説明

データ転送装置及びその制御方法

【課題】 オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、関連する複数のファイルを、データ受信装置が関連性を理解できるように転送する。
【解決手段】 関連する複数のファイルから構成されるマルチメディアデータをデータ受信装置へ転送する際、まず、データ受信装置が取り扱い可能なオブジェクトの形式を取得する。そして、データ受信装置が取り扱い可能な形式で、関連する複数のファイルを含んだ1つのデータオブジェクトを生成し、送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送技術に関し、特に、複数のファイル(静止画、動画、音声、テキストなど)から構成されるマルチメディアデータを転送するためのデータ転送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、DVDレコーダやHDDレコーダといった、撮影及び録画などの画像記録装置の普及が進んでいる。また、据え置き型録画装置で録画した放送番組を携帯機器に転送し、車中で視聴するといったことも珍しくなくなっている。
【0003】
しかしながら、マルチメディアデータの取り扱いは依然として負荷の大きな処理であるため、携帯電話や携帯音楽/ビデオプレーヤなどにおいては、サポート可能なマルチメディアデータの形式に制限がある場合が多い。例えば、動画像データであれば、特定の符号化方式で、かつ特定の解像度のもののみ再生可能であるといった具合である。
【0004】
電子機器の中には、複数のファイルを一つのマルチメディアデータとして扱うものがある。このような機器で利用するためにデータ転送を行う際には、複数のファイルの関連性についても転送先の機器に伝えることが必要である。
【0005】
このように、他の機器での利用を目的にデータ転送する場合には、単にデータが転送できればよいだけでなく、転送先の電子機器が理解できるようなファイル構成で、かつ適切な場所にデータ転送しなければならない。さもないと、結局は転送先の機器で正常な取り扱いができず、データ転送自体が無駄になってしまう。
【0006】
また、電子機器と情報処理装置の間でマルチメディアデータを転送するプロトコルとして、オブジェクトベースの通信プロトコルが普及しはじめている。オブジェクトベースの通信プロトコルとして、例えばPTP(Picture Transfer Protocol)や、MTP(Media Transfer Protocol)などがあげられる。これらオブジェクトベースの通信の特徴は、機器同士で通信するための設定に専門的な知識を必要としない点である。
【0007】
このようなオブジェクトベースの通信においても、複数のファイルを一つのマルチメディアデータとして扱う機器へデータを転送する際には、複数ファイルの関連性を伝える必要がある。
一方、従来のファイル転送システムには、複数のファイルを一括して連続転送するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−67009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載される従来の画像転送システムは、データ処理装置間において複数ファイルを一括して連続転送することで、転送効率向上を実現している。
しかし、特許文献1に記載される画像転送システムには、一括転送される複数ファイルの関連性を転送先に伝える仕組みが存在しない。従って、PTPやMTPのようなオブジェクトベースのプロトコルを利用して、複数ファイルを一つのマルチメディアデータとして取り扱う電子機器へデータ伝送する場合にそのまま適用することはできない。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決することを目的とする。具体的には、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、転送される複数のファイルの関連性を転送先に伝えることの可能なデータ転送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータをデータ受信装置へ転送するデータ転送装置であって、データ受信装置の能力情報を取得する取得手段と、複数のファイルを含み、データ受信装置が取り扱い可能な形式を有する1つのデータオブジェクトを、能力情報に基づいて生成するオブジェクト生成手段と、生成したデータオブジェクトの形式を表す形式情報を、前記データオブジェクトの送信に先立ってデータ受信装置へ通知する通知手段と、データオブジェクトをデータ受信装置へデータ転送プロトコルに従って送信する送信手段とを有することを特徴とするデータ転送装置によって達成される。
【0012】
また、上述の目的は、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータをデータ受信装置へ転送するデータ転送装置であって、複数のファイルが関連したファイルであることを、複数のファイルの送信に先立ってデータ受信装置へ通知する通知手段と、複数のファイルの各々を、1つのデータオブジェクトとしてデータ受信装置へデータ転送プロトコルに従って送信する送信手段とを有することを特徴とするデータ転送装置によっても達成される。
【0013】
また、上述の目的は、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルに従って、データ転送装置からデータオブジェクトを受信するデータ受信装置であって、データ転送装置から、転送されるデータオブジェクトの形式を表す形式情報を受信する第1の受信手段と、データ転送装置からデータオブジェクトを受信する第2の受信手段と、形式情報に基づき、データオブジェクトから複数のファイルを分離する分離手段と、分離した複数のファイルを、関連したファイルとして取り扱いできるよう、予め定められた規則に従って記憶媒体に保存する保存手段とを有することを特徴とするデータ受信装置によっても達成される。
