説明

データ転送装置、プリンタ、制御方法

【課題】 データ出力部と画像処理を実行するデータ制御部がチップ間インターフェースを用いたチップ間バスで接続されたデータ転送装置において、チップ間インターフェースの電力消費を低減させる必要がある。
【解決手段】 受信側がチップ間インターフェースを省電力状態に移行させるコマンドインターフェースを持つシステムで、データ転送完了時に受信側インターフェースを低消費電力状態に移行させるコマンドをデータ転送完了時に送信する。データ転送の開始タイミングに基づいて次回のデータの転送開始までの時間が省電力状態への移行および省電力状態からの復帰に要する時間より長い場合に省電力へ移行させるコマンドを発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ転送システムに関するもので、特に特にデジタル画像データを出力(印刷、表示など)するための出力デバイスにデータを転送するデータ転送装置、データ転送方法又はプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像処理装置の出力画像は高速、高精細化がなされている。なおかつ、最終出力部においては一定間隔で必ず画像データを出力する必要があり、そのため、最終出力部にはバッファメモリが必要とされる。
【0003】
一方、近年ではチップ間接続に高速な接続規格が規定されており、この高速接続規格を利用してデータ転送を行う手法の提案もなされている(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1で用いられているPCI−Expressでは消費電力を低く抑えるために、L0/L0s/L1/L2というリンク状態が規格で定義されている。L0は通常状態で、L0sからL2は省電力状態であり、消費電力量はL0sからL2の順に低くなるように定義されている。特許文献1にはライン同期信号またはフレーム同期信号に同期して画像データを転送するシステムにおいて、ライン同期で起動される一連の転送内の各パケット間隔をPCI−Express規格で定義されている省電力状態L0sへの遷移時間以下とする技術が開示されている。特許文献1によると、一連のデータ転送中に不要なL0sへの遷移を行わせず、全体としてのL0s省電力状態の時間を長くすることで省電力効果を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−201909
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“PCI−Express規格の概要”Interface誌、July 2003 里見尚志(80頁−92頁)
【非特許文献2】“PCI Express System Architecture”MindShare,Inc.(567頁−645頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の方法はPCI−Express規格で規定されている省電力状態の中で、省電力効果の低いL0s状態を利用するものであるため省電力効果の大幅な向上は見込めない。また、PCI−Express規格で規定されている省電力遷移はデータ転送が行われていない(論理的アイドル)状態を維持している時間に基づいて状態遷移するので、データ転送を完了してから省電力状態へ移行させるために余計に時間を要していた。
【0008】
そこで、本発明はデータ転送システムがデータ転送を行わない期間の消費電力をより省電力効果の高い状態に早く遷移させるデータ転送装置、データ転送方法又はプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るデータ転送装置は、メモリと、前記メモリからのデータの出力の開始タイミングを示すタイミング指示手段と、前記タイミング指示手段に基づいて前記メモリの保持するデータを出力する第1のインターフェースと、前記第1のインターフェースからのデータをバッファに転送する第2のインターフェースと、前記タイミング指示手段の示すデータの出力の開始タイミングと、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態へ移行、及び、前記省電力状態から復帰させるために要する所要時間の合計に基づいて、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態に移行させるコマンドを発行する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明を用いることで、一連のデータ転送完了から次の一連のデータ転送開始までの期間、転送データ送信側および受信側間の高速インターフェースをより省電力状態に遷移させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のデータ転送装置の全体概略図である。
