部分記憶領域に記録する間に、前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す場合には、
前記記録対象データのうち、前記読み出し対象データと同じチャネルのデータを前記記憶装置に記録した後に続いて前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す、あるいは、当該同じチャネルのデータが存在しない場合には、前記記録対象データが記録される前記部分記憶領域において、前記読み出し対象データが記録されている前記部分記憶領域と位置的に最も近い前記部分記憶領域が一つのときには当該最も近い前記部分記憶領域に記録されるデータを、当該最も近い前記部分記憶領域が二つのときにはそれらに記録されるデータのうち最も先に記録されるデータを前記記憶装置に記録した後に続いて、前記読み出し対象データを前記記憶装置から読み出す、データ記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ記録再生装置であって、
前記記録媒体はディスク型の記録媒体であって、
前記N個の部分記憶領域は、前記記録媒体の外周から中心に向かって順番に並ぶ、中心を同一とする半径の異なるN個のリング状の領域である、データ記録再生装置。
【請求項4】
N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力されるN個の入力バッファ部と、
前記ストリームデータのデータレートを判定するデータレート判定部と、
記憶装置と、
前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する際、前記データレートが高い前記ストリームデータほど、前記記憶装置の記憶領域においてデータアクセススピードが大きい領域に記録する、データ記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ記録装置であって、
前記ストリームデータは、MPEG−2 TS方式で伝送されるTSストリームであって、
前記データレート判定部は、前記ストリームデータに含まれるPMT(Program Map Table)に基づいて、当該ストリームデータのデータレートを判定する、データ記録装置。
【請求項6】
請求項4に記載のデータ記録装置であって、
前記ストリームデータは、MPEG−2 TS方式で伝送されるTSストリームであって、
前記データレート判定部は、前記ストリームデータに含まれる有効TSパケットの所定時間内の個数を取得し、取得した当該個数に基づいて、当該ストリームデータのデータレートを判定する、データ記録装置。
【請求項7】
N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力される、記憶容量が可変のN個の入力バッファ部と、
前記N個のチャネルのストリームデータにそれぞれ対応して設けられた、記憶容量が可変のN個の出力バッファ部と、
記憶装置と、
前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録するとともに、前記記憶装置内から記録済みの前記ストリームデータを読み出して、当該ストリームデータに対応する前記出力バッファ部に入力する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、前記記憶装置に対して転送要求信号を出力し、当該転送要求信号を受け取った前記記憶装置は、転送要求確認信号を前記制御部に出力し、当該転送要求確認信号を受け取った前記制御部は、読み出し対象の前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出し、
前記制御部は、前記転送要求信号を出力してから前記転送要求確認信号を受け取るまでの時間を待機時間として算出し、
前記制御部は、
前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する記録サイクルを繰り返して実行する場合において、前記記憶装置から読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みの前記ストリームデータを複数回読み出す際には、
前記待機時間がしきい値時間よりも小さいときには、前記記録サイクルのそれぞれにおいて1回分の前記読み出し対象データを読み出し、
前記待機時間が前記しきい値時間よりも大きいときには、前記読み出し対象データが入力される前記出力バッファ部の記憶容量と、前記M個のチャネルの前記ストリームデータのうち最後に記録されるべきストリームデータが入力されている前記入力バッファ部の記憶容量とを増加させて、前記最後に記録されるべきストリームデータの記録を実行せずに2回分の前記読み出し対象データを読み出す前記記録サイクルと、前記読み出し対象データの読み出しを実行せずに2回分の前記最後に記録されるべきストリームデータを記録する前記記録サイクルとを交互に実行する、データ記録再生装置。
【請求項8】
N個(N≧2)のチャネルのストリームデータがそれぞれ入力されるN個の入力バッファ部と、
記憶装置と、
前記N個の入力バッファ部内の前記ストリームデータを前記記憶装置に記録するとともに、前記記憶装置内から記録済みの前記ストリームデータを読み出す制御部と
を備え、
前記ストリームデータは、第1データレートを有する低レートデータと、当該低レートデータと同じ情報を高品位で示す、当該第1データレートよりも高い第2データレートを有する高レートデータとを含み、
前記制御部は、前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、前記記憶装置に対して転送要求信号を出力し、当該転送要求信号を受け取った前記記憶装置は、転送要求確認信号を前記制御部に出力し、当該転送要求確認信号を受け取った前記制御部は、読み出し対象の前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出し、
前記制御部は、前記転送要求信号を出力してから前記転送要求確認信号を受け取るまでの時間を待機時間として算出し、
前記制御部は、
前記N個の入力バッファ部に入力されているM個(2≦M≦N)のチャネルの前記ストリームデータを前記記憶装置に順次記録する間に、読み出し対象データたるあるチャネルの記録済みの前記ストリームデータを前記記憶装置内から読み出す際には、
前記待機時間がしきい値時間よりも小さいときには、前記読み出し対象データに含まれる第1データ量の前記高レートデータを読み出し、
前記待機時間が前記しきい値時間よりも大きいときには、前記読み出し対象データに含まれる、前記第1データ量よりも少ない第2データ量の前記低レートデータを読み出す、データ記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−282481(P2008−282481A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126248(P2007−126248)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】