【0014】
また、上述の目的は、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルに従って、データ転送装置からデータオブジェクトを受信するデータ受信装置であって、データ転送装置から、転送されるデータオブジェクトの形式を表す形式情報を受信する第1の受信手段と、データ転送装置からデータオブジェクトを受信する第2の受信手段と、形式情報に基づき、第2の受信手段により受信した複数のデータオブジェクトを、関連したファイルとして取り扱いできるよう、予め定められた規則に従って記憶媒体に保存する保存手段とを有することを特徴とするデータ受信装置によっても達成される。
【0015】
また、上述の目的は、本発明のデータ転送装置と、本発明のデータ受信装置とから構成されることを特徴とするデータ転送システムによっても達成される。
【発明の効果】
【0016】
このような構成により、本発明によれば、オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、転送される複数のファイルの関連性を転送先に伝えることの可能なデータ転送装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ転送システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における、コンピュータ101のファイルシステムについて説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態におけるデジタルカメラ100のファイルシステムについて説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、コンピュータ101がデジタルカメラ100に対して動画データを送信する際のコンピュータ101側の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態において、コンピュータ101がデジタルカメラ100に対して動画データを送信する際のデジタルカメラ100側の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4及び図5のフローチャートで説明したコンピュータ101とデジタルカメラ100の処理手順を示すシーケンスチャートである。
【図7】本実施形態におけるコンピュータ101が生成し、デジタルカメラ100に送信する動画オブジェクトのデータ構造例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の変形例において、動画オブジェクトをコンピュータ101からデジタルカメラ100へ転送する際の手順の例を示すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態において、動画オブジェクトをコンピュータ101からデジタルカメラ100へ転送する際の手順の例を示すシーケンスチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態において、転送中に接続が切断された際の処理を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
データ転送装置(転送元機器)とデータ受信装置(転送先機器)とが接続されてなる本実施形態のデータ転送システムにおいて、データ転送装置とデータ受信装置とがオブジェクトベースのデータ転送プロトコル、具体的には上述のPTPを用いるものとする。
【0019】
PTPの詳細については、PIMA 15740:2000, PHOTOGRAPIHIC AND IMAGING MANUFACTURERS ASSOCIATION, INC.を参照されたい。なお、他のオブジェクトベースのデータ転送プロトコルも利用可能である。例えば、PTPの拡張仕様であるMTPを利用することも可能である。
【0020】
図1は、本実施形態に係るデータ転送システムの構成例を示す図である。
図1に示すデータ転送システムは、データ転送装置の一例としてのコンピュータ101と、データ受信装置の一例としてのデジタルカメラ100とが通信インターフェース102を通じて通信可能に接続された構成を有する。
【0021】
デジタルカメラ100は、再生モードで動作中、通信器219を通じてコンピュータ101との接続を検知すると、通信モードに遷移する。一方、コンピュータ101には、PTPに基づき、デジタルカメラ100へ動画データの送信を要求することが可能なアプリケーションがインストールされている。
【0022】
図1において、被写体からの光束が光学系201を通して撮像素子202に結像され、撮像素子202を構成する各画素において、輝度に応じた電荷が蓄積される。撮像素子202で蓄積された電荷は撮像プロセス部203で画像信号に変換される。撮像プロセス部203から出力されたアナログ形式の画像信号は、A/Dコンバータ204によりデジタル画像信号に変換され、データバス205を介してRAM210に保存される。
【0023】
中央処理部213は、画像処理部207、圧縮伸張部208、表示制御部209、記録再生制御部211、通信制御部212及び中央制御部215の6つから構成される。
画像処理部207は、RAM210に保存されたデジタル画像信号に対し、ホワイトバランス処理、色補間処理、シャープネス処理、ぼかし処理、カラーバランス処理、レベル補正処理等を行い、デジタル画像データとして出力する。
【0024】