【図2】本発明の送信側の動作概要を説明するフローチャートである。
【図3】画像データ出力部10からのタイミング信号と、データ制御部1の受信状態とを示すタイミングチャートである。
【図4】要求ブロック回路の構成を示す。
【図5】要求ブロック回路に関する信号の遷移を示す。
【図6】PCI−Expressのリンク状態の定義を示す図である。
【図7】アクティブステート電源管理の制御を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、PCI−Express(以下、PCIeと称す)の省電力管理について概要を説明する。
【0013】
PCIeでは図6に示すように、消費電力を低く抑えるために、L0/L0s/L1/L2というリンクステートが定義されている。L0は通常モードで、L0sからL2へ、より低い消費電力となり、より高い省電力効果が見込める。図7(a)〜(c)は、L2、L1、L0sステートとデータ転送ステート(通常状態)とをタイミングチャートに示している。図7(a)では、msオーダでL2ステートの省電力モードに入り(その期間を“L2”で示す)、ソフトウェア制御の電源管理を行う。図7(b)では、μsオーダでL1ステートの省電力モードに入る(その期間を“L1”で示す)。図7(c)では、nsオーダで省電力モードに入る(その期間を“L0s”で示す)。また、L0sおよびL1はそれぞれハードウェア制御により電源管理を行う。
【0014】
これらのL0s/L1/L2ステートの省電力モードへ移行するため、また、各省電力モードからL0ステート(通常モード)へ復帰するために、時間が要求される。この時間が最も短いL0sにおいては、復帰にかかる時間が16ns〜4μsである。これらの省電力状態へ遷移させる条件として、リンク上に通信が存在しない状態(論理的アイドル状態)がデバイス固有の期間続いた場合に遷移させることがPCIeの規格で規定されている。
【0015】
次に、L1状態への遷移とその復帰についての概要を説明する。ハードウェア制御による省電力制御(Active State Power Management、以下ASPMと記す)L1状態への遷移はダウンストリームコンポーネント(本例における受信側)から要求されて遷移処理が開始される。ASPM_L1への遷移を開始しようとするダウンストリームコンポーネントはL1遷移要求(PM_Active_State_Request_L1として定義されているData Link Layer Packet)をアップストリームコンポーネント(本例における送信側)に送信する。
【0016】
アップストリームコンポーネントがL1遷移要求を受け入れる場合には、アップストロームコンポーネントは受領通知(PM_Request_Ackとして定義されているData Link Layer Packet)をダウンストリームコンポーネントに送信する。受領通知を受け取ったダウンストリームコンポーネントはリンクを電気的アイドル状態に移行する。アップストリームコンポーネントは(ダウンストリームコンポーネントの間の)リンクが電気的アイドル状態に移行したことを確認し、自身も電気的アイドル状態(作動出力であるTXおよびTXの両方の端子にDC Common Mode Voltageとして定義されている範囲内の直流電圧を出力する状態。)に移行する。以上のようなシーケンスによってL1ステートへの状態遷移は完了する。
【0017】
一方、L1からの復帰はアップストリームコンポーネントとダウンストリームコンポーネントのどちらからも開始可能であることが規格で規定されている。L1ステートのリンクを介して通信を行おうとするコンポーネントは自身の送信側をL0状態に復帰させてから通信を開始することが規格で規定されている。また、L1状態からL0状態に復帰させる際の手続きについても規格で規定されている。
【0018】
(実施形態1)
本発明の一実施形態の情報処理装置(プリンタ)の全体概略ブロック図を図1に示す。図1にて、1は図示されていないホストコンピューターから印刷データを受け取り保持するデータ制御部である。データ制御部1は本実施形態においてデータ送信側として機能する。2はホストコンピューターとの通信を行うホストインターフェースである。3はプリンタ全体を制御する中央処理装置(以降、CPUと称す)である。4はデータ制御部1から後述の画像データ出力部10(本発明における受信側として機能)へのデータ転送を行うダイレクトメモリアクセス部(以降、DMA部と称す)である。5はメモリ制御部であり、6はメモリ制御部5によって制御されるメモリデバイスである。