圧縮伸張部208は、画像処理部207で処理されたデジタル画像データをJPEG、JPEG2000等の符号化方式に従って圧縮符号化する機能と、圧縮符号化されたデジタル画像データを伸張(復号化)する機能とを有する。符号化時の圧縮率は、ユーザによる設定が可能である。
【0025】
表示制御部209は、LCD等の表示器217の表示制御を行う。具体的には、メニュー画面などのGUIの表示、撮影された画像の表示などの制御を行う。
記録再生制御部211は、メモリカード、光ディスク、HDDなどの記憶媒体218の書き込み及び読み出しに係る制御を行う。
通信制御部212は、通信器219を通じたデータ入出力の制御を行う。
中央制御部215は、中央処理部213内の各部の動作を制御する。
【0026】
システム制御部214は、データバス205と接続されており、システム制御部214は、ROM200に格納された制御プログラムを実行してデジタルカメラ100全体の動作を制御するマイクロコンピュータである。また、システム制御部214は、圧縮伸張部208で符号化された符号化デジタル画像データとその付加情報とを含む画像ファイルを生成し、生成した画像ファイルをRAM210に格納する。
【0027】
ここで、画像ファイルに含められる付加情報には、画像に関する情報、デジタルカメラ100に関する情報、デジタル画像のサムネイル等が含まれる。RAM210は、複数の画像ファイルを記憶する容量を有する。また、システム制御部214は、デジタルカメラ100を省電力状態にする機能を有する。
【0028】
デジタルカメラ100が省電力状態である場合、システム制御部214は、デジタルカメラ100の機能の一部をオフにして消費電力を削減する。ROM200は、システム制御部214がデジタルカメラ100を制御するための制御プログラムを始め、デジタルカメラ100に関する情報等が記憶されている。また、ROM200には、表示器217に表示されるGUIや設定メニューなどに対応する画像データも記憶されている。
【0029】
AE/AF制御部206は、システム制御部214の制御に従い、光学系201が有する絞りを制御したりフォーカスレンズを制御したりすることにより、自動露出制御及び自動焦点制御を実現する。
【0030】
操作器216は、ユーザがデジタルカメラ100を操作するためのマン=マシーンインターフェースであり、各種スイッチ、ボタン等を含む。具体例としては以下のスイッチ、ボタンが含まれる。例えば、電源スイッチ電源をオン又はオフするための電源スイッチ、シャッターボタン、表示器217に設定メニューを表示させるためのメニューボタンが含まれる。また表示器217に表示されたカーソルを上、下、左又は右に移動するための方向キー、カーソルが選択している画像、項目、値等をデジタルカメラ100に設定又は選択させるためのSETボタン等も含まれる。
【0031】
シャッターボタンには、半押し状態と全押し状態とがある。撮影モードで動作中にシャッターボタンが半押し状態にされると、デジタルカメラ100はAF、AE等を実行し、シャッターボタンが全押し状態にされると、デジタルカメラ100は撮影及び記録を実行する。
【0032】
表示器217は、表示制御部209によって要求された情報を表示する。表示器217には、デジタルカメラ100に関する情報や、撮影された画像や、記憶媒体218に保存された画像を始め、GUI画像などが表示される。記憶媒体218に保存された画像を表示する場合、その画像の情報や撮影時の情報なども表示することができる。また、表示器217が電子ビューファインダーとして機能する場合には、デジタルカメラ100の各種状態(電池の残容量など)や設定されている撮影パラメータ等が撮影画像とともに表示される。
【0033】
記録再生制御部211は、RAM210に格納された画像ファイルを記憶媒体218に書き込む機能と、記憶媒体218に保存された画像ファイルを記憶媒体218から読み出してRAM210に書き込む機能とを有する。記憶媒体218から読み出されてRAM210に書き込まれた画像ファイル内の符号化デジタル画像データは、圧縮伸張部208により復号化された後、表示制御部209によって表示器217に表示される。
【0034】
記憶媒体218は、不揮発性のメモリカード、光ディスク及びHDD等であり、RAM210に保存された符号化デジタル画像データが、記録再生制御部211を介して書き込まれる。この記憶媒体218は、デジタルカメラ100に脱着可能でも、装置に組み込まれて脱着不能であってもよい。なお、本実施形態において画像ファイルは、DCF(Design rule for Camera File System)に規定されるファイルシステムに準じて記憶媒体218へ記録されるものとする。そして、動画ファイルは、DCF基本ファイルとDCFサムネイルファイルで1つのマルチメディアデータとして取り扱われる。ただし、実際のファイル構成は、DCFに限定されない。DCFの詳細については、JEIDA規格:JEIDA49-2-1998を参照されたい。
【0035】
通信器219は、無線もしくは有線通信インターフェースであり、デジタルカメラ100に対して脱着可能であっても無くても良い。
通信制御部212では、本実施形態においてはPTPに準拠した通信が可能である。ただし、PTPでなくとも、マルチメディアデータを一つのオブジェクトとして取り扱い可能な任意のオブジェクトベースのプロトコルであって良い。
【0036】
コンピュータ101の操作器221は、キーボードやマウスなどの入力機器を含み、システム制御部225が操作器221の操作に応じた制御を行う。システム制御部225は、図示しないROMに格納された制御プログラムを実行し、コンピュータ101全体の動作を制御するマイクロコンピュータである。
【0037】
表示器222は例えば液晶ディスプレイモニタであり、表示制御部228の制御に従ってGUIなどの表示を行う。RAM229は、コンピュータ101でシステム制御部225がOSやアプリケーションを実行するために用いる揮発性のメモリである。
【0038】
記憶媒体223は、記憶制御部230による制御に基づいてデータを入出力をする装置であり、不揮発性の記憶装置である。記憶媒体223には、OSやアプリケーションが格納されている。通信器224は、通信器219と通信可能であり、通信制御部231の制御に従ってデータの入出力を行う。通信器224は、無線もしくは有線通信インターフェースであり、コンピュータ101に対して脱着可能であっても無くても良い。
【0039】
中央処理部227は、表示制御部228、記憶制御部230、通信制御部231、中央制御部226で構成される。中央制御部226は、システム制御部225の制御に従い、中央処理部227内の他の制御部を制御する。
【0040】
なお、以下の説明において、デジタルカメラ100及びコンピュータ101が主体として記載されている動作は、システム制御部214及び225が制御プログラムを実行し、動作に必要な各部を制御することにより実現される。
【0041】
図2は、本実施形態におけるコンピュータ101のファイルシステムについて説明するための図である。
AVIファイル301は、Audio Video Interleavingフォーマットのファイルであり、動画ファイルである。このAVIファイル301は、コンピュータ101において単独で扱うことが可能なファイル(再生などの処理において、他のファイルを必要としないファイル)である。
【0042】
THMファイル302は、AVIファイル301のサムネイルファイル(代表静止画ファイル)である。DCFの規定を満たすためには必要なサムネイルファイルであるが、コンピュータ101が動画ファイル(AVIファイル301)を扱う上では、必ずしも必要としない。
【0043】
図3は、本実施形態におけるデジタルカメラ100のファイルシステムについて説明するための図である。
上述のように、本実施形態のデジタルカメラ100は、DCFに準拠したファイル記録を行っている。図3において、記憶媒体218の上位階層のファイル構成が400として示されている。AVIファイル402は、DCFファイルである。THMファイル403は、AVIファイル402のDCFサムネイル(代表静止画)ファイルを示す。
【0044】
デジタルカメラ100は、AVIファイル402と、対応するDCFサムネイルファイルであるTHMファイル403を、一つの動画データ(マルチメディアデータ)として取り扱う(再生、書き換え、削除等を行う)ことができる。
【0045】
オブジェクト構成401は、デジタルカメラ100の通信制御部212が実現するオブジェクト空間を表す。オブジェクト構成401は、コンピュータ101がデジタルカメラ100にアクセスした場合に、オブジェクト空間として見える。デジタルカメラ100内のオブジェクト空間では、記憶媒体218で構成されるAVIファイル402と対応するTHMファイル403の組み合わせを一つのオブジェクト404として表示している。
【0046】
図7は、本実施形態におけるコンピュータ101が生成し、デジタルカメラ100に送信する動画オブジェクトのデータ構造例を示す。
データ領域801にはオブジェクトデータの全長サイズ、データ領域802にはオブジェクトを構成するファイル数がそれぞれ格納される。また、データ領域803にはDCFサムネイルファイルのファイルサイズ、データ領域804にはDCFサムネイルファイルのデータ、データ領域805にはDCFファイルサイズ、データ領域806にはDCFファイルのデータがそれぞれ格納される。
【0047】
本実施形態において、動画ファイル(AVIファイル)402はDCFファイルであるためデータ領域806に、対応するTHMファイル403はデータ領域804にそれぞれ格納される。
【0048】
図4は、コンピュータ101がデジタルカメラ100に対して動画データを送信する際のコンピュータ101側の動作を示すフローチャートである。
コンピュータ101とデジタルカメラ100の接続が確立しているものとして処理を説明する。まず、S501でコンピュータ101は、デジタルカメラ100に能力情報を問い合わせ、デジタルカメラ100がサポートする(取り扱い可能な)オブジェクトについての情報を含む能力情報を取得する。
【0049】
ここで、得られた能力情報から、デジタルカメラ100が本実施形態で使用する動画オブジェクトの形式(図7)をサポートすることがわかったとする。
次に、S502において、コンピュータ101は、ユーザからの動画ファイル転送指示を受け付ける。例えば、コンピュータ101は、表示器222に表示されたGUIの操作器221を介した操作を通じてユーザから動画のファイル転送指示を受け付ける。
【0050】
ファイル転送指示を受け付けると、コンピュータ101は、指示されたファイルからデジタルカメラ100が取り扱い可能な形式(この場合は図7の形式)を有する動画オブジェクトを生成するために必要なデータが全て含まれるかどうかを調べる(S503)。
【0051】
例えば、転送指示で指定されたファイルが、生成しようとする動画オブジェクトの形式に必要なファイルよりも少ない場合など、動画オブジェクトを生成するために必要なデータが不足している場合がある。このように、必要なデータが不足していると判断した場合、コンピュータ101は、不足しているデータを補って動画オブジェクトを生成し(S504)、処理をS506へ遷移させる。
【0052】
本実施形態においては、上述のように、動画ファイル(AVIファイル)と対応するサムネイルファイル(THMファイル)とを含んだ1つの動画オブジェクトを生成する。従って、例えばユーザがコンピュータ101上のアプリケーションからAVIファイル301のみを選択してデジタルカメラ100への転送を指示した場合には、対応するサムネイルファイルが不足データとなる。そのため、コンピュータ101は、AVIファイル301からサムネイルファイルを作成するか、記憶媒体223の中からAVIファイル301に対応するTHMファイル302を探し出すことにより、不足データを補う。