7は時間間隔を計測しメモリ6の保持するデータの出力の開始タイミングを通知するためのタイマー回路(タイミング指示手段)であり、8は画像データ出力部10からのタイミング信号を受信する割り込み受信回路である。9はデータ制御部1側のチップ間バス接続用のチップ間インターフェース(第1のインターフェース)である。10は実際に印刷処理を制御する画像データ出力部である。11は画像データ出力部側のチップ間バス接続用のチップ間インターフェース(第2のインターフェース、以降、チップ間IFと称す)である。12は印刷エンジン(不図示)に画像データを出力する画像データ出力インターフェース(第3のインターフェース)である。13は画像データ出力部10の各回路および印刷エンジンを制御する画像データ出力制御部。14は画像データ出力部10からのチップ間IF11を用いたデータ制御部1へのアクセス要求をブロックする要求ブロック回路である。
【0019】
図2はデータ制御部1の処理を示すフローチャートであり、図3は画像データ出力部10からのタイミング信号と、データ制御部1の受信状態とを示している。
【0020】
図2を用いて本実施形態のデータ制御部1の動作を説明する。
まず、プリンターシステムの初期化時に、データ制御部1は画像データ出力部10から画像データ出力部10の情報を取得する(S21)。ここで取得する情報は画像データ出力インターフェース12の画像バッファのサイズや画像出力データレート、省電力状態に遷移するための所要時間(第1所要時間)および省電力状態から復帰させるために要する時間(第2所要時間)等の情報を含む画像出力部10固有のデータである。
【0021】
ここで、データ制御部1は画像データ出力部10が画像データの出力を開始する前に、画像データ出力部10が保持できるデータ量を、画像データ出力部10から取得したデータに基づいて計算する。そして、データ制御部1から画像データ出力部10へデータ転送を行う間隔と一度の通常の転送動作で転送するデータのサイズ(第2データ転送量)を決定する。
【0022】
ホストインターフェース2を介してホストコンピューター(不図示)からのプリント指示を受け取ったデータ制御部1は出力あり(S22、YES)として遷移する。そして、データ出力部1は転送間隔、1回のデータ転送起動でのデータ転送量、ページデータ量に基づくデータ転送起動回数を計算し、それらを設定する(S23)。本実施形態ではCPU部3が、転送間隔をタイマー回路7に、データ転送量をDMA部4に其々設定し、データ転送起動回数はCPU部3が保持する。これらの設定を行った後、データ制御部1は画像データ出力部10へ初期データ転送を行い、そして、画像データの出力(印刷)の開始を画像データ出力部10に指示する(S24)。
【0023】
ここで、初期データ転送で転送するデータ転送量(第1データ転送量)は、S21で取得した情報により以下のように決定することができる。
初期データ転送量 ≦ 画像データバッファサイズ
転送間隔は同様に、
転送間隔 ≦ 画像データバッファサイズ/画像出力データレート
実際にはチップ間のデータ転送に伴う遅延が生じるので、転送間隔は十分な余裕を取ることが必要である。
1回のデータ転送で転送される転送量(第2データ転送量)は、
転送量 = 画像出力データレート*転送間隔
で決定できる。実際にはチップ間IFのソフトウェアで設定されるパラメータ、Max_Payload_Sizeで規定される転送サイズも考慮し、転送量と転送間隔の組み合わせを決定する。
転送量が求まれば、出力ページのデータサイズより転送回数(1ページ分のデータを転送するのに必要なDMA部の起動回数)は以下の式で求められる。
転送回数*転送量 ≧ ページデータサイズ
データ制御部1は以上の設定を行い、画像データ出力インターフェース部12の画像データ出力処理を起動させ、画像出力を開始したことを示す出力開始信号を待つ(S25)。出力開始信号は割り込み受信回路8でチップ間通信を用いて受信可能であり、割り込み受信回路8は出力開始信号を受信するとCPU部3に対して割り込み信号を通知する。割り込み通知を受けたCPU部3はタイマー回路7に対してカウント動作の開始を指示する(S26)。
【0024】
タイマー回路7はあらかじめ設定された転送間隔に相当する間隔毎に通知を行う(S27)。この通知は直接DMA部4の起動信号として用いられてもよいし、また、割り込み信号としてCPU3に入力され、ソフトウェアによってDMA部4を起動してもよい。タイマー回路7又はCPU部3から起動されたDMA部4は予め設定された転送量だけ転送を行う(S28)。転送量分の転送を行ったDMA部4はチップ間IF9、11を介して画像データ出力制御部13に対して、チップ間IF9、11を省電力状態に移行させる省電力移行コマンドを発行する。
【0025】