【0053】
一方、動画オブジェクトを生成するために必要なデータが揃っていると判断した場合、コンピュータ101はそれらのデータから動画オブジェクトを生成し(S505)、処理をS506へ遷移させる。例えばユーザがAVIファイル301と対応するTHMファイル302を選択して転送指示を行った場合には、必要なデータが揃っているため、コンピュータ101はS505で動画オブジェクトを生成する。
【0054】
S506でコンピュータ101は、生成した動画オブジェクトをデジタルカメラ100へPTPに基づいた手順で送信する。例えば、RAM229に記憶されている動画オブジェクトデータを読み出し、通信制御部231が通信器224を制御して送信を行う。送信手順の詳細については後述する。
動画オブジェクトの送信が終了すると、送信処理を終了する。
【0055】
図5は、コンピュータ101がデジタルカメラ100に対して動画データを送信する際のデジタルカメラ100側の動作を示すフローチャートである。
コンピュータ101とデジタルカメラ100の接続が確立しているものとして処理を説明する。S601で、デジタルカメラ100は、S501においてコンピュータ101が出力する能力情報の要求を受信する。そして、サポートするオブジェクトの種類に関する情報を含む能力情報を例えばROM200から読み出し、通信制御部212の制御により通信器219を通じてコンピュータ101へ送信する。
【0056】
その後、デジタルカメラ100がコンピュータ101からの要求待ちの状態において、コンピュータ101から動画オブジェクトを受信したとする(S602)。受信した動画オブジェクトは、例えばRAM210に記憶される。動画オブジェクトの受信後、デジタルカメラ100は受信した動画オブジェクトが妥当なものかどうかを検査する(S603)。具体的には、受信した動画オブジェクトがDCFの規定に準じているか、すなわち動画オブジェクトが動画ファイルと対応するサムネイルファイルの両方を含んでいるか否かを検査する。この検査で、例えばサムネイルファイルが存在せず、動画オブジェクトが妥当でないと判断された場合、デジタルカメラ100は処理をS604へ遷移させる。一方、動画オブジェクトが妥当であると判断された場合、デジタルカメラ100は処理をS605へ遷移させる。
【0057】
S604で、デジタルカメラ100は、受信したデータを動画オブジェクトとして取り扱うために不足しているデータを補い、処理をS605へ遷移させる。つまり、上述の例のようにサムネイルファイルが不足している場合には、受信した動画ファイルからサムネイル画像を生成する。
【0058】
なお、サムネイルファイルのみを受信し、動画ファイルが不足している場合、その旨を表す予め定めたイベントをデジタルカメラ100からコンピュータ101に返答してもよい。そして、コンピュータ101側で受信イベントからデータ不足を把握し、データを補って動画オブジェクト生成し直して再送するように構成しても良い。
【0059】
S605で、デジタルカメラ100は、動画オブジェクトを記憶媒体218に保存し、処理を終了する。この際、分離手段としてのデジタルカメラ100は、動画オブジェクトに先立って受信する、オブジェクトの形式情報に基づき、動画オブジェクトを構成する個々のファイルを分離する。そして、保存手段としてのデジタルカメラ100は、分離したファイルを関連したファイルとして取り扱いできるように記憶媒体218へ保存する。具体的には、予め定められた規則、例えばDCFの規定に従って、動画ファイルとサムネイルファイルを同じフォルダに保存する。例えば、動画オブジェクトとして図2におけるAVIファイル301とTHMファイル302を受信した場合、個々のファイルを同じフォルダに保存する。
【0060】
図6は、図4及び図5のフローチャートで説明したコンピュータ101とデジタルカメラ100の処理手順を示すシーケンスチャートである。以後、図6のシーケンスチャートを用い、コンピュータ101とデジタルカメラ100との間で行われる通信手順の詳細について説明する。
【0061】
まず、S700において、コンピュータ101とデジタルカメラ100とをUSBケーブルなどにより接続し、通信を確立する。なお、コンピュータ101とデジタルカメラ100とが相互に通信可能であれば、任意の有線接続又は無線接続規格を用いることができる。
【0062】
次に、取得手段としてのコンピュータ101は、デジタルカメラ100に対してPTPコマンドを発行し、デジタルカメラ100の能力に関する情報の取得を行なう。具体的には、S701でコンピュータ101は、PTPコマンドGetDeviceInfoをデジタルカメラ100へ発行する。このコマンドに対し、デジタルカメラ100は、カメラに関する情報(DeviceInfo dataset)を返す。この情報の中には、デジタルカメラ100がサポートするオブジェクトの種類に関する情報がコード(ObjectFormatCode)で記載されている。従って、コンピュータ101は、デジタルカメラ100から返された能力情報を参照することで、デジタルカメラ100がサポートするオブジェクトの種類を把握することができる。
【0063】
S702において、コンピュータ101は、デジタルカメラ100とPTPに基づく通信を実現するためのセッション(論理接続)を確立するため、セッション確立コマンド(OpenSession)を発行する。デジタルカメラ100がセッション確立コマンドに対して正常応答すると、セッションが確立する。セッションが確立すると、GetDeviceInfoコマンド以外のPTPコマンドを利用した通信が可能になる。