本実施形態ではDMA部4が転送量分の転送を完了する毎にCPU部3に通知し、CPU部3は通知を受ける度にコマンドを発行するようにしているが、このコマンドをDMA部4から直接発行してもよい。DMA部4からの通知を受けたCPU部3は、次回転送開始までの時間がチップ間IF9、11を省電力状態に移行および復帰させるために要する時間以上でると、省電に移行するための時間が十分であると判断する(S29、YES)。
【0026】
そして、データ制御部1は省電力移行コマンドを発行し(S30)、転送回数カウンターを1インクリメントする(S31)。そして、予め設定された転送回数(先に計算された転送回数)と転送回数カウンターの値を比較し、所定量の転送が完了したかどうかのチェックを行う(S32)。
【0027】
所定量の転送が完了していなければ(S32、NO)ステップS27に戻り、次の転送時間が来るのを待つ。転送が完了した場合であっても、次のデータ転送までの待ち時間が、省電力状態への移行および復帰に要する時間よりも短い場合には省電力コマンドの発行を行わずに転送回数カウンターをインクリメントする。なお、所定量の転送が完了した場合、タイマー回路7のカウント動作を停止し(S32)、画像出力インターフェース12からのデータ出力終了信号を受信するのを待つ(S33)。この信号は、割り込み受信回路8で受信し、CPU部3への割り込み信号として扱うことが可能である。
【0028】
本実施形態では、一連のデータ転送はタイマー回路7により設定した時間間隔ごとに起動される構成を示している。また、省電力状態への移行させるために要する所要時間(第1所要時間)および省電力状態から復帰させるために要する時間(第2所要時間)はあらかじめ画像データ出力部10より取得済みである。従って、省電力状態に移行させるかどうかの時間間隔判断は、タイマー回路7の残り時間に相当する情報を確認し、比較することで容易に判断可能である。なお、この時タイマー回路7にダウンカウンタを備え、設定された転送間隔をカウントダウンし終えて0になる度に通知を行い、リセットされて再び設定された転送間隔をカウントダウンするように構成しておくと、タイマー回路7から残り時間を容易に取得できる。(なお、タイマー回路7にアップカウンタを配置してもよい。その場合は、カウント値が大きくなるほど残り時間が短いと解釈するように構成すればよい。)
【0029】
画像データ出力部10では、データ制御部1から転送された画像データはチップ間IF11を介して画像データ出力インターフェース12内のバッファに転送される。一方、省電力移行コマンドは画像データ出力制御部13に転送され、画像データ出力制御部13よりL1要求信号として要求ブロック回路14に出力される。
【0030】
ここで、要求ブロック回路14は画像データ出力部10内部の各モジュールからデータ制御部1への通信要求をモードに応じてブロックする機能を有し、また、要求ブロック回路14はチップ間IF11をL1ステートへ移行させる移行指示信号をチップ間IF11に出力する。本実施形態では画像データ出力制御部13および要求信号ブロック回路14が省電力移行コマンドインターフェースとしての機能を有する。
【0031】
図3は図2のステップS25における出力開始信号受信を受信してからのデータ制御部1に関する各種信号を示すタイミングチャートである。図3にて(t0)でデータ制御部1が画像データ出力部10からの出力開始信号を受信し、タイマー回路7を起動する。(t1)でタイマー回路7が設定された時間をカウントしDMA部4に対して通知を行う。タイマー回路7からの通知に伴いDMA部4は設定された転送量のデータ転送を行い、転送が終了したらCPU部3に対して転送が完了したことを通知する。
【0032】
データ転送の完了を示す完了通知を受け取ったCPU部3は、タイマー回路7より次の転送開始までの時間を読み出し、あらかじめ画像データ出力部10より読みだしてある省電力遷移および復帰に要する時間との比較を行う。次の転送開始までの時間が省電所要時間よりも長い場合には、CPU部3は画像データ出力制御部13に対して省電力移行コマンドを発行する(t1‘)。そして、画像データ出力制御部13はCPU部3からの省電力移行コマンドを受信し、コマンド(受領通知)を要求ブロック回路14経由でチップ間IF11に指示し、チップ間IF11はPCIeの規格に沿って低消費電力状態(L1ステート)へ遷移する。図3ではL1への遷移を示しているが、次の転送開始までの残り時間が十分大きい場合にはさらなる省電力状態への移行を行ってもよい。
【0033】
そして、タイマー回路7が設定された時間をカウントし、DMA部4に対して通知を行うと(t2)、DMA部4は設定された転送量のデータ転送を開始する。すると、データ転送要求を受け取った送信側のチップ間IF9はPCIeの規格に沿って省電力状態からの復帰シーケンスを開始する。これに伴い、受信側のチップ間IF11も同様に省電力状態からの復帰シーケンスをPCIeの規格に沿って開始し、双方とも通常状態(L0状態)に復帰(リンクを再び確立)する。すると、DMA部4からの要求を受け取っていた送信側のチップ間IF9は受け取っていた要求に基づいて、チップ間IF9、11を介してデータ転送を行う。
【0034】
次に、画像データ出力部10における要求ブロック回路14について詳細に説明する。PCIeではどちら側(送信側、受信側)からでも低消費電力状態L1から通常状態L0への復帰を開始してよいことが規定されている。そのため、画像データ出力部10からチップ間IF11を介するデータ制御部1への通信を制限しておかないと、十分な省電力効果が得られない場合がある。そのため、要求ブロック回路14は、画像データ出力部10からチップ間IF部11への通信要求(省電力状態への遷移要求以外の要求)を遮断する。
【0035】
図4は要求ブロック回路の詳細を示す。データ制御部1より発行された省電力移行コマンドは画像データ出力部10の画像データ出力部13で受信され、画像データ出力部13がL1要求信号として要求ブロック回路14に伝達する。要求ブロック回路14ではこの信号をRSフリップフロップで保持し、チップ間IF部11に対してL1への遷移要求信号(toL1信号)として与える。
【0036】
一方、toL1信号を用いてチップ間IF11を介した通信要求を要求する信号(Request信号)をマスク処理し、L0状態に復帰するまで要求がないように見せる信号に変換する(MaskedRequest信号)。チップ間IF部11がL1状態に移行し、再度L0状態に復帰したことを示す信号(L1toL0信号)を受け取ると、RSフリップフロップで保持していたtoL1信号を解除する。
【0037】
これらの動作を説明するタイミングチャートを図5に示す。図5では、L1要求信号によってtoL1信号が発酵されている間(L1状態中)にチップ間IFを介して通信しようとする通信要求(Request)が発生しても、復帰要求(L1toL0)によってL1状態が解除されるまで、通信要求がマスクされている。
【0038】
上記の実施形態では、画像データ出力手段10の画像データ出力レートに基づいて、転送量が取得できる。また、CPU部3がDMA部4からの転送完了通知受領後にタイマー回路7の残り時間を読み出し、省電所要時間を示す値と比較することで省電力状態へ移行するか否かを決定できる。なお、PCIeの省電力移行/復帰に要する概略の所要時間を省電力状態(L0s、L1、L2)に応じてデータ制御部内のレジスタ(不図示)に保持させて、CPU部3がレジスタから読み出した概略の所要時間の合計に基づいて画像データ出力部10に省電力へ移行させるためのコマンドを発行するようにしてもよい。
【0039】
なお、上述の実施形態では第1所要時間と第2所要時間とを別々に画像データ出力インターフェース12から取得する様に説明しているが、第1所要時間と第2所要時間の合計値を省電力制御に要する省電力所要時間として予め画像データ出力インターフェース12に登録し、データ制御部1が省電力所要時間を取得して上述の実施形態の処理を行ってもよい。
【0040】
なお、上述の実施形態はPCIeの規格に沿って説明しているが、他の規格でも本発明を適用することで同様の効果を得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
前記メモリからのデータの出力の開始タイミングを示すタイミング指示手段と、
前記タイミング指示手段に基づいて前記メモリの保持するデータを出力する第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースからのデータをバッファに転送する第2のインターフェースと、
前記タイミング指示手段の示すデータの出力の開始タイミングと、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態へ移行、及び、前記省電力状態から復帰させるために要する所要時間の合計に基づいて、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態に移行させるコマンドを発行する制御手段と
を有することを特徴とするデータ転送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記タイミング指示手段の示す次のデータの出力の開始タイミングまでの時間が前記所要時間の合計よりも長い場合に、省電力状態に移行させるコマンドを発行することを特徴とする請求項1に記載のデータ転送装置。
【請求項3】
前記第1、第2のインターフェースはPCI−Expressによって接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ転送装置。