【0064】
ユーザがコンピュータ101で動作するアプリケーションを利用し、コンピュータ101の記憶媒体223に記憶されている動画ファイル(AVIファイル301)をデジタルカメラ100に転送する指示を操作器221を通じて入力したとする。
この指示に応答して、オブジェクト生成手段としてのコンピュータ101は図4におけるS503からS505の処理を実行し、図7に示した構成の動画オブジェクトが生成される。
【0065】
次いで、コンピュータ101は送信処理を行なう(図4、S506)。
具体的には、まず、通知手段としてのコンピュータ101は、動画オブジェクトの実際の送信に先立って、SendObjectInfoコマンドをデジタルカメラ100に発行する(S703)。SendObjectInfoコマンドは、送信しようとするオブジェクトの関する情報(ObjectInfo dataset)を送信先の装置に通知するコマンドである。オブジェクトの形式に関する情報にはオブジェクトの形式やファイル名などが含まれる。ここでは、図7に示した動画オブジェクトの形式を表す値を含む形式情報が通知される。
【0066】
デジタルカメラ100は、オブジェクトの送信に先立って、転送されるデータオブジェクトの形式情報をコンピュータ101から受信することで、どのようなオブジェクトが送信されてくるのかを把握することができる。本実施形態において、デジタルカメラ100は、形式情報に基づき、図7の形式の動画オブジェクトが送信されてくることを理解する。
【0067】
次に、送信手段としてのコンピュータ101は、SendObjectコマンドをデジタルカメラ100に発行し、動画オブジェクトを送信する(S704及び図4のS506)。動画オブジェクトを受信したデジタルカメラ100は、形式情報に基づいて、受信した動画オブジェクトに対して図5におけるS603からS605の処理を実行する。このようなシーケンスを実現することで、コンピュータ101からデジタルカメラ100へ複数のファイルで構成される動画データを送信することを実現することが可能である。
【0068】
このように、本実施形態では、コンピュータ101は複数ファイルで構成されるマルチメディアデータから一つの動画オブジェクトを生成して送信する。そして、デジタルカメラ100は受信した動画オブジェクトを複数のファイルに分離し、デジタルカメラ100が扱えるファイル構成で保存する。
【0069】
すなわち、オブジェクトベースのプロトコルを用いたデータ転送において、転送されるファイル間の関連性を転送先に伝えることができ、それによって転送先で適切な取り扱いを行うことが可能となる。
【0070】
さらに、動画オブジェクトを生成したり、受信した動画オブジェクトを取り扱ったりするのに必要なデータが不足している場合は、不足したデータを、コンピュータ101もしくはデジタルカメラ100の少なくとも一方において補う。そして、動画オブジェクトを生成したり、ファイルの保存を行う。
【0071】
そのため、例えばユーザが動画ファイルと対応するサムネイルファイルのうち、一方しか選択せずに送信指示を行ったとしても、送信先の装置においては動画オブジェクトとして取り扱いできるように保存することができる。
【0072】
なお、関連する複数のファイルを送信するためにコンピュータ101が用いるデータオブジェクト形式(例えば、図7に示す形式)を、デジタルカメラ100がサポートしていない場合も考えられる。この場合、ユーザが転送指示において動画ファイルを指定したならば、転送してもデータ受信装置で取り扱いできない旨のメッセージなどを表示器222に表示するなどしてユーザに報知することができる。これにより、ユーザは、送信が行われる前に、指定したファイルが、デジタルカメラ100で扱うことができないマルチメディアデータであることを知ることが出来る。また、転送成功した場合は、確実に受信側でマルチメディアデータを扱うことができることを意味するので、ユーザビリティの向上を図ることが出来る。
【0073】
また、以下のような処理を行うことも可能である。
図6を用いて説明したシーケンスでは、コンピュータ101が複数ファイル(動画ファイルと対応するサムネイルファイル)により構成されるマルチメディアデータから、1つのオブジェクトを生成し、そのオブジェクトを一括送信するものであった。
しかし、例えば動画ファイルサイズが大きい場合などにおいては、分割して送信した方がよい場合もある。
【0074】
図8は、動画オブジェクトをコンピュータ101からデジタルカメラ100へ分割転送する際の手順の例を示すシーケンスチャートである。
S703でコンピュータ101は動画オブジェクトの送信に先立ち、SendObjectInfoコマンドを発行し、送信する動画オブジェクトの形式情報と、分割送信することを通知する。必要に応じて、分割数も通知するようにしてもよい。また、分割送信することや分割数も形式情報に含めて良い。
【0075】
S900から、コンピュータ101は動画オブジェクトの送信を開始する。図6のS704と違い、動画オブジェクトを分割送信する点が異なる。分割送信コマンド(SendPartialObject)は例えばベンダ拡張コマンドとして実装することが可能である。
【0076】
分割手段としてのコンピュータ101は、図7に示した構造の動画オブジェクトを、所定数に分割する。そして、コンピュータ101は、分割されたデータ領域毎に送信する。従って、S901,S902,S903により送信されるデータ領域は互いに異なる。送信データ領域をずらしながら順次転送し、S903で図7の全てのデータを送信完了する。
【0077】
デジタルカメラ100は、順次受信したデータをRAM210へ記憶し、動画オブジェクトを順次再構成していく。S903で最後のデータ領域を受信すると、デジタルカメラ100は、動画オブジェクトの再構成が完了し、図6で説明したのと同様の保存処理を行なう。
【0078】
動画オブジェクトを分割送信することの利点は、例えばコンピュータ101やデジタルカメラ100において、転送の進捗状況を把握することが可能になることである。さらに、転送中に切断された場合、デジタルカメラ100は、オブジェクト転送に失敗したと判定することができる。従って、途中まで転送されたデータなど、デジタルカメラ100で適切に取り扱えない形式のデータオブジェクトを検出し、消去することが可能である。その結果、動画オブジェクトとして未完成のままのデータがデジタルカメラ100に残らないため、コンピュータ101と整合性のとれないファイルが生成されない。
【0079】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータを1つのオブジェクトとして送信するものであった。
【0080】
それに対し、本実施形態では、マルチメディアデータを構成する複数のファイルの関係を送信元(コンピュータ101)から送信先(デジタルカメラ100)に通知した後、各ファイルを個別のオブジェクトとして送信する。そして、デジタルカメラ100は、データオブジェクトの受信に先立って通知されたファイルの関係に基づき、その後受信するデータオブジェクト間の関係を認識し、関係に応じた保存を行う。
【0081】
図9は、本実施形態において、動画オブジェクトをコンピュータ101からデジタルカメラ100へ転送する際の手順の例を示すシーケンスチャートである。図6を参照して既に説明した手順については、同じ参照数字を付して説明を省略する。また、本実施形態において、ユーザから送信指示されたファイルは動画ファイルと対応するサムネイルファイルであるとする。
【0082】
S1000で、通知手段としてのコンピュータ101は、これから転送するファイルについての情報、具体的には、関連した複数のファイルを送信しようとしていることを、デジタルカメラ100へ通知する。
この通知は、SendObjectInfoコマンドを利用し、本実施形態による送信方法やデータオブジェクトの形式を示す予め定めたObjectFormatCodeを通知することによって実現しても良いし、他のコマンドを利用して実現しても良い。いずれにせよ、デジタルカメラ100が、複数の関連したファイルが送信されてくることを把握できればよい。
【0083】
本実施形態においてコンピュータ101が通知し、デジタルカメラ100が把握した動画オブジェクトの構成が、図9の1004で示されているような、AVIファイルと対応するTHMファイルからなる動画オブジェクトとであるとする。
従って、デジタルカメラ100は、コンピュータ101からこれから受信するデータオブジェクトは、動画ファイルと対応するサムネイルファイルであることを理解する。
【0084】
S1001で、送信手段としてのコンピュータ101は、SendObjectコマンドを用いてサムネイルファイルを1つのデータオブジェクトとして送信する。受信したデジタルカメラ100は、DCFサムネイルファイルを生成する。この時点での動画オブジェクトは、1005に示すように不完全な状態であるため、Unknown Image Objectとして扱われる。
【0085】
次にS1002で、コンピュータ101は、デジタルカメラ100に対して、先に送信したサムネイルファイルに対応する動画ファイルの送信を通知する。この通知を受信したデジタルカメラ100は、動画オブジェクトの構成1004から、次に受信するオブジェクトが先に生成したDCFサムネイルファイルに対応する動画ファイルであると判断することができる。
【0086】
S1003において、コンピュータ101は、SendObjectコマンドを用いてデジタルカメラ100に動画ファイルを1つのデータオブジェクトとして送信する。デジタルカメラ100は、S1000で通知された情報に基づき、受信した動画ファイルが、S1001で受信したサムネイルファイルに対応する動画ファイルであると理解する。
【0087】
これにより、デジタルカメラ100は、1007に示すように、動画オブジェクトとして取り扱うために必要なファイルが揃ったことを認識する。そして、保存手段としてのデジタルカメラ100は、コンピュータ101から受信した複数のデータオブジェクト(サムネイルファイルと動画ファイル)を、関連したファイルとして取り扱いできるように、記憶媒体218に保存する。本実施形態においても、予め定められた規則、例えばDCFの規定に従って、動画ファイルとサムネイルファイルを同じフォルダに保存する。
【0088】
なお、上述したように、本実施形態の本質は、
・データ転送装置から、個別のデータオブジェクトとして送信される複数のファイルの関連性をデジタルカメラ100が認識できるように通知を行うこと、
・データ受信装置が、個別に受信したデータオブジェクトを、通知に基づいて関連したファイルであると認識し、関連したファイルとして取り扱いできるように保存すること、
である。
本実施形態における、通知の方法やタイミングは、必ずしも本実施形態に限定されるものではなく、他の適切な手法を採用することも可能である。
【0089】
たとえば、デジタルカメラ100が、動画ファイルを受信した場合には、直近に受信した、又はその後に受信したサムネイルファイルに対応するものとして取り扱うことも可能である。あるいは、動画ファイルの送信予告時に、対応するサムネイルファイルを指定しても良い。また、サムネイルファイルと動画ファイルの送信順序を逆転してもよい。
【0090】
本実施形態の送信手順のメリットは、例えば大量の動画オブジェクトを送信したい場合、先にサムネイルファイルのみを順次送信し、その後動画ファイルを順次送信することで、送信予定の動画を事前にデジタルカメラ100に通知できることである。例えば、デジタルカメラ100は、サムネイルファイルを表示器217に一覧表示し、さらに現在動画ファイルがどの程度受信されているかの表示に利用することが可能である。