【請求項4】
前記省電力状態はPCI−ExpressのL1状態であることを特徴とする請求項3に記載のデータ転送装置。
【請求項5】
前記制御手段のコマンドに基づいて前記第1、第2のインターフェースを省電力状態へ遷移させるための要求信号を出力する出力手段と、
前記要求信号が出力されている間、前記第2のインターフェースに対する前記省電力状態への遷移要求以外の要求を遮断するブロック手段とを、更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ転送装置。
【請求項6】
前記バッファのデータを出力する第3のインターフェースを更に有し、
前記制御手段は前記第3のインターフェースから前記所要時間を取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ転送装置。
【請求項7】
データの保持および管理を行うメモリ制御部を有するデータ制御部と、前記データ制御部とチップ間バスで接続され前記データ制御部からのデータを出力するデータ出力部とを有するプリンタであって、
前記データ制御部は、
前記メモリからのデータの出力の開始タイミングを示すタイミング指示手段と、
前記タイミング指示手段に基づいて前記メモリの保持するデータを出力する第1のインターフェースと、
前記タイミング指示手段の示すデータの出力の開始タイミングと、前記第1のインターフェース及び前記データ出力部を省電力状態へ移行させるために要する第1所要時間及び前記第1のインターフェース及び前記データ出力部を前記省電力状態から復帰させるために要する第2所要時間とに基づいて、前記第1のインターフェース及び前記データ出力部を省電力状態に移行させるコマンドを発行する制御手段と、を備え
前記データ出力部は、
前記データ制御部からのデータを保持するバッファと、
前記第1のインターフェースからのデータを前記バッファに転送する第2のインターフェースと、
前記バッファに保持しているデータを印刷するために出力する第3のインターフェースと、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
メモリと、第1のインターフェースと、第2のインターフェースとを有するデータ転送装置の制御方法であって、
前記メモリからのデータの出力の開始タイミングを示すタイミング指示工程と、
前記第1のインターフェースが、前記開始タイミングに基づいて前記メモリの保持するデータを出力する出力工程と、
前記第2のインターフェースが、前記第1のインターフェースからのデータをバッファに転送する転送工程と、
前記タイミング指示工程で示されるデータの出力の開始タイミングと、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態へ移行させるために要する第1所要時間及び前記第1、第2のインターフェースを前記省電力状態から復帰させるために要する第2所要時間とに基づいて、前記第1、第2のインターフェースを省電力状態に移行させるコマンドを発行する制御工程と
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
データの保持および管理を行うメモリ制御部を有するデータ制御部と、前記データ制御部とチップ間バスで接続され前記データ制御部からのデータを出力するデータ出力部とを有するプリンタの制御方法であって、
前記データ制御部が、
前記メモリからのデータの出力の開始タイミングを示すタイミング指示工程と、
前記タイミング指示工程の示す開始タイミングに基づいて前記メモリの保持するデータを出力する出力工程と、
前記タイミング指示工程の示すデータの出力の開始タイミングと、前記データ制御部及び前記データ出力部を省電力状態へ移行させるために要する第1所要時間及び前記第1のインターフェース及び前記データ出力部を前記省電力状態から復帰させるために要する第2所要時間とに基づいて、前記データ制御部及び前記データ出力部を省電力状態に移行させるコマンドを発行する制御工程と、
前記データ出力部が、
前記データ制御部からのデータをバッファに保持する保持工程と、
前記データ制御部からのデータを前記バッファに転送する転送工程と、
前記バッファに保持しているデータを印刷するために出力する印刷工程と、
を有することを特徴とするプリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118821(P2012−118821A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268753(P2010−268753)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】