【0091】
次に、図10に示すシーケンスチャートを用いて、本実施形態の送信手順において、動画オブジェクトを構成する複数のファイルの転送が終了する前に切断されたときの処理について説明する。
【0092】
S1001においてサムネイルファイルを送信し、サムネイルファイルの正常送信が確認された後、S1100において、コンピュータ101とデジタルカメラ100との接続が切断されたとする。デジタルカメラ100の通信器219は、接続が切断されたことを検知すると、デジタルカメラ100で取り扱いできない状態にあるデータオブジェクトを検出する。具体的には、通信器219は、Unknown Image Objectの状態にあるデータオブジェクトを検出する。そして、消去手段としての通信器219は、検出されたデータオブジェクトを全て消去する。これにより、デジタルカメラ100において正しく取り扱いできないマルチメディアデータが残ることを防止でき、デジタルカメラ100の記憶媒体218やRAM210の領域が無駄に使用されることを抑制できる。
【0093】
以上説明したように、本発明によれば、複数のファイルで構成されるマルチメディアデータを1つのオブジェクトとして取り扱うデジタルカメラ100が適切に取り扱いできるようにコンピュータ101からファイルを送信することができる。
【0094】
また、デジタルカメラ100が、正しく取り扱いできない状態のまま転送が終了したファイルを消去することにより、デジタルカメラ100の記憶領域を無駄にすることがない。
【0095】
(他の実施形態)
なお、上述の実施形態においては、オブジェクトベースでの伝送を行うプロトコルの一例としてPTPを利用し、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータの送信元装置の一例としてコンピュータを、送信先装置の一例としてデジタルカメラを説明した。しかし、これらは例示であり、他のプロトコルや機器を利用した通信に対しても本発明は適用可能である。
【0096】
また、動画オブジェクトがAVIファイルと、対応するTHMファイルから構成される例のみを説明したが、他のフォーマットに準じた動画ファイル及びサムネイルファイルであってもよい。
【0097】
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。
【0098】
従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0099】
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。
【0100】
上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0101】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。
【0102】
そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。
【0103】
つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
【0104】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。
【0105】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。
【0106】
さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータをデータ受信装置へ転送するデータ転送装置であって、
前記データ受信装置の能力情報を取得する取得手段と
記複数のファイルを含み、前記データ受信装置が取り扱い可能な形式を有する1つのデータオブジェクトを、前記能力情報に基づいて生成するオブジェクト生成手段と、
前記生成したデータオブジェクトの形式を表す形式情報を、前記データオブジェクトの送信に先立って前記データ受信装置へ通知する通知手段と、
前記データオブジェクトを前記データ受信装置へ前記データ転送プロトコルに従って送信する送信手段とを有することを特徴とするデータ転送装置。
【請求項2】
オブジェクトベースのデータ転送プロトコルを用い、複数のファイルから構成されるマルチメディアデータをデータ受信装置へ転送するデータ転送装置の制御方法であって、
取得手段が、前記データ受信装置の能力情報を取得する取得工程と、
オブジェクト生成手段が、前記複数のファイルを含み、前記データ受信装置が取り扱い可能な形式を有する1つのデータオブジェクトを、前記能力情報に基づいて生成するオブジェクト生成工程と、
通知手段が、前記生成したデータオブジェクトの形式を表す形式情報を、前記データオブジェクトの送信に先立って前記データ受信装置へ通知する通知工程と、
送信手段が、前記データオブジェクトを前記データ受信装置へ前記データ転送プロトコルに従って送信する送信工程とを有することを特徴とするデータ転送装置。
【請求項3】
コンピュータを、請求項1に記載のデータ転送装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−256365(P2012−256365A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194396(P2012−194396)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2007−93414(P2007−93414